JP2005149872A - 液体燃料電池およびそれを含む組電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高濃度の液体燃料が使用可能であり、優れた発電特性を有する、高エネルギー密度の液体燃料電池を提供する。
【解決手段】 燃料として液体を使用する液体燃料電池において、触媒層を含む燃料極、触媒層を含む酸化剤極、及び、これら両極に狭持された炭化水素系高分子電解質膜から構成される単位セル、並びに、液体供給部からなる液体燃料電池とする。前記液体供給部に、前記液体が循環供給されていることが好ましい。また、前記単位セル内で前記液体が気化され前記燃料極に供給されることが好ましい。さらに、液体とガスを分離する分離膜が、前記燃料極上に設置されてなることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液体燃料電池およびそれを含む組電池に関する。
携帯電話やノートPCなどの民生用小型携帯機器は、その性能向上や情報伝達の増大により、機器の消費電力が増加傾向にある。しかしながら、それらの主たる電力源であるリチウムイオン型に代表される二次電池は、予想される機器の消費電力量に対し、エネルギー密度の向上が鈍化傾向にある。このような状況下、来るユビキタス社会に備え、高エネルギー密度の電力源が強く求められている。
固体高分子形燃料電池は、情報機器を支える小型携帯機器の電源として、また、大気汚染や地球温暖化に対処するための自動車の動力源や家庭用コージェネレーションシステムの電力源として、非常に注目されている。中でも、燃料にメタノールを直接使用する直接メタノール形燃料電池には、従来の二次電池に代わる高エネルギー密度の電力源として、大きな期待が寄せられている。
直接メタノール形燃料電池は、燃料極および酸化剤極で、それぞれ次のような反応式に従って発電する。
(燃料極) CH3OH+H2O→6H++6e-+CO2
(酸化剤極) 6H++6e-+3/2O2→3H2
この直接メタノール形燃料電池において、高エネルギー密度の電池を得るには、メタノールと水が1:1(モル比)の64重量%のメタノール水溶液を燃料に使用し、メタノールの反応率を高くすることが必要である。しかしながら、従来直接メタノール形燃料電池の高分子電解質膜として使用されてきたナフィオン(Nafion)(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸膜は、メタノールが透過し易いため、燃料極で消費されなかったメタノール水溶液が、膜を透過し、酸化剤極に到達し、酸化剤極で燃料極と同じ反応を起こし、逆起電力が生じる。これがメタノールのクロスオーバー過電圧であり、直接メタノール形燃料電池において充分な起電力を得られない原因となっている。
このようなメタノールのクロスオーバー過電圧を下げるためには、触媒性能の向上、電解質膜のメタノール遮断性の向上、作動条件の適正化などのアプローチがある。触媒性能を向上させるには、触媒活性を向上させるか、触媒担持量を増やすことが考えられるが、現状の触媒性能では不充分である。また、高分子電解質膜のメタノール遮断性を向上させるため、種々の材料が検討されてきたが、メタノール遮断性を向上させるに伴って、プロトン伝導度の低下も生じ、所望の特性を発現する高分子電解質膜の開発には至っていない。さらに、作動条件の適正化の側面から、メタノール水溶液の濃度を数重量%程度まで希釈して供給することが検討されているが、このような作動条件・システムでは、燃料として必要なメタノールに対し、大過剰の水が必要となるため、燃料を貯蔵するためのタンク容量が大きくなるなど、結果として、高エネルギー密度の直接メタノール形燃料電池が得られていないのが実状である。
これらを改善する方策として、例えば、特許文献1では、燃料として高濃度のメタノール水溶液を備えるものの、燃料極で消費されなかったメタノール水溶液や酸化剤極で生成した水を回収し、燃料として再利用することにより、結果として直接メタノール形燃料電池のエネルギー密度を向上させることが検討されている。しかしながら、これらの方法では、種々の補機や制御手段を備える必要があり、結果として、高濃度のメタノール水溶液を燃料として使用するメリットが著しく低減することが容易に推察される。
特開平2003−22830号公報
本発明の目的は、上記問題を鑑みてなされたものであり、高エネルギー密度化が可能となる直接メタノール形燃料電池などの液体燃料電池およびそれを含む組電池に関する。
すなわち本発明の液体燃料電池は、燃料を含む液体を使用する液体燃料電池であって、触媒層を含む燃料極、触媒層を含む酸化剤極、及び、これら両極に狭持された炭化水素系高分子電解質膜から構成される単位セル、並びに、液体供給部からなることを特徴とするものであり、燃料のクロスオーバー過電圧による性能低下が少なく、高濃度の液体燃料を使用できるため、高エネルギー密度の液体燃料電池となる。
ここで前記液体は、10〜64重量%メタノール水溶液であることが好ましい。
また、前記液体供給部には、前記液体が循環供給されていることが好ましく、単位セル部分における燃料消費量に連動して循環供給している液体から燃料が消費されるため、未消費の燃料が外部に排出されることが少なくなる傾向を示す。従って、液体出口側で未消費の燃料を回収する必要がなく、それに係る補機などを特に用いる必要がないため、液体燃料電池を小型・軽量化でき、高エネルギー密度の液体燃料電池を構成することができる。
さらに、前記液体を毛管力で前記単位セルに導入すると、液体を供給するためのポンプや流量制御系などの補機を特に用いる必要がないため、液体燃料電池を小型・軽量化でき、高エネルギー密度の液体燃料電池を構成することができる。
また、前記単位セル内で前記液体を気化し、前記燃料極に供給することが好ましく、燃料を液体で燃料極に供給するよりも、高い触媒活性が得られ、高出力の液体燃料電池が得られる。これに伴い、所望の出力を得るために必要な液体燃料電池を小容積化でき、高エネルギー密度の液体燃料電池とすることができる。
また、前記液体を毛管力で前記燃料極に導入するための液体浸透層と、前記液体浸透層と前記燃料極の間に配置され、前記単位セル内に導入された前記液体を気化させて気体燃料の状態で前記燃料極に供給するための液体気化層を備えることが好ましい。
本発明の液体燃料電池は、液体とガスを分離する分離膜が、前記燃料極上に設置されていることを特徴とする。
さらに、前記分離膜は、撥水性を有する多孔質体からなることが好ましい。
本発明の液体燃料電池は、前記単位セルが複数個積層されたスタックを備えることを特徴とする。
さらに、少なくとも1組の単位セルの燃料極対が、互いに向かい合い前記液体供給部を狭持するように配置されたスタックを備えることを特徴とし、少ない部材でコンパクトな液体燃料電池となる。
前記炭化水素系高分子電解質膜の23℃でのプロトン伝導度[S/cm]と25℃での所定濃度のメタノール水溶液に対するメタノール遮断係数[(cm・日)/μmol]の積[(S・日)/μmol]が、少なくとも下記(A)または(B)のいずれか一方をみたすと、メタノールなどの液体燃料の遮断性に優れた膜を設計できるため、液体燃料電池のクロスオーバー過電圧による性能低下を抑制でき、優れた性能の液体燃料電池となる。
(A)10重量%メタノール水溶液に対する値が、2.5×10-4(S・日)/μmol以上
(B)64重量%メタノール水溶液に対する値が、4.5×10-5(S・日)/μmol以上
また、前記炭化水素系高分子電解質膜が、スルホン酸基含有ポリフェニレンサルファイドからなることが好ましい。
さらに、前記炭化水素系高分子電解質膜の25℃での64重量%のメタノール水溶液におけるメタノール遮断係数が、3.0×10-4(cm・日)/μmol以上であることが好ましい。
本発明はまた、前記液体燃料電池と、前記液体燃料電池に電気的に接続されている二次電池と、を含む組電池である。
本発明はまた、前記液体燃料電池と、前記液体燃料電池に電気的に接続されているキャパシタと、を含む組電池である。
本発明の液体燃料電池は、燃料のクロスオーバー過電圧による性能低下が少なく、高濃度の液体燃料を使用できるため、高エネルギー密度の液体燃料電池として有用である。
本発明の液体燃料電池は、燃料を含む液体を使用する液体燃料電池であって、触媒層を含む燃料極、触媒層を含む酸化剤極、及び、これら両極に狭持された炭化水素系高分子電解質膜から構成される単位セル、並びに、液体供給部からなることを特徴とするものである。
燃料としては、燃料極の触媒層でプロトンを生成することができる水素含有化合物が使用できる。このような燃料としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどのアルコール類やジメチルエーテルなどのエーテル類などが列挙できる。燃料を含む液体としては、前記燃料の液体あるいは前記燃料を含む液体が使用でき、前記燃料の水溶液であることが好ましい。この中でも、この中でも、液体燃料電池の性能、特に燃料極側の触媒層における活性を考慮した場合、燃料としてはメタノール、燃料を含む液体としてはメタノール水溶液であることが好ましい。さらに、液体燃料電池のエネルギー密度を考慮した場合、前記液体は10〜64重量%メタノール水溶液であることが、より好ましい。メタノール水溶液の濃度が、10重量%よりも低いと液体燃料電池のエネルギー密度が小さくなる傾向を生じる。また、64重量%よりも高いと理論上必要なメタノール/水比よりも、メタノールが過剰となり、反応に関与しないメタノールを供給することとなり、液体燃料電池のエネルギー密度が小さくなる傾向を生じる。また、電解質膜を透過するメタノール量が多くなり、クロスオーバー過電圧による液体燃料電池の性能低下を引き起こす恐れがある。
本発明の液体燃料電池において、高分子電解質膜は炭化水素系高分子電解質膜であることが好ましい。前記炭化水素系高分子電解質膜に使用可能な炭化水素系高分子化合物は、例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアリールエーテルスルホン、ポリ(アリルフェニルエーテル)、ポリエチレンオキシド、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリ塩化ビニル、ポリ(ジフェニルシロキサン)、ポリ(ジフェニルフォスファゼン)、ポリスルホン、ポリパラフェニレン、ポリビニルアルコール、ポリ(フェニルグリシジルエーテル)、ポリ(フェニルメチルシロキサン)、ポリ(フェニルメチルフォスファゼン)、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルホキシド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリスチレン、スチレン−(エチレン−ブチレン)スチレン共重合体、スチレン−(ポリイソブチレン)−スチレン共重合体、ポリ1,4−ビフェニレンエーテルエーテルスルホン、ポリアリーレンエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、シアン酸エステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルニトリルなどが例示できる。前記炭化水素系高分子化合物を主たる構成成分とし、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、フェノール性水酸基などのプロトン伝導性置換基を含有するもの(例えば、スルホン酸基を含有するポリベンズイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルホキシド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリパラフェニレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、シアン酸エステル樹脂など)や、硫酸やリン酸などの強酸性溶液を含浸したもの(例えば、リン酸を含浸したポリベンズイミダゾールなど)や、前記炭化水素系高分子化合物(例えば、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンなど)の多孔質膜に高分子電解質を充填した細孔フィリング膜や、無機プロトン伝導度体(例えば、酸化タングステン水和物(WO3・nH2O)、酸化モリブデン水和物(MoO3・nH2O)、タングストリン酸、モリブドリン酸など)を炭化水素とケイ素からなる高分子ネットワークに保持した有機−無機複合膜などが、炭化水素系高分子電解質膜として列挙できる。
これらにより、ナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸膜と比較して、メタノールなどの液体燃料の遮断性に優れた膜を設計できるため、液体燃料電池のクロスオーバー過電圧による性能低下を抑制でき、優れた性能の液体燃料電池を得ることができる。また、より高濃度のメタノール水溶液などを燃料に使用できるため、液体燃料電池のエネルギー密度を高めることが可能となる。
前記炭化水素系高分子電解質膜の23℃でのプロトン伝導度[S/cm]と25℃での所定濃度のメタノール水溶液に対するメタノール遮断係数[(cm・日)/μmol]の積[(S・日)/μmol]が、少なくとも下記(A)または(B)のいずれか一方をみたすことが好ましい。
(A)10重量%メタノール水溶液に対する値が、2.5×10-4(S・日)/μmol以上
(B)64重量%メタノール水溶液に対する値が、4.5×10-5(S・日)/μmol以上
本発明におけるプロトン伝導度とは、高分子電解質膜中のプロトン(H+)の移動のし易さを示すものである。一般的には、公知の交流インピーダンス法により、高分子電解質膜の膜抵抗を測定して、算出することができる。前記プロトン伝導度は、測定温度により変化するため、本発明においては23℃の測定値で定義する。一方、メタノール遮断係数は、高分子電解質膜中のメタノール透過のし難さを示すものである。公知の方法で、高分子電解質膜のメタノール透過係数を測定し、その逆数により定義されるものである。一例をあげると、市販の膜透過実験装置を用いて、イオン交換水と所定濃度のメタノール水溶液を高分子電解質膜で隔離する。所定時間経過後にイオン交換水側に透過したメタノール量をガスクロマトグラフで定量し、これからメタノール透過係数を求める。さらに、このメタノール透過係数の逆数をとり、メタノール遮断係数を算出することができる。前記メタノール遮断係数は、測定温度により変化するため、本発明においては25℃の測定値で定義する。これらのメタノール遮断係数を算出する際のフローチャートを図1に示す。
ここでメタノール遮断係数は、使用するメタノール水溶液の濃度に依存して代わるため、実際に使用するメタノール水溶液の濃度において、所望の値を有することが必要である。
本発明において、前記炭化水素系高分子電解質膜の23℃でのプロトン伝導度[S/cm]と25℃での所定濃度のメタノール水溶液に対するメタノール遮断係数[(cm・日)/μmol]の積[(S・日)/μmol]が、前記範囲を満たすことで、プロトン伝導性とメタノール遮断性のバランスがとれた高分子電解質膜となる。例えば、メタノール遮断係数が高くても、プロトン伝導度が低く、上記範囲を満たさない膜は、膜中をプロトンが充分に移動することができず、高分子電解質膜として充分機能しない。また、プロトン伝導度が高くても、メタノール遮断性が低い場合には、メタノールのクロスオーバー過電圧による液体燃料電池の性能低下が大きくなる恐れがある。
本発明の液体燃料電池における炭化水素系高分子電解質膜は、スルホン酸基含有ポリフェニレンサルファイドからなることが好ましい。前記ポリフェニレンサルファイドは、具体的には、下記式(1)で表される繰り返し構造単位からなる。
−[Ar−S]n− (1)
[式中、Arは下記式(2)〜(4)で表される2価の芳香族単位、nは1以上の整数]
Figure 2005149872
また前記ポリフェニレンサルファイドのArの一部に、必要に応じて以下の構造単位を含有してもよい。
(1)芳香族単位の水素原子の一部がアルキル基、フェニル基、アルコキシル基、ニトロ基およびハロゲン基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換されたもの。
(2)3官能フェニルスルフィド単位。
(3)架橋または分岐単位。
これにより、高分子電解質膜の必要特性である、前述のプロトン伝導度、メタノール遮断性などに加え、化学的・熱的安定性、ハンドリング性、生産性などが優れ、優れた性能を有する液体燃料電池が得られる。
本発明における炭化水素系高分子電解質膜のメタノール遮断係数は、メタノール濃度で規格化していないため、測定に使用するメタノール水溶液濃度によって異なる。25℃での64重量%メタノール水溶液を使用した場合には、好ましくは3.0×10-4(cm・日)/μmol以上、より好ましくは5.0×10-4(cm・日)/μmol以上、さらに好ましくは1.0×10-3(cm・日)/μmol以上である。このメタノール遮断係数が、3.0×10-4(cm・日)/μmolより小さいと、メタノールのクロスオーバー起電力により液体燃料電池の性能低下が起こりやすくなる傾向を示す。炭化水素系高分子電解質膜のメタノール透過係数を前記範囲に設定するには、炭化水素系高分子電解質膜の構成成分である炭化水素系高分子化合物の種類、所望のプロトン伝導度を発現させるために必要なイオン交換容量、などを考慮して適宜設定する必要がある。基本的には、プロトン伝導度が高くなるほどメタノール遮断係数が小さくなる傾向を生じるため、所望のプロトン伝導度とメタノール遮断係数を満たすように、炭化水素系高分子電解質膜の構成を設定する必要がある。
前記炭化水素系高分子電解質膜は、γ線、電子線およびイオンビームからなる群から選択される少なくとも1種の放射線を照射したものであることが好ましい。放射線を照射し、前記炭化水素系高分子電解質膜を改質することによって、プロトン伝導度は向上する傾向を示す。また、メタノール遮断性も向上する場合がある。特に、放射線量、炭化水素系高分子電解質膜への透過性、照射時間(工業的な連続照射)などの点から、電子線であることが好ましい。
前記放射線の照射雰囲気は、空気中、無酸素雰囲気、真空雰囲気のいずれの場合も選択可能であるが、生産性を考慮すると空気中であることが好ましい。本発明においては、放射線照射により、炭化水素系高分子電解質膜の劣化が生じない雰囲気を適宜設定すれば良い。また、放射線照射による炭化水素系高分子電解質膜の改質を効率的に実施するため、照射雰囲気や膜を加熱してもよい。この際も、炭化水素系高分子電解質膜の劣化が生じない条件を適宜設定すればよい。
前記放射線の加速電圧は、0.01〜5.0MeVであることが好ましい。加速電圧が0.01MeVより低いと、炭化水素系高分子電解質膜への放射線の透過度が低くなり、膜内部まで均質な膜を得るのが困難になる傾向がある。また、必要な照射線量を確保するのに長時間の照射が必要となり、生産性が著しく低下する傾向がある。5.0MeVを越える場合は、装置が必要以上に大がかりになったり、炭化水素系高分子電解質膜の劣化を促進する傾向がある。
前記放射線の照射量は10〜1000kGyであることが好ましい。10kGyよりも照射線量が少ない場合は、充分な照射効果が発現しない傾向がある。また、1000kGyを越える場合は、照射効果が飽和したり、照射時間が長くなったり、炭化水素系高分子電解質膜の劣化や特性低下を導く傾向がある。
前記炭化水素系高分子電解質膜の厚みは、用途に応じて任意の厚みが選択可能である。膜の内部抵抗を低減することを考慮した場合、実用的な機械的強度、液体燃料および酸化剤の遮断性を有する範囲で、それぞれ薄いほどよい。電解質膜としての特性は、プロトン伝導度が同等であれば、厚みが薄くなるほど、膜としての抵抗値が低くなる。したがって、膜の厚みは、好ましくは5〜200μmであり、より好ましくは20〜150μmである。この厚みが、5μmより薄い場合は、使用時にピンホールの発生や膜割れが生じやすくなる傾向がある。また、液体燃料や酸化剤の遮断性が不充分となり、液体燃料電池の性能低下の要因となる傾向がある。一方、200μmを超える場合は、炭化水素系高分子電解質膜の抵抗が大きくなり、性能低下の要因となる傾向がある。
前記炭化水素系高分子電解質膜は、また、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、抗菌剤、滑剤、表面活性剤、各種フィラーなどの添加剤を適量含有させてもよい。
本発明の組電池は、上述した液体燃料電池と、前記液体燃料電池に電気的に接続されている二次電池を備えることが好ましい。また、上述した液体燃料電池と、前記液体燃料電池に電気的に接続されているキャパシタを備えることが好ましい。
つぎに、本発明の液体燃料電池について、一例として、図面を引用して説明する。図2は、本発明に係る単位セルの構成材料である膜−電極接合体の要部断面図である。これは、炭化水素系高分子電解質膜1と、その両側にそれぞれ触媒層4と拡散層6を含む燃料極8、触媒層5と拡散層7を含む酸化剤極9が配置される。炭化水素系高分子電解質膜1と燃料極8と酸化剤極9は、必要に応じて結着剤層2,3を介して接合され、膜−電極接合体10が構成される。本発明の単位セルは、この膜−電極接合体10を含んで構成される。
炭化水素系高分子電解質膜1としては、前述した内容の炭化水素系高分子電解質膜が使用される。結着剤層2,3は、同一または異なっていてもよく、必要の応じて形成されてもよく、また、形成されなくてもよい。一般的には、ナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子化合物や、スルホン酸基を含有するポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリイミドなど溶媒溶解性の公知の高分子電解質が使用される。これらは、炭化水素系高分子電解質膜1と触媒層4,5を接合(接着)するために使用される。これらの材料に対しては、その異種材料に対する接合性に加え、炭化水素系高分子電解質膜1と同様に、プロトン伝導性や化学的安定性などが要求される。
触媒層4,5は、同一または異なっていてもよく、片側には使用する燃料(メタノールなど)の酸化能を有する触媒が使用される。もう一方には、使用する酸化剤(酸素や空気など)の還元能を有する触媒が使用される。具体的には、カーボンブラック,活性炭,カーボンナノホーン,カーボンナノチューブなどの高表面積の導電性材料に、白金などの貴金属触媒が担持されたものが使用される。特に燃料極側には、燃料酸化時の副生成物である一酸化炭素、アルデヒド類、カルボン酸類などによる触媒被毒を抑制するため、白金の代わりに、白金とルテニウムなどからなる複合あるいは合金触媒などが使用される。
拡散層6,7は、同一または異なっていてもよく、カーボンペーパーやカーボンクロスなどの多孔質の導電性材料が使用される。これらは供給される水分や電気化学反応によって生成した水で、気孔が塞がれるのを抑制するため、必要に応じて、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系化合物で撥水処理を施してもよい。一般的には、これらの拡散層6,7上に、前記触媒層4,5がナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子化合物や、スルホン酸基を含有するポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリイミドなど溶媒溶解性の公知の高分子電解質をバインダーとして形成され、燃料極8,酸化剤極9が調製され使用される。前記燃料極8,酸化剤極9としては、市販の触媒担持ガス拡散電極(米国E−TEK社製、など)を用いてもよい。
本発明における膜−電極接合体10の製造方法は、公知あるいは任意の方法が選択可能である。一例をあげると、触媒担持ガス拡散電極8,9の触媒層4,5上に、結着剤2,3の構成材料の有機溶媒溶液を塗布した後、必要に応じて溶媒を除去し、炭化水素系高分子電解質膜1の両面に配置する。その後、ホットプレス機やロールプレス機などのプレス機を使用して、一般的には120〜250℃程度のプレス温度でホットプレスし、膜−電極接合体10を調製することができる。また必要に応じて、結着剤2,3を使用せずに、膜−電極接合体10を調製しても構わない。
つぎに、本発明の液体燃料電池について、図面を引用して説明する。
図3は、本発明の液体燃料電池の一例の要部模式図である。
本発明の液体燃料電池は、液体貯蔵部(液体タンクなど)に併設されている液体供給部11、および、膜−電極接合体10の燃料極側に配置された前記液体供給部11と接続している液体浸透層12と、酸化剤極側に配置された酸化剤流路13を備えるセパレーター14から構成される単位セル15を備える。単位セル15は所望の発電特性が得られるよう、図3に示したように複数個を積層し、スタックを形成しても良い。
前記液体供給部11には、燃料を含む液体が循環供給されていることが好ましい。これによって、単位セル部分における燃料消費量に連動して循環供給している液体から燃料が消費されるため、未消費の燃料が外部に排出されることが少なくなる傾向を示す。従って、液体出口側で未消費の燃料を回収する必要がなく、それに係る補機などを特に用いる必要がないため、液体燃料電池を小型・軽量化でき、高エネルギー密度の液体燃料電池を構成することができる。
前記液体浸透部12は、燃料を含む液体を毛管力で単位セルに導入する機能を有することが好ましい。これにより、液体を供給するためのポンプや流量制御系などの補機を特に用いる必要がないため、液体燃料電池を小型・軽量化でき、高エネルギー密度の液体燃料電池を構成することができる。前記液体浸透層12は、液体燃料を毛管力で浸透しうる材料・部材からなるものであれば使用可能である。例えば、粒子やフィラーからなる多孔質体や、不織布や織布などが例示できる。液体を毛管力で浸透しうる部材として、多孔質体を使用する場合には、液体貯蔵部(液体タンクなど)と単位セル内の燃料極側までを、孔径などを適宜制御した多孔質体の連続孔で接続すればよい。多孔質体の毛管力を考慮した場合、孔径は0.01〜150μm程度とすることが好ましい。また、連続孔の指標となる孔の体積は、20〜90%となることが好ましい。孔径を0.01μmより小さい多孔質体を構成するのは困難であり、一方、150μmより大きくすると、毛管力が低下し、燃料を含む液体の供給が円滑ではなくなったり、液体が必要以上に単位セルに供給され、燃料のクロスオーバー過電圧を引き起こす要因となる恐れがある。また、孔の体積が20%より小さいと連続孔が減ることとなり、毛管力が充分に得ることができなくなる恐れがある。一方、90%より大きいと、実用的な強度を有する多孔質体を得るのが困難となる傾向を生じる。実用的には、多孔質体の孔径は0.5〜100μm、孔の体積は30〜75%の範囲とすることが、より好ましい範囲である。
図4は、本発明の液体燃料電池の一例の要部模式図である。
単位セル内に導入された燃料を含む液体を気化させて気体燃料の状態で膜−電極接合体10の燃料極に供給するための液体気化層16が、液体浸透層12と膜−電極接合体10の燃料極側の間に配置される。このような構成により、単位セル内に導入された液体は、液体気化層16で気化して燃料極に供給することができる。これによって、燃料を液体で燃料極に供給するよりも、高い触媒活性が得られ、高出力の液体燃料電池が得られる。これに伴い、所望の出力を得るために必要な液体燃料電池を小容積化でき、高エネルギー密度の液体燃料電池とすることができる。前記液体気化層16内の気体燃料はほぼ飽和状態に保持され、消費された燃料分だけ、液体浸透層12から液体が気化する。さらには、気化した液体分だけ、毛管力で液体が供給されるため、燃料消費量と燃料を含む液体供給量が連動した液体供給系を簡便な方法で構築することができる。前記液体気化層16は、気化した燃料が拡散する空間を有すること、および、燃料極と直接接するため、電子伝導性を有することが求められる。このような材料・部材としては、例えば、導電性多孔体や導電性メッシュなどが例示でき、これを液体浸透部と燃料極の間に配置すればよい。また、導電性のワイヤーや繊維、粒子などで、気化した燃料が拡散可能な空間を形成してもよい。
図5は、本発明の液体燃料電池の一例の要部模式図である。
単位セル内に導入された燃料を含む液体を液体とガスに分離する機能を有する分離膜17が、液体浸透層12と膜−電極接合体10の燃料極側の間に配置される。このような構成により、単位セル内に導入された液体は、膜−電極接合体10で生じる電池反応の反応熱を分離膜17を介して液体に伝えることができ、補機などを使用することなく、液体を気化して、膜−電極接合体10の燃料極に供給することができる。これによって、液体で燃料極に供給するよりも、高い触媒活性が得られ、高出力の液体燃料電池が得られる。これに伴い、所望の出力を得るために必要な液体燃料電池を小容積化でき、高エネルギー密度の液体燃料電池とすることができる。前記分離膜17は、膜−電極接合体10の燃料極側で発生した電子を伝導するための集電体として機能させるためには、導電性を有するステンレス板枠内に撥水性を有する多孔質体を使用するのが好ましい。また、Al、Cuなどの金属材料や、撥水性のカーボンペーパーなどを使用しても構わない。多孔質体の細孔径は0.05μm〜4.00μm、気孔率が60〜95%であることが好ましい。細孔径および気孔率が前記範囲よりも小さいと、液体燃料が気化しても、分離膜17における気化した燃料の透過率が低く、発電効率が低下する恐れがある。一方、前記範囲よりも大きいと液体燃料が気化せずに分離膜17を透過し、直接燃料極へ到達し、所望の特性が発現しない恐れがある。前述のように、多孔質体の細孔径や気孔率を制御することによって、供給された液体燃料と気化した燃料を分離することが可能となる。本発明において、前記分離膜17は、撥水性を有する多孔質体からなることが好ましい。撥水性を付与させることによって、気孔率や細孔径を大きくすることができ、気化した燃料を効率的に燃料極に導入することが可能となる。多孔質体に撥水性を付与させるためには、例えば、フッ素樹脂からなる多孔質体を使用したり、多孔質体表面にフッ素樹脂を塗布するなどしてフッ素樹脂層を形成すればよい。さらに、分離膜17は、効率的に反応熱を伝え液体燃料を気化させるために熱伝導性を有することが好ましく、熱伝導率が20W/m/K以上であることがより好ましい。例えば、このような特性を満たす材料としては、カーボン焼結体やAl23焼結体、金属製の焼結体などが例示できる。熱伝導率を高くすることによって、燃料極で発生した反応熱を効率よく液体燃料に伝え、気化効率を向上させることが可能となる。前記分離膜17は、効率的に気化した燃料が透過すること、熱伝導と効率的に行うこと、液体燃料電池の小型・軽量化すること、などを考慮すると、膜厚は10mm以下であることが好ましい。
図6は、本発明の液体燃料電池の一例の要部模式図である。
液体貯蔵部(液体タンクなど)に併設されている液体供給部11に、少なくとも1組の単位セル15の燃料極側が向かい合い前記液体供給部11を狭持するように配置されたスタックであることが好ましい。また、単位セル15の酸化剤極側は酸化剤流路を有するセパレーターで構成しても良いし、非密閉構造として、外部空気が単位セル15の酸化剤極側に自然対流する構造としても良い。単位セル15は必要に応じて、前述の液体浸透部、気化層、分離膜などを設けても良い。液体燃料電池をこのような構成とすることにより、複数の単位セル15で液体供給部11を共用できるため、液体燃料電池を小型・軽量化することができ、高エネルギー密度の液体燃料電池を得ることができ、好ましい。各単位セル15は、所望の出力特性が得られるように必要組を直列および/または並列に電気的に接続して使用すればよい。さらに、図7〜10は前記スタックの構成例である。所望の発電特性が得られるよう、所定の電極面積を有する単位セルを、所定の数だけ、配置することができる。また、使用される機器の構成に応じて、平面あるいは立体配置して、使用することが可能である。これらは、電気的接続部18により、各単位セル15を接続し、使用すればよい。
上述の図3〜図5に例示した液体燃料電池の一例において、液体浸透部、セパレーター、気化層、分離膜は、それぞれ使用する複数の単位セルを別の手段で電気的に接続する場合には、電気伝導性を有する材料で構成する必要がないことを付記しておく。
本発明の組電池は、上述した液体燃料電池と、前記液体燃料電池に電気的に接続されている二次電池を備えることが好ましい。また、上述した液体燃料電池と、前記液体燃料電池に電気的に接続されているキャパシタを備えることが好ましい。
本発明の組電池に関し、さらに詳しく説明する。本発明において、前記二次電池は例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池などが例示できる。本発明の組電池において、液体燃料電池と二次電池は並列に接続されて使用される。これにより、各種補機(送液ポンプや制御機器、センサー類など)は二次電池を駆動電源とすることができる。従って、液体燃料電池に燃料が供給されていないスタートアップ時や燃料が枯渇した場合であっても、本発明の組電池を駆動電源とする機器類を動作させることが可能である。また逆に、二次電池を放電させていないときには、液体燃料電池の起電力により、二次電池を充電することが可能である。制御系を適正化することにより、二次電池の充電時間を短縮させたり、二次電池を過放電させることなく充電することで二次電池の容量低下を回避できることや、液体燃料電池のみでは対応しがたい使用機器の負荷変動に対する追従がしやすくなる。従って、本発明の組電池は、液体燃料電池と二次電池の特性を相互補完できるため好ましい。上述の相互補完の効果は、リチウムイオン二次電池で最も顕著であるが、ニッケル水素二次電池などの他の二次電池や、キャパシタなどとの組電池においても、効果や機能が若干異なるものの、類似した効果が得られる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
(実施例1)
<炭化水素系高分子電解質膜の調製>
ガラス容器に、1−クロロブタン746g、クロロスルホン酸14.93gを秤量し、クロロスルホン酸溶液を調製した。ポリフェニレンサルファイドフィルム(東レ株式会社製、商品名:トレリナ、厚み:50μm)を1.73g秤量し、クロロスルホン酸溶液に浸漬し、室温で20時間、放置した(クロロスルホン酸添加量は、ポリフェニレンサルファイドの芳香族単位に対して8当量)。室温で20時間放置後に、ポリフェニレンサルファイドフィルムを回収し、イオン交換水で中性になるまで洗浄した。
洗浄後のポリフェニレンサルファイドフィルムを23℃に調温した恒温恒湿器内で、相対湿度98%、80%、60%および50%の湿度調節下で、それぞれ30分間放置してフィルムを乾燥し、炭化水素系高分子電解質膜として、スルホン酸基が導入されたポリフェニレンサルファイド膜(以下、スルホン化ポリフェニレンサルファイド膜)(80mm×80mm、厚み:51μm)を得た。
<イオン交換容量の測定方法>
高分子電解質膜(約10mm×40mm)を25℃での塩化ナトリウム飽和水溶液20mLに浸漬し、ウォーターバス中で60℃、3時間反応させた。25℃まで冷却し、次いで膜をイオン交換水で充分に洗浄し、塩化ナトリウム飽和水溶液および洗浄水をすべて回収した。この回収した溶液に、指示薬としてフェノールフタレイン溶液加え、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定し、イオン交換容量を算出した。
結果を表1に示す。
<プロトン伝導度の測定方法>
イオン交換水中に保管した高分子電解質膜(約10mm×40mm)を取り出し、膜表面の水をろ紙で拭き取った。2極非密閉系のテフロン(登録商標)製のセルに膜を設置し、さらに白金電極を電極間距離30mmとなるように、膜表面(同一側)に設置した。23℃での膜抵抗を、交流インピーダンス法(周波数:42Hz〜5MHz、印可電圧:0.2V)により測定し、プロトン伝導度を算出した。
結果を表1に示す。
<メタノール遮断性の測定方法>
25℃の環境下で、ビードレックス社製膜透過実験装置を使用して、高分子電解質膜でイオン交換水と所定濃度のメタノール水溶液を隔離した。所定時間経過後にイオン交換水側に透過したメタノールを含む溶液を採取し、ガスクロマトグラフで透過したメタノール量を定量した。この定量結果から、メタノール透過速度を求め、メタノール透過係数およびメタノール遮断係数を算出した。メタノール透過係数およびメタノール遮断係数は、以下の数式1及び数式2にしたがって算出した。
結果を表2に示す。
Figure 2005149872
Figure 2005149872
<膜−電極接合体の調製>
高分子電解質膜として、上記スルホン化ポリフェニレンサルファイド膜を、燃料極としてElectroChem社製ガス拡散電極(Pt−Ru触媒、Pt:Ru=1:1(原子量比)、4mgPt/cm2、20wt%Pt/VulcanXC−72R))を、酸化剤極としてElectroChem社製ガス拡散電極(Pt触媒、4mgPt/cm2、20wt%Pt/VulcanXC−72R))をそれぞれ使用した。燃料極および酸化剤極の触媒層側に、Aldrich社製の5wt%ナフィオン溶液を固形分量が0.6mg/cm2になるように塗布した。燃料極および酸化剤極の触媒層側と炭化水素系高分子電解膜が接するように配置し、50kgf/cm2の圧力で150℃−90秒間ホットプレスし、膜−電極接合体を得た。
<液体燃料電池の作製>
前記膜−電極接合体の燃料極および酸化剤極の周縁部にシリコンゴム製ガスケットを配置し、ElectroChem社製固体高分子形燃料電池の単位セル(モデル番号:FC05−01SP)に装着し、液体燃料電池を得た。
<液体燃料電池の発電特性評価>
液体燃料として所定濃度のメタノール水溶液を燃料極側に供給し、酸化剤として酸素を酸化剤極側に供給し、液体燃料電池の発電特性を評価した。さらに、所定時間経過後の酸化剤極側から回収される生成水中のメタノール濃度をガスクロマトグラフにより定量した。
結果を表3に示す。
(実施例2)
1−クロロブタン量を578g、クロロスルホン酸量を8.67g、ポリフェニレンサルファイドフィルム(東レ株式会社製、商品名:トレリナ、厚み:25μm)を1.34gとした以外は、実施例1と同様にして炭化水素系高分子電解質膜を調製した(クロロスルホン酸添加量は、ポリフェニレンサルファイドの芳香族単位に対して6当量)。得られたスルホン化ポリフェニレンサルファイド膜(80mm×80mm、厚み:40μm)は、膜形状を維持していた。
高分子電解質膜として、このスルホン化ポリフェニレンサルファイド膜を使用した以外は、実施例1と同様にした。
結果を表1〜3に示す。
(比較例1)
高分子電解質膜として、スルホン化ポリフェニレンサルファイド膜の代わりに、非炭化水素系高分子電解質膜であるデュポン社製ナフィオン115を使用した以外は、実施例1と同様にした。
結果を表1〜3に示す。
Figure 2005149872
Figure 2005149872
Figure 2005149872
表1の実施例1,2と比較例1との比較から、本発明に係る炭化水素系高分子電解質膜は、従来の高分子電解質膜と同オーダーのプロトン伝導性を有し、液体燃料電池の高分子電解質膜として有用であることが明らかとなった。
表2の実施例1,2と比較例1との比較から、本発明に係る炭化水素系高分子電解質膜は、幅広いメタノール水溶液濃度範囲において、従来の高分子電解質膜よりも高いメタノール遮断係数を有し、メタノール遮断性に優れることが示された。さらに、プロトン伝導度とメタノール遮断係数の積も高く、液体燃料電池の高分子電解質膜として有用なプロトン伝導度とメタノール遮断性のバランスに優れる高分子電解質膜であることが示された。
表3の実施例1,2と比較例1との比較から、本発明の液体燃料電池の発電特性は、10wt%および64wt%のメタノール水溶液を液体燃料に使用した場合、従来の高分子電解質膜よりも優れた発電特性を有することが明らかとなった。さらに、3〜64wt%メタノール水溶液を液体燃料に使用した場合のメタノールクロスオーバー量も少なく、本発明の有効性が示された。
メタノール遮断係数算出のフローチャートである。 本発明に係る単位セルの要部断面図である。 本発明の液体燃料電池の一例の要部模式図 本発明の液体燃料電池の一例の要部模式図 本発明の液体燃料電池の一例の要部模式図 本発明の液体燃料電池の一例の要部模式図 本発明の液体燃料電池の一例の上部模式図 本発明の液体燃料電池の一例の上部模式図 本発明の液体燃料電池の一例の側面模式図 本発明の液体燃料電池の一例の側面模式図
符号の説明
1 炭化水素系高分子電解質膜
2 結着剤層
3 結着剤層
4 燃料極側の触媒層
5 酸化剤極側の触媒層
6 燃料極側の拡散層
7 酸化剤極側の拡散層
8 燃料極
9 酸化剤極
10 膜−電極接合体
11 液体供給部
12 液体浸透部
13 酸化剤流路
14 セパレーター
15 単位セル
16 気化層
17 分離膜
18 電気的接続部

Claims (15)

  1. 燃料を含む液体を使用する液体燃料電池であって、触媒層を含む燃料極、触媒層を含む酸化剤極、及び、これら両極に狭持された炭化水素系高分子電解質膜から構成される単位セル、並びに、液体供給部からなる液体燃料電池。
  2. 前記液体が、10〜64重量%メタノール水溶液であることを特徴とする請求項1記載の液体燃料電池。
  3. 前記液体供給部に、前記液体が循環供給されていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の液体燃料電池。
  4. 前記液体を、毛管力で前記単位セルに導入することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液体燃料電池。
  5. 前記単位セル内で前記液体を気化し、前記燃料極に供給することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液体燃料電池。
  6. 前記液体を毛管力で前記燃料極に導入するための液体浸透層と、前記液体浸透層と前記燃料極の間に配置され、前記単位セル内に導入された前記液体を気化させて気体燃料の状態で前記燃料極に供給するための液体気化層を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液体燃料電池。
  7. 液体とガスを分離する分離膜が、前記燃料極上に設置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液体燃料電池。
  8. 前記分離膜が、撥水性を有する多孔質体からなることを特徴とする請求項7記載の液体燃料電池。
  9. 前記単位セルが複数個積層されたスタックを備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の液体燃料電池。
  10. 少なくとも1組の前記単位セルの燃料極対が、互いに向かい合い前記液体供給部を狭持するように配置されたスタックを備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の液体燃料電池。
  11. 前記炭化水素系高分子電解質膜の23℃でのプロトン伝導度[S/cm]と25℃での所定濃度のメタノール水溶液に対するメタノール遮断係数[(cm・日)/μmol]の積[(S・日)/μmol]が、少なくとも下記(A)または(B)のいずれか一方をみたす請求項1記載の液体燃料電池。
    (A)10重量%メタノール水溶液に対する値が、2.5×10-4(S・日)/μmol以上
    (B)64重量%メタノール水溶液に対する値が、4.5×10-5(S・日)/μmol以上
  12. 前記炭化水素系高分子電解質膜が、スルホン酸基含有ポリフェニレンサルファイドからなる請求項1または11のいずれかに記載の液体燃料電池。
  13. 前記炭化水素系高分子電解質膜の25℃での64重量%のメタノール水溶液におけるメタノール遮断係数が、3.0×10-4(cm・日)/μmol以上である請求項1、11,12のいずれかに記載の液体燃料電池。
  14. 前記請求項1〜13のいずれかに記載の液体燃料電池と、前記液体燃料電池に電気的に接続されている二次電池と、を含む組電池。
  15. 前記請求項1〜13のいずれかに記載の液体燃料電池と、前記液体燃料電池に電気的に接続されているキャパシタと、を含む組電池。
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