JP2012074205A - 膜電極複合体およびアルカリ形燃料電池 - Google Patents

膜電極複合体およびアルカリ形燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】フラッディング現象を効果的に抑制することができるとともに、電解質膜を適度な湿潤状態に維持することができ、もって、高い出力電圧と良好な出力安定性とを発揮できる膜電極複合体およびこれを用いたアルカリ形燃料電池を提供する。
【解決手段】アニオン伝導性固体高分子電解質膜101と、その一方の面に積層されるアノード触媒層104を含むアノード極102と、他方の面に積層されるカソード触媒層105を含むカソード極103と、アノード極102におけるアニオン伝導性固体高分子電解質膜101側の面とこれに対向する面とが、少なくとも一部においてアノード極を介して連通するように、アノード極102内に配置される吸水性材料を含有する吸水部110とを含む膜電極複合体およびこれを用いたアルカリ形燃料電池である。
【選択図】図1

Description

本発明は、電解質膜にアニオン伝導性固体高分子電解質膜を使用した膜電極複合体およびこれを用いたアルカリ形燃料電池に関する。
燃料電池は、小型軽量化や高出力密度を実現できる可能性を有していることから、携帯用電子機器用の新規電源や家庭用コジェネレーションシステムなどへの用途展開が精力的に進められている。燃料電池は、発電主要部として、電解質膜をアノード極およびカソード極で挟持した構成の膜電極複合体(MEA)を備えており、電解質膜の種類によって、固体高分子形燃料電池(直接形燃料電池を含む)、リン酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、アルカリ形燃料電池等に分類される。
アルカリ形燃料電池は、電解質膜としてアニオン伝導性固体高分子電解質膜(アニオン交換膜)を用いた、電荷キャリアが水酸化物イオン(OH-)である燃料電池である。アルカリ形燃料電池においては、次のような電気化学反応により電力が取り出される。すなわち、カソード極に酸化剤(空気等)および水(この水は、アノード極で生じ、電解質膜を透過した水であり得る)を供給すると、下記式:
1/2O2+H2O+2e → 2OH-
で表される触媒反応によりOH-が生成される。このOH-は、水分子との水和状態で電解質膜を介してアノード極側に伝達される。一方、アノード極では、供給された還元剤(燃料)、たとえばH2ガスとカソード極から伝達されたOH-とが、下記式:
2+2OH- → 2H2O+2e
で表される触媒反応を起こし、水および電子を生成する。
アルカリ形燃料電池における上記発電反応を効率良く連続的に行ない、高い出力電圧を得るとともに、良好な出力安定性、すなわち、アノード極やカソード極に供給されるガスの相対湿度の変化によらず安定した出力を得るためには、アノード極で生じた水(生成水)がアノード極外へ排出されずに停滞することによって、当該生成水がアノード極のアノード触媒層やアノードガス拡散層内で水膜状となり、還元剤(燃料)のアノード触媒層への供給が阻害される、いわゆる「フラッディング現象」を抑制することが肝要である。また、燃料電池の高い出力電圧と良好な出力安定性を達成するためには、電解質膜の適度な湿潤状態を維持することによって、カソード極での触媒反応に必要な水を十分に供給できるようにするとともに、電解質膜のイオン伝導度の低下を抑制することも重要である。
特許文献1には、プロトン(H+)を電荷キャリアとする固体高分子形燃料電池において、電極での水詰まりの発生を解消するために、燃料極(アノード極)および/または酸化剤極(カソード極)外側の導電性プレートの表面に、その表面を覆うようにシート状の吸収材を配置することが提案されている。
特許文献2には、同じくプロトン(H+)を電荷キャリアとする固体高分子形燃料電池において、主にイオン交換膜(電解質膜)の膨張・収縮の繰り返しによるイオン交換膜の強度低下を抑制することを目的として、負極集電体とその外側のガスケットとの間または正極集電体とその外側のガスケットとの間に吸収性高分子ゲルを充填したり、負極集電体と負極触媒部との間または負極触媒部とイオン交換膜との間に、燃料の加湿またはプロトン(H+)の水和を目的とする給水層を設けたりすることが提案されている。給水層は、一対の透湿性防水シートの間に吸水材を介在させたものである。
特許文献3には、同じくプロトン(H+)を電荷キャリアとする固体高分子形燃料電池において、吸湿性を向上させるために、電解質膜と触媒層との間に吸湿性高分子膜を形成することが提案されている。また、特許文献4には、電極の調湿を目的として、触媒層やガス拡散層に、保湿性を有するシリカ等の金属酸化物を分散させることが提案されている。
特開2000−251910号公報 特開2000−340247号公報 特開2006−19261号公報 特開2002−289200号公報
しかしながら、上記従来の技術では、フラッディング現象の抑制と電解質膜の適度な湿潤状態の維持とを両立させることが困難であった。すなわち、電極の外側に吸水性材料を配置した場合、フラッディング現象は抑制し得るが、電解質膜への水の供給が不十分となり、電解質膜を適度な湿潤状態に保つことが困難であった。同様に、触媒層やガス拡散層に金属酸化物を分散した場合には、その保水性および調湿性により、フラッディング現象の抑制や、触媒層中の電解質の湿潤状態の維持は達成され得るが、電解質膜への水の供給が十分とはいえず、電解質膜を十分な湿潤状態に保つことが困難であった。一方、電解質膜と触媒層との間に吸水性材料を配置した場合、電解質膜への水の供給が容易となり、電解質膜を適度な湿潤状態に保つことができるが、アノード極内、とりわけアノード触媒層外側での水膜形成を十分に抑制することができず、フラッディング現象を十分に抑制できないという問題があった。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、発電時においてフラッディング現象を効果的に抑制することができるとともに、電解質膜を適度な湿潤状態に維持することができ、もって、高い出力電圧と良好な出力安定性とを発揮できるアルカリ形燃料電池用の膜電極複合体およびこれを用いたアルカリ形燃料電池を提供することにある。
本発明は、アニオン伝導性固体高分子電解質膜と、その一方の面に積層されるアノード触媒層を含むアノード極と、他方の面に積層されるカソード触媒層を含むカソード極と、アノード極内に配置される吸水性材料を含有する吸水部とを含む膜電極複合体を提供する。該吸水部は、アノード極におけるアニオン伝導性固体高分子電解質膜側の面とこれに対向する面とが、少なくとも一部においてアノード極を介して連通するように設けられる。
アノード極は、アノード触媒層におけるアニオン伝導性固体高分子電解質膜とは反対側の表面に積層されるアノードガス拡散層を含むことができる。
吸水部は、アノード触媒層内に配置されることが好ましい。また、アノード極がアノードガス拡散層を備える場合においては、吸水部は、アノードガス拡散層に接するようにアノード触媒層内に配置されることが好ましい。
吸水部は、その少なくとも一部がアニオン伝導性固体高分子電解質膜に接していることが好ましい。
吸水部は、アノード極の一側面からこれに対向する側面へ向けて延びる1または2以上の長尺状の第1吸水部を含むことが好ましく、当該1または2以上の第1吸水部と交差するように配置される1または2以上の長尺状の第2吸水部をさらに含むことがより好ましい。
また本発明は、上記膜電極複合体を備えるアルカリ形燃料電池を提供する。本発明のアルカリ形燃料電池は、還元剤をアノード極に供給するための、アノード極側に配置される還元剤流路と、酸化剤をカソード極に供給するための、カソード極側に配置される酸化剤流路とをさらに備えることが好ましい。
本発明によれば、フラッディング現象を効果的に抑制することができるとともに、電解質膜を適度な湿潤状態に維持することができ、もって、高い出力電圧と良好な出力安定性とを発揮できるアルカリ形燃料電池用の膜電極複合体およびアルカリ形燃料電池を提供することができる。
本発明に係る膜電極複合体の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る膜電極複合体の他の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る膜電極複合体の他の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る膜電極複合体の他の一例を示す図であって、アノード触媒層をアノードガス拡散層側からみたときの概略上面図である。 図4に示されるV−V線における概略断面図である。 図4に示されるVI−VI線における概略断面図である。 本発明に係る膜電極複合体の他の一例を示す図であって、アノード触媒層をアノードガス拡散層側からみたときの概略上面図である。 図7に示されるVIII−VIII線における概略断面図である。 図7に示されるIX−IX線における概略断面図である。 本発明に係る膜電極複合体の他の一例を示す図であって、アノード触媒層をアノードガス拡散層側からみたときの概略上面図である。 図10に示されるXI−XI線における概略断面図である。 図10に示されるXII−XII線における概略断面図である。 図10に示されるXIII−XIII線における概略断面図である。 本発明に係る膜電極複合体の他の一例を示す図であって、アノード触媒層をアノードガス拡散層側からみたときの概略上面図である。
以下、本発明の膜電極複合体およびアルカリ形燃料電池を実施の形態を示して詳細に説明する。
<膜電極複合体>
本発明の膜電極複合体は、アニオン伝導性固体高分子電解質膜と、その一方の面に積層されるアノード触媒層を含むアノード極と、他方の面に積層されるカソード触媒層を含むカソード極とを含み、アノード極内に配置される吸水性材料からなる吸水部をさらに有することを特徴とする。アノード極内に、当該極で発生した水を吸収する吸水部を設けることにより、電解質膜とアノード極との間およびアノード極外側に吸水部を設置する場合と比較して、より速やかに水の吸収を行なうことができるので、フラッディングの抑制効果をより高めることができる。また、アノード極外側に吸水部を設置する場合と比較して、アニオン伝導性固体高分子電解質膜への水の供給が良好となるため、電解質膜を常に湿潤状態に保って飽和に含水させておくことができる。これにより、電解質膜のイオン伝導度の低下を起こすことなく、発電反応を効率良く連続的に行なうことができ、高い出力電圧と良好な出力安定性を得ることが可能となる。
また、吸水部を設けることにより、電解質膜の乾燥を防止するために従来行なわれていた還元剤(燃料)の加湿を不要とすることができるため、加湿器を省略することができ、燃料電池システムの簡略化および小型化を図ることができる。
さらに、アルカリ形燃料電池においては、カソード極に酸化剤として空気を供給する場合、アノード極側からCO2ガスが発生するが、本発明の膜電極複合体を用いることにより、アノード極内における水膜の形成が抑制されるため、CO2ガスを外部に排出する十分な経路(アノード極内の細孔)を確保することができる。
吸水部は、少なくとも、アノード極の機能(アノード触媒層に還元剤(燃料)を供給することができるとともに、アニオン伝導性固体高分子電解質膜から電荷キャリア(OH-)を取得することができ、還元剤と電荷キャリア(OH-)との触媒反応を生じさせることができる機能)を消失させないようにアノード極内に配置され、好ましくは当該機能を大幅に低下させないように、より好ましくは当該機能が吸水部を設けない場合と比較しておよそ同程度に維持されるように配置される。したがって、吸水部は、アノード極におけるアニオン伝導性固体高分子電解質膜側の面とこれに対向する面(アノード極の外面)とが、少なくとも一部においてアノード極を介して連通するように設けられる。すなわち、吸水部は、アノード極の厚み方向に関して、アノード極を全面にわたって分断しないように構成され、配置される。また、アノード極は、アニオン伝導性固体高分子電解質膜との接触面を有して形成される。さらに具体的にいえば、「アノード極におけるアニオン伝導性固体高分子電解質膜側の面とこれに対向する面とが、少なくとも一部においてアノード極を介して連通するように吸水部が設けられる」とは、アニオン伝導性固体高分子電解質膜側の面のいずれかの領域と、アニオン伝導性固体高分子電解質膜側の面に対向する面のいずれかの領域とが、アノード極それ自身(吸水部ではない)によって連通している(つながっている)ことを意味する。
吸水部は、これによる吸水効果および電解質膜への水供給効果のアノード極面内における均一性を確保する観点から、アノード極内において、好ましくは均一に配置される。なお、ここでいう「均一」とは、吸水部が複数の領域からなる(複数の部材からなる)場合において、これらを一定間隔で配置する場合を含む。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る膜電極複合体を示す概略断面図である。図1に示される膜電極複合体100は、アニオン伝導性固体高分子電解質膜101;アニオン伝導性固体高分子電解質膜101の一方の表面に積層されるアノード触媒層104からなるアノード極102;アニオン伝導性固体高分子電解質膜101の他方の表面に積層されるカソード触媒層105からなるカソード極103;および、アノード極102(アノード触媒層104)内に配置される吸水部110を含む。アノード触媒層104は、アニオン伝導性固体高分子電解質膜101に接するように積層されている。
(1)吸水部
吸水部110は、アノード触媒層104で発生する水(また、たとえば加湿された還元剤(燃料)をアノード極102に供給する場合には、該還元剤中の水分も吸収し得る)を吸水して、水膜の形成を抑制するとともに、アニオン伝導性固体高分子電解質膜101に水分を供給する役割を果たす部材であり、吸水性材料を含有するか、または吸水性材料からなる。吸水性材料としては、吸水性高分子材料を好ましく用いることができ、具体的には、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、リン酸基およびエチレンオキサイド部位からなる群から選択される1種以上の親水性官能基または親水性部位を有する吸水性高分子を挙げることができる。中でも、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(PHEMA)および側鎖にヒドロキシル基、スルホン酸基またはカルボキシル基を有する高分子からなる群から選択される1種以上の吸水性高分子を用いることが好ましい。
本実施形態において吸水部110は、断面が長方形である長尺状(直方体形状)の吸水性材料成形体の複数を互いに略平行に一定間隔で配列してなる。各吸水性材料成形体は、アノード極102の一側面からこれに対向する側面へ向けて延びており、より具体的には、各吸水性材料成形体が延びる方向は、アノード極102表面と平行である。このように本実施形態では、吸水部110を、アノード極102内において均一に配置した吸水性材料成形体から構成しており、これにより吸水部110による吸水効果および電解質膜への水供給効果のアノード極面内における均一性を確保している。吸水部110を構成する吸水性材料成形体の厚みはアノード触媒層104の厚みより小さく、たとえば0.1μm〜0.5mm程度である。
吸水部110は、吸水性材料を含む塗工液をスクリーン印刷法等により塗布し乾燥することによって形成することもできるし、吸水性材料からなるフィルムや吸水性材料からなる織物または不織布を貼着することにより形成することもできる。
図1に示される本実施形態の膜電極複合体100が有する吸水部110は、種々の変形を施すことができる(後記する種々の変形は他の実施形態にも適用することができる)。たとえば、吸水部110を構成する吸水性材料成形体の数、外形形状およびその断面形状は適宜の数および形状とすることができ、また、複数の吸水性材料成形体を含む場合、それらは同一形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。また、複数の吸水性材料成形体を配列する代わりに、吸水性材料成形体として粒状もしくは顆粒状の吸水性材料を用い、これをアノード極102に分散させることも可能である。
アノード極102の厚み方向に対して垂直な方向における断面(アノード極102表面と平行な断面)において、吸水部110が占める面積の割合は、当該断面の面積の1〜50%であることが好ましく、10〜30%であることがより好ましい。吸水部110の占める面積が1%未満では、アノード極102で発生した水を十分に吸収することができず、フラッディング現象の抑制や電解質膜への水供給が不十分となる。また、吸水部110の占める面積が50%を超えると、アノード極102への還元剤(燃料)供給および当該極での触媒反応が不十分となり、出力特性が低下するおそれがある。
吸水部110を構成する吸水性材料成形体は、たとえば、アノード触媒層104と同じ厚みとし、吸水部110の少なくとも一部がアニオン伝導性固体高分子電解質膜101と接するように形成されてもよい。吸水部110の少なくとも一部がアニオン伝導性固体高分子電解質膜101と接していると、アニオン伝導性固体高分子電解質膜101への水の供給をより効率的に行なうことができる。また、長期間発電しない場合においても、電解質膜を湿潤状態に保つことができるため、燃料電池を長期間放置後に再運転を開始してから、安定した十分に高い出力電圧が得られるまでに要する時間を短くすることができる。以上の変形は後述する他の実施形態にも適用することができる。
(2)アニオン伝導性固体高分子電解質膜
アニオン伝導性固体高分子電解質膜101は、水酸化物OH-イオンを伝導でき、かつ、アノード極102とカソード極103との短絡防止のために電気的絶縁性を有するアニオン伝導性高分子電解質からなる限り特に制限されず、このようなものとしては、たとえば、パーフルオロスルホン酸系、パーフルオロカルボン酸系、スチレンビニルベンゼン系、第4級アンモニウム系の固体高分子電解質膜(アニオン交換膜)が挙げられる。また、ポリアクリル酸に濃厚水酸化カリウム溶液を含浸させた膜を用いることもできる。アニオン伝導性固体高分子電解質膜101は、アニオン伝導率が10-5S/cm以上であることが好ましく、パーフルオロスルホン酸系高分子電解質膜などのアニオン伝導率が10-3S/cm以上の電解質膜を用いることがより好ましい。
(3)アノード触媒層およびカソード触媒層
アノード触媒層104およびカソード触媒層105は、たとえば、触媒(それぞれアノード触媒、カソード触媒)と電解質(それぞれアノード電解質、カソード電解質)とを含有する多孔質層であることができる。これらの触媒層は、少なくともその一部がアニオン伝導性固体高分子電解質膜101の表面に接して積層される。アノード触媒は、アノード極102に供給されたH2等の還元剤(燃料)とOH-とから、水および電子を生成する触媒反応を生じさせる。アノード電解質は、生成したOH-を触媒反応サイトへ伝導する機能を有する。カソード触媒は、カソード極103に供給された酸化剤(空気等)および水と、アノード極102から伝達された電子から、OH-を生成する触媒反応を生じさせる。カソード電解質は、生成したOH-をアニオン伝導性固体高分子電解質膜101へ伝導する機能を有する。
アノード触媒およびカソード触媒としては、従来公知のものを使用することができ、たとえば、白金、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、銀、ルテニウム、イリジウム、モリブデン、マンガン、これらの金属化合物、およびこれらの金属の2種以上を含む合金からなる微粒子が挙げられる。合金は、白金、鉄、コバルト、ニッケルのうち少なくとも2種以上を含有する合金が好ましく、たとえば、白金−鉄合金、白金−コバルト合金、鉄−コバルト合金、コバルト−ニッケル合金、鉄−ニッケル合金等、鉄−コバルト−ニッケル合金が挙げられる。アノード触媒とカソード触媒とは同種であってもよいし、異種であってもよい。
アノード触媒およびカソード触媒は、担体、好ましくは導電性の担体に担持されたものを用いることが好ましい。導電性担体としては、たとえば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、黒鉛、活性炭等の導電性カーボン粒子が挙げられる。また、気相法炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤー等の炭素繊維を用いることもできる。
アノード電解質およびカソード電解質としては、アニオン伝導性固体高分子電解質膜を構成する電解質と同様のものを用いることができる。アノード触媒層およびカソード触媒層における触媒と電解質との含有比は、重量基準で、通常5/1〜1/4であり、好ましくは3/1〜1/3である。
アノード触媒層104およびカソード触媒層105の厚みは、アニオン伝導抵抗および電子伝導抵抗を小さくし、還元剤(H2ガス等)または酸化剤(空気等)の拡散抵抗を低減するために、それぞれ0.5mm程度以下とすることが好ましい。また、十分な触媒含有量、ひいては十分な出力電圧を確保する観点から、これら触媒層の厚みは0.1μm以上であることが好ましい。
(第2の実施形態)
図2は、本実施形態に係る膜電極複合体を示す概略断面図である。図2に示される膜電極複合体200は、アニオン伝導性固体高分子電解質膜101;アニオン伝導性固体高分子電解質膜101の一方の表面に積層されるアノード触媒層104およびその上に積層されるアノードガス拡散層106からなるアノード極102;アニオン伝導性固体高分子電解質膜101の他方の表面に積層されるカソード触媒層105およびその上に積層されるカソードガス拡散層107からなるカソード極103;ならびに、アノード極102内に配置される吸水部110を含む。すなわち、本実施形態は、アノード極102がアノードガス拡散層106を有しており、カソード極103がカソードガス拡散層107を有している点で上記第1の実施形態と相違しており、その他の点については同様である。
本実施形態において吸水部110は、断面が長方形である長尺状(直方体形状)の吸水性材料成形体の複数を互いに略平行に一定間隔で配列してなる。各吸水性材料成形体は、アノード極102の一側面からこれに対向する側面へ向けて延びており、より具体的には、各吸水性材料成形体が延びる方向は、アノード極102表面と平行である。上記第1の実施形態との相違点は、各吸水性材料成形体が、アノード極102内において、アノード触媒層104およびアノードガス拡散層106にまたがるように配置されている点である。吸水部110を構成する吸水性材料成形体の厚みはアノード触媒層104およびアノードガス拡散層106の合計厚みより小さく、たとえば0.1μm〜1.5mm程度である。
図2に示される本実施形態の膜電極複合体200が有する吸水部110は、アノード触媒層104とアノードガス拡散層106とが接触面を有することにより、アノード極102におけるアニオン伝導性固体高分子電解質膜101側の面とこれに対向する面とが、少なくとも一部においてアノード触媒層104およびアノードガス拡散層106を介して連通する限りにおいて、上記第1の実施形態で述べたもののほか、下記のような種々の変形を施すことができる。たとえば、吸水部110を構成する吸水性材料成形体をアノード触媒層104およびアノードガス拡散層106にまたがるように配置する代わりに、アノード触媒層104内にのみ、あるいはアノードガス拡散層106内にのみ配置することもできる。ただし、アノード触媒層104で発生した水を速やかに吸収できるとともに、アニオン伝導性固体高分子電解質膜101への水の供給効率により優れることから、吸水性材料成形体は、アノード触媒層104およびアノードガス拡散層106にまたがるように、または、アノード触媒層104内にのみ配置することが好ましい。吸水性材料成形体をアノード触媒層104内にのみ配置する構成において、図3に示される膜電極複合体300のような、吸水性材料成形体がアノードガス拡散層106に接する(すなわち、吸水性材料成形体のアノードガス拡散層106側の面がアノード触媒層104のアノードガス拡散層106側の面の一部を形成する)構成は、膜電極複合体の作製プロセスの簡略化を図ることができる点においてとりわけ有利である。
吸水部110は、その少なくとも一部がアニオン伝導性固体高分子電解質膜101と接していてもよく、この場合、アニオン伝導性固体高分子電解質膜101への水の供給をより効率的に行なうことができる。
アノードガス拡散層106およびカソードガス拡散層107はそれぞれ、アノード極102、カソード極103に供給される還元剤(H2ガス等)または酸化剤(空気等)を面内において拡散させる機能を有するとともに、アノード触媒層104、カソード触媒層105と電子の授受を行なう機能を有する層であり、触媒層側の面からこれに対向する面に至る連通孔を有する多孔質層であることができる。より具体的には、たとえば、カーボンペーパー;カーボンクロス;カーボン粒子を含有するエポキシ樹脂膜;金属または合金の発泡体、焼結体または繊維不織布などであることができる。アノードガス拡散層106およびカソードガス拡散層107の厚みはそれぞれ、アノードガス拡散層106、カソードガス拡散層107の厚み方向に対して垂直な方向(面内方向)への還元剤または酸化剤の拡散抵抗を低減させるために、10μm以上であることが好ましく、アノードガス拡散層106、カソードガス拡散層107の厚み方向への拡散抵抗を低減させるために、1mm以下であることが好ましい。アノードガス拡散層106およびカソードガス拡散層107の厚みは、より好ましくは100〜500μmである。
アノードガス拡散層106およびカソードガス拡散層107の空隙率はそれぞれ、還元剤または酸化剤の拡散抵抗を低減させるために、30%以上であることが好ましく、電気抵抗を低減させるために、95%以下であることが好ましい。アノードガス拡散層106およびカソードガス拡散層107の空隙率は、より好ましくは50〜85%である。
(第3の実施形態)
図4〜6は、本実施形態に係る膜電極複合体を示す概略図であり、図4はそのアノード触媒層をアノードガス拡散層側からみたときの概略上面図、図5は図4に示されるV−V線における概略断面図、図6は図4に示されるVI−VI線における概略断面図である。図4〜6に示される膜電極複合体400は、アニオン伝導性固体高分子電解質膜101;アニオン伝導性固体高分子電解質膜101の一方の表面に積層されるアノード触媒層104およびその上に積層されるアノードガス拡散層106からなるアノード極102;アニオン伝導性固体高分子電解質膜101の他方の表面に積層されるカソード触媒層105およびその上に積層されるカソードガス拡散層107からなるカソード極103;ならびに、アノード極102内(より具体的には、アノード触媒層104内)に配置される、第1吸水部110aおよび第2吸水部110bからなる格子状の吸水部110を含む。すなわち、本実施形態は、吸水部110が格子状である点を特徴としており、その他の点については上記第2の実施形態とおよそ同様である。
本実施形態の吸水部110は、断面が長方形である長尺状(直方体形状)の吸水性材料成形体(第1吸水性材料成形体)の複数を互いに略平行に一定間隔で配列してなる第1吸水部110aと、同じく断面が長方形である長尺状(直方体形状)の吸水性材料成形体(第2吸水性材料成形体)の複数を互いに略平行に一定間隔で、かつ、第1吸水性材料成形体と交差するように(図4では直交するように)配置してなる第2吸水部110bとからなる。このように、吸水部110を格子状に形成することにより、吸水部110による吸水効果および電解質膜への水供給効果の面内における均一性をより向上させることができ、局所的なフラッディング現象の発生および電解質膜の局所的な乾燥をより効果的に低減させることができる。
上記第1および第2の実施形態と同様、アノード極102の厚み方向に対して垂直な方向における断面(アノード極102表面と平行な断面)において、吸水部110が占める面積の割合は、当該断面の面積の1〜50%であることが好ましく、10〜30%であることがより好ましい。
吸水部110は、図5に示されるように、アノード触媒層104内にのみ配置してもよいし、アノード触媒層104およびアノードガス拡散層106にまたがるように配置してもよいし、アノードガス拡散層106内にのみ配置してもよいが、アノード触媒層104で発生した水を速やかに吸収できるとともに、アニオン伝導性固体高分子電解質膜101への水の供給効率により優れることから、吸水部110(第1吸水部110aおよび/または第2吸水部110b)は、アノード触媒層104およびアノードガス拡散層106にまたがるように、または、アノード触媒層104内にのみ配置することが好ましい。
第1吸水部110aと第2吸水部110bとの配置関係は特に制限されず、たとえば、図5に示されるように、第1吸水部110aまたは第2吸水部110bの一方が他方を貫くように配置されてよいし、図7〜9に示される膜電極複合体500のように、第1吸水部110aまたは第2吸水部110bの一方が他方の上に積層されるように配置してもよい(特に図8参照)。また、第1吸水部110aと第2吸水部110bとを離間して配置することもできる。ただし、第1吸水部110aと第2吸水部110bとを接触させる構成は、アノード極102における面内での水分量が均一化されやすくなり、これにより、吸水部110による吸水効果および電解質膜への水供給効果の面内における均一性をさらに向上できる点でより有利である。第1吸水部110aと第2吸水部110bとの交差角度は、図示されるように好ましくは直角または略直角であるが、これに限定されるものではない。
第1吸水部110aおよび/または第2吸水部110bは、図10〜13に示される膜電極複合体600のように、その少なくとも一部がアニオン伝導性固体高分子電解質膜101と接していてもよく、この場合、アニオン伝導性固体高分子電解質膜101への水の供給をより効率的に行なうことができる。
以上説明したような格子状の吸水部を有する構成は、これによる吸水効果および電解質膜への水供給効果のアノード極面内における均一性をより向上させることができる点においてとりわけ有利である。
(第4の実施形態)
図14は、本実施形態に係る膜電極複合体を示す概略図であり、そのアノード触媒層をアノードガス拡散層側からみたときの概略上面図である。図14に示される膜電極複合体700は、格子状の吸水部の代わりに、同心円状の吸水部110を用いたこと以外は、上記第3の実施形態と同様である(可能な変形についても上記第1〜第3の実施形態について述べたものと同様である)。このように、吸水部110を同心円状に形成することによっても、吸水部110による吸水効果および電解質膜への水供給効果のアノード極面内における均一性をより向上させることができ、局所的なフラッディング現象の発生および電解質膜の局所的な乾燥をより効果的に低減させることができる。このような効果を確実に付与するために、同心円状の吸水部110は、図14に示されるように、アノード極(アノード触媒層)全面にわたって形成されることが好ましい。
また、吸水部110は、格子状、同心円状に限定されるものではなく、らせん形状や放射状(たとえば、アノード極中心近傍から端面に向かって放射状に延びる複数の長尺状吸水性材料成形体から構成される)であってもよい。
<アルカリ形燃料電池>
本発明のアルカリ形燃料電池は、発電主要部として上記本発明の膜電極複合体を備えるものである。本発明のアルカリ形燃料電池は、フラッディング現象を効果的に抑制することができるとともに、電解質膜を適度な湿潤状態に維持することができるため、高い出力電圧および良好な出力安定性を示す。
本発明のアルカリ形燃料電池は、通常、膜電極複合体のアノード極上に配置される、還元剤(燃料)をアノード極に供給するためのアノード極セパレータおよびカソード極上に配置される、酸化剤をカソード極に供給するためのカソード極セパレータと備える。アノード極セパレータおよびカソード極セパレータはそれぞれ、膜電極複合体側の面に還元剤または酸化剤を流通させるための溝からなる流路(それぞれ還元剤流路、酸化剤流路)を備えるものであることができる。当該流路は、1または2以上の溝から構成することができ、その形状は特に制限されず、ライン状、サーペンタイン状等であることができる。還元剤を収容するタンクと還元剤流路とを接続することにより、還元剤を還元剤流路に流通させて、アノード極に還元剤を供給することができる。同様に、酸化剤を収容するタンクと酸化剤流路とを接続することにより、酸化剤を酸化剤流路に流通させて、カソード極に酸化剤を供給することができる。
アノード極セパレータおよびカソード極セパレータの材質は特に制限されず、たとえば、カーボン材料、導電性高分子、各種金属、ステンレスに代表される合金などの導電性材料のほか、各種プラスチック材料などの非導電性材料が挙げられる。なかでも、アノード極セパレータおよびカソード極セパレータに集電機能を付与できることから、導電性材料を用いることが好ましい。非導電性材料を用いる場合には、アノード極およびカソード極に別途、触媒層やガス拡散層上に積層される上記導電性材料からなる集電体(集電層)が設けられる。あるいは、アノード極セパレータおよびカソード極セパレータを導電性材料から構成し、それらの外側または膜電極複合体と各セパレータとの間に集電体を別途設けてもよい。アノード極セパレータとカソード極セパレータ(またはアノード集電体とカソード集電体)とを電気的に接続することにより、アノード極とカソード極との電気的接続を行なうことができる。
還元剤(燃料)としては、たとえば、H2ガス、炭化水素ガス、アンモニアガスなどを用いることができる。なかでも、H2ガスを用いることが好ましい。また、酸化剤としては、たとえば、O2ガスや、空気等のO2を含むガスなどを用いることができる。なかでも、空気が好ましく用いられる。空気は二酸化炭素を含むが、本発明のアルカリ形燃料電池によれば、アノード極内における水膜の形成が効果的に抑制されるため、アノード触媒層で発生したCO2ガスを外部に良好に排出することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
以下の手順で、図3に示される構造の膜電極複合体を備えるアルカリ形燃料電池を作製した。
(1)膜電極複合体の作製
芳香族ポリエーテルスルホン酸と芳香族ポリチオエーテルスルホン酸との共重合体をクロロメチル化した後、アミノ化することにより、触媒層用のアニオン伝導性固体高分子電解質を得た。これをテトラヒドロフランに添加することにより、5重量%アニオン伝導性固体高分子電解質溶液を得た。
Pt担持量が50重量%のPt/Cである触媒担持カーボン粒子(田中貴金属社製「TEC10E50E」)と、上記で得られた電解質溶液とが、重量比で2/0.2となるように混合し、さらにイオン交換水およびエタノールを添加することにより、アノード触媒層用の触媒ペーストを調製した。
同様に、Pt担持量が50重量%のPt/Cである触媒担持カーボン粒子(田中貴金属社製「TEC10E50E」)と、上記で得られた電解質溶液とが、重量比で2/0.2となるように混合し、さらにイオン交換水およびエタノールを添加することにより、カソード触媒層用の触媒ペーストを調製した。
また、顆粒状のポリアクリル酸からなる吸水性高分子材料(日本触媒製、商品名「アクアリックCA」を、粉砕機を用いて粉末状にした後、この粉末状吸水性高分子材料とイオン交換水とエタノールとを混合することにより、吸水性高分子材料含有ペーストを調製した。
次に、縦50mm×横50mmのサイズに切り出したフッ素樹脂系高分子電解質(旭化成社製、商品名「アシプレックス」)をアニオン伝導性固体高分子電解質膜(アニオン交換膜)として用い、その一方の面の中心部に、上記アノード触媒層用の触媒ペーストを用いて、次の手順で厚み約50μmのアノード触媒層を形成した。まず、縦23mm×横23mmのウィンドウ(印刷面)を有するスクリーン印刷版を用いて、上記アノード触媒層用の触媒ペーストを塗布し、室温にて乾燥させることにより、電解質膜の中心部に縦23mm×横23mm、厚み約25μmの第1層を形成した。次に、縦23mm×横3mmのウィンドウが1mmピッチで6本形成されたスクリーン印刷版を用いて、上記アノード触媒層用の触媒ペーストを上記第1層上に塗布し、室温にて乾燥させることにより、第1層上に6つの触媒層が1mmピッチで配列された厚み約25μmの第2層を形成した。第2層は、第1層と第2層の端面が一致するように形成した。得られた第1層および第2層からなるアノード触媒層は、その表面に、一端面から対向する端面まで縦方向に延びる5本のライン状の溝(幅1mm、深さ約25μm)が3mmのピッチで互いに平行に形成されたものである。なお、厚みが約50μmである領域におけるアノード触媒層の触媒量は、0.5mg/cm2である。
また、アニオン伝導性固体高分子電解質膜の他方の面の中心部であって、アノード触媒層と重なる位置に、上記カソード触媒層用の触媒ペーストを、触媒量が0.5mg/cm2となるように、縦23mm×横23mmのウィンドウを有するスクリーン印刷版を用いて塗布し、室温にて乾燥させることにより、厚み約50μmのカソード触媒層を形成した。
次に、アノード触媒層面に、上記の吸水性高分子材料含有ペーストを、縦23mm×横1mmのウィンドウが3mmピッチで5本形成されたスクリーン印刷版を用い塗布して、アノード触媒層が有するライン状の溝に吸水性高分子材料含有ペーストを充填した。その後、室温にて乾燥させることにより、厚み約25μmの吸水部を形成した。このようにして得られたアニオン伝導性固体高分子電解質膜の一方の面に吸水部を有するアノード触媒層が形成され、他方の面にカソード触媒層が形成された積層体をCCM(Catalyst Coated Membrane)という。
アノードガス拡散層およびカソードガス拡散層として、縦23mm×横23mmのサイズに切り出した、厚さ190μmであるカーボンペーパー(東レ社製、商品名「TGP−H−060」)を2枚用意し、これらのカーボンペーパーと上記CCMとを、積層順序が、カーボンペーパー/アノード触媒層/アニオン伝導性固体高分子電解質膜/カソード触媒層/カーボンペーパーとなるように重ね合わせた後、130℃、10kN、2分間の条件でホットプレスを行なうことにより、各部材を接合、一体化し、膜電極複合体を得た。
(2)アルカリ形燃料電池の作製
上記膜電極複合体を、市販の燃料電池セル(エレクトロケム社製)を分解して取り出した部品と組み合わせて燃料電池を作製した。具体的には、まず、アノード極側集電体(エンドプレート)/カーボン製アノード極セパレータ(ガスフロープレート)/ポリテトラフルオロエチレン製ガスケット/膜電極複合体/ポリテトラフルオロエチレン製ガスケット/カーボン製カソード極セパレータ(ガスフロープレート)/カソード極側集電体(エンドプレート)の順に積層した。なお、両ガスケットの中心部には貫通孔が形成されているため、得られた積層体において、各極セパレータと膜電極複合体とは接触している。最後に、M3のボルトおよびナットを用いて5N・mで締め付けることによって、アルカリ形燃料電池を得た。
<実施例2>
縦3mm×横3mmのウィンドウ(印刷面)が1mmピッチで縦6個×横6個配列されたスクリーン印刷版を用いてアノード触媒層の第2層を形成し、得られた第2層の格子状の溝に吸水性高分子材料含有ペーストを充填し、その後、室温にて乾燥させることにより、厚み約25μmの格子状の吸水部を形成したこと以外は、実施例1と同様にして膜電極複合体を作製し、これを用いて実施例1と同様にしてアルカリ形燃料電池を作製した。得られた膜電極複合体は、図7〜9と類似の構成を有する。本実施例において吸水部は、縦方向長さ23mm、幅1mm、厚み約25μmのライン状の吸水性材料成形体を3mmピッチで5本、縦方向に平行に配列してなる第1吸水部と、横方向長さ23mm、幅1mm、厚み約25μmのライン状の吸水性材料成形体を3mmピッチで5本、横方向に平行に配列してなる第2吸水部とからなる格子状の吸水部である(第1吸水部と第2吸水部との交差角度は90度)。
<実施例3>
アノード触媒層を形成する際、第1層を形成しなかったこと以外は、実施例2と同様にして膜電極複合体を作製し、これを用いて実施例1と同様にしてアルカリ形燃料電池を作製した。得られた膜電極複合体は、図10〜12と同様の構成を有する。すなわち、本実施例において吸水部は、実施例2と同じ構造の吸水部であるが、第1層を有しないため、該吸水部は、アニオン伝導性固体高分子電解質膜に接している。
<比較例1>
縦23mm×横23mmのウィンドウを有するスクリーン印刷版を用いて吸水性高分子材料含有ペーストを塗布することにより、第1層のみからなるアノード触媒層を形成し、吸水部を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にして膜電極複合体を作製し、実施例1と同様にしてアルカリ形燃料電池を作製した。
(アルカリ形燃料電池の発電特性の評価)
アルカリ形燃料電池を50℃に保持した状態で、アノード極セパレータが有する還元剤流路から95%RH(相対湿度)のH2ガス、カソード極セパレータが有する酸化剤流路から95%RH(相対湿度)の空気を供給することにより発電を行ない、上記実施例および比較例で得られたアルカリ形燃料電池の電流−電圧特性(表1ではその一部として出力電圧0.2Vでの電流密度を示している)およびインピーダンス測定によるセル抵抗(電流密度50mA/cm2でのセル抵抗)を評価した。また、発電時においてアノード極から排出される排ガス中のCO2ガス量の変化を、ガスクロマトグラフィを用いて分析した。
さらに、H2ガスおよび空気の相対湿度を50%RHに変更したこと以外は上記と同様にして、出力電圧0.2Vでの電流密度、セル抵抗および排ガス中のCO2ガス量の変化を評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2012074205
表1に示されるように、実施例1〜3の燃料電池では、フラッディング現象が生じやすい相対湿度95%RHの条件下において、高電流領域においても電圧降下は観測されなかった。一方、比較例1の燃料電池では、高電流領域においてフラッディングによる電圧降下が観測され、0.2Vでの電流密度が低下した。また、実施例1〜3の燃料電池では、電流増加とともにCO2ガス量が増加したが、比較例1の燃料電池では、高電流領域において徐々にCO2ガス量が減少した。電流増加とともにCO2ガス量が増加することは、アノード極内における水膜の形成が効果的に抑制され、カソード極に供給された空気中のCO2ガスがアノード極側から良好に排出されており、CO2ガスの排出が阻害されて出力特性が低下するという不具合が生じていないことを示している。さらに、実施例1〜3の燃料電池では、セル抵抗が低く維持されている一方、比較例1の燃料電池は、高いセル抵抗を示した。セル抵抗の上昇は、フラッディングによりCO2ガス排出が阻害された結果、炭酸イオンとして蓄積し、電解質膜のイオン伝導度が低下したためと考えられる。
一方、フラッディングが生じにくいが、電解質膜の乾燥が生じやすい相対湿度50%RHの条件下において実施例1〜3の燃料電池は、相対湿度95%RHの場合と比較して、電解質膜のイオン伝導度増加によるセル抵抗増加により0.2Vでの電流密度が若干低下したものの、フラッディングによる電圧低下は観測されず、また、比較例1の燃料電池と比較して、低いセル抵抗を維持した。比較例1の燃料電池は、セル抵抗が実施例1〜3の約2倍であり、電解質膜の乾燥が顕著であった。
以上のとおり、実施例1〜3の燃料電池は、吸水部による吸水効果および電解質膜への水供給効果に優れており、アノード極、カソード極に供給されるガスの相対湿度によらず、高い出力電圧と良好な出力安定性を示すことが確認された。
100,200,300,400,500,600,700 膜電極複合体、101 アニオン伝導性固体高分子電解質膜、102 アノード極、103 カソード極、104 アノード触媒層、105 カソード触媒層、106 アノードガス拡散層、107 カソードガス拡散層、110 吸水部、110a 第1吸水部、110b 第2吸水部。

Claims (9)

  1. アニオン伝導性固体高分子電解質膜と、
    前記アニオン伝導性固体高分子電解質膜の一方の面に積層されるアノード触媒層を含むアノード極と、
    前記アニオン伝導性固体高分子電解質膜の他方の面に積層されるカソード触媒層を含むカソード極と、
    前記アノード極における前記アニオン伝導性固体高分子電解質膜側の面とこれに対向する面とが、少なくとも一部において前記アノード極を介して連通するように、前記アノード極内に配置される、吸水性材料を含有する吸水部と、
    を含む膜電極複合体。
  2. 前記アノード極は、前記アノード触媒層における前記アニオン伝導性固体高分子電解質膜とは反対側の表面に積層されるアノードガス拡散層を含む請求項1に記載の膜電極複合体。
  3. 前記吸水部は、前記アノード触媒層内に配置される請求項1または2に記載の膜電極複合体。
  4. 前記吸水部は、前記アノードガス拡散層に接するように前記アノード触媒層内に配置される請求項2に記載の膜電極複合体。
  5. 前記吸水部は、その少なくとも一部が前記アニオン伝導性固体高分子電解質膜に接している請求項1〜4のいずれかに記載の膜電極複合体。
  6. 前記吸水部は、前記アノード極の一側面からこれに対向する側面へ向けて延びる1または2以上の長尺状の第1吸水部を含む請求項1〜5のいずれかに記載の膜電極複合体。
  7. 前記吸水部は、前記1または2以上の第1吸水部と交差するように配置される1または2以上の長尺状の第2吸水部をさらに含む請求項6に記載の膜電極複合体。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の膜電極複合体を備えるアルカリ形燃料電池。
  9. 還元剤を前記アノード極に供給するための、前記アノード極側に配置される還元剤流路と、酸化剤を前記カソード極に供給するための、前記カソード極側に配置される酸化剤流路とをさらに備える、請求項8に記載のアルカリ形燃料電池。
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JP2020098781A (ja) * 2018-12-17 2020-06-25 日本碍子株式会社 固体アルカリ形燃料電池システム及び固体アルカリ形燃料電池の運転方法
CN114982024A (zh) * 2020-01-31 2022-08-30 奥迪股份公司 燃料电池及燃料电池系统

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