JP2006243107A - 静電潜像現像用トナー - Google Patents

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亮 久米
Takakuni Endo
貴訓 遠藤
Masanori Kondo
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Takashi Imanaga
孝 今永
Kazuyoshi Hagiwara
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Abstract

【課題】
安定した帯電性を有し、かつ、良好な定着性を有しながら、保存性(耐ブロッキング性)にも優れた重合トナーを提供すること。
【解決手段】
少なくとも内層コア部と外層シェル部の2層からなる複層構造結着樹脂中に着色剤および正電荷制御剤を分散させた静電潜像現像用トナー粒子であって、
(1)該外層シェル部樹脂の溶解パラメータSP値(SPs)が9.2〜9.5、該内層コア部樹脂の溶解パラメータSP値(SPc)が9.15以下であり、かつ、該外層シェル部および内層コア部の樹脂のガラス転移点(Tg)がいずれも130℃以下であること、
(2)正電荷制御剤が、4級アンモニウム塩含有官能基を有するスチレンーアクリル樹脂であること、
を特徴とする静電潜像現像用トナー。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法等によって形成される静電潜像を現像するためのトナーの改良に関する。
従来より、電子写真装置や静電記録装置等の画像形成装置において形成される静電潜像は、先ず、トナーにより現像され、次いで、形成されたトナー像は、必要に応じて紙等の転写材上に転写された後、過熱、加圧、溶剤蒸気など種々の方式により定着される。当該装置に用いるトナーは、従来、着色剤などを含有する樹脂を溶融し、粉砕し、分級する工程からなる粉砕法で得られるトナーが主流であった。
粉砕法においては、溶融混合(混練)のために、着色剤、帯電制御剤、オフセット防止剤等の固体微粒子を熱可塑性樹脂中に均一に分散することが困難であり、これら固体微粒子の分散状態によっては、かぶりの増大や画像濃度の低下の原因になる。粉砕法におけるこれら固体微粒子の不均一分散は、トナーの流動性、摩擦帯電性等に大きく影響し、トナーの現像性、耐久性能などの特性を左右する。したがって、粉砕法では、これら固体微粒子を均一分散するのに充分な注意を払わなければならない。
近年、これら粉砕法における問題点を克服するために、懸濁重合によるトナーの製造方法が提案されている。この懸濁重合法においては、重合性単量体、着色剤、帯電制御剤、オフセット防止剤、重合開始剤等を均一に溶解または分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水または水を主体とする水系分散媒体中に投入し、高剪断力を有する混合装置を用いて分散し、該単量体組成物を微小な液滴として造粒した後、重合してトナー粒子(即ち、重合トナー)を形成している。
懸濁重合法では、着色剤、帯電制御剤、オフセット防止剤等を、低粘度の液体状である単量体中に添加し、分散するため、溶融樹脂中に分散する粉砕法に比べて、充分な分散性が確保される。また、懸濁重合法では、一般に所望の粒子径のトナー粒子を収率90%以上で得ることができるので、粉砕法に比べて経済的にも有利である。このように懸濁重合法採用することにより、上記粉砕法の問題点を解決することができ、重合体粒子の極めてシャープな粒径分布と良好な電気的特性に基づき、解像度、かぶり等の画質特性に優れたトナーを経済的に製造することが可能となった。
最近、トナーが使用される電子写真方式の複写機、プリンター等において消費電力の低減化が図られている。電子写真方式の工程の中でも、特にエネルギーを消費する工程は、感光体から紙などの転写材上にトナーを転写した後、定着する際のいわゆる定着工程である。一般に、定着のために150℃以上の熱ロールが使用され、そのエネルギー源として電力が使用される。この熱ロール温度を下げることが、省エネルギーの観点より求められている。そのためには、トナーの定着温度を下げることが必要である。
トナーの設計において、複写機等よりの要求に応えるには、トナーのガラス転移温度を低下させればよいが、ガラス転移温度を低下させると、トナーの保存中、あるいはトナーボックス中でブロッキングを起こして、凝集体となり、いわゆる保存性の悪いトナーとなってしまう。
また、電子写真方式によるカラートナーの場合、近年、各種会議でのプレゼンテーション用OHPシート等にカラー画像を使用する場合が多くなり、カラートナーに対して、OHP透過性に優れていることが要求されるようになっている。OHP透過性を満足するには、OHPシート上で、均一にトナーが溶融していることが必須の条件であり、そのためには、トナーの定着温度付近での溶融粘度を従来のものに比べて低く設定することが必要である。トナーの溶融粘度を低くする手法としては、従来のトナー用結着樹脂に比べて、分子量を低くしたり、ガラス転移温度を下げる等の手法があるが、いずれの手法を採る場合でも、ブロッキングを起こし易く、保存性の悪いトナーとなってしまう。このように、トナーの定着温度の低下やOHP透過性を向上させる手法とトナーの保存性とは、逆相関関係にあるが、これを解決する手法として、従来より、トナー粒子をガラス転移温度の高いポリマーで被覆し保存性を解決するいわゆるカプセル型トナーが提案されている。
従来、カプセル型トナーの製造法として、例えば、ジェットミル装置を用い、核体粒子の表面に、着色剤または磁性粒子または導電剤と結着樹脂とからなる被覆層を形成する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、この方法は、核体粒子のガラス転移温度が低い場合、核体粒子自体が凝集を起こすため、適用できない。
また、有機溶媒中に、カプセル化用重合体、帯電制御剤及び離型剤を溶解させた溶液中に、懸濁重合により調製した架橋トナー粒子を添加した後、貧溶媒を添加して、架橋トナー粒子の表面に、帯電制御剤と離型剤を含むカプセル化用重合体の被覆を形成する電子写真用トナーの製造方法が提案されている(特許文献2参照)。しかし、この製造方法では、貧溶媒の滴下によりカプセル化用重合体の溶解度を減少させて、架橋トナー粒子の表面に析出させているため、真球粒子を得ることが困難である。この方法では、架橋トナー粒子の表面に形成されるカプセル壁は、厚さが一様でなく、しかも比較的厚いものとなる。その結果、現像性及び定着性の改善効果が充分ではない。
さらに、重合によって形成された核体粒子を1〜40重量%のラテックス水溶液中に混合分散し、次いで、水溶性無機塩を加え、核体粒子表面に乳化重合により得られた微小粒子による被覆層を形成する静電荷像現像用トナーの製造方法が提案されている(特許文献3参照)。しかし、この方法では、微小粒子上に残存する界面活性剤や無機塩の影響により、トナーの帯電特性の環境依存性が大きく、特に高温高湿の条件下で帯電が低下するという欠点があった。
また、ビニル系単量体と重合開始剤と着色剤とを含有する組成物を懸濁重合して芯粒子を得、この芯粒子の存在下に、芯粒子に含まれる樹脂と同等以上の親水性を有し、かつ、該樹脂のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する重合体を与えるビニル系単量体を重合して、殻を形成させるトナーの製造方法が開示されている(特許文献4参照)。この方法では、芯粒子に殻を形成するためのビニル系単量体を吸着させて成長させるので、芯粒子の内部にまで吸収された該ビニル系単量体が重合して、明確なコア・シェル構造を生じ難い場合が多い。したがって、この方法では、保存性が充分に改善されたトナーを得ることが難しい。また、この方法では、コア・シェル構造を明確にして保存性を改善するためには、殻の厚みを大きくしなければならなかった。
また、従来、一般的に用いられている静電潜像現像用トナー粒子は、結着剤中に、正電荷制御剤、着色剤、及び必要に応じて磁性粉体及びその他の添加剤を混合分散することによって製造されており、その際に使用される正電荷制御剤としては、アジン系のニグロシン、ニグロシン塩基類、ニグロシン誘導体;ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;ヘキサメチル−ヘキシルデシルアンモニウムクロライド、デシル・トリメチルアンモニウムクロライド等の有機4級アンモニウム塩;アルキルアミド等が一般的である。
しかしながら、これらの正電荷制御剤には以下のごとき欠点があるため、これらを混合して得られるトナー粒子にも改善を要するいくつかの問題点がある。
上記正電荷制御剤は、構造が複雑であると同時に製造工程が繁雑であるため、品質が一定でなく安定性及び信頼性に劣るという欠点を有し、トナーの製造工程管理、品質管理面で幾多の問題が生じている。また、例えば結着剤となる熱可塑性樹脂中に混合分散してトナー粒子を製造する際の溶融混練、粉砕工程で熱的、機械的影響を受けて分解、変質し、電荷制御性が低下し易いという欠点があり、このため得られたトナー粒子の製造ロット間又はロット内でのトナー特性に著しいバラツキが生じるという問題点がある。
また、上記正電荷制御剤は、結着剤である熱可塑性樹脂との相溶性が悪い。このため、得られるトナーは透明性に乏しく、カラーコピー化に対応させて任意に着色しようとした場合、鮮明な色調のカラーコピーが得られないという大きな問題がある。他、正電荷制御剤は結着剤中に着色剤同様粒子状の分散状態でしか存在しないため、トナー粒子製造の際の粉砕工程で、あるいは、トナー粒子表面に電荷を蓄積する際の複写機内での流動摩擦において、トナー粒子表面層に存在する電荷制御剤の分散粒子が離脱し、トナー粒子の帯電量に変化を生じさせたり、トナー粒子個々の帯電性にバラツキを生じさせる等の問題点がある。特にこの問題点は、複写回数の増大、すなわち流動摩擦の時間が長くなるにつれて増大するので、長期に亘って安定した帯電状態を維持することが困難であるという問題点を有している。かかる問題点を解決するため、上記正電荷制御剤に高級脂肪酸等を反応させることによって結着剤への相溶性を改良する方法が提案ないし実施されている(例えば特許文献5参照)が、未だ満足し得るものでなかった。
上記正電荷制御剤の相溶性を改良するための他の方法として、結着剤樹脂骨格中にアミノ基を有するビニル重合性モノマーを共重合により導入し、それ自体で正帯電性結着剤とする方法(例えば特許文献6参照)、または、ジアルキルアミノアクリルメタクルアミドの重合体を4級塩とした正電荷制御剤を用いる方法(例えば特許文献7参照)等が提案されている。
しかし、前者の特許文献6の方法は正帯電性官能基がアミノ基であるため、酸化による着色及び吸湿による帯電量の変化が生じるという欠点があり、着色するという欠点はカラートナー化した場合、鮮明な色調が得られないという問題点となり、帯電量の変化は、高品質、かつ均一なトナー画像が得られないという問題点となる他、トナー粒子にアミン臭が残留し、トナーの製造時及び使用時に不快臭を伴う問題点もある。
また、後者の特許文献7の方法は相溶性の改善が充分とはいい難く、結着剤を白濁させるので濁りのない鮮明な色調のカラートナーとなり難いという問題点があるとともに、トナー粒子の耐湿性、帯電安定性に劣るなどの問題点がある。
特開昭60−173552号公報 特開平2−259657号公報 特開昭57−45558号公報 特開昭61−118758号公報 米国特許第3893935号明細書 特開昭54−143647号公報 特開昭58−162959号公報
本発明は、上記従来技術の事情に鑑みてなされたもので、正電荷制御剤と結着剤樹脂との相溶性を高くして、安定した帯電性を有し、かつ、良好な定着性を有しながら、保存性(耐ブロッキング性)にも優れた重合トナーを提供することにある。
また、本発明の目的は、複写や印刷の高速化、フルカラー化、省エネルギー化に対応することができる重合トナーを提供することにあり、さらには、OHPシート上に印字し、定着した場合に、優れた透過性(OHP透過性)を示すトナー像を形成することができる重合トナーを提供することにある。
本発明者らが鋭意研究した結果、複層構造結着樹脂中に着色剤および正電荷制御剤を分散させた静電潜像現像用トナー粒子において、外層シェル部樹脂(Bs)の溶解パラメータSP値(SPs)を高い特定値の範囲、内層コア部樹脂(Bc)の溶解パラメータSP値(SPs)をそれより低い特定値以下とし、ガラス転移点(Tg)を特定値以下にして、かつ、正電荷制御剤として特定のカチオン性樹脂を使用することにより、上記目的を達成した重合トナーを提供することを知見した。
すなわち、本発明は、
1. 少なくとも内層コア部と外層シェル部の2層からなる複層構造結着樹脂中に着色剤および正電荷制御剤を分散させた静電潜像現像用トナー粒子であって、
(1)該外層シェル部樹脂の溶解パラメータSP値(SPs)が9.2〜9.5、該内層コア部樹脂の溶解パラメータSP値(SPc)が9.15以下であり、かつ、該外層シェル部および内層コア部の樹脂のガラス転移点(Tg)がいずれも130℃以下であること、
(2)正電荷制御剤が、4級アンモニウム塩含有官能基を有するスチレンーアクリル樹脂であること、
を特徴とする静電潜像現像用トナー;
2. 複層構造結着樹脂において、ブチルアクリレート、スチレンを主成分とする単量体混合物を懸濁重合させた内部コア部と、外層シェル部形成のための樹脂の単分散粒子の集合体である外部シェル部とからなる上記1に記載の静電潜像現像用トナー;
3. 内層コア部樹脂と外層シェル部樹脂との重量比が、80/20〜99/1であり、平均粒子径が3〜30μmである上記2に記載の静電潜像現像用トナー;
4. 内層コア部樹脂用単量体混合物が、ブチルアクリレート10〜50重量%、スチレン50〜90重量%よりなり、外層シェル部樹脂が、メチルメタクリレート80〜100重量%、スチレン0〜20重量%を主成分とする共重合体であり、かつ、複層構造結着樹脂全体における上記単量体の使用量が、ブチルアクリレート3〜45重量%、スチレン40〜92重量%、およびメチルメタクリレート5〜15重量%である、上記3に記載の静電潜像現像用トナー;
5. 正電荷制御剤が、複層構造結着樹脂に対し0.5〜10重量部含有されている上記1〜4のいずれかに記載の静電潜像現像用トナー;
6. 着色剤が、複層構造結着樹脂に対し1〜10重量部含有されている上記1〜5のいずれかに記載の静電潜像現像用トナー;
7. 外層シェル部形成のための樹脂の単分散粒子が、分散溶媒中でメディア式およびメディアレス式攪拌機を用いて得られる上記2に記載の静電潜像現像用トナー;
8. 外層シェル部形成のための樹脂の単分散粒子の分散液を、内層コア部の造粒時、重合時もしくは重合後に固液分離し、希塩酸で洗浄をした後に添加して得られる上記2〜7のいずれかに記載の静電潜像現像用トナー;
9. 外層シェル部形成のための樹脂の単分散粒子の分散液を、内部コア部の重合後に固液分離し、希塩酸で洗浄をした後に添加する場合であって、重合時の加熱温度を複層構造結着樹脂のガラス転移点より5〜20℃低くして得られる上記8に記載の静電潜像現像用トナー;
を提供する。
本発明の静電潜像現像用トナーは、上記のように構成することによってトナーボックス中でブロッキングを起こしにくく、いわゆる保存性の良いトナーで且つ、安定した帯電特性を有し、環境変化によっても帯電量の変化が小さく、優れた電子写真特性を有するものである。また、シェル部及び/又はコア部への正電荷制御剤用アクリル樹脂との混合においても無色ないし淡色透明状態の相溶性が得られ、カラートナー化した場合には鮮明な色調の着色トナーが得られるなど極めて優れた効果を有するものである。
本発明の静電潜像現像用トナー粒子は、少なくとも内層コア部と外層シェル部の2層からなる複層構造結着樹脂中に着色剤および正電荷制御剤を分散させた静電潜像現像用トナー粒子である。
該外層シェル部および内層コア部の樹脂のガラス転移点(Tgs、Tgc)が、いずれも130℃以下であることを要し、好ましくは100℃以下である。Tgが該温度よりも低ければ、トナー粒子の定着性が低下することによる高温及び低温におけるオフセットは生じない。
なお本発明におけるガラス転移点Tgとは、L.E.ニールセン著、小野木宣治訳「高分子の力学的性質」第11〜35項に記載されている方法に従って計算により求められたものである。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・・・・Wn/Tgn
ここでTg1、Tg2、・・・及びTgnは成分1、成分2・・・・・・および成分nそれぞれ単独重合体のガラス転移点であり、絶対温度に換算し計算する。W1、W2・・・・・・及びWnはそれぞれの成分の重合分率である。
また、該外層シェル部樹脂の溶解パラメータSP値(SPs)が9.2〜9.5、該内層コア部樹脂の溶解パラメータSP値(SPc)が9.15以下であることを要する。
シェル部樹脂の溶解パラメータSP値(SPs)が該上限値よりも小さければ、本発明で使用する正電荷制御剤用樹脂との相溶性が高くなりすぎることによるトナー粒子の帯電量低下を防止し、高温多湿の条件下における極端な帯電量低下を防止できる。一方、溶解パラメータSP値(SPs)が下限値よりも大きければ、該正電荷制御剤用樹脂との相溶性が低下し、該正電荷制御剤用樹脂がトナー粒子の表面にブリードして、トナー粒子表面に該樹脂を主体とした小さな付着性突起物を発生することはない。この突起物は、トナーが画像形成装置において使用されるときに、現像ローラー表面に付着して印刷面にスジ(画像欠陥)などのトラブルを引き起こす。
また、正電荷制御剤用樹脂を多量に使用する場合に、シェル部樹脂のみでは正電荷制御剤用樹脂を収容しきれないとき、あるいは、コア部樹脂のみに正電荷制御剤用樹脂を存在させたいとき、コア部樹脂調製時に該樹脂を添加するが、これを有効な表面帯電量として寄与させるためにコア部樹脂の表面にブリードさせる必要があり、溶解パラメータSP値(SPc)は、9.15以下であることを要する。
なお本発明において、静電荷像用アクリル共重合体の溶解性パラメーター(溶解パラメータSP値)は「ポリマーハンドブック第2版(Polymer Handbook Second Edition)」[H.Burrell:(1975年)]のIV−337〜IV−359項に記載の方法に従って測定又は算出される値である。以下にその方法を概説する。
単独重合体の溶解パラメータSP値は、該重合体を形成している構成単位の分子引力定数Gに基づいて、下記の溶解パラメータSP値計算式による算出する。
SP=dΣG/M
ここで、dは単独重合体の密度(g/1)であり、ΣGは構成単位の分子中の分子引力定数の総和であり、Mは構成単位の分子量(g/mol)である。
本発明の複層構造結着樹脂は、少なくとも、その粒子の比較的多量の部分を占める内層コア部(Bc)と、該コア部より外側にありコア部よりも比較的小部分を占める外層シェル部(Bs)から構成されており、具体的には、内層コア部成分70〜99重量%、好ましくは80〜95重量%と外層シェル部成分1〜30重量%、好ましくは5〜20重量%である。また、必要に応じて、その間に一以上の中間樹脂層が存在してもよい。
複層構造結着樹脂の内層コア部(Bc)および外層シェル部(Bs)は、前記ガラス転移点(Tgs、Tgc)、溶解パラメータSP値(SPs、SPc)を充足する範囲で重合性単量体を選択し、(共)重合するものであってよいが、なかでも、内層コア部(Bc)を、スチレン及びブチルアクリレートを主成分とする共重合体とし、外層シェル部(Bs)をメチルメタアクリレート及び/又はスチレンを主成分とする(共)重合体を用いることが好ましい。
具体的には、内層コア部は、内層コア部樹脂用単量体混合物中の単量体比率を、ブチルアクリレート10〜50重量%、好ましくは15〜40重量%、スチレン50〜90重量%、好ましくは60〜85重量%で共重合し、また、外層シェル部は、外層シェル部樹脂用単量体混合物中の単量体比率が、メチルメタクリレート65〜100重量%、好ましくは80〜100重量%、スチレン0〜45重量%、好ましくは0〜20重量%であり、外層シェル部樹脂は乳化重合またはソープフリー重合により得られることが好ましい。そして、内層コア部および外層シェル部からなる複層構造結着樹脂全体における上記単量体の使用量は、ブチルアクリレート3〜45重量%、スチレン40〜92重量%、およびメチルメタクリレート5〜15重量%であることが好ましい。
ここで、内層コア部において、ブチルアクリレートの使用比率が10重量%以上であれば、紙への定着性に優れるので好ましく、一方、50重量%以下であればコールドオフセットを生じないので好ましい。
上記単量体比率等において、外層シェル部におけるメチルメタアクリレート及びスチレンの使用比率は特に重要であり、これをそれぞれ上記の範囲内とすることによって、正電荷制御剤樹脂との相溶性がよく、トナー粒子表面には前記したような付着性突起物は発生せず、帯電量の低下が抑えられ、また、適切なTgが得られるので保存性(耐ブロッキング性)にも優れた重合トナーが得られる。
外層シェル部樹脂は、上記単量体比率の範囲内であれば良く、乳化重合またはソープフリー重合により得られたものが好適である。このような外層シェル部樹脂としては、例えば、「MP2701」、「MP5501」(綜研化学(株)製)などの商品名で市販されているものを挙げることができる。
本発明に用いられる正電荷制御剤は、重量分子量(Mw)が1000〜180000の、4級アンモニウム塩含有官能基を有するアクリル樹脂であることを要する。4級アンモニウム塩含有官能基を有するアクリル樹脂としては、例えば、ビニル芳香族炭化水素単量体と(メタ)アクリレート単量体とメタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩との共重合体(共重合モル比=60:5:35〜77:20:3;N%=3〜35)が好ましい。
該正電荷制御剤用アクリル系樹脂は、重量平均分子量Mwは、1000〜180000、好ましくは10000〜100000、特に好ましくは20000〜80000のものである。Mwの値が1000未満であるとトナー粒子表面にブリードして前記付着性突起物を発生するので好ましくなく、また、180000を超えても、外層シェル部の樹脂との相溶性が低下し、同様に、前記付着性突起物を発生するなどの不都合が生じることがあるので好ましくない。
なお、本発明における正電荷制御剤用アクリル樹脂のMwは、GPC法により測定したポリスチレン換算の値をいう。
これらアクリル樹脂は、粉末及び液体である。粉末であれば、モノマーへの溶解性の点から粒子径は9メッシュパス以下が好ましい。
このような正電荷制御剤用アクリル系樹脂としては、例えば、「アクリルベースFCA−201−PS」、「No.271」(藤倉化成(株)製)などの商品名で市販されているものを挙げることができる。
本発明の正電荷制御剤用アクリル系樹脂は、複層構造結着樹脂に対し、0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部、さらに好ましくは1〜3重量部含有される(4級アンモニウム塩のN%として3〜35)。
本発明の正電荷制御剤用アクリル系樹脂は、内層コア部、外層シェル部のいずれの層に存在してもよい。トナー粒子表面に有効に荷電を分布させるために、外層シェル部中に存在させても、また、外層シェル部が薄い場合、多量に配合したい場合などには、内層コア部に含有させてもよい(SP値が低いため内層コアの外層側へブリードする)。
本発明で使用される着色剤としては、例えば、カーボンブラック、ニグロシンベース、アニリンブルー、カルコオイルブルー、クロムイエロー、ウルタラマリンブルー、アリエントオイルレッド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオクサレート等の染顔料類;コバルト、ニッケル、三二酸化鉄、四三酸化鉄、酸化鉄マンガン、酸化鉄亜鉛、酸化鉄ニッケル等の磁性粒子;などを挙げることができる。
染顔料類は、複層構造結着樹脂の重合性単量体100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部の割合で用いられる。磁性粒子は重合性単量体100重量部に対して、通常、1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部の割合で用いられる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、前記着色剤及び正電荷制御剤用アクリル系樹脂の存在下に、内層コア部形成のためのブチルアクリレート、スチレンを主成分として懸濁重合して得られる共重合樹脂の粒子表面に、外層シェル部形成のためのメチルメタクリレート、スチレンを主成分として乳化重合またはソープフリー重合により得られる(共)重合樹脂であってシェル用分散溶媒において単分散粒子である樹脂を吸着させて複層構造結着樹脂粒子を得ることにより製造される。
さらに必要に応じて、ワックスなどのオフセット防止剤等を添加し重合する。
本発明の内層コア部形成のためのコア用分散媒体は、水を主成分とする水系分散媒体であり、これに分散安定剤が含ませることが好ましい。
分散安定剤としては、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄等の金属水酸化物;ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を挙げることができる。
また、必要に応じて、分子量調整剤、架橋剤、離型剤等を添加することができる。
内層コア部の形成は、分散安定剤を含む水系分散媒体にコア部用単量体混合物、重合開始剤、及び着色剤等を添加して常法により懸濁重合によりなされる。この際の重合開始剤は、使用する単量体に可溶の油溶性ラジカル開始剤が好ましい。
そのような油溶性ラジカル開始剤としては、例えば、メチルエチルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、アセチルペルオキシド、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物類;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;などを挙げることができる。
これらの油溶性開始剤のうち、得られたトナー印字評価時の臭気が少ないこと、及び臭気などの揮散成分による環境破壊が少ないことから、半減期が10時間となる温度(10時間半減期)が60〜80℃、好ましくは65〜80℃でかつ、分子量が250以下の有機過酸化物、特に、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートが好ましい。油溶性重合開始剤の10時間半減期が60℃未満では重合温度が80℃以下になって、残存モノマー量が増える。10時間半減期が80℃を超えると、重合温度が100℃以上になって、重合容器を耐圧にする必要が生じる。
これらの油溶性の重合開始剤は、重合性単量体100重量部に対して通常、0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部の割合で用いられる。
本発明の外層シェル部形成のためのシェル用分散溶媒は、外層シェル部樹脂が溶解しなければ、特に制限はなく、具体的には蒸留水、脱イオン水、アルコール溶媒等があげられる。アルコール溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等があげられる。なお、分散溶媒に溶解しないとは、上記分散溶媒に樹脂を分散させた後、ろ過後蒸発(110℃、1時間)させた時に残分が無いことをいう。
シェル用分散溶媒に分散される外層シェル部樹脂の粒子径は、1μm以下であり、好ましくは0.05〜0.6μmである。外層シェル部樹脂の粒子径が1μm以下であれば該粒子の内層シェルへの吸着は速やかに行われ、一方、0.05μm以上であれば単分散粒子を容易に得ることができる。
外層シェル部形成は、内層コア部樹脂を含有する水性懸濁液に、シェル用分散溶媒と外層シェル部を形成する樹脂との混合物を攪拌機で攪拌して樹脂を単分散粒子とした分散液を添加して行う。外層シェル部を形成する樹脂の分散液は、造粒時に添加しても、重合時に添加してもよい。造粒時に添加とは、分散安定剤を含む水系分散媒体にコア部用単量体混合物、重合開始剤、及び着色剤等を添加して攪拌して得られる水性懸濁液に添加することであり、重合時に添加とは、上記水性懸濁液を加熱して懸濁重合反応を行う際に添加することである。
また、外層シェル部形成は、内層コア部を懸濁重合により形成した後、得られた懸濁液に、外層シェル部を形成する樹脂の分散液を添加して行うこともできる。具体的には、内部コア部を懸濁重合により形成して得られた懸濁液を固液分離し、希塩酸で洗浄した後に、外層シェル部を形成する樹脂の分散液を添加することにより、外層シェル部を形成することができる。この場合、内部コア部を形成するための重合温度は、複層構造結着樹脂のガラス転移点より5〜20℃低い温度であることが好ましい。重合温度が(ガラス転移点−5)℃以下であれば、複層構造結着樹脂同士の融着が生じないので、該樹脂の粒径は均一に保たれ、(ガラス転移点−20)℃以上であれば、外層シェル部の形成が十分になされる。
攪拌機としては、外層シェル部を形成する樹脂の単分散粒子径が上記範囲内となれば特に制限はないが、例えばボールミルなどのメディア式、高圧ホモナイザー、ホモミキサー、クリアミックスなどのメディアレス式を用いることができる。これらの攪拌機を用いれば、比較的容易に外層シェル部を形成する樹脂の単分散粒子を得ることができる。
以下に実施例、比較例、によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
実施例及び比較例における物性の測定方法は、以下のとおりである。
(1)トナー粒子表面の付着性突起物の観察
トナー粒子の表面観察は、X線マイクロアナライザー(topcon社製「ABT−60」)により行った。
(2)トナー粒子の粒径
トナー粒子の粒径は、コールターカウンター(コールター社製)により、測定した。このコールターカウンターによる測定条件は以下のとおりである。
a) アバーチャー径:100μm
b) 媒体 :イソトンII
c) 濃度 :15%
(3)トナー粒子の帯電量
帯電量を測定しようとするトナー又はトナー構成微粉体と、200〜300メッシュ間の粒径の不定形鉄粉(日本鉄粉社製「EFV200/300」;表面は未処理で自らの摩擦帯電性は実質上ない)の重量比5/95の混合物(現像剤)約10gをポリ瓶中に入れて振動させ混合した。重量目安0.07gを秤り取って測定装置(吸引式帯電量測定装置、トレック・ジャパン株式会社製)の金属製測定容器に移し、測定容器全体の重量を秤り、W1(g)とする。測定容器の上部を500メッシュ(磁性粒子の通過しない大きさに適宜変更可能)の導電性スクリーンで蓋をする。次に、導電性スクリーン上の吸引口から70mmHgで約20秒間吸引を行ない、トナーを吸引除去する。測定装置の本体パネルに表示された値をTとする。吸引後の測定容器全体の重量を秤り、W2(g)とする。このトナー粒子の帯電量(μC/g)は下式の如く計算される。
μC/g=T/(W2−W1
(4)H−H帯電量
H−H帯電量とは、30℃、80%RHの高温高湿条件下で1日放置後の上記帯電量である。
(5)かぶり画像
市販の正帯電トナー用複写機を用いて複写テストを行い、カブリの状態を目視により評価した。
(6)H−Hかぶり
市販の正帯電トナー用複写機を用いて複写テストを30℃、80%RHの高温高湿条件で行い、カブリの状態を目視により評価した。
(7)保存性
トナーの保存性の評価は、トナー試料を密閉した容器に入れて、密閉した後、50℃に温度を制御した恒温水槽の中に沈め、一定時間経過した後に取り出して、凝集したトナーの重量を測定することによって行った。容器から取り出した試料を42メッシュの篩の上にできるだけ構造を破壊しないように移し、紛体測定機(細川ミクロン社製)のREOSTATで振動の強度を4.5に設定して、30秒間振動した後、篩上に残ったトナーの重量を測定し、凝集したトナーの重量とした。この凝集したトナーの重量と試料の重量とから、トナーの凝集率(重量%)を算出した。トナーの保存性は、以下の4段階で評価した。
◎:凝集率が5重量%未満
○:凝集率が5重量%以上10重量%未満
△:凝集率が10重量%以上50重量%未満
×:凝集率が50重量%以上
実施例1
スチレン75重量部中に、ブチルアクリレート25重量部、架橋剤としてのヘキサンジオール0.2重量部、着色剤としてグラフトしたカーボンブラック(三菱化学(株)製、商品名「MA−100」)6重量部、ステアリン酸マグネシウム0.4重量部、2−フェニルイミダゾール0.2重量部、4級アンモニウム塩含有官能基を有する正電荷制御剤樹脂(藤倉化成(株)製、商品名「No271」)2.5重量部を投入し、充分混合した。
次いで、上記混合物中に重合開始剤としての2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)2重量部を添加し、充分に混合することにより、油相を得た。続いて、イオン交換水380重量部に、分散安定剤としての第3リン酸カルシウム10重量部を添加し、塩酸によって燐酸カルシウムを溶解することにより水相を得た。この水相に上記油相を投入し、アルカリ性水溶液にて燐酸カルシウムを析出させた後、メディアレス式攪拌機(エムテクニック(株)製「クリアミックス15S」)を用いて、回転数10,000回毎分で攪拌し造粒し、水性懸濁液を得た。この水性懸濁液に、イオン交換水25重量部とMP2701(綜研化学(株)製)2.5重量部をメディアレス式攪拌機(エムテクニック(株)製「クリアミックス15S」)を用いて、回転数10,000回毎分で攪拌し分散させて調整した粒子径分布に0.45μmの単一ピークを有する単分散粒子の分散液をゆっくり添加し、メディアレス式攪拌機を用いて回転数9,000回毎分で攪拌し、内層コア部粒子表面に外層シェル部樹脂の粒子を吸着させた。
60℃で6時間その後、80℃で1時間窒素雰囲気下にて重合反応を行い、トナー粒子の水性分散液を得た。続いて、上記水性分散液を固液分離し、希塩酸による洗浄、イオン交換水による水洗を行い、十分に乾燥させてトナーを得た。
上記で得られたトナー粒子は、平均粒径8.3μmであった。次いで、得られたトナー100重量部に対して、疎水性シリカ1.0重量部を外添した。
得られたトナーについて、疎水性シリカを外添したトナーを普通紙プリンター(京セラ三田社製)を使用して、20℃、65%RHの常温常圧条件下及び、30℃、80%RHの高温高湿条件下で、黒トナーを形成した(複写試験)。
(比較例1)
スチレン75重量部中に、ブチルアクリレート25重量部、架橋剤としてのヘキサンジオール0.2重量部、正電荷制御剤としての第4級アンモニウム化合物(クラリアントジャパン社製、商品名「PSY」)1重量部、着色剤としてのカーボンブラック(三菱化学(株)製、商品名「MA−100」)1重量部、ステアリン酸マグネシウム0.4重量部、2フェニルイミダゾール0.2重量部を投入し、充分混合した。
次いで、上記混合物中に重合開始剤としての2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)2重量部を添加し、充分に混合することにより、油相を得た。続いて、イオン交換水380重量部に、分散安定剤としての第3リン酸カルシウム10重量部を添加し、塩酸によって燐酸カルシウムを溶解することにより水相を得た。この水相に上記油相を投入し、アルカリ性水溶液にて燐酸カルシウムを析出させた後、充分に混合して懸濁液を形成した。
更に、この懸濁液をメディアレス式攪拌機(エムテクニック(株)製「クリアミックス15S」)を用いて、回転数10,000回毎分で攪拌し造粒した。この造粒した組成物の水分散液を攪拌翼を装着した反応器に入れ、65℃で6時間その後、80℃で1時間窒素雰囲気下で反応させて重合を完結させた。続いて、上記懸濁液を固液分離し、希塩酸による洗浄、イオン交換水による水洗を行い、充分に乾燥させてトナーを得た。
得られたトナーは、平均粒径7.8μmであった。次いで、得られたトナー100重量部に対して、疎水性シリカ1.0重量部を外添した。トナーについて、疎水性シリカを外添したトナーを普通紙プリンター(京セラ三田社製)を使用して、20℃、65%RHの常温常圧条件下及び、30℃、80%RHの高温高湿条件下で、黒トナーを形成した(複写試験)。
複層構造結着樹脂の全体としての単量体組成、Tg及び溶解パラメータSP値;コア部(Bc)の単量体組成、Tgc及びSPcの値;シェル部(Bs)の単量体組成、Tgs及びSPsの値;並びに、コア部とシェル部の重量比(Bc/Bs)、正電荷制御剤用アクリル系樹脂の添加場所(コア部、シェル部)を表1に、得られた粒子径結果を表2に更に、画像特性を表3に示す。
なお、以下の実施例2〜12及び比較例2〜5についても同様に表1、表2及び表3に示す。
実施例2
実施例1において、表1に示すとおりにイオン交換水に分散された外層シェル部樹脂(MP2701)を重合時に添加する以外は実施例1と同様にして静電潜像現像用トナーの分散液を得た。
実施例3
実施例1において、表1に示すとおりにイオン交換水に分散された外層シェル部樹脂(MP2701)を重合時に添加し、外層シェル部樹脂の分散方法としてメディア式攪拌機を使用する以外は実施例1と同様にして静電潜像現像用トナーの分散液を得た。
実施例4
実施例1において、表1に示すとおりにイオン交換水に分散された外層シェル部樹脂(MP2701)を重合時に添加し、シェル用分散溶媒を脱イオン水/メタノール=1/1に変更する以外は実施例1と同様にして静電潜像現像用トナーの分散液を得た。
実施例5
実施例1において、表1に示すとおりにイオン交換水に分散された外層シェル部樹脂(MP2701)を重合時に添加し、シェル用分散溶媒を脱イオン水/メタノール=1/1とし、外層シェル部樹脂の分散方法としてメディア式攪拌機を使用する以外は実施例1と同様にして静電潜像現像用トナーの分散液を得た。
実施例6
実施例1において、表1に示すとおりに複層構造結着樹脂の全体としての単量体組成を変えて、コア部(Bc)とシェル部(Bs)との重量比(Bc/Bs)を99/1に変更する以外は実施例1と同様にして静電潜像現像用トナーの分散液を得た。
比較例2
比較例1において、表1に示すとおりに複層構造結着樹脂の全体としての単量体組成を変更する以外は比較例1と同様にして静電潜像現像用トナーの分散液を得た。
実施例7
実施例1において、表1に示すとおりに複層構造結着樹脂の全体としての単量体組成を変えて、コア部(Bc)とシェル部(Bs)との重量比(Bc/Bs)を90/10に変更する以外は実施例1と同様にして静電潜像現像用トナーの分散液を得た。
比較例3
比較例1において、表1に示すとおりに複層構造結着樹脂の全体としての単量体組成を変更する以外は比較例1と同様にして静電潜像現像用トナーの分散液を得た。
実施例8
実施例1において、表1に示すとおりにイオン交換水に分散された外層シェル部樹脂をMP5501とする以外は実施例1と同様にして静電潜像現像用トナーの分散液を得た。
実施例9
実施例1において、表1に示すとおりにイオン交換水に分散された外層シェル部樹脂をMP5501として、重合時に添加する以外は実施例1と同様にして静電潜像現像用トナーの分散液を得た。
実施例10
実施例1において、表1に示すとおりにイオン交換水に分散された外層シェル部樹脂をMP5501として、重合時に添加し、外層シェル部樹脂の分散方法としてメディア式攪拌機を使用する以外は実施例1と同様にして静電潜像現像用トナーの分散液を得た。
実施例11
実施例1において、表1に示すとおりにイオン交換水に分散された外層シェル部樹脂をMP5501として、重合時に添加し、シェル用分散溶媒を脱イオン水/メタノール=1/1に変更する以外は実施例1と同様にして静電潜像現像用トナーの分散液を得た。
実施例12
実施例1において、表1に示すとおりにイオン交換水に分散された外層シェル部樹脂をMP5501として、重合時に添加し、シェル用分散溶媒を脱イオン水/メタノール=1/1とし、外層シェル部樹脂の分散方法としてメディア式攪拌機を使用する以外は実施例1と同様にして静電潜像現像用トナーの分散液を得た。
比較例4
比較例1において、表1に示すとおりに複層構造結着樹脂の全体としての単量体組成を変更する以外は比較例1と同様にして静電潜像現像用トナーの分散液を得た。
実施例13
実施例1において、外層シェル部樹脂をMP5501として、表1に示すとおりに複層構造結着樹脂の全体としての単量体組成を変えて、コア部(Bc)とシェル部(Bs)との重量比(Bc/Bs)を99/1に変更する以外は実施例1と同様にして静電潜像現像用トナーの分散液を得た。
比較例5
比較例1において、表1に示すとおりに複層構造結着樹脂の全体としての単量体組成を変更する以外は比較例1と同様にして静電潜像現像用トナーの分散液を得た。
実施例14
実施例1において、外層シェル部樹脂をMP5501として、表1に示すとおりに複層構造結着樹脂の全体としての単量体組成を変えて、コア部(Bc)とシェル部(Bs)との重量比(Bc/Bs)を90/10に変更する以外は実施例1と同様にして静電潜像現像用トナーの分散液を得た。
比較例6
比較例1において、表1に示すとおりに複層構造結着樹脂の全体としての単量体組成を変更する以外は比較例1と同様にして静電潜像現像用トナーの分散液を得た。
実施例15
実施例1において、表1に示すとおりに複層構造結着樹脂の全体としての単量体組成を変えて、コア部(Bc)とシェル部(Bs)との重量比(Bc/Bs)を99/1に変更し、内部コア部の懸濁重合温度を複層構造結着樹脂のガラス転移点より10℃低い温度で行い、イオン交換水に分散された外層シェル部樹脂(MP2701)を、内部コア部を懸濁重合により形成して得られた懸濁液を固液分離し、希塩酸により洗浄した後に添加する以外は実施例1と同様にして静電潜像現像用トナーの分散液を得た。
実施例16
実施例1において、表1に示すとおりに複層構造結着樹脂の全体としての単量体組成を変えて、コア部(Bc)とシェル部(Bs)との重量比(Bc/Bs)を99/1に変更し、内部コア部の懸濁重合温度を複層構造結着樹脂のガラス転移点より10℃低い温度で行い、イオン交換水に分散された外層シェル部樹脂(MP5500)を、内部コア部を懸濁重合により形成して得られた懸濁液を固液分離し、希塩酸により洗浄した後に添加する以外は実施例1と同様にして静電潜像現像用トナーの分散液を得た。
Figure 2006243107
Figure 2006243107
Figure 2006243107
本発明の静電潜像現像用トナーは、トナーボックス中でブロッキングを起こしにくく、いわゆる保存性のよいトナーであり、且つ、安定した帯電特性を有し、環境変化によっても帯電量の変化が小さく、優れた電子写真特性を有するものである。また、シェル部あるいはコア部での正電荷制御剤用アクリル系樹脂との混合においても無色ないし淡色透明状態の相溶性が得られ、カラートナー化した場合には鮮明な色調の着色トナーが得られるなど、極めて優れた効果を有するものである。

Claims (9)

  1. 少なくとも内層コア部と外層シェル部の2層からなる複層構造結着樹脂中に着色剤および正電荷制御剤を分散させた静電潜像現像用トナー粒子であって、
    (1)該外層シェル部樹脂の溶解パラメータ(SPs)が9.2〜9.5、該内層コア部樹脂の溶解パラメータ(SPc)が9.15以下であり、かつ、該外層シェル部および内層コア部の樹脂のガラス転移点(Tgs、Tgc)が、いずれも130℃以下であること、
    (2)正電荷制御剤が、4級アンモニウム塩含有官能基を有するスチレンーアクリル樹脂であること、
    を特徴とする静電潜像現像用トナー。
  2. 複層構造結着樹脂において、ブチルアクリレート、スチレンを主成分とする単量体混合物を懸濁重合させた内部コア部と、外層シェル部形成のための樹脂の単分散粒子の集合体である外層シェル部とからなる請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 内層コア部樹脂と外層シェル部樹脂との重量比が、80/20〜99/1であり、平均粒子径が3〜30μmである請求項2に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 内層コア部樹脂用単量体混合物が、ブチルアクリレート10〜50重量%、スチレン50〜90重量%よりなり、外層シェル部樹脂が、メチルメタクリレート80〜100重量%、スチレン0〜20重量%を主成分とする共重合体であり、かつ、複層構造結着樹脂全体における上記単量体もしくは単量体単位の使用量が、ブチルアクリレート3〜45重量%、スチレン40〜92重量%、およびメチルメタクリレート5〜15重量%である、請求項3に記載の静電潜像現像用トナー。
  5. 正電荷制御剤が、複層構造結着樹脂に対し0.5〜10重量部含有されている請求項1〜4のいずれかに記載の静電潜像現像用トナー。
  6. 着色剤が、複層構造結着樹脂に対し1〜10重量部含有されている請求項1〜5のいずれかに記載の静電潜像現像用トナー。
  7. 外層シェル部形成のための樹脂の単分散粒子が、分散溶媒中でメディア式またはメディアレス式攪拌機を用いて得られる請求項2に記載の静電潜像現像用トナー。
  8. 外層シェル部形成のための樹脂の単分散粒子の分散液を、内層コア部の造粒時、重合時もしくは重合後に固液分離し、希塩酸で洗浄をした後に添加して得られる請求項2〜7のいずれかに記載の静電潜像現像用トナー。
  9. 外層シェル部形成のための樹脂の単分散粒子の分散液を、内部コア部の重合後に固液分離し、希塩酸で洗浄した後に添加する場合であって、重合時の加熱温度を複層構造結着樹脂のガラス転移点(Tg)より5〜20℃低くして得られる請求項8に記載の静電潜像現像用トナー。


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