JP2003345063A - 樹脂粒子からなるトナー - Google Patents

樹脂粒子からなるトナー

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JP2003345063A
JP2003345063A JP2002152269A JP2002152269A JP2003345063A JP 2003345063 A JP2003345063 A JP 2003345063A JP 2002152269 A JP2002152269 A JP 2002152269A JP 2002152269 A JP2002152269 A JP 2002152269A JP 2003345063 A JP2003345063 A JP 2003345063A
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toner
resin particles
particles
polymerization
monomer
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JP2002152269A
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Takeshi Omura
大村  健
Tomoe Kitani
智江 木谷
Asao Matsushima
朝夫 松島
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高湿環境化でのトナーに由来するカブリや画
像ボケを改良したトナーを提供すること。 【解決手段】 水系媒体中で共重合性の不飽和基を有す
る界面活性剤の存在下、重合性単量体を重合させて調製
される樹脂粒子と着色剤を塩析、凝集、融着の工程を経
て製造されることを特徴とするトナー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は樹脂粒子からなるト
ナーに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真方式を利用した複写機、
プリンタにおける高画質化の要求に伴い、トナーの小粒
径化が進んでいる。この傾向は特にデジタル機において
顕著である。従来、トナーの製造法としては粉砕法が主
流であったが、粉砕法は粒径を揃えにくい、トナー粒径
が小さくなるほど製造コストがかかるというのが一般的
である。一方、重合法によるトナー製造では、製造コス
トがほとんど粒径に依存しないため、小粒径化の流れと
ともに重合法が浸透しつつある。
【0003】重合法によるトナー製造では、懸濁重合法
と乳化重合法が代表的であり、中でも後者は形状制御が
容易であることから、電子写真方式を利用した複写機、
プリンタで一般的に用いられるブレードクリーニングに
有利であり、プロセス適合性が高い。
【0004】ところが、重合法によるトナーはその製造
工程で使用される界面活性剤や分散剤が最終製品である
トナー表面に残存するため、これら残存物が空気中の水
分を吸着することでトナーの電荷保持機能を変動させた
り、トナーの脆弱化を招き、特に高湿環境化では、カブ
リの発生や画像がボケることによる解像度低下の問題を
有している。これに対し、界面活性剤を洗浄することを
開示した特開2000−202076、少量の界面活性
剤で反応系を安定化させる特開平11−258849号
が知られているが、改良が十分と言えない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は高湿環境化でのトナーに由来するカブリや画像ボケを
改良したトナーを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、以下の
構成により達成された。
【0007】1)水系媒体中で共重合性の不飽和基を有
する界面活性剤の存在下、重合性単量体を重合させて調
製される樹脂粒子と着色剤を塩析、凝集、融着の工程を
経て製造されることを特徴とするトナー。
【0008】2)共重合性の不飽和基を有する界面活性
剤が非イオン性であることを特徴とする前記1)に記載
のトナー。
【0009】以下、本発明について詳述する。本発明に
おいては、共重合性の不飽和基を有する界面活性剤(以
下、反応性界面活性剤ともいう)の存在下で重合を行う
とき、重合性単量体と共重合性の不飽和基を有する界面
活性剤とが共重合するため、出来上がった樹脂粒子内部
に共重合性の不飽和基を有する界面活性剤が取り込ま
れ、樹脂粒子表面は疎水性を損なうことはない。但し、
共重合性の不飽和基を有する界面活性剤が樹脂粒子内部
に取り込まれる結果、樹脂粒子の水系媒体中での分散安
定性が低下し、凝集と沈殿が発生するため、補助的に非
反応性の界面活性剤を添加して分散安定性を維持して、
その後分散液を撹拌しながら加熱することで凝集させ樹
脂粒子を形成することができる。なお、共重合性の不飽
和基を有する界面活性剤のうち、非イオン性のものが好
ましい。なお界面活性剤は親水基と親油基とで構成さ
れ、親水基によってイオン性、非イオン性に区別され
る。また親油基は主として脂肪族炭化水素基であり、長
さがある程度(炭素数で約8)以上が必要である。その
他ではフッ化炭素基の場合もあり、芳香族基を含むこと
もある。
【0010】この結果、トナー中に残留する界面活性剤
量はこれまでの製造法に比べて、著しく減少し、それに
起因する高湿環境下での帯電量低下によるカブリや界面
活性剤が感光体に転移して発生する画像ボケが改良され
るものと思われる。
【0011】本発明の共重合性の不飽和基を有する界面
活性剤とは、ビニル重合する重合性単量体と重合可能な
界面活性剤をいう。なお、本発明で共重合性の不飽和基
としては、例えばCH2=CH−、CH2=C(CH3
−、CH3−CH=CH−が挙げられる。
【0012】共重合性の不飽和基を有する界面活性剤が
数多くこれまで提案されている。例えば、特公昭46−
12472号、同46−34894号、同49−462
91号、同56−29657号、特開昭51−3028
5号、同54−144317号、同56−127697
号、同60−170611号、特開平4−53802号
にはアニオン性の反応性界面活性剤が記載され、特開昭
50−98484号、同56−28208号、特開平4
−50204号には非イオン性の反応性界面活性剤が記
載され、また特開平2−164430号には両性の反応
性界面活性剤が記載されている。これら共重合性の不飽
和基を有する界面活性剤のうち、非イオン性のものが特
に好ましい。非イオン性の反応性界面活性剤としては、
特開平4−50204号に記載の下記一般式が挙げられ
る。
【0013】
【化1】
【0014】式中、R1は炭素数6〜18のアルキル
基、アルケニル基またはアラルキル基、R2は水素また
は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基またはア
ラルキル基、R3は水素またはプロペニル基、Aは炭素
数2〜4のアルキレン基または置換アルキレン基、nは
1〜200を表す。
【0015】更に、非イオン性の反応性界面活性剤とし
ては、特開昭50−98484号に記載の下記一般式が
挙げられる。
【0016】
【化2】
【0017】式中、A1、A2はそれぞれ独立に炭素数2
〜4のアルキレン基または置換アルキレン基、R1、R2
は水素、炭素数1〜36のアルキル基またはアシル基で
あり、lは1または2の整数、m、nは0または正の数
で、且つm+nは3以上の数である。但し、R1、R2
ずれもが水素である場合は、m、nいずれも1以上の数
である。
【0018】非イオン性の反応性界面活性剤の具体的化
合物としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0019】1)ノニルプロペニルフェノールエチレン
オキシド20モル付加体 2)ジスチリルプロペニルフェノールプロピレンオキシ
ド10モル、エチレンオキシド30モル付加体 3)オクチルプロペニルフェノールエチレンオキシド5
0モル付加体 4)オクチルジプロペニルフェノールエチレンオキシド
10モル付加体 5)オクチルジプロペニルフェノールエチレンオキシド
100モル付加体 6)ドデシルプロペニルフェノールエチレンオキシド2
0モル、プロピレンオキシド10モルランダム付加体 7)ドデシルプロペニルフェノールブチレンオキシド4
モル、エチレンオキシド30モルブロック付加体 8)特開昭50−98484号の実施例1に記載の化合
物 9)特開昭50−98484号の実施例2に記載の化合
物 本発明の共重合性の不飽和基を有する界面活性剤は公知
の界面活性剤を組み合わせて使用してもよく、組み合わ
せる量比としては、本発明の共重合性の不飽和基を有す
る界面活性剤が全界面活性剤のうち1〜50%である。
【0020】本発明においては、水系媒体中で調製した
樹脂粒子の分散液から樹脂粒子を塩析、凝集、融着する
工程において、金属塩が凝集剤として好ましく用いられ
るが、更に好ましくは2価または3価の金属塩を凝集剤
として用いることである。その理由は、1価の金属塩よ
り2価、3価の金属塩のほうが臨界凝集濃度(凝析値あ
るいは凝析点)が小さいからである。
【0021】凝集剤または凝集停止剤として用いられる
金属塩について説明する。金属塩としては、1価の金
属、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカ
リ金属の塩、2価の金属、例えばカルシウム、マグネシ
ウム等のアルカリ土類金属の塩、マンガン、銅等の2価
の金属塩、鉄、アルミニウム等の3価の金属塩等が挙げ
られる。これら金属塩の具体例を以下に示す。
【0022】1価の金属の金属塩の具体例としては、塩
化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム等が挙げら
れる。2価の金属の金属塩としては、塩化マグネシウ
ム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化亜鉛、硫酸
銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられる。
3価の金属塩としては、塩化アルミニウム、塩化鉄等が
挙げられる。これらは目的に応じて適宜選択される。
【0023】上記の臨界凝集濃度とは水性分散液中の分
散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加し、凝
集が起こる点の濃度を示している。この臨界凝集濃度は
樹脂粒子自身および分散剤により大きく変化する。例え
ば、岡村誠三他著、高分子化学17,601(196
0)等に記述されており、これらの記載に従えばその値
を知ることができる。
【0024】また、別の方法として、目的とする粒子分
散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ
電位を測定し、ζ電位が変化し出す点の塩濃度を臨界凝
集濃度とすることも可能である。
【0025】上記の金属塩を用いて臨界凝集濃度以上の
濃度になるように重合体微粒子分散液を処理する。この
時、当然の事ながら金属塩を直接加えるか、水溶液とし
て加えるかはその目的に応じて任意に選択される。水溶
液として加える場合には、重合体粒子分散液の容量と金
属塩水溶液の総容量に対し、添加した金属塩が重合体粒
子の臨界凝集濃度以上になる必要がある。凝集剤として
用いられる金属塩の濃度は臨界凝集濃度以上であればよ
いが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、更に好
ましくは1.5倍以上添加される。
【0026】本発明に係る樹脂粒子は粒子が多層構成に
なっていたり、粒子中に添加剤等のような他の構成成分
が含まれる、いわゆる複合樹脂粒子をも含む。尚、複合
樹脂粒子や着色剤が分散している分散液中に凝集剤を添
加する際の当該分散液の温度は、複合樹脂粒子のガラス
転移温度(Tg)以下であることが好ましく、具体的に
は5〜55℃の範囲であることが好ましく、更に好まし
くは10〜45℃とされる。凝集剤を添加するときの分
散液の温度が複合樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)以
上となる場合には、粒径の制御を行うことが困難となり
巨大粒子が生成されやすい。
【0027】この複合樹脂粒子や着色剤が分散している
分散液から塩析、凝集、融着する工程においては、複合
樹脂粒子と着色剤とが分散されてなる分散液の温度が、
当該複合樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)以下のとき
に、当該分散液を攪拌しながら凝集剤を添加し、その後
速やかに当該分散液の加熱を開始して、複合樹脂粒子の
ガラス転移温度(Tg)以上の温度とすることが好まし
い。
【0028】また、本発明においては樹脂粒子と着色剤
を水系媒体中において塩析、凝集、融着させてトナー粒
子を得た後、該トナー粒子を水系媒体から分離するとき
に、水系媒体中に存在している界面活性剤のクラフト点
以上の温度で行うことが好ましく、更に好ましくはクラ
フト点〜(クラフト点+20℃)の温度範囲で行うこと
である。クラフト点とは、界面活性剤を含有した水溶液
が白濁化しはじめる温度であり、クラフト点の測定は下
記のように行われる。塩析、凝集、融着する工程で用い
る水系媒体すなわち界面活性剤溶液に実際に使用する量
の凝集剤を加えた溶液を調製し、この溶液を1℃で5日
間貯蔵した。次いで、この溶液を攪拌しながら透明にな
るまで徐々に加熱した。溶液が透明になった温度をクラ
フト点として定義する。
【0029】トナー粒子への過剰帯電を抑え、均一な帯
電性を付与するという観点から、特に環境に対して帯電
性を安定化し、維持する為に、本発明のトナーは上記に
記載の金属元素(形態として、金属、金属イオン等が挙
げられる)をトナー中に250〜20000ppm、更
に好ましくは800〜5000ppm含有させることで
ある。
【0030】また、本発明においては、凝集剤に用いる
2価(3価)の金属元素と後述する凝集停止剤として加
える1価の金属元素の合計値が350〜35000pp
mであることが好ましい。
【0031】トナー中の金属イオン残存量の測定は蛍光
X線分析装置「システム3270型」〔理学電気工業
(株)製〕を用いて、凝集剤として用いられる金属塩の
金属種(例えば、塩化カルシウムに由来するカルシウム
等)から発する蛍光X線強度を測定することによって求
めることができる。具体的な測定法としては、凝集剤金
属塩の含有割合が既知のトナーを複数用意し、各トナー
5gをペレット化し、凝集剤金属塩の含有割合(質量p
pm)と当該金属塩の金属種からの蛍光X線強度(ピー
ク強度)との関係(検量線)を測定する。次いで、凝集
剤金属塩の含有割合を測定すべきトナー(試料)を同様
にペレット化し、凝集剤金属塩の金属種からの蛍光X線
強度を測定し、含有割合すなわち「トナー中の金属イオ
ン残存量」を求めることができる。
【0032】本発明のトナーの製造方法について説明す
る。本発明のトナーは、着色剤の不存在下において複合
樹脂粒子を形成し、当該複合樹脂粒子の分散液に着色剤
の分散液を加え、当該複合樹脂粒子と着色剤とを塩析、
凝集、融着させることにより調製されるものである。
【0033】このように複合樹脂粒子の調製を着色剤の
存在しない系で行うことにより、複合樹脂粒子を得るた
めの重合反応が阻害されることない。このため本発明の
トナーによれば、優れた耐オフセット性が損なわれるこ
とはなく、トナーの蓄積による定着装置の汚染や画像汚
れを発生させることはない。また、複合樹脂粒子を得る
ための重合反応が確実に行われる結果、得られるトナー
粒子中に単量体やオリゴマーが残留するようなことはな
く、当該トナーを使用する画像形成方法の熱定着工程に
おいて、異臭を発生させることはない。更に、得られる
トナー粒子の表面特性は均質であり、帯電量分布もシャ
ープとなるため鮮鋭性に優れた画像を長期にわたり形成
することができる。
【0034】本発明のトナーを構成する「複合樹脂粒
子」とは、樹脂からなる核粒子の表面を覆うように、当
該核粒子を形成する樹脂とは分子量および/または組成
の異なる樹脂からなる1または2以上の被覆層が形成さ
れている多層構造の樹脂粒子をいうものとする。
【0035】複合樹脂粒子の「中心部(核)」とは複合
樹脂粒子を構成する「核粒子」をいう。複合樹脂粒子の
「外層(殻)」とは複合樹脂粒子を構成する「1または
2以上の被覆層」のうち最外層をいう。また、複合樹脂
粒子の「中間層」とは中心部(核)と外層(殻)の間に
形成される被覆層をいうものとする。複合樹脂粒子の分
子量分布は単分散ではなく、また、複合樹脂粒子は、通
常その中心部(核)から外層(殻)にかけて分子量勾配
を有している。
【0036】本発明において、複合樹脂粒子を得るため
に「多段重合法」を用いることが、分子量分布制御の観
点から、すなわち定着強度、耐オフセット性を確保する
観点から好ましい。
【0037】本発明において、複合樹脂粒子を得るため
の「多段重合法」とは、単量体(n)を重合処理(第n
段)して得られた樹脂粒子(n)の存在下に、単量体
(n+1)を重合処理(第n+1段)して、当該樹脂粒
子(n)の表面に単量体(n+1)の重合体(樹脂粒子
(n)の構成樹脂とは分散および/または組成の異なる
樹脂)からなる被覆層(n+1)を形成する方法を示
す。ここに、樹脂粒子(n)が核粒子である場合(n=
1)には「二段重合法」となり、樹脂粒子(n)が複合
樹脂粒子である場合(n≧2)には三段以上の多段重合
法となる。
【0038】多段重合法によって得られる複合樹脂粒子
中には、組成および/または分子量が異なる複数の樹脂
が存在することになる。従って、当該複合樹脂粒子と着
色剤粒子とを塩析、凝集、融着させることにより得られ
るトナーは、トナー粒子間において、組成・分子量・表
面特性のバラツキがきわめて小さい。
【0039】このようなトナー粒子間における組成・分
子量・表面特性が均質であるトナーを用いれば、接触加
熱方式による定着工程を含む画像形成方法において、画
像支持体に対する良好な接着性(高い定着強度)を維持
しながら、耐オフセット性および巻き付き防止特性の向
上を図ることができ、適度の光沢を有する画像を得るこ
とができる。
【0040】本発明のトナーの製造方法の一例を具体的
に示すと、(1)離型剤および/または結晶性ポリエス
テルが、最外層以外の領域(中心部または中間層)に含
有されるように調製された複合樹脂粒子を得るための多
段重合工程(I)、(2)複合樹脂粒子と着色剤粒子と
を塩析、凝集、融着させてトナー粒子を得る塩析、凝
集、融着する工程(II)、(3)トナー粒子の分散系か
らトナー粒子を濾別し、トナー粒子から界面活性剤など
を除去する濾過、洗浄工程、(4)洗浄処理されたトナ
ー粒子を乾燥する乾燥工程、(5)乾燥処理されたトナ
ー粒子に外添剤を添加する工程から構成される。
【0041】以下、各工程について説明する。多段重合
工程(I)は、樹脂粒子(n)の表面に、単量体(n+
1)の重合体からなる被覆層(n+1)を形成する多段
重合法により、複合樹脂粒子を製造する工程である。こ
こで、製造の安定性および得られるトナーの破砕強度の
観点から、三段重合以上の多段重合法を採用することが
好ましい。
【0042】以下に、多段重合法の代表例である二段重
合法および三段重合法について説明する。
【0043】二段重合法は、離型剤を含有する高分子量
樹脂から形成される中心部(核)と、低分子量樹脂から
形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子
を製造する方法である。すなわち、二段重合法で得られ
る複合樹脂粒子は核と一層の被覆層から構成される。
【0044】この方法を具体的に説明すると、先ず、離
型剤を単量体(H)に溶解させて得られた単量体溶液を
水系媒体(界面活性剤の水溶液)中に油滴分散させた
後、この系を重合処理(第1段重合)することにより、
離型剤を含有する高分子量の樹脂粒子(H)の分散液を
調製する。次いで、この樹脂粒子(H)の分散液に重合
開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体(L)とを添
加し、当該樹脂粒子(H)の存在下に単量体(L)を重
合処理(第二段重合)することにより、当該樹脂粒子
(H)の表面に低分子量の樹脂(単量体(L)の重合
体)からなる被覆層(L)を形成する。
【0045】三段重合法は、高分子量樹脂から形成され
る中心部(核)と離型剤を含有する中間層と低分子量樹
脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹
脂粒子を製造する方法である。すなわち、三段重合法で
得られる複合樹脂粒子は核と2層の被覆層から構成され
る。
【0046】この方法を具体的に説明すると、先ず、常
法に従った重合処理(第1段重合)により得られた樹脂
粒子(H)の分散液を水系媒体(界面活性剤の水溶液)
に添加するとともに、当該水系媒体中に離型剤を単量体
(M)に溶解させてなる単量体溶液を油滴分散させた
後、この系を重合処理(第二段重合)することにより、
当該樹脂粒子(H)(核粒子)の表面に、離型剤を含有
する樹脂(単量体(M)の重合体)からなる被覆層
(M)(中間層)を形成してなる複合樹脂粒子〔高分子
量樹脂(H)−中間分子量樹脂(M)〕の分散液を調製
する。次いで、得られた複合樹脂粒子の分散液に、重合
開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体(L)とを添
加し、当該複合樹脂粒子の存在下に単量体(L)を重合
処理(第三段重合)することにより、当該複合樹脂粒子
の表面に低分子量の樹脂(単量体(L)の重合体)から
なる被覆層(L)を形成する。
【0047】この三段重合法において、樹脂粒子(H)
の表面に被覆層(M)を形成する際に、当該樹脂粒子
(H)の分散液を水系媒体(界面活性剤の水溶液)に添
加するとともに、当該水系媒体中に離型剤を単量体
(M)に溶解させてなる単量体溶液を油滴分散させた
後、この系を重合処理(第二段重合)する方法を採用す
ることにより、離型剤を微細かつ均一に分散させること
ができる。
【0048】尚、樹脂粒子(H)の分散液の添加処理お
よび単量体溶液の油滴分散処理については、下記に記載
のように何れを先行して実施してもよいし、同時に行っ
てもよい。
【0049】(a)複合樹脂粒子を構成する中間層を形
成する際に、複合樹脂粒子の中心部(核)となる樹脂粒
子を界面活性剤の水溶液中に添加した後、当該水溶液中
に離型剤/結晶性ポリエステルを含有する単量体組成物
を分散させ、この系を重合処理する態様、(b)複合樹
脂粒子を構成する中間層を形成する際に、離型剤/結晶
性ポリエステルを含有する単量体組成物を界面活性剤の
水溶液中に分散させた後、当該水溶液中に、複合樹脂粒
子の中心部(核)となる樹脂粒子を添加し、この系を重
合処理する態様、(c)複合樹脂粒子を構成する中間層
を形成する際に、複合樹脂粒子の中心部(核)となる樹
脂粒子を界面活性剤の水溶液中に添加すると同時に、当
該水溶液中に離型剤/結晶性ポリエステルを含有する単
量体組成物を分散させ、この系を重合処理する態様が含
まれる。
【0050】離型剤を含有する樹脂粒子(核粒子)また
は被覆層(中間層)を形成する方法としては、離型剤を
単量体に溶解させ、得られる単量体溶液を水系媒体中に
油滴分散させ、この系を重合処理することにより、ラテ
ックス粒子として得る方法を採用することができる。こ
こで、「水系媒体」とは水50〜100質量%と水溶性
の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶
性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソ
プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケ
トン、テトラヒドロフランを例示することができ、得ら
れる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好まし
い。
【0051】離型剤を含有する樹脂粒子または被覆層を
形成するために好適な重合法としては、臨界ミセル濃度
以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、
離型剤を単量体に溶解してなる単量体溶液を機械的エネ
ルギーを利用して油滴分散させて分散液を調製し、得ら
れた分散液に水溶性重合開始剤を添加して、油滴内でラ
ジカル重合させる方法(以下、「ミニエマルジョン法」
という)を挙げることができる。なお、水溶性重合開始
剤を添加することに代えて、または当該水溶性重合開始
剤を添加するとともに、油溶性の重合開始剤を前記単量
体溶液中に添加してもよい。
【0052】機械的に油滴を形成するミニエマルジョン
法によれば、通常の乳化重合法とは異なり、油相に溶解
させた離型剤が脱離することがなく、形成される樹脂粒
子または被覆層内に十分な量の離型剤を導入することが
できる。
【0053】ここに、機械的エネルギーによる油滴分散
を行うための分散機としては、特に限定されるものでは
なく、高速回転するローターを備えた攪拌装置「クレア
ミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック
(株)製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マ
ントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙げ
ることができる。また、分散粒子径としては10〜10
00nmとされ、好ましくは50〜1000nm、更に
好ましくは30〜300nmとされる。
【0054】尚、離型剤を含有する樹脂粒子または被覆
層を形成するための重合法として、乳化重合法、懸濁重
合法、シード重合法などの公知の方法を採用することも
できる。また、これらの重合法は複合樹脂粒子を構成す
る樹脂粒子(核粒子)または被覆層であって、離型剤お
よび結晶性ポリエステルを含有しないものを得るために
も採用することができる。
【0055】この重合工程(I)で得られる複合樹脂粒
子の粒子径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−80
0」(大塚電子社製)を用いて測定される重量平均粒径
で10〜1000nmの範囲にあることが好ましい。
【0056】また、複合樹脂粒子のガラス転移温度(T
g)は48〜74℃の範囲にあることが好ましく、更に
好ましくは52〜64℃である。複合樹脂粒子の軟化点
は95〜140℃の範囲にあることが好ましい。
【0057】この塩析、凝集、融着する工程(II)は、
多段重合工程(I)によって得られた複合樹脂粒子と着
色剤粒子とを塩析、凝集、融着させる(塩析と融着とを
同時に起こさせる)ことによって、不定形(非球形)の
トナー粒子を得る工程である。この塩析、凝集、融着す
る工程(II)においては、複合樹脂粒子および着色剤粒
子とともに、荷電制御剤などの内添剤粒子(数平均一次
粒子径が10〜1000nm程度の微粒子)を塩析、凝
集、融着させてもよい。
【0058】着色剤は表面改質されていてもよい。ここ
に、表面改質剤としては従来公知のものを使用すること
ができる。着色剤は水性媒体中に分散された状態で塩
析、凝集、融着処理に供される。着色剤が分散される水
性媒体は、臨界ミセル濃度(CMC)以上の濃度で界面
活性剤が溶解されている水溶液を挙げることができる。
界面活性剤としては、多段重合工程(I)で使用した界
面活性剤と同一のものを使用することができる。
【0059】着色剤の分散処理に使用する分散機は特に
限定されないが、好ましくは高速回転するローターを備
えた攪拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」
(エム・テクニック(株)製)、超音波分散機、機械的
ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイ
ザー等の加圧分散機、ゲッツマンミル、ダイヤモンドフ
ァインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
【0060】複合樹脂粒子と着色剤とを塩析、凝集、融
着させるためには、複合樹脂粒子および着色剤が分散し
ている分散液中に臨界凝集濃度以上の凝集剤を添加する
とともに、この分散液を複合樹脂粒子のガラス転移温度
(Tg)以上に加熱することが好ましい。
【0061】更に好ましくは、凝集剤により複合樹脂粒
子が所望の粒径に達した段階で凝集停止剤が用いられ
る。その凝集停止剤としては、1価の金属塩、中でも塩
化ナトリウムが好ましく用いられる。
【0062】塩析、凝集、融着させるために好適な温度
範囲としては、(Tg+10)〜(Tg+50℃)とさ
れ、特に好ましくは(Tg+15)〜(Tg+40℃)
とされる。また、融着を効果的に行なわせるために、水
に無限溶解する有機溶媒を添加してもよい。ここに、塩
析、凝集、融着の際に使用する「凝集剤」としては、前
述のようなアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩を
挙げることができる。
【0063】本発明に係る塩析、凝集、融着について説
明する。本発明において、「塩析、凝集、融着」すると
は、塩析(粒子の凝集)と融着(粒子間の界面消失)と
が同時に起こること、または塩析と融着とを同時に起こ
させる行為をいう。塩析と融着とを同時に行わせるため
には、複合樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移温度
(Tg)以上の温度条件下において粒子(複合樹脂粒
子、着色剤粒子)を凝集させることが好ましい。
【0064】本発明のトナーに用いられる離型剤につい
て説明する。本発明のトナーを構成する離型剤の含有割
合としては、通常1〜30質量%とされ、好ましくは2
〜20質量%、更に好ましくは3〜15質量%とされ
る。
【0065】離型剤は低分子量ポリプロピレン(数平均
分子量=1500〜9000)や低分子量ポリエチレン
等を添加してもよく、好ましい離型剤は下記一般式で表
されるエステル系化合物が好ましい。
【0066】一般式 R1−(OCO−R2n 式中、nは1〜4の整数を表し、好ましくは2〜4、更
に好ましくは3〜4であり、特に好ましくは4である。
1、R2は置換基を有してもよい炭化水素基を示す。R
1は炭素数1〜40、好ましくは1〜20、更に好まし
くは2〜5であり、R2は炭素数1〜40、好ましくは
16〜30、更に好ましくは18〜26である。以下
に、上記一般式で表されるエステル化合物の具体例を示
すが、本発明はこれらに限定されない。
【0067】
【化3】
【0068】
【化4】
【0069】本発明のトナーを構成する樹脂成分の好ま
しい分子量、分子量範囲、ピーク分子量等について説明
する。
【0070】本発明のトナーは、ピークまたはショルダ
ーが100,000〜1,000,000、および1,
000〜50,000に存在することが好ましく、更に
ピークまたはショルダーが100,000〜1,00
0,000と、25,000〜150,000と、1,
000〜50,000の範囲に存在することが更に好ま
しい。トナーの樹脂の分子量は、100,000〜1,
000,000の領域にピークもしくは肩(ショルダ
ー)を有する高分子量成分と、1,000〜50,00
0未満の領域にピークもしくは肩(ショルダー)を有す
る低分子量成分の両成分を少なくとも含有する樹脂が好
ましい。更に好ましくは、ピーク分子量で15,000
〜100,000の部分にピークまたは肩を有する中間
分子量体の樹脂を使用することである。
【0071】上記の分子量の測定は、THF(テトラヒ
ドロフラン)をカラム溶媒として用いるGPC(ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー)を用いて分子量測
定を行う。
【0072】具体的には、測定試料を1mgに対してT
HFを1ml加え、室温下にてマグネチックスターラー
を用いて撹拌を行い、充分に溶解させる。次いで、ポア
サイズ0.45〜0.50μmのメンブランフィルター
で処理した後に、GPCへ注入する。GPCの測定条件
は40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1ml
の流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μ
l注入して測定する。カラムとしては、市販のポリスチ
レンジェルカラムを組み合わせて使用することが好まし
い。例えば、昭和電工社製のShodex GPC K
F−801、802、803、804、805、80
6、807の組合せや東ソー社製のTSKgelG10
00H、G2000H、G3000H、G4000H、
G5000H、G6000H、G7000H、TSK
guard columnの組合せなどを挙げることが
できる。検出器としては、屈折率検出器(IR検出
器)、あるいはUV検出器が好ましく用いられる。試料
の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散の
ポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて
算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点
程度用いることが好ましい。
【0073】本発明のトナーの製造に係る、濾過・洗浄
工程について説明する。この濾過・洗浄工程では、上記
の工程で得られたトナー粒子の分散系からトナー粒子を
濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状
の集合物)から界面活性剤や凝集剤などの付着物を除去
する洗浄処理とが施される。ここに、濾過処理方法とし
ては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過
法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に
限定されるものではない。
【0074】乾燥工程は洗浄処理されたトナー粒子を乾
燥処理する工程である。この工程で使用される乾燥機と
しては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾
燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚
乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機な
どを使用することが好ましい。乾燥処理されたトナー粒
子の水分は5質量%以下であることが好ましく、更に好
ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理されたト
ナー粒子同士が弱い粒子間引力で凝集している場合に
は、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処
理装置としてはジェットミル、ヘンシェルミキサー、コ
ーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置
を使用することができる。
【0075】本発明に係る重合性単量体について説明す
る。 (1)疎水性単量体 単量体成分を構成する疎水性単量体としては、特に限定
されるものではなく従来公知の単量体を用いることがで
きる。また、要求される特性を満たすように、1種また
は2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0076】具体的には、モノビニル芳香族系単量体、
(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル
系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系
単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン
系単量体等を用いることができる。
【0077】ビニル芳香族系単量体としては、例えばス
チレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p
−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニ
ルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレ
ン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルス
チレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチル
スチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルス
チレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチル
スチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単
量体およびその誘導体が挙げられる。
【0078】アクリル系単量体としては、アクリル酸、
メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、
アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブ
チル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチ
ルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−ア
ミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メ
タクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチ
ルアミノエチル等が挙げられる。
【0079】ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げ
られる。
【0080】ビニルエーテル系単量体としては、ビニル
メチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブ
チルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられ
る。
【0081】モノオレフィン系単量体としては、エチレ
ン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペン
テン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0082】ジオレフィン系単量体としては、ブタジエ
ン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0083】(2)架橋性単量体 樹脂粒子の特性を改良するために架橋性単量体を添加し
てもよい。架橋性単量体としては、ジビニルベンゼン、
ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレング
リコールメタクリレート、エチレングリコールジメタク
リレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、
フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するもの
が挙げられる。
【0084】(3)酸性極性基を有する単量体 酸性極性基を有する単量体としては、(a)カルボキシ
ル基(−COOH)を有するα,β−エチレン性不飽和
化合物および(b)スルホン基(−SO3H)を有する
α,β−エチレン性不飽和化合物を挙げることができ
る。
【0085】(a)の−COO基を有するα,β−エチ
レン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸、メタア
クリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ
皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノ
オクチルエステルおよびこれらのNa、Zn等の金属塩
類等を挙げることができる。
【0086】(b)のスルホ基(−SO3H基)を有す
るα,β−エチレン性不飽和化合物の例としては、スル
ホン化スチレン、そのNa塩、アリルスルホコハク酸、
アリルスルホコハク酸オクチル、そのNa塩等を挙げる
ことができる。
【0087】本発明に係る重合性単量体の重合に用いら
れる開始剤(重合開始剤ともいう)について説明する。
【0088】本発明に用いられる重合開始剤は水溶性で
あれば適宜使用が可能である。例えば、過硫酸塩(過硫
酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物
(4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸およびその塩、
2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、
過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド等のパーオキサ
イド化合物等が挙げられる。
【0089】更に上記重合開始剤は必要に応じて還元剤
と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能であ
る。レドックス系開始剤を用いる事で、重合活性が上昇
し重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待で
きる。重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度
以上であればどの温度を選択してもよいが、例えば50
℃から80℃の範囲が用いられる。又、常温開始の重合
開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸
等)の組み合わせを用いる事で室温またはそれに近い温
度で重合する事も可能である。
【0090】本発明に用いられる連鎖移動剤について説
明する。本発明においては、重合性単量体が重合して生
成する樹脂粒子の分子量を調整することを目的として、
従来公知の一般的に用いられる連鎖移動剤を用いること
が可能である。
【0091】連鎖移動剤としては、特に限定されない
が、特にメルカプト基を有する化合物は分子量分布がシ
ャープであるトナーが得られ、保存性、定着強度、耐オ
フセット性に優れるために好ましく用いられる。例え
ば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、t
ert−ドデシルメルカプタン等のメルカプト基を有す
る化合物が用いられる。また、好ましいものとしては、
例えばチオグリコール酸エチル、チオグリコール酸プロ
ピル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t−
ブチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグ
リコール酸オクチル、チオグリコール酸デシル、チオグ
リコール酸ドデシル、エチレングリコールのチオグリコ
ール酸エステル、ネオペンチルグリコールのチオグリコ
ール酸エステル、ペンタエリスリトールのチオグリコー
ル酸エステル等を挙げることができる。中でも、トナー
加熱定着時の臭気を抑制する観点から、n−オクチル−
3−メルカプトプロピオン酸エステルが好ましく用いら
れる。
【0092】本発明に係る着色剤について説明する。本
発明のトナーに係る着色剤は、トナーの帯電の均一性向
上の観点から、トナー製造時、上記の複合樹脂粒子の塩
析、凝集、融着時に樹脂粒子と共に塩析、凝集、融着さ
れ、トナー粒子中に含有されることが好ましい。本発明
のトナーを構成する着色剤としては、各種の無機顔料、
有機顔料、染料を挙げることができる。
【0093】無機顔料としては、従来公知のものを用い
ることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
黒色の顔料としては、例えばファーネスブラック、チャ
ンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラッ
ク、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネ
タイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。これらの
無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する
事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2
〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択
される。
【0094】磁性トナーとして使用する際には、マグネ
タイトを添加することができる。この場合には所定の磁
気特性を付与する観点から、トナー中に20〜120質
量%添加することが好ましい。
【0095】有機顔料および染料としても従来公知のも
のを用いることができる。具体的な有機顔料および染料
を以下に例示する。
【0096】マゼンタまたはレッド用の顔料としては、
C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッ
ド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメン
トレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピ
グメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、
C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメン
トレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:
1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメ
ントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、
C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメント
レッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.
I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッ
ド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げら
れる。
【0097】オレンジまたはイエロー用の顔料として
は、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメ
ントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、
C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメント
イエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.
I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエ
ロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.
ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロ
ー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.
I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイ
エロー156等が挙げられる。
【0098】グリーンまたはシアン用の顔料としては、
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブ
ルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、
C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブ
ルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられ
る。
【0099】また、染料としてはC.I.ソルベントレ
ッド1、同49、同52、同58、同63、同111、
同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、
同77、同79、同81、同82、同93、同98、同
103、同104、同112、同162、C.I.ソル
ベントブルー25、同36、同60、同70、同93、
同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用い
る事ができる。
【0100】これらの有機顔料および染料は所望に応じ
て単独または複数を選択併用する事が可能である。また
顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、
好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0101】本発明のトナーを構成する着色剤は、表面
改質されていてもよい。ここに、表面改質剤としては従
来公知のものを使用することができ、具体的にはシラン
カップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウム
カップリング剤等を好ましく用いることができる。
【0102】シランカップリング剤としては、メチルト
リメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチ
ルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシ
ラン等のアルコキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン
等のシロキサン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ
る。
【0103】チタンカップリング剤としては、例えば味
の素社製の「プレンアクト」と称する商品名で市販され
ているTTS、9S、38S、41B、46B、55、
138S、238S等、日本曹達社製の市販品A−1、
B−1、TOT、TST、TAA、TAT、TLA、T
OG、TBSTA、A−10、TBT、B−2、B−
4、B−7、B−10、TBSTA−400、TTS、
TOA−30、TSDMA、TTAB、TTOP等が挙
げられる。
【0104】アルミニウムカップリング剤としては、例
えば味の素社製の「プレンアクトAL−M」等が挙げら
れる。
【0105】これらの表面改質剤の添加量は着色剤に対
して0.01〜20質量%であることが好ましく、更に
好ましくは0.1〜5質量%とされる。着色剤の表面改
質法としては、着色剤粒子の分散液中に表面改質剤を添
加し、この系を加熱して反応させる方法を挙げることが
できる。表面改質された着色剤は濾過により採取され、
同一の溶媒による洗浄処理と濾過処理が繰り返された
後、乾燥処理される。
【0106】本発明のトナーを構成するトナー粒子に
は、荷電制御剤など、離型剤以外の内添剤が含有されて
いてもよい。
【0107】トナー粒子中に含有される荷電制御剤とし
ては、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸
の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム
塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩またはそ
の金属錯体等が挙げられる。
【0108】本発明のトナーに用いられる外添剤につい
て説明する。外添剤として使用できる無機微粒子として
は、従来公知のものを挙げることができる。具体的に
は、シリカ微粒子、チタン微粒子、アルミナ微粒子等を
好ましく用いることができる。これら無機微粒子は疎水
性であることが好ましい。
【0109】シリカ微粒子の具体例としては、日本アエ
ロジル(株)製の市販品R−805、R−976、R−
974、R−972、R−812、R−809、ヘキス
ト(株)製のHVK−2150、H−200、キャボッ
ト(株)製の市販品TS−720、TS−530、TS
−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
【0110】チタン微粒子の具体例としては、日本アエ
ロジル(株)製の市販品T−805、T−604、テイ
カ(株)製の市販品MT−100S、MT−100B、
MT−500BS、MT−600、MT−600SS、
JA−1、富士チタン(株)製の市販品TA−300S
I、TA−500、TAF−130、TAF−510、
TAF−510T、出光興産(株)製の市販品IT−
S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられ
る。
【0111】アルミナ微粒子の具体例としては、日本ア
エロジル(株)製の市販品RFY−C、C−604、石
原産業(株)製の市販品TTO−55等が挙げられる。
【0112】外添剤として使用できる有機微粒子として
は、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形
の微粒子を挙げることができる。かかる有機微粒子の構
成材料としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレ
ート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などの
を挙げることができる。
【0113】外添剤として使用できる滑剤としては、高
級脂肪酸の金属塩を挙げることができる。かかる高級脂
肪酸の金属塩の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ス
テアリン酸アルミニウム、ステアリン酸銅、ステアリン
酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリ
ン酸金属塩;オレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オ
レイン酸鉄、オレイン酸銅、オレイン酸マグネシウム等
のオレイン酸金属塩;パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸
銅、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウ
ム等のパルミチン酸金属塩;リノール酸亜鉛、リノール
酸カルシウム等のリノール酸金属塩;リシノール酸亜
鉛、リシノール酸カルシウムなどのリシノール酸金属塩
等が挙げられる。
【0114】外添剤の添加量としては、トナーに対して
0.1〜5質量%程度であることが好ましい。
【0115】外添剤の添加工程に着いて説明する。この
工程は乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工
程である。外添剤を添加するために使用される装置とし
ては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナ
ウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装
置を挙げることができる。
【0116】本発明のトナーの粒径について説明する。
本発明のトナーの粒径は、個数平均粒径で3〜10μm
であることが好ましく、更に好ましくは3〜8μmとさ
れる。この粒径は、トナーの製造方法において、凝集剤
の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成に
よって制御することができる。個数平均粒径が3〜10
μmであることにより、定着工程において、飛翔して加
熱部材に付着しオフセットを発生させる付着力の大きい
トナー微粒子が少なくなり、また、転写効率が高くなっ
てハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質
が向上する。トナーの個数平均粒径は、コールターカウ
ンターTA−II、コールターマルチサイザー、SLAD
1100(島津製作所社製レーザー回折式粒径測定装
置)等を用いて測定することができる。
【0117】
【実施例】以下、実施例にて本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0118】《反応性界面活性剤の製造例1(非イオン
性)》オートクレーブにノニルプロペニルフェノール2
60g(1モル)を仕込み、水酸化カリウムを触媒とし
て圧力1.47×105Pa、温度130℃の条件に
て、エチレンオキシド880g(20モル)を付加させ
て、ノニルプロペニルフェノールエチレンオキシド20
モル付加体(以下、EO20モルと記載)の組成物を
得、これを本発明乳化剤(A)とした。
【0119】《反応性界面活性剤の製造例2(イオン
性)》オートクレーブにノニルプロペニルフェノール2
60g(1モル)を仕込み、水酸化カリウムを触媒とし
て圧力1.47×105Pa、温度130℃の条件に
て、エチレンオキシド440g(10モル)を付加させ
て、ノニルプロペニルフェノールエチレンオキシド10
モル付加体(以下、EO10モルと記載)を得た。
【0120】次に、攪拌機および温度計を備えた反応容
器に上記EO10モル350g(0.5モル)およびス
ルファミン酸58.2g(0.6モル)を仕込み、12
0℃にて1時間攪拌反応させて硫酸化を行なった。得ら
れた反応物から未反応のスルファミン酸を濾別して組成
物を得た。得られた組成物を(B)とする。
【0121】《反応性界面活性剤の製造例3(両性)》
還流冷却器、温度計および撹拌器を備えた4つ口フラス
コに、メタクリル酸メチル55g、非対称ジメチルヒド
ラジン30gおよびイソプロピルアルコール62gを仕
込み、撹拌しながら50〜60℃に加熱した。同温度で
1,2−エポキシデカン78gを2時間かけて滴下した
のち、引続き60〜70℃で6時間撹拌を行った。イソ
プロピルアルコールを除いて白色のアミンイミド化合物
(C)を得た。
【0122】
【化5】
【0123】〔トナー1の作製〕 《樹脂粒子1HMLの調製》 (1)樹脂粒子(1H)の調製(核粒子の形成;第1段
重合) 攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り
付けた5000mlのセパラブルフラスコに、反応性界
面活性剤(B)2.4gおよびドデシル硫酸ナトリウム
1.2gを、イオン交換水3010gに溶解させた界面
活性剤溶液(水系媒体)に仕込み、窒素気流下230r
pmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温さ
せた。
【0124】この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫
酸カリウム:KPS)9.2gをイオン交換水200g
に溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした
後、70.1gのスチレン、19.9gのn−ブチルア
クリレート、10.9gのメタクリル酸からなる単量体
混合液Aを1時間かけて滴下し、75℃にて2時間に亘
り加熱、攪拌することにより重合(第1段重合)を行
い、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散
液)を調製した。これを樹脂粒子(1H)とする。
【0125】(2)樹脂粒子(1HM)の調製(中間層
の形成:第二段重合) 攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、105.6
gのスチレン、30.0gのn−ブチルアクリレート、
6.4gのメタクリル酸、5.6gのn−オクチル−3
−メルカプトプロピオン酸エステルからなる単量体混合
液に、72.0gの離型材としてのエステル化合物1
9)を添加し、80℃に加温し溶解させて単量体溶液B
を調製した。
【0126】一方、1.6gの反応性界面活性剤(A)
を2700mlのイオン交換水に溶解させた界面活性剤
溶液を80℃に加熱し、この界面活性剤溶液に上記の樹
脂粒子(1H)を固形分換算で28g添加した後、循環
経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEA
RMIX)」(エム・テクニック(株)製)により、単
量体溶液Bを混合分散させ、均一な分散粒子径(284
nm)を有する乳化粒子(油滴)を含む分散液(乳化
液)を調製した。
【0127】次いで、この分散液(乳化液)に、5.1
gの重合開始剤(KPS:過硫酸カリウム)を240m
lのイオン交換水に溶解させた開始剤溶液と、750m
lのイオン交換水とを添加し、この系を80℃にて3時
間にわたり加熱攪拌することにより重合(第二段重合)
を行い、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表
面が中間分子量樹脂により被覆された構造の複合樹脂粒
子の分散液)を得た。これを樹脂粒子(1HM)とす
る。
【0128】(3)樹脂粒子(1HML)の調製(外層
の形成:第三段重合) 上記で得られた樹脂粒子(1HM)に、7.4gの重合
開始剤(KPS:過硫酸カリウム)を200mlのイオ
ン交換水に溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温
度条件下に、300gのスチレン、95gのn−ブチル
アクリレート、15.3gのメタクリル酸、10.4g
のn−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終
了後、2時間に亘り加熱攪拌することにより重合(第三
段重合)を行った後、28℃まで冷却し樹脂粒子(高分
子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中
間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、前記中間
層にエステル化合物19)が含有されている複合樹脂粒
子の分散液)を得た。これを樹脂粒子(1HML)とす
る。
【0129】樹脂粒子(1HML)を構成する複合樹脂
粒子は、138,000、80,000および13,0
00にピーク分子量を有するものであり、また、この複
合樹脂粒子の重量平均粒径は122nmであった。
【0130】《トナー粒子1の作製》59.0gのドデ
シル硫酸ナトリウムを1600mlのイオン交換水に攪
拌溶解した。この溶液を攪拌しながら、フタロシアニン
顔料240.0gを徐々に添加し、次いで「クレアミッ
クス」(エム・テクニック(株)製)を用いて分散処理
することにより、着色剤粒子の分散液1(以下、「着色
剤分散液1」という)を調製した。
【0131】この着色剤分散液1における着色剤粒子の
粒子径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大
塚電子社製)を用いて測定したところ、質量平均粒子径
で98nmであった。
【0132】420.7g(固形分換算)の樹脂粒子
(1HML)と900gのイオン交換水と166gの着
色剤分散液1とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装
置、攪拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)
に入れ攪拌した。内温を30℃に調整した後、この溶液
に5Mの水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHを1
1.0に調整した。
【0133】次いで、塩化マグネシウム6水和物12.
1gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を、
攪拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放
置した後に昇温を開始し、この系を6分間かけて90℃
まで昇温した(昇温速度=10℃/分)。その状態で
「コールターカウンターTA−II」にて会合粒子の粒径
を測定し、個数平均粒径が5.5μmになった時点で、
塩化ナトリウム80.4gをイオン交換水1000ml
に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、更に
熟成処理として液温度85℃にて2時間に亘り加熱攪拌
し、球形化を進めた。その後、8℃/分の条件で40℃
まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、攪
拌を停止した。生成した会合粒子を濾過し、45℃に温
度調整したイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後40
℃の温風で乾燥することにより、個数平均粒径5.7μ
mの着色粒子を得た。得られた着色粒子100質量部に
疎水性シリカ粒子0.6質量部を転化、混合しトナー1
を得た。
【0134】〔トナー2の作製〕トナー1の作製におい
て、反応性界面活性剤(A)の代わりに反応性界面活性
剤(B)を用いた以外は、同様にしてトナー2を得た。
【0135】〔トナー3の作製〕トナー1の作製におい
て、反応性界面活性剤(A)の代わりに反応性界面活性
剤(C)を用いた以外は、同様にしてトナー3を得た。
【0136】〔比較トナー1の作製〕トナー1の作製に
おいて、反応性界面活性剤(A)および(B)をノニル
フェニルエーテルに置き換えた以外は、同様にして比較
トナー1を得た。
【0137】〔比較トナー2の作製〕トナー1の作製に
おいて、反応性界面活性剤(A)および(B)を2−ア
クリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウ
ムに置き換えた以外は、同様にして比較トナー2を得
た。
【0138】〔実写評価〕次いで、デジタル複写機(コ
ロナ帯電、レーザ露光、反転現像、静電転写、爪分離、
クリーニングブレードを有する)に、下記感光体P1お
よび上記のトナーをそのまま現像剤として搭載し評価し
た。上記デジタル複写機は以下の条件に設定し、評価を
行った。
【0139】感光体P1の作製 長さ345mm、直径60mmの円筒状導電性支持体上
に下記の塗布液を塗布し感光体P1を作製した。
【0140】〈中間層〉ポリアミド樹脂CM8000
(東レ社製)1質量部、酸化チタンSMT500SAS
(1回目:シリカ・アルミナ処理、2回目:メチルハイ
ドロジェンポリシロキサン処理、数平均一次粒径35n
m:テイカ社製)3質量部、メタノール10質量部を同
一容器中に加え超音波ホモジナイザーを用いて分散し
て、中間層塗布液1を作製した。該中間層塗布液1を上
記円筒状導電性支持体上に浸漬塗布し、4μmの乾燥膜
厚で中間層を設けた。
【0141】 〈電荷発生層〉 Y型チタニルフタロシアニン(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、ブ ラッグ角2θ(±0.2)の27.2度に最大ピークを有するオキシチタニルフ タロシアニン顔料) 60g シリコーン変性ブチラール樹脂(X−40−1211M:信越化学社製) 700g 2−ブタノン 2000ml を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発
生層塗布液を調製した。この塗布液を前記下引き層の上
に浸漬塗布法で塗布し、膜厚0.2μmの電荷発生層を
形成した。
【0142】 〈電荷輸送層〉 電荷輸送物質(N−(4−メチルフェニル)−N−{4−(β−フェニルスチ リル)フェニル}−p−トルイジン) 225g ポリカーボネート(粘度平均分子量30,000) 300g 酸化防止剤(下記化合物A) 6g ジクロロメタン 2000ml を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この
塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾
燥膜厚23μmの電荷輸送層を形成し、感光体P1を作
製した。
【0143】(帯電条件) 帯電器;ブラシ型接触帯電ローラー、初期帯電電位を−
750Vに調整 (露光条件) 露光部電位を−50Vにする露光量に設定 (現像条件) DCバイアス;−550V 転写極;ローラー転写方式 なお、線速は120mm/secであり、定着装置のク
リーニング機構およびシリコンオイル供給機構は装着し
ていない。定着の温度は加熱ローラーの表面温度で制御
し、165℃の設定温度とした。複写条件は空調環境
(22℃、45%RH)にて連続50万プリント行い、
以下の項目で評価を行った。
【0144】〈高湿環境下でのカブリ〉30℃、94%
RHの環境で実写し、非画像部にカブリが認められたも
のを×、認められないものを○とした。
【0145】〈転写性〉 ◎:初期、50万プリント後、いずれも転写率が98%
以上である ○:初期転写率98%以上、50万プリント後転写率9
2%以上、98%未満 ×:初期転写率98%未満、あるいは50万プリント後
転写率92%未満 転写率の評価条件:細かい文字画像を10000枚連続
印字し、消費したトナー量とクリーニングから回収した
トナーの質量を測定した。転写率=〔(消費したトナー
量)―(クリーニングで回収した転写残トナー)〕/
(消費したトナー量)×100。
【0146】〈耐汚染性(トナースペント)〉50万プ
リント後、キャリアを走査型電子現像剤顕微鏡で観察し
トナー融着の有無を観察した。
【0147】 ◎:融着が全くなく問題ない ○:僅かに融着が認められるが、画像に影響ない ×:融着が激しく、画像にカブリ、弱帯電トナーのこぼ
れ生じる。
【0148】〈画像ボケ〉高温高湿(33℃、90%R
H)で、画像全面に5.6ポイントの文字を2000枚
印字し、一晩放置した翌朝、画像を観察し判定した。
【0149】 ◎:画像ボケが全くなく問題ない ○:僅かに画像ボケが認められるが、文字は充分判読可
能 ×:画像ボケが激しく、判読できない文字がある。
【0150】
【表1】
【0151】表1より本発明のトナーを用いた画像は比
較トナーに比べて、転写性、耐汚染性はもちろんの事、
特に高湿下でのカブリ、画像ボケで明らかに優位であ
る。また本発明の中では、非イオン性の反応性界面活性
剤を用いたトナー1からの画像が特に優れていることも
明らかである。
【0152】
【発明の効果】本発明のトナーによって、高湿環境化で
のトナーに由来するカブリや画像ボケを改良したコピー
画像を得ることができた。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水系媒体中で共重合性の不飽和基を有す
    る界面活性剤の存在下、重合性単量体を重合させて調製
    される樹脂粒子と着色剤を塩析、凝集、融着の工程を経
    て製造されることを特徴とするトナー。
  2. 【請求項2】 共重合性の不飽和基を有する界面活性剤
    が非イオン性であることを特徴とする請求項1に記載の
    トナー。
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US8067143B2 (en) 2006-09-08 2011-11-29 Sharp Kabushiki Kaisha Functional particle and manufacturing method thereof
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KR101227818B1 (ko) 2005-07-19 2013-01-29 코니카 미놀타 비지니스 테크놀로지즈 가부시키가이샤 토너의 제조 방법 및 토너 및 화상 형성 방법

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