JP2006220133A - 吸入空気量ばらつき検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、複数の気筒を有する内燃機関において気筒間の吸入空気量のばらつきを検出する装置に関し、気筒間の吸入空気量のばらつきを正確に検出できるようにする。
【解決手段】 燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側或いは減少側の何れか一方に変化させる。そのときのトルク或いは回転数の変化幅を求め、求めたトルク或いは回転数の変化幅を、気筒間の吸入空気量のばらつきの程度を示す指標値として出力する。
【選択図】 図3
【解決手段】 燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側或いは減少側の何れか一方に変化させる。そのときのトルク或いは回転数の変化幅を求め、求めたトルク或いは回転数の変化幅を、気筒間の吸入空気量のばらつきの程度を示す指標値として出力する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、複数の気筒を有する内燃機関において気筒間の吸入空気量のばらつきを検出する検出装置に関し、詳しくは、吸気バルブの作用角やリフト量を変更可能な可変動弁装置を備えた内燃機関に用いて好適な検出装置に関する。
従来、吸気バルブの作用角やリフト量を可変制御できる可変動弁装置を備えた内燃機関が知られている。この種の内燃機関では、吸気バルブの作用角及びリフト量を可変制御することで、スロットルバルブを用いることなく、その作用角及びリフト量により吸入空気量を制御することができる。この場合、吸気管内に負圧が発生しなくなることから、内燃機関のポンピングロスを減らすことが可能になる。
しかし、可変動弁装置を備える内燃機関では吸入空気量は作用角及びリフト量によって決まるため、気筒間で作用角及びリフト量にばらつきがあると、それが気筒間で吸入空気量がばらつく原因となってしまう。作用角及びリフト量のばらつきが吸入空気量のばらつきに与える影響は、特に、吸入空気量が少ない小作用角・小リフト時において顕著になり、吸入空気量のばらつきが過大になると内燃機関のトルク変動を招いたり、排気エミッションの悪化を招いたりしてしまう。このため、可変動弁装置を備える内燃機関では、気筒間の吸入空気量のばらつきを検出し、ばらつきが許容範囲に収まるように各気筒の作用角及びリフト量の調整を行うことが求められる。
気筒間の吸入空気量のばらつきを検出する方法としては、例えば、気筒毎の燃焼状態を検出し、そのばらつきから検出する方法が考えられる。気筒毎の燃焼状態のばらつきを検出する方法に関しては、特許文献1等に記載されている。また、気筒毎の吸気管負圧の変化量、気筒毎の空燃比、或いは、気筒毎の燃焼圧を検出し、それらのばらつきから気筒間の吸入空気量のばらつきを検出する方法も考えられる。
特許2831483号公報
特開平4−299084号公報
特開2004−176689号公報
特開平5−156979号公報
しかしながら、先に列挙した各検出方法では、検出時の計測誤差が大きいため、気筒間の吸入空気量のばらつきを正確に検出することが難しい。気筒間の吸入空気量のばらつき状態を正確に把握できなければ、吸気バルブの作用角及びリフト量を気筒毎に正確に調整することもできない。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、気筒間の吸入空気量のばらつきを正確に検出できるようにした、吸入空気量ばらつき検出装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、複数の気筒を有する内燃機関において気筒間の吸入空気量のばらつきを検出する装置であって、
燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側或いは減少側の何れか一方に変化させる噴射量制御手段と、
前記噴射量制御手段により燃料噴射量を変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅を求める演算手段と、
前記演算手段により求められたトルク或いは回転数の変化幅を、気筒間の吸入空気量のばらつきの程度を示す指標値として出力する出力手段と、
を備えることを特徴としている。
燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側或いは減少側の何れか一方に変化させる噴射量制御手段と、
前記噴射量制御手段により燃料噴射量を変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅を求める演算手段と、
前記演算手段により求められたトルク或いは回転数の変化幅を、気筒間の吸入空気量のばらつきの程度を示す指標値として出力する出力手段と、
を備えることを特徴としている。
第2の発明は、第1の発明において、前記噴射量制御手段により燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に変化させたときの前記変化幅と所定の基準値とを比較する比較手段と、
前記変化幅が前記基準値を超えるときには、気筒間の吸入空気量のばらつきが許容レベルを超えていると判定する判定手段とを備えることを特徴としている。
前記変化幅が前記基準値を超えるときには、気筒間の吸入空気量のばらつきが許容レベルを超えていると判定する判定手段とを備えることを特徴としている。
第3の発明は、第1の発明において、前記噴射量制御手段により燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に変化させたときの前記変化幅と所定の基準値とを比較する比較手段と、
前記変化幅が前記基準値を下回るときには、気筒間の吸入空気量のばらつきが許容レベルを超えていると判定する判定手段とを備えることを特徴としている。
前記変化幅が前記基準値を下回るときには、気筒間の吸入空気量のばらつきが許容レベルを超えていると判定する判定手段とを備えることを特徴としている。
第4の発明は、第1乃至第3の何れか1つの発明において、前記噴射量制御手段は、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から所定量増大側に、或いは所定量減少側に周期的に変化させるように構成されており、
前記演算手段は、トルク或いは回転数の変化から燃料噴射量の変動周波数と同じ周波数の変動成分を抽出し、抽出した変動成分の振幅を前記変化幅として求めるように構成されていることを特徴としている。
前記演算手段は、トルク或いは回転数の変化から燃料噴射量の変動周波数と同じ周波数の変動成分を抽出し、抽出した変動成分の振幅を前記変化幅として求めるように構成されていることを特徴としている。
また、第5の発明は、上記の目的を達成するため、複数の気筒を有する内燃機関において気筒間の吸入空気量のばらつきを検出する装置であって、
前記複数の気筒のうち特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側或いは減少側の何れか一方に変化させる噴射量制御手段と、
前記噴射量制御手段により前記特定気筒の燃料噴射量を変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅を求める演算手段と、
前記演算手段により求められたトルク或いは回転数の変化幅を、前記特定気筒における吸入空気量のずれの程度を示す指標値として出力する出力手段と、
を備えることを特徴としている。
前記複数の気筒のうち特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側或いは減少側の何れか一方に変化させる噴射量制御手段と、
前記噴射量制御手段により前記特定気筒の燃料噴射量を変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅を求める演算手段と、
前記演算手段により求められたトルク或いは回転数の変化幅を、前記特定気筒における吸入空気量のずれの程度を示す指標値として出力する出力手段と、
を備えることを特徴としている。
第6の発明は、第5の発明において、前記噴射量制御手段により前記特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に変化させたときの前記変化幅と所定の基準値とを比較する比較手段と、
前記変化幅が前記基準値を超えるときには、前記特定気筒における吸入空気量の過剰側へのずれが許容レベルを超えていると判定する判定手段とを備えることを特徴としている。
前記変化幅が前記基準値を超えるときには、前記特定気筒における吸入空気量の過剰側へのずれが許容レベルを超えていると判定する判定手段とを備えることを特徴としている。
第7の発明は、第5の発明において、前記噴射量制御手段により前記特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に変化させたときの前記変化幅と所定の基準値とを比較する比較手段と、
前記変化幅が前記基準値を下回るときには、前記特定気筒における吸入空気量の不足側へのずれが許容レベルを超えていると判定する判定手段とを備えることを特徴としている。
前記変化幅が前記基準値を下回るときには、前記特定気筒における吸入空気量の不足側へのずれが許容レベルを超えていると判定する判定手段とを備えることを特徴としている。
第8の発明は、第5乃至第7の何れか1つの発明において、前記噴射量制御手段は、前記特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から所定量増大側に、或いは所定量減少側に周期的に変化させるように構成されており、
前記演算手段は、トルク或いは回転数の変化から前記特定気筒の燃料噴射量の変動周波数と同じ周波数の変動成分を抽出し、抽出した変動成分の振幅を前記変化幅として求めるように構成されていることを特徴としている。
前記演算手段は、トルク或いは回転数の変化から前記特定気筒の燃料噴射量の変動周波数と同じ周波数の変動成分を抽出し、抽出した変動成分の振幅を前記変化幅として求めるように構成されていることを特徴としている。
また、第9の発明は、上記の目的を達成するため、複数の気筒を有する内燃機関において気筒間の吸入空気量のばらつきを検出する装置であって、
燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側或いは減少側の何れか一方に変化させる噴射量制御手段と、
前記噴射量制御手段により燃料噴射量を変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅を気筒毎に求める演算手段と、
前記演算手段により求められた気筒毎のトルク或いは回転数の変化幅を、各気筒における吸入空気量のずれの程度を示す指標値として出力する出力手段と、
を備えることを特徴としている。
燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側或いは減少側の何れか一方に変化させる噴射量制御手段と、
前記噴射量制御手段により燃料噴射量を変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅を気筒毎に求める演算手段と、
前記演算手段により求められた気筒毎のトルク或いは回転数の変化幅を、各気筒における吸入空気量のずれの程度を示す指標値として出力する出力手段と、
を備えることを特徴としている。
第10の発明は、第9の発明において、前記噴射量制御手段により燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に変化させたときの前記変化幅と所定の基準値とを気筒毎に比較する比較手段と、
前記変化幅が前記基準値を超えるときには、当該気筒における吸入空気量の過剰側へのずれが許容レベルを超えていると判定する判定手段とを備えることを特徴としている。
前記変化幅が前記基準値を超えるときには、当該気筒における吸入空気量の過剰側へのずれが許容レベルを超えていると判定する判定手段とを備えることを特徴としている。
第11の発明は、第9の発明において、前記噴射量制御手段により燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に変化させたときの前記変化幅と所定の基準値とを気筒毎に比較する比較手段と、
前記変化幅が前記基準値を下回るときには、当該気筒における吸入空気量の不足側へのずれが許容レベルを超えていると判定する判定手段とを備えることを特徴としている。
前記変化幅が前記基準値を下回るときには、当該気筒における吸入空気量の不足側へのずれが許容レベルを超えていると判定する判定手段とを備えることを特徴としている。
第12の発明は、第9乃至第11の何れか1つの発明において、前記噴射量制御手段は、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から所定量増大側に、或いは所定量減少側に周期的に変化させるように構成されており、
前記演算手段は、気筒毎にサンプリングしたトルク或いは回転数の変化から燃料噴射量の変動周波数と同じ周波数の変動成分を抽出し、抽出した変動成分の振幅を各気筒における前記変化幅として求めるように構成されていることを特徴としている。
前記演算手段は、気筒毎にサンプリングしたトルク或いは回転数の変化から燃料噴射量の変動周波数と同じ周波数の変動成分を抽出し、抽出した変動成分の振幅を各気筒における前記変化幅として求めるように構成されていることを特徴としている。
また、第13の発明は、上記の目的を達成するため、複数の気筒を有する内燃機関において気筒間の吸入空気量のばらつきを検出する装置であって、
前記複数の気筒のうち特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に変化させる第1の噴射量制御手段と、
前記第1の噴射量制御手段により前記特定気筒の燃料噴射量を変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅を求める第1の演算手段と、
前記第1の演算手段により求められたトルク或いは回転数の変化幅が所定の基準値を超えていない場合には、前記特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に変化させる第2の噴射量制御手段と、
前記第2の噴射量制御手段により前記特定気筒の燃料噴射量を変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅を求める第2の演算手段と、
前記第1の演算手段により求められたトルク或いは回転数の変化幅、及び、前記第2の演算手段により求められたトルク或いは回転数の変化幅を、前記特定気筒における吸入空気量のずれの程度を示す指標値として出力する出力手段と、
を備えることを特徴としている。
前記複数の気筒のうち特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に変化させる第1の噴射量制御手段と、
前記第1の噴射量制御手段により前記特定気筒の燃料噴射量を変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅を求める第1の演算手段と、
前記第1の演算手段により求められたトルク或いは回転数の変化幅が所定の基準値を超えていない場合には、前記特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に変化させる第2の噴射量制御手段と、
前記第2の噴射量制御手段により前記特定気筒の燃料噴射量を変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅を求める第2の演算手段と、
前記第1の演算手段により求められたトルク或いは回転数の変化幅、及び、前記第2の演算手段により求められたトルク或いは回転数の変化幅を、前記特定気筒における吸入空気量のずれの程度を示す指標値として出力する出力手段と、
を備えることを特徴としている。
また、第14の発明は、第4、第8、第12の何れか1つの発明において、前記噴射量制御手段は、人間が体感可能な周波数帯域外の周波数で燃料噴射量を周期的に変化させることを特徴としている。
第15の発明は、第1乃至第14の何れか1つの発明において、気筒間の吸入空気量のばらつきを、気筒間の吸気バルブの作用角及び/又はリフト量のばらつきに換算する換算手段を備えることを特徴としている。
気筒間の吸入空気量にばらつきがある場合、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側或いは減少側の何れか一方に変化させると、吸入空気量のばらつきの程度に応じてトルク或いは回転数に変化が表れる。第1の発明によれば、燃料噴射量を変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅が、気筒間の吸入空気量のばらつきの程度を示す指標値として出力されるので、気筒間の吸入空気量のばらつきを正確に検出することができる。
特に、第2の発明によれば、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に変化させることで、吸入空気量が適正或いは不足側にずれている気筒ではトルクの変動が生じないのに対し、吸入空気量が過剰側にずれている気筒ではずれの程度に応じてトルクの変動が生じる。したがって、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅と所定の基準値とを比較することで、気筒間の吸入空気量のばらつきが許容レベルを超えているか否か正確に判定することができる。
また、第3の発明によれば、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に変化させることで、吸入空気量が適正或いは過剰側にずれている気筒では一定のトルク変動が生じるのに対し、吸入空気量が不足側にずれている気筒ではずれの程度に応じてトルクの変動が小さくなる。したがって、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅と所定の基準値とを比較することで、気筒間の吸入空気量のばらつきが許容レベルを超えているか否か正確に判定することができる。
さらに、第4の発明によれば、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から周期的に変化させ、その変動周波数と同じ周波数の変動成分をトルク或いは回転数の変化から抽出することにより、内燃機関の運転状態が定常状態であるか過度状態であるかにかかわらず、吸入空気量のばらつきの程度を正確に把握することができる。
第5の発明によれば、特定気筒の燃料噴射量を変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅が、当該特定気筒における吸入空気量のずれの程度を示す指標値として出力されるので、当該特定気筒における吸入空気量のずれを正確に検出することができる。そして、全気筒についてそれぞれ吸入空気量のずれを検出することで、気筒間の吸入空気量のばらつきを正確に検出することができる。また、本発明によれば、複数の気筒のうちの特定気筒の燃料噴射量を変化させるので、全体での燃料噴射量の変化を小さくすることでき、トルクや空燃比の変動を抑えることができる。
特に、第6の発明によれば、特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に変化させることで、当該特定気筒の吸入空気量が適正或いは不足側にずれている場合にはトルクの変動が生じないのに対し、吸入空気量が過剰側にずれている場合にはずれの程度に応じてトルクの変動が生じる。したがって、特定気筒における燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅と所定の基準値とを比較することで、当該特定気筒における吸入空気量の過剰側へのずれが許容レベルを超えているか否か正確に判定することができる。
また、第7の発明によれば、特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に変化させることで、当該特定気筒の吸入空気量が適正或いは過剰側にずれている場合には一定のトルク変動が生じるのに対し、吸入空気量が不足側にずれている場合にはずれの程度に応じてトルクの変動が小さくなる。したがって、特定気筒における燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅と所定の基準値とを比較することで、当該特定気筒における吸入空気量の不足側へのずれが許容レベルを超えているか否か正確に判定することができる。
さらに、第8の発明によれば、特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から周期的に変化させ、その変動周波数と同じ周波数の変動成分をトルク或いは回転数の変化から抽出することにより、内燃機関の運転状態が定常状態であるか過度状態であるかにかかわらず、当該特定気筒における吸入空気量のずれを正確に把握することができる。
第9の発明によれば、燃料噴射量を変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅が気筒毎に求められ、それが各気筒における吸入空気量のずれの程度を示す指標値として出力されるので、各気筒における吸入空気量のずれを正確に検出することができる。そして、各気筒における吸入空気量のずれを検出することで、気筒間の吸入空気量のばらつきを正確に検出することができる。また、本発明によれば、気筒毎に燃料噴射量を変化させる場合に比較して、各気筒における吸入空気量のずれを短時間で検出することができる。
特に、第10の発明によれば、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に変化させることで、吸入空気量が適正或いは不足側にずれている気筒ではトルクの変動が生じないのに対し、吸入空気量が過剰側にずれている気筒ではずれの程度に応じてトルクの変動が生じる。したがって、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅を気筒毎に求めて所定の基準値と比較することで、吸入空気量の過剰側へのずれが許容レベルを超えているか否か気筒毎に正確に判定することができる。
また、第11の発明によれば、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に変化させることで、吸入空気量が適正或いは過剰側にずれている気筒では一定のトルク変動が生じるのに対し、吸入空気量が不足側にずれている気筒ではずれの程度に応じてトルクの変動が小さくなる。したがって、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅を気筒毎に求めて所定の基準値と比較することで、吸入空気量の不足側へのずれが許容レベルを超えているか否か気筒毎に正確に判定することができる。
さらに、第12の発明によれば、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から周期的に変化させ、その変動周波数と同じ周波数の変動成分を気筒毎にサンプリングしたトルク或いは回転数の変化から抽出することにより、内燃機関の運転状態が定常状態であるか過度状態であるかにかかわらず、吸入空気量のずれを気筒毎に正確に把握することができる。
第13の発明によれば、特定気筒における燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に変化させ、そのときのトルク或いは回転数の変化幅が当該特定気筒における吸入空気量のずれの程度を示す指標値として出力される。また、前記の変化幅が基準値を超えていない場合には、特定気筒における燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に変化させ、そのときのトルク或いは回転数の変化幅も当該特定気筒における吸入空気量のずれの程度を示す指標値として出力される。これにより、当該特定気筒における吸入空気量が過剰側へずれている場合に起こりうる失火を防止しつつ、当該特定気筒における吸入空気量のずれを正確に検出することができる。
また、第14の発明によれば、燃料噴射量を周期的に変化させることでトルクに変動が生じたとしても、その周波数は人間が体感可能な周波数帯域外であるので、乗員に違和感や不快感を与えることがないという利点がある。
第15の発明によれば、気筒間の吸入空気量のばらつきが気筒間の吸気バルブの作用角及び/又はリフト量のばらつきに換算されるので、吸入空気量のばらつきを修正するための作業が容易になるという利点がある。
実施の形態1.
以下、図1乃至図6を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。
図1は本発明の実施の形態としての吸入空気量ばらつき検出装置が適用された内燃機関の構成を説明するための図である。本実施形態にかかる内燃機関2は、4つの気筒#1〜#4を有する直列4気筒エンジンとして構成されている。
以下、図1乃至図6を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。
図1は本発明の実施の形態としての吸入空気量ばらつき検出装置が適用された内燃機関の構成を説明するための図である。本実施形態にかかる内燃機関2は、4つの気筒#1〜#4を有する直列4気筒エンジンとして構成されている。
内燃機関2は、空気を導入する吸気通路4と燃焼ガスを排出する排気通路6を有している。吸気通路4の上流端にはエアクリーナ20が備えられ、エアクリーナ20の直ぐ下流部分には吸入空気量(時間当たりの空気の流入量)を測定するエアフローメータ32が配置されている。吸気通路4の下流側端部と排気通路6の上流側端部はそれぞれ各気筒#1〜#4の燃焼室10に接続されている。吸気通路4の下流部には、気筒#1〜#4毎にインジェクタ18が取り付けられている。
燃焼室10と吸気通路4との接続部にはその連通状態を制御する吸気バルブ12が設けられている。燃焼室10と排気通路6との接続部にはその連通状態を制御する排気バルブ14が設けられている。吸気バルブ12と排気バルブ14は、ともに図示しないカムシャフトからの駆動力の入力を受けて開閉動作する。特に、吸気バルブ12には、吸気バルブ12の作用角及びリフト量を可変制御することができる可変動弁装置16が気筒#1〜#4毎に設けられている。各可変動弁装置16は、共通の制御軸24によって連結されており、制御軸24をアクチュエータ(例えばモータ)22によって回転駆動することで、全ての可変動弁装置16が一体的に駆動されるようになっている。この内燃機関2では、図示しないアクセルペダルの操作に応じてアクチュエータ22を操作し、可変動弁装置16を駆動して吸気バルブ12の作用角及びリフト量を可変制御することで、スロットルバルブを用いることなく吸入空気量を制御することができる。
なお、可変動弁装置16の構造についての限定はないが、例えば、次のように構成することができる。カムシャフトと吸気バルブ12との間に、カムの動作と同期して揺動する揺動アームを備える。揺動アームは、制御軸24の回転に伴って吸気バルブ12に対する基本の相対角度を変化させることができるように、自由度をもって内燃機関2に組み付けられる。このような構成において、制御軸24が回動すると、揺動アームと吸気バルブ12の基準の相対角度が変化する。そして、この相対角度が変化すると、カムの押圧力が揺動アームに伝達され始めた後、つまり、カムの作用により揺動アームが揺動し始めた後、揺動アームが実際に吸気バルブ12を押し下げ始めるまでの期間に変化が生ずる。このため、上記の構成によれば、制御軸24の回転位置をアクチュエータ22で制御することで、吸気バルブ12の作用角及びリフト量の大きさを変化させることができる。
また、内燃機関2は、その制御装置としてECU(Electronic Control Unit)30を備えている。ECU30の出力側には前述のインジェクタ18や可変動弁装置16等の種々の機器が接続されている。ECU30の入力側には、前述のエアフローメータ32の他、クランク角センサ34等の種々のセンサ類が接続されている。クランク角センサ34は、クランクシャフト28が一定角度回転する毎に信号を出力するセンサである。ECU30は、各センサの出力に基づき、所定の制御プログラムにしたがって各機器を駆動するようになっており、本発明の吸入空気量ばらつき検出装置としても機能するようになっている。
次に、図2乃至図4を用いて、吸入空気量のばらつき検出の基本的な考え方について説明する。まず、図2は、内燃機関の発生トルクと筒内の空燃比(A/F)との関係を示している。この図に示すように、空燃比がストイキよりもリッチ側にある場合には、空燃比に対するトルクの変化はほとんどない。つまり、トルクの空燃比に対する感度は小さい。これは、ストイキを超える分の燃料は酸素が不足するために燃焼せず、トルクにほとんど寄与しないからである。一方、空燃比がストイキよりもリーン側にある場合には、トルクは空燃比に応じて大きく変化し、空燃比がリーンになるほどトルクも小さくなる。つまり、トルクの空燃比に対する感度は大きい。これは、供給した燃料は全て燃焼し、燃焼した燃料量によってトルクが決まるからである。本発明では、このような空燃比に対するトルクの感度差を利用して、気筒間の吸入空気量のばらつきを検出する。
図3及び図4は、アイドル状態において、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に周期的に変化させたときの筒内空燃比、トルク、回転数の変化について示している。内燃機関2のストイキ運転時、内燃機関全体での空燃比はストイキになっている。しかし、吸気バルブ12の作用角及びリフト量に気筒間でばらつきがある場合には、吸入空気量が標準量よりも過剰になっている気筒と、吸入空気量が標準量よりも不足している気筒とが存在し、前者の気筒では空燃比はストイキよりもリーンになり、後者の気筒では空燃比はストイキよりもリッチになっている。
吸入空気量が過剰側にずれている気筒(リーン気筒という)では、上記のように燃料噴射量を変化させたとき、筒内空燃比、トルク、回転数はそれぞれ図3に示すように変化する。まず、筒内空燃比は、ストイキを通ってリーン側とリッチ側とに周期的に変化する。筒内空燃比がリーン側にあるときのトルクの空燃比に対する感度は大きいのに対し、筒内空燃比がリッチ側にあるときはトルクの空燃比に対する感度は小さい。このため、リーン気筒では、筒内空燃比がリッチ側にあるときはトルクは略一定となり、筒内空燃比がリーン側にあるときはリーンの程度に応じてトルクは低下する。その結果、リーン気筒のトルクは、筒内空燃比の変化と同じ周期で変化することになる。また、アイドル状態では、トルクに応じて回転数が変化することから、回転数もトルクと同様の変化を示すことになる。図3中に示すトルクの振動振幅ΔTや回転数の振動振幅ΔNeは、ストイキ運転時の筒内空燃比がストイキからリーン側に大きくずれているほど、大きくなる。
これに対し、吸入空気量が不足側にずれている気筒(リッチ気筒という)では、上記のように燃料噴射量を変化させたとき、筒内空燃比、トルク、回転数はそれぞれ図4に示すように変化する。まず、筒内空燃比は、ストイキよりもリッチ側の領域で周期的に変化する。しかし、筒内空燃比がリッチ側にあるときはトルクの空燃比に対する感度は小さいため、リッチ気筒では、筒内空燃比の変化にかかわらずトルクは略一定となる。また、アイドル状態では、回転数もトルクと同様に略一定となる。
以上のことから、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に周期的に変化させ、そのときのトルク或いは回転数の変化をモニタリングすることで、吸入空気量が過剰側にずれている気筒の存在を検出することができる。つまり、吸入空気量が過剰側にずれている気筒がある場合には、トルクや回転数に周期的な変化が生じることになる。また、吸入空気量が過剰側にずれている気筒が存在するならば、逆に吸入空気量が不足側にずれている気筒も必ず存在することになる。したがって、トルクや回転数の周期的な変化は、気筒間で吸入空気量にばらつきがあることを示している。
また、リーン気筒における吸入空気量の過剰側へのずれの程度が大きいほど、トルクや回転数の振動振幅も大きくなる。リーン気筒における吸入空気量の過剰側へのずれの程度が大きければ、逆にリッチ気筒における吸入空気量の不足側へのずれの程度も大きいと言える。つまり、気筒間の吸入空気量のばらつきが大きいと言える。したがって、トルク或いは回転数の変化をモニタリングし、その振動振幅を測定することで、気筒間の吸入空気量のばらつきの程度を正確に把握することが可能になる。
次に、ECU30により実行される処理について説明する。図5のフローチャートは、ECU30により実行されるルーチンを示している。このルーチンでは、上述の基本的な考え方に基づいて吸気バルブ12の作用角及びリフト量のばらつきが検出され、その結果に基づいて作用角及びリフト量の補正の必要があるか否かの判定が行われる。
図5に示すルーチンの最初のステップ100では、内燃機関2の制御モードとして作用角及びリフト量(以下では単に作用角という)のばらつきを検出する検出モードが選択されたか否か判定される。検出モードは、例えば、車両の運転中、一定の走行距離ごとに定期的に自動選択されるようになっている。また、内燃機関2の試運転時や整備時の診断モードの1つとして選択できるようにもなっている。
検出モードが選択された場合、ECU30からアクチュエータ22への指令信号によって各気筒の可変動弁装置16が操作され、各気筒の吸気バルブ12はその作用角を所定の小作用角に設定される。作用角が小作用角に設定されることで、吸気バルブ12のリフト量は作用角に連動して小リフト量に変更される。このように吸気バルブ12を小作用角に設定するのは、作用角が小さいほど、作用角のばらつきが吸入空気量のばらつきに与える影響が大きくなることによる。つまり、作用角のばらつきが検出しやすくなるからである。吸気バルブ12を小作用角に設定した状態で、内燃機関2のアイドル運転が行われる(以上、ステップ102)。
次のステップ104では、インジェクタ18からの燃料噴射量がストイキ運転時の噴射量から増大側に周期的に変化させられる。この燃料噴射量の変動操作は、ある特定の気筒だけでなく、全ての気筒について一様に行われる。また、燃料噴射量の変動周波数は、人間が感知しやすい周波数域から外して設定されている。これは、検出モードを車両の運転中に実行する場合、燃料噴射量の変動に伴うトルクや回転数の変動が乗員に違和感として伝わらないようにするためである。
燃料噴射量を周期的に変化させたら、次に、そのときの回転数がモニタリングされる(ステップ106)。内燃機関2の回転数(単位時間あたりの回転数)は、クランク角センサ34からのクランク角信号を処理することで取得することができる。モニタリングされた回転数はメモリにバッファリングされる。
回転数のモニタリング時間が所定時間に達したら、バッファリングした回転数のデータがFFT等でフィルタ処理され、燃料噴射量の変動周波数と同周波数の変動成分が抽出される(ステップ108)。このフィルタ処理により、例えば、図6に示すように、エアコン等の補機負荷の変化によって回転数が変化した場合であっても、燃料噴射量の変動周期Δtと同周期の変動成分を抽出することで、このような外乱の影響を受けることなく、燃料噴射量の変動に伴う回転数の変動を正確に抽出することが可能になる。
次のステップ110では、まず、ステップ108で検出された回転数の変動からその振幅が測定される。前述のように、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に周期的に変化させたときの回転数の振幅は、気筒間の吸入空気量のばらつき量に関係しており、吸入空気量のばらつき量が大きいほど回転数の振幅は大きくなる。また、気筒間の吸入空気量のばらつきは作用角のばらつきが大きいほど大きくなる。つまり、気筒間の作用角のばらつき量が大きいほど、回転数の振幅も大きくなる。ステップ110では、測定された回転数の振幅を予め用意された対応テーブルに照合することで、気筒間に生じている作用角のばらつき量が算出される。
次のステップ112では、ステップ110で算出された作用角のばらつき量が所定の許容値を超えているか否か判定される。許容値は、吸入空気量のばらつきがトルク変動や排気エミッションに与える影響と計測誤差とを考慮して設定されている。作用角のばらつき量が許容値未満の場合には、現在のところ、問題となるような吸入空気量のばらつきは生じていないと判断することができる。この場合は、各気筒の吸気バルブ12の作用角を補正する必要は無いので、特別な処理を行うことなく本ルーチンは終了する。
一方、ステップ112の判定の結果、作用角のばらつき量が許容値以上になっている場合には、気筒間に無視できない程度の吸入空気量のばらつきが生じていると判断することができる。この場合は、吸気バルブ12の作用角を気筒毎に補正する必要があるので、ECU30は、運転者や整備士に作用角にばらつきがあることを知らせるための信号を出力する(ステップ114)。この信号は、吸気バルブ12の作用角が気筒毎に適正に補正され、気筒間の吸入空気量のばらつきが解消されるまで出力される。
以上のルーチンによれば、気筒間の吸入空気量のばらつきを正確に検出することができ、その検出結果に従って吸気バルブ12の作用角(及びリフト量)を気筒毎に補正することで、気筒間の吸入空気量のばらつきを速やかに解消することができる。なお、吸気バルブ12の作用角のばらつきは、可変動弁装置16の組み付け状態を気筒毎に調整することで補正することができる。ただし、各気筒の可変動弁装置16に吸気バルブ12の作用角を自動調整できる機能がついているならば、ステップ110で算出される作用角のばらつき量(或いは回転数の変動幅)に基づいて自動調整するようにしてもよい。
なお、上述した実施の形態においては、ECU30による上記ステップ104の処理の実行により、第1の発明の「噴射量制御手段」が実現され、上記ステップ106,108,110の処理の実行により、第1の発明の「演算手段」が実現され、上記ステップ112,114の処理の実行により、第1の発明の「出力手段」が実現されている。
実施の形態2.
次に、図7を参照して本発明の実施の形態2について説明する。
本発明の実施の形態2としての吸入空気量ばらつき検出装置は、実施の形態1において、ECU30に、図5のルーチンに代えて図7のルーチンを実行させることにより実現することができる。
次に、図7を参照して本発明の実施の形態2について説明する。
本発明の実施の形態2としての吸入空気量ばらつき検出装置は、実施の形態1において、ECU30に、図5のルーチンに代えて図7のルーチンを実行させることにより実現することができる。
実施の形態1では、気筒間に生じている吸入空気量のばらつきを検出しているが、どの気筒の吸入空気量が多く、どの気筒の吸入空気量が少ないかまでは検出するようにはなっていない。各気筒の吸気バルブ12の作用角及びリフト量を個別に調整していく上では、吸入空気量の基準値からのずれ量を気筒毎に把握できるようにするのが望ましい。気筒毎の吸入空気量のずれは、前述の基本的な考え方に基づいて燃料噴射量を気筒毎に制御することで検出することができる。つまり、ある気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に周期的に変化させたとき、トルクや回転数に周期的な変化が生じる場合には、当該気筒の吸入空気量は過剰側にずれていると判断することができ、しかも、回転数等の変動の振幅が大きいほど、吸入空気量の過剰側へのずれは大きいと判断することができる。したがって、燃料噴射量を気筒毎に変化させたときのトルク或いは回転数の変化をモニタリングし、その振動振幅を測定することで、吸入空気量の過剰側へのずれの程度を気筒毎に把握することが可能になる。
図7のフローチャートは、本実施形態においてECU30により実行されるルーチンを示している。このルーチンでは、前述の基本的な考え方に基づいて吸気バルブ12の作用角及びリフト量のずれが気筒毎に検出され、その結果に基づいて作用角及びリフト量の補正の必要があるか否かの判定が行われる。
図7に示すルーチンの最初のステップ200では、現在の制御モードが作用角及びリフト量(以下では単に作用角という)のばらつきを検出する検出モードが選択されたか否か判定される。検出モードが選択された場合、ステップ202の処理が実行される。ステップ202では、ECU30からアクチュエータ22への指令信号によって各気筒の可変動弁装置16が操作され、各気筒の吸気バルブ12はその作用角を所定の小作用角に設定される。そして、吸気バルブ12を小作用角に設定した状態で、内燃機関2のアイドル運転が行われる。
次のステップ204では、ある特定気筒の燃料噴射量のみストイキ運転時の噴射量から増大側に周期的に変化させられる。なお、ストイキ運転時の噴射量とは、内燃機関全体の空燃比、つまり、全気筒の平均空燃比がストイキになるように各気筒の燃料噴射量を調整したときの、当該特定気筒の燃料噴射量のことである。このときの燃料噴射量の変動周波数は、人間が感知しやすい周波数域から外して設定されている。特定気筒以外の気筒の燃料噴射量は、ストイキ運転時の燃料噴射量に保持される。本ステップの最初の実行時には、特定気筒は第1気筒#1に設定されている。
第1気筒#1の燃料噴射量を周期的に変化させたら、次に、そのときの回転数がモニタリングされてメモリにバッファリングされる(ステップ206)。回転数のモニタリング時間が所定時間に達したら、バッファリングした回転数のデータがFFT等でフィルタ処理され、燃料噴射量の変動周波数と同周波数の変動成分が抽出される(ステップ208)。
次のステップ210では、まず、ステップ208で検出された回転数の変動からその振幅が測定される。ある特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に周期的に変化させたときの回転数の振幅は、当該気筒における吸入空気量の基準値(ストイキを実現できる吸入空気量)から過剰側へのずれ量に関係しており、吸入空気量の過剰側へのずれ量が大きいほど回転数の振幅は大きくなる。また、吸入空気量の過剰側へのずれは、当該気筒における作用角の基準値から大作用角側へのずれ量が大きいほど大きくなる。つまり、当該気筒における作用角の大作用角側へのずれ量が大きいほど、回転数の振幅も大きくなる。ステップ210では、測定された回転数の振幅を予め用意された対応テーブルに照合することで、当該気筒に生じている作用角のずれ量が算出される。
ステップ212では、全気筒について作用角のずれが検出されたか否か判定される。未検出の気筒が残っている場合にはステップ216に進み、燃料噴射量の変動操作が行われる特定気筒の変更が行われる。具体的には、現在の特定気筒が気筒番号#nの気筒の場合、次の気筒番号#n+1の気筒へ特定気筒が変更される。ステップ216の処理の後は、再びステップ204乃至212の処理が行われる。ステップ204では、ステップ216で設定された特定気筒の燃料噴射量のみストイキ運転時の噴射量から増大側に周期的に変化させられる。以上のループは、全気筒の検出が終了してステップ212の条件が成立するまで繰り返し実行される。
ステップ212の条件が成立した場合、ステップ214の判定が行われる。ステップ214では、上記のループの実行により算出された気筒毎の作用角のずれ量から、気筒間の作用角のばらつき量が算出される。そして、算出された作用角のばらつき量が所定の許容値を超えているか否か判定される。作用角のばらつき量が許容値未満の場合には、各気筒の吸気バルブ12の作用角を補正する必要は無いので、特別な処理を行うことなく本ルーチンは終了する。
一方、ステップ214の判定の結果、作用角のばらつき量が許容値以上になっている場合には、気筒間に無視できない程度の吸入空気量のばらつきが生じていると判断することができる。この場合は、吸気バルブ12の作用角を気筒毎に補正する必要があるので、ECU30は、運転者や整備士に作用角にばらつきがあることを知らせるための信号を出力する(ステップ218)。この信号には、気筒毎の作用角のずれ量が情報として含まれている。ECU30からの信号は、吸気バルブ12の作用角が気筒毎に適正に補正され、気筒間の吸入空気量のばらつきが解消されるまで出力される。
以上のルーチンによれば、実施の形態1と同様、気筒間の吸入空気量のばらつきを正確に検出することができる。しかも、気筒毎の作用角のずれ量、詳しくは、吸入空気量が基準値よりも過剰側にずれることになる大作用角側へのずれ量も検出することができる。したがって、本実施形態によれば、吸気バルブ12の作用角(及びリフト量)を気筒毎に補正する際にその補正量を容易に把握することができ、気筒間の吸入空気量のばらつきをより速やかに解消することができる。さらに、本実施形態によれば、検出モードにおいて燃料噴射量の変動操作が行われるのは、複数ある気筒のうちの1つの気筒のみであるので、排気空燃比の変動を小さくして排気エミッションへの影響を小さくすることができるという利点もある。
なお、上述した実施の形態においては、ECU30による上記ステップ204,212,216の処理の実行により、第5の発明の「噴射量制御手段」が実現され、上記ステップ206,208,210の処理の実行により、第5の発明の「演算手段」が実現され、上記ステップ214,218の処理の実行により、第5の発明の「出力手段」が実現されている。
実施の形態3.
次に、図8を参照して本発明の実施の形態3について説明する。
本発明の実施の形態3としての吸入空気量ばらつき検出装置は、実施の形態1において、ECU30に、図5のルーチンに代えて図8のルーチンを実行させることにより実現することができる。
次に、図8を参照して本発明の実施の形態3について説明する。
本発明の実施の形態3としての吸入空気量ばらつき検出装置は、実施の形態1において、ECU30に、図5のルーチンに代えて図8のルーチンを実行させることにより実現することができる。
実施の形態2では、複数の気筒のうち特定気筒の燃料噴射量のみを変動させることで、当該気筒の吸入空気量のずれを検出している。しかし、各気筒では順に燃焼が起きており、トルクや回転数は、現在燃焼行程にある気筒の燃焼状態の影響を受けて変動する。したがって、実施の形態1のように全気筒の燃料噴射量を同様に変動させる場合でも、各気筒の燃焼行程におけるトルクや回転数の変化を気筒毎にモニタリングし、その振動振幅を測定することで、吸入空気量のずれの程度を気筒毎に把握することができる。
図8のフローチャートは、本実施形態においてECU30により実行されるルーチンを示している。このルーチンでは、前述の基本的な考え方に基づいて吸気バルブ12の作用角及びリフト量のずれが気筒毎に検出され、その結果に基づいて作用角及びリフト量の補正の必要があるか否かの判定が行われる。
図8に示すルーチンの最初のステップ300では、現在の制御モードが作用角及びリフト量(以下では単に作用角という)のばらつきを検出する検出モードが選択されたか否か判定される。検出モードが選択された場合、ステップ302の処理が実行される。ステップ302では、ECU30からアクチュエータ22への指令信号によって各気筒の可変動弁装置16が操作され、各気筒の吸気バルブ12はその作用角を所定の小作用角に設定される。そして、吸気バルブ12を小作用角に設定した状態で、内燃機関2のアイドル運転が行われる。
次のステップ304では、全気筒の燃料噴射量がストイキ運転時の噴射量から増大側に周期的に変化させられる。このときの燃料噴射量の変動周波数は、人間が感知しやすい周波数域から外して設定されている。
次のステップ306では、燃料噴射量を周期的に変化させたときの回転数が気筒毎にモニタリングされ、メモリにバッファリングされる。モニタリング期間は、各気筒の燃焼行程中等、各気筒の燃焼が回転数に与える影響を他の気筒のそれと区別して確認できる期間に設定されている。回転数のモニタリング時間が所定時間に達したら、バッファリングした回転数のデータがFFT等でフィルタ処理され、燃料噴射量の変動周波数と同周波数の変動成分が気筒毎に抽出される(ステップ308)。
次のステップ310では、まず、ステップ308で検出された回転数の変動からその振幅が測定される。燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に周期的に変化させたときに気筒毎にモニタリングされる回転数の振幅は、各気筒における吸入空気量の基準値(ストイキを実現できる吸入空気量)から過剰側へのずれ量に関係しており、吸入空気量の過剰側へのずれ量が大きいほど回転数の振幅は大きくなる。また、吸入空気量のずれは、当該気筒における作用角の大作用角側へのずれ量が大きいほど大きくなる。つまり、作用角の大作用角側へのずれ量が大きい気筒ほど、気筒毎にモニタリングされる回転数の振幅も大きくなる。ステップ310では、気筒毎にモニタリングされた回転数の振幅を予め用意された対応テーブルに照合することで、各気筒に生じている作用角のずれ量が算出され、算出された気筒毎の作用角のずれ量から気筒間の作用角のばらつき量が算出される。
次のステップ312では、ステップ310で算出された作用角のばらつき量が所定の許容値を超えているか否か判定される。作用角のばらつき量が許容値未満の場合には、各気筒の吸気バルブ12の作用角を補正する必要は無いので、特別な処理を行うことなく本ルーチンは終了する。
一方、ステップ312の判定の結果、作用角のばらつき量が許容値以上になっている場合には、気筒間に無視できない程度の吸入空気量のばらつきが生じていると判断することができる。この場合は、吸気バルブ12の作用角を気筒毎に補正する必要があるので、ECU30は、運転者や整備士に作用角にばらつきがあることを知らせるための信号を出力する(ステップ314)。この信号には、気筒毎の作用角のずれ量が情報として含まれている。ECU30からの信号は、吸気バルブ12の作用角が気筒毎に適正に補正され、気筒間の吸入空気量のばらつきが解消されるまで出力される。
以上のルーチンによれば、気筒間の吸入空気量のばらつきを正確に検出することができる。また、吸入空気量が基準値よりも過剰側にずれることになる、作用角の大作用角側へのずれ量を気筒毎に検出することもできる。したがって、本実施形態によれば、実施の形態2と同様、吸気バルブ12の作用角(及びリフト量)を気筒毎に補正する際にその補正量を容易に把握することができ、気筒間の吸入空気量のばらつきを速やかに解消することができる。
なお、上述した実施の形態においては、ECU30による上記ステップ304の処理の実行により、第9の発明の「噴射量制御手段」が実現され、上記ステップ306,308,310の処理の実行により、第9の発明の「演算手段」が実現され、上記ステップ312,314の処理の実行により、第9の発明の「出力手段」が実現されている。
実施の形態4.
次に、図9及び図10を参照して本発明の実施の形態4について説明する。
本発明の実施の形態4としての吸入空気量ばらつき検出装置は、実施の形態1において、ECU30に、図3及び図4を用いて説明した吸入空気量のばらつき検出の基本的な考え方に代えて、図9及び図10を用いて説明される考え方に基づいて吸気バルブ12の作用角及びリフト量のばらつきを検出させることにより実現することができる。
次に、図9及び図10を参照して本発明の実施の形態4について説明する。
本発明の実施の形態4としての吸入空気量ばらつき検出装置は、実施の形態1において、ECU30に、図3及び図4を用いて説明した吸入空気量のばらつき検出の基本的な考え方に代えて、図9及び図10を用いて説明される考え方に基づいて吸気バルブ12の作用角及びリフト量のばらつきを検出させることにより実現することができる。
以下、図9及び図10を用いて、本実施形態において採られた吸入空気量のばらつき検出の基本的な考え方について説明する。図9及び図10は、アイドル状態において、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に周期的に変化させたときの筒内空燃比、トルク、回転数の変化について示している。
吸入空気量が不足側にずれている気筒(リッチ気筒という)では、上記のように燃料噴射量を変化させたとき、筒内空燃比、トルク、回転数はそれぞれ図9に示すように変化する。まず、筒内空燃比は、ストイキを通ってリッチ側とリーン側とに周期的に変化する。図2を用いて説明したように、筒内空燃比がリッチ側にあるときはトルクの空燃比に対する感度は小さいのに対し、筒内空燃比がリーン側にあるときのトルクの空燃比に対する感度は大きい。このため、リッチ気筒では、筒内空燃比がリッチ側にあるときはトルクは略一定となり、筒内空燃比がリーン側にあるときはリーンの程度に応じてトルクは低下する。回転数も同様の変化を示す。図9中に示すトルクの振動振幅ΔTや回転数の振動振幅ΔNeは、ストイキ運転時の筒内空燃比がストイキからリッチ側に大きくずれているほど、小さくなる。
これに対し、吸入空気量が過剰側にずれている気筒(リーン気筒という)では、上記のように燃料噴射量を変化させたとき、筒内空燃比、トルク、回転数はそれぞれ図10に示すように変化する。まず、筒内空燃比は、ストイキよりもリーン側の領域で周期的に変化する。筒内空燃比がリーン側にあるときはトルクの空燃比に対する感度は大きいため、トルクや回転数も筒内空燃比の波形と略同じ波形で周期的に変化する。このときのトルクの振動振幅ΔTや回転数の振動振幅ΔNeは略最大値となり、ストイキ運転時の筒内空燃比がストイキからリーン側にどれだけずれているかにかかわらず、略一定の大きさとなる。
以上のことから、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に周期的に変化させ、そのときのトルク或いは回転数の変化をモニタリングすることで、吸入空気量が不足側にずれている気筒の存在を検出することができる。つまり、吸入空気量が不足側にずれている気筒がある場合には、トルクや回転数の振動振幅が全気筒で吸入空気量が適正な場合の振動振幅よりも減少することになる。また、吸入空気量が不足側にずれている気筒が存在するならば、逆に吸入空気量が過剰側にずれている気筒も必ず存在することになる。したがって、トルクや回転数の振動振幅の減少は、気筒間で吸入空気量にばらつきがあることを示している。
また、リッチ気筒における吸入空気量の不足側へのずれの程度が大きいほど、トルクや回転数の振動振幅は小さくなる。リッチ気筒における吸入空気量の不足側へのずれの程度が大きければ、逆にリーン気筒における吸入空気量の過剰側へのずれの程度も大きいと言える。つまり、気筒間の吸入空気量のばらつきが大きいと言える。したがって、トルク或いは回転数の変化をモニタリングし、その振動振幅を測定することで、気筒間の吸入空気量のばらつきの程度を正確に把握することが可能になる。
上述の基本的な考え方に基づいて吸気バルブ12の作用角及びリフト量のばらつきを検出するためのルーチンは、実施の形態1と同様、図5のフローチャートによって説明することができる。まず、最初のステップ100では、検出モードが選択されたか否か判定され、次のルーチン102では、各気筒の吸気バルブ12を小作用角に設定した状態で、内燃機関2のアイドル運転が行われる。
次のステップ104では、インジェクタ18からの燃料噴射量がストイキ運転時の噴射量から減少側に周期的に変化させられる。燃料噴射量を周期的に変化させたら、次に、そのときの回転数がモニタリングされてメモリにバッファリングされ(ステップ106)、バッファリングした回転数のデータから燃料噴射量の変動周波数と同周波数の変動成分が抽出される(ステップ108)。
次のステップ110では、ステップ108で検出された回転数の変動からその振幅が測定される。燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に周期的に変化させたときの回転数の振幅は、気筒間の吸入空気量のばらつき量が大きいほど小さくなる。また、気筒間の吸入空気量のばらつきは作用角のばらつきが大きいほど大きくなる。つまり、気筒間の作用角のばらつき量が大きいほど、回転数の振幅は小さくなる。ステップ110では、測定された回転数の振幅を予め用意された対応テーブルに照合することで、気筒間に生じている作用角のばらつき量が算出される。
次のステップ112では、ステップ110で算出された作用角のばらつき量が所定の許容値を超えているか否か判定され、作用角のばらつき量が許容値以上になっている場合には、作用角にばらつきがあることを知らせるための信号が出力される(ステップ114)。この検出信号に従い、吸気バルブ12の作用角(及びリフト量)を気筒毎に補正することで、気筒間の吸入空気量のばらつきを速やかに解消することができる。
なお、上記実施の形態において、図9及び図10を用いて説明した吸入空気量のばらつき検出の考え方は、実施の形態2及び実施の形態3にかかる吸気バルブ12の作用角及びリフト量のばらつき検出にも適用することができる。その場合は、以下に簡単に説明するように、作用角の基準値から小作用角側へのずれ量を気筒毎に検出することができる。
まず、実施の形態2にかかるばらつき検出への適用では、特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に周期的に変化させ、そのときの回転数の振幅が計測される。計測された回転数の振幅は、当該気筒における吸入空気量の基準値から不足側へのずれ量に関係しており、不足側へのずれ量が大きいほど回転数の振幅は小さくなる。また、吸入空気量の不足側へのずれは、当該気筒における作用角の基準値から小作用角側へのずれ量が大きいほど大きくなる。つまり、作用角の小作用角側へのずれ量が大きいほど回転数の振幅は小さくなる。しがって、測定された回転数の振幅を予め用意された対応テーブルに照合することで、当該気筒に生じている作用角の小作用角側へのずれ量を求めることができる。
実施の形態3にかかるばらつき検出への適用では、全気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に周期的に変化させ、そのときの回転数の振幅が気筒毎に計測される。気筒毎に計測される回転数の振幅は、各気筒における吸入空気量の基準値から不足側へのずれ量に関係しており、不足側へのずれ量が大きいほど回転数の振幅は小さくなる。また、吸入空気量の不足側へのずれは、当該気筒における作用角の基準値から小作用角側へのずれ量が大きいほど大きくなる。つまり、作用角の小作用角側へのずれ量が大きいほど回転数の振幅は小さくなる。しがって、気筒毎に計測された回転数の振幅を予め用意された対応テーブルに照合することで、各気筒に生じている作用角の小作用角側へのずれ量を求めることができる。
実施の形態5.
次に、図11を参照して本発明の実施の形態5について説明する。
本発明の実施の形態5としての吸入空気量ばらつき検出装置は、実施の形態1において、ECU30に、図5のルーチンに代えて図11のルーチンを実行させることにより実現することができる。
次に、図11を参照して本発明の実施の形態5について説明する。
本発明の実施の形態5としての吸入空気量ばらつき検出装置は、実施の形態1において、ECU30に、図5のルーチンに代えて図11のルーチンを実行させることにより実現することができる。
実施の形態2及び実施の形態3にかかるばらつき検出によれば、作用角の基準値から大作用角側へのずれ量を気筒毎に検出することができる。また、実施の形態4において説明したように、図9及び図10を用いて説明した吸入空気量のばらつき検出の考え方を、実施の形態2及び実施の形態3にかかるばらつき検出に適用することで、作用角の基準値から小作用角側へのずれ量を気筒毎に検出することもできる。したがって、これら2つの方法を組み合せれば、作用角のずれが基準値に対して大作用角側のずれであっても、或いは小作用角側のずれであっても、そのずれ量を気筒毎に検出することが可能になると考えられる。
例えば、実施の形態2にかかるばらつき検出の方法を応用する場合、特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に周期的に変化させ、続いて、ストイキ運転時の噴射量から減少側に周期的に変化させる。これによれば、特的気筒に生じている作用角のずれが基準値に対して大作用角側のずれであっても、或いは小作用角側のずれであっても、そのずれ量を正確に検出することができる。その結果、吸気バルブ12の作用角(及びリフト量)を気筒毎に補正する際、その補正量をより正確に把握することが可能になる。
また、実施の形態3にかかるばらつき検出の方法を応用する場合は、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に周期的に変化させて気筒毎に回転数をモニタリングし、続いて、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に周期的に変化させて気筒毎に回転数をモニタリングする。これによれば、リッチ気筒とリーン気筒の双方の存在を検出することができ、各気筒の作用角のずれが大作用角側か小作用角側かを問わず、そのずれ量を正確に検出することが可能になる。
ところで、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に変化させる場合、図10に示すように、もともと吸入空気量が過剰側にずれているリーン気筒では、筒内空燃比がさらにリーン化することになる。空燃比には燃料が正常に燃焼できる燃焼可能範囲があるため、筒内空燃比がリーン化しすぎると、そのリーン気筒では失火を招いてしまう可能性がある。したがって、リーン気筒における筒内空燃比が燃焼可能範囲のリーン側の限界(リーン限界)を超えないように燃料噴射量を変化させる必要があるが、燃料噴射量の減少側への変化幅を小さくすると、吸入空気量が不足側にずれているリッチ気筒を正確に検出できなくなるおそれがある。
リーン気筒における失火を招くことなく、リッチ気筒を正確に検出するためには、リーン気筒以外の気筒についてのみ燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に変化させるようにすればよい。つまり、リッチ気筒の検出に先立ってリーン気筒を検出し、その後、リーン気筒以外の気筒について気筒毎にリッチ気筒の検出を行うようにすればよい。これによれば、燃料噴射量の減少側への変化幅を小さくする必要がなく、リッチ気筒を正確に検出することができる。
図11のフローチャートは、本実施形態においてECU30により実行されるルーチンを示している。このルーチンでは、前述のように、先ず、吸入空気量の過剰側へのずれが気筒毎に検出され、続いて、吸入空気量が過剰側にずれているリーン気筒以外の気筒について、吸入空気量の不足側へのずれが気筒毎に検出される。そして、その結果に基づいて作用角及びリフト量の補正の必要があるか否かの判定が行われる。
図11に示すルーチンの最初のステップ400では、現在の制御モードが作用角及びリフト量(以下では単に作用角という)のばらつきを検出する検出モードが選択されたか否か判定される。検出モードが選択された場合、ステップ202の処理が実行される。ステップ202では、ECU30からアクチュエータ22への指令信号によって各気筒の可変動弁装置16が操作され、各気筒の吸気バルブ12はその作用角を所定の小作用角に設定される。そして、吸気バルブ12を小作用角に設定した状態で、内燃機関2のアイドル運転が行われる。
次のステップ404では、カウンタnが初期化(n=1)される。このカウンタnは、燃料噴射量が周期的に変化させられる特定気筒の気筒番号を表している。本実施形態では、実施の形態2と同様に、燃料噴射量を気筒毎に変化させたときのトルク或いは回転数の変化をモニタリングし、その振動振幅を測定することで、吸入空気量のずれの程度を気筒毎に把握する方法を採っている。
ステップ406では、特定気筒(第n気筒)の燃料噴射量のみストイキ運転時の噴射量から増大側に周期的に変化させられる。そして、そのときのトルク或いは回転数の変化がモニタリングされ、その振動振幅に基づいて当該特定気筒に生じている作用角の大作用角側へのずれ量が算出される。なお、ステップ406で実施される処理の詳細な内容は、図7のルーチンにおけるステップ204乃至ステップ210で説明した処理と同内容である。
ステップ408では、全気筒について作用角の大作用角側へのずれが検出されたか否か判定される。未検出の気筒が残っている場合にはステップ410に進み、燃料噴射量の変動操作が行われる特定気筒が第n気筒から第n+1気筒へ変更される。ステップ408の処理の後は、再びステップ406の処理が行われる。ステップ406では、ステップ410で設定された特定気筒の燃料噴射量のみストイキ運転時の噴射量から増大側に周期的に変化させられる。以上のループは、全気筒の検出が終了してステップ408の条件が成立するまで繰り返し実行される。
ステップ408の条件の成立後、カウンタnは再び初期化(n=1)される(ステップ412)。次のステップ414では、現在の特定気筒(第1気筒)が、吸入空気量が過剰側にずれているリーン気筒、言い換えれば、作用角が大作用角側へずれている作用角大気筒か否か判定される。第1気筒がリーン気筒か否かの判定は、ステップ406での検出結果に基づいて行われる。判定の結果、第1気筒がリーン気筒である場合にはステップ420に進み、特定気筒が第1気筒から第2気筒へ変更される。特定気筒の変更後、再び、ステップ414の判定が行われ、新たに設定された特定気筒についてリーン気筒か否かの判定が行われる。
ステップ414の判定の結果、特定気筒(第n気筒)がリーン気筒ではない場合のみ、ステップ416の処理が実行される。ステップ416では、特定気筒の燃料噴射量のみストイキ運転時の噴射量から減少側に周期的に変化させられる。そして、そのときのトルク或いは回転数の変化がモニタリングされ、その振動振幅を予め用意された対応テーブルに照合することで、当該特定気筒に生じている作用角の小作用角側へのずれ量が算出される。
ステップ416では、リーン気筒以外の全気筒について作用角の小作用角側へのずれが検出されたか否か判定される。未検出の気筒が残っている場合にはステップ420に進み、燃料噴射量の変動操作が行われる特定気筒が次の気筒番号の気筒へ変更される。ステップ420の処理の後は、ステップ414において現在の特定気筒がリーン気筒か否か判定される。判定の結果、特定気筒がリーン気筒である場合にはステップ420に戻り、特定気筒はさらに次の気筒番号の気筒へ変更される。そして、ステップ420で再設定された特定気筒がリーン気筒と判定されなかった場合のみ、ステップ416の処理が実行される。以上のループは、リーン気筒以外の全気筒の検出が終了してステップ418の条件が成立するまで繰り返し実行される。
ステップ418の条件が成立した場合、ステップ422の判定が行われる。ステップ422では、上記のステップ406,408,410のループの実行により気筒毎に算出された作用角の大作用角側へのずれ量と、上記のステップ414,416,418,420のループの実行により気筒毎に算出された作用角の小作用角側へのずれ量とから、気筒間の作用角のばらつき量が算出される。そして、算出された作用角のばらつき量が所定の許容値を超えているか否か判定される。作用角のばらつき量が許容値未満の場合には、各気筒の吸気バルブ12の作用角を補正する必要は無いので、特別な処理を行うことなく本ルーチンは終了する。
一方、ステップ422の判定の結果、作用角のばらつき量が許容値以上になっている場合には、気筒間に無視できない程度の吸入空気量のばらつきが生じていると判断することができる。この場合は、吸気バルブ12の作用角を気筒毎に補正する必要があるので、ECU30は、運転者や整備士に作用角にばらつきがあることを知らせるための信号を出力する(ステップ424)。この信号には、気筒毎の作用角のずれ量が情報として含まれている。ECU30からの信号は、吸気バルブ12の作用角が気筒毎に適正に補正され、気筒間の吸入空気量のばらつきが解消されるまで出力される。
以上のルーチンによれば、リーン気筒における作用角の大作用角側へのずれ量を正確に検出することができるとともに、そのリーン気筒における失火を招くことなく、リッチ気筒における作用角の小作用角側へのずれ量も正確に検出することができる。したがって、本実施形態によれば、吸気バルブ12の作用角(及びリフト量)を気筒毎に補正する際にその補正量をより正確に把握することができ、気筒間の吸入空気量のばらつきをより速やかに解消することができる。
なお、上述した実施の形態においては、ECU30による上記ステップ406の処理の実行により、第13の発明の「第1の噴射量制御手段」及び「第1の演算手段」が実現されている。また、ECU30による上記ステップ414,416の処理の実行により、第13の発明の「第2の噴射量制御手段」及び「第2の演算手段」が実現されている。また、ECU30による上記ステップ422,424の処理の実行により、第13の発明の「出力手段」が実現されている
その他.
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、次のように変形して実施してもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、次のように変形して実施してもよい。
上記各実施の形態では、内燃機関2のアイドル運転中に検出モードを実行しているが、検出モードは部分負荷運転時にも実行することができる。この場合は、回転数の変わりにトルクの変動を測定し、その振動振幅から気筒間の作用角のばらつきを検出するのが好ましい。内燃機関2の発生トルクは、燃焼圧やクランクシャフト28の角速度から算出する等、公知の方法で求めることができる。なお、検出モードの実行はトルクが略一定の定常状態には限定されず、トルクが変化している過度状態であっても実行することができる。前述のようにFFT等によるフィルタ処理を行えば、トルクの変化から燃料噴射量の変動周波数と同周波数の変動成分を抽出することができるからである。
また、上記各実施の形態では、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側或いは減少側に周期的に変化させているが、増大側或いは減少側に一時的に変化させるだけもよい。この場合も、内燃機関のトルクや回転数には気筒間の吸入空気量のばらつきに応じた変化が現れるので、その変化幅を測定することで、気筒間の吸入空気量のばらつきを検出することができる。
また、上記各実施の形態では、本発明を吸気バルブ12に可変動弁装置16を備える内燃機関に適用しているが、可変動弁装置16を備えない内燃機関にも適用することができる。このような内燃機関でも、本発明を適用することで、吸気バルブ12の組み付け誤差等に伴う気筒間の吸入空気量のばらつきを検出することができ、検出結果に従って吸気バルブ12の組み付けを気筒毎に補正することで、気筒間の吸入空気量のばらつきを速やかに解消することができる。また、各気筒に吸気制御バルブを備える内燃機関であれば、本発明によって吸入空気量のばらつきを検出することで、吸気制御バルブの開度のばらつきを検出することができる。
2 内燃機関
4 吸気通路
6 排気通路
10 燃焼室
12 吸気バルブ
14 排気バルブ
16 可変動弁装置
18 インジェクタ
22 アクチュエータ
24 制御軸
28 クランクシャフト
30 ECU
32 エアフローメータ
34 クランク角センサ
#1 第1気筒
#2 第2気筒
#3 第3気筒
#4 第4気筒
4 吸気通路
6 排気通路
10 燃焼室
12 吸気バルブ
14 排気バルブ
16 可変動弁装置
18 インジェクタ
22 アクチュエータ
24 制御軸
28 クランクシャフト
30 ECU
32 エアフローメータ
34 クランク角センサ
#1 第1気筒
#2 第2気筒
#3 第3気筒
#4 第4気筒
Claims (15)
- 複数の気筒を有する内燃機関において気筒間の吸入空気量のばらつきを検出する装置であって、
燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側或いは減少側の何れか一方に変化させる噴射量制御手段と、
前記噴射量制御手段により燃料噴射量を変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅を求める演算手段と、
前記演算手段により求められたトルク或いは回転数の変化幅を、気筒間の吸入空気量のばらつきの程度を示す指標値として出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする吸入空気量ばらつき検出装置。 - 前記噴射量制御手段により燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に変化させたときの前記変化幅と所定の基準値とを比較する比較手段と、
前記変化幅が前記基準値を超えるときには、気筒間の吸入空気量のばらつきが許容レベルを超えていると判定する判定手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の吸入空気量ばらつき検出装置。 - 前記噴射量制御手段により燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に変化させたときの前記変化幅と所定の基準値とを比較する比較手段と、
前記変化幅が前記基準値を下回るときには、気筒間の吸入空気量のばらつきが許容レベルを超えていると判定する判定手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の吸入空気量ばらつき検出装置。 - 前記噴射量制御手段は、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から所定量増大側に、或いは所定量減少側に周期的に変化させるように構成されており、
前記演算手段は、トルク或いは回転数の変化から燃料噴射量の変動周波数と同じ周波数の変動成分を抽出し、抽出した変動成分の振幅を前記変化幅として求めるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の吸入空気量ばらつき検出装置。 - 複数の気筒を有する内燃機関において気筒間の吸入空気量のばらつきを検出する装置であって、
前記複数の気筒のうち特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側或いは減少側の何れか一方に変化させる噴射量制御手段と、
前記噴射量制御手段により前記特定気筒の燃料噴射量を変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅を求める演算手段と、
前記演算手段により求められたトルク或いは回転数の変化幅を、前記特定気筒における吸入空気量のずれの程度を示す指標値として出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする吸入空気量ばらつき検出装置。 - 前記噴射量制御手段により前記特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に変化させたときの前記変化幅と所定の基準値とを比較する比較手段と、
前記変化幅が前記基準値を超えるときには、前記特定気筒における吸入空気量の過剰側へのずれが許容レベルを超えていると判定する判定手段とを備えることを特徴とする請求項5記載の吸入空気量ばらつき検出装置。 - 前記噴射量制御手段により前記特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に変化させたときの前記変化幅と所定の基準値とを比較する比較手段と、
前記変化幅が前記基準値を下回るときには、前記特定気筒における吸入空気量の不足側へのずれが許容レベルを超えていると判定する判定手段とを備えることを特徴とする請求項5記載の吸入空気量ばらつき検出装置。 - 前記噴射量制御手段は、前記特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から所定量増大側に、或いは所定量減少側に周期的に変化させるように構成されており、
前記演算手段は、トルク或いは回転数の変化から前記特定気筒の燃料噴射量の変動周波数と同じ周波数の変動成分を抽出し、抽出した変動成分の振幅を前記変化幅として求めるように構成されていることを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載の吸入空気量ばらつき検出装置。 - 複数の気筒を有する内燃機関において気筒間の吸入空気量のばらつきを検出する装置であって、
燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側或いは減少側の何れか一方に変化させる噴射量制御手段と、
前記噴射量制御手段により燃料噴射量を変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅を気筒毎に求める演算手段と、
前記演算手段により求められた気筒毎のトルク或いは回転数の変化幅を、各気筒における吸入空気量のずれの程度を示す指標値として出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする吸入空気量ばらつき検出装置。 - 前記噴射量制御手段により燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に変化させたときの前記変化幅と所定の基準値とを気筒毎に比較する比較手段と、
前記変化幅が前記基準値を超えるときには、当該気筒における吸入空気量の過剰側へのずれが許容レベルを超えていると判定する判定手段とを備えることを特徴とする請求項9記載の吸入空気量ばらつき検出装置。 - 前記噴射量制御手段により燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に変化させたときの前記変化幅と所定の基準値とを気筒毎に比較する比較手段と、
前記変化幅が前記基準値を下回るときには、当該気筒における吸入空気量の不足側へのずれが許容レベルを超えていると判定する判定手段とを備えることを特徴とする請求項9記載の吸入空気量ばらつき検出装置。 - 前記噴射量制御手段は、燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から所定量増大側に、或いは所定量減少側に周期的に変化させるように構成されており、
前記演算手段は、気筒毎にサンプリングしたトルク或いは回転数の変化から燃料噴射量の変動周波数と同じ周波数の変動成分を抽出し、抽出した変動成分の振幅を各気筒における前記変化幅として求めるように構成されていることを特徴とする請求項9乃至11の何れか1項に記載の吸入空気量ばらつき検出装置。 - 複数の気筒を有する内燃機関において気筒間の吸入空気量のばらつきを検出する装置であって、
前記複数の気筒のうち特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から増大側に変化させる第1の噴射量制御手段と、
前記第1の噴射量制御手段により前記特定気筒の燃料噴射量を変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅を求める第1の演算手段と、
前記第1の演算手段により求められたトルク或いは回転数の変化幅が所定の基準値を超えていない場合には、前記特定気筒の燃料噴射量をストイキ運転時の噴射量から減少側に変化させる第2の噴射量制御手段と、
前記第2の噴射量制御手段により前記特定気筒の燃料噴射量を変化させたときのトルク或いは回転数の変化幅を求める第2の演算手段と、
前記第1の演算手段により求められたトルク或いは回転数の変化幅、及び、前記第2の演算手段により求められたトルク或いは回転数の変化幅を、前記特定気筒における吸入空気量のずれの程度を示す指標値として出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする吸入空気量ばらつき検出装置。 - 前記噴射量制御手段は、人間が体感可能な周波数帯域外の周波数で燃料噴射量を周期的に変化させることを特徴とする請求項4、8、12の何れか1項に記載の吸入空気量ばらつき検出装置。
- 気筒間の吸入空気量のばらつきを、気筒間の吸気バルブの作用角及び/又はリフト量のばらつきに換算する換算手段を備えることを特徴とする請求項1乃至14の何れか1項に記載の吸入空気量ばらつき検出装置。
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