JP4281709B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、内燃機関の制御装置に係り、特に、自己診断機能を備えるシステムとの組み合わせに適した内燃機関の制御装置に関する。
従来、例えば特開平11−36924号公報に開示されているように、車両上で所望の診断処理を実行するシステムが知られている。車両においては、種々の装置について、自己診断機能が求められている。これらの自己診断の中には、内燃機関の運転状態が大きく変化すると、正確な診断が実行し得ない性質のものが含まれている。
内燃機関の運転状態が安定に保たれる機会は、必ずしも多くないことから、このような性質の自己診断に関しては、実行の機会が確保し難いのが実状である。上記従来のシステムは、その実行の機会を確保するため、上記の自己診断が実行されている間は、運転者によってアクセル開度が大きく操作されない限りは、スロットル開度の目標値を一定に維持することとしている。
スロットル開度の目標値が一定に維持されれば、吸入空気量が一定に維持され、その結果、内燃機関の運転状態もほぼ一定に維持される。このため、上記従来のシステムによれば、上述した性質を有する自己診断についても、適当な実行頻度を確保することが可能である。
特開平11−36924号公報
しかしながら、上記従来のシステムにおいては、自己診断の実行中に、運転者によるアクセル操作に対してスロットル開度が連動しないという事態が生じている。この場合、運転者は、自己の操作の内容が内燃機関に反映されないことから、違和感を覚えやすい。この点、上記従来のシステムは、自己診断の完遂頻度は上げられるものの、その反面、車両のドライブフィーリングを悪化させ易いという特性を有していた。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、吸入空気量と関連する実行条件の成立を必要とする診断制御を十分な頻度で完遂することができ、かつ、その診断制御の実行中においても運転者の意図に沿ったトルクを発生させることのできる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の制御装置であって、
吸入空気量を基礎として診断制御の実行条件を判定する条件判定手段と、
前記実行条件の成立時に、前記診断制御を実行する診断制御手段と、
アクセル開度と機関負荷との関係を可変とするアクセル特性可変機構と、
前記診断制御の実行時に、非実行時に比して、アクセル開度変化に対する機関負荷の感度を下げる特性変更手段と、
前記診断制御の実行時に、前記感度の低下に伴う機関負荷の変動分の影響が緩和されるように、内燃機関の点火時期を調整する点火時期調整手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記アクセル特性可変機構は、アクセル開度と独立してスロットル開度を調整することのできる電子制御スロットル弁を含み、
前記特性変更手段は、
前記診断制御の非実行時に、アクセル開度とスロットル開度との間に通常特性を成立させる通常特性手段と、
前記診断制御の実行時に、アクセル開度とスロットル開度との間に、アクセル開度変化に対するスロットル開度の感度が前記通常特性に比して下げられた診断時特性を成立させる診断時特性手段と、
を含むことを特徴とする。
また、第3の発明は、第2の発明において、
前記診断時特性は、0より大きな低開度下限値から低開度上限値に渡る低アクセル開度領域において、前記通常特性に比して前記感度が下げられおり、
前記点火時期調整手段は、前記低アクセル開度領域において、機関負荷が大きいほど、点火時期に大きな遅角補正を施すことを特徴とする。
また、第4の発明は、第1の発明において、
前記アクセル特性可変機構は、スロットル弁をバイパスするISC通路と、前記ISC通路の導通状態を制御するISC弁とを備え、
前記特性変更手段は、
前記診断制御の非実行時に、機関回転数と前記ISC弁の開度との間に通常特性を成立させる通常特性手段と、
前記診断制御の実行時に、機関回転数と前記ISC弁の開度との間に診断時特性を成立させる診断時特性手段とを含み、
前記診断時特性は、機関回転数が低回転判定値を下回る低回転領域において、前記ISC弁の開度を前記通常特性に比して大きく確保する特性であることを特徴とする。
また、第5の発明は、第2の発明において、
前記通常特性は、アクセル開度が増加から減少に転じる際、および減少から増加に転じる際に、アクセル開度変化が小ヒステリシス値に至るまでスロットル開度を維持する小ヒステリシス特性であり、
前記診断時特性は、アクセル開度が増加から減少に転じる際、および減少から増加に転じる際に、アクセル開度変化が、前記小ヒステリシス値に比して大きな大ヒステリシス値に至るまでスロットル開度を維持する大ヒステリシス特性であることを特徴とする。
また、第6の発明は、第5の発明において、前記点火時期調整手段は、前記診断制御の実行中に、増加から減少に転じた後のアクセル開度変化が前記小ヒステリシス値を超える領域において、点火時期に遅角補正を施すことを特徴とする。
また、第7の発明は、第6の発明において、前記点火時期調整手段は、前記診断制御の実行中に、増加から減少に転じた後のアクセル開度変化が前記大ヒステリシス値に至るまで、前記アクセル開度変化が大きいほど、点火時期に大きな遅角補正を施すことを特徴とする。
第1の発明によれば、吸入空気量に関わる実行条件の成立時に、診断制御を実行することができる。診断制御の実行中は、アクセル開度変化に対する機関負荷の感度が下げられるため、アクセル操作に対して吸入空気量が変化し難い状況が作り出される。このため、本発明によれば、上記診断制御につき、十分な完遂頻度を得ることができる。また、本発明によれば、診断制御の実行中は、機関負荷の感度変化の影響が緩和されるように、点火時期の調整により、トルクの補正が行われる。このため、本発明によれば、診断制御の実行中においても、アクセル操作とトルク変動との連動を維持することができる。
第2の発明によれば、診断制御の非実行時には、電子制御スロットル弁が、アクセル開度とスロットル開度との間に通常特性が成立するように駆動される。一方、診断制御の実行時には、アクセル開度変化に対するスロットル開度の感度が低下するように、電子制御スロットル弁が、診断時特性に従って駆動される。このため、本発明によれば、診断制御の実行中に、診断制御の非実行中に比して、アクセル開度変化に対する機関負荷の感度を確実に低下させることができる。
第3の発明によれば、診断制御の実行時に、0より大きな低開度下限値から低開度上限値に渡る低アクセル開度領域において、アクセル開度変化に対するスロットル開度の感度を低下させることができる。アクセル開度の低開度領域では、元来、スロットル開度が小さく制御される。そして、スロットル開度が小さい領域では、スロットル開度が僅かに減少するだけで、吸入空気量に大きな変化が生ずる。本発明によれば、そのような領域においてスロットル開度の感度を下げることにより、診断制御の実行条件の成立を維持し易い状況を作り出すことができる。更に、本発明によれば、低アクセル開度領域において、機関負荷が大きいほど、点火時期に大きな遅角補正が施される。つまり、機関負荷が大きく、トルクが大きくなりやすいほど、点火時期を遅らせて、トルクが大きくなり難い状況を作り出すことができる。このため、本発明によれば、低アクセル開度領域において、スロットル開度の感度が下げられたことにより、不当に大きなトルクが発生するのを有効に阻止することができる。
第4の発明によれば、診断制御の非実行時には、ISC弁が、機関回転数とISC弁の開度との間に通常特性が成立するように駆動される。一方、診断制御の実行時には、ISC弁が、診断時特性に従って駆動される。そして、診断時特性によれば、低回転領域において、通常特性による場合に比してISC弁の開度が大きく確保される。アクセル開度変化に対する機関負荷の感度は、ISC弁の開度が大きいほど低下する。このため、本発明によれば、診断制御の実行時に、低回転領域において、つまり、スロットル開度が小さい領域において、更に換言すると、スロットル開度が僅かに減少するだけで吸入空気量に大きな変化が生ずる領域において、アクセル開度変化に対する機関負荷の感度を下げることができる。
第5の発明によれば、診断制御の非実行時には、通常特性が用いられることにより、アクセル開度の増減に伴って小さなヒステリシスが実現される。一方、診断制御の実行時には、診断時特性が用いられることにより、アクセル開度の増減に伴って大きなヒステリシスが実現される。アクセル開度変化に対する負荷率の感度は、ヒステリシスが大きいほど低下する。このため、本発明によれば、診断制御の非実行時に比して、その実行時において、アクセル開度変化に対する負荷率の感度を確実に低下させることができる。
第6の発明によれば、アクセル開度が増加から減少に転じた後、アクセル開度変化が小ヒステリシス値を超えるまでは、診断制御の実行中も非実行中も同じアクセル特性が発揮される。そして、診断制御の実行中に、上記のアクセル開度変化が小ヒステリシス値を超えると、診断制御の非実行中に比して、機関負荷の減少感度が悪化し、機関負荷が相対的に高い状況が作り出される。本発明によれば、そのような状況下で、点火時期に遅角補正が施される。その結果、トルクの発生が抑制され、機関負荷の感度低下の影響が抑えられる。
第7の発明によれば、診断制御の実行中に、増加から減少に転じた後のアクセル開度変化が小ヒステリシス値を超えた後、大ヒステリシス値に至るまで、アクセル開度変化が大きいほど点火時期に大きな遅角補正を施すことができる。アクセル開度変化が上記の範囲にある場合は、その値が大きいほど、診断制御の非実行時との比較において、機関負荷が相対的に大きくなり、その結果、大きなトルクが発生し易くなる。本発明によれば、このような状況下で、アクセル開度変化が大きいほど点火時期に大きな遅角を施すことができる。その結果、ヒステリシス特性の違い起因する影響を、トルク特性から有効に取り除くことができる。
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
図1は、本発明の実施の形態1の構成を説明するための図を示す。図1に示すように、本実施形態のシステムは、内燃機関10を備えている。内燃機関10には、吸気通路12および排気通路14が連通している。
吸気通路12には、内燃機関10に流入する吸入空気量Gaを検出するためのエアフロメータ16が配置されている。エアフロメータ16の下流には、スロットル弁18が配置されている。スロットル弁18は、アクセル開度に基づいてスロットルモータ20により駆動される電子制御式のバルブである。スロットル弁18の近傍には、スロットル開度TAを検出するためのスロットルポジションセンサ22、およびアクセル開度AAを検出するためのアクセルポジションセンサ24が配置されている。
内燃機関10が備える個々の気筒には、吸気通路12に通じる吸気ポート、および排気通路14に通じる排気ポートが設けられている。吸気ポートには、吸気弁26が配置されている。一方、排気ポートには、排気弁28が配置されている。更に、内燃機関には、燃焼室内に先端が突出するように点火プラグ30が組み付けられている。点火プラグ30には、点火信号を各気筒に分配するためのイグナイタ32が接続されている。
内燃機関10は、クランク軸の近傍にクランク角センサ36を備えている。クランク角センサ36は、クランク軸が所定回転角だけ回転する毎に、Hi出力とLo出力を反転させるセンサである。クランク角センサ36の出力によれば、クランク軸の回転位置や回転速度、更には、機関回転数NEなどを検知することができる。
内燃機関10の排気通路14には、排気ガスを浄化するための上流触媒(SC)38および下流触媒(UF)40が直列に配置されている。また、上流触媒38の上流には、その位置で排気空燃比を検出するための空燃比センサ42が配置されている。更に、上流触媒38と下流触媒40との間には、その位置の空燃比がリッチであるかリーンであるかに応じた信号を発生する酸素センサ44が配置されている。
図1に示すシステムは、ECU(Electronic Control Unit)50を備えている。ECU50には、上述した各種センサやアクチュエータが接続されている。ECU50は、それらのセンサ出力に基づいて、内燃機関10の運転状態を制御することができる。
[実施の形態1の基本動作]
(診断制御の実施)
本実施形態のシステムは、種々の診断制御を実行する機能を有している。例えば、このシステムは、上流触媒38の劣化を検出するための触媒OBD制御や、酸素センサ44の異常を検出するためのO2センサOBD制御を実行する機能を有している。
(触媒OBD制御)
上流触媒38は、酸化還元反応により排気ガス中のCO、HC、NOx等を浄化する。この浄化機能が適正に発揮されるためには、上流触媒38の酸素吸蔵容量OSCが十分に確保されていることが必要である。上述した触媒OBD制御は、その酸素吸蔵容量OSCが十分に確保されているか否かを判断するための制御である。触媒OBD制御は、例えば、以下のようにして行われる。
(1)排気空燃比を意識的にリッチに維持する。
(2)上流触媒38の下流に位置する酸素センサ44の出力がリッチ出力に反転したら、その時点で触媒内の全ての酸素が放出されたと判断すると共に、排気空燃比をリーンに反転させる。
(3)リーンに設定された排気ガス中の余剰酸素量を積算しつつ、酸素センサ44の出力がリーン出力に反転するのを待つ。
(4)リーン出力への反転が検知された時点で算出されていた余剰酸素量の積算値を、上流触媒38の酸素吸蔵容量OSCとする。
(5)上記の如く計測された酸素吸蔵容量OSCが、正常判定値より少ない場合は、上流触媒38の異常を判定する。
(O2センサOBD制御)
酸素センサ44の異常は、例えば、上流触媒38の下流に、意識的にリッチまたはリーンな排気ガスを吹き抜けさせ、酸素センサ44の出力が反転するか否かをみることで判断することができる。このようなO2センサOBD制御は、例えば、以下のような手法で実現することができる。
(1)上流触媒38の下流にリッチな排気ガスを吹き抜けさせるのに十分な時間だけ、排気空燃比をリッチに維持する。
(2)次いで、排気空燃比をリーンに反転させる。
(3)上流触媒38の下流にリーンな排気ガスが吹き抜けるのに十分な時間の経過を待って、未だに酸素センサ44の出力に反転が表れない場合は、酸素センサ44の異常を判定する。
(診断制御の実行条件)
上述した触媒OBD制御は、空燃比センサ42および酸素センサ44が適正に出力を発し得る状態でなければ実行することができない。このため、この制御を実行するためには、それらのセンサが共に活性化されていることが条件となる(条件A)。また、触媒OBD制御は、排気空燃比を精度良く所望のリーン空燃比、或いはリッチ空燃比に制御し得る状況下でないと実行することができない。このため、この制御を実行するためには、燃料噴射量の空燃比フィードバック制御が実行されていることが必要である(条件B)。更に、酸素吸蔵容量OSCを正しく算出する必要から、吸入空気量Gaが、過不足のない適当量であることが必要である(条件C)。
O2センサOBD制御についても、ほぼ同様の理由から、その実行のためには、上述した条件A〜Cの成立が必要である。このため、本実施形態において、ECU50は、それら条件A〜Cの全てが成立する場合に、触媒OBD制御の実行条件の成立、およびO2センサOBD制御の実行条件の成立を判定する。そして、ECU50は、それらの診断制御を開始した後、上記実行条件の成立が維持されている場合に限り、それらの制御を継続し、実行条件が不成立となった場合には、その時点で、実行中の診断制御を終了する。
[診断制御の実行に関する課題]
上述した3つの条件のうち、空燃比センサ42および酸素センサ44の活性に関する条件Aは、内燃機関10の始動後、一旦成立すれば、内燃機関10の運転中は、その成立が維持されるのが通常である。ところが、空燃比フィードバックに関する条件B、および吸入空気量Gaに関する条件Cは、内燃機関10の運転状態が変化することにより、成立と不成立とが繰り返されるのが通常である。
具体的には、内燃機関10が安定状態にある状況下でアクセルペダルが踏み込まれると、吸入空気量Gaが増加して、条件Cが不成立となることがある。また、この際、燃料増量補正が合わせて行われることにより空燃比フィードバックが停止されれば、条件Bも不成立となる。
同様に、内燃機関10が安定状態にある状況下で、アクセル開度が小さくされれば、吸入空気量Gaが減少して、条件Cが不成立となる事態が生ずる。そして、吸入空気量Gaの急減に伴う失火防止を目的とした燃料増量が併せて実行されれば、空燃比フィードバックが停止され、条件Bも不成立となる。
触媒OBD制御やO2センサOBD制御を完遂するためには、ある程度の時間を要する。このため、アクセルペダルの踏み増し、或いは踏み戻しによって上記の如く実行条件が簡単に不成立になるとすれば、その完遂の頻度を十分に確保することが困難となる。この頻度は、診断制御の実行条件が一旦成立した後は、その実行条件が不成立になり難い状況を作り出すことで高めることができる。例えば、アクセルペダルの操作量に対する内燃機関10の感度を下げれば、より具体的には、アクセル開度変化に対する機関負荷klの変動感度を下げれば、診断制御を完遂し得る頻度は大きく高めることができる。
ここで、「機関負荷kl」とは、内燃機関10の1回転当たりの吸入空気量G/Nを、内燃機関10の排気量ccと等しい体積を有する空気の質量gで除した値であり、機関回転数NEが同じであれば、吸入空気量Gaに比例する物理量である。アクセル開度が変化しても、機関負荷klが大きく変化しなければ(吸入空気量Gaが大きく変化しなれば)、吸入空気量Gaに関する条件Cは不成立に変化しない。また、この場合、空燃比フィードバック制御の停止も要求されにくいことから、条件Bも不成立には変化し難い。その結果、実行条件の成立が維持され易くなり、診断制御の完遂頻度が上昇する。
しかしながら、アクセル開度変化に対する機関負荷klの感度を下げることは、トルクの増減に関する運転者の要求に対して、機関負荷klの応答性を下げることを意味する。このため、単にその感度を下げることとすれば、診断制御の実行中は、車両の運転者が、アクセルペダルの踏み増し時にはトルク不足を、また、アクセルペダルの踏み戻し時には減速感不足を感ずることになる。
ところで、内燃機関10の発生するトルクは、機関負荷klの大小に応じて変化すると共に、点火時期によっても変化する。具体的には、ノッキングの生じない常用領域においては、点火時期が進角されることによりトルクは上昇し、また、点火時期が遅角されることによりトルクは減少する。このため、機関負荷klの感度が下げられている状況下で、アクセルペダルの踏み増しと共に点火時期を進角させ、また、アクセルペダルの踏み戻しと共に点火時期を遅角させれば、機関負荷klの変化を抑制しつつ、ペダル操作の内容を、適正に機関トルクに反映させることができる。
[実施の形態1の特徴]
本実施形態のシステムは、上述した原理に従って、診断制御の実行時に、アクセル開度変化に対する機関負荷klの感度を下げると共に、その影響が緩和されるように点火時期の調整を行う。以下、実施の形態1において実行される処理の内容を具体的に説明する。
図2は、スロットル開度TAと機関負荷kl(吸入空気量Gaでも同様)との間に成立する関係を示す。図2に示すように、機関負荷klは、スロットル開度TAが小さいほど、そのTAの変化に対して急激な変化を示す。このため、アクセル操作に伴って診断制御の実行条件(上記の条件Bおよび条件C)が成立から不成立に変化する問題は、特にスロットル開度TAの小さい領域において発生し易い。このため、本実施形態では、スロットル開度TAの大きい領域では、敢えてその問題に対処するための処理を実行せず、スロットル開度TAの小さい領域においてのみ、その問題に対処するための処理、つまり、成立した実行条件が不成立に移行し難い状況を作り出すための処理を実行することとした。
図3は、本実施形態のシステムが、診断制御の非実行時に用いる通常特性(A特性)と、診断制御の実行時に用いる診断時特性(特性B)とを対比して表した図である。通常特性(A特性)によれば、アクセル開度とスロットル開度TAとは、全域に渡ってほぼ比例的な関係を示す。一方、診断時特性(特性B)では、0より大きな低開度下限値Llimから低開度上限値Hlimに渡る低アクセル開度領域において、アクセル開度変化に対するスロットル開度TAの感度が、通常特性と比較して下げられている。このため、診断時にアクセルペダルが踏み戻される際には、アクセル開度が上記の低アクセル開度領域を通過する過程において、スロットル開度TAの減少傾向は、非診断時に比して緩慢なものとなる。
アクセルペダルの踏み戻しに対してスロットル開度TAが緩慢な減少傾向を示せば、アクセル開度の現象に対する機関負荷klの減少傾向も、同様に緩慢なものとなる。このため、診断時特性(特性B)によれば、スロットル開度TAの小さい領域において、僅かなアクセル操作によって機関負荷klが大きく変化するのを防ぎ、成立していた診断制御の実行条件が不成立に移行するのを有効に阻止することができる。
上述した診断時特性(特性B)によれば、アクセル開度が低開度上限値Hlimを下回ると、機関負荷klが本来必要とされる値に対して過剰となる。そこで、本実施形態のシステムは、診断制御の実行中にアクセル開度が低開度上限値Hlimを下回ると、その過剰な機関負荷klの影響を緩和するために、点火時期の遅角制御を行う。
図4は、上記の遅角制御において用いられる遅角量RASの設定規則を説明するための図である。図4に示すように、本実施形態では、遅角量RASを機関負荷klに基づいて設定することとしている。この規則によれば、機関負荷klがアイドル判定相当値以下である場合は、遅角量RASが0とされる。機関負荷klがアイドル判定相当値以下である場合は、トルクの発生を抑える必要がない。上記の規則によれば、このような状況下で無駄にトルクの発生が抑えられるのを避けることができる。
また、図4に示す規則によれば、機関負荷klがアイドル判定相当値を超える場合は、上限値に至るまで、機関負荷klが大きいほど、遅角量RASが大きな値とされる。低アクセル開度領域においては、上述した通り、アクセル開度変化に対してスロットル開度TAが緩慢な変化を示す。この場合、吸入空気量Ga(g/sec)に大きな変化が生じないことから、機関回転数NEが低いほど、機関負荷klが大きな値になり易い。
従って、図4に示す規則によれば、機関回転数NEが下がるに連れて、遅角量RASを大きくし、その結果、機関トルクを小さくすることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、診断制御の実行中に、内燃機関10の発生トルクを、運転者の期待するトルクに適合させることができる。
[実施の形態1における具体的処理]
図5は、上述した機能を実現するために、本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートを示す。ECU50は、図5に示すルーチンの他、上述した触媒OBD制御を実現するためのルーチン、および上述したO2センサOBD制御を実現するためのルーチンを実行しているものとする。また、それらのルーチンでは、上述した条件A〜条件Cの成否が判断されており、それらの何れかが不成立となった時点で、触媒OBD制御の実行が停止され、また、O2センサOBD制御の実行が停止されるものとする。
図5に示すルーチンによれば、先ず、全診断完了フラグXOBDが0であるかが判別される(ステップ100)。全診断完了フラグXOBDは、触媒OBD制御およびO2センサOBD制御の双方が完了した時点で1とされる。従って、それら2つの診断制御が既に終了している場合は、ステップ100の判定が否定される。
この場合は、以後、通常時スロットル特性(特性A)によりスロットル開度TAが制御去れ(ステップ102)、更に、通常の手法で最終点火時期aopが算出される(ステップ104)。つまり、この場合は、診断制御を実行することなく、通常の手法で内燃機関10の制御が進められる。
上記ステップ100において、XOBD=0の成立が認められた場合は、少なくとも、触媒OBD制御およびO2センサOBD制御の一方は、未だ完了していないと判断できる。この場合は、次に、触媒OBD制御が実行中であるか否かが判断される(ステップ106)。その結果、触媒OBD制御が実行中でないと判断された場合は、更に、O2センサOBD制御が実行中であるかが判別される(ステップ108)。そして、O2センサOBD制御も実行されていないと判別された場合は、通常の手法で内燃機関10を制御するべく、以後、ステップ102および104の処理が実行される。
これに対して、上記ステップ106において、触媒OBD制御が実行中であると判別された場合は、次に、そのOBD制御による診断が完了したか否かが判別される(ステップ110)。その結果、未だ診断が完了していないと判別された場合は、実行条件が不成立に移行し難い状況を作り出す必要があると判断できる。この場合は、次に、スロットル開度TAの特性を診断時特性(B特性)として、内燃機関10の制御が進められる(ステップ112)。
一方、上記ステップ110において、触媒OBD制御による診断が完了していると判断された場合は、その完了を表すべく、X触媒OBDフラグに1がセットされる(ステップ114)。次いで、X02センサOBDフラグが0であるかが判別される(ステップ116)。XO2センサOBDフラグは、O2センサOBD制御による酸素センサ44の診断が完了した時点で1とされるフラグである。従って、既に酸素センサ44の診断が完了している場合は、ステップ116の判定が否定される。
換言すると、ステップ116において、XO2センサOBD=0が否定された場合は、上流触媒38のOBDも、酸素センサ44のOBDも共に終了していると判断できる。この場合、全ての診断制御が終了したことを表すべく、全診断完了フラグXOBDに1がセットされる(ステップ118)。以後、通常の手法で内燃機関10を制御するべく、ステップ102及び104の処理が実行される。
上記ステップ116において、XO2センサOBD=0の判定が肯定された場合は、酸素センサ44のOBDは、未だ完了していないと判断できる。この場合は、O2センサOBD制御が実行中であることを想定して、診断時特性(B特性)でスロットル弁18を制御するべく、ステップ112の処理が実行される。
図5に示すルーチン中、上記ステップ108において、O2センサOBD制御が実行中であると判別された場合は、次に、そのOBD制御による診断が完了したか否かが判別される(ステップ120)。その結果、未だその診断が完了していないと判別された場合は、実行条件が不成立に移行し難い状況を作り出す必要があると判断できる。この場合は、診断時特性(B特性)での制御を行うべく、ステップ112の処理が実行される。
一方、上記ステップ120において、O2センサOBD制御による診断が完了していると判断された場合は、その完了を表すべく、XO2センサOBDフラグに1がセットされる(ステップ122)。次いで、X触媒OBDフラグが0であるかが判別される(ステップ124)。その結果、X触媒OBD=0が否定された場合は、酸素センサ44のOBDに先立って、上流触媒38のOBDが既に終了していたと判断できる。この場合、全ての診断制御が終了したことを表すべく、ステップ118により全診断完了フラグXOBDに1がセットされる。
これに対して、上記ステップ124において、X触媒OBD=0が肯定された場合は、上流触媒38のOBDが未だ完了していないと判断できる。この場合は、触媒OBD制御が実行中であることを想定して、診断時特性(B特性)でスロットル弁18を制御するべく、ステップ112の処理が実行される。
以上説明した通り、図5に示すルーチンによれば、上流触媒38のOBD、および酸素センサ44のOBDの何れかが完了しておらず、かつ、それら何れかのOBDが実行中である場合は、ステップ112の処理により、診断時特性(B特性)でスロットル弁18が制御される。その結果、アクセル開度変化に対する機関負荷klの感度が低くなり、診断制御の実行条件の成立が維持され易くなる。
上記の処理が終わると、次に、スロットル開度TAが判定値Eより小さいか否かが判別される(ステップ126)。判定値Eは、低アクセル開度領域(LlimからHlimの間)に属する所定のアクセル開度に対応するスロットル開度TAである。通常特性(A特性)は、内燃機関10を効率的に運転させるために本来必要な機関負荷klを得るための特性である。これに対して、診断時特性(B特性)は、低アクセル開度領域では、その本来必要な機関負荷klに対して過剰な機関負荷klを発生させる特性である。この過剰分をΔklとすると、機関負荷klに対するΔklの比率は、スロットル開度TAが小さくなるほど大きくなる。そして、本ステップ126で用いられる判定値Eは、その過剰分Δklが内燃機関10のトルクに無視できない影響を与え始めるスロットル開度TAである。
つまり、上記ステップ126において、スロットル開度<Eの不成立が認められた場合は、ECU50は、診断時特性が用いられているが、内燃機関10のトルクに有意な影響は生じていないと判断できる。この場合は、以後、通常の点火時期制御を行うべく、ステップ104の処理が実行される。
一方、上記ステップ126において、スロットル開度<Eの成立が認められた場合は、機関負荷klの過剰分Δklの影響を緩和するため、点火時期の遅角処理が行われる。ここでは、先ず、機関負荷klに基づいて、点火時期遅角量RASが算出される(ステップ128)。ECU50は、図4に示すように、機関負荷klと点火時期遅角量RASとの関係を定めたマップを記憶している。本ステップ128では、そのマップに従って、遅角量RASが算出される。
次に、ベース点火時期と各補正との和から遅角量RASを減ずることにより、最終点火時期aopが算出される(ステップ130)。図4に示すマップによれば、低アクセル開度領域で、機関負荷klが大きくなるほど、つまり、機関回転数NEが下がるほど、点火時期の遅角量を大きくして出力トルクを抑えることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、診断制御の実行中に、その実行条件が維持され易い状況を作り出しつつ、内燃機関10の出力トルクが運転者の期待から大きく外れるのを有効に防ぐことができる。従って、このシステムによれば、車両の運転者に違和感を与えることなく、各種の診断制御が完遂される頻度を十分に高めることができる。
ところで、上述した実施の形態1においては、診断制御の実行中に、低アクセル開度領域において、機関負荷klに基づいて遅角量RASを算出することとしている。しかしながら、遅角量RASの算出手法はこれに限定されるものではなく、機関負荷klの過剰分Δklを算出して、その過剰分Δklに基づいて遅角量RASを算出することとしてもよい。すなわち、通常特性(A特性)の下で生ずる機関負荷klも、診断時特性(B特性)の下で生ずる機関負荷klも、機関回転数NEとアクセル開度が判れば推定することができる。そして、それらの差を求めることで過剰分Δklを算出することは可能である。過剰分Δklに基づいて遅角量RASを算出することとすれば、より具体的には、過剰分Δklが大きいほど大きな遅角量RASを設定することとすれば、スロットル特性の相違に起因する影響を点火時期の遅角で精度良く吸収することができる。このため、このような変形例によれば、診断時におけるトルクの特性を、より一層運転者の期待に沿わせることができる。この点は、以下に説明する他の実施形態においても同様である。
また、上述した実施の形態1においては、低アクセル開度領域においてのみ、アクセル開度変化に対する機関負荷klの感度を下げ、かつ、点火時期の補正を行うこととしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、診断制御の実行条件が、高アクセル開度側で外れやすい場合は、高アクセル開度領域側でそれらの制御を実行することとしてもよい。この点も、以下に説明する他の実施形態において同様である。
尚、上述した実施の形態1においては、電子制御スロットル弁18が前記第1の発明における「アクセル特性可変機構」に相当していると共に、ECU50が、吸入空気量Gaに基づいて触媒OBD制御の実行条件或いはO2センサOBD制御の実行条件の成否を判定することにより前記第1の発明における「条件判定手段」が、それらの条件の成立時に触媒OBD制御或いはO2センサOBD制御を実行することにより前記第1の発明における「診断制御手段」が、上記ステップ102及び112の処理を実行することにより前記第1の発明における「特性変更手段」が、上記ステップ128および130の処理を実行することにより前記第1の発明における「点火時期調整手段」が、それぞれ実現されている。
また、上述した実施の形態1においては、ECU50が、上記ステップ102の処理を実行することにより前記第2の発明における「通常特性手段」が、上記ステップ112の処理を実行することにより前記第2の発明における「診断時特性手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態2.
[実施の形態2の特徴]
次に、図6乃至図8を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
図6は、本発明の実施の形態2の構成を説明するための図である。本実施形態のシステムは、アクセルペダルに対して機械的に連結されたスロットル弁52を備えている。スロットル弁52の近傍には、スロットル弁18をバイパスするISC(Idle Speed Control)通路54と、ISC通路54の導通を制御するISC弁56とが設けられている。これらの点を除くと、本実施形態のハードウェア構成は、実施の形態1のハードウェア構成と同様である。
上述した実施の形態1のシステムは、スロットル特性を変化させることにより、診断制御の実行時に、アクセル開度変化に対する機関負荷klの感度を低下させることとしている。これに対して、本実施形態では、ISC弁の開度特性を変化させることにより、同様の機能が実現される。
図7は、本実施形態において用いられるISC開度の特性を説明するための図である。図7中に、実線で示すISC開度特性(C特性)は、診断制御の非実行時に用いられる通常特性である。一方、破線で示すISC開度特性(D特性)は、診断制御の実行時に用いられる実行時特性である。ISC開度特性は、何れも機関回転数NEとの関係で定められている。そして、図7に示すように、診断時特性(D特性)は、通常特性(C特性)に比して、低回転領域で相対的に大きな値をとるように設定されている。
本実施形態において、スロットル特性は、診断制御の実行中と非実行中とで何ら変化しない。スロットル開度が同じであれば、ISC開度が大きいほど、機関負荷klは大きなものとなる。このため、ISC開度特性として診断時特性(D特性)が用いられる場合、低回転領域において、通常特性(C特性)が用いられる場合に比して、機関負荷klが減少し難い状況が作り出される。つまり、本実施形態のシステムによれば、診断制御が実行されているか否かに応じて診断時特性(D特性)と通常時特性(C特性)とを切り換えることにより、実施の形態1の場合と同様に、診断時には、低アクセル開度領域において、アクセル開度変化に対して機関負荷klが鈍い減少感度を示す状況を作り出すことができる。
[実施の形態2における具体的処理]
図8は、上述したハードウェアの特性を前提として、実施の形態1の場合と同様の機能を実現するために、本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。図8に示すルーチンは、ステップ102および112が、それぞれステップ140および142に置き換えられている点を除き、図5に示すルーチンと同様である。以下、図8において、図5に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
すなわち、図8に示すルーチンによれば、ステップ100においてXOBD=0の不成立が判断された場合、およびステップ118においてXOBDに1がセットされた場合、その後、ISC弁56が通常特性(C特性)により制御される(ステップ140)。ECU50は、図7に示すC特性のマップを記憶している。ここでは、そのマップに従って機関回転数NEに対応するISC開度が設定され、更に、そのISC開度が実現されるようにISC弁56が駆動される。その結果、低アクセル開度領域では、アイドル状態を維持するうえで本来必要な機関負荷klが、ISC弁56により確保される。
上記の処理が終わると、次に、通常の点火時期制御を実現するべく、ステップ104の処理が実行される。その結果、内燃機関10では、運転者の意図に沿った運転状態が実現される。
図8に示すルーチンでは、また、上流触媒38のOBD、および酸素センサ44のOBDの少なくとも一方が実行中であると判別された場合に、ISC弁56が診断時特性(D特性)により制御される(ステップ142)。ECU50は、図7に示すD特性のマップを記憶している。ここでは、そのマップに従って機関回転数NEに対応するISC開度が設定され、更に、そのISC開度が実現されるようにISC弁56が駆動される。その結果、低アクセル開度領域では、アイドル状態を維持するうえで本来必要な機関負荷klに比して過剰な機関負荷klが確保される。
以後、実施の形態1の場合と全く同様にして、ステップ126〜130の処理が実行される。その結果、低アクセル開度領域では、過剰なトルクが生じないように、つまり、内燃機関10の発するトルクが、運転者の意図に沿ったものとなるように、点火時期の遅角制御が実行される。このため、本実施形態のシステムによっても、車両の運転者に違和感を与えることなく、各種の診断制御が完遂される頻度を十分に高めることができる。
尚、上述した実施の形態1においては、ISC弁56が前記第1の発明における「アクセル特性可変機構」に相当している。また、ECU50が、上記ステップ140及び142の処理を実行することにより前記第1の発明における「特性変更手段」が実現されている。更に、ここでは、ECU50が、上記ステップ140の処理を実行することにより前記第4の発明における「通常特性手段」が、上記ステップ142の処理を実行することにより前記第4の発明における「診断時特性手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態3.
[実施の形態3の特徴]
次に、図9乃至図11を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。
本実施形態のシステムは、図1に示すシステム構成において、ECU50に、後述する図10に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
上述した実施の形態1では、アクセル開度に対するスロットル開度TAの変化率を変えることにより、機関負荷klの感度を変化させることとしている。これに対して、本実施形態のシステムは、アクセル開度の増減に伴ってスロットル開度TAに表れるヒステリシスの特性を変化させることにより、同様の機能を実現することとしている。
図9は、本実施形態において用いられるスロットル特性を説明するための図である。より具体的には、図9(A)は、診断制御の非実行時に用いられる通常特性(F特性)を示し、また、図9(B)は、診断制御の実行時に用いられる診断時特性(G特性)を示す。
図9に示すように、スロットル開度TAは、通常特性(F特性)による場合も診断時特性(G特性)による場合も、アクセル開度の増加中および減少中は、ほぼアクセル開度の変化量に対して比例的な変化を示す。また、何れの場合にも、アクセル開度が増加から減少に転じる際、およびその逆の場合に、アクセル開度変化量が一定値に達するまでは、スロットル開度TAが一定値に維持される。以下、通常特性(F特性)におけるその「一定値」を「小ヒステリシス値」と称し、診断時特性(G特性)におけるその「一定値」を「大ヒステリシス値」と称す。
診断時特性(G特性)に組み込まれている「大ヒステリシス値」は、通常特性(F特性)に組み込まれている「小ヒステリシス値」に比して大きな値である。従って、診断制御の実行中は、その非実行中に比して、スロットル開度TAが一定値に維持される機会が増加する。つまり、診断制御の実行中は、その非実行中に比して、アクセル操作に対するスロットル開度の応答が緩慢になる。このため、本実施形態のシステムによっても、実施の形態1または2の場合と同様に、診断制御の実行中に、その非実行中に比して、アクセル開度変化に対する機関負荷klの感度が低くなる状況を作り出すことができる。
[実施の形態3における具体的処理]
図10は、上述したハードウェアの特性を前提として、実施の形態1の場合と同様の機能を実現するために、本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。図10に示すルーチンは、ステップ102がステップ150に置き換えられている点、および、ステップ112、126および128が、ステップ152〜156に置き換えられている点を除いて、図5に示すルーチンと同様である。以下、図10において、図5に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
すなわち、図10に示すルーチンによれば、ステップ100においてXOBD=0の不成立が判断された場合、およびステップ118においてXOBDに1がセットされた場合、その後、ISC弁56が通常特性(F特性)により制御される(ステップ150)。ECU50は、図9(A)に示すF特性のマップを記憶している。ここでは、そのマップに従ってアクセル開度に対応するスロットル開度TAが設定され、更に、そのスロットル開度TAが実現されるようにスロットル弁18が駆動される。その結果、アクセル操作に対して敏感に反応するスロットル特性が実現される。
上記の処理が終わると、次に、通常の点火時期制御を実現するべく、ステップ104の処理が実行される。その結果、内燃機関10では、運転者の意図に沿った運転状態が実現される。
図10に示すルーチンでは、また、上流触媒38のOBD、および酸素センサ44のOBDの少なくとも一方が実行中であると判別された場合に、スロットル弁18が診断時特性(G特性)により制御される(ステップ152)。ECU50は、図9(A)に示すG特性のマップを記憶している。ここでは、そのマップに従ってアクセル開度に対応するスロットル開度TAが設定され、更に、そのスロットル開度TAが実現されるようにスロットル弁18が駆動される。その結果、アクセル操作に対して感度の低いスロットル特性が実現される。
図10に示すルーチンでは、次に、増加から減少に転じた後のスロットル開度変化量が、大ヒステリシス値より小さいか否かが判別される(ステップ154)。この判定が否定される場合は、上記のスロットル開度変化量が大ヒステリシス値に達していると判断できる。そして、その場合は、スロットル開度TAがアクセル開度に対して比例的な変化を示していると判断できる。つまり、この場合は、診断時特性(G特性)が用いられてはいるが、機関負荷klは、運転者の意図に沿った変化を示していると判断できる。このため、この場合は、以後、通常の点火時期制御を行うべく、ステップ104の処理が実行される。
一方、上記ステップ154において、スロットル開度の変化量が大ヒステリシス値より小さいと判断された場合は、アクセル開度変化量に応じた点火時期遅角量RASが求められる(ステップ156)。その後、上記の点火時期遅角量RASが最終点火時期aopに反映されるようにステップ130の処理が実行される。
図11は、点火時期遅角量RASを求めるためにECU50が記憶しているマップを示す。図11において、横軸はアクセル開度変化量を示す。ここでは、増加から減少に転じた後のアクセル開度変化量がマイナス、減少から増加に転じた後のアクセル開度変化量がプラスとして表されている。
図11に示すマップによれば、増加から減少に転じた後のアクセル開度変化量が、通常特性(F特性)に含まれている小ヒステリシス値以下である間は、遅角量RASがゼロとされる。このため、このマップによれば、アクセル開度変化量が小ヒステリシス値に達するまでは、診断制御の実行中においても、その非実行中と同様のスロットル特性を実現することができる。
また、図11に示すマップによれば、アクセル開度変化量が小ヒステリシス値を超える領域では、上限値を超えない範囲で、アクセル開度変化量が大きいほど遅角量RASが大きな値とされる。この領域は、診断時特性(F特性)が用いられていることにより、スロットル開度TAの減少が妨げられている領域である。つまり、この領域は、診断時において、過剰な機関負荷klが確保される領域である。
図11に示すマップによれば、上記の領域において、内燃機関10の燃焼が悪化しない範囲で、負荷の過剰分Δklが大きいほど大きな遅角量RASを設定することができる。このため、本実施形態のシステムによっても、実施の形態1または2の場合と同様に、過剰な負荷klが確保される状況下で、内燃機関10のトルクを運転者の意図に沿ったものとすることができる。
ところで、上述した実施の形態3においては、アクセル開度が増加から減少に転じた場合にのみ(図11においてアクセル開度変化量が負となる場合にのみ)、点火時期に補正を施すこととしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、アクセル開度が減少から増加に転じた後、アクセル開度変化量が小ヒステリシス値より大きく大ヒステリシス値より小さい領域において、トルク不足を補うために、点火時期に進角補正を施すこととしてもよい。
尚、上述した実施の形態3においては、図9(A)に示す特性が前記第5の発明における「小ヒステリシス特性」に相当し、図9(B)に示す特性が前記第5の発明における「大ヒステリシス特性」に相当している。
本発明の実施の形態1の構成を説明するための図である。 スロットル開度TAと機関負荷kl(または吸入空気量Ga)との間に成立する関係を示す。 本発明の実施の形態1において、スロットル開度に関して用いられる通常特性(A特性)と診断時特性(特性B)とを対比して表した図である。 本発明の実施の形態1において用いられる遅角量RASの設定規則を説明するための図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態2の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態2において、ISC開度に関して用いられる通常特性(C特性)と診断時特性(特性D)とを対比して表した図である。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態3において、スロットル開度に関して用いられる通常特性(F特性)と診断時特性(特性G)とを対比して表した図である。 本発明の実施の形態3において実行されるルーチンのフローチャートである。 図10に示すルーチン中で点火時期遅角量RASを求めるために参照されるマップを示す図である。
符号の説明
10 内燃機関
12 エアフロメータ
18 電子制御式スロットル弁
38 上流触媒
42 空燃比センサ
44 酸素センサ
kl 機関負荷
Hlim 低開度上限値
Llim 低開度下限値
RAS 点火時期遅角量

Claims (7)

  1. 吸入空気量を基礎として診断制御の実行条件を判定する条件判定手段と、
    前記実行条件の成立時に、前記診断制御を実行する診断制御手段と、
    アクセル開度と機関負荷との関係を可変とするアクセル特性可変機構と、
    前記診断制御の実行時に、非実行時に比して、アクセル開度変化に対する機関負荷の感度を下げる特性変更手段と、
    前記診断制御の実行時に、前記感度の低下に伴う機関負荷の変動分の影響が緩和されるように、内燃機関の点火時期を調整する点火時期調整手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記アクセル特性可変機構は、アクセル開度と独立してスロットル開度を調整することのできる電子制御スロットル弁を含み、
    前記特性変更手段は、
    前記診断制御の非実行時に、アクセル開度とスロットル開度との間に通常特性を成立させる通常特性手段と、
    前記診断制御の実行時に、アクセル開度とスロットル開度との間に、アクセル開度変化に対するスロットル開度の感度が前記通常特性に比して下げられた診断時特性を成立させる診断時特性手段と、
    を含むことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記診断時特性は、0より大きな低開度下限値から低開度上限値に渡る低アクセル開度領域において、前記通常特性に比して前記感度が下げられおり、
    前記点火時期調整手段は、前記低アクセル開度領域において、機関負荷が大きいほど、点火時期に大きな遅角補正を施すことを特徴とする請求項2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記アクセル特性可変機構は、スロットル弁をバイパスするISC通路と、前記ISC通路の導通状態を制御するISC弁とを備え、
    前記特性変更手段は、
    前記診断制御の非実行時に、機関回転数と前記ISC弁の開度との間に通常特性を成立させる通常特性手段と、
    前記診断制御の実行時に、機関回転数と前記ISC弁の開度との間に診断時特性を成立させる診断時特性手段とを含み、
    前記診断時特性は、機関回転数が低回転判定値を下回る低回転領域において、前記ISC弁の開度を前記通常特性に比して大きく確保する特性であることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記通常特性は、アクセル開度が増加から減少に転じる際、および減少から増加に転じる際に、アクセル開度変化が小ヒステリシス値に至るまでスロットル開度を維持する小ヒステリシス特性であり、
    前記診断時特性は、アクセル開度が増加から減少に転じる際、および減少から増加に転じる際に、アクセル開度変化が、前記小ヒステリシス値に比して大きな大ヒステリシス値に至るまでスロットル開度を維持する大ヒステリシス特性であることを特徴とする請求項2記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記点火時期調整手段は、前記診断制御の実行中に、増加から減少に転じた後のアクセル開度変化が前記小ヒステリシス値を超える領域において、点火時期に遅角補正を施すことを特徴とする請求項5記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記点火時期調整手段は、前記診断制御の実行中に、増加から減少に転じた後のアクセル開度変化が前記大ヒステリシス値に至るまで、前記アクセル開度変化が大きいほど、点火時期に大きな遅角補正を施すことを特徴とする請求項6記載の内燃機関の制御装置。
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