JP4700079B2 - 気筒間の空燃比の不均衡を判断するための装置 - Google Patents

気筒間の空燃比の不均衡を判断するための装置 Download PDF

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この発明は、内燃機関の気筒間の空燃比の不均衡(imbalance)を判断するための装置に関する。
複数の気筒を備える内燃機関において、気筒間で混合気の空燃比がばらつくと、排ガスを浄化する三元触媒の浄化率が低下し、エミッションが悪化するおそれがある。
エミッションを悪化させるものとして失火があるが、下記の特許文献1では、空燃比センサの出力平均値および出力振れ幅に基づいて失火の生じた気筒を特定する手法が記載されている。
特開平3−189371号公報
複数の気筒間において空燃比がばらついているかどうかを、より効率的かつ良好な精度で判断することができれば、該ばらつきを補償する制御の効率性および精度を向上させることができる。したがって、この発明は、良好な精度を維持しつつ、より簡単に、気筒間において空燃比がばらついているかどうかを判断する手法を提案する。
この発明の一つの側面によると、複数の気筒を備える内燃機関の制御装置は、内燃機関の空燃比を検出する検出手段(16)と、該検出された空燃比を示す信号(KACT)から、内燃機関の回転数の0.5次の周波数成分を抽出するよう、該信号をバンドパスフィルタでフィルタリングするフィルタリング手段(52)と、該フィルタリングされた信号を所定期間にわたって積算し、第1の積算値を算出する積算手段(53)と、該所定期間経過後、該第1の積算値が所定のしきい値より大きければ、複数の気筒間において空燃比がばらついている状態が生じていると判断する判断手段(55)と、を備える。
複数の気筒のうちのいずれかの気筒の空燃比と他の気筒の空燃比との間に不均衡がある場合、または、燃料の噴射が連続する2つの気筒の空燃比と他の気筒の空燃比との間に不均衡がある場合には、空燃比センサから検出される空燃比を示す信号において、エンジン回転数の0.5次周波数成分における値が高い。この発明は、この知見に鑑みてなされたものであり、検出された該空燃比を示す信号から、エンジン回転数の0.5次周波数成分を抽出し、該抽出した周波数成分の大きさを調べることにより、気筒間において空燃比の不均衡が生じているかどうかを簡単に調べることができる。
この発明の一実施形態では、さらに、上記検出された空燃比を示す信号から、内燃機関の回転数の1次の周波数成分を抽出するよう、該信号を第2のバンドパスフィルタでフィルタリングする手段(52b)と、該第2のバンドパスフィルタによってフィルタリングされた信号を上記所定期間にわたって積算し、第2の積算値を算出する手段(53b)と、を備える。該所定期間経過後、第1の積算値が上記所定のしきい値より大きい、または第2の積算値が所定の第2のしきい値より大きければ、複数の気筒間において空燃比がばらついている状態が生じていると判断する。
内燃機関の形態によっては、燃料噴射が不連続の2つの気筒の空燃比と他の気筒の空燃比との間に不均衡がある場合には、検出された空燃比を示す信号において、エンジン回転数の1次の周波数成分が高い値として現れる。したがって、0.5次だけでなく1次の周波数成分を抽出することにより、このような形態の内燃機関についても、気筒間で空燃比に不均衡が生じているかどうかを簡単な手法で見極めることができる。
この発明の一実施形態では、さらに、内燃機関の運転状態に応じて、補正係数を決定する手段(54)と、上記第1の積算値を、該補正係数で補正する手段(54)と、を備える。検出された空燃比を示す信号は、内燃機関の運転状態に応じて異なる値を呈することがある。この発明によれば、該運転状態に応じた補正係数で補正することにより、積算値を、該運転状態に依存しない値とすることができる。したがって、運転状態に係わらず、しきい値を一定にすることができる。一実施形態では、該運転状態は、内燃機関の回転数(NE)および吸気管圧力(PB)を含む。
この発明の一実施形態では、内燃機関の運転状態に基づいて、所定の条件が満たされるかどうかを判断する手段(51)を備え、該所定の条件が満たされたならば、上記フィルタリング、積算、および判断処理を許可する。
運転状態の領域によっては、排ガスボリュームの不足や空燃比センサの応答性の低下等によって、良好な精度で空燃比の不均衡判断を行うのが難しい場合がある。したがって、このような場合には、不均衡判断を禁止する。一実施形態では、所定の条件には、内燃機関の回転数が所定範囲内にあり、かつ該内燃機関の吸気管圧力が所定値より大きいことを含む。こうすることにより、空燃比センサの応答性が確保される運転状態において空燃比不均衡を判断することができる。
この発明の一実施形態では、上記の所定期間中に、或る周期で上記所定の条件が満たされなくなったならば、積算処理を禁止して、前回の周期で算出された積算値を保持し、その後、該所定の条件が満たされたことに応じて、該保持された積算値を用いて積算処理を再開する。こうして、積算処理を実行している期間中に、たとえば運転状態の変動等によって所定の条件を満たさなくなった場合でも、積算処理を一時的に停止した後に該積算処理を再開するので、空燃比不均衡の判断結果を得ることができる。
次に図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の一実施形態に従う、内燃機関(以下、エンジンと呼ぶ)およびその制御装置の全体的な構成図である。
電子制御ユニット(以下、「ECU」)という)1は、中央演算処理装置(CPU)およびメモリを備えるコンピュータである。メモリには、車両の様々な制御を実現するためのコンピュータ・プログラムおよび該プログラムの実施に必要なデータ(マップを含む)を格納することができる。ECU1は、車両の各部から信号を受取ると共に、該メモリに記憶されたデータおよびプログラムに従って演算を行い、車両の各部を制御するための制御信号を生成する。
エンジン2は、たとえば4気筒を有するエンジンである。エンジン2には、吸気通路3および排気通路4が連結されている。吸気通路3には、スロットル弁5が設けられている。スロットル弁5の開度は、ECU1からの制御信号に従って制御される。スロットル弁5の開度を制御することにより、エンジン2に吸入される空気の量を制御することができる。スロットル弁5には、スロットル弁の開度を検出するスロットル弁開度(θTH)センサ6が連結されており、この検出値は、ECU1に送られる。
燃料噴射弁7が、エンジン2とスロットル弁5との間であって、エンジン2の吸気弁(図示せず)の少し上流側に、気筒ごとに設けられている。燃料噴射弁7は、燃料タンク29に接続されており、燃料タンク29からの燃料を噴射する。燃料噴射弁7の燃料噴射時期および燃料噴射量は、ECU1からの制御信号に従って変更される。
スロットル弁の上流には、吸気通路3を流れる空気の量を検出するエアフローメータ(AFM)8が設けられている。
スロットル弁5の下流には、絶対圧(PB)センサ10が設けられており、吸気通路3内の圧力PBを検出する。また、絶対圧センサ10の下流には吸気温(TA)センサ11が設けられており、吸気通路3内の温度を検出する。これらの検出値は、ECU1に送られる。また、エンジン2には、エンジンの水温TWを検出するためのエンジン水温センサ12が設けられており、該センサの検出値は、ECU1に送られる。
ECU1には、エンジン1のクランク軸の回転角度を検出するクランク角センサ13が接続されており、該センサの検出値はECU1に供給される。クランク角センサ13は、所定のクランク角度(たとえば30度)毎に1パルス(CRKパルス)を発生し、該パルスにより、クランク軸の回転角度位置を特定することができる。ECU1は、該CRKパルスに基づいてエンジン回転数NEを算出する。また、クランク角センサ13は、ピストンの上死点(TDC)位置に関連したクランク角度で、TDC信号をECU1に出力する。
排気通路4には、たとえば種々の触媒によって実現されることのできる排ガス浄化装置15が設けられており、各気筒から排気通路4に流出される排ガスを浄化して、大気に放出する。
排ガス浄化装置15の上流には、空燃比(LAF)センサ16が設けられている。空燃比センサ16は、混合気のリーンからリッチにわたる領域の空燃比をリニアに検出してECU1に送る。この実施例では、空燃比センサの出力から、検出当量比KACTが検出される。検出当量比KACTは、空燃比を示す信号であり、「空燃比/理論空燃比」によって算出される。検出当量比の値が1より小さければ、空燃比がリーンであることを示し、1より大きければリッチであることを示す。
EGR通路18が、吸気通路3と排気通路4の間に接続されており、EGR通路18を介して、排気通路4の排ガスを吸気通路3に還流し、各気筒に供給することができる。還流率(還流する排ガスの量/新気の吸入空気量)は、EGR弁19により調整することができる。EGR弁19の開度は、ECU1からの制御信号に従って変更される。
燃料タンク29は、チャージ通路20を介してキャニスタ21に接続されている。キャニスタ21は、燃料タンク9内で発生する蒸発燃料を吸着する吸着剤22を内蔵すると共に、外気取り込み口23を有する。
キャニスタ21は、パージ通路27を介して吸気通路3のスロットル弁5の下流側に接続されている。パージ通路27にはパージ制御弁28が設けられている。パージ制御弁は、ECU1からの制御信号に従って、デューティ制御される。制御信号すなわちデューティ信号で表される開弁(オン)時間と閉弁(オフ)時間の比率(デューティ比)を変更することにより、パージ制御弁の開弁量を連続的に制御することができる。こうして、パージ制御弁28は、パージ通路27を吸気通路3に向けて流れる蒸発燃料の量を制御する。
こうして、燃料噴射弁7からの燃料、EGR通路18からのEGRガス、パージ通路27からの蒸発燃料、および吸気通路3からの空気の混合気が、エンジン2の燃焼室内で燃焼する。
ECU1は、上記各種センサからの入力信号に応じて、メモリに記憶されたプログラムおよびデータ(マップを含む)に従い、エンジン2の運転状態を検出すると共に、スロットル弁5、燃料噴射弁7、EGR弁19およびパージ制御弁28等を制御するための制御信号を生成する。
ここで、本願発明の原理を説明する。図2を参照すると、直列4気筒エンジンにおいて、空燃比センサ16によって検出された空燃比を当量比KACTで表したグラフが示されている。前述したように、検出当量比KACTは、値1より大きければ混合気がリッチであることを示し、値1より小さければ混合気がリーンであることを示す。図に示す1サイクルは、第1気筒〜第4気筒について燃焼が順番に実行されるサイクル(より具体的には、第1気筒―>第3気筒―>第4気筒―>第2気筒の順番)を示し、この実施例では、720度のクランク角度期間に対応する。したがって、クランク角度180度毎に、いずれか1つの気筒の燃焼が行われる。
(a)は、4気筒間において空燃比が均衡されている状態(バランス状態)を示しており、検出当量比KACTが、すべての気筒において、矢印101で示すような所定のレンジ(この例では、0.01のレンジ)内に収まっている。
(b)は、4気筒間において空燃比が不均衡になっている状態(インバランス状態)を示しており、1サイクルにおいて、検出当量比KACTが、(a)に示すような所定のレンジ内に収まっていない部分がある。この例では、第1気筒のみが、他の気筒よりも20%だけ空燃比がリッチになるよう燃料が噴射された場合を示している。このように、インバランス状態は、少なくとも1つの気筒についての空燃比と、他の気筒の空燃比との間に不均衡(ずれ)がある状態を示し、たとえば、燃料噴射弁7、パージ制御弁28等を含む蒸発燃料を処理する装置、EGR制御弁19等を含むEGRガスを処理する装置に関する構成要素の不具合等に起因して起こり得る。
図から明らかなように、バランス状態においては、検出当量比KACTに周期的な変動が生じないが、インバランス状態においては、周期的な変動が生じている。したがって、検出当量比KACTから、変動する成分(変動成分)を抽出することにより、インバランス状態かどうかを判断することができる。
以下、直列4気筒エンジンとV型6気筒エンジンを例にあげて、インバランス状態を判断する手法の原理について説明する。
図3の(a)は、図1のエンジン2が、直列4気筒エンジンである場合の、空燃比(LAF)センサ16の配置を説明するための概略図である。このエンジンでは、4つの気筒2aから2dが設けられ、吸気通路3の集合部32で分岐された吸気管3aから3dは各気筒に連結され、各気筒の排気管4a〜4bは、集合部31において排気通路4に連結されている。空燃比センサ16は、該排気通路4に設けられている。
図3の(b)は、図1のエンジン2がV型6気筒エンジンである場合の、空燃比(LAF)センサの配置を説明するための概略図である。このエンジンでは、第1のバンクおよび第2のバンクのそれぞれに3個の気筒2a〜2cおよび2d〜2eが設けられている。第1のバンクについて、吸気通路3の集合部32で分岐された吸気管3aから3cが各気筒に連結され、各気筒からの排気管4aから4cは、集合部31aにおいて排気通路35aに連結されており、該排気通路35aに1個の空燃比センサ16aが設けられている。第2のバンクについても、同様の構成を有する。
図4は、図3(a)に示されるような直列4気筒エンジンの場合を示し、当該エンジンでは、1サイクルの間(クランク角度720度期間)に、#1―>#3―>#4―>#2の気筒の順番で燃料が噴射される。(a)は、気筒間において空燃比が均衡されている状態の検出当量比KACTの周波数スペクトルを示す。横軸の「0.5次」は、エンジン回転数の0.5次周波数成分を示し、「1次」は、エンジン回転数の1次周波数成分を示す。
(b)は、第1の気筒のみをリッチにし、他の気筒をリーンにした場合、(c)は、燃料噴射が連続する2つの気筒(この例では、第1および第3気筒)においてリッチにし、他の気筒をリーンにした場合、(d)燃料噴射が不連続の2つの気筒(この例では、第1および第4の気筒であり、以下、対向2気筒と呼ぶ)においてリッチにし、他の気筒をリーンにした場合を示し、それぞれの場合について、リッチおよびリーンを示す信号、検出当量比KACT、および検出当量比KACTの周波数スペクトルが示されている。
図に示されるように、(b)のように1つの気筒のみについて空燃比がずれている場合には、エンジン回転数の0.5次周波数成分において出力が高くなっている。(c)のように連続2気筒について空燃比がずれている場合にも、0.5次周波数成分において出力が高くなっている。(d)のように対向2気筒について空燃比がずれている場合には、エンジン回転数の1次の周波数成分において出力が高くなっている。
仮に、エンジン回転数が1000rpmとすると、1次周波数は、(1000/60)Hzであり、よって、60ミリ秒(クランク角度360度の期間=1/2サイクル)の周期に対応し、0.5次周波数は、(1000/12)Hzであり、よって、120ミリ秒(クランク角度720度の期間=1サイクル)の周期に対応する。エンジン回転数が3000rpmの場合には、1次周波数は20ミリ秒(クランク角度360度の期間)の周期に対応し、0.5次周波数は40ミリ秒(クランク角度720度の期間)の周期に対応する。したがって、(b)および(c)の場合には、検出当量比KACTが1サイクルの周期で変動し、(d)の場合には、検出当量比KACTが、2分の1サイクルの周期で変動する。
このように、直列4気筒のエンジンの場合には、エンジン回転数の0.5次周波数および1.0次周波数成分を空燃比センサの出力から抽出することにより、空燃比の不均衡に起因する変動成分を良好に抽出することができる。
図5は、図3(b)に示すようなV型6気筒型のエンジンの場合を示す。当該エンジンでは、1サイクルの間(クランク角度720度期間)に、#1―>#4―>#2―>#5―>#3―>#6の気筒の順番で燃料が噴射される。前述したように、V型エンジンの場合には、バンクごとに空燃比センサが設けられるので、図には、第1〜第3気筒を備える第1のバンクについての検出当量比KACTの波形が示されている。当然ながら、第2のバンクについても同様のことがあてはまる。
(a)は、気筒間において空燃比が均衡されている状態の検出当量比KACTの周波数スペクトルを示す。(b)は、第1の気筒のみをリッチにし、他の気筒をリーンにした場合、(c)は、燃料噴射が連続する2つの気筒(この例では、第1および第2気筒)においてリッチにし、他の気筒をリーンにした場合の、リッチおよびリーンを示す信号、検出当量比KACT、および検出当量比KACTの周波数スペクトルが示されている。1つのバンクの気筒数が3個であるので、図4(d)のような対向2気筒のケースは存在しない。したがって、エンジン回転数の0.5次周波数成分のみを抽出すれば、気筒間における空燃比の不均衡を判断することができる。
図6は、本願発明の一実施形態に従う、気筒間において空燃比がインバランス状態にあるかどうかを診断するための制御装置のブロック図を示す。
診断条件判定部51は、インバランス状態を見極めるための診断プロセスの実行を許可するための所定の条件が満たされたかどうかを、エンジンの運転状態に基づいて判断する。この実施例では、該所定の条件には、空燃比センサ16の応答特性に依存した条件が含まれる。該応答特性は、主に、エンジン回転数NEと吸気管圧力PBに基づいて決まる。
ここで、図7(a)を参照すると、エンジン回転数NEと吸気管圧力PBとに基づく空燃比センサの応答特性の概略が示されている。この例では、所定範囲のエンジン回転数を4つのレンジに分けており、NE1〜NE4に向かって回転数の値は高くなっている。また、所定範囲の吸気管圧力を4つのレンジに分けており、PB1からPB4に向かって吸気管圧力の値は高く(すなわち負荷が高く)なっている。なお、ここで示すレンジの数は一例であり、他の数のレンジを設定してもよい。
低回転数および低負荷(低吸気管圧力)の領域では、排ガスのボリュームが不足するため、空燃比センサの出力が比較的小さい。また、高回転数の領域では、1サイクルの時間長が短いので、空燃比センサの出力が実際の空燃比変化に追従することが困難になる(空燃比センサの応答性の限界領域である)。したがって、エンジンの現在の運転状態がこれらの領域にあるときには、診断プロセスの実行を禁止するのが好ましい。
診断可能領域では、図7(b)に示されるように、空燃比センサの応答性(空燃比センサの出力の大きさで表される)が最大、大、中および小とランク付けされることができる。エンジン回転数が低くなるほど、1サイクルの時間長が長くなるので、空燃比センサの応答性は良好になる。また、高負荷になるほど、排ガスボリュームが大きくなるので、応答性が良好になる。診断条件判定部51は、エンジンの運転状態がこれらの診断可能領域にあるときには、診断プロセスの実行を許可する。
上記では、排ガスボリューム不足となる領域を、吸気管圧力およびエンジン回転数に基づいて説明したが、排ガスボリュームが不足しているかどうかは、吸気管圧力およびエンジン回転数とは異なる運転状態パラメータに基づいて判断してもよい。たとえば、吸入空気量(これは、AFM8により検出されることができる)に基づいて判断してもよいし、燃料噴射量に基づいて判断してもよい。また、吸入空気量および燃料噴射量から排ガスボリュームの値を算出し、該算出した排ガスボリュームの値に基づいて判断してもよい。
診断プロセスの実行を許可するかどうかの上記所定の条件には、他の条件を含めることができ、この具体例については後述される。
図6に戻り、バンドパスフィルタ52は、空燃比センサ16から検出された当量比KACTから、エンジン回転数の0.5次の周波数成分を抽出するよう構成されている。当該バンドバスフィルタのフィルタ式の一例を、以下に示す。該フィルタは、この実施例では、再帰型デジタルフィルタとして実現される。ここで、aからaおよびb〜bは、シミュレーション等によって決定されることができるフィルタ係数を示す。xは、空燃比センサからの検出当量比KACTを示す。yは、フィルタの出力値を示す。nは、制御周期を示し、各制御周期の長さは、この実施例では、後述される積算および補正の周期と等しいか、またはそれ以下の長さを持つよう設定される。
Figure 0004700079
検出当量比KACTがバンドパスフィルタ52によってフィルタリングされることにより、フィルタ済み当量比が算出される。ここで、図8を参照すると、フィルタ済み当量比の一例が(a)に示されている。
図6に戻り、積算部53は、前述したエンジン回転数の0.5次周波数に対応する周期毎に、該フィルタ済み当量比を積算する。具体的には、該周期毎に、フィルタ済み当量比を受け取り、該フィルタ済み当量比を積算値の前回値に加算することにより、積算値の今回値を算出する。こうして、図8の(b)に示されるように、積算値は、該周期毎にステップ状に増加していく。積算値の初期値はゼロに設定されることができる。
補正部54は、エンジンの現在の運転状態に応じた補正係数を取得し、上記の周期毎に該補正係数で該積算値を補正する。ここで、該補正係数の取得も、該周期毎に行ってもよい。
ここで、図7(c)を参照すると、前述した図7(b)の応答性のランク付けに従って、補正係数が割り振られている。応答性が大きくなるほど、低い値の補正係数が割り振られる。応答性が最大の領域では、1.0の補正係数が割り振られ、よって、実質的な補正は行われない。図に示すような補正係数を、たとえばマップとしてECU1のメモリに記憶することができる。補正部54は、現在のエンジン回転数NEおよび吸気管圧力PBに基づいて該マップを参照し、対応する補正係数を取得し、該補正係数を積算値に乗算することにより、補正を実行する。
前述した周期毎に補正係数を取得する場合、好ましくは、該周期中のエンジン回転数の平均値および吸気管圧力の平均値に基づいて該マップを参照し、対応する補正係数を取得する。平均値を用いることにより、周期中にエンジンの運転状態に変動が生じた場合でも、より適切な補正係数を選択することができる。
なお、図に示す補正係数の値は一例であり、これらの値に限定されるものではない。該補正により得られた値を、結果値と呼ぶ。エンジンの運転状態に応じた補正係数で補正することにより、結果値を、運転状態に依存しない値とすることができる。
再び図8を参照すると、結果値の一例が(c)に示されている。時間t0からt3にわたる期間では、補正係数として値1.2が取得され、周期毎に、該補正係数を積算値に乗算することにより得られた結果値が示されている。時間t3以降の期間では、補正係数として値1.5が取得され、周期毎に、該補正係数を積算値に乗算することにより得られた結果値が示されている。(a)に示すように、時間t1から開始する周期における時間t2の時点で、エンジンの運転状態の変動に応じてフィルタ済み当量比の値に変動が生じている。時間t2以降の期間の空燃比センサの応答性が、時間t0〜t2の期間の空燃比センサの応答性に比べて低下している。したがって、時間t3から開始する次の周期では、より大きい値の補正係数が用いられ、これにより、(c)に示すように、時間t0〜t3の領域における結果値の周期毎の増し分と、時間t3以降の領域における結果値の周期毎の増し分とを同じにすることができる。こうして、運転状態に依存することなく、結果値を一定の増し分で増大させることができる。
積算部53および補正部54による周期毎の処理は、所定期間にわたって行われる。該所定期間は、予め設定されることができる(たとえば、20サイクルに相当する期間であり、エンジン回転数が3000rpmの場合には、0.8秒)。
図6に戻り、診断部55は、該所定期間が経過した後の結果値を、所定のしきい値と比較する。前述したように、結果値は、運転状態に依存しない値であるので、しきい値は、運転状態とは関係なく一定の値に設定されることができる。該結果値がしきい値より大きければ、検出当量比KACTの変動が大きいことを示すので、気筒間において空燃比がインバランス状態にあると判断する。該結果値がしきい値以下であれば、検出当量比KACTの変動が小さいことを示すので、気筒間において空燃比がバランス状態にあると判断する。
ここで、しきい値の設定について、簡単に説明する。図9を参照すると、図7(a)で示した診断可能領域における上記結果値の分布(度数)について、シミュレーション結果の一例が示されている。この例は、吸気管圧力が、図7に示すPB2の値であって、エンジン回転数が、図7に示すNE2の値である場合のものである。符号111および112は、それぞれ、第1および第2気筒を他の気筒に比べて10%リッチにした場合を示し、符号121および122は、それぞれ、第1および第2気筒を他の気筒に比べて20%リッチにした場合を示す。
図から明らかなように、或る気筒と他の気筒との間の空燃比のずれが10%以下であればバランス状態と判断し、或る気筒と他の気筒との間の空燃比のずれが20%以上であればインバランス状態と判断する場合には、符号111および112で表される結果値と、符号121および122で表される結果値との間に、符号131に示されるようなしきい値を設定すればよい。このように、何パーセントのずれを境にバランス状態およびインバランス状態を区別するかに応じて、しきい値を設定することができる。
図10は、本願発明の図6の実施形態に従う手法のシミュレーション結果の一例を示す。(a)には、バランス状態におけるバンドパスフィルタの出力と積算値の推移が示されており、(b)には、インバランス状態におけるバンドパスフィルタの出力と積算値の推移が示されている(この例では、補正部54による補正は行われていないと仮定する)。図に示されるように、バンドパスフィルタによって、検出当量比の変動成分が良好に抽出されている。該フィルタ済み当量比を積算することにより、インバランス状態を、バランス状態とより良好に区別して判断することができる。
図6に示す実施形態では、積算値に補正係数を乗算することにより補正を行ったが、代替的に、しきい値側を補正するようにしてもよい。この場合、図11に示すように、しきい値を補正するしきい値補正部63が設けられ、該しきい値補正部63は、周期毎に、図7(c)に示すような運転状態に応じた補正係数を取得し、該補正係数で、所定のしきい値を除算する。積算部53は、フィルタ52からのフィルタ済み当量比を積算し、診断部55は、該積算値と該補正されたしきい値とを比較する。該積算値が該補正されたしきい値より大きければ、検出当量比KACTの変動が大きいことを示すので、気筒間において空燃比がインバランス状態にあると判断する。該積算値が該補正されたしきい値以下ならば、検出当量比KACTの変動が小さいことを示すので、気筒間において空燃比がバランス状態にあると判断する。
図12は、本願発明の他の実施形態に従う制御装置のブロック図である。図6と異なるのは、図3を参照して前述した直列4気筒エンジンの対向2気筒の空燃比ずれについても検出可能なように、バンドパスフィルタは、空燃比センサ16によって検出された当量比KACTから、エンジン回転数の0.5次周波数成分を抽出する第1のフィルタ52aと、エンジン回転数の1次周波数成分を抽出する第2のフィルタ52bから成り、それぞれ、第1のフィルタ済み当量比および第2のフィルタ済み当量比が算出される。第1のフィルタ済み当量比は、該0.5次周波数に対応する周期(第1の周期と呼ぶ)毎に、第1の積算部53aによって積算され、第1の積算値を算出する。第2のフィルタ済み当量比は、該1次周波数に対応する周期(第2の周期と呼ぶ)毎に、第2の積算部53bによって積算され、第2の積算値を算出する。
第1の積算値は、エンジンの運転状態に基づいて得られた補正係数により、前述したように、第1の周期毎に第1の補正部54aによって補正され、第1の結果値を算出する。第2の積算値は、エンジンの運転状態に基づいて得られた補正係数により、前述したように、第2の周期毎に第2の補正部54bによって補正され、第2の結果値を算出する。診断部55は、第1の結果値を第1のしきい値と比較し、第2の結果値を第2のしきい値と比較する。
一実施例では、第1の積算値を補正するための補正係数を、第1の周期毎に取得することができ、また、第2の積算値を補正するための補正係数を、第2の周期毎に取得することができる。
また、図4に示されるように、0.5次周波数成分における値の大きさと、1次周波数成分における値の大きさとは異なることがあるので、好ましくは、第1および第2のしきい値は、別個に設定され、たとえば図9を参照して説明したように設定されることができる。
診断部55は、該2つの比較の結果、第1および第2の結果値のうちの少なくとも一方が、対応するしきい値より大きければ、気筒間の空燃比がインバランス状態にあると判断する。また、診断部55は、該2つの比較の結果、第1および第2の結果値の両方が、対応するしきい値以下ならば、気筒間の空燃比がバランス状態にあると判断する。
当然ながら、図12に示す実施形態を、図11を参照して説明したようにしきい値を補正するよう変形することができ、第1および第2のしきい値を補正し、第1の積算値を補正済み第1のしきい値と比較し、第2の積算値を補正済み第2のしきい値と比較するようにしてもよい。
図13は、本願発明の一実施形態に従う、診断条件を判断するプロセスのフローを示す。このプロセスは、ECU1のCPUにより、より具体的には図6、11および12の診断条件判定部51により、所定の周期で実行される。一実施例では、後述する診断プロセスの周期と同様に、前述した0.5次周波数に対応する周期で実行することができる。
ステップS1において、エンジン回転数NEが所定範囲内にあるかどうかを判断する。また、ステップS2において、吸気管圧力PBが、所定値より大きいかどうかを判断する。これは、図7(a)を参照して述べたように、現在の運転状態が、空燃比センサ16の応答特性が良好な診断可能領域内にあるかどうかを判断するための処理である。診断可能領域内になければ、ステップS15に進み、診断条件フラグをゼロに設定して診断を禁止する。
前述したように、排ガスボリュームについては、エンジン回転数および吸気管圧力を用いず、吸入空気量および(または)燃料噴射量を用いてもよい。この場合には、たとえばステップS1において、AFM8によって検出される吸入空気量が所定値以上かどうかを判断し、所定値以上ならば、エンジンの運転状態が、排ガスボリュームが不足している領域にはないと判断することができるので、ステップS2に進む。あるいは、燃料噴射量が所定値以上かどうかを判断し、該所定値以上ならば、ステップS2に進むようにしてもよいし、吸入空気量と燃料噴射量から排ガスボリュームを算出し、これが所定値以上ならば、ステップS2に進むようにしてもよい。そして、ステップS2では、エンジンの運転状態が、空燃比センサの応答性限界領域にないかどうかを判断するため、たとえば図7に示すように、エンジン回転数が所定値より低いかどうかを判断することができる。エンジン回転数が所定値より低ければ、ステップS3に進む。
ステップS3において、空燃比センサ16が活性化しているかどうかを判断する。活性化していなければ、空燃比センサから正確な出力を得ることはできないので、ステップS15において診断を禁止する。
ステップS4において、空燃比のフィードバック(FB)制御が実行されているかどうかを判断する。空燃比のフィードバックは、空燃比を所定の目標空燃比に収束させるための制御であり、任意の制御手法で実現されることができる。これは、空燃比が目標空燃比に制御されているにもかかわらず、空燃比が気筒間でばらついているかどうかを判断するようにするためである。したがって、フィードバック制御中でないときには、診断を禁止する(S15)。
ステップS5において、エンジン水温TWが所定値より大きいかどうかを判断する。エンジン水温TWが低いと、燃料の付着によって検出当量比にスパイク状の変動が生じるおそれがあるので、診断を禁止する(S15)。
ステップS6およびS7において、エンジン回転数の変動ΔNEおよび吸気管圧力ΔPBの変動が所定値より小さいかどうかを判断する。これらの変動が大きいと、空燃比センサの出力が安定しないおそれがあり、また、補正係数による補正を行いきれずにしきい値との比較において誤差を生じやすくなるので、診断を禁止する(S15)。変動ΔNEは、たとえば、前回の制御周期と今回の制御周期の間の回転数NEの差により表されることができ、変動ΔPBは、前回の制御周期と今回の制御周期の間の吸気管圧力PBの差により表されることができる。
ステップS8において、燃料を増量する制御が行われているかどうかを判断する。燃料を増量する制御が行われていると、該燃料の増量によって空燃比のバランスが崩れやすくなるので、診断を禁止する(S15)。
ステップS9において、パージ制御弁28のデューティ比が、エンジン回転数NEと同期しているかどうかを判断する。パージ制御弁は、前述したように、所定のデューティ比で開閉される。この開閉の周期が、エンジン回転数と同期していると(たとえば、パージ制御弁の開閉の周期とエンジン回転数の周期とが同じ時間長であるとき)、気筒に導入される蒸発燃料が増加して空燃比のバランスを崩すおそれがある。したがって、このような時には診断を禁止する(S15)。
ステップS10において、EGRの還流率が所定値より高いかどうかを判断する。EGR還流率は、EGR弁19の開度によって制御されることができる。EGRの還流が動作中でないと、EGR弁の故障等のEGR還流に関する故障に起因した気筒間の空燃比のインバランス状態を検出することができない。また、EGR還流率が所定値より高くないと、該EGR還流に関する故障に起因したインバランス状態が空燃比センサに現れないおそれがある。したがって、EGR還流率が該所定値以下の場合には、診断を禁止する(S15)。
ステップS11において、空燃比センサの出力が、所定の上限値または下限値に張り付いているかどうかを判断する。上限値または下限値に張り付いていると、空燃比センサから周期的な波形が得られないので、診断を禁止する(S15)。
ステップS12では、エンジンが気筒休止機構を備えている場合において、気筒休止が行われている最中であるかどうかを判断する。気筒の休止中は、該休止している気筒の空燃比にずれが生じていても故障と判断されないおそれがある。したがって、このような時には診断を禁止する(S15)。
ステップS13において、空燃比センサの応答が劣化しているかどうかを判断する。たとえば、空燃比センサから得られる前述した検出当量比KACT(実際の空燃比を表している)の目標空燃比KCMD(当量比で表されることができる)に対する追従性を調べ、該追従性が悪い場合(たとえば、両者の偏差が所定値以上である場合)に、空燃比センサの応答が劣化していると判断することができる。劣化していると判断した場合には、診断を禁止する(S15)。
ステップS1〜S13のすべての条件が満たされたならば、ステップS14において診断条件フラグに1を設定し、診断を許可する。いずれかの条件が満たされなければ、ステップS15において、診断条件フラグにゼロを設定し、診断を禁止する。
図14は、この発明の一実施形態に従う、診断プロセスのフローを示す。このプロセスは、ECU1のCPUにより、より具体的には図6のフィルタ52、積算部53、補正部54、および診断部55により、前述した0.5次周波数に対応する周期で実行される。
ステップS21において、図12を参照して述べた診断条件フラグが1に設定されているならば、診断プロセスを開始する。そうでなければ、診断を禁止するため、このルーチンを抜ける。
ステップS22において、空燃比センサ16の出力から得られた検出当量比KACTにバンドパスフィルタを適用することにより算出されたフィルタ済み当量比を受け取る。フィルタ済み当量比は、前述したように、当量比KACTから抽出されたエンジン回転数の0.5次周波数成分を表している。
ステップS23において、該フィルタ済み当量比を、積算値の前回値に加算することにより、積算値の今回値を算出する。
ステップS24において、エンジンの運転状態(この実施例では、回転数NEおよび吸気管圧力PB)に基づいて、たとえば図7(c)に示すようなマップを参照することにより、補正係数を求める。
ステップS25において、該補正係数で、ステップS23で得られた積算値を補正する。補正は、前述したように、該補正係数を該積算値に乗算することによって行われることができる。該補正により、結果値が得られる。
ステップS26において、所定期間が経過したかどうかを判断する。該所定期間は、診断条件フラグに1が設定された時から所定のタイマ(図示せず)で計時されている。該所定期間が経過していなければ、該ルーチンを抜ける。該所定期間が経過したならば、ステップS25で算出された結果値を所定のしきい値と比較し、該結果値が該しきい値より大きければインバランス状態を判断して、NGフラグに1を設定する。そうでなければ、バランス状態と判断してOKフラグに1を設定する。
前述した図12に示す実施形態のように、エンジン回転数の1次周波数を抽出する場合には、ステップS22〜25の処理を、0.5次周波数成分と1次周波数成分のそれぞれについて並列に実行すればよい。ステップS26において所定期間が経過したならば、ステップS27において、第1の結果値と第1のしきい値とを比較すると共に、第2の結果値と第2のしきい値とを比較する。第1および第2の結果値の少なくとも一方が、対応するしきい値より大きければ、ステップS28に進み、インバランス状態であると判断してNGフラグをセットする。第1および第2の結果値の両方が、対応するしきい値以下ならば、ステップS29に進み、バランス状態であると判断してOKフラグをセットする。
また、前述した図11に示す実施形態にように、しきい値側を補正する場合には、ステップS25において、しきい値が補正係数で補正される。ステップS27において、ステップS23で求めた積算値と、該補正したしきい値とを比較する。
図15〜図17を参照して、本願発明の手法に従うシミュレーション結果の例を説明する。
図15は、気筒間において空燃比がバランス状態にある場合のシミュレーション結果を示す。NEの上限および下限は、図13のステップS1における所定範囲に相当し、PBの下限は、図13のステップS2における所定値に相当している。
安定待ちタイマ(空燃比センサの出力を安定させるための時間を計時するタイマである)によって所定時間が計時された後、時間t1において、所定の診断条件が満たされたことに応じて診断フラグがゼロから1に変化する。図には示されていないが、診断フラグが1に変化したことに応じて、所定期間を計時するタイマが作動する。
時間t1から時間t2までの所定期間にわたり、前述した0.5次周波数に対応する周期で、空燃比センサからの検出当量比KACTをバンドパスフィルタでフィルタリングした当量比を積算し、該積算値を補正する、というプロセスが繰り返される。これにより、結果値は、所定期間t1〜t2にわたって増加していく(図には直線で示されているが、より詳細に見ると、図8に示すように周期毎にステップ状に増加する)。補正を行っているので、エンジン回転数NEおよび吸気管圧力PBに依存することなく、結果値は、一定の増し分で増大していくこととなる。
所定期間が経過した時間t2において、結果値を所定のしきい値と比較する。この例では、結果値が該しきい値以下であるので、OKフラグに1が設定され、バランス状態であると判断される。
図16は、気筒間の空燃比がインバランス状態の場合のシミュレーション結果例を示す。空燃比センサからの検出当量比KACTは、図15に比べて大きな変動を示している。そのため、時間t1からt2までの所定期間にわたり、結果値が増大する量は、図15よりも大きい。
時間t2において、結果値を所定のしきい値と比較する。この例では、結果値が該しきい値より大きいので、NGフラグに1が設定され、インバランス状態であると判断される。
図17は、気筒間の空燃比がインバランス状態の場合のシミュレーション結果の他の例を示す。図16と異なるのは、時間t2において、吸気管圧力PBに変動が生じている点である。該変動ΔPBは、前述した診断条件を満たさない大きさの変動である(図13のステップS7)。したがって、該変動が生じたことに応じて、診断条件判定プロセス(図13)において診断条件フラグがゼロに設定される。したがって、その後に続く診断プロセス(図14)は実行されない。診断が停止されている間、該停止の直前の周期で算出されていた積算値は、たとえばECU1のメモリに保持される。また、時間t2で診断条件フラグがゼロに設定されたことに応じて、上記所定期間を計時するタイマは、値を保持したまま停止する。
その後の周期の診断条件判定プロセスにおいて診断条件フラグが1に設定されると(時間t3)、再び、上記所定期間を計時するタイマを作動させると共に、図14の診断プロセスが開始される。すなわち、検出当量比KACTがフィルタリングされた当量比は、メモリに保持されていた積算値に加算され、該積算値が補正されて結果値が算出される。こうして、時間t4において所定期間の計時が満了すると(すなわち、(t1〜t2)+(t3〜t4)=所定期間であり、これは、図16の所定期間と同じ時間長さである)、結果値をしきい値と比較することによって、インバランス状態かどうかの判断が行われる。この例では、結果値がしきい値を超えたので、インバランス状態と判断され、NGフラグが1に設定される。
なお、図6、11および12に示されるフィルタおよび積算部は、コンピュータプログラムによって実現してもよいし、ハードウェア構成要素によって実現してもよい。
以上にこの発明を具体的な実施例について説明したが、この発明はこのような実施例に限定されるものでなく、また、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンのいずれに対しても使用することができる。
この発明の一実施形態に従う、エンジンおよびその制御装置の全体的な構成を示す図。 気筒間において空燃比が均衡されている状態および不均衡な状態の検出当量比KACTを示す図。 この発明の一実施形態に従う、直列4気筒のエンジンおよびV型6気筒のエンジンの空燃比センサの配置を示す図。 直列4気筒エンジンにおける空燃比のバランスおよびインバランス状態における検出当量比の周波数スペクトルを示す図。 V型6気筒エンジンにおける空燃比のバランスおよびインバランス状態における検出当量比の周波数スペクトルを示す図。 この発明の一実施形態に従う、気筒間における空燃比のインバランス状態を判断する制御装置のブロック図。 この発明の一実施形態に従う、空燃比センサの応答特性を説明するための図。 この発明の一実施形態に従う、フィルタ済み当量比、積算値および結果値の一例を示す図。 この発明の一実施形態に従う、しきい値を設定する手法を説明するための図。 この発明の一実施形態に従う、気筒間の空燃比がバランス状態およびインバランス状態の時のフィルタ済み当量比および積算値を示す図。 この発明の他の実施形態に従う、制御装置のブロック図。 この発明の他の実施形態に従う、制御装置のブロック図。 この発明の一実施形態に従う、診断条件を判定するプロセスのフロー。 この発明の一実施形態に従う、空燃比のバランスおよびインバランス状態を診断するプロセスのフロー。 この発明の一実施形態に従う、空燃比がバランス状態にある場合のシミュレーション結果の一例を示す図。 この発明の他の実施形態に従う、空燃比がインバランス状態にある場合のシミュレーション結果の一例を示す図。 この発明の他の実施形態に従う、空燃比がインバランス状態にある場合のシミュレーション結果の一例を示す図。
符号の説明
1 電子制御ユニット(ECU)
2 エンジン
16 空燃比センサ

Claims (4)

  1. 複数の気筒を備える内燃機関の制御装置であって、
    前記内燃機関の空燃比を検出する検出手段と、
    前記検出された空燃比を示す信号から、前記内燃機関の回転数の0.5次の周波数成分を抽出するよう、該信号をバンドパスフィルタでフィルタリングするフィルタリング手段と、
    前記フィルタリングされた信号を所定期間にわたって積算し、第1の積算値を算出する積算手段と、
    前記内燃機関の回転数および吸気管圧力に基づき前記検出手段の応答性をランク付けし、当該ランク付けに応じて補正係数を決定する手段と、
    前記第1の積算値を、前記補正係数で補正する手段と、
    前記所定期間経過後、前記補正された第1の積算値が所定のしきい値より大きければ、前記複数の気筒間において空燃比がばらついている状態が生じていると判断する判断手段と、
    を備える、制御装置。
  2. さらに、前記検出された空燃比を示す信号から、前記内燃機関の回転数の1次の周波数成分を抽出するよう、該信号を第2のバンドパスフィルタでフィルタリングする手段と、
    前記第2のバンドパスフィルタによってフィルタリングされた信号を所定期間にわたって積算し、第2の積算値を算出する手段と、
    前記第2の積算値を、前記補正係数で補正する手段と、を備え、
    前記判断手段は、前記所定期間経過後、前記補正された第1の積算値が前記所定のしきい値より大きい、または前記補正された第2の積算値が所定の第2のしきい値より大きければ、前記複数の気筒間において空燃比がばらついている状態が生じていると判断する、請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記内燃機関の回転数が所定範囲内にあり、かつ該内燃機関の吸気管圧力が所定値より大きいという条件下で、前記フィルタリング手段によるフィルタリング、前記積算手段による積算、および前記判断手段による判断を許可する、請求項1に記載の制御装置。
  4. 前記所定期間中に、或る周期で前記条件が満たされなくなったならば、前記積算手段による積算を禁止して、前回の周期で算出された積算値を保持し、その後、前記条件が満たされたことに応じて、該保持された積算値を用いて該積算手段による積算を再開する、請求項に記載の制御装置。
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