JP2006219569A - 透明複合シートの製造方法 - Google Patents
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【解決手段】 繊維布(a)と熱硬化系の透明樹脂(b1)とから構成される透明複合シートの製造方法であって、該透明複合シートを切断する工程、該切断端面を樹脂(b2)でコートする工程、及びコートした樹脂(b2)を乾燥および/または硬化する工程を有することを特徴とする透明複合シートの製造方法。
【選択図】 図2
Description
表示素子用プラスチック基板に用いられる樹脂は例えば特許文献1には脂環式エポキシ樹脂、酸無水物系硬化剤、アルコール、硬化触媒からなる組成物、特許文献2には脂環式エポキシ樹脂、アルコールで部分エステル化した酸無水物系硬化剤、硬化触媒からなる樹脂組成物が、特許文献3には脂環式エポキシ樹脂、カルボン酸を有する酸無水物系硬化剤、硬化触媒からなる樹脂組成物が示されている。しかしながら、これら従来のガラス代替用プラスチック材料は、ガラス板に比べ線膨張係数が大きく、特に、アクティブマトリックス表示素子基板に用いるとその製造工程において反りやアルミ配線の断線などの問題が生じ、これら用途への使用は困難である。したがって、表示素子基板、特にアクティブマトリックス表示素子用基板に要求される、透明性や耐熱性等を満足しつつ線膨張係数の小さなプラスチック素材が求められている。
このような問題を解決するため、エポキシ樹脂とその屈折率に近いガラス繊維を用いて透明な複合体が得られることが提案されている(特許文献4、非特許文献1)。
従来、これらプラスチック基板(積層板)を得るためには通常ガラスクロスに樹脂を含浸し、半硬化状態としたプリプレグの1枚又は複数枚を重ね合わせて加熱成形して樹脂層のみの積層板とするか、あるいは、銅箔等の金属板とともに加熱成形することにより、金属層と樹脂層から成る積層板とした後にエッチング処理等により、金属板を剥離して用いることが一般的である(非特許文献2)。しかしながら、これら方法では表面平滑性が不充分、生産性が低い、板厚精度や反り等の品質のバラツキが大きいこともあり、アクティブマトリックス表示素子用基板として使用することは困難であり、我々は、品質バラツキの少ない、生産性が高い連続生産可能な透明複合体の製造方法を提案している。
これら透明複合体にアクティブマトリックス表示素子を形成する場合、透明複合体の幅方向の端面は樹脂のはみ出し等のゴミが残ることもあり、これを除去するために基材端面の切断が必要であるが、スリッター等を用いた切断では、仕上がり後の切断端面部が粗く、ゴミの発生が抑制できない。また、レーザーを用いた切断ではガラスクロス部のみが露出した形ではみ出しすることがあり、これが脱落してゴミとなることがある。
(1) 繊維布(a)と熱硬化系の透明樹脂(b1)とから構成される透明複合シートの製造方法であって、該透明複合シートを切断する工程、該切断端面を樹脂(b2)でコートする工程、及びコートした樹脂(b2)を乾燥および/または硬化する工程を有することを特徴とする透明複合シートの製造方法、
(2)前記透明複合シートが長尺シートである(1)記載の透明複合シートの製造方法、
(3)前記透明複合シートを切断する工程において、長尺透明複合シートの幅方向の端面を切断する工程を有する(2)記載の透明複合シートの製造方法、
(4)前記透明複合シートを切断する工程において、高エネルギービームを用いて切断する工程を有する(1)〜(3)何れか一項記載の透明複合シートの製造方法、
(5)前記高エネルギービームがレーザー光である(4)記載の透明複合シートの製造方法、
(6)前記レーザー光が炭酸ガスレーザー光である(5)記載の透明複合シートの製造方法、
(7)前記透明複合シートの切断端面に樹脂(b2)でコートする工程において、ロールコーターを用いて樹脂をコートする工程を有する(1)〜(6)何れか一項記載の透明複合シートの製造方法、
(8)前記透明複合シートの切断端面に樹脂(b2)でコートする工程において、ダイコーターを用いて樹脂をコートする工程を有する(1)〜(6)何れか一項記載の透明複合シートの製造方法、
(9)前記透明複合シートの切断端面に樹脂(b2)でコートする工程において、スプレイコーターを用いて樹脂をコートする工程を有する(1)〜(6)何れか一項記載の透明複合シートの製造方法、
(10)前記樹脂(b2)が硬化性の樹脂を含むものであり、更に該硬化性樹脂を硬化させる工程を有する(1)〜(9)何れか一項記載の透明複合シートの製造方法、
(11)前記硬化性樹脂を硬化させる工程において、熱を用いて硬化性樹脂を硬化させる工程を有する(10)記載の透明複合シートの製造方法。
(12)前記硬化性樹脂を硬化させる工程において、紫外線(UV)を照射して硬化性樹脂を硬化させる工程を有する(10)記載の透明複合シートの製造方法、
(13)前記硬化性樹脂(b2)の硬化後のガラス転移温度は150℃以上である(10)〜(12)何れか一項記載の透明複合シートの製造方法、
(14)前記硬化性樹脂(b2)がエポキシ樹脂を含むものである(10)〜(13)何れか一項記載の透明複合シートの製造方法、
(15)前記硬化性樹脂(b2)が(メタ)アクリレート樹脂を含むものである(10)〜(13)何れか一項記載の透明複合シートの製造方法、
(16)前記繊維布(a)がガラスクロスである(1)〜(15)何れか一項記載の透明複合シートの製造方法、
(17)前記繊維布(a)がガラスペーパー(不織布)である(1)〜(16)何れか一項記載の透明複合シートの製造方法、
(18)前記透明樹脂(b1)がエポキシ樹脂を主成分とする(1)〜(17)何れか一項記載の透明複合シートの製造方法、
(19)更に、前記透明複合シートを連続的に巻き取る工程を有する(1)〜(18)何れか一項記載の透明複合シートの製造方法、
(20)前記透明複合シートが表示素子用基板用である(1)〜(19)何れか一項記載の透明複合シートの製造方法、
である。
また、ガラス転移温度が150℃以上の(メタ)アクリレート樹脂としては、一般式(4)〜(6)に掲げる構造式の樹脂等が挙げられる。
CH3
|
−CH2OCOCH=CH2である。)
CH3
|
−CH2OCOCH=CH2であり、R2は−H、アルキル基、−OR4
または −(CH2)nOH
ただし、R4は−Hまたはアルキル基、n=1〜8である)
(一般式(6)中、X5,X6は−CH2OCOCH=CH2 または、
CH3 CH3
| |
−CH2OCOCH=CH2であり、R3は−CH2OCOCH=CH2、
−CH2OCOCH=CH2、−H、アルキル基、−OR4または−(CH2)nOH
ただし、R4は−Hまたはアルキル基、n=1〜8である)
本発明において、繊維布(a)としては、ガラスクロス、ガラスペーパー(不織布)等のガラス繊維基材が好ましいが、その他、合成繊維、鉱物繊維等からなる織布や不織布等が挙げることができる。本発明で用いる繊維布の屈折率は特に制限されないが、1.45〜1.56であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.54である。特にガラス繊維の屈折率が1.50〜1.54である場合は、ガラスのアッベ数に近い樹脂が選択でき好ましい。樹脂とガラスとのアッベ数が近いと広い波長領域において両者の屈折率が一致し、広い波長領域で高い光線透過率が得られる。繊維布の屈折率が1.56を超える場合では、同じ屈折率でアッベ数が45以上の樹脂を選択するのが困難であり、1.45未満では特殊な組成のガラス繊維となり、コスト的に不利である。特に、1.50〜1.54の範囲であれば、SガラスやNEガラスなどの一般的なガラス繊維が適用でき、かつ同じ屈折率でアッベ数が45以上の樹脂の選択も可能である。ガラスクロスやガラスペーパーに用いられるガラスの種類としては、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、石英ガラスなどがあげられ、中でもアッベ数が45以上の樹脂と屈折率を一致させることができ、かつ入手が容易なSガラス、Tガラス、NEガラスが好ましい。またガラスクロスやガラスペーパーを用いる場合、フィラメントの織り方に限定はなく、平織り、ななこ織り、朱子織り、綾織りなどが適用でき、中でも平織りが好ましい。ガラスクロスの厚みは、通常、30〜200μmであるのが好ましく、より好ましくは40〜150μmである。ガラスクロスやガラス不織布などのガラス繊維布は1枚だけでもよく、複数枚を重ねて用いてもよい。
繊維布として、NEガラスクロスを用いる場合には、一般式(7)で示される脂環式エポキシ樹脂または一般式(8)で示される水添ビフェニル型脂環式エポキシ樹脂よりも屈折率の低い樹脂を併用することが好ましい。一般式(7)で示される脂環式エポキシ樹脂または一般式(8)で示される水添ビフェニル型脂環式エポキシ樹脂よりも屈折率の低い成分としては、各種のエポキシ基を有する化合物やオキセタニル基を有する化合物を用いることができるが、耐熱性が優れていることからオキセタニル基を有するシルセスキオキサン(c)が特に好ましい。オキセタニル基を有するシルセスキオキサン(c)を併用することで、優れた耐熱性を維持したまま、繊維布と屈折率を合わせる事ができる。
無機充填材の配合量としては、硬化性樹脂等の樹脂成分100重量部に対して、10〜400重量部が好ましく、より好ましくは40〜300重量部である。10重量部より少ないと無機充填材を添加することによる低熱膨張化の効果が少なく、400重量部を超えると樹脂組成物中の無機充填材の割合が大きすぎて、樹脂ワニスのガラス基材への塗布、含浸などの操作が困難となる傾向がある。
得られた透明複合シートの両端面を出力200W、波長10.6μm、の炭酸ガスレーザーを用いて、ビーム径0.1mm,パルス幅20μs,周波数2KHz、ラインスピード1m/min.で切断した。切断後の端面の写真を図1に示す。図1に示すように切断した端面にはガラスクロス部のみが露出した形ではみ出している。この端面に脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業製、2021P)100重量部、芳香族スルホニウム系熱カチオン触媒(三新化学製、SI−100L)1重量部を混合した樹脂を脱泡した後、ロールコーターを用いてコートした。その後、窒素雰囲気下のオーブン中で、150℃1時間加熱して、コートした樹脂を硬化した。硬化後のコート樹脂のTgは165℃であった。樹脂硬化後の透明複合シートの端面を図2に示す。シートの端面は均一に樹脂で覆われており、また、交差する10本の直径100mmφの金属ローラーに通しても端面からのゴミの発生はなかった。
得られた透明複合シートの両端面を出力200W、波長10.6μm、の炭酸ガスレーザーを用いて、ビーム径0.1mm,パルス幅20μs,周波数2KHz、ラインスピード1m/min.で切断した。切断後の端面の写真を図1に示す。図1に示すように切断した端面にはガラスクロス部のみが露出した形ではみ出している。この端面にイソシアヌール酸EO変性トリアクリレート(東亞合成製 M−315)100重量部に、イルガキャア184(チバスペシャリティケミカル製)1重量部を添加して調製したワニスを、50〜70℃で10〜20分撹拌した後、スプレーコーターを用いてコートした。その後、約2000mJ/cm2のUV光を照射してコートした樹脂を硬化した。硬化後のコート樹脂のTgは160℃であった。樹脂硬化後の透明複合シートの端面を図3に示す。シートの端面は均一に樹脂で覆われており、また、交差する10本の直径100mmφの金属ローラーに通しても端面からのゴミの発生はなかった。
得られた透明複合シートの両端面をスリッター(松岡機械製)を用いて切断した。切断後の端面の写真を図4に示す。図4に示すように切断した端面はガラスクロスと樹脂部に割れやかけが見られる。この端面にジメチルスルホキシドで溶解したポリエーテルスルホン樹脂を、ダイコーターを用いてコートした。その後、窒素雰囲気下のオーブン中で、150℃1時間加熱して、コートした樹脂を乾燥処理した。乾燥後のコート樹脂のTgは220℃であった。乾燥処理後の透明複合シートの端面を図5に示す。シートの端面は均一に樹脂で覆われており、また、交差する10本の直径100mmφの金属ローラーに通しても端面からのゴミの発生はなかった。
得られた透明複合シートの両端面を出力200W、波長10.6μm、の炭酸ガスレーザーを用いて、ビーム径0.1mm,パルス幅20μs,周波数2KHz、ラインスピード1m/min.で切断した。切断後の端面の写真を図1に示す。図1に示すように切断した端面にはガラスクロス部のみが露出した形ではみ出している。この透明複合シートを、交差する10本の直径100mmφの金属ローラーに通したところ、ガラスクロス部のかけによる端面からのゴミが発生した。
得られた透明複合シートの両端面をスリッター(松岡機械製)を用いて切断した。切断後の端面の写真を図4に示す。図4に示すように切断した端面はガラスクロスと樹脂部に割れやかけが見られる。この透明複合シートを、交差する10本の直径100mmφの金属ローラーに通したところ、ガラスクロスや樹脂部のかけによる端面からのゴミが発生した。
Claims (20)
- 繊維布(a)と熱硬化系の透明樹脂(b1)とから構成される透明複合シートの製造方法であって、該透明複合シートを切断する工程、該切断端面を樹脂(b2)でコートする工程、及びコートした樹脂(b2)を乾燥および/または硬化する工程を有することを特徴とする透明複合シートの製造方法。
- 前記透明複合シートが長尺シートである請求項1記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記透明複合シートを切断する工程において、長尺透明複合シートの幅方向の端面を切断する工程を有する請求項2記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記透明複合シートを切断する工程において、高エネルギービームを用いて切断する工程を有する請求項1〜3何れか一項記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記高エネルギービームがレーザー光である請求項4記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記レーザー光が炭酸ガスレーザー光である請求項5記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記透明複合シートの切断端面に樹脂(b2)でコートする工程において、ロールコーターを用いて樹脂をコートする工程を有する請求項1〜6何れか一項記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記透明複合シートの切断端面に樹脂(b2)でコートする工程において、ダイコーターを用いて樹脂をコートする工程を有する請求項1〜6何れか一項記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記透明複合シートの切断端面に樹脂(b2)でコートする工程において、スプレイコーターを用いて樹脂をコートする工程を有する請求項1〜6何れか一項記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記樹脂(b2)が硬化性樹脂を含むものであり、更に該硬化性樹脂を硬化させる工程を有する請求項1〜9何れか一項記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記硬化性樹脂を硬化させる工程において、熱を用いて硬化性樹脂を硬化させる工程を有する請求項10記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記硬化性樹脂を硬化させる工程において、紫外線(UV)を照射して硬化性樹脂を硬化させる工程を有する請求項10記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記硬化性樹脂(b2)の硬化後のガラス転移温度は150℃以上である請求項10〜12何れか一項記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記硬化性樹脂(b2)がエポキシ樹脂を含むものである請求項10〜13何れか一項記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記硬化性樹脂(b2)が(メタ)アクリレート樹脂を含むものである請求項10〜13何れか一項記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記繊維布(a)がガラスクロスである請求項1〜15何れか一項記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記繊維布(a)がガラスペーパー(不織布)である請求項1〜16何れか一項記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記透明樹脂(b1)がエポキシ樹脂を主成分とする請求項1〜17何れか一項記載の透明複合シートの製造方法。
- 更に、前記透明複合シートを連続的に巻き取る工程を有する請求項1〜18何れか一項記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記透明複合シートが表示素子用基板用である請求項1〜19何れか一項記載の透明複合シートの製造方法。
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