JP2008049695A - 透明積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガス・水蒸気バリア性が高く、かつ線膨張係数が小さく透明性、耐熱性に優れガラスに代替可能な透明積層体を提供すること。
【解決手段】第1の透明樹脂を含む透明コア層の少なくとも片面に無機物からなる無機物質層を形成し、更に無機物質層上に第2の透明樹脂を含む透明樹脂層を形成した透明積層体であって、第2の透明樹脂が硬化性樹脂組成物の硬化物であり、前記硬化性樹脂組成物の硬化前後の体積変化率が−5%〜2%で、かつ第2の透明樹脂の30〜200℃での温度範囲における平均線膨張率が0〜75ppmである透明積層体。
【選択図】 なし
Description
表示素子用プラスチック基板に用いられている樹脂としては例えば特許文献1には脂環式エポキシ樹脂、酸無水物系硬化剤、アルコール、硬化触媒からなる組成物、特許文献2には脂環式エポキシ樹脂、アルコールで部分エステル化した酸無水物系硬化剤、硬化触媒からなる樹脂組成物が、特許文献3には脂肪環式エポキシ樹脂、カルボン酸を有する酸無水物系硬化剤、硬化触媒からなる樹脂組成物が示されている。
しかしながら特許文献1から3に示された従来のガラス代替プラスチック材料はガラスと比較し線膨張係数が大きく、特にアクティブマトリックス表示素子基板に用いるとその製造工程において反りやアルミ配線の断線などの問題が生じ、これらの用途への展開は困難である。
特許文献4から6に示されているガラスクロス複合体においては特許文献1から3に示されたプラスチック材料よりは大幅な線膨張率の低下が見られるが、耐熱性が不十分である。
これらの無機バリア膜は数10〜数100nmの膜厚であり、耐衝撃性及び耐擦性が低いために、一般に無機バリア層上に有機樹脂層を設けられることが多く、使用される樹脂としてはラジカル硬化系樹脂が多い。ラジカル硬化系樹脂を使用することにより無機バリア膜を保護することは可能である。しかしながら、樹脂基板、若しくは無機バリア層の線膨張率と有機樹脂層の線膨張率との差が大きい場合、または保護膜として用いる硬化樹脂の硬化収縮率が大きい場合は、積層体の反りやうねり、さらには各界面においてひずみが生じ、密着性が低下し層間において界面剥離が生じることがある。
この界面剥離は無機バリア層の欠陥につながりガスや水蒸気を遮断するバリア性の低下を導く。
(1)第1の透明樹脂を含む透明コア層の少なくとも片面に無機物からなる無機物質層を形成し、更に無機物質層上に第2の透明樹脂を含む透明樹脂層を形成した透明積層体であって、第2の透明樹脂が硬化性樹脂組成物の硬化物であり、前記硬化性樹脂組成物の硬化前後の体積変化率が−5%〜2%で、かつ第2の透明樹脂の30〜200℃での温度範囲における平均線膨張率が0〜75ppmである透明積層体。
(2)前記透明コア層の厚みが50〜200μmである(1)1記載の透明積層体。
(3)前記透明コア層が第1の透明樹脂と無機フィラーとから構成される(1)又は(2)記載の透明積層体。
(4)前記無機フィラーが繊維状フィラーである(3)記載の透明積層体。
(5)前記繊維状フィラーがガラスクロスである(4)記載の透明積層体。
(6)第2の透明樹脂がカチオン系硬化触媒で硬化したものである(1)〜(5)いずれか記載の透明積層体。
(7)第2の透明樹脂が脂環式エポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物の硬化物である(1)〜(6)いずれか記載の透明積層体。
(8)前記脂環式エポキシ樹脂が下式(1)で示される水添ビフェニル型脂環式エポキシを含む(7)記載の透明積層体。
(10)前記透明樹脂層が無機フィラーを含有する硬化性樹脂組成物の硬化物である(1)〜(9)いずれか記載の透明積層体。
(11)前記無機フィラーがナノシリカである(10)記載の透明積層体。
(12)前記無機物がSi、Ta、Nb、Al、In、W、Sn、Zn、Ti、Ce、GeおよびZrから選ばれる1種以上を含む酸化物または窒化物または窒素酸化物を主成分とするものである(1)〜(11)いずれか記載の透明積層体。
(13)(1)〜(12)いずれか記載の透明積層体の最外層である透明樹脂層の更に外側に無機物質層2を堆積させた透明積層体。
(14)前記無機物質層2がSi、Ta、Nb、Al、In、W、Sn、Zn、Ti、Ce、GeおよびZrから選ばれる1種以上を含む酸化物または窒化物または窒素酸化物を主成分とする(13)記載の透明積層体。
(15)波長550nmでの光線透過率が80%以上である(1)〜(14)いずれか記載の透明積層体。
(16)(1)〜(15)いずれか記載の透明積層体を用いた表示素子用基板。
(17)(1)〜(15)いずれか記載の透明積層体を用いた有機EL素子用基板。
(18)(1)〜(15)請求項1〜15いずれか記載の透明積層体を用いた太陽電池用基板。
本発明は第1の透明樹脂を含む透明コア層の少なくとも片面に無機物からなる無機物質層を形成し、更に無機物質層上に第2の透明樹脂を含む透明樹脂層を形成した透明積層体であることを特徴とする。
前記光カチオン系硬化触媒としては旭電化工業製のSP170等が挙げられる。
光硬化する場合は必要に応じて硬化反応を促進させるため増感剤、酸増殖剤等もあわせて用いることが可能である。
具体的にはシリケート構造を有するシリカ微粒子、または酸化チタン微粒子、酸化ジルコニア微粒子、アルミナ微粒子等が挙げられる。これらの粒子は屈折率の調整のために適宜用いることができる。
さらにシリカ微粒子を用いる場合、同じシリカ微粒子の中でも表面処理が施されているシリカ微粒子がより好ましい。なぜなら微粒子表面にはカチオン重合を促進する活性水素(シラノール基)が存在し、表面処理がない場合、硬化反応が進行し保存安定性が低いからである。
ガラスフィラーとしては、ガラス繊維、ガラスクロスやガラス不織布などのガラス繊維布、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスパウダー、ミルドガラスなどがあげられ、中でも線膨張係数の低減効果が高いことから、ガラス繊維、ガラスクロス、ガラス不織布が好ましく、ガラスクロスが最も好ましい。
無機フィラーの配合量は、コア層に対して1〜90重量%が好ましく、より好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%である。
本発明に用いる硬化性樹脂組成物の構成成分として、適宜、オキセタニル基を有するオキセタンモノマーを用いることができる。
光カチオン系硬化触媒としては旭電化工業製のSP170等が挙げられる。
ただし、平均分散粒子系が100nmを超える場合であっても透明樹脂層の透明樹脂の屈折率を無機フィラーの屈折率に合わせれば使用することが可能である。この場合透明樹脂と無機フィラーとの屈折率差は、透明コア層に透明樹脂と無機フィラーを用いる場合と同様0.01以下が好ましい。
特に無機フィラーとしては、ナノシリカを用いることが好ましい。
NEガラス系ガラスクロス(厚み90μm、屈折率1.510、日東紡製)に水添ビフェニル型脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業製、E−BP、化学式(1)の構造を有する)70重量部、オキセタニルシリケート(東亜合成製、OXT−191)30重量部、芳香族スルホニウム系熱カチオン触媒(三新化学製SI−100L)1重量部を混合した樹脂組成物を含浸させ脱泡した。このガラスクロスを銅箔に挟み込んで80℃で2時間加熱後、250℃で更に2時間加熱し厚み0,1mmの透明コア層を得た。
次に得られた基板をRFスパッタリング装置の真空チャンバー内へセットした。5×10−4Paの真空度に達したところでArガスを12sccm導入し、透明樹脂コア層と原材料のSiO2ターゲットとの間に0.3kWのRF電力を投入し、放電を開始した。放電が安定したところで透明樹脂コア層と原材料の間に具備されたシャッターを開き、透明コア基板上へSiOx(x=1.7)からなる無機物質層の堆積を開始した。無機物質層が100nm堆積したところでシャッターを閉じて堆積を終了し、真空チャンバーを大気開放した。つぎに、E−BP48.9重量部、光カチオン系重合触媒(旭電化製SP170)1.5重量部、メチルセロソルブアセテート9.0重量部、乳酸エチル34.2重量部,ブチルセロソルブ6.4重量部にて撹拌、溶解してRC=50.4wt%の均一な溶液としたものを、無機物質層上にワイヤーバーにて塗布し、加熱乾燥機中120℃で5分間加熱して溶媒を除去後、高圧水銀灯にて500mJ/cm2の紫外線を照射させ厚み5μmの透明樹脂層を積層した。
実施例1と同様に透明コア層を作製した後に、RFスパッタリング装置を用いて透明コア基板上に100nmのSiOx(x=1.7)無機物質層を積層した。つぎに、脂環式エポキシ樹脂(商品名CEL‐2021P)60重量部とナノシリカゾル(扶桑化学製、クウォートロン、平均粒径40nm、固形分25wt%)160重量部を混合し溶剤を揮発させることにより、脂環式エポキシ/ナノシリカゾルが6/4の複合体を作製した後に、脂環式エポキシ/ナノシリカゾル(6/4)の複合体48.9重量部、光カチオン系重合触媒(旭電化製SP170)1.5重量部、メチルセロソルブアセテート9.0重量部、乳酸エチル34.2重量部,ブチルセロソルブ6.4重量部にて撹拌、溶解してRC=50.4wt%の均一な溶液としたものを、無機物質層上にワイヤーバーにて塗布し、加熱乾燥機中120℃で5分間加熱して溶媒を除去後、高圧水銀灯にて500mJ/cm2の紫外線を照射させ厚み5μmの透明樹脂層を積層した。
実施例1と同様に透明コア層を作製した。つぎに、得られた基板をRFスパッタリング装置の真空チャンバー内へセットした。5×10−4Paの真空に達したところでArガスを60sccm、O2ガスを1.2sccm導入し、透明樹脂コア層と原材料のSi3N4ターゲットの間に0.3kWのRF電力を投入し放電を開始した。放電が安定したところで透明コア基板と原材料の間に具備されたシャッターを開き透明コア基板上へのSiOxNy(組成比:x/(x+y)=0.75)から成る無機物質の堆積を開始した。無機物質層が100nm堆積したところでシャッターを閉じて堆積を終了し、真空チャンバーを大気開放した。つぎに、実施例1と同様に無機物質層に厚み5μmの透明樹脂層を積層した。
実施例1と同様に透明コア層を作製した。つぎに、得られた基板をRFスパッタリング装置の真空チャンバー内へセットした。5×10−4Paの真空に達したところでArガスを60sccm、O2ガスを3sccm導入し、透明樹脂コア層と原材料のTa2O5ターゲットの間に0.3kWのRF電力を投入し放電を開始した。放電が安定したところで透明コア基板上への酸化タンタルから成る無機物質の堆積を開始した。無機物質層が100nm堆積したところでシャッターを閉じて堆積を終了し、真空チャンバーを大気開放した。つぎに、実施例1と同様に無機物質層に厚み5μmの透明樹脂層を積層した。
実施例1と同様に透明コア層を作製した。つぎに、得られた基板をRFスパッタリング装置の真空チャンバー内へセットした。5×10−4Paの真空に達したところでArガスを60sccm、O2ガスを15sccm導入し、透明樹脂コア層と原材料のWO3ターゲットの間に0.3kWのRF電力を投入し放電を開始した。放電が安定したところで透明コア基板上への酸化タングステンから成る無機物質の堆積を開始した。無機物質層が100nm堆積したところでシャッターを閉じて堆積を終了し、真空チャンバーを大気開放した。つぎに、実施例1と同様に無機物質層に厚み5μmの透明樹脂層を積層した。
実施例2で得られた透明積層体の透明樹脂層を堆積面として実施例2の無機物質層と同様な方法で100nmのSiOx(x=1.7)から成る無機物質層の堆積を行った。
実施例3で得られた透明積層体の透明樹脂層を堆積面として実施例3の無機物質層と同様にして100nmのSiOxNy(組成比:x/(x+y)=0.75)から成る無機物質層の堆積を行った。
実施例1と同様に透明コア層を作製した。つぎに、得られた基板をRFスパッタリング装置の真空チャンバー内へセットし、実施例1と同様に、透明コア基板上に100nmのSiOx(x=1.7)からなる無機物質層を積層した。つぎに、脂環式エポキシ樹脂(商品名CEL‐2021P)48.9重量部、光カチオン系重合触媒(旭電化製SP170)1.5重量部、メチルセロソルブアセテート9.0重量部、乳酸エチル34.2重量部,ブチルセロソルブ6.4重量部にて撹拌、溶解してRC=50.4wt%の均一な溶液としたものを、無機物質層上にワイヤーバーにて塗布し、加熱乾燥機中120℃で5分間加熱して溶媒を除去後、高圧水銀灯にて500mJ/cm2の紫外線を照射させ厚み5μmの透明樹脂層を積層した。
実施例1と同様に透明コア層を作製した。つぎに、得られた基板をRFスパッタリング装置の真空チャンバー内へセットし、実施例1と同様に、透明コア基板上に100nmのSiOx(x=1.7)からなる無機物質層を積層した。つぎに、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート(東亜合成社製M315)37.6重量部、ノボラック型エポキシアクリレート(昭和高分子社製SP−4010)9.4重量部、光開始剤(チバガイギー社製 IRG−907)1.9重量部、酢酸イソアミル46.0重量部、ブチルセロソルブ5.1重量部にて撹拌、溶解してRC=48.8wt%の均一な溶液としたものを、無機物質層上にワイヤーバーにて塗布し、加熱乾燥機中130℃で10分間加熱して溶媒を除去後、高圧水銀灯にて500mJ/cm2の紫外線を照射させ厚み5μmの透明樹脂層を積層した。
評価方法は以下の通りである。
硬化前の樹脂組成物の比重を常温(23℃)下、比重瓶を用いて測定した。次いで、樹脂組成物を2枚の離型処理したガラス基板に300μm厚みのフィルムスペーサーと共に注型した後に、積算光量2000mJ/cm2の条件でメタルハライドランプにより樹脂組成物を硬化させ、ガラス注型から取り出した硬化後の樹脂組成物の比重を水中置換法により測定した。硬化前後の比重測定値から単位重量あたりの体積変化率を%単位で算出した。
硬化後の樹脂組成物をSEIKO電子(株)製TMA/SS6000型熱応力歪み測定装置を用いて、窒素雰囲気下、1分間に5℃の割合で昇温させ、荷重を5gにし引っ張りモードで測定を行い、30〜200℃における平均線膨張係数を算出した。
JIS K 7129B法40℃90%による水蒸気透過性の測定を行った。
透明積層体の表面にカッターでX文字上に切り込みを入れ、その後にセロテープ(登録商標)(ニチバン製)を密着させた後、180°方向に素早く引き剥がした。各層間の密着力は、n=3の繰り返し試験の結果、カッター切り込みを起点に剥離が見られない試験数をカウントとした。
透明積層体を分光光度計U3200(島津製作所製)で550nmの光線透過率を測定した。
Claims (18)
- 第1の透明樹脂を含む透明コア層の少なくとも片面に無機物からなる無機物質層を形成し、更に無機物質層上に第2の透明樹脂を含む透明樹脂層を形成した透明積層体であって、第2の透明樹脂が硬化性樹脂組成物の硬化物であり、前記硬化性樹脂組成物の硬化前後の体積変化率が−5%〜2%で、かつ第2の透明樹脂の30〜200℃での温度範囲における平均線膨張率が0〜75ppmである透明積層体。
- 前記透明コア層の厚みが50〜200μmである請求項1記載の透明積層体。
- 前記透明コア層が第1の透明樹脂と無機フィラーとから構成される請求項1又は2記載の透明積層体。
- 前記無機フィラーが繊維状フィラーである請求項3記載の透明積層体。
- 前記繊維状フィラーがガラスクロスである請求項4記載の透明積層体。
- 第2の透明樹脂がカチオン系硬化触媒で硬化したものである請求項1〜5いずれか記載の透明積層体。
- 第2の透明樹脂が脂環式エポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物の硬化物である請求項1〜6いずれか記載の透明積層体。
- 第2の透明樹脂がオキセタニル基を有するモノマーを構成成分として含む硬化性樹脂組成物の硬化物である請求項6〜8いずれか記載の透明積層体。
- 前記透明樹脂層が無機フィラーを含有する硬化性樹脂組成物の硬化物である請求項1〜9いずれか記載の透明積層体。
- 前記無機フィラーがナノシリカである請求項10記載の透明積層体。
- 前記無機物がSi、Ta、Nb、Al、In、W、Sn、Zn、Ti、Ce、GeおよびZrから選ばれる1種以上を含む酸化物または窒化物または窒素酸化物を主成分とするものである請求項1〜11いずれか記載の透明積層体。
- 請求項1〜12いずれか記載の透明積層体の最外層である透明樹脂層の更に外側に無機物質層2を堆積させた透明積層体。
- 前記無機物質層2がSi、Ta、Nb、Al、In、W、Sn、Zn、Ti、Ce、GeおよびZrから選ばれる1種以上を含む酸化物または窒化物または窒素酸化物を主成分とする請求項13記載の透明積層体。
- 波長550nmでの光線透過率が80%以上である請求項1〜14いずれか記載の透明積層体。
- 請求項1〜15いずれか記載の透明積層体を用いた表示素子用基板。
- 請求項1〜15いずれか記載の透明積層体を用いた有機EL素子用基板。
- 請求項1〜15いずれか記載の透明積層体を用いた太陽電池用基板。
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