JP2004238465A - 複合基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】繊維布に熱硬化性樹脂組成物を含浸または塗布・乾燥させたプリプレグの表裏に剥離性樹脂シートをラミネートし、樹脂を硬化させた後に剥離性樹脂シートを剥離することを特徴とする表面粗さ(Ry)が2μm以下の複合基板の製造方法。剥離性樹脂シートのガラス転移温度(Tg)あるいは熱分解温度が180℃以上であり、150℃から180℃の熱線膨張係数が90ppm未満のプラスチックを含み、かつ転写面側の表面粗さ(Ry)が0.5μm以下であることが望ましい。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面平滑性の優れた複合基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常表示装置に用いられるプラスチック基板(積層板)をえるためには半硬化状態の樹脂を含浸したプリプレグの1枚又は複数枚を加熱成形して樹脂層のみの積層板とするか、あるいは、銅箔等の金属板とともに加熱成形することにより、金属層と樹脂層から成る積層板とした後にエッチング処理等により、金属板を剥離して用いる。通常プリプレグはガラスクロス等の繊維布に樹脂含浸後、スクイズロール等のロールで余分な樹脂を掻き落とし、縦型の乾燥炉で乾燥させるが、このときガラスクロス等繊維布の凹凸を反映した形で乾燥・半硬化するために、表面形状は粗いものとなる。プリプレグ自体の表面粗さが粗いと得られるプラスチック基板の表面粗さも粗くなる。
また、プリプレグから積層板を得るためには、熱盤間に銅箔等の金属箔、プリプレグ、鏡面板等を1組として、それらを何枚も重ねて加熱成型する多段型のバッチプレスが一般的である。この時樹脂もある程度フローするためプリプレグそのものの表面形状が積層板そのものの表面と成る訳ではないが、もとのプリプレグの表面粗さが反映されたものとなる。すなわちプレス初期においては樹脂に流動性がない状態で加圧されることになるが、このとき金属箔が圧力により変形し、プリプレグの表面形状を反映した形状となり流動性のある温度域に達したときは、金属箔あるいは金属板が初期のプリプレグ表面粗さを反映した形状となっているため、平滑なプラスチック基板とはならない。
表示装置に用いられるプラスチック基板には表面平滑性が求められる。特に表示装置に用いる場合は基板上に直接半導体素子を書き込むこともあり2μmレベルでの平滑性が求められているが、従来のプリプレグ使ってプレスする方法ではこのレベルの平滑性を得ることは困難であった。
また、多段型のバッチプレスでは、生産性が低いばかりか各段の熱盤内に温度ムラがあり成型時に各積層板にかかる熱履歴が異なるために、板厚精度、成形性、反り、寸法変化率等の品質において差が生じ、品質のバラツキが少ない積層板を製造することは難しかった。更に得られた積層板の銅箔をエッチング除去することによりプラスチック基板を得ることができるが、表面平滑性が不十分な銅箔面(一般に光沢面側でも5μm程度の凹凸がある)が転写されるために液晶表示装置に用いることはできなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、液晶表示装置に用いられるプラスチック基板等に使用可能な表面平滑性に優れ生産性の高い複合基板を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
(1) 繊維布に熱硬化性樹脂組成物を含浸または塗布・乾燥させたプリプレグの表裏に剥離性樹脂シートをラミネートし、樹脂を硬化させた後に剥離性樹脂シートを剥離することを特徴とする表面粗さ(Ry)が2μm以下の複合基板の製造方法。
(2) 前記剥離性樹脂シートのガラス転移温度(Tg)あるいは熱分解温度が180℃以上であり、150℃から180℃の熱線膨張係数が90ppm未満のプラスチックを含み、かつ転写面側の表面粗さ(Ry)が0.5μm以下である(1)の複合基板の製造方法。
(3) 剥離性樹脂シートが離型処理を施したポリエステルフィルムである(1)、(2)の複合基板の製造方法。
(4) 剥離性樹脂シートが離型処理を施したポリイミドフィルムである(1)、(2)の複合基板の製造方法。
(5) 前記熱硬化性樹脂組成物がシアネート樹脂を含む(1)〜(4)の複合基板の製造方法。
(6) 前記熱硬化性樹脂組成物がシアネート樹脂及びエポキシ樹脂を含む(1)〜(4)の複合基板の製造方法。
(7) シアネート樹脂がノボラック型シアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーであることを特徴とする(5)、(6)の複合基板の製造方法。
(8) 前記熱硬化性樹脂組成物に無機充填材を含有する(1)〜(7)の複合基板の製造方法。
(9) 無機充填材が平均粒径2μm以下の球状溶融シリカである(8)の複合基板の製造方法。
(10) 無機充填材の含有量が、樹脂成分100重量部に対して10〜400重量部である(8)、(9)の複合基板の製造方法。
(11) 前記複合基板を連続的に巻き取ることを特徴とする(1)〜(10)の複合基板の製造方法。
である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は、特定の物性を持つ剥離性樹脂シートを用いてプリプレグの表裏にラミネートし、樹脂を硬化させた後に剥離性樹脂シートを剥離することにより従来必要であったプレス工程も必要とせずに連続的に平滑なプラスチック基板が得られることを見出したものである。
本発明において、プリプレグ成形時(ラミネート時)、従来用いられてきた剥離性金属箔は、プリプレグの表面形状、圧力によって変形し、また、転写される銅箔自体の表面平滑性が不十分であるのに対して、剥離性樹脂シートはプリプレグの表面形状に沿ってラミネートすることができ、かつ、ラミネートロールの加圧に従って、プリプレグ表面をむらなく平坦化、かつ、平滑化できるという利点がある。
本発明は繊維布に熱硬化性樹脂溶液を含浸し、タックフリー(半硬化)状態になるまで乾燥し、プリプレグを形成する。その後、得られたプリプレグの表裏に剥離性樹脂シートを加熱・圧着し、更に樹脂を加熱・硬化させた後樹脂シートを剥離し複合基板としこれを連続的に巻き取ることによりロール状の複合基板を得るものである。
本発明において、含浸樹脂溶液を乾燥させ、半硬化状態のプリプレグを形成させる条件としては、含浸樹脂や溶剤の種類により異なるが、50〜200゜C、0.5〜30分が適当である。これより温度が低く時間が短い場合、繊維布と加熱圧着する際、流動性が大きく、端面からのしみ出しが大きく、フィルム厚のバラツキも大きくなり、均一な厚みの複合基板とならない。またこれより温度が高く時間が長い場合剥離性シートと加熱・圧着する際、流動性が小さすぎ、基板表面を十分平滑化できない。
剥離性シートをプリプレグに加熱・圧着する条件としてはプレス形式の場合は70〜200℃、0.1〜10MPa、5〜30分、ロール式ラミネータの場合は70〜200゜C、0.1〜100MPa、0.1〜10m/分の条件が適当であり、特に温度としては含浸樹脂の乾燥温度±60℃で実施することが望ましい。ラミネート温度が低いと樹脂が軟化せず基板表面を十分に平滑化できない。一方、ラミネート温度が高すぎると含浸樹脂中の溶剤が急激に揮発発泡したり、フローが大きすぎ樹脂が流れ出てしまうことがある。プレス形式にて転写シートを繊維布に加熱・圧着する場合は効率の面から表裏同時に張り合わせることが望ましいが、ロール式ラミネータを用いる場合は片面毎に張り合わせることもできる。
本発明で用いられる繊維布を含有する複合基板(積層板)は、液晶表示装置に用いられるものであれば特に限定されないが、耐熱性の観点から使用する含浸樹脂のTgは150℃以上であることが好ましい。具体的にはシアネート樹脂、ビスマレイミドを構成成分として含む熱硬化型のポリイミド樹脂、多官能エポキシ樹脂などを挙げることができる。なかでも、シアネート樹脂が特に好ましい。
【0006】
本発明に用いるシアネート樹脂としては、ビスフェノールジシアネート、ジ(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、4,4’−チオジフェニルシアネート、2,2’−ジ(4−シアネートフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビスフェノールEジシアネート、フェノール/ジシクロペンタジエン共重合体のシアネート、フェノールノボラック型シアネート樹脂、クレゾールノボラック型シアネート樹脂、及び/又はそのプレポリマーを用いることができる。中でも耐熱性が高く線膨張係数が低いことからノボラック型シアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーが好ましい。ここでいうノボラック型シアネート樹脂とは任意のノボラック樹脂と、ハロゲン化シアン等のシアネート化試薬とを反応させることで得られるもので、またこの得られた樹脂を加熱することでプレポリマー化することが出来る。
本発明におけるノボラック型シアネート樹脂の数平均分子量は、250未満であると、架橋密度が小さく、耐熱性や線膨張係数に劣る場合があり、900を超えると、架橋密度が上がりすぎて反応が完結できない場合があるため、260〜900であることが望ましく、より好ましくは300〜600である。また、プレポリマーを用いる際には、上記数平均分子量のノボラック型シアネート樹脂をメチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン等の溶媒に可溶な範囲でプレポリマー化して用いることが望ましい。本発明で言うところの数平均分子量は、東ソー株式会社製HLC−8120GPC装置(使用カラム:SUPER H4000、SUPER H3000、SUPER H2000×2、溶離液:THF)を用いて、ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法で測定した値である。
【0007】
本発明の樹脂組成物は、シアネート樹脂に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の他の熱硬化樹脂、フェノキシ樹脂、溶剤可溶性ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルスルホン等の一種類以上の熱可塑性樹脂を併用しても良い。特にエポキシ樹脂の併用は、耐薬品性を悪化させずに吸水率を低減できるので好ましい。併用するエポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂などが挙げられ、特にジシクロペンタジエン骨格エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂が好ましい。ここでアリールアルキレン型エポキシ樹脂とは、繰り返し単位中に1つ以上のアリールアルキレン基を有するエポキシ樹脂をいい、キシリレン型エポキシ樹脂やビフェニレンジメチル型エポキシ樹脂などが挙げられる。
併用するエポキシ樹脂の量はシアネート樹脂100重量部に対して10〜200重量部が好ましい。10重量部未満であると添加効果が発現されにくく、200重量部を超えるとシアネート樹脂の耐熱性が損なわれる場合がある。
【0008】
本発明の樹脂組成物は、シアネート樹脂等の樹脂成分と共に無機充填材を併用することが好ましい。無機充填材は弾性率を高め、線膨張係数を低下させ、吸水性を低下させるために配合されるものである。無機充填材としては、例えばタルク、アルミナ、ガラス、シリカ、マイカ等が挙げられる。これらの中でも溶融シリカが低熱膨張性に優れる点で好ましい。さらに溶融シリカの中でも平均粒径2μm以下の球状溶融シリカを用いることが充填性を向上させる点で好ましい。平均粒径が2μmを超えるとプリプレグ作製時の繊維布への含浸性低下、樹脂組成物中の無機充填材が沈降する、表面平滑性が低下する等の現象が起こり、望ましくない。また、平均粒径は粘度制御の点で0.2μm以上が好ましい。本発明で平均粒径は株式会社堀場製作所粒度分布測定装置 LA920を用いて、レーザ回折/散乱法で測定を行った。
無機充填材の配合量としては、シアネート樹脂等の樹脂成分100重量部に対して、10〜400重量部が好ましく、より好ましくは40〜300重量部である。10重量部より少ないと無機充填材を添加することによる低熱膨張化の効果が少なく、400重量部を超えると樹脂組成物中の無機充填材の割合が大きすぎて、樹脂ワニスのガラス基材への塗布、含浸などの操作が困難となる傾向がある。
【0009】
本発明の樹脂組成物には、カップリング剤を添加することが好ましい。カップリング剤は樹脂と無機充填材の界面の濡れ性を向上させることにより、ガラスクロスに対して樹脂および充填材を均一に定着させ、耐熱性や吸湿性を改良する効果が認められる。カップリング剤としては通常用いられるものなら何でも使用できるが、これらの中でもエポキシシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アミノシランカップリング剤及びシリコーンオイル型カップリング剤の中から選ばれる1種以上のカップリング剤を使用することが無機充填材界面との濡れ性が高く、耐熱性向上の点で好ましい。本発明でカップリング剤は、無機充填材に対して0.05重量%以上、3重量%以下が望ましい。これより少ないと充填材を十分に被覆できず、またこれより多いと機械特性等が低下するようになるためこの範囲で用いることが望ましい。
【0010】
本発明でシアネート樹脂を用いる場合には、樹脂組成物に硬化促進剤を添加することが好ましい。硬化促進剤としては、公知のものを用いることができ、例としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト等の有機金属塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等の3級アミン類、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類、フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール、フェノール樹脂等のフェノール化合物および有機酸等、またはこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でもフェノール樹脂が硬化性、イオン性不純物が少ない等の点で好ましい。本発明で硬化促進剤の配合量は使用条件に応じて適宜変更することが可能であるが、有機金属塩の場合はシアネート樹脂100重量部に対して0.001〜1重量部、イミダゾール類の場合は0.05〜10重量部、フェノール樹脂の場合は0.5〜50重量部の範囲であることが好ましい。これらの範囲より少ないと硬化が遅くなる傾向があり、これらの範囲より多いと硬化が促進されすぎることによる樹脂組成物およびプリプレグライフの低下、硬化促進剤に由来する揮発成分による周囲汚染等の悪影響がでる恐れがある。
【0011】
本発明で用いられる繊維布は特に限定されるものではなく、種々の無機系または有機系の繊維布を用いることができる。 その具体例としては、 Eガラス(無アルカリガラス)、Sガラス、Dガラス、NEガラス、クォーツ、高誘電率ガラス等のガラスクロス、ケブラー(商品名:デュポン・東レ・ケブラー社製)、テクノーラ(商品名:帝人社製)、コーネックス(商品名:帝人社製)に代表されるポリ −p−フェニレンフタルアミド、ポリ −m−フェニレンフタルアミド、p−フェニレンフタルアミドおよび3,4’− ジフェニルエーテルフタルアミドの共重合体等からなる芳香族ポリアミド系繊維布やアラミド系繊維布、ポリエステル繊維布、ナイロン繊維布、ポリベンザゾール繊維布、炭素繊維布等が挙げられる。 好ましくはガラスクロスである。織布フィラメントの織り方についても特に限定されるものではなく、平織り、ななこ織り、朱子織り、綾織り等の構造を有する織物でも良く、好ましくは平織りである。 また、織布に限定されるのではなく不織布であってもかまわない。繊維の厚みも特に限定されるものではないが、30〜300μmであることが好ましい。
【0012】
本発明に用いられる繊維布は、樹脂成分との濡れ性を改善する目的で各種のシランカップリング剤、ボランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等の表面処理剤で処理されても良く、これに限定されるものではない。
本発明の剥離性樹脂シートは転写面側の表面粗さRyが0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下でかつTgあるいは熱分解温度が180℃以上であり150℃から180℃の線膨張係数係数が90ppm未満の樹脂シートが好ましい。転写面側の表面粗さRyは低いほど好ましいが、0.5μm以上のシートを用いるとこの面がプリプレグに転写し表面粗さが粗くなってしまう。プラスチック基板の製造工程に耐えうる耐熱性が必要であると共に、線膨張係数が90ppmを越える様な樹脂シートを用いると、樹脂シートを剥離する前のプリプレグにストレスが内在するためにカールが発生し、後工程を円滑に行うことが難しくなることがある。好ましい樹脂の例としては、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等を挙げることができる。
【0013】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、滑剤、耐熱剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料等、光安定剤等の成分を配合することができる。
本発明の樹脂組成物を繊維布に含浸するには、アルコール類、エーテル類、アセタール類、ケトン類、エステル類、アルコールエステル類、ケトンアルコール類、エーテルアルコール類、ケトンエーテル類、ケトンエステル類やエステルエーテル類などの有機溶媒を用いてワニスにし、剥離性基材シートに塗布・乾燥後、繊維布の表裏にラミネートし、しかる後に樹脂シートを剥離することすることによってプリプレグを得ることができる。
【0014】
【実施例】
次に本発明について、実施例及び比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。
(実施例1)
ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製PT60、数平均分子量560)100重量部及びフェノールノボラック樹脂(住友デュレズ製PR−51714)2重量部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、エポキシシランカップリング剤(日本ユニカー製A−187)1重量部、球状溶融シリカ(株式会社アドマテックス製SO−25R 平均粒径0.5μm )150部を添加し、高速攪拌機を用いて10分攪拌し樹脂ワニスを得た。調製した樹脂ワニスをロールスクイズ方式の含浸装置でガラスクロス(厚さ53μm、日東紡績製、WEA−1080)に含浸後、180℃で2分乾燥させ総厚80μmのプリプレグを得た。ゴム製のロール式ラミネータを用いて、160℃、1MPa、1m/分の条件で、転写シートの樹脂面側に離型処理を施した表面粗さRyが0.3μmのポリエステル(PET)と得られたプリプレグの表裏同時に連続的にラミネートし、200℃で10分乾燥させた後に剥離性樹脂シートを剥離することにより複合基板を得た。得られた複合基板は表面粗さRyが1.2μmの平滑性に優れたものであり、表示基板として使用できるものであった。
(実施例2)
球状溶融シリカSO−25Rを50重量部、エポキシシランカップリング剤A−187を0.4重量部にした以外は、実施例1と同様に行いプリプレグを得た。得られた複合基板は表面粗さRyも1.1μmと平滑性の優れたものであり、表示基板として使用できるものであった。
(実施例3)
離型フィルムとして転写面側の表面粗さRyが0.4μmのポリイミドフィルム(ユーピレックス25S:宇部興産(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様に行いプリプレグを得た。得られた複合基板は表面粗さRyも1.3μmと平滑性の優れたものであり、表示基板として使用できるものであった。
(比較例1)
実施例1のプリプレグを用い、2枚の電解銅箔(18μm)光沢面(表面粗さRyが5μm)側間に本プリプレグを挿み、鏡面のステンレス板を当て板として、圧力4MPa、温度220℃で1時間加熱加圧成形を行い両面銅張り積層板を得た。更に両側の銅箔をエッチングして全面除去し複合基板を得た。得られた複合基板は表面粗さRyが4.3μmと表示基板として使用するには平滑性が不十分なものであった。
(比較例2)
球状溶融シリカSO−25Rを50重量部、エポキシシランカップリング剤A−187を0.4重量部にした以外は、実施例1と同様に行いプリプレグを得た。得られたプリプレグを用い比較例1と同様の方法で複合基板を得た。得られた複合基板は表面粗さRyが4.6μmと表示基板として使用するには平滑性が不十分なものであった。
【0015】
【発明の効果】
本発明により得られる表面平滑な複合基板は液晶表示装置に用いられるプラスチック基板として好適なのものである。またロール形状での連続生産も可能であり、生産性の優れる製造方法である。
Claims (11)
- 繊維布に熱硬化性樹脂組成物を含浸または塗布・乾燥させたプリプレグの表裏に剥離性樹脂シートをラミネートし、樹脂を硬化させた後に剥離性樹脂シートを剥離することを特徴とする表面粗さ(Ry)が2μm以下の複合基板の製造方法。
- 前記剥離性樹脂シートのガラス転移温度(Tg)あるいは熱分解温度が180℃以上であり、150℃から180℃の熱線膨張係数が90ppm未満のプラスチックを含み、かつ転写面側の表面粗さ(Ry)が0.5μm以下である請求項1記載の複合基板の製造方法。
- 剥離性樹脂シートが離型処理を施したポリエステルフィルムである請求項1または2記載の複合基板の製造方法。
- 剥離性樹脂シートが離型処理を施したポリイミドフィルムである請求項1または2記載の複合基板の製造方法。
- 前記熱硬化性樹脂組成物がシアネート樹脂を含む請求項1〜4何れか一項記載の複合基板の製造方法。
- 前記熱硬化性樹脂組成物がシアネート樹脂及びエポキシ樹脂を含む請求項1〜4何れか一項記載の複合基板の製造方法。
- シアネート樹脂がノボラック型シアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーであることを特徴とする請求項5または6記載の複合基板の製造方法。
- 前記熱硬化性樹脂組成物に無機充填材を含有する請求項1〜7何れか一項記載の複合基板の製造方法。
- 無機充填材が平均粒径2μm以下の球状溶融シリカである請求項8記載の複合基板の製造方法。
- 無機充填材の含有量が、樹脂成分100重量部に対して10〜400重量部である請求項8または9記載の複合基板の製造方法。
- 前記複合基板を連続的に巻き取ることを特徴とする請求項1〜10何れか一項記載の複合基板の製造方法。
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