JP2006213860A - ポリエステル樹脂、それを用いた水分散体および接着剤 - Google Patents

ポリエステル樹脂、それを用いた水分散体および接着剤 Download PDF

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【課題】 ポリオレフィン系樹脂などの非極性基材を含めた各種基材に対する接着力に優れ、特に、屋外曝露での接着力低下、および着色の少ないポリエステル樹脂およびその水分散体、ならびに接着剤を提供する。
【解決手段】 ジカルボン酸成分、グリコール成分の合計量をそれぞれ100モル%とするとき、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸が30モル%以上、グリコール成分としてトリエチレングリコールが20モル%以上共重合されているものであるポリエステル樹脂、およびそれを用いた水分散体、接着剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光照射が行われても色相変化の少ない(着色しにくい)ポリエステル樹脂とその水分散体に関するものである。特に各種基材に対する接着力に優れると共に、屋外曝露等での条件下でも接着力低下の起こりにくい接着剤に関する。
屋外で使用されるプラスチック板(たとえば、農業用ハウスやサンルームなどに用いられる板)、屋内で使われる照明機器のかさなどには高度な耐候性が求められる。従来はこれら用途に塩化ビニル樹脂やアクリル樹脂が多用されてきたが、近年の環境意識の高まりやコストパフォーマンスを考慮し、かかる用途にポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂を用いようとする動きがある。光の当たる部位に用いられるこれらの素材に耐候性が求められるのは当然であるが、これを組み立てて接着剤で貼り合わせる際、たとえばプラスチック板が透明であれば光が透過され、接着剤層まで到達する。その結果、接着剤層の黄変が起こって意匠性が低下したり、あるいは経時的に接着強度の低下の起こることがあった。このように最近では、接着剤に対してもより高度な耐候性を求められる用途が増えてきている。
これまでこのような屋外で使用されるプラスチック板などの接着に使用される接着剤としては、有機溶剤系の接着剤が主流であったが、大気汚染防止、消防法上の規制、労働衛生等の観点から、水系の接着剤が採用され始めている。この水性接着剤、塗料用の樹脂として、ポリエステルベースやポリエーテルベースのポリウレタン系樹脂にカルボン酸塩等の親水性極性基を含有させたもの等が提案されている(たとえば、特許文献1、2参照)。
しかし、従来のポリエステルベースの水系ポリウレタン樹脂は、ポリエチレンテレフタレートやナイロンとの接着性は良好であるが、上記用途において近年被着体として使用されているポリオレフィンなどの非極性基材に対する接着性は満足できるものではなく、また、脂肪族ポリエステルポリオールベースのため、耐候性が不十分であった。また、ポリエーテルベースのものは、耐水性、耐久性、耐候性、機械的強度が不十分である。
また、水酸基含有水素添加ポリブタジエンを含有させた水性ポリウレタン樹脂系接着剤も提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
しかし、この水酸基含有水素添加ポリブタジエンは、直鎖ユニットと側鎖ユニットの比率が極端に偏っているため、ポリオレフィン部分の結晶性が大きくなりすぎ、得られる水分散性ポリウレタンに対して接着性、密着性を寄与するものではない。また、従来の水酸基含有ポリブタジエン等の水酸基含有ポリオレフィンは、官能基数が2を越えるため、目的とするポリウレタン樹脂そのものが得られにくく、また、得られた樹脂も、ポリブタジエンユニットに二重結合が残存するために耐候性に難があった。
また芳香族ジカルボン酸、ジエチレングリコールを必須成分とするポリエステル樹脂水分散体を塗料、インキ、接着剤として用いることも提案されている(たとえば、特許文献4参照)。
しかしながら本願発明者らはこれらポリエステル樹脂についても本用途へ検討してみたところ、光照射時の耐黄変性には優れるものであったが、光照射と共に基材に対する著しい接着力低下がみられ、特に屋外をはじめとする接着剤用途には不向きであった。
このように従来、屋外の用途を意図した接着剤として様々な水系のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂が提案されてはきたが、いずれも初期の接着性、経時的な接着力低下の課題を両立することができなかった。加えて耐黄変特性にも優れるものは知られていなかった。
特開平5−117358号公報([0006]、[0007]等) 特開平4−68022号公報(2ページ等) 特公平5−86829号公報(2ページ等) 特開昭57−40525号公報(2ページ等)
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ポリオレフィン系樹脂などの非極性基材を含めた各種基材に対する接着力に優れ、特に、屋外曝露での接着力低下、および着色の少ないポリエステル樹脂およびその水分散体、ならびに接着剤を提供することである。
本発明のポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分、グリコール成分の合計量をそれぞれ100モル%とするとき、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸が30モル%以上、グリコール成分としてトリエチレングリコールが20モル%以上共重合されているものであることを特徴とする。
本発明のポリエステル樹脂においては、ジカルボン酸成分の合計量を100モル%とするとき、テレフタル酸の共重合量が70モル%未満であることが好ましい。
また本発明のポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分、グリコール成分の合計量をそれぞれ100モル%とするとき、直鎖状に連続して結合した炭素数が3以上のジカルボン酸成分が40モル%以下であり、かつ直鎖状に連続して結合した炭素数が3以上のグリコール成分が40モル%以下であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂は、分子末端の一部が、塩基で中和されていないコハク酸であることが好ましい。中でも、コハク酸が0.1〜5.0モル%であることがより好ましい。
また本発明は、上述したいずれかに記載のポリエステル樹脂を含む水分散体も提供する。かかる本発明の水分散体は、接着剤として好適に用いられるものである。
本発明は、また、上述した本発明のポリエステル樹脂を含む接着剤も提供する。
本発明の接着剤は、水分散体に硬化剤を配合した接着剤であるのが好ましい。硬化剤は、イソシアネート系硬化剤であるのが好ましい。
以上のように、本発明によれば、各種基材に対する接着力に優れ、特に、屋外曝露での接着力低下、および着色の少ないポリエステル樹脂およびそれを用いた水分散体、接着剤を提供することができる。
本発明のポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分、グリコール成分の合計量をそれぞれ100モル%とするとき、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸が30モル%以上、グリコール成分としてトリエチレングリコールが20モル%以上共重合されていることを特徴とする。かかる特徴を有する本発明のポリエステル樹脂によれば、ポリオレフィンなどの非極性基材を含めた各種基材に対する接着力に優れ、特に、屋外曝露での接着力低下、および着色が少ない。なお、イソフタル酸が30モル%未満であると、接着剤層の機械的強度が低くなる不具合があり、また、トリエチレングリコールが20モル%未満であると、接着強度が低下する不具合があり、いずれにしても本発明の目的を達成することができない。
本発明のポリエステル樹脂においてジカルボン酸成分として用いられるイソフタル酸は、これをグリコール成分と共重合させて得られたポリエステル樹脂にて接着剤層を形成しても、耐候性を減じることなく機械的強度を向上させる効果を発揮するため、可及的に含有量を増加させることが望ましい。したがって本発明のポリエステル樹脂においては、ジカルボン酸成分として、イソフタル酸を50モル%以上含有するのが好ましく、60モル%以上含有するのがより好ましく、70モル%以上含有させるのがさらに好ましく、80モル%以上含有させるのが特に好ましく、90モル%以上含有させるのが最も好ましい。
また、本発明のポリエステル樹脂においてグリコール成分として用いられるトリエチレングリコールは、これをジカルボン酸成分と共重合させて得られたポリエステル樹脂においてガラス転移温度を低くすることができ、かかる樹脂を用いて形成された接着剤層において接着特性を高めることができる。さらにトリエチレングリコールは、これを用いて得られたポリエステル樹脂の比重が下がりにくいという効果も有し、後述するバリア性の高い接着剤層を形成することができるため、長期にわたる光照射後の接着性低下を最小限に抑えることができる。光照射による塗膜(接着剤層)劣化の原因として、大気中の酸素による自動酸化が主なものとして挙げられる。自動酸化を抑制するには、緻密な硬化塗膜を生成し、酸素の透過(溶解/拡散)を防ぐ必要がある。すなわち接着剤層中に酸素が介在すると、前述した活性ラジカルの架橋反応が促進されるものと考えられる。接着剤層の酸素透過速度を低くするにはポリエステル樹脂の比重を上げて、緻密な硬化塗膜を得ることが効果的である。一般に、ポリエステル樹脂を接着剤用途に用いるときは、ガラス転移温度(Tg)を低めて基材に対する塗れ性や密着性を高めることが必要である。しかしながらこの際通常使用されている直鎖状に連続して結合した炭素数が3以上のジカルボン酸成分あるいは直鎖状に連続して結合した炭素数が3以上のグリコール成分を共重合するという手法は、塗膜の比重を下げてしまい、酸素透過速度を高めるものに他ならない。本発明は、この高比重、低Tgを達成すべく検討した結果、トリエチレングリコールを上記割合以上共重合することで、この相反する特性を保持するポリエステル樹脂が存在するという知見に基づきなされたものである。
上述した効果を確実に発揮し得る観点からは、本発明のポリエステル樹脂において、トリエチレングリコールは、グリコール成分の合計量を100モル%とするときに20モル%以上であるのが好ましく、40モル%以上であるのがより好ましく、60モル%以上であるのがさらに好ましく、75モル%以上であるのが特に好ましい。
本発明のポリエステル樹脂において、ジカルボン酸成分の合計量を100モル%とした場合に、テレフタル酸の共重合量が70モル%未満であるのが好ましい。テレフタル酸の共重合量が70モル%以上であると、これをグリコール成分と共重合させて得られたポリエステル樹脂にて形成した塗膜において、機械的特性は向上されるものの、光照射されると黄変する原因となる虞がある。かかる観点からは、本発明のポリエステル樹脂のジカルボン酸成分中のテレフタル酸の共重合量は可及的に少なくするのが望ましく、より好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは40モル%以下、よりさらに好ましくは20モル%以下、特に好ましくは10モル%以下、最も好ましくは0モル%である。
また、本発明のポリエステル樹脂においては、ジカルボン酸成分およびグリコール成分の合計量をそれぞれ100モル%とするとき、直鎖状に連続して結合した炭素数が3以上のジカルボン酸成分が40モル%以下であり、かつ、直鎖状に連続して結合した炭素数が3以上のグリコール成分が40モル%以下であるのが好ましい。直鎖状に連続して結合した炭素数が3以上のジカルボン酸成分、直鎖状に連続して結合した炭素数が3以上のグリコール成分のうち少なくともいずれかでも40モル%を越えると、直鎖状に連続して結合した炭素数が3以上のジカルボン酸成分、グリコール成分を共重合させてポリエステル樹脂を形成することにより得られたポリエステル樹脂のガラス転移温度を下げることができ、またかかるポリエステル樹脂を用いて形成した接着剤層において接着直後の接着強度を上げることができる反面、長期にわたる光照射で三次元架橋(ゲル化)が進むため、接着剤層が脆くなってしまい、結果として接着強度低下の原因となる虞がある。本発明のポリエステル樹脂においては、上記直鎖状に連続して結合した炭素数が3以上のジカルボン酸成分およびグリコール成分の共重合量は、ともに、30モル%以下であるのがより好ましく、20モル%以下であるのがさらに好ましく、10モル%以下であるのが特に好ましく、0モル%であるのが最も好ましい。
なお、本明細書中でいう「直鎖状に連続して結合した炭素数が3以上のジカルボン酸」とは、二つのカルボキシル基の間に含まれる連続した炭素数が3以上であるものを示し、たとえば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸が挙げられる。これらのうち、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸は、特に長期にわたる光照射で三次元架橋(ゲル化)が進みやすく、塗膜接着強度が低下する傾向にある。
また、本明細書中でいう「直鎖状に連続して結合した炭素数が3以上のグリコール」とは、二つのヒドロキシル基の間に含まれる連続した炭素数が3以上であるものを示し、たとえば、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、1,9−ノナンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,10−ドデカンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリシクロデカンジメタノール、ダイマージオールなどが挙げられる。これらのうち、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールは特に長期にわたる光照射で三次元架橋(ゲル化)が進みやすく、塗膜接着強度が低下する傾向にある。
本発明において、ポリエステル樹脂の共重合成分として、直鎖状に連続して結合した炭素数が3以上のジカルボン酸成分およびグリコール成分の共重合量が多いと接着剤層の三次元架橋の進む原因は明らかでないが、おそらく光照射によりメチレン基の水素引き抜き反応が起こり、活性ラジカルが発生しやすく、かつ、樹脂の比重が低くなるため、酸素透過性が大きくなり、自動酸化が進みやすくなるため、架橋が進行するものと予想される。そのように考えると、炭素数が3以上のジカルボン酸が少ないことが、長期にわたる光照射後の三次元架橋(ゲル化)が少なく、塗膜接着強度が優れることは上述のとおりであるが、より好ましくは炭素数4以上のジカルボン酸が、さらに好ましくは炭素数6以上のジカルボン酸が少ない方が良好な結果となるのは言うまでもなく、実験結果もそれを支持している。また、全く同様に、炭素数3以上のグリコールが少ないことが、長期にわたる光照射後の三次元架橋(ゲル化)が少なく、塗膜接着強度が優れることは上述のとおりであるが、より好ましくは炭素数4以上のグリコールが、さらに好ましくは炭素数6以上のグリコールが少ない方が良好な結果となるのは言うまでもなく、実験結果もそれを支持している。
本発明のポリエステル樹脂はまた、分子末端の一部が、塩基で中和されていないコハク酸であることが好ましい。分子末端の一部が塩基で中和されていないコハク酸であると、後述するように本発明のポリエステル樹脂の水分散体に水分散型イソシアネート系硬化剤を配合した際、ポリエステル樹脂の末端の水酸基と、イソシアネート系硬化剤が反応して架橋反応が進むが、末端の塩基で中和されていないコハク酸は、水とイソシアネートとの反応触媒として働き、系中に結果としてウレア結合体を生成し、主に塗布直後の接着強度を向上する効果がある。さらに充分にエージングされ、架橋反応が進むと、ウレタン結合とウレア結合による強力な架橋体が形成される。
なお、ポリエステル樹脂の分子末端に導入される酸として、フタル酸(無水物、以下同様)、トリメリット酸、ピロメリット酸などの芳香族酸が一般に知られるが、芳香族酸では触媒効果が大きく、系中に大量のウレアが発生してしまい、却って耐候性を減じてしまう可能性がある。またマレイン酸などの不飽和酸を導入すると、不飽和基が光酸化を受けやすく樹脂の劣化が著しくなってしまうことがある。また、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族酸も、構造上光による酸化を受けやすく劣化が激しい傾向にある。したがって、芳香族酸より酸性が弱く、光照射により発生するラジカルにより水素引抜を受け難いコハク酸を導入することが、耐候性に優れた接着剤層を得るのに有効である。
本発明のポリエステル樹脂における分子末端のコハク酸は、0.1〜5.0モル%であるのが好ましく、0.2〜4.0モル%であるのがより好ましく、0.3〜3.0モル%であるのがさらに好ましく、0.4〜2.5モル%であるのが特に好ましく、0.5〜2.0モル%であるのが最も好ましい。分子末端のコハク酸が0.1モル%未満であると、ウレア結合の生成が少なく、塗布直後の接着強度が低くなってしまう傾向にあり、また分子末端のコハク酸が5.0モル%を越えると、ポリエステル樹脂中に共重合されない、コハク酸モノマーが系中に残存し、接着強度を減じてしまい、かつポリエステルの水酸基末端を減じてしまうことから、イソシアネートによる架橋反応が不十分であり、接着剤層の機械的強度も低くなってしまう傾向にある。
本発明のポリエステル樹脂は、上述したようにジカルボン酸成分、グリコール成分の合計量をそれぞれ100モル%とするとき、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸が50モル%以上、グリコール成分としてトリエチレングリコールが20モル%以上共重合されているものであれば、その原料については特に制限されるものではなく、様々なものを使用することができる。
本発明のポリエステル樹脂に用いられるジカルボン酸としては、オルソフタル酸、1,5−ナフタル酸、2,6−ナフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族二塩基酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などが挙げられる。また多価カルボン酸成分としては、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などが挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂に用いられるグリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のジオールや、トリメチロールプロパン等の多価アルコールが使用できる。
本発明のポリエステル樹脂の組成及び組成比を決定する方法としては例えばポリエステル樹脂を重クロロホルム等の溶媒に溶解して測定する1H−NMRや13C−NMR、ポリエステル樹脂のメタノリシス後に測定するガスクロマトグラフィーによる定量などが挙げられる。これらのうち、1H−NMRが簡便であり好ましい。
本発明のポリエステル樹脂は、従来公知の種々の方法にて製造することができる。たとえば、上記のジカルボン酸およびジオール成分を150〜250℃でエステル交換後、減圧しながら230〜300℃で重縮合することにより、目的のポリエステル樹脂を得ることができる。
また分子末端にコハク酸を効率よく、かつ定量的に導入する方法としては、上記重縮合後、窒素雰囲気下で無水コハク酸を付加させる方法が有効である。
本発明のポリエステル樹脂は、その数平均分子量については特に制限されるものではないが、その下限が5000以上であるのが好ましく、7000以上であるのがより好ましい。数平均分子量の下限値が5000未満であると、接着剤として用いたときに接着剤層の凝集力が不足気味となってしまい、接着強度が低下してしまい傾向にある。また、本発明のポリエステル樹脂の数平均分子量の上限は、40000以下であるのが好ましく、30000以下であるのがより好ましく、25000以下であるのがさらに好ましい。数平均分子量の上限値が40000を越えると、後述する水分散体を製造することが難しくなってしまう傾向にある。なお上記数平均分子量は、ゲルパーミネーションクロマトグラフィを用いて、ポリスチレンを標準物質として測定することができる。
また本発明のポリエステル樹脂は、その比重についても特に制限されるものではないが、酸素透過速度を低くする観点から、1.26以上であるのが好ましく、1.27以上であるのがより好ましい。また、本発明のポリエステル樹脂における比重の上限は高ければ高い程よいが、あまり高すぎると水分散体を安定的に製造することが難しくなるため、好ましくは1.34未満であり、より好ましくは1.32未満である。
また、本発明のポリエステル樹脂のガラス転移温度の上限は、基材密着性を出すためには40℃以下であるのが好ましく、30℃以下であるのがより好ましく、20℃以下であるのがさらに好ましく、10℃以下であるのが特に好ましい。一方、本発明のポリエステル樹脂における比重の下限は低ければ低い程がよいが、あまり低すぎるとポリエステル樹脂および水分散体を安定的に製造することが難しくなるため、好ましくは−70℃以上、より好ましくは−50℃以上である。
また、本発明のポリエステル樹脂は、ウレタン、エポキシ、アクリルなどで変性されたものであってもよい。
後述するように本発明のポリエステル樹脂は、これを含む水分散体として供されるのが好ましいが、そのために、ポリエステル樹脂中に親水性を有する極性基が導入されたものであることが好ましい。このような親水性を有する極性基としては、たとえば、スルホン酸金属塩基、カルボキシル基、エーテル基、リン酸基などが挙げられるが、中でもポリエステルへ樹脂の導入が容易でかつ水分散化を容易にさせる能力の高いスルホン酸金属塩、カルボキシル基、エーテル基が好ましい。上記親水性を有する極性基は、単独または併用して、本発明のポリエステル樹脂に導入することができる。
スルホン酸金属塩基を分子内に導入する場合、たとえば、5−Naスルホイソフタル酸、5−アンモニウムスルホイソフタル酸、4−Naスルホイソフタル酸、4−メチルアンモニウムスルホイソフタル酸、2−Naスルホテレフタル酸、5−Kスルホイソフタル酸、4−Kスルホイソフタル酸、2−Kスルホテレフタル酸、Naスルホコハク酸等のスルホン酸アルカリ金属塩系またはスルホン酸アミン塩系化合物、スルホン酸Na塩含有ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物、スルホン酸K塩基含有ハイドロキノンアルキレンオキサイド付加物などを共重合することによって、ポリエステル樹脂の分子内に導入することができる。
カルボキシル基を分子内に導入する場合、導入方法としては、酸無水物を付加する方法のほか、カルボキシル基を有するビニルモノマーをポリエステルにグラフトする方法が挙げられる。この際、ポリエステル樹脂のジカルボン酸成分として、ダイマー酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸など不飽和結合を含むものを使用すると、グラフト効率が上がるため、特に好ましい。上記カルボキシル基を有するビニルモノマーとしては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などが挙げられ、この他にも、水/アミンに接して容易にカルボン酸となるマレイン酸無水物などをも包含する。かかるカルボキシル基を有するビニルモノマーとしては、上記した中から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。さらに、重合効率を上げるために、他の親水性を有しないビニルモノマー、たとえば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニルなどを共重合成分として用いてもよい。上記カルボキシル基を分子内に導入されたポリエステル樹脂は、未反応のカルボキシル基を、アミノ化合物、アンモニア、アルカリ金属などで中和される。
エーテル基を分子内に導入する場合、たとえば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物、ネオペンチルグリコールプロピレンオキサイド付加物などのエーテル結合含有グリコールを用いることによって、ポリエステル樹脂の分子内に導入することができる。
本発明においては、上述してきたような特徴を有する本発明のポリエステル樹脂を含む接着剤も提供する。本発明のポリエステル樹脂を接着剤として用いることで、ポリオレフィン系樹脂などの非極性基材を含めた各種基材に対する接着力に優れ、特に、屋外曝露での接着力低下、および着色の少ない接着剤を提供することができる。
本発明はまた、上述してきたいずれかのポリエステル樹脂を含む水分散体も提供する。本発明の水分散体は、従来公知の適宜の方法にて製造することができる。たとえば、上述した本発明のポリエステル樹脂を、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテルなどの沸点が水よりも高い有機溶剤に溶解した後に、温水を加え水分散させることで、製造することができる。また、ブチルセルソルブ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコールなどの極性溶剤と水との混合溶剤に、直接溶解/分散させて、水分散体を製造することもできる。また、水よりも沸点の低い溶媒を使用して溶解/分解させた系では、有機溶剤を溜去すれば、完全水系の水分散体を得ることができる。
本発明の水分散体は、硬化剤を加えられることで、接着剤として好適に使用される。本発明は、かかる水分散体と硬化剤とを含む接着剤も提供するものである。本発明の接着剤に用いられる硬化剤としては、メラミン系、ベンゾグアナミン系、イソシアネート系、オキサゾリン系、エポキシ系、フェノール系などの各種の硬化剤を使用することができるが、特に、イソシアネート系硬化剤を使用すると、低温での硬化が可能であり、被着体がオレフィン樹脂系の基材であっても、その接着強度を損なうことなく、高い接着力を得ることができる。
イソシアネート系硬化剤としては、芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートがあげられ、低分子化合物、高分子化合物のいずれを用いてもよい。たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタキシリレンジイソシアネンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートあるいはこれらのイソシアネート化合物の三量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などとを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物が挙げられる。
イソシアネート系硬化剤としてはブロック化イソシアネートであってもよい。イソシアネートブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペンタノールなどの第3級アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピルラクタムなどのラクタム類が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネートは、上記イソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて得られる。
本発明の接着剤において、高度の耐候性を実現するためには、使用するイソシアネート系硬化剤が脂肪族系であることが好ましい。またポリエステル樹脂水分散体と配合することから、配合後塗工液の使用可能時間を考慮すると、ブロックタイプまたは水分散型(イソシアネート化合物をポリエーテル等で変性したもの)のイソシアネート系硬化剤が好ましい。ブロックタイプのものは、ブロック化剤を除去するために、100℃以上の高温条件下に基材を保つことになり、OPP(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)などのオレフィン系樹脂で形成された基材には不適切であり、基材による使用制限を受けることから、水分散型が好ましい。ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体化合物のポリエチレングリコール変性品は、ポリエステル水分散体との相溶性が良好で、使用可能時間も長く、硬化塗膜も高い接着強度を示し、かつ高い耐候性、耐久性を示すため、特に好適である。
本発明の接着剤における水分散体とイソシアネート系硬化剤の配合量は、[NCO]/[OH](モル比)が、0.3〜40であるのが好ましく、0.5〜30であるのがより好ましく、0.7〜20であるのがさらに好ましく、0.9〜15であるのが特に好ましい。上記[NCO]/[OH]が0.3未満であると、架橋効果が不十分であり、充分な接着強度が得られない虞がある。また、上記[NCO]/[OH]が40を越えると、未反応のイソシアネート系硬化剤が系中に残り、耐候性、耐水性等の低下が起こるおそれがある。
非ブロック型のイソシアネート系硬化剤を使用した場合、ポリエステル由来のOH基との反応性が高く、水分散体に室温でエージングを施すことで、硬化塗膜を得ることができる。さらに熱をかけると、硬化反応が進行し、高い接着強力を得ることが出来る。ブロック型のイソシアネート系硬化剤を使用する場合、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上の加熱を施すのが好適である。
本発明の水分散体および接着剤は、各種増粘剤を使用することにより、作業性に適した粘性、粘度に調整することができる。増粘剤添加による系の安定性から、メチルセルロース、ポリアルキレングリコール誘導体などのノニオン性のもの、ポリアクリル酸塩、アルギン酸塩などのアニオン性のものが好ましい。
本発明の水分散体および接着剤は、各種表面張力調整剤を使用することにより、塗布性をさらに向上することができる。表面張力調整剤としては、たとえば、アクリル系、ビニル系、シリコーン系、フッ素系の表面張力調整剤などが例示され、特に制限されるものではないが、接着性を損なわないことから、上記中でもアクリル系、ビニル系の表面張力調整剤が好ましい。表面張力調整剤は、接着強度を損なわないために、樹脂に対して、好ましくは1wt%以下、より好ましくは0.5wt%以下の添加を制限すべきである。
また、本発明の水分散体および接着剤は、各種染料、顔料を用いて着色することができる。染料としては、たとえば、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料などが例示され、また、顔料としては、たとえば、カーボンブラック、酸化チタン、モリブデードオレンジ、ベンガラ、クロムグリーン、コバルトブルー、フタロシアニンブルーなどが例示される。中でも、耐候性、耐光性の観点から、顔料を用いて水分散体を着色するのが好ましい。
本発明の水分散体および接着剤は、各種紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤を添加することにより、さらに耐候性を向上させることができる。紫外線吸収効果、光安定効果をもつ化合物をポリエステル骨格に導入することで、耐光性は大幅に向上するが、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤のエマルジョン、及び水溶液を、ポリエステル樹脂水分散体に添加することによっても耐候性は向上する。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等各種有機系のもの、酸化亜鉛等無機系のもののいずれも使用可能である。また、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、フェノチアジン、ニッケル化合物等一般的にポリマー用のもの各種が使用可能である。光安定剤もポリマー用のもの各種が使用可能であるが、ヒンダードアミン系のものが有効である。
本発明をさらに詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明は実施例によってなんら限定されるものではない。尚、実施例に記載された測定値は次の方法によって測定したものである。
(1)初期接着強度
接着強度を測定サンプルの作製方法を以下に説明する。まず水分散体/硬化剤混液(ポリエステル樹脂:硬化剤=100:30[固形重量比]、硬化剤としてタケネートWD−730(三井武田ケミカル(株)製)を用いた)を、二軸延伸ポリプロピレンシート(OPP)(パイレン(東洋紡績(株)製)、厚み50μm)のコロナ面に5g/m2(乾燥後の重量)塗布した後、60℃×30秒間送風乾燥機で乾燥した。水分が無くなった状態で、塗布面に、上記と同じOPPコロナ面を貼り合せ、60℃、30Paでロールラミ(60cm/分)した。得られたサンプルを、室温6時間保存後、引張試験機(オリエンテック社製)にてT型接着強度を測定した。
(2)常態接着強度
上記(1)の方法で得られたサンプルを、48時間40℃でエージングした後、引張試験機にてT型接着強度を測定した。
(3)黄変試験
水分散体を、OPPコロナ面に5g/m2(乾燥重量)塗布した後、120℃×30分間送風乾燥機で乾燥した後、耐候性試験機アイスーパーUVテスターSUV−W151(岩崎電気株式会社製)で、紫外線照射(100mW/cm2、63℃、50%RH、45時間連続照射)後の塗膜の着色度合いを目視で判断した。
◎:良好。無色透明。
○:ごくわずかに黄変。
△:激しい黄変がみられる。
×:塗膜が劣化し、破断がみられる。
(4)耐候性(強度)試験
上記(1)で作成した接着強度測定用サンプルを、(3)の黄変試験と同等の条件で紫外線照射し、照射後の接着強度を測定した。
(5)ポリエステル樹脂組成
重クロロホルム溶媒中で核磁気共鳴分析計(NMR)ジェミニ−200(ヴァリアン社製)を用いて、1H−NMR分析を行なって決定した。
(6)ポリエステル樹脂分子量
テトラヒドロフランを溶離液としたゲルろ過浸透クロマトグラフィー(GPC)150c(ウォーターズ社製)を用いて、カラム温度35℃、流量1ml/分にてGPC測定を行なった結果から計算して、ポリスチレン換算の測定値を得た。ただし、カラムはshodex KF−802、804、806(昭和電工(株)製)を用いた。
(7)ポリエステル酸価
ポリエステル樹脂0.2gを20mlのクロロホルムに溶解し、0.1Nの水酸化カリウムエタノール溶液で、フェノールフタレインを指示薬として滴定し、樹脂106g当たりの当量(eq/106g)を求めた。
(8)ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)
ポリエステル樹脂のサンプル5mgをアルミニウム製サンプルパンに入れて密封し、示差走査熱量分析計(DSC)DSC−220(セイコーインスツルメンツ(株)製)を用いて、昇温速度20℃/分にて測定することにより求めた。
(9)ポリエステル樹脂の比重
気泡のないポリエステル樹脂を3mm×3mm×3mmの立方体に切断し、30℃に調整した塩化カルシウム水溶液中で測定した。ポリエステル樹脂が水溶液の液面から底面までの中間に留まるように塩化カルシウムの濃度を調整した後、塩化カルシウム水溶液の比重を比重計にて測定して、ポリエステル樹脂の比重とした。
実施例1
(1)ポリエステル樹脂の製造例
撹拌機、温度計、溜出用冷却器を装備した反応缶内に、イソフタル酸159重量部、5−Naスルホイソフタル酸12重量部、トリエチレングリコール135重量部、エチレングリコール37重量部、触媒としてテトラブチルチタネート0.1重量部、重合安定剤として酢酸ナトリウム0.2重量部、酸化防止剤としてイルガノックス1330(チバガイギー社製)2重量部を加え、170〜230℃で2時間エステル化反応を行った。エステル化反応終了後、反応系を230℃から270℃まで昇温する一方、系内をゆっくり減圧にしていき、60分間かけて270℃で5Torrとした。そしてさらに1Torr以下で30分間重縮合反応を行なった。重縮合反応終了後、窒素雰囲気下真空を破壊し、200℃で無水コハク酸1重量部加え30分間攪拌して付加反応を完了させ、ポリエステル樹脂(A)を得た。
ポリエステル樹脂(A)は、NMR分析の結果、ジカルボン酸成分はイソフタル酸96モル%、5−Naスルホイソフタル酸4モル%、ジオール成分はジエチレングリコール20モル%、トリエチレングリコール80モル%、末端付加酸成分はコハク酸1モル%の組成を有していた。その他の樹脂物性と併せて測定結果を表1に示す。
(2)水分散体製造例
攪拌機、温度計、還流用冷却器を装備した反応缶内にポリエステル樹脂(A)35重量部、イソプロピルアルコール18重量部、水47重量部を加え、約75℃で3時間攪拌することにより、水分散体(A−1)を得た。
水分散体(A−1)100重量部に対して、さらに、高分子紫外線吸収剤ULS−1700(一方社油脂工業株式会社製)0.3重量部、エマルション型ヒンダードアミン系光安定剤アデカスタブLX−335(旭電化工業株式会社製)0.04重量部添加し攪拌後、200メッシュナイロンフィルタで濾過することにより、水分散体(A−2)を得た。
この水分散体を用いて上記の方法を用いて接着剤としての特性を測定し、その結果を表1に示す。
Figure 2006213860
実施例2〜6
表1に示す原料を用いて実施例1と同様な方法でポリエステル樹脂(B)、(C)、(D)、(E)、(F)を合成し、水分散体(B−1)、(B−2)、(C−1)、(C−2)、(D−1)、(D−2)、(E−1)、(E−2)、(F−1)、(F−2)を作製した。評価結果を表1に示す。
比較例1〜5
表1に示す原料を用いて実施例1と同様な方法でポリエステル樹脂(G)、(H)、(I)、(J)、(K)を合成し、水分散体(G−1)、(G−2)、(H−1)、(H−2)、(I−1)、(I−2)、(J−1)、(J−2)、(K−1)、(K−2)を作製した。評価結果を表2に示す。
Figure 2006213860
比較例1〜3は、グリコール成分としてトリエチレングリコールが共重合されておらず、本発明の対象から外れる。
比較例4は、ジカルボン酸成分としてのイソフタル酸が30モル%未満であり、本発明の対象から外れる。
比較例5は、グリコール成分としてのトリエチレングリコールが20モル%未満であり、本発明の対象から外れる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (10)

  1. ジカルボン酸成分、グリコール成分の合計量をそれぞれ100モル%とするとき、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸が30モル%以上、グリコール成分としてトリエチレングリコールが20モル%以上共重合されていることを特徴とするポリエステル樹脂。
  2. ジカルボン酸成分の合計量を100モル%とするとき、テレフタル酸の共重合量が70モル%未満であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂。
  3. ジカルボン酸成分、グリコール成分の合計量をそれぞれ100モル%とするとき、直鎖状に連続して結合した炭素数が3以上のジカルボン酸成分が40モル%以下であり、かつ直鎖状に連続して結合した炭素数が3以上のグリコール成分が40モル%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル樹脂。
  4. 分子末端の一部が、塩基で中和されていないコハク酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
  5. コハク酸が0.1〜5.0モル%であることを特徴とする請求項4に記載のポリエステル樹脂。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂を含む水分散体。
  7. 接着剤として用いられることを特徴とする請求項6に記載の水分散体。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂を含む接着剤。
  9. 請求項6に記載の水分散体にさらに硬化剤を配合することを特徴とする請求項8に記載の接着剤。
  10. 硬化剤がイソシアネート系硬化剤であることを特徴とする請求項9に記載の接着剤。
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