JP2015103342A - 有機el素子封止用積層体 - Google Patents

有機el素子封止用積層体 Download PDF

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智雄 大久保
下口 睦弘
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睦弘 下口
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Abstract

【課題】 本発明では、接着力、ガスバリア性又は水蒸気バリア性を有し、ガス透過性及び透明性に優れる樹脂を主体とする接着剤層を有する有機EL素子封止用積層体を提供することにある。【解決手段】 官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)、官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(B)とを含有してなる接着剤層を有する有機EL素子用積層体の提供により、上記課題を解決する。また、該接着剤層には、板状無機化合物(C1)或いは350nm以下の波長の光を遮断し得る光遮断剤(C2)を含有してもよい。【選択図】 なし

Description

本発明は、酸素バリア性、又は水蒸気バリア性を有する有機EL素子封止用積層体に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は、互いに対向する一対の電極間に有機発光材料層が挟持された積層体構造を有し、この有機発光材料層に一方の電極から電子が注入されるとともに他方の電極から正孔が注入されることにより有機発光材料層内で電子と正孔とが結合して発光する。このように有機EL素子は自己発光を行うことから、バックライトを必要とする液晶表示素子等と比較して視認性がよく、薄型化が可能であり、しかも直流低電圧駆動が可能であるという利点を有しており、次世代ディスプレイとして着目されている。
しかし、有機EL素子を構成する有機発光材料や電極は、活性が高く化学的に不安定であるため、水分等による酸化により特性が劣化しやすく、大気中で駆動させると、発光特性が急激に劣化し寿命が短いという問題があった。そこで、一般的な有機EL素子では、有機EL素子の上に乾燥剤が設置されたガラス又は金属からなる蓋を被せ、その周辺を接着剤(封止剤)で封止することにより水分の浸入を遮断する構造が採られていた。この方式は、有機EL素子から発せられた光は蓋の反対側、即ち、有機EL素子の底部側から取り出されることからボトムエミッション方式とも呼ばれている。
近年、従来のボトムエミッション方式の有機EL素子に代わって、有機EL素子から発せられた光を上面側から取り出すトップエミッション方式の有機EL素子が注目されている。この方式は、開口率が高く、低電圧駆動となることから、長寿命化に有利であるという利点がある。
このようなトップエミッション方式の有機EL素子では、通常、積層体を2枚のガラス等の透明材料からなる防湿性基材により挟み込み、該防湿性基材間を充填剤で充填することにより封止している(例えば、特許文献1)。
しかしながら、このようなトップエミッション方式の有機EL素子では、光の取り出し方向を遮蔽してしまわないようにするために乾燥剤を配置するスペースがなく、充填剤で充填したとしても、また、特許文献1に示されるように充填剤中に吸湿性の高い層を設け防湿効果を高める方策を施しても充分な防湿効果が得られにくく、寿命が短くなるという問題があった。
また、ガスバリア材として広く知られているポリビニルアルコールやエチレン−ビニルアルコール共重合体を有機EL素子の封止膜の構成成分として使用する例が特許文献2に記載されているが、ポリビニルアルコールやエチレン−ビニルアルコール共重合体は高湿度下での水蒸気透過性は劣化するため、無機材料を併用して当面の欠点を補っても多湿の環境下においては長期間にわたる信頼性の発現は困難であった。
この為、有機EL素子封止材ではより高度な酸素バリア性、水蒸気バリア性が求められている。
特開2001−357973号公報 特開2006−218687号公報
これまでの積層体は、バリア性を発揮させるために無機薄膜層を有する積層体が多く、このような積層体は透明性に劣るため、有機EL素子封止用積層体としての用途に適合していなかった。
そこで、本発明者らは、積層体の接着剤層にバリア性を持たせれば、これらの課題が解決出来得ることに着眼し、本発明を完成させた。
即ち、本発明が解決しようとする課題は、接着力、ガスバリア性又は水蒸気バリア性を有し、透明性に優れる樹脂を主体とする接着剤層を有する有機EL素子封止用積層体を提供することにある。
本発明者らは、接着剤層として用いられる種々の樹脂組成物の検討を行い、官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)、官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(B)とを含有してなる接着剤層を有する有機EL素子封止用積層体の提供により、上記課題を解決出来ることを見出した。
また、該接着剤層には、板状無機化合物(C1)或いは350nm以下の波長の光を遮断し得る光遮断剤(C2)を含有してもよい。
本発明により、接着力、ガスバリア性、透明性に優れるポリエステル樹脂を主体とする接着剤層を有する有機EL素子封止用積層体を提供することが出来る。
[官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)]
本発明で使用する樹脂(A)は、官能基として1分子中に水酸基を有する樹脂であって、主骨格が、ポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテル、又はポリエーテルポリウレタンを含有してなることに特徴を有し、本発明の目的とする接着力、又はガスバリア性を発現させうるものであれば特に限定はない。
本発明で用いられるポリエステルは、公知の技術が使用でき、例えば多価アルコールと多価カルボン酸との反応により得ることが出来る。ポリエステルポリウレタンは、公知の技術が使用でき、例えばポリエステルポリオールとジイソシアネートとの反応により得ることが出来る。ポリエーテルは、公知の技術が使用でき、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフランなどのオキシラン化合物を、例えば水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの低分子量ポリオールを開始剤として重合して得られる。ポリエーテルポリウレタンは、公知の技術が使用でき、例えばポリエーテルとジイソシアネートとの反応により得ることが出来る。
(多価カルボン酸)
本発明の樹脂(A)は、多価カルボン酸成分として具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することが出来る。また、これらの酸無水物も使用することが出来る。中でも、バリア性を得る為にはコハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、オルトフタル酸、オルトフタル酸の酸無水物、イソフタル酸が好ましく、更にはオルトフタル酸及びその酸無水物がより好ましい。
(多価アルコール成分)
本発明で使用する多価アルコールは、具体的には、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、芳香族多価フェノールとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらの、エチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族を例示することが出来る。中でも酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟にならずに、酸素透過しにくいと推定されることから、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールが好ましく、更にはエチレングリコールがより好ましい。多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合反応は、公知慣用の方法で行うことが出来る。
本発明の2個以上の水酸基を有する樹脂(A)として、より具体的には、
・3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールにカルボン酸無水物又はポリカルボン酸を反応させることにより得られるポリエステルポリオール(A1)、
・重合性炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(A2)、
・グリセロール骨格を有するポリエステルポリオール(A3)、
・オルト配向多価カルボン酸成分と、多価アルコール成分を重縮合して得られるポリエステルポリオール(A4)、
・イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)、
等を挙げることが出来る。
以下、各ポリエステルポリオールについて説明する。
[3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールにカルボン酸無水物又はポリカルボン酸を反応させることにより得られるポリエステルポリオール(A1)]
本発明で使用するポリエステルポリオール(A1)は、3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(I)にカルボン酸無水物又は多価カルボン酸を反応させることにより得られる少なくとも1個のカルボキシ基と2個以上の水酸基を有するものである。3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(I)は多価カルボン酸または多価アルコールの一部を三価以上とすることで得られる。
ポリエステルポリオール(A1)の多価アルコール成分および多価アルコール成分として、好ましくは、オルトフタル酸及びその無水物を少なくとも1種以上含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分からなる3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(I)に、カルボン酸無水物又は多価カルボン酸を反応させることにより得られ、少なくとも1個のカルボキシ基と2個以上の水酸基を有するものである。
(オルトフタル酸及びその無水物)
オルトフタル酸及びその無水物は、骨格が非対称構造である。従って、得られるポリエステルの分子鎖の回転抑制が生じると推定され、これにより酸素バリア性に優れると推定している。また、この非対称構造に起因して非結晶性を示し、十分な基材密着性が付与され、接着力と酸素バリア性に優れると推定される。さらにドライラミネート接着剤として用いる場合には必須である溶媒溶解性も高いことで取扱い性にも優れる特徴を持つ。
(多価カルボン酸 その他の成分)
3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(I)を合成する際に、多価カルボン酸成分により分岐構造を導入する場合には、三価以上のカルボン酸を少なくとも一部に有する必要がある。これらの化合物としては、トリメリット酸およびその酸無水物、ピロメリット酸及びその酸無水物等があげられるが、合成時のゲル化を防ぐ為には三価以上の多価カルボン酸としては三価カルボン酸が好ましい。
これ以外の成分として本発明のポリエステルポリオール(I)は、本発明の効果を損なわない範囲において、他の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、不飽和結合含有多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することが出来る。中でも、コハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、イソフタル酸が好ましい。
(多価アルコール成分)
本発明で使用する多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。中でも、酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟にならずに、酸素透過しにくいと推定されることから、エチレングリコールを使用することが最も好ましい。
(多価アルコール その他の成分)
3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(I)を合成する際に、多価アルコール成分により分岐構造を導入する場合には、三価以上の多価アルコールを少なくとも一部に有する必要がある。これらの化合物としてはグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスルトール等があげられるが、合成時のゲル化を防ぐ為には三価以上の多価アルコールとしては三価アルコールが好ましい。
これ以外の成分として本発明では前述の多価アルコール成分は、本発明の効果を損なわない範囲において、他の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。具体的には、脂肪族ジオールとしては1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、芳香族多価フェノールとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらの、エチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族を例示することが出来る。
次に、本発明のポリエステルポリオール(I)とカルボン酸無水物又は多価カルボン酸との反応は、以下の様にして行う。
即ち、前記ポリエステルポリオール(I)に、多価カルボン酸又はその酸無水物をポリエステルポリオール(I)の水酸基と反応させることにより得ることが出来る。ポリエステルポリオール(I)と多価カルボン酸との比率は反応後の樹脂(A)の水酸基が2個以上必要であることより、多価カルボン酸はポリエステルポリオール(I)の水酸基の1/3以下と反応させることが好ましい。ここで用いられるカルボン酸無水物又は多価カルボン酸に制限はないが、多価カルボン酸とポリエステルポリオール(I)との反応時のゲル化を考慮すると、二価或いは三価のカルボン酸無水物を使用することが好ましい。二価のカルボン酸無水物としては無水コハク酸、無水マレイン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、無水フタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物等が使用でき、三価のカルボン酸無水物としてはトリメリット酸無水物等が使用出来る。
前記ポリエステルポリオール(A1)の水酸基価が20〜250であり、酸価が20〜200であることが好ましい。水酸基価はJIS−K0070に記載の水酸基価測定方法にて、酸価はJIS−K0070に記載の酸価測定法にて、測定することが出来る。水酸基価が20mgKOH/gより小さい場合、分子量が大きすぎる為に粘度が高くなり、良好な塗工適性が得られない。逆に水酸基価が250mgKOH/gを超える場合、分子量が小さくなりすぎる為、硬化塗膜の架橋密度が高くなりすぎ、良好な接着強度が得られない。酸価が20mgKOH/gより小さい場合、分子間の相互作用が小さくなり、良好な酸素バリア性、良好な初期凝集力が得られない。逆に酸価が200mgKOH/gを超える場合、樹脂(A)とイソシアネート化合物(B)との反応が早くなり過ぎ、良好な塗工適性が得られない。
[重合性炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(A2)]
また、本発明のポリエステルポリオール(A2)として、更に、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を有するものを挙げることが出来る。
本発明で使用するポリエステルポリオール(A2)は、多価カルボン酸と多価アルコールを反応することにより得られ、多価カルボン酸、多価アルコールの成分として重合性炭素−炭素二重結合をもつ成分を使用することにより、ポリエステルポリオール(A2)の分子内に重合性炭素−炭素二重結合を導入することが出来る。
(多価カルボン酸)
本発明のポリエステルポリオール(A2)は、多価カルボン酸成分として具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、脂環族多価カルボン酸としては、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することが出来る。また、これらの酸無水物も使用することが出来る。中でも、バリア性を得る為にはコハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、オルトフタル酸、オルトフタル酸の酸無水物、イソフタル酸が好ましく、更にはオルトフタル酸及びその酸無水物がより好ましい。
(重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価カルボン酸)
多価カルボン酸において重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価カルボン酸として無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びその酸無水物、3−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びその無水物等があげられる。中でも、炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟にならずに、酸素透過しにくいと推定されることから、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸が好ましい。
(多価アルコール成分)
本発明で使用する多価アルコールは、具体的には、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、芳香族多価フェノールとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらの、エチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族を例示することが出来る。中でも酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟にならずに、酸素透過しにくいと推定されることから、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールが好ましく、更にはエチレングクリコールがより好ましい。
(重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価アルコール)
多価アルコールにおいて重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価アルコールとして2−ブテン−1,4−ジオール等があげられる。
また、上記ポリエステルポリオール(A2)では、重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価カルボン酸、多価アルコールを使用することによりポリエステルポリオール(A2)に重合性二重結合を導入したが、水酸基を有するポリエステルポリオールと重合性二重結合を有するカルボン酸、又はカルボン酸無水物との反応であってもよい。この場合のカルボン酸としてはマレイン酸、無水マレイン酸、又はフマル酸等の重合性二重結合を有するカルボン酸、オレイン酸、ソルビン酸等の不飽和脂肪酸等を用いることが出来る。この場合のポリエステルポリオールとしては2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールで好ましいが、イソシアネート化合物との架橋により分子伸長を考慮すると、水酸基は3個以上有することがより好ましい。ポリエステルポリオールの水酸基が1又は2個の場合、重合性二重結合を有するカルボン酸を反応することにより得たポリエステルポリオール(A2)の水酸基が0又は1個となり、イソシアネート化合物(B)との反応による分子伸長が起こり難くなり、接着剤としてのラミネート強度やシール強度、耐熱性等の特性が得られ難くなる。
前記ポリエステルポリオール(A2)の水酸基価が20〜250mgKOH/g、酸価が0〜100mgKOH/gであることが好ましい。水酸基価はJIS−K0070に記載の水酸基価測定方法にて、酸価はJIS−K0070に記載の酸価測定法にて、測定することが出来る。水酸基価が20mgKOH/gより小さい場合、分子量が大きすぎる為に粘度が高くなり、良好な塗工適性が得られない。逆に水酸基価が250mgKOH/gを超える場合、分子量が小さくなりすぎる為、硬化塗膜の架橋密度が高くなりすぎ、良好な接着強度が得られない。
また、ポリエステルポリオール(A2)を構成する全モノマー成分100質量部に対して、重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分が、5〜60質量部であることに特徴を有する。
この範囲より低いと重合性二重結合間の架橋点が少なくなり、バリア性が得られ難くなり、高いと架橋点が多くなることにより硬化塗膜の柔軟性が著しく低下してラミネート強度が得られ難くなり好ましくない。
なお本願においてポリエステルポリオール(A2)中の重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分量(二重結合成分比率)は、式(a)を用いて計算する。
Figure 2015103342
ここでモノマーとは前記の多価カルボン酸、多価アルコールを指す。
また、本発明のポリエステルポリオール(A2)として、乾性油、又は半乾性油を挙げることが出来る。乾性油、又は半乾性油としては、炭素−炭素二重結合を有する公知慣用の乾性油、半乾性油等を挙げることが出来る。
[グリセロール骨格を有するポリエステルポリオール(A3)]
本発明のポリエステルポリオール(A3)として、更に、一般式(1)で表されるグリセロール骨格を有するポリエステルポリオールを挙げることが出来る。
Figure 2015103342
(式(1)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は一般式(2)
Figure 2015103342
(式(2)中、nは1〜5の整数を表し、Xは、置換基を有してもよい1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれるアリーレン基を表し、Yは炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す)で表される基を表す。但し、R〜Rのうち少なくとも一つは、一般式(2)で表される基を表す。)
前記一般式(1)において、R、R及びRの少なくとも1つは前記一般式(2)で表される基である必要がある。中でも、R、R及びR全てが前記一般式(2)で表される基であることが好ましい。
また、R、R及びRのいずれか1つが前記一般式(2)で表される基である化合物と、R、R及びRのいずれか2つが前記一般式(2)で表される基である化合物と、R、R及びRの全てが前記一般式(2)で表される基である化合物の、いずれか2つ以上の化合物が混合物となっていてもよい。
Xは、1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Xが置換基によって置換されている場合、1又は複数の置換基で置換されていてもよく、該置換基は、X上の、遊離基とは異なる任意の炭素原子に結合している。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基又はナフチル基等が挙げられる。
前記一般式(2)において、Yは、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、1,5−ペンチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、メチルペンチレン基、ジメチルブチレン基等の、炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す。Yは、中でも、プロピレン基、エチレン基が好ましくエチレン基が最も好ましい。
前記一般式(1)で表されるグリセロール骨格を有するポリエステル樹脂化合物は、グリセロールと、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸又はその無水物と、多価アルコール成分とを必須成分として反応させて得る。
カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸又はその無水物としては、オルトフタル酸又はその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸又はその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、及び2,3−アントラセンカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。これらの化合物は、芳香環の任意の炭素原子に置換基を有していても良い。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基又はナフチル基等が挙げられる。
また、多価アルコール成分としては炭素原子数2〜6のアルキレンジオールが挙げられる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール等のジオールを例示することが出来る。
なお、本願においてグリセロール骨格の含有量は、本願の酸素バリア性接着剤用有機樹脂組成物全固形分の質量に対して、前記一般式(1)におけるR〜Rを除いた残基(C=89.07)がどのくらい含まれるかを、式(b)を用いて計算する。
Figure 2015103342
P:グリセロール骨格を有するポリエステルポリオール(A3)を表す。
本発明では、高いバリア性を発現するため、酸素バリア性接着剤用有機樹脂組成物中に5質量%以上のグリセロール残基を有することに特徴がある。
(酸素バリア性接着剤用有機樹脂組成物固形分の質量算出方法)
酸素バリア性接着剤用樹脂組成物の質量部から希釈溶剤質量、硬化剤に含まれる揮発成分質量、無機成分を除く質量を酸素バリア性接着剤用有機樹脂全固形分の質量とする。
一方、ポリエステル成分の原料であるアシル基がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸又はその無水物は、骨格が非対称構造である。従って、得られるポリエステルの分子鎖の回転抑制が生じると推定され、これによりガスバリア性に優れると推定している。また、この非対称構造に起因して基材密着性を阻害する結晶性が低いために酢酸エチルやメチルエチルケトン等の溶剤にも高い溶解性を示し且つガスバリア性に優れると推定される。
(多価アルコール)
本発明で使用するポリエステルポリオール(A3)は、多価アルコールとして、炭素原子数2〜6のアルキレンジオール以外の多価アルコール成分を、本発明の効果を損なわない範囲において共重合させてもよい。具体的には、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリトール、ジペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール等の脂環族多価アルコール、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノール等の芳香族多価フェノール、或いはこれらのエチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族を例示することが出来る。
(多価カルボン酸)
本発明のポリエステルポリオール(A3)は、多価カルボン酸成分としてカルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸又はその無水物を必須とするが、本発明の効果を損なわない範囲において、他の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、不飽和結合含有多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェン酸及びその無水物、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することが出来る。
中でも、コハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタル酸、ジフェン酸が好ましい。
[オルト配向多価カルボン酸成分と、多価アルコール成分を重縮合して得られるポリエステルポリオール(A4)]
本発明で使用するポリエステルポリオール(A4)は、オルトフタル酸及びその無水物を少なくとも1種以上含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分からなる。特に、前記オルトフタル酸及びその無水物の、多価カルボン酸全成分に対する使用率が70〜100質量%であるポリエステルポリオールが好ましい。
(多価カルボン酸 その他の成分)
本発明のポリエステルポリオール(A4)は、多価カルボン酸成分として前記オルトフタル酸及びその無水物を必須とするが、本発明の効果を損なわない範囲において、他の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、不飽和結合含有多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することが出来る。中でも、コハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、イソフタル酸が好ましい。
多価アルコール成分及びその他の成分としては、前記のものを挙げることが出来る。
[イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)]
本発明の樹脂(A)は、下記一般式(3)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)を含むと更に好ましい。
Figure 2015103342
(一般式(3)中、R〜Rは各々独立して、−(CHn1−OH(但し
n1は2〜4の整数を表す)、又は一般式(4)
Figure 2015103342
(一般式(4)中、n2は2〜4の整数を表し、n3は1〜5の整数を表し、Xは1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Yは炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す)
で表される基を表す。但しR、R及びRの少なくとも1つは前記一般式(4)で表される基である)
前記一般式(3)において、−(CHn1−で表されるアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状でもよい。n1は、中でも2又は3が好ましく、2が最も好ましい。
前記一般式(4)において、n2は2〜4の整数を表し、n3は1〜5の整数を表す。
Xは1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。
Xが置換基によって置換されている場合、1または複数の置換基で置換されていてもよく、該置換基は、X上の、遊離基とは異なる任意の炭素原子に結合している。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基またはナフチル基等が挙げられる。
Xの置換基は、中でもヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基、が好ましくヒドロキシル基、フェノキシ基、シアノ基、ニトロ基、フタルイミド基、フェニル基が最も好ましい。
前記一般式(4)において、Yは、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、1,5−ペンチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、メチルペンチレン基、ジメチルブチレン基等の、炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す。Yは、中でも、プロピレン基、エチレン基が好ましくエチレン基が最も好ましい。
前記一般式(3)において、R、R及びRの少なくとも1つは前記一般式(4)で表される基である。中でも、R、R及びR全てが前記一般式(4)で表される基であることが好ましい。
また、R、R及びRのいずれか1つが前記一般式(4)で表される基である化合物と、R、R及びRのいずれか2つが前記一般式(4)で表される基である化合物と、R、R及びRの全てが前記一般式(4)で表される基である化合物の、いずれか2つ以上の化合物が混合物となっていてもよい。
前記一般式(3)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)は、イソシアヌル環を有するトリオールと、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物と、多価アルコール成分とを必須成分として反応させて得る。
イソシアヌル環を有するトリオールとしては、例えば、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸等のイソシアヌル酸のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
また、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物としては、オルトフタル酸またはその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸またはその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、及び2,3−アントラセンカルボン酸またはその無水物等が挙げられる。これらの化合物は、芳香環の任意の炭素原子に置換基を有していても良い。
該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基またはナフチル基等が挙げられる。
また、多価アルコール成分としては炭素原子数2〜6のアルキレンジオールが挙げられる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール等のジオールを例示することが出来る。
中でも、イソシアヌル環を有するトリオール化合物として1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、または1,3,5−トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸を使用し、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物としてオルトフタル酸無水物を使用し、多価アルコールとしてエチレングリコールを使用したイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール化合物が、酸素バリア性や接着性に特に優れ好ましい。
イソシアヌル環は高極性であり且つ3官能である。従って系全体を高極性化させることができ、且つ、架橋密度を高めることが可能である。このような観点からイソシアヌル環を接着剤樹脂全固形分に対し5質量%以上含有することが好ましい。
イソシアヌル環を有する本発明の接着剤が、酸素バリア性とドライラミネート接着性とを担保出来る理由としては次のように推定している。
イソシアヌル環は高極性であり、且つ水素結合を形成しない。一般に接着性を高める手法として、水酸基、ウレタン結合、ウレイド結合、アミド結合などの高極性の官能基を配合させる方法が知られているが、これらの結合を有する樹脂は分子間水素結合を形成しやすく、ドライラミネート接着剤に良く使用される酢酸エチル、2−ブタノン溶剤への溶解性を損ねてしまうことがあるが、イソシアヌル環を有するポリエステル樹脂は該溶解性を損なわないので、容易に希釈可能である。
また、イソシアヌル環は3官能であるため、イソシアヌル環を樹脂骨格の中心とし、且つその分岐鎖に特定の構造のポリエステル骨格を有するポリエステルポリオール化合物は高い架橋密度を得ることが出来る。架橋密度を高めることで、酸素等のガスが通過する隙間を減らすことが出来ると推定される。このように、イソシアヌル環は分子間水素結合を形成せずに高極性であり且つ高い架橋密度が得られるので、酸素バリア性とドライラミネート接着性とを担保出来ると推定している。
なお、本願においてイソシアヌル環の含有量は、本願の接着剤樹脂全固形分の質量に対して、前記一般式(3)におけるR〜Rを除いた残基(C=126.05)がどのくらい含まれるかを、式(c)を用いて計算する。
Figure 2015103342
P:イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)を表す。
(酸素バリア性接着剤用樹脂組成物有機全固形分の質量算出方法)
酸素バリア性接着剤用樹脂組成物の質量部から希釈溶剤質量、硬化剤に含まれる揮発成分質量、無機成分を除く質量を酸素バリア性接着剤用有機樹脂全固形分の質量とする。
イソシアヌル環を有するポリエステルポリオールは、公知のポリエステルの製造方法により得ることが出来る。具体的には、触媒共存下、反応温度200〜220℃で、生成する水を系外へ取り除きながら反応させる製造方法にて合成出来る。
具体的な一例を示すと、原材料として用いるイソシアヌル環を有するトリオールと、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物と、多価アルコール成分を一括して仕込んだ後、攪拌混合しながら昇温し、脱水縮合反応させる。JIS−K0070に記載の酸価測定法にて1mgKOH/g以下、同じくJIS−K0070に記載の水酸基価測定方法にて得られる水酸基価ZmgKOH/gが下記式(d)の右辺の数値(mgKOH/g)の±5%以内に入るまで反応を継続することで目的とするポリエステルポリオールを得ることが出来る。
Figure 2015103342
(式(d)中、Mnは所定の3官能ポリエステル樹脂の設定数平均分子量を表す。)
或いは、各々の原料を多段階に分けて反応させてもよい。また、反応温度にて揮発してしまったジオール成分を追加しながら、水酸基価を±5%以内に入るように調製してもよい。
反応に用いられる触媒としては、モノブチル酸化錫、ジブチル酸化錫等錫系触媒、テトラ−イソプロピル−チタネート、テトラ−ブチル−チタネート等のチタン系触媒、テトラ−ブチル−ジルコネート等のジルコニア系触媒等の酸触媒が挙げられる。エステル反応に対する活性が高い、テトラ−イソプロピル−チタネート、テトラ−ブチル−チタネート等の上記チタン系触媒と上記ジルコニア触媒を組み合わせて用いることが好ましい。前記触媒量は、使用する反応原料全質量に対して1〜1000ppm用いられ、より好ましくは10〜100ppmである。1ppmを下回ると触媒としての効果が得られにくく、1000ppmを上回ると後のウレタン化の反応を阻害する傾向がある。
ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の活性水素原子を2個有する化合物の1種または2種以上を開始剤としてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、シクロヘキシレン、等のモノマーの1種又は2種以上を常法により付加重合したものを挙げることができ、必要に応じて炭素数1〜4のアルキルアルコールを開始剤として、エチレンオキサイドを必須成分とし、更にプロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、シクロヘキシレン等のモノマーのうち少なくとも1種とブロックあるいはランダム共重合することにより得られるポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルを併用してもよい。更にポリエーテルポリオールとしては ポリテトラメチレングリコールも挙げられる。ここにおいてポリテトラメチレングリコールとは、テトラヒドラフランの開環重合によって得られるポリオールのことである。ポリテトラメチレングリコールの合成の際にテトラヒドロフランの一部をエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドで置換した類似化合物を使用すること、若しくはポリテトラメチレングリコールと併用することも可能である。
これらの樹脂(A)の数平均分子量は450〜5000であると接着能と酸素バリア能とのバランスに優れる程度の架橋密度が得られるため特に好ましい。より好ましくは数平均分子量が500〜3000である。また硬化剤としては、後述のポリイソシアネートが最も好ましく、適度な反応時間を付与でき、接着強度と酸素バリア能に特に優れる。分子量が450より小さい場合、塗工時の接着剤の凝集力が小さくなりすぎ、ラミネート時にフィルムがズレたり、貼り合せたフィルムが浮き上がるといった不具合が起こり、逆に分子量が5000よりも高い場合、塗工時の粘度が高くなり過ぎて塗工が出来ないことや、粘着性が低い事よりラミネートができないといった不具合が発生する。また、数平均分子量は得られた水酸基価と設計上の水酸基の官能基数から計算により求めた。
本発明で使用する樹脂(A)は、ガラス転移温度が−30℃〜80℃の範囲が好ましい。より好ましくは0℃〜60℃である。更に好ましくは25℃〜60℃である。ガラス転移温度が80℃よりも高すぎる場合、室温付近でのポリエステルポリオールの柔軟性が低くなることにより、基材への密着性が劣ることで接着力が低下するおそれがある。一方−30℃よりも低すぎる場合、常温付近でのポリエステルポリオールの分子運動が激しいことにより十分な酸素バリア性が出ないおそれがある。
更に樹脂(A)をジイソシアネート化合物との反応によるウレタン伸長により数平均分子量1000〜15000としたポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオールを接着剤として用いても良い。該ポリオールには一定以上の分子量成分とウレタン結合とが存在するために、優れた酸素バリア性を持つ上、初期凝集力に優れ、ラミネート時に使用する接着剤としてさらに優れる。また、樹脂(A)とジイソシアネート化合物における水酸基とイソソアネート基の比率をイソシアネート過剰とすることで、末端をイソシアネート基とすることが出来、これを硬化剤として使用してもよい。
(接着剤 硬化剤)
本発明で使用する硬化剤は、前記樹脂(A)の水酸基と反応しうる硬化剤であれば特に限定はなく、ジイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物やエポキシ化合物等の公知の硬化剤を使用出来る。中でも、接着性や耐レトルト性の観点から、ポリイソシアネート化合物を使用することが好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート化合物があり、低分子化合物、高分子化合物のいずれでもよい。たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート或いはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、メタキシリレンアルコール、1,3−ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4−ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メタキシリレンジアミンなどの低分子活性水素化合物およびそのアルキレンオキシド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られるアダクト体が挙げられる。
イソシアネート化合物としてはブロック化イソシアネートであってもよい。イソシアネートブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなそのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペンタノール、などの第3級アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピロラクタムなどのラクタム類が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤とを公知慣用の適宜の方法より付加反応させて得られる。
中でも、良好な酸素バリア性を得る為にはキシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましく、メタキシリレンジイソシアネート、メタ水素化キシリレンジイソシアネートが最も好ましい。
本発明の樹脂(A)とイソシアネート化合物(B)との硬化塗膜のガラス転移温度が−30℃〜80℃の範囲が好ましい。より好ましくは0℃〜70℃である。更に好ましくは25℃〜70℃である。ガラス転移温度が80℃よりも高い場合、室温付近での硬化塗膜の柔軟性が低くなることにより、基材への密着性が劣ることで接着力が低下するおそれがある。一方−30℃よりも低い場合、常温付近での硬化塗膜の分子運動が激しいことにより十分な酸素バリア性が出ないおそれや、凝集力不足による接着力低下のおそれがある。
また、本発明で用いる樹脂(A)の末端にカルボン酸が残存した場合には、エポキシ化合物を硬化剤として用いることが出来る。エポキシ化合物としてはビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることが出来る。
エポキシ化合物を硬化剤として用いる場合には、硬化を促進する目的で汎用公知のエポキシ硬化促進剤を本発明の目的である酸素バリア性が損なわれない範囲で適宜添加してもよい。
中でも、硬化剤が芳香族環を有するポリイソシアネート化合物であることが好ましく、前記メタキシレン骨格を含むポリイソシアネート化合物であると、ウレタン基の水素結合だけでなく芳香環同士のπ−πスタッキングによって酸素バリア性を向上させることが出来るという理由から好ましい。
前記メタキシレン骨格を含むポリイソシアネート化合物としては、キシリレンジイソシアネートの3量体、アミンとの反応により合成されるビューレット体、アルコールと反応してなるアダクト体があるが、3量体、ビューレット体と比べ、ポリイソシアネート化合物のドライラミネート接着剤に用いられる有機溶剤への溶解性が得られやすいという理由からアダクト体がより好ましい。アダクト体としては、上記の低分子活性水素化合物の中から適宜選択されるアルコールと反応してなるアダクト体が使用出来るが、中でも、トリメチロールプロパン、グリセロール、トリエタノールアミン、メタキシレンジアミンのエチレンオキシド付加物とのアダクト体が特に好ましい。
前記樹脂(A)と前記硬化剤とは、樹脂(A)と硬化剤との割合が樹脂(A)の水酸基と硬化剤の反応成分とが1/0.5〜1/10(当量比)となるように配合することが好ましく、より好ましくは1/1〜1/5である。該範囲を超えて硬化剤成分が過剰な場合、余剰な硬化剤成分が残留することで接着後に接着層からブリードアウトするおそれがあり、一方、硬化剤成分が不足の場合には接着強度不足のおそれがある。
重合性炭素−二重結合の重合を促進する為の触媒として公知の重合触媒を使用することが出来る。重合触媒としては遷移金属錯体があげられる。遷移金属錯体は、重合性二重結合を酸化重合させる能力を備える化合物であれば特に限定しないが、種々の金属或いはその錯体を用いることが出来る。例えば、コバルト、マンガン、鉛、カルシウム、セリウム、ジルコニウム、亜鉛、鉄、銅等の金属と、オクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、ステアリン酸、樹脂酸、トール油脂肪酸、桐油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、大豆油脂肪酸等との塩を用いることが出来る。遷移金属錯体は樹脂(A)に対して0〜10質量部が好ましく、より好ましくは0〜3質量部である。
前記硬化剤は、その種類に応じて選択された公知の硬化剤或いは促進剤を併用することも出来る。例えば接着促進剤としては、加水分解性アルコキシシラン化合物等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系等のカップリング剤、エポキシ樹脂等が挙げられる。シランカップリング剤やチタネート系カップリング剤は、各種フィルム材料に対する接着剤を向上させる意味でも好ましい。
(接着剤 その他の成分)
本発明の接着剤は、接着力および酸素バリア性を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機充填剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤等が例示出来る。
(板状無機化合物(C1))
本発明の接着剤用樹脂組成物では、板状無機化合物(C1)を含有することに特徴を有する。本発明に用いられる板状無機化合物(C1)は、接着剤用樹脂組成物を硬化させてなる接着剤のラミネート強度と酸素バリア性、遮光性を向上させる効果を有する。
本発明で用いられる板状無機化合物(C1)は形状が板状であることにより、特にラミネート強度とバリア性が向上する特徴がある。板状無機化合物(C1)の層間の電荷はバリア性に直接大きく影響しないが、樹脂組成物に対する分散性が、イオン性無機化合物、或いは水に対して膨潤性無機化合物では大幅に劣り、添加量を増加させると樹脂組成物の増粘やチキソ性となることより塗工適性が課題となる。これに対して、無電荷(非イオン性)、或いは水に対して非膨潤性の場合は、添加量を増加させても、増粘やチキソ性となり難く塗工適性が確保出来る。本発明で使用される板状無機化合物(C1)としては、例えば、含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物等)、カオリナイト−蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴライト、クリソタイル等)、パイロフィライト−タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライ等)、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等)、バーミキュライト族粘土鉱物(バーミキュライト等)、雲母又はマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等)、緑泥石族(クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等)、ハイドロタルサイト、板状硫酸バリウム、ベーマイト、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらの鉱物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよい。無機層状化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用される。
また、本発明で用いられる板状無機化合物(C1)は、層間電化を持たない非イオン性であることが好ましい。
このような本発明で使用される板状無機化合物(C1)としては、例えば、カオリナイト−蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴライト、クリソタイル等)、パイロフィライト−タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライ等)等を挙げることが出来る。
また、本発明で用いられる板状無機化合物(C1)は、水に対して非膨潤性であることが好ましい。
このような本発明で使用される板状無機化合物(C1)としては、例えば、カオリナイト−蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴライト、クリソタイル等)、パイロフィライト−タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライ等)、雲母又はマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等)、緑泥石族(クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等)、ハイドロタルサイト、板状硫酸バリウム等を挙げることが出来る。
本発明での平均粒径とは、ある板状無機化合物(C1)の粒度分布を光散乱式測定装置で測定した場合の出現頻度が最も高い粒径を意味する。本発明で用いる板状無機化合物(C1)での平均粒径は特に限定はないが、好ましくは0.1μm以上であり、更に好ましくは1μm以上である。平均粒径が0.1μm以下であると、長辺の長さが短いことにより、酸素分子の迂回経路が長くならずに酸素バリア能を向上させにくい問題や接着力を向上させにくい問題が生じる。平均粒径の大きい側は特に限定されない。塗工の方法により大きな板状無機化合物(C1)を含有すると塗工面にスジ等の欠陥が生じる場合は、好ましくは平均粒径100μm以下、更に好ましくは20μm以下の材料を用いると良い。
本発明で使用される板状無機化合物(C1)のアスペクト比は酸素の迷路効果によるバリア能の向上のためには高い方が好ましい。具体的には3以上が好ましく、更に好ましくは10以上、最も好ましくは40以上である。
(350nm以下の波長の光を遮断し得る光遮断剤(C2))
本発明では、板状無機化合物(C1)の他に、350nm以下の波長の光を遮断し得る光遮断剤(C2)を使用することも出来る。
350nm以下の波長の光を遮断し得る光遮断剤(C2)としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム等、カーボンブラック、各種顔料、染料等、ベンゾフェノン系、オキシベンゾン、ベンゾイルメタン系、ブチル-メトキシベンゾイルメタン、ベンゾトリアゾール系等のUVA遮断剤、桂皮酸系、パラメトキシケイ皮酸2 エチルヘキシル、パラアミノ安息香酸系、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、カンフル系、メチルベンジデリンカンフル等の有機系紫外線遮断剤等である。
光遮断剤の添加量としては、樹脂に対して0.1〜 30質量%含まれるのが好ましい。上記の光遮断剤の添加量が、0.1質量% 未満であると、光遮断性の機能を発現できない。一方、30質量%を超えて使用しても光遮断性の大幅な向上がみられず、ガスバリア性を損なう可能性があり好ましくない。
上記光遮断剤としては、具体的には例えば、ベンゾフェノン系の、SEESORB106(シプロ化成)、SEESORB107(シプロ化成)、2,2’−p−フェニレンビス(3,1−オキサジン−4−オン)、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシフェノール、ベンゾトリアゾール系のTINUVIN PS(BASF社)、TINUVIN99−2(BASF)、TINUVIN384−2(BASF社)、TINUVIN900(BASF)、TINUVIN928(BASF)、TINUVIN1130(BASF)、ヒドロキシフェニルトルアジン系のTINUVIN400(BASF)、TINUVIN405(BASF)、TINUVIN460(BASF)、TINUVIN477(BASF)、TINUVIN479(BASF)、SEESORB701(シプロ化成)、SEESORB707(シプロ化成)、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α’−ジメチルベンジン)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシフェノール等の光遮断剤を使用することが出来る。
本発明の板状無機化合物(C1)及び350nm以下の波長の光を遮断し得る光遮断剤(C2)は、これらを併用しても、又はどちらか一方を用いてもよい。
本発明では樹脂(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、及び板状無機化合物(C1)或いは350nm以下の波長の光を遮断し得る光遮断剤(C2)の総質量を100質量部とした場合、板状無機化合物(C1)或いは350nm以下の波長の光を遮断し得る光遮断剤(C2)の含有率は、特に限定はないが5〜50質量部であることが好ましい。5質量部以下の場合はバリア能が向上しにくく、50質量部以上では塗工表面の粘着性が低下することによりラミネート操作がしにくくなったり、接着力が不十分になる可能性があるためである。
板状無機化合物(C1)或いは350nm以下の波長の光を遮断し得る光遮断剤(C2)の含有率(配合物のPWC)は下記式(e)により求めることが出来る。
Figure 2015103342
但し、上記式における添加化合物は、板状無機化合物(C1)或いは350nm以下の波長の光を遮断し得る光遮断剤(C2)を表す。
本発明で使用される板状無機化合物(C1)或いは350nm以下の波長の光を遮断し得る光遮断剤(C2)を樹脂(A)或いは酸素バリア性接着剤樹脂組成物に分散させる方法としては公知の分散方法が利用出来る。例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントコンディショナー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、ナノミル、SCミル、ナノマイザー等を挙げることができ、更により好ましくは、高い剪断力を発生させることの出来る機器として、ヘンシェルミキサー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサー、二本ロール、三本ロール等が上げられる。これらのうちの1つを単独で用いてもよく、2種類以上装置を組み合わせて用いてもよい。
また、接着剤層の耐酸性を向上させる方法として公知の酸無水物を添加剤として併用することも出来る。酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、コハク酸無水物、ヘット酸無水物、ハイミック酸無水物、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドラフタル酸無水物、テトラプロムフタル酸無水物、テトラクロルフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタリンテトラカルボン酸2無水物、5−(2,5−オキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、スチレン無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
また、必要に応じて、更に酸素捕捉機能を有する化合物等を添加してもよい。酸素捕捉機能を有する化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。
また、塗布直後の各種フィルム材料に対する粘着性を向上させるために、必要に応じてキシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、樹脂(A)と硬化剤の総量100質量部に対して0.01〜5質量部の範囲が好ましい。
また、重合性二重結合を反応させる方法として活性エネルギー線を使用することも出来る。活性エネルギー線としては公知の技術が使用でき、電子線、紫外線、或いはγ線等の電離放射線等を照射して硬化させることが出来る。紫外線で硬化させる場合、高圧水銀灯、エキシマランプ、メタルハライドランプ等を備えた公知の紫外線照射装置を使用することが出来る。
紫外線を照射して硬化させる場合には、必要に応じて、紫外線の照射によりラジカル等を発生する光(重合)開始剤を樹脂(A)100質量部に対して0.1〜20質量部程度添加することが好ましい。
ラジカル発生型の光(重合)開始剤としては、ベンジル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等の水素引き抜きタイプや、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルフェニルケトン等の光開裂タイプが挙げられる。これらの中から単独或いは複数のものを組み合わせて使用することが出来る。
(接着剤の形態)
本発明の接着剤は、溶剤型又は無溶剤型のいずれの形態であってもよい。溶剤型の場合、溶剤はポリエステルポリオール及び硬化剤の製造時に反応媒体として使用してもよい。更に塗装時に希釈剤として使用される。使用出来る溶剤としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミド等が挙げられる。これらのうち通常は酢酸エチルやメチルエチルケトンを使用するのが好ましい。また、無溶剤で使用する場合は必ずしも有機溶剤に可溶である必要は無いと考えられるが、合成時の反応釜の洗浄やラミネート時の塗工機等の洗浄を考慮すると、有機溶剤に対する溶解性が必要である。
本発明の接着剤は、基材フィルム等に塗工して使用することが出来る。塗工方法としては特に限定はなく公知の方法で行えばよい。例えば粘度が調整出来る溶剤型の場合は、グラビアロール塗工方式等で塗布することが多い。また無溶剤型で、室温での粘度が高くグラビアロール塗工が適さない場合は、加温しながらロールコーターで塗工することも出来る。ロールコーターを使用する場合は、本発明の接着剤の粘度が500〜2500mPa・s程度となるように室温〜120℃程度まで加熱した状態で、塗工することが好ましい。
本発明の接着剤は、酸素バリア性接着剤として、ポリマー、紙、金属などに対し、酸素バリア性を必要とする各種用途の接着剤として使用出来る。
以下具体的用途の1つとしてフィルムラミネート用接着剤について説明する。
本発明の接着剤は、フィルムラミネート用接着剤として使用出来る。ラミネートされた積層フィルムは、酸素バリア性に優れるため、酸素バリア性積層フィルムとして使用出来る。
本発明で使用する積層用のフィルムは、特に限定はなく、所望の用途に応じた熱可塑性樹脂フィルムを適宜選択することが出来る。例えば食品包装用としては、PETフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルム(LLDPE:低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム)やポリプロピレンフィルム(CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム等が挙げられる。これらは延伸処理を施してあってもよい。延伸処理方法としては、押出成膜法等で樹脂を溶融押出してシート状にした後、同時二軸延伸或いは逐次二軸延伸を行うことが一般的である。また逐次二軸延伸の場合は、はじめに縦延伸処理を行い、次に横延伸を行うことが一般的である。具体的にはロール間の速度差を利用した縦延伸とテンターを用いた横延伸を組み合わせる方法が多く用いられる。但し、接着剤成分としてポリエステルポリオール(A2)を使用した接着剤の両側に酸素バリア性の高い透明蒸着フィルム等を使用した場合、接着剤成分のポリエステルポリオール(A2)の重合性二重結合の重合が阻害され、良好なバリア性が発現しない場合がある。従って、接着剤成分としてポリエステルポリオール(A2)を使用する際は酸素バリア性積層フィルムの酸素バリア性としては少なくとも一種のラミネートフィルムの酸素透過率が0.1cc/m・day・atm以上であることが好ましい。
本発明の接着剤は、同種または異種の複数の樹脂フィルムを接着してなる積層フィルム用の接着剤として好ましく使用出来る。樹脂フィルムは、目的に応じて適宜選択すればよいが、例えば包装材として使用する際は、最外層をPET、OPP、ポリアミドから選ばれた熱可塑性樹脂フィルムを使用し、最内層を無延伸ポリプロピレン(以下CPPと略す)、低密度ポリエチレンフィルム(以下LLDPEと略す)から選ばれる熱可塑性樹脂フィルムを使用した2層からなる複合フィルム、或いは、例えばPET、ポリアミド、OPPから選ばれた最外層を形成する熱可塑性樹脂フィルムと、OPP、PET、ポリアミドから選ばれた中間層を形成する熱可塑性樹脂フィルム、CPP、LLDPEから選ばれた最内層を形成する熱可塑性樹脂フィルムを使用した3層からなる複合フィルム、さらに、例えばOPP、PET、ポリアミドから選ばれた最外層を形成する熱可塑性樹脂フィルムと、PET、ナイロンから選ばれた第1中間層を形成する熱可塑製フィルムとPET、ポリアミドから選ばれた第2中間層を形成する熱可塑製フィルム、LLDPE、CPPから選ばれた最内層を形成する熱可塑性樹脂フィルムを使用した4層からなる複合フィルムは、酸素バリア性フィルムとして、食品包装材として好ましく使用出来る。
また、フィルム表面には、膜切れやはじきなどの欠陥のない接着層が形成されるように必要に応じて火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理を施してもよい。
前記熱可塑性樹脂フィルムの一方に本発明の接着剤を塗工後、もう一方の熱可塑性樹脂フィルムを重ねてラミネーションにより貼り合わせることで、本発明の酸素バリア性積層フィルムが得られる。ラミネーション方法には、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、押出しラミネーション等公知のラミネーションを用いることが可能である。
ドライラミネーション方法は、具体的には、基材フィルムの一方に本発明の接着剤をグラビアロール方式で塗工後、もう一方の基材フィルムを重ねてドライラミネーション(乾式積層法)により貼り合わせる。ラミネートロールの温度は室温〜60℃程度が好ましい。
また、ノンソルベントラミネーションは基材フィルムに予め室温〜120℃程度に加熱しておいた本発明の接着剤を室温〜120℃程度に加熱したロールコーターなどのロールにより塗布後、直ちにその表面に新たなフィルム材料を貼り合わせることによりラミネートフィルムを得ることが出来る。ラミネート圧力は、10〜300kg/cm程度が好ましい。
押出しラミネート法の場合には、基材フィルムに接着補助剤(アンカーコート剤)として本発明の接着剤の有機溶剤溶液をグラビアロールなどのロールにより塗布し、室温〜140℃で溶剤の乾燥、硬化反応を行なった後に、押出し機により溶融させたポリマー材料をラミネートすることによりラミネートフィルムを得ることが出来る。溶融させるポリマー材料としては低密度ポリエチレン樹脂や直線状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂などのポリオレフィン系樹脂が好ましい。
また、本発明の酸素バリア性積層フィルムは、作製後エージングを行うことが好ましい。エージング条件は、硬化剤としてポリイソシアネートを使用する場合であれば、室温〜80℃で、12〜240時間の間であり、この間に接着強度が生じる。
本発明の接着剤は高い酸素バリア性を有することを特徴としていることから、該接着剤により形成されるラミネートフィルムは、PVDCコート層やポリビニルアルコール(PVA)コート層、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム層、メタキシリレンアジパミドフィルム層、アルミナやシリカなどを蒸着した無機蒸着フィルム層などの一般に使用されているガスバリア性材料を使用することなく非常に高いレベルのガスバリア性が発現する。
本発明では、さらに高いバリア機能を付与するために、必要に応じてアルミニウム等の金属、或いはシリカやアルミナ等の金属酸化物の蒸着層を積層したフィルムや、ポリビニルアルコールや、エチレン・ビニールアルコール共重合体、塩化ビニリデン等のガスバリア層を含有するバリア性フィルムを併用してもよい。
また、本発明の積層体は、前記酸素バリア性のみならず、水蒸気バリア性をも有し、水蒸気バリア性を有する積層体においても、上記酸素バリア性積層体に関する記載を適用することが出来る。
本発明の積層体は、官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)、官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(B)とを含有してなる接着剤層を有し、当該接着剤層は、接着力が強く、酸素又は水蒸気バリア性を有するので、有機EL素子封止用積層体として用いることが出来る。
次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明する。例中断りのない限り、「部」「%」は質量基準である。
(製造例1)樹脂(A):無水フタル酸とエチレングリコールとからなるポリエステルポリオールEGoPA600の製造
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸148.1部、エチレングリコール84.2部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.03部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を205℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量600の非晶性ポリエステルポリオールを得た。
(溶剤型接着剤用硬化剤a)
三井化学製「タケネートD−110N」(メタキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体)と三井化学製「タケネート500」(メタキシリレンジイソシアネート不揮発分)を50/50(質量比)の割合で混合し硬化剤aとした。硬化剤aの不揮発分は87.5%、NCO%28.1%である。
前記製造例1で得たポリエステルポリオールをメチルエチルケトンで希釈して、不揮発分50%の樹脂溶液を得、硬化剤aを配合し、塗工方法1で使用する溶剤型接着剤を得た。
(実施例)
厚さ12μmの二軸延伸PETフィルム(東洋紡エステルフィルム社製)に真空中で酸化アルミニウム(Al)を蒸着した上でバリア接着剤を塗工し、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡エステルフィルム社製)を積層し、エージング(40℃ 5日)する事で有機EL素子封止材用の評価用シートを得た。酸素透過率、水蒸気透過率の測定を実施した。
(酸素透過率の測定)
エージングが終了した積層体を酸素透過率測定器 MOCON社製OXTRAN 1/50 を用い、湿度、JIS−K7126に準じて測定した。
(水蒸気透過率の測定)
エージングが終了した積層体を、水蒸気透過率測定器 MOCON社製PERMATRAN 3/33を用いて測定した。
結果を表1〜2に示した。
Figure 2015103342
(比較例)
厚さ12μmの二軸延伸PETフィルム(東洋紡エステルフィルム社製)に真空中で酸化アルミニウム(Al2O3)を蒸着した上で汎用接着剤(DIC株式会社:LX703/KR90)を塗工し、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡エステルフィルム社製)を積層し、エージング(40℃ 5日)する事で有機EL素子封止材用の評価用シートを得た。酸素透過率、水蒸気透過率の測定を実施した。
Figure 2015103342
本発明の積層体は、有機EL素子封止用積層体としての利用が可能である。

Claims (28)

  1. 官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)、官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(B)を含有してなる接着剤層を有する有機EL素子封止用積層体。
  2. 樹脂(A)の主骨格が、ポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテル、又はポリエーテルポリウレタン構造を有する請求項1に記載の有機EL素子封止用積層体。
  3. 樹脂(A)が芳香族環を有する請求項1又は2に記載の有機EL素子封止用積層体。
  4. 樹脂(A)の主骨格がポリエステル又はポリエステルポリウレタン構造であって、
    ポリエステル構成モノマー成分の多価カルボン酸全成分に対して、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の使用率が70〜100質量%であることを特徴とする請求項3に記載の有機EL素子封止用積層体。
  5. オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物が、オルトフタル酸又はその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸又はその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、及び2,3−アントラセンジカルボン酸又はその無水物から成る群から選ばれる少なくとも1つである請求項4に記載の有機EL素子封止用積層体。
  6. 樹脂(A)が、3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールにカルボン酸無水物又はポリカルボン酸を反応させることにより得られる少なくとも1個のカルボキシ基と2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(A1)である請求項1〜3の何れかに記載の有機EL素子封止用積層体。
  7. ポリエステルポリオール(A1)の水酸基価が20〜250であり、酸価が20〜200である請求項6に記載の有機EL素子封止用積層体。
  8. 樹脂(A)が、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(A2)である請求項1〜3の何れかに記載の有機EL素子封止用積層体。
  9. ポリエステルポリオール(A2)を構成する重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分が、マレイン酸、無水マレイン酸、又はフマル酸である請求項8に記載の有機EL素子封止用積層体。
  10. ポリエステルポリオール(A2)を構成する全モノマー成分100質量部に対して、重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分が、5〜60質量部である請求項8又は9に記載の有機EL素子封止用積層体。
  11. 樹脂(A)が、一般式(1)で表されるポリエステルポリオール(A3)である請求項1〜3の何れかに記載の有機EL素子封止用積層体。
    Figure 2015103342
    (式(1)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は一般式(2)
    Figure 2015103342
    (式(2)中、nは1〜5の整数を表し、Xは、置換基を有してもよい1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれるアリーレン基を表し、Yは炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す)で表される基を表す。但し、R〜Rのうち少なくとも一つは、一般式(2)で表される基を表す。)
  12. 前記一般式(1)で表されるポリエステルポリオール(A3)のグリセロール残基を、酸素バリア性ポリエステル樹脂組成物中に5質量%以上含有する請求項11に記載の有機EL素子封止用積層体。
  13. 樹脂(A)が、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種を含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分を重縮合して得られるポリエステルポリオール(A4)である請求項1〜3の何れかに記載の有機EL素子封止用積層体。
  14. オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物が、オルトフタル酸又はその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸又はその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、及び2,3−アントラセンジカルボン酸又はその無水物から成る群から選ばれる少なくとも1つの多価カルボン酸又はその無水物である請求項13に記載の有機EL素子封止用積層体。
  15. 樹脂(A)が、一般式(3)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)である請求項1〜3の何れかに記載の有機EL素子封止用積層体。
    Figure 2015103342
    (一般式(3)中、R〜Rは各々独立して、−(CHn1−OH(但しn1は2〜4の整数を表す)、又は一般式(4)
    Figure 2015103342
    (一般式(4)中、n2は2〜4の整数を表し、n3は1〜5の整数を表し、Xは1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Yは炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す。)で表される基を表す。但しR、R及びRの少なくとも1つは前記一般式(4)で表される基である。)
  16. イソシアネート化合物(B)が芳香族環を有するポリイソシアネートを含有するものである請求項1〜15の何れかに記載の有機EL素子封止用積層体。
  17. 芳香族環を有するポリイソシアネートが、メタキシレンジイソシアネート、又はメタキシレンジイソシアネートと2個以上の水酸基を有するアルコールとの反応生成物である請求項16に記載の有機EL素子封止用積層体。
  18. 前記接着剤層が、更に板状無機化合物(C1)又は350nm以下の波長の光を遮断し得る光遮断剤(C2)を含有する請求項1〜17の何れかに記載の有機EL素子封止用積層体。
  19. 前記板状無機化合物(C1)が、層間が非イオン性であるか、或いは水に対して非膨潤性である請求項18に記載の有機EL素子封止用積層体。
  20. 板状無機化合物(C1)が、平均粒径0.1μm以上の粒子を含有するものである請求項18又は19に記載の有機EL素子封止用積層体。
  21. 350nm以下の波長の光を遮断し得る光遮断剤(C2)が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、カーボンブラック、有機系紫外線遮断剤からなる群から選ばれるものである請求項18に記載の有機EL素子封止用積層体。
  22. 樹脂(A)、イソシアネート化合物(B)、及び板状無機化合物(C1)或いは350nm以下の波長の光を遮断し得る光遮断剤(C2)の総質量を100質量部とした場合、板状無機化合物(C1)或いは350nm以下の波長の光を遮断し得る光遮断剤(C2)の含有量が5〜50質量部である請求項18〜21の何れかに記載の有機EL素子封止用積層体。
  23. 樹脂(A)を、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、又はケトン系溶剤若しくはエステル系溶剤を含有する混合溶剤に溶解させてなる請求項1〜22の何れかに記載の有機EL素子封止用積層体。
  24. 無溶剤型である請求項1〜22の何れかに記載の有機EL素子封止用積層体。
  25. 請求項1〜24の何れかに記載の接着剤層が酸素バリア性を有するものである酸素バリア性有機EL素子封止用積層体。
  26. 請求項1〜24の何れかに記載の接着剤層が水蒸気バリア性を有するものである水蒸気バリア性有機EL素子封止用積層体。
  27. 更に蒸着層を有する請求項1〜26の何れかに記載の有機EL素子封止用積層体。
  28. 請求項1〜27に記載の有機EL素子封止用積層体を用いた有機EL素子。
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