JP2006209097A - 光学フィルム、楕円偏光板、円偏光板、液晶表示素子、及び該光学フィルムの製造方法 - Google Patents

光学フィルム、楕円偏光板、円偏光板、液晶表示素子、及び該光学フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 フィルムの切り出し及び貼合といった煩雑な工程の必要がなく、設計通りの光学軸の位置関係(積層角度)で精密に積層された、層間での剥離が起こりにくい、複数の波長板を積層してなる光学フィルム、該光学フィルムと偏光板を積層してなる円偏光板や楕円偏光板、及び、該光学フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】 光照射により液晶配向能を生じさせた光配向層(A)と、重合性基を有する液晶化合物を含有し、前記光配向層(A)により配向させた状態で重合して得られる重合体層(B)とが共有結合で結合された光学異方性層が複数層積層された光学フィルム、楕円偏光板、円偏光板及びこれらの光学フィルムを使用した液晶表示素子、及び該光学フィルムの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、重合性液晶組成物を配向させた状態で重合させて得られる光学異方性層を積層した光学フィルム、楕円偏光板、円偏光板及びこれらの光学フィルムを使用した液晶表示素子、及び該光学フィルムの製造方法に関する。
円偏光板や楕円偏光板は偏光板に適当な位相差を有する光学フィルムを組み合わせたもので、ディスプレイの動作原理に必須であるという理由や、視野特性の問題を解消する目的で、液晶表示装置の1部材として使用する。これらの視認上の諸事情は、LCDの方式や(例えば、STN型LCD、TFT−LCD、IPS(インプレンスイッチング In−Plane Switching)型LCD、FLC(フェロエレクトリックリキッドクリスタル Feroelectric Liquid Crystal)型LCD、OCB(オプティカリーコンペンセイテッドベンド Optically Compensated Bend)型LCD、VA(バーティカリーアラインド Vertically Aligned)型LCD、ECB(エレクトリカリーコントロールドバイリフリンジェンス Electrically Controlled Birefringence)型LCD、HAN(ハイブリッドアラインドネマティック Hybrid Aligned Nematic)型LCD、GH(ゲストホスト Guest−Host)型LCD等)、透過型、反射型、及び半透過型といった光源と液晶の位置関係によって決定される方式において異なるため、各々の方式に適応した円偏光板や楕円偏光板が必要となる。
例えば、STN型液晶表示装置(LCD)では、液晶を透過する際に付与された位相差により画面が着色する問題を解消するために、TFT−LCDでは、見る方向によって表示色や表示コントラストが変化するといった問題を解消するために、直線偏光板と光学フィルムを組み合わせた楕円偏光板を使用している。
また、外光を光源として利用する反射型、半透過型、微反射型のLCDでは、1/4波長板を直線偏光板と組み合わせた円偏光板を使用している。
また、通常の1/4波長板は一つの波長でのみ1/4波長の位相差を持ち、他の波長での位相差はこれよりずれた値になるので、可視光全域に亘って1/4波長板として機能させる目的で、一枚あるいは複数枚の1/2波長板と1/4波長板とを積層してなる広帯域位相差膜と直線偏光板とを組み合わせた広帯域円偏光板や複数の位相差層を積層した位相差膜と偏光板とを組み合わせた広帯域楕円偏光板も、開発されている。
通常、偏光板と1/4波長板とを組み合わせた円偏光板は、偏光板と1/4波長板とをそれぞれ重ね合わせて作成する。この時、偏光板の吸収軸と1/4波長板の遅相軸との角度が45°に厳密に合うように重ね合わせなければならない。また、偏光板と、波長板を複数枚積層してなる広帯域位相差膜とを組み合わせた広帯域円偏光板も同様に、波長板毎の方位角に関する積層角度および波長板と偏光板の吸収軸との積層角度を厳密に制御する必要がある。
また、液晶表示素子へ使用する場合には、波長板の光学軸と液晶の配向方向とのなす角度も精密に設計値通りにしなければならない。
従来、位相差膜には複屈折性延伸フィルムが使用されていたが、近年、より複雑な光学的性質を有する位相差膜として、配向膜を設けた基板上に重合性液晶を塗布し、該液晶分子を配向させた状態で硬化させた光学フィルムが開発されている。具体的には、基板にポリイミド等の高分子の膜を設け、これを一方向に布等で摩擦(ラビング法)した配向膜の上に、重合性液晶を塗布し、液晶分子をラビング方向に配向させ、その後重合させて配向を固定化したもので、配向膜の配向方向と重合性液晶の配向形態との組み合わせにより、延伸複屈折フィルムでは得られない光学的性質を有する位相差膜が得られる。
しかし、ラビング配向膜は、ラビング工程の際に傷や塵が生じる問題がある。発塵は洗浄等で取り除くことができるが傷は取り除くことができないため、積層した液晶膜の光学的均一性を大きく損なう恐れがある。また、ラビング型の配向膜とロール状の長尺フィルムを用いた製造工程においては、フィルムの搬送方向に対するラビング方向に限界があるため、長尺フィルムのまま位相差膜の遅相軸を前記の積層角度にすることは事実上不可能である。そのため通常の製造工程においては、適当な積層角度になるよう矩形状のフィルムを長尺フィルムから切り出して貼合するか、切り出したフィルムを適当な角度に重ね合わせて貼合する方法がとられている。従って、きわめて煩雑な工程を行わざるを得ず、また切り出す方向が長尺フィルムの長手方向に対して傾ける必要があるため切り残した使用不可能な部分が生じるという問題があった。また、上記シミュレーション等で得られた所望の積層角度に対する積層精度が十分に得ることができず、設計通りの光学機能を有する光学フィルムが得られないという問題もあった。
ラビングを行わない配向膜としては光配向膜が知られている。光配向法は、ラビングせずに液晶分子を配向させることのできる配向方法の一つで、基板上に形成された膜に光を照射するだけで、非接触で膜に液晶配向能を生じさせることができる。光の方向により配向をコントロ−ルでき、ラビング法とは異なり原理的に傷や発塵の可能性がない等の特徴を有するため、重合性基を有する液晶を用いた位相差膜を作成する上で配向状態の制御に自由度が多くなり、傷による光漏れがなく、均一な膜を形成することができる。
例えば、1分子中に2個以上の重合性基を有する二色性染料を含有する光配向性重合性組成物を基板上に塗布し、偏光を照射して光配向機能を付与した後、加熱又は光を照射し重合性基を重合させることによって得た光配向膜や、(例えば、特許文献1参照)、4,ポリビニルシンナメート等の重合性物質を基板上に塗布し、異方的な光を照射して反応させることによって得た光配向膜が知られている(例えば、特許文献2参照)。また、特許文献2に記載のポリビニルシンナメートからなる光配向膜と重合性液晶とからなる光学フィルムも知られている(例えば、特許文献3,4参照)。しかしこれらの光配向膜を使用して得た光学フィルムは、光配向膜と重合性液晶層との界面のはがれ等が生じ、耐久性に劣るといった問題があった。
耐久性に優れた光学フィルムとして、基板上に設けた重合性基を有するポリマー塗膜をラビングし、その上に、重合性基を有するディスコティック液晶を塗布し、ラビング配向膜と、ディスコティック液晶からなる光学異方性層とを界面を介して化学的に結合させてなる、耐久性に優れた光学補償シ−トが知られている。(例えば、特許文献5参照)しかし、該方法は、ラビング配向膜を使用しているので、依然としてラビング配向膜に由来する問題は解決できていない。また、上記光学補償シ−トはディスコティック液晶分子の直径方向を基板に対して垂直方向に配向させた垂直配向膜に関するものであり、長鎖のアルキル鎖や脂肪族鎖等を導入することで配向膜表面の表面エネルギーを下げているため、液晶分子は垂直配向膜の表面で凝集しやすく、薄膜の状態では積層しにくい問題がある。
一方、積層フィルム特有の問題として、例えば液晶配向膜と重合性液晶層との境目に界面反射が生じることがあり、所望の透過光強度が得られないという問題が生じることもある。これは、配向膜と重合性液晶層のみからなる(即ち、積層界面が1つである)光学フィルムの場合はあまり問題にならないが、前記一枚あるいは複数枚の1/2波長板と1/4波長板とを積層してなる広帯域位相差膜と直線偏光板とを組み合わせた広帯域円偏光板や、複数の位相差層を積層した位相差膜と偏光板とを組み合わせた広帯域楕円偏光板等の、多層積層させた光学フィルムでは、積層界面が多数となるため透過光強度が下がる大きな原因となる。これによりディスプレイに要求されるコントラストが下がり、特に画面法線から傾いた方向における透過光強度が下がるので視野角特性を悪化させる等の問題があった。
特開2002−250924号公報 特開平07−138308号公報 特開平06−289374号公報 特開平08−15681号公報 特開平09−152509号公報
2枚の光学異方性層を積層することにより様々な機能を有する光学フィルムを作成することができるが、精密な光学フィルムを設計するためには、2枚の光学遅延軸のなす角を精密に設計値通りにしなければならない。また、液晶表示素子への使用の場合には、光学フィルムの光学軸と液晶の配向方向とのなす角度もまた精密に設計値通りにしなければならない。
しかしながら、前述のとおり、従来の光学フィルムは上記積層精度を十分に得ることができず、設計通りの光学機能を有する光学フィルムが得られていなかった。また、液晶配向膜上に重合性液晶を塗布・重合することにより得られる重合体層を積層した光学フィルムは、液晶配向膜層と硬化後の重合体層との接着性が不足し、製造工程において剥離が起こる問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、
1.フィルムの切り出し及び貼合といった煩雑な工程の必要がなく、
2.設計通りの光学軸の位置関係(積層角度)で精密に積層された、
3.層間での剥離が起こりにくい、
複数の光学異方性層(即ち、波長板)を積層してなる光学フィルム、該光学フィルムと偏光板を積層してなる円偏光板や楕円偏光板、これらの光学フィルムを使用した液晶表示素子、及び、該光学フィルムの製造方法を提供することにある。
発明者らは、
1.光配向膜を使用することにより、任意の配向方向に配向した重合性液晶層を形成することができ、この工程を繰り返すことにより所望の遅相軸の積層角度を有する多層フィルムを容易に得ることができること
2.光配向膜の配向軸は光の照射方向により決定することができるため、設計通りの精密な積層角度で積層することができること
3.光配向層と重合性液晶層との間を共有結合することによって剥離が起こりにくい層間接着力の強固な光学フィルムを得ることができること
を見出し、本発明を完成するに至った。光配向膜層も重合体層も塗布法で得ることができ、照射光の方向により非接触で配向方向をコントロ−ルできるので、フィルムの切り出し及び貼合といった煩雑な工程の必要がなく、任意の配向方向に配向した重合性液晶層を形成することができる。
具体的には、光配向性基及び重合性基を有する化合物を含有する光配向性重合性組成物を塗布、乾燥する(工程a)と、光配向性基が吸収しうる波長の偏光又は基板に対して斜め方向からの非偏光を照射して液晶配向能を与える(工程b)と、該層の上に重合性基を有する重合性液晶組成物層を形成する(工程c)と、積層した2層を、活性エネルギー線又は熱により両層の硬化を進めると同時に両層の分子間を重合する(工程d)とを、この順に有する工程(I)(以下、工程(I)と略す)を、複数回繰り返すのみで、厳密に制御された遅相軸の積層角度を有する多層構造の光学フィルムを容易に得ることができる。
即ち本発明は、光照射により液晶配向能を生じさせた光配向層(A)と、重合性基を有する液晶化合物を含有し、前記光配向層(A)により配向させた状態で重合して得られる重合体層(B)とが共有結合で結合された光学異方性層が複数層積層された光学フィルムを提供する。
また、本発明は、前記記載の光学フィルムと、偏光板とを有する楕円偏光板を提供する。
また、本発明は、前記記載の光学フィルムと、偏光板とを有する円偏光板を提供する。
また、本発明は、前記記載の光学フィルムを用いた液晶表示素子を提供する。
また、本発明は、前記記載の光学フィルムの製造方法であって、光配向性基及び重合性基を有する化合物、又は光配向性基を有する化合物及び重合性化合物を含有する光配向性重合性組成物を塗布、乾燥して光配向性重合性組成物層を形成する工程aと、光配向性基が吸収しうる波長の偏光又は基板に対して斜め方向からの非偏光を照射して液晶配向能を与える工程bと、該層の上に重合性基を有する液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を含有する重合性液晶組成物層を形成する工程cと、積層した2層を、活性エネルギー線又は熱により両層の硬化を進めると同時に両層の分子間を重合する工程dとを、この順に有する工程(I)を、複数回繰り返す光学フィルムの製造方法を提供する。
本発明の光学フィルムは、設計通りの光学軸の位置関係(積層角度)で精密に積層された、耐久性に優れる積層フィルムである。本発明の光学フィルムと偏光板を積層してなる円偏光板や楕円偏光板は、厳密な位置合わせや煩雑な工程の必要がなく簡単に得ることができる。光学フィルム、円偏光板、楕円偏光板共に、従来の貼合方法とは違い製造の過程で無駄になる材料は発生しない。
本発明においては、更に、本発明の光学フィルム中の、光照射により液晶配向能を生じさせた光配向層(A)の材料である、光配向性基及び重合性基を有する化合物として、あるいは、光配向性基を有し重合性基を有さない化合物と、汎用の重合性化合物とを含む組成物として、低分子量の原料を選択することにより、積層された光学フィルムの課題の1つである「高い透過光強度を有する」という問題をも解決できる。低分子量の原料は平滑性に若干劣るため上に重ねる層との境目が生じにくい。即ち、光配向層(A)と重合体層(B)との境目で界面反射が生じることのない、光学的に特に優れた光学フィルムを得ることができる。これは、広帯域円偏光板や広帯域楕円偏光板等の、沢山の層を積層させて光学フィルムを得る場合に特に有用である。
本発明の光学フィルム、円偏光板、楕円偏光板は、全て塗布法で得ることができ、本光学フィルムを直線偏光フィルムに連続貼合することもできる。そのため、従来のように切り出しや角度を制御した貼合等の煩雑な工程が必要ない。従って、本発明は長尺フィルムを利用した生産性の高いロールツウロール法等に適用可能である。
(光学異方性層)
本発明で使用する光学異方性層は、光照射により液晶配向能を生じさせた光配向層(A)(以下、層(A)と略す。)と重合体層(B)(以下、層(B)と略す。)とが共有結合で結合されている。これは、光配向性基及び重合性基を有する化合物(以下、化合物(C)と略す。)、あるいは、光配向性基を有し重合性基を有さない化合物(以下、化合物(D)と略す。)と汎用の重合性化合物(以下、化合物(E)と略す。)とを含む光配向性重合性組成物を含有する光配向性重合性組成物層(以下、光配向性重合性組成物層と略す。)と、重合性基を有する液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を含有する重合性液晶組成物層(以下、重合性液晶組成物層と略す。)との積層膜を基板上に形成し、該重合性基を有する液晶化合物を配向させた状態で、両層を反応させて得ることができる。なお、光配向性重合性組成物層は層(A)に、重合性液晶組成物層は層(B)に対応する。また、本発明で使用する光学異方性層は、層(A)と層(B)とが完全に重合硬化している必要はなく、層(A)と層(B)との界面が共有結合で結合されていればよい。
具体的には、化合物(C)、あるいは化合物(D)と化合物(E)とを含有する光配向性重合性組成物を塗布、乾燥して光配向性重合性組成物層を形成する工程aと、光配向性基が吸収しうる波長の偏光又は基板に対して斜め方向からの非偏光を照射して液晶配向能を与える工程bと、該層の上に重合性液晶組成物層を形成する工程cと、積層した2層を、活性エネルギー線又は熱により両層の硬化を進めると同時に両層の分子間を重合する工程dとを、この順に有する工程(I)(以下、工程(I)と略す)を用いることにより、光学異方性層が得られる。また、工程(I)を複数回繰り返すことで、光学異方性層が複数層積層された光学フィルムが得られる。本発明の光学フィルムの1例を図1に示す。図1において、符号10,11,12,13はそれぞれ光学フィルム、光配向層(A)、重合体層(B)、光学異方性層を示す。
(層(A)11)
層(A)11は、光を照射することにより液晶配向能を生じる基(以下、光配向性基と略す)を有する化合物、例えば二色性染料を含有する。
本発明において化合物(C)や化合物(D)が有する光配向性基とは、光を照射することで生じる、光二色性に起因するワイゲルト効果による分子の配向誘起もしくは異性化反応(例:アゾベンゼン基)、二量化反応(例:シンナモイル基)、光架橋反応(例:ベンゾフェノン基)、あるいは光分解反応(例:ポリイミド基)のような、液晶配向能の起源となる光反応を生じる基を表す。中でも、光二色性に起因するワイゲルト効果による分子の配向誘起もしくは異性化反応、二量化反応、あるいは光架橋反応を利用したものが、配向性に優れ、重合性液晶化合物を簡単に配向させることができ好ましい。
光配向性基としては特に限定されないが、中でも、C=C、C=N、N=N、及びC=Oからなる群より選ばれる少なくとも一つの二重結合(但し、芳香環を形成する二重結合を除く)を有する基が特に好ましく用いられる。
なお、本発明において、ワイゲルト効果とは、遷移モーメントを有する分子の配向方向が、入射光の偏光方向に対して該分子の持つ遷移モーメントが垂直となるように変化することをいう。
これらの光配向性基として、C=C結合を有する基としては、例えば、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾ−ル基、スチルバゾリウム基、シンナモイル基、ヘミチオインジゴ基、カルコン基等の構造を有する基が挙げられる。C=N結合を有する基としては、芳香族シッフ塩基、芳香族ヒドラゾン等の構造を有する基が挙げられる。N=N結合を有する基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基、ホルマザン基等の構造を有する基や、アゾキシベンゼンを基本構造とするものが挙げられる。C=O結合を有する基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基等の構造を有する基が挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリ−ル基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ハロゲン化アルキル基等の置換基を有していても良い。
中でも、光異性化反応により光配向性を示すアゾベンゼン基又はアントラキノン基、あるいは、光二量化反応により光配向性を示すベンゾフェノン基、シンナモイル基、カルコン基、又はクマリン基が、光配向に必要な偏光の照射量が少なく、かつ得られた光配向膜の熱安定性、経時安定性が優れているため、特に好ましい。中でも、アゾベンゼン基が好ましい。
本発明で使用する光学異方性層13においては、層(A)11と層(B)12とが共有結合で結合されている。これは、光配向性重合性組成物層と、重合性液晶組成物層との積層膜を基板上に形成し、該重合性基を有する液晶化合物を配向させた状態で、両層を反応させて得ることができる。
(化合物(C)および(D))
化合物(C)が有する重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基、アジド基、クロロメチル基、エポキシ基、マレイミド基などが挙げられる。これらの中でも、光重合や熱重合が比較的容易なことから、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基が好ましく、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、又は(メタ)アクリルアミド基がより好ましい。また、マレイミド基であると、光重合開始剤を使用せずに重合させることができる。
これらの重合性基は、前記光配向性基と直接結合していてもよいし、アルキレン基やフェニレン基等の連結基を介して結合していてもよい。該連結基は、エステル結合、エ−テル結合、イミド結合、アミド結合又はウレタン結合を有していてもよい。そのような連結基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基等の炭素原子数が1〜18の直鎖状アルキレン基;1−メチルエチレン基、1−メチル−トリメチレン基、2−メチル−トリメチレン基、1−メチル−テトラメチレン基、2−メチル−テトラメチレン基、1−メチル−ペンタメチレン基、2−メチル−ペンタメチレン基、3−メチル−ペンタメチレン基等の炭素原子数が1から18の分岐状アルキレン基;p−フェニレン基等のフェニレン基;2−メトキシ−1/4−フェニレン基、3−メトキシ−1/4−フェニレン基、2−エトキシ−1/4−フェニレン基、3−エトキシ−1/4−フェニレン基、2,3,5−トリメトキシ−1/4−フェニレン基等の炭素原子数が1〜18の直鎖状又は分岐状アルコキシル基を有するアルコキシフェニレン基などが挙げられる。
化合物(C)や化合物(D)の分子量は特に制限はないが、通常は質量平均分子量に換算して1×10〜1×10で使用する。しかしあまり分子量が高くなると、光配向性基が系中で動きづらくなり、光に対して感度が下がる傾向にある。また、一般に高分子となるほど成膜性が良好となり平滑な表面の塗膜が得られるが、本発明においては、層(A)11表面があまり平滑性に優れると、層(B)12との境目が生じ、光学的に影響が生じることがある。従って、分子量としては、1×10〜1×10の範囲がより好ましく、1×10〜5×10の範囲が更に好ましい。
前記化合物(C)として、具体的には、一般式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2006209097
式中、RおよびRは、各々独立して、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基、及びマレイミド基からなる群から選ばれる重合性基を表す。なかでも、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、又は(メタ)アクリルアミド基であると、光重合や熱重合が比較的容易であり好ましい。またマレイミド基は、重合開始剤が不要となるので、より好ましい。
一般式(1)において、Xは、−(A−B−で表される連結基を表し、Xは−(B−A−で表される連結基を表す。ここで、A及びAは各々独立して単結合、又は二価の炭化水素基を表す。二価の炭化水素基としては、エチレン基、メチレン基、プロピレン基、ペンタメチレン基、ヘプチレン基等の炭素原子数1〜20のアルキレン基;シクロプロピレン基、シクロヘキシレン基等の炭素原子数3〜20のシクロアルキレン基;フェニレン基、ナフチレン基等の炭素原子数6〜20のアリ−レン基等が挙げられる。これらの中でも、アルキレン基が好ましく、炭素原子数1〜4のアルキレン基がより好ましい。
及びBは各々独立して単結合、−O−、−CO−O−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−NHCO−O−、又は−OCONH−を表す。m及びnは各々独立して1〜4の整数を表す。m又はnが2以上のとき、複数あるA、B、A及びBは、同じであっても異なっていてもよい。但し、二つのB又はBの間に挟まれたA又はAは、単結合ではないものとする。具体的には、mが2のとき、−(A−B−で表される連結基は、−CHCH−O−CHCHCHCH−CO−O−や、−O−CHCHCH−CO−O−等を表し、nが2のとき、−(B−A−で表される連結基は、−O−CO−Ph(フェニレン基)−O−(CH−等を表す。
Yは、アゾベンゼン基、アントラキノン基、ベンゾフェノン基、シンナモイル基、カルコン基又はクマリン基を有する基を表す。中でも、下記構造の基が好ましい。
Figure 2006209097
前記構造中、p〜p11は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、又はヒドロキシ基を表す。但し、カルボキシル基、スルホン酸基はアルカリ金属と塩を形成していても良い。
前記一般式(1)で表される化合物は、具体的には、特開2002−250924号公報や特開2002−317013号公報に記載の化合物をあげることができ、該公報に記載の方法で容易に合成することができる。
前記一般式(1)で表される化合物は低分子であるので、塗膜にした際の光による感度にすぐれる。従って光照射により簡単に液晶配向能を付与できる。また重合性基は、ポリマーに結合した重合性基よりも自由度が高いので反応率が高く、層(A)11と層(B)12とを界面で良好に反応させることができ、界面での接着性にすぐれる。
化合物(D)としてはアゾ染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ペリノン染料などが挙げられるが、具体的には、一般式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2006209097

式中、X、Y、及びXは、前記一般式(1)で表される基と同じ基を表す。
およびRは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、ハロゲン化メチル基、シアノ基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、ピペリジノ基、および一般式(3)
Figure 2006209097
(式中、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ピペリジノ基;及びこれらの基にアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基又はフェノキシ基が結合した有機基を表す。)
からなる群より選ばれる1つ以上の基を表す。
(化合物(E))
化合物(E)としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基、アジド基、クロロメチル基、エポキシ基、マレイミド基などを有する重合性化合物が挙げられる。中でも、親水性の傾向が強い、水酸基やエチレングリコール単位を有するアクリルモノマーやメタクリリックアシッド−3−トリメトキシシリルプロピルエーテル等のシランカップリング剤等が好ましい。化合物(E)は、光配向性を損なわない範囲で化合物(C)に添加して使用することができる。具体的な添加量としては、10〜95質量%が好ましく、20〜90質量%が尚好ましく、20〜50質量%がなお好ましい。
化合物(E)の分子量は特に制限はないが、通常は質量平均分子量に換算して50〜1000程度のものを使用するのが好ましい。あまり分子量が高くなると、化合物(D)が系中で動きづらくなり、光に対して感度が下がる傾向にある。また、一般に高分子となるほど成膜性が良好となり平滑な表面の塗膜が得られるが、本発明においては、層(A)11表面があまり平滑性に優れると、層(B)12との境目が生じ、光学的に影響が生じることがある。
なお、ここでいう「光学的な影響」については、透過光強度比が指標の一つとなる。例えばコントラストは暗表示時の、ほとんど0.0に近い低透過光強度に対する明表示時の透過光強度比で表す。即ち、正面に対して傾いた方向における透過光強度比が1.0%でも低下すると、実測上のコントラストはそれ以上に低下し、コントラストの視野角特性が大きく低下する原因となる。
前記化合物(C)、(D)及び(E)は、適切な溶媒に溶解して使用するのが好ましい。溶媒としては特に限定されないが、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、水、N−メチルピロリドン(以下、NMPと略す。)、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略す。)、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略す。)、トルエン、テトラヒドロフラン、クロロベンゼン、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。これらの溶液は、塗布性や、塗布後の溶剤の揮発速度及び基板の耐溶媒溶解性を考慮して選択することが好ましく、2種類以上を混合して使用することもできる。中でも、ブチルセロソルブと水との混合溶媒と、アルコール類もしくはグリコール類とからなる混合溶媒は、高分子フィルム等の基板に対する塗布性が良好で、かつ高分子フィルムを侵さず均一な膜が得られることから特に好ましい。
溶媒は、基板に塗布した後揮発除去されるので、使用する場合は、化合物(C)の固形分濃度が少なくとも0.2質量%以上となることが必要である。中でも、0.3〜10質量%の範囲が特に好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリビニルアルコ−ルやポリイミド等の高分子材料を混合することもできる。
層(A)11の膜厚は、薄くした方が配向処理に用いる紫外線エネルギーを低く抑えることができ、生産速度を高められるので好ましいが、あまり薄すぎると基板の表面平滑性または表面特性の影響を受けやすく、配向の均一性が悪くなる。従って、最適な範囲が存在する。層(A)11の膜厚は、1〜200nmが好ましく、5〜100nmが尚好ましく、10〜40nmが最も好ましい。
(層(B)12)
本発明において、層(B)12を構成する重合性液晶組成物が含有する、重合性基を有する液晶化合物は、単独又は他の液晶化合物との組成物において液晶性を示す、重合性基を有する化合物であれば特に限定はない。例えば、ハンドブック オブ リキッド クリスタルズ Handbook of Liquid Crystals (ディー デムス D. Demus, ジェー ダブル グッドビー J. W. Goodby, ジー ダブル グレイ G. W. Gray, エイチ ダブル スピース H. W. Spiess, ブイ ビル V. Vill編集、ワイリー ブイ シーエイチ Wiley−VCH 社発行、1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編、1994年)、あるいは、特開平7−294735号公報、特開平8−3111号公報、特開平8−29618号公報、特開平11−80090号公報、特開平11−148079号公報、特開2000−178233号公報、特開2002−308831号公報、特開2002−145830号公報に記載されているような、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基等の構造が複数繋がったメソゲンと呼ばれる剛直な部位と、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、エポキシ基といった重合性基とを有する棒状液晶化合物が挙げられる。
また、例えば、ハンドブック オブ リキッド クリスタルズ Handbook of Liquid Crystals (ディー デムス D. Demus, ジェー ダブル グッドビー J. W. Goodby, ジー ダブル グレイ G. W. Gray, エイチ ダブル スピース H. W. Spiess, ブイ ビル V. Vill編集、ワイリー ブイ シーエイチ Wiley−VCH 社発行、1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編、1994年)や、特開平07−146409号公報に記載されている重合性基を有するディスコティック液晶化合物が挙げられる。中でも、重合性基を有する棒状液晶化合物が、液晶相温度範囲が室温前後の低温を含むものを作りやすく好ましい。
(工程(I))
工程(I)の具体的態様として、例を挙げる。
1.光重合開始剤を、重合性液晶組成物層に添加しておく方法
基板上へ重合開始剤を含まない光配向性重合性組成物を塗布乾燥し、その後、該膜に、化合物(C)または(D)の有する光配向性基が吸収しうる波長の偏光を照射して液晶配向能を与える。光配向性基が、ワイゲルト効果による分子の配向誘起もしくは異性化反応等を利用する基である場合には、該基が効率よく吸収する波長の非偏光を基板に対して斜め方向から照射し液晶配向機能を与えてもよい(このことは、他の態様についても同様である)。次いでこの上に光重合開始剤を含む重合性液晶組成物溶液を塗布し、乾燥すると、光配向性重合性組成物層の液晶配向能の効果により重合性液晶組成物層は意図した配向状態をとる。次に、添加した光重合開始剤が吸収する波長の光を積層した2層に照射し、重合性液晶化合物の硬化を進めると同時に重合性液晶組成物層と光配向性重合性組成物層との界面に存在する光重合開始剤により両層の分子間で重合させる。光重合開始剤が開裂して生じるラジカルは両層を移動することができるので、光重合開始剤がどちらかの層に含まれていれば、両層の界面に存在する重合性基を重合させることができ、層(A)11と層(B)12とが共有結合され、接着性の改良された光学異方性層13を得ることができる。更にこの方法は、光配向性重合性組成物が光重合開始剤を含まないので、偏光等を照射中に予期せぬ重合が起こるおそれがなく、配向処理を均一に行うことができる。
あるいは、透明基板上へ重合開始剤を含まない光配向性重合性組成物を塗布、乾燥後、配向させずに、この上に、光重合開始剤を含む重合性液晶組成物層を形成する。次に、透明基板側(塗膜面とは反対側の面)から、化合物(C)または(D)の有する光配向性基が吸収しうる波長の偏光又は基板に対して斜め方向からの非偏光を照射する。この方法では、先に光配向性重合性組成物中の光配向性基が照射光の大部分を吸収し、その液晶配向能が生起し、積層してある重合性液晶組成物層の分子を配向する。照射の経過と共に、以下に説明する機構により照射光は光配向性重合性組成物層を透過するようになり、重合性液晶組成物層に到達し該層中の光重合開始剤を開裂して重合反応を誘起すると共に、光配向性重合性組成物層と重合性液晶組成物層との結合も生じる。
即ち、透明基板側から光照射を行うと、アゾベンゼン基等のような、異性化反応が生じてワイゲルト効果による分子配向が誘起される系では、光の吸収により光配向性重合性組成物の配向方向が変化し、吸収を最小化する配向状態をとるようになる。そのため、照射光は次第に重合性液晶組成物層に漏れるようになり、重合性液晶組成物層の重合を誘起する。同様に光配向性重合性組成物層において、二量化反応(例:シンナモイル基)、光架橋反応(例:ベンゾフェノン基)、あるいは光分解反応(例:ポリイミド基)等を利用する化合物を用いた場合にも、偏光の吸収により該方向に配向した成分がそれぞれ二量化、光架橋、光分解し、次第に光を吸収する該基が減少して照射光は重合性液晶組成物層に漏れるようになり、重合性液晶組成物層の重合を誘起する。従って、層(A)11と層(B)12とが共有結合され、接着性の改良された光学異方性層13を得ることができる。この場合も、光配向性重合性組成物が光重合開始剤を含まないので、偏光を照射中に予期せぬ重合が起こるおそれがなく、配向処理を均一に行うことができる。
2.化合物(C)または(D)が有する光の吸収帯とは異なる光吸収波長帯域を持つ光重合開始剤を、重合性液晶組成物あるいは光配向性重合性組成物の一方又は両方に添加しておく方法
光配向性重合性組成物溶液を基板上に塗布、乾燥した後、化合物(C)または(D)の有する光配向性基が吸収しうる波長の偏光又は基板に対して斜め方向からの非偏光を照射して液晶配向能を与える。この上に重合性液晶組成物溶液を塗布し、乾燥後、重合性液晶化合物を意図した配向状態とする。次いで、積層した2層に、添加した光重合開始剤が吸収する波長の光を照射し、重合性液晶組成物層と光配向性重合性組成物層との界面の分子間を結合すると共に、重合性液晶化合物と化合物(C)または化合物(E)の各々の硬化も進める。このような操作によっても、層(A)11と層(B)12とが共有結合され、両層間の接着性が改良された光学異方性層13を得ることができる。
3.熱重合開始剤を、重合性液晶組成物あるいは光配向性重合性組成物の一方又は両方に添加しておく方法
光配向性重合性組成物溶液を基板上に塗布、乾燥した後、化合物(C)または(D)の有する光配向性基が吸収しうる波長の偏光又は基板に対して斜め方向からの非偏光を照射して液晶配向能を与える。次いで該層の上に重合性液晶組成物層を形成し、両層を加熱して熱重合開始剤を開裂させて両層の硬化を進めると同時に、重合性液晶組成物層と光配向性重合性組成物層との界面に存在する熱重合開始剤により両層の分子間を重合する。熱重合開始剤が開裂して生じるラジカルは、両層を移動することができるので、どちらかの層に含まれていれば、両層の界面に存在する重合性基を重合させることができ、層(A)11と層(B)12とが共有結合され、接着性の改良された光学異方性層13を得ることができる。
4.熱重合開始剤と光重合開始剤を併用する方法
基板上へ熱重合開始剤を含む光配向性重合性組成物を塗布、乾燥した後、化合物(C)または(D)の有する光配向性基が吸収しうる波長の偏光又は基板に対して斜め方向からの非偏光を照射して液晶配向能を与える。次いで該層の上に光重合開始剤を含んだ重合性液晶組成物層を形成し、積層した2層を、熱重合開始剤の開裂する適当な温度に加温しながら光重合開始剤が吸収する波長の光を照射することによって、両層の硬化を進めると同時に両層の分子間を重合する。
あるいは、光配向性重合性組成物に、光吸収波長帯域が光配向性重合性組成物自体の吸収帯とは異なる光重合開始剤を添加し、製膜、乾燥後、化合物(C)または(D)の有する光配向性基が吸収しうる偏光又は基板に対して斜め方向からの非偏光を照射して液晶配向能を与える。次いで該層の上に、熱重合開始剤を添加した重合性液晶組成物層を形成し、両層を加熱しながら光重合開始剤の吸収する光を照射して両相の硬化を進めると同時に両層の分子間を重合する。このような操作によっても、光配向性重合性組成物層と重合性液晶組成物層との間に結合性を持たせ、接着性の改良された位相差膜を得ることができる。
(塗布方法)
基板上に各々の組成物層を形成する方法は、スピンコ−ティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法などの塗布法やフレキソ法などの印刷法等、公知の方法を使用できる。
(基板)
基板としては実質的に透明であれば材質に特に限定はなく、ガラス、セラミックス、プラスチック等を使用することができる。プラスチック基板としてはセルロ−ス、トリアセチルセルロ−ス、ジアセチルセルロ−ス等のセルロ−ス誘導体、ポリシクロオレフィン誘導体、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコ−ル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレ−ト、ポリエーテルサルホン、ポリアリレートなどを用いることができる。
基板に塗布して製造した本発明の光学フィルム10を直線偏光フィルムに貼合してもよく、塗布により形成した光学フィルム10を基板より剥離して直線偏光フィルムに貼合してもよく、また偏光フィルム又は偏光板に直接、本発明の光学フィルム10を形成し、円偏光板および楕円偏光板とすることもできる。円偏光板又は楕円偏光板の一例を図2に示す。図2において、符号20は偏光板を示す。
(光配向操作)
光配向性重合性組成物層に液晶配向能を付与する(以下、光配向操作と略す。)には、化合物(C)または(D)の有する光配向性基が吸収しうる波長の偏光を、塗膜表面あるいは塗膜表面とは反対側の基板側から、面に対して垂直に、あるいは斜め方向から照射すればよい。また、光配向性基が、ワイゲルト効果による分子の配向誘起もしくは異性化反応等を利用する基である場合には、該基が効率よく吸収する波長の非偏光を、塗膜表面あるいは基板側から、面に対して斜め方向から照射し液晶配向機能を与えてもよい。また、偏光と非偏光とを組み合わせても良い。
偏光は直線偏光、楕円偏光のいずれでも良いが、効率よく光配向を行うためには、消光比の高い直線偏光を用いることが好ましい。
また、偏光を得るためには、偏光フィルタを用いる必要があるので、膜面に照射される光強度が減少するといった欠点があるが、膜面に対して斜め方向から非偏光を照射する方法では、照射装置に偏光フィルタを必要とせず、大きな照射強度が得られ、光配向のための照射時間を短縮することができるという利点がある。このときの非偏光の入射角は基板法線に対して10°〜80°の範囲が好ましく、照射面における照射エネルギ−の均一性、得られるプレチルト角、配向効率等を考慮すると、20°〜60°の範囲が最も好ましい。
照射する光は、化合物(C)または(D)の光配向性基が吸収帯を有する波長領域の光であれば良い。例えば光配向性基がアゾベンゼン構造を有する場合は、アゾベンゼンのπ→π遷移による強い吸収帯がある、波長350〜500nmの範囲の紫外線が特に好ましい。照射光の光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArF等の紫外光レ−ザ−等が挙げられる。特に光配向性基がアゾベンゼン構造を有する場合、超高圧水銀ランプは365nmの紫外線の発光強度が大きいことから特に好ましい。前記光源からの光を偏光フィルタやグラントムソン、グランテ−ラ−等の偏光プリズムを通すことで紫外線の直線偏光を得ることができる。また、偏光、非偏光のいずれを使用する場合でも、照射する光は、ほぼ平行光であることが特に好ましい。照射する光は、塗膜表面側からでも、基板側から照射してもよい。基板側から照射する場合は、基板として透明性を有する基板を使用する。
(重合)
本発明の光配向性重合性組成物及び重合性液晶組成物の重合操作は、一般に紫外線等の光照射あるいは加熱によって行われる。
重合を光照射で行う場合は、既に得られている光配向性重合性組成物層の配向状態を乱さないようにするため、一般には、化合物(C)または(D)が有する光の吸収帯、例えば、アゾベンゼン骨格やアントラキノン骨格が持つ吸収帯以外の波長で行われることが好ましい。具体的には320nm以下の紫外光を照射することが好ましく、250〜300nmの波長の光を照射することが最も好ましい。この光は、既に得られた光配向性基の配向を乱さないために、拡散光で、かつ偏光していない光であることが好ましい。そのために、通常は、化合物(C)または(D)が有する光の吸収帯とは異なる光吸収波長帯域を持つ光重合開始剤を使用するのが好ましい。一方、重合のための光を光配向操作と同じ方向から照射する場合は、光配向材料の配向状態を乱す恐れがないので、任意の波長を用いることができる。
光重合開始剤としては公知慣用のものが使用でき、例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア184」)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1116」)、2−メチル−1−[(メチルチオ)フェニル]−2−モリホリノプロパン−1(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア907」)、ベンジルメチルケタ−ル(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア651」)、2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製「カヤキュアDETX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製「カヤキュアEPA」)との混合物、イソプロピルチオキサントン(ワ−ドプレキンソップ社製「カンタキュア−ITX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物、アシルフォスフィンオキシド(BASF社製「ルシリンTPO」)などが挙げられる。光重合開始剤の使用量は組成物に対して10質量%以下が好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。
重合させるための光は、重合性液晶組成物層表面から照射しても、基板側から照射してもよく、任意で構わないが、通常は光重合開始剤を添加した側から照射する。
一方、加熱による重合は、重合性液晶組成物が液晶相を示す温度又はそれより低温で行うことが好まし。特に加熱によりラジカルを放出する熱重合開始剤を使用する場合には、その開裂温度が重合性液晶組成物の液晶相温度域内又はそれより低温であることが好ましい。また該熱重合開始剤と光重合開始剤とを併用する場合には上記の温度域の制限と共に光配向性重合性組成物層と重合性液晶組成物層の両層の重合速度が大きく異なることの無い様に重合温度と各々の開始剤を選択することが好ましい。加熱温度は、重合性液晶組成物の液晶相から等方相への転移温度にもよるが、熱による不均質な重合が誘起されてしまう温度よりも低い温度で行うことが好ましく、20℃〜300℃が好ましく、30℃〜200℃がさらに好ましく、30℃〜120℃が特に好ましい。また例えば、重合性基が(メタ)アクリロイル基である場合は、90℃よりも低い温度で行うことが好ましく、30℃〜90℃がより好ましい。
上記の場合は適宜熱重合開始剤を用いることが好ましい。熱重合開始剤としては公知慣用のものが使用でき、例えば、メチルアセトアセテイトパ−オキサイド、キュメンハイドロパ−オキサイド、ベンゾイルパ−オキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネイト、t−ブチルパ−オキシベンゾエイト、メチルエチルケトンパ−オキサイド、1,1−ビス(t−ヘキシルパ−オキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、p−ペンタハイドロパ−オキサイド、t−ブチルハイドロパ−オキサイド、ジクミルパ−オキサイド、イソブチルパ−オキサイド、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネイト、1,1−ビス(t−ブチルパ−オキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾニトリル化合物;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオン−アミヂン)ジハイドロクロライド等のアゾアミヂン化合物;2,2’アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}等のアゾアミド化合物;2,2’アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等のアルキルアゾ化合物等を使用することができる。熱重合開始剤の使用量は組成物に対して10質量%以下が好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。
以上に示した光重合開始剤及び熱重合開始剤等の重合開始剤は、光配向性重合性組成物層と、重合性基を有する重合性液晶組成物層のどちらかに含まれていれば良く、両方に含まれていてもよい。両層の界面は液状なので、重合開始剤及び重合開始剤が開裂して生じるラジカルは、ある程度両層を移動することができる。従って、どちらかの層に含まれていれば、両層を同時に重合させることができ、層(A)11と層(B)12とが共有結合され積層された光学異方性層13を得ることができる。
例えば、光配向性重合性組成物は重合開始剤を含まず、重合性液晶組成物に重合開始剤を含む場合、重合性液晶組成物層から、重合開始剤が光配向性重合性組成物層へ若干移行する。更に光又は熱を加えることで、重合性液晶組成物中で発生したラジカルは光配向性重合性組成物層へ移行し、両層及びその界面も重合させることができる。
得られた光学フィルム10の膜厚は薄いほど好ましいが、膜厚制御の容易さと重合性液晶硬化膜の複屈折の大きさを考えると、光配向膜と重合性液晶層からなる光学異方性層13の1層の好ましい膜厚は0.1〜20μmが好ましく、0.5〜10μmが尚好ましく、1〜5μmが最も好ましい。
本発明において、工程(I)を複数回繰り返して得た、複数層積層する光学異方性層13の、積層数、入射光に対する方位角、及び位相差値は、欲する円偏光板又は楕円偏光板の要求特性に応じて任意に選択し、組み合わせることができる。
(積層数)
積層数は、積層数が多い程、広帯域の偏光板を得ることができるため、特に明確な限界値はない。しかし、あまり多く積層すると膜厚が厚くなり実用的ではないため、光学異方性層13が2層以上20層以下であることが好ましい。通常は2〜5層の積層が好ましく、2〜3層の積層が実用的である。
(方位角)
方位角は、0〜180°(0〜−180°)の範囲から任意に選択できる。
(位相差)
位相差は、光学フィルム10の使用目的と使用波長領域により決定する。例えば可視光域において使用する場合は、波長540nmにおける位相差が1/2波長板で240〜320μm、1/4波長板で120〜160μmである。これより大きくても差し支えないが膜厚が厚くなる。例えば、波長540nmで測定した位相差が240〜300nmである光学異方性層13と、120〜150nmである光学異方性層13との組み合わせが好ましい。
位相差は、例えば、自動複屈折計等で測定可能である。
(複数ある光学異方性層13の光軸の規制精度)
光学異方性層13を特定の角度で積層することにより、様々の光学的な機能を発現させることができる。この積層角度は理論式に基づいた計算により求めることができる。既に多くの積層構造が提案されている。
波長板の入射光に対する傾き角と位相差の組み合わせ方を、偏光の表示方法としてよく用いられるポアンカレ球を用いて説明する。入射偏光に対し1/2波長板に相当する適当な位相差板(第一位相差板)を置くことによって入射偏光の振動方向を変え、ポアンカレ球上の任意の赤道上に偏光状態を移動させる(第1偏光状態)。しかし、入射光には1/2波長条件からずれた波長の成分光が含まれており、それらは第一位相差板により広帯域化するため、第一位相差板を透過後の偏光状態がポアンカレ球上の第一偏光状態を通る子午線上もしくはこれになるべく近接した位置に整列している必要がある。
この目的のために第一位相差板は、1/2波長板一枚で構成してもよく、また1/2波長板を複数枚用いた構成でもよく、1/2波長とは異なる位相差を持つ位相差板を複数枚用いてもよく、これらと1/2波長板との組み合わせで構成してもよい。
第一位相差板を透過した光を1/4波長板に通して偏光状態をポアンカレ球上の極に移動させることにより、円偏光を得る。この1/4波長板を透過することによって第一位相差板を透過した時に生じた入射光の波長に起因する位相差の差はちょうど打ち消しあい、全波長の光が同じ偏光状態である円偏光となる。逆に言うと第一位相差板の構成は、この1/4波長板を透過した後の波長毎の位相差を解消するよう組み合わせておく必要がある。
理論的には、得られた設定角度が1°ずれただけで、光学的な機能に大きな差異を生じるので、精密に設計値どおりに2つの光学異方性層13を積層する必要がある。本発明の光学フィルム10は、(工程b)における紫外線の照射方向または偏光の振動方向を任意に変化させることで、任意の配向方向に配向した光学異方性層13の積層体を簡単に得ることが可能である。具体的には、光学異方性層13の互いの遅相軸のなす角度が、所望の角度±0.1°以内の積層角度誤差で積層されている光学フィルム10を得ることが可能である。
また液晶表示素子の場合、基板に隣接する液晶化合物の配向方向と光学異方性層13の光軸(遅相軸)とのなす角を設計値に出来るだけ近づけるために、具体的には、下記の製造方法を行う。
本発明の具体的態様について、ここでは、基板として長尺フィルムを用いた例を説明する。
1)1/2波長板として機能する光学異方性層13と1/4波長板として機能する光学異方性層13とを積層した広帯域1/4波長板、及び、該広帯域1/4波長板と偏光板20とを積層した広帯域円偏光板の製造方法
(工程a)長尺フィルム上に光配向性重合性組成物を塗布、乾燥させる。
(工程b)該層上に、紫外線を、該フィルムの長手方向を基準に方位角75°(または−105°)だけ傾いた方向から斜め照射、例えばフィルムの法線方向から極角45°だけ傾けて照射することで、該フィルムの長手方向から方位角75°だけ傾いた方向に液晶配向能を有する層(A)11を形成する。あるいは、該フィルムの法線方向に位置する偏光紫外線照射装置を使用して、偏光の振動方向がフィルムの長手方向から方位角にして165°(または−15°)傾くよう照射する方法でも、該フィルムの長手方向から方位角75°だけ傾いた方向に液晶配向能を有する層(A)11を形成できる。この時、紫外線の照射方向は、長尺フィルムの搬送方向と全く無関係に照射装置の配置及び構造によって任意に選択することができる。また、光学系の回転機構の精度を方位角にして1.0〜0.01°にすることも容易である。
(工程c)得られた層(A)11上に、位相差が入射光の波長において1/2波長となるように厚さを制御した液晶化合物を塗布し、層(A)11上で配向させる。
(工程d)この2層を同時に紫外線照射により重合させることで、層(A)11と層(B)12とが共有結合し、遅相軸がフィルム長手方向から方位角において75°だけ傾いた1/2波長板として機能する光学異方性層13を作成することができる。
次に、得られた光学異方性層13上に続けて、前記(工程a)〜(工程d)を繰り返す。この時、(工程b)における紫外線の照射方向は、フィルムの長手方向を基準に方位角15°(または−165°)だけ傾いた方向から斜め照射、例えばフィルムの法線方向から極角45°傾けて照射とする。このようにすることで、フィルムの長手方向から方位角15°傾いた方向に液晶配向能を有する層(A)11を形成できる。あるいはフィルムの法線方向に位置する偏光紫外線照射装置を用いて偏光の振動方向がフィルムの長手方向から方位角にして105°(または−75°)傾くよう照射しても、フィルムの長手方向から方位角15°だけ傾いた方向に液晶配向能を有する層(A)11を形成できる。また、(工程c)における重合性液晶組成物層の膜厚は、位相差が先の入射光の波長において1/4波長として機能する光学異方性層13となるようにする。これにより、広帯域1/4波長板を簡単に作成することができる。
該広帯域1/4波長板と、吸収軸が長手方向である長尺の偏光板20とを、長手方向を揃えて積層することにより、容易に広帯域円偏光板とすることができる。
2)1/2波長板として機能する光学異方性層13の2層と、1/4波長板として機能する光学異方性層13とを積層した広帯域1/4波長板、及び、該広帯域1/4波長板と偏光板20とを積層した広帯域円偏光板の製造方法
1回目の(工程b)における紫外線の照射方向を、遅相軸がフィルムの長手方向から方位角176°(または−4°)とし、且つ(工程c)における重合性液晶組成物層の膜厚を位相差が先の入射光の波長において1/2波長となるようにする。2回目の(工程b)における紫外線の照射方向を、遅相軸がフィルムの長手方向から方位角154°(または−26°)とし、且つ(工程c)における重合性液晶組成物層の膜厚を位相差が先の入射光の波長において1/2波長となるようにする。3回目の(工程b)における紫外線の照射方向を、遅相軸がフィルムの長手方向から方位角91°(または−89°)とし、且つ(工程c)における重合性液晶組成物層の膜厚を位相差が先の入射光の波長において1/4波長となるようにする。このように光学異方性層13を積層することで広帯域1/4波長板を簡単に作成することができ、該広帯域1/4波長板と、吸収軸が長手方向である長尺の偏光板20とを、長手方向を揃えて積層することにより、容易に広帯域円偏光板とすることができる。
(光学的等方性樹脂層)
本発明における光学異方性層13の積層は、前述の通り工程(I)を複数回繰り返すことによってなされる。一方、基板の表面状態や基板に積層した層の表面状態によっては、前記隣り合う2層の光学異方性層13間に光学的等方性樹脂層を設けてもよい。光学的等方性樹脂層を含む光学フィルム10の一例を図3に示す。図3において、符号14は光学的等方性樹脂層を示す。
光学的等方性樹脂層14の材質としては特に限られるものではないが、アクリル樹脂やポリビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂類、アクリルモノマー等の光重合性樹脂やエポキシモノマー等の熱重合性樹脂を使用した重合性樹脂等を使用することができる。中でも、塗布後の光学的等方性樹脂層14表面の平滑化を考えると、高粘度塗工液を形成しうる高分子化合物または高粘度モノマーが望ましく、粘度は200〜20000Pa・secであることが望ましく、500〜20000Pa・secであることがより望ましい。
光学的等方性樹脂層14の厚さは上記の目的を達成するものであれば制限されないが、工業的な応用を考えると薄型化、軽量化が望まれることから、厚さは0.01〜30μmであることが望ましく、0.01〜10μmであることがより望ましい。
光学的等方性樹脂層14は塗布法により、光学異方性層13の上に直接設けることができる。また必要により光照射または熱による重合を行ってもよい。
隣り合う層(A)11と層(B)12とが共有結合で結合された光学異方性層13の間に、光学的等方性樹脂層14を設けることで、層間の接着性あるいは密着性、もしくは前層表面の平坦性を向上させることができる。また、隣り合う該光学異方性層13が有する、異なる配向方向が影響を及ぼすことのないように光学フィルム10を作成することができる。即ち、一層目の層(B)12の表面配向及び表面状態が2層目の層(A)11に影響を及ぼすことを避けることができるため、円偏光板の楕円率を高め、楕円偏光板の波長依存性を減じることができる。また、異方性を有する層間の屈折率差等に起因する界面反射を避けることができる。
本発明の光学フィルム10を用いて、液晶表示素子を作成することが可能である。この液晶表示素子の1例を図4に示す。図4において、符号30,40,50はそれぞれ液晶層、配向膜、画素電極を示す。
(偏光板20)
得られた光学フィルム10は、直線偏光板等の適当な偏光板20と貼合することで楕円偏光板や円偏光板を形成することができる。偏光板20としては特に制限はなく、ヨウ素系および染料系の偏光フィルム、またグラントムソン、グランテ−ラ−等の偏光プリズムと組み合わせることもできる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、「%」及び「部」は各々「質量%」及び「質量部」を表わす。
(光配向性重合性組成物の調製 A−1)
式(1)で表される化合物を2−ブトキシエタノール、1−ブタノール、水、エタノールからなる混合溶媒に溶解し、固形分1質量%溶液とした。この溶液を孔径0.1μmのフィルタ−で濾過し、光配向性重合性組成物溶液(A−1)とした。
Figure 2006209097
(光配向性重合性組成物の調製 A−2)
式(2)で表される化合物40質量部と式(3)で表される化合物を60質量部ずつ混合し、2−ブトキシエタノール、1−ブタノール、水、エタノールからなる混合溶媒に溶解して2質量%溶液とした。この溶液を孔径0.1μmのフィルタ−で濾過し、光配向性重合性組成物溶液(A−2)とした。
Figure 2006209097
Figure 2006209097
(光配向性重合性組成物の調製 A−3)
式(2)で表される化合物を2−ブトキシエタノール、1−ブタノール、水、エタノールからなる混合溶媒に溶解して2質量%溶液とした。この溶液を孔径0.1μmのフィルタ−で濾過し、光配向性重合性組成物溶液(A−3)とした。
(光配向性重合性組成物の調製 A−4)
ポリビニルシンナメート(アルドリッチ社製 分子量20万)をNMPと2−ブトキシエタノールからなる溶媒に溶解し、固形分濃度1質量%溶液とした。これを光配向性重合性組成物(A−4)とした。
(重合性液晶組成物の調製)
式(4)、(5)、(6)、(7)、(8)で表される化合物を、質量比がそれぞれ22:18:33:22:5になるように混合して重合性液晶組成物を調製し、これに質量平均分子量47000の添加剤(9)を重合性液晶組成物100質量部に対し0.5質量部を混合した。次いで孔径0.1μmのフィルタ−で濾過した。この該重合性液晶組成物96部にチバスペシャリティケミカルズ(株)製の光重合開始剤「イルガキュア907」4部、キシレン100部を混合し、重合性液晶組成物溶液(B−1)とした。該重合性液晶組成物溶液(B−1)からキシレンを蒸発させた後の液晶組成物は、25℃において液晶相を示した。よって、以下の実施例では該液晶組成物を25℃において用いた。
Figure 2006209097
Figure 2006209097
Figure 2006209097
Figure 2006209097
Figure 2006209097
Figure 2006209097
下記に示す実施例で得られた光学フィルム10は以下に示す評価方法により測定し結果は表1に示した。
位相差は、自動複屈折計(コブラ21ADH(王子計測機器(株)製))を用い、540nmの波長で測定した。円偏光板の楕円率の波長分散は、自動複屈折計(コブラ21ADH(王子計測機器(株)製))を用いて477.8nm、545.7nm、628.6nmの各波長で測定した。また、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム上に形成した光学フィルム10とTACフィルムとの接着力は、作成した位相差膜にカッタ−で1mm角の碁盤目状に切れ目を入れ、セロテ−プ(セロテープは登録商標である)を貼って垂直方向に引き上げ、光学フィルム10の残った碁盤目の数の割合を求めた。膜中に生成した欠陥は、直交ニコル下の偏光顕微鏡観察によって光り抜けしている点の数を数えて評価し表1に示した。光学フィルム10の積層角度の精度及び再現性は、複数サンプルの楕円率測定の値から推測した。光学フィルム10の有効利用率は、切抜きにより廃棄せざるを得なかった光学フィルム10の面積によって判定した。
(実施例1)
TACフィルムをコロナ処理した後、光配向性重合性組成物溶液(A−1)をスピンコートし、膜厚20nmの層を形成した。これを80℃で乾燥した後、配向処理を行うため、365nmのバンドパスフィルターを介した紫外線を該層面に対し45°傾いた方向から強度2mW/cmで500sec照射し、層(A)11を形成した。この照射光の該層への射影が示す方位角を0°とする。層(A)11上に重合性液晶組成物溶液(B−1)をスピンコートし、80℃で乾燥後、窒素雰囲気下で紫外線を640mJ/cm照射し、波長540nmで測定した位相差が270nmの光学異方性層13を得た。次いでこの表面をコロナ処理した後、ポリビニルアルコール(PVA)の5wt%水溶液をスピンコートし、80℃で乾燥して、光学的等方性樹脂層14を設けた。
この上に、方位角60°、位相差135nmとした以外上記と同じ条件で光配向性重合性組成物溶液(A−1)および重合性液晶組成物溶液(B−1)を塗布した。これを偏光板20上にTAC面が貼合面となるよう接着し、円偏光板とした。積層角度としては、偏光板20の吸収軸と位相差270nmの波長板の遅相軸との角度は75°であり、位相差135nmの波長板の遅相軸との角度は15°であった。
(実施例2)
ヨウ素を含浸したPVAとTACからなる偏光板20をコロナ処理した後、光配向性重合性組成物溶液(A−1)をスピンコートし、膜厚20nmの層を形成した。これを80℃で乾燥した後、配向処理を行うため、365nmのバンドパスフィルターを介した紫外線を該層面に対し45°傾いた方向から強度2mW/cmで500sec照射し、層(A)11を形成した。この照射光の層(A)11への射影が示す方位角を0°とする。層(A)11上に重合性液晶組成物溶液(B−1)をスピンコートし、80℃で乾燥後、窒素雰囲気下で紫外線を640mJ/cm照射し、波長540nmで測定した位相差が270nmの光学異方性層13を得た。次いでこの表面をコロナ処理した後、PVAの5wt%水溶液をスピンコートし、80℃で乾燥して、光学的等方性樹脂層14を設けた。
この上に方位角60°、位相差135nmとした以外上記と同じ条件で光配向性重合性組成物溶液(A−1)および重合性液晶組成物溶液(B−1)を塗布した。積層角度としては、偏光板20の吸収軸と位相差270nmの波長板の遅相軸との角度は75°であり、位相差135nmの波長板の遅相軸との角度は15°であった。
(実施例3)
TACフィルムをコロナ処理した後、光配向性重合性組成物溶液(A−2)をスピンコートし、膜厚20nmの層を形成した。これを80℃で乾燥した後、配向処理を行うため、365nmのバンドパスフィルターを介した紫外線を該層面に対し45°傾いた方向から強度2mW/cmで500sec照射し、層(A)11を形成した。この照射光の層(A)11への射影が示す方位角を0°とする。層(A)11上に重合性液晶組成物溶液(B−1)をスピンコートし、80℃で乾燥後、窒素雰囲気下で紫外線を640mJ/cm照射し、波長540nmで測定した位相差が270nmの光学異方性層13を得た。次いでこの表面をコロナ処理した後、PVAの5wt%水溶液をスピンコートし、80℃で乾燥して、光学的等方性樹脂層14を設けた。
この上に方位角60°、位相差135nmとした以外上記と同じ条件で光配向性重合性組成物溶液(A−2)および重合性液晶組成物溶液(B−1)を塗布した。これを偏光板20上にTAC面が貼合面となるよう接着し、円偏光板とした。積層角度としては、偏光板20の吸収軸と位相差270nmの波長板の遅相軸との角度は75°であり、位相差135nmの波長板の遅相軸との角度は15°であった。
(実施例4)
TACフィルムをコロナ処理した後、光配向性重合性組成物溶液(A−1)をスピンコートし、膜厚20nmの層を形成した。これを80℃で乾燥した後、配向処理を行うため、365nmのバンドパスフィルターを介した紫外線を配向層面に対し45°傾いた方向から強度2mW/cmで500sec照射し、層(A)11を形成した。この照射光の層(A)11への射影が示す方位角を0°とする。層(A)11上に重合性液晶組成物溶液(B−1)をスピンコートし、80℃で乾燥後、窒素雰囲気下で紫外線を640mJ/cm照射し、波長540nmで測定した位相差が270nmの光学異方性層13を得た。次いでこの表面をコロナ処理した後、方位角60°、位相差135nmとした以外上記と同じ条件で光配向性重合性組成物溶液(A−1)および重合性液晶組成物溶液(B−1)を塗布した。これを偏光板20上にTAC面が貼合面となるよう接着し、円偏光板とした。積層角度としては、偏光板20の吸収軸と位相差270nmの波長板の遅相軸との角度は75°であり、位相差135nmの波長板の遅相軸との角度は15°であった。
(実施例5)
TACフィルムをコロナ処理した後、光配向性重合性組成物溶液(A−1)をマイクログラビアコータを用いて連続成膜し、膜厚20nmの層を形成した。これを80℃で乾燥した後、配向処理を行うため、365nmのバンドパスフィルターを介した偏光紫外線を該層面の法線方向から4J/cm照射し、層(A)11を形成した。この時、照射偏光の振動方向をフィルムの長手方向に対し15°傾いた方向とする。層(A)11上に重合性液晶組成物溶液(B−1)をマイクログラビアコータを用いて塗布し、80℃で乾燥後、窒素雰囲気下で紫外線を640mJ/cm照射し、波長540nmで測定した位相差が270nm、遅相軸のフィルムの長手方向に対する方位角が75°の光学異方性層13を得た。次いでこの表面をコロナ処理した後、方位角15°、位相差135nmとした以外上記と同じ条件で光配向性重合性組成物溶液(A−1)および重合性液晶組成物溶液(B−1)を塗布した。これを偏光板20上にTAC面が貼合面となるよう接着し、円偏光板とした。積層角度としては、偏光板20の吸収軸と位相差270nmの波長板の遅相軸との角度は75°であり、位相差135nmの波長板の遅相軸との角度は15°であった。
(実施例6)
TACフィルムをコロナ処理した後、光配向性重合性組成物溶液(A−1)をマイクログラビアコータを用いて連続成膜し、膜厚20nmの層を形成した。これを80℃で乾燥した後、配向処理を行うため、365nmのバンドパスフィルターを介した偏光紫外線を該層面の法線方向から4J/cm照射し、層(A)11を形成した。この時、照射偏光の振動方向をフィルムの長手方向に対し15°傾いた方向とする。層(A)11上に重合性液晶組成物溶液(B−1)をマイクログラビアコータを用いて塗布し、80℃で乾燥後、窒素雰囲気下で紫外線を640mJ/cm照射し、波長540nmで測定した位相差が135nm、遅相軸のフィルムの長手方向に対する方位角が75°の光学異方性層13を得た。次いでこの表面をコロナ処理した後、もう一度同じ工程を繰り返し、方位角75°、位相差135nmの異方性層を積層し、先に積層した異方性層と合わせて方位角75°、位相差270nmの異方性層を得た。次いでこの表面をコロナ処理した後、方位角15°、位相差135nmとした以外上記と同じ条件で光配向性重合性組成物溶液(A−1)および重合性液晶組成物溶液(B−1)を塗布した。これを偏光板20上にTAC面が貼合面となるよう接着し、円偏光板とした。積層角度としては、偏光板20の吸収軸と位相差270nmの波長板の遅相軸との角度は75°であり、位相差135nmの波長板の遅相軸との角度は15°であった。
(比較例1)
TACフィルムをコロナ処理した後、大日本インキ化学工業(株)の側鎖にアクリル基を有するフェノールノボラック型エポキシアクリレートの2−ブトキシエタノール溶液(濃度30wt% 以下、ラビング配向膜用溶液(C)とする)をスピンコ−タ−にて塗布し、60℃にて30分乾燥した。これをラビング処理し、この配向層上に重合性液晶組成物溶液(B−1)をスピンコートし、80℃で乾燥後、窒素雰囲気下で紫外線を640mJ/cm照射し、波長540nmで測定した位相差が270nmの光学異方性層13を得た。
上記方法と同様にして、別のTACフィルムに位相差が135nmとなるよう膜厚を制御して光学異方性層13を得た。これら2種類の波長板を偏光板20に貼合するため、偏光板20の形に合わせて矩形の波長板を切り出した後、接着剤を介して貼合した。その際、切り抜かれた原反は廃棄せざるを得なかった。また目標とする積層角度としては、偏光板20の吸収軸と270nmの波長板の遅相軸との角度は75°であり、135nmの波長板の遅相軸との角度は15°であった。そこで、貼合をフィルムの一辺を合わせることによって行おうとしたが、遅相軸の方向をフィルムの一辺の方向に合わせて切断することが困難であり、フィルム同士の角度調整をフィルムの一辺を合わせることによって精密に行うのも困難であった。この円偏光板の楕円率の波長分散を自動複屈折計で測定し、試作を繰り返した中で最も高い楕円率を表1に記載したが、サンプル間のばらつきはかなり大きなものとなった。また得られた円偏光板の楕円率から推定するに、積層角度の再現性が悪く実際の角度はこれらの値からずれた値になったものと思われる。
(比較例2)
TACフィルムをコロナ処理した後、光配向性重合性組成物溶液(A−3)をスピンコートし、膜厚20nmの層を形成した。これを80℃で乾燥した後、配向処理を行うため、365nmのバンドパスフィルターを介した紫外線を該層面に対し45°傾いた方向から強度2mW/cmで500sec照射し、光配向層を作成した。この照射光の光配向層への射影が示す方位角を0°とする。光配向層上に重合性液晶組成物溶液(B−1)をスピンコートし、80℃で乾燥後、窒素雰囲気下で紫外線を640mJ/cm照射し、波長540nmで測定した位相差が270nmの光学異方性層13を得た。次いでこの表面をコロナ処理した後、PVAの5wt%水溶液をスピンコートし、80℃で乾燥して、光学的等方性樹脂層14を設けた。
この上に方位角60°、位相差135nmとした以外上記と同じ条件で光配向性重合性組成物溶液(A−3)および重合性液晶組成物溶液(B−1)を塗布した。これを偏光板20上にTAC面が貼合面となるよう接着し、円偏光板とした。積層角度としては、偏光板20の吸収軸と位相差270nmの波長板の遅相軸との角度は75°であり、位相差135nmの波長板の遅相軸との角度は15°であった。
表1に、以上の結果をまとめた。
Figure 2006209097
実施例1〜6に対して得られた楕円率の測定値と、計算により得られる楕円率の計算値との相違より、積層角度の誤差は0.1°以内であることがわかった。一方、比較例1では、0.1°を越える積層角度誤差が見られた。
また、比較例2では、光配向層と重合体層が共有結合で結合されていないため、剥離強度が十分ではなかった。
(透過光強度の評価)
(実施例7)
ガラス基板上に、光配向性重合性組成物溶液(A−1)(これは、実施例1で使用した光配向性重合性組成物である。)をスピンコートし、膜厚20nmの層を形成し、80℃で乾燥した後、365nmのバンドパスフィルターを介した紫外線を該層面に対し45°傾いた方向から強度2mW/cmで500sec照射して光配向操作を行い、層(A)11を形成した。この照射光の該層への射影が示す方位角を0°とする。層(A)11上に重合性液晶組成物溶液(B−1)をスピンコートし、80℃で乾燥後、窒素雰囲気下で紫外線を640mJ/cm照射し、波長540nmで測定した位相差が270nmの光学異方性層13を得た。次いで該表面をコロナ処理した後、ポリビニルアルコール(PVA)の5wt%水溶液をスピンコートし、80℃で乾燥して、光学的等方性樹脂層14を設けた。
この上に、方位角60°、位相差135nmとした以外上記と同じ条件で光配向性重合性組成物溶液(A−1)および重合性液晶組成物溶液(B−1)を塗布し、光学異方性層13が積層された光学フィルム10を得た。
(実施例8)
ガラス基板上に、光配向性重合性組成物溶液(A−4)をスピンコートし、100℃にて2分乾燥後、313nmのバンドパスフィルターを介した偏光紫外線を5J/cm照射して光配向操作を行い、層(A)11を形成した。照射した偏光の振動方向が示す方位角を0°とする。層(A)11上に重合性液晶組成物溶液(B−1)をスピンコートし、80℃で乾燥後、窒素雰囲気下で紫外線を640mJ/cm照射し、波長540nmで測定した位相差が270nmの光学異方性層13を得た。次いでこの表面をコロナ処理した後、PVAの5wt%水溶液をスピンコートし80℃で乾燥して、光学的等方性樹脂層14を設けた。この上に方位角60°、位相差135nmとした以外上記と同じ条件で光配向性重合性組成物溶液(A−4)および重合性液晶組成物溶液(B−1)を塗布し、光学異方性層13が積層された光学フィルム10を得た。
(比較例3)
ガラス基板上に、前記比較例1と同様の方法で、ラビング配向膜用溶液(C)を使用した、光学異方性層13が積層された光学フィルム10を得た。
(比較例4)
ガラス基板上に、前記比較例2と同様の方法で、光配向性重合性組成物溶液(A−3)を使用した、光学異方性層13が積層された光学フィルム10を得た。
(透過光強度の測定方法)
透過光強度は自動複屈折計(コブラ21ADH(王子計測機器(株)製))を用いて光線透過率を測定し、フィルム法線方向の透過光強度に対する、法線から50°傾いた方向への透過光強度の比をもって表した。
結果を表2に示す。
Figure 2006209097
実施例7は、光配向膜用組成物として、前記一般式(1)で表される低分子化合物を使用した例であるが、透過光強度比が73.8%と高い値を示している。実施例8は光配向膜用組成物として、分子量が20万のポリビニルシンナメートを使用した例であるが、透過光強度比は比較的高いものの、低分子量の光配向膜を使用したものに比べると低く十分なものではない。
比較例3は、配向膜用組成物として、ラビング用樹脂ポリマーを使用した例であるが、透過光強度比は最も低い。比較例4は、前記一般式(2)で表される低分子化合物を使用した例であり、透過光強度比は優れる。
前記表1及び表2の結果より、設計通りの光学軸の位置関係(積層角度)で精密に積層でき、光配向膜と重合性液晶層との界面のはがれ等がなく耐久性に優れ、且つ、透過光強度比にも優れる光学フィルム10が得られるのは、実施例に記載の光学フィルム10である。
本発明の光学フィルム10、該光学フィルム10と偏光板20を積層してなる円偏光板や楕円偏光板は、反射型の液晶表示装置に限らず、表面での反射を抑える反射防止膜としても使用できる。これらはタッチパネル、エレクトリックルミネッセンス(EL)ディスプレイ、反射型プロジェクターなどで応用できる。
本発明の光学フィルムの1例の断面図である。 本発明の光学フィルムを用いた楕円偏光板及び円偏光板の1例の断面図である。 光学的等方性樹脂層を含む本発明の光学フィルムの1例の断面図である。 本発明の光学フィルムを用いた液晶表示素子の1例の断面図である。
符号の説明
10 光学フィルム
11 光配向層(A)
12 重合体層(B)
13 光学異方性層
14 光学的等方性樹脂層
20 偏光板
30 液晶層
40 配向膜
50 画素電極



Claims (15)

  1. 光照射により液晶配向能を生じさせた光配向層(A)と、重合性基を有する液晶化合物を含有し、前記光配向層(A)により配向させた状態で重合して得られる重合体層(B)とが共有結合で結合された光学異方性層が複数層積層されたことを特徴とする光学フィルム。
  2. 前記隣り合う2層の光学異方性層の間に光学的等方性樹脂層を有する請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記複数層ある光学異方性層の少なくとも1つが波長540nmで測定した位相差が240〜300nmである第1の光学異方性層であり、且つ、前記複数層ある光学異方性層の少なくとも1つが波長540nmで測定した位相差が120〜150nmである第2の光学異方性層である請求項1に記載の光学フィルム。
  4. 前記光学異方性層が、1/2波長板の機能を有する光学異方性層と、1/4波長板の機能を有する光学異方性層である請求項1に記載の光学フィルム。
  5. 前記複数層ある光学異方性層の積層角度誤差が±0.1°以内である請求項1に記載の光学フィルム。
  6. 前記光配向層(A)が重合性基を有する二色性染料を含有する請求項1に記載の光学フィルム。
  7. 前記重合性基を有する二色性染料の質量平均分子量が1×10〜5×10である、請求項6に記載の光学フィルム。
  8. 前記光配向層(A)が二色性染料及び重合性化合物を含有する請求項1に記載の光学フィルム。
  9. 前記二色性染料の質量平均分子量が1×10〜5×10である、請求項8に記載の光学フィルム。
  10. 前記重合性基を有する液晶化合物が棒状液晶化合物である請求項1に記載の光学フィルム。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の光学フィルムと、偏光板とを有することを特徴とする楕円偏光板。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の光学フィルムと、偏光板とを有することを特徴とする円偏光板。
  13. 請求項1〜10のいずれかに記載の光学フィルムを用いることを特徴とする液晶表示素子。
  14. 請求項1〜10のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法であって、光配向性基及び重合性基を有する化合物、あるいは光配向性基を有する化合物及び重合性化合物を含有する光配向性重合性組成物を塗布、乾燥して光配向性重合性組成物層を形成する工程aと、光配向性基が吸収しうる波長の偏光又は基板に対して斜め方向からの非偏光を照射して液晶配向能を与える工程bと、該層の上に重合性基を有する液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を含有する重合性液晶組成物層を形成する工程cと、積層した2層を、活性エネルギー線又は熱により両層の硬化を進めると同時に両層の重合性基を重合する工程dとを、この順に有する工程(I)を、複数回繰り返すことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  15. 前記複数回行う工程(I)の間に、光学的等方性樹脂層を塗布、乾燥する工程eを有する請求項14に記載の光学フィルムの製造方法。
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