JP4591753B2 - 光学異方体、及びその製造方法 - Google Patents
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また、TFT−LCDは、液晶分子の配列状態が90゜ねじれたTNモードを採用しており、応答速度が速く(数十ミリ秒)、容易に白色表示が得られ、高い表示コントラストを示すことから他の方式のLCDと比較して高画質化には最も有力な方式である。しかし、ねじれネマティック液晶を用いているため、表示方式の原理上、見る方向によって表示色や表示コントラストが変化するといった視角特性上の問題があり、これを解消するために位相差フィルムを使用している。
最近では、基板上に設けた重合性基を有するポリイミド塗膜をラビングし、その上に、重合性基を有するディスコティック液晶を塗布し、ポリイミド配向膜と、ディスコティック液晶からなる光学的異方性層とを界面を介して化学的に結合させてなる、耐久性に優れた光学補償シ−トも知られている。(例えば、特許文献2参照)
しかし特許文献3には、配向膜としてラビング膜を使用した例が記載されているだけで、光配向膜を使用した具体的な記載は何もない。該ポリマーを光配向膜に使用した場合、ポリマーであるので光に対する感度が低く、十分な液晶配向能を得られにくい問題があった。
光照射により液晶配向能を生じさせる方法は、ラビングせずに液晶分子を配向させることのできる配向方法の一つで、基板上に形成された膜に光を照射するだけで、非接触で膜に液晶配向能を生じさせることができる。光の方向により配向をコントロ−ルでき、ラビング法とは異なり原理的に傷や発塵の可能性がない等の特徴を有するため、重合性基を有する液晶を用いた位相差膜を作成する上で配向状態の制御に自由度が多くなり、傷による光漏れがなく、均一な膜を形成することができる。
X1は、−(A1−B1)m−で表される連結基を表し、X2は−(B2−A2)n−で表される連結基を表す。ここで、A1及びA2は各々独立して単結合、又は二価の炭化水素基を表し、B1及びB2は各々独立して単結合、−O−、−CO−O−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−NHCO−O−、又は−OCONH−を表す。m及びnは各々独立して0〜4の整数を表す。m又はnが2以上のとき、複数あるA1、B1、A2及びB2は、同じであっても異なっていてもよい。但し、二つのB1又は二つのB2の間に挟まれたA1又はA2は、単結合ではないものとする。
Yは、アゾベンゼン基、アントラキノン基、ベンゾフェノン基、シンナモイル基、カルコン基又はクマリン基を有する基を表す。)
また、光照射により液晶配向能を生じさせる方法は、光の方向により配向をコントロ−ルでき、ラビング法とは異なり原理的に発塵の可能性がなく、また、擦ることによる傷の発生がない等の特徴を有するため、重合性基を有する液晶を用いた位相差膜を作成する上で配向状態の制御に自由度が多くなり、また均一で光漏れ等のない膜を形成することができる。
また、一般に光配向膜のアンカリング力(配向膜と液晶分子との相互作用の大きさ)がラビング配向膜に比べて弱く、配向規制力が弱くなる欠点を、光配向膜層と重合体層との間を共有結合で結ぶことによって改善することもできる。
一般式(1)において、R1およびR2は、各々独立して、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基、及びマレイミド基からなる群から選ばれる重合性基を表す。なかでも、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、又は(メタ)アクリルアミド基であると、光重合や熱重合が比較的容易であり好ましい。またマレイミド基は、重合開始剤が不要となるので、より好ましい。
中でも、アゾベンゼン基が好ましく、下記構造のアゾベンゼン構造が特に好ましい。
本発明において、重合体層(B)を構成する重合性基を有する液晶化合物は、単独又は他の液晶化合物との組成物において液晶性を示す、重合性基を有する化合物であれば特に限定はない。例えば、Handbook of Liquid Crystals (D. Demus, J. W. Goodby, G. W. Gray, H. W. Spiess, V. Vill編集、Wiley−VCH 社発行、1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編、1994年)、あるいは、特開平7−294735号公報、特開平8−3111号公報、特開平8−29618号公報、特開平11−80090号公報、特開平11−148079号公報、特開2000−178233号公報、特開2002−308831号公報、特開2002−145830号公報に記載されているような、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基等の構造が複数繋がったメソゲンと呼ばれる剛直な部位と、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、エポキシ基といった重合性官能基とを有する棒状重合性液晶化合物、
本発明の光学異方体は、一般式(1)で表される化合物を含有し、光照射により液晶配向能を生じさせた層(A)(以下、層(A)と略す)と、重合性基を有する液晶化合物を前記層(A)により配向させた状態で重合して得られる重合体層(B)(以下、層(B)と略す)との積層膜を基板上に形成し、層(A)に液晶配向能を生じさせながら、あるいは生じさせて、液晶化合物の配向状態を保ったまま両層の重合性基を反応させることで得ることができる。本発明の光学異方体は、各々の層が完全に重合硬化している必要はなく、層(A)と層(B)との界面が共有結合で結合されていればよい。
本発明の具体的態様として、例を挙げる。
基板上へ重合開始剤を含まない光配向性重合性組成物を塗布乾燥して層(A)を形成し、該層に、前記基板側(層形成側とは反対側の基板面側)または前記層(A)表面側から、一般式(1)で表される化合物(以下、化合物(C)と略す)の有する光配向性基が吸収しうる波長の偏光を照射して液晶配向能を与える。光配向性基が、ワイゲルト効果による分子の配向誘起もしくは異性化反応等を利用する基である場合には、該基が効率よく吸収する波長の非偏光を基板に対して斜め方向から照射し液晶配向機能を与えてもよい(このことは、他の態様についても同様である。また、配向させるために照射する偏光及び基板に対して斜め方向からの非偏光をまとめて「配向光」という)。次いでこの上に光重合開始剤を含む重合性液晶組成物溶液を塗布乾燥させ、層(B)を形成する。層(A)の液晶配向能の効果により層(B)の重合性液晶は意図した配向状態をとる。次に、添加した光重合開始剤が吸収する波長の光を積層した2層に照射し、重合性液晶の硬化を進めると同時に層(A)と層(B)との界面に存在する光重合開始剤により両層の分子間で重合させる。光重合開始剤が開裂して生じるラジカルは両層を移動することができるので、光重合開始剤がどちらかの層に含まれていれば、両層の界面に存在する重合性基を重合させることができ、層(A)と層(B)とが共有結合され、両界面の接着性が改良され、耐久性に優れた光学異方体を得ることができる。更にこの方法は、光配向性重合性組成物が光重合開始剤を含まないので、配向光等を照射中に予期せぬ重合が起こるおそれがなく、配向処理を均一に行うことができる。
透明基板上へ重合開始剤を含まない光配向性重合性組成物を塗布乾燥させて層(A)を形成後、層(A)を配向させずに、この上に、光重合開始剤を含む重合性液晶組成物を塗布乾燥させ、層(B)を形成する。
次に、透明基板側から、又は層(B)表面側から配向光を照射し、層(A)に配向能を付与する。層(A)の配向能の付与に従い、層(B)の重合性液晶化合物も配向するため、より配向能を高めることができる。特に、層(A)側から、化合物(C)の有する光配向性基が吸収しうる波長の配向光又は基板に対して斜め方向からの非配向光を照射する方法が好ましい。この方法では、先に層(A)中の光配向性基が照射光の大部分を吸収し、その液晶配向能が生起し、積層してある層(B)の分子を配向する。照射の経過と共に、以下に説明する機構により照射光は層(A)を透過するようになり、層(B)に到達し該層中の光重合開始剤を開裂して重合反応を誘起すると共に、層(A)と層(B)との結合も生じる。即ち、透明基板側から光照射を行うと、アゾベンゼン基等のような異性化反応を生じてワイゲルト効果による分子配向が誘起される系では、光の吸収により層(A)中の光配向性基の配向方向が変化し吸収を最小化する配向状態をとるようになるため、照射光は次第に層(B)に漏れるようになり、層(B)の重合を誘起する。同様に層(A)として二量化反応(例:シンナモイル基)、光架橋反応(例:ベンゾフェノン基)、あるいは光分解反応(例:ポリイミド基)等を利用する化合物を用いた場合にも、配向光の吸収により該方向に配向した成分がそれぞれ二量化、光架橋、光分解し、次第に吸収する該基が減少して照射光は層(B)に漏れるようになり、層(B)の重合を誘起する。この態様では、照射する光は配向光と重合光を兼ねているため、配向制御しながら重合することとなり、配向に乱れが生じない優れた配向を得ることができる。上記光で十分に配向が進まない場合は、重合光を重ねて照射してもよい。
従って、層(A)と層(B)とが共有結合され、両界面の接着性が改良され、耐久性に優れた光学異方体を得ることができる。この場合も、光配向性重合性組成物が光重合開始剤を含まないので、配向光を照射中に予期せぬ重合が起こるおそれがなく、配向処理を均一に行うことができる。
光配向性重合性組成物溶液を基板上に塗布乾燥させて層(A)を形成後、前記基板側または前記層(A)表面側から、化合物(C)の有する光配向性基が吸収しうる波長の配向光又は基板に対して斜め方向からの非配向光を照射して液晶配向能を与える。この上に重合性液晶組成物溶液を塗布乾燥させ、層(B)を形成すると、重合性液晶化合物は意図した配向状態となる。次いで、積層した2層に、添加した光重合開始剤が吸収する波長の光を照射し、層(B)と層(A)との界面の分子間を結合すると共に、重合性液晶と化合物(C)の各々の硬化も進める。このような操作によっても、層(A)と層(B)とが共有結合され、両界面の接着性が改良され、耐久性に優れた光学異方体を得ることができる。
層(A)と層(B)を積層後に、上記の配向光照射と重合光照射を行っても良い。
光配向性重合性組成物溶液を基板上に塗布乾燥させて層(A)を形成後、前記基板側または前記層(A)表面側から、化合物(C)の有する光配向性基が吸収しうる波長の配向光又は基板に対して斜め方向からの非配向光を照射して液晶配向能を与える。この上に層(B)を形成し、両層を加熱して熱重合開始剤を開裂させて両層の硬化を進めると同時に、層(B)と層(A)との界面に存在する熱重合開始剤により両層の分子間を重合する。熱重合開始剤が開裂して生じるラジカルは、両層を移動することができるので、どちらかの層に含まれていれば、両層の界面に存在する重合性基を重合させることができ、層(A)と層(B)とが共有結合され、両界面の接着性が改良され、耐久性に優れた光学異方体を得ることができる。
層(A)と層(B)を積層後に、上記の配向光照射と重合光照射を行っても良い。
基板上へ熱重合開始剤を含む光配向性重合性組成物を塗布乾燥させて層(A)を形成後、前記基板側または前記層(A)表面側から、化合物(C)の有する光配向性基が吸収しうる波長の配向光又は基板に対して斜め方向からの非配向光を照射して液晶配向能を与える。次いで該層の上に光重合開始剤を含んだ層(B)を形成し、積層した2層を、熱重合開始剤の開裂する適当な温度に加温しながら光重合開始剤が吸収する波長の光を照射することによって、両層の硬化を進めると同時に両層の分子間を重合する。
層(A)と層(B)を積層後に、上記の配向光照射と重合光照射を行っても良い。
基板上に各々の組成物層を形成する方法は、スピンコ−ティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法などの塗布法やフレキソ法などの印刷法等、公知の方法を使用できる。
基板としては実質的に透明であれば材質に特に限定はなく、ガラス、セラミックス、プラスチック等を使用することができる。プラスチック基板としてはセルロ−ス、トリアセチルセルロ−ス、ジアセチルセルロ−スのセルロ−ス誘導体、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリカ−ボネ−ト、ポリビニルアルコ−ル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレ−ト、ポリエーテルサルホン、ポリアリレートなどを用いることができる。
基板に塗布して製造した該発明による光学異方体を液晶セルの基板に貼合してもよく、塗布により形成した光学異方体を基板より剥離して液晶セルの基板に貼合してもよく、また液晶セルのガラス基板又はプラスチック基板に直接、本発明の光学異方体を形成することもできる。
層(A)に液晶配向能を付与する(以下、光配向操作と略す)には、一般式(1)で表される化合物の有する光配向性基が吸収しうる波長の偏光を、塗膜表面あるいは塗膜表面とは反対側の基板側から、面に対して垂直に、あるいは斜め方向から照射すればよい。また、光配向性基が、ワイゲルト効果による分子の配向誘起もしくは異性化反応等を利用する基である場合には、該基が効率よく吸収する波長の非偏光を、塗膜表面あるいは基板側から、面に対して斜め方向から照射し液晶配向機能を与えてもよい。また、偏光と非偏光とを組み合わせても良い。
偏光は直線偏光、楕円偏光のいずれでも良いが、効率よく光配向を行うためには、消光比の高い直線偏光を用いることが好ましい。
図1は、層(A)に、面内配向方向に複数の異なる配向領域が交互に並ぶ配向パターンを与えた時の本発明の光学異方体を、基板の法線方向から見た平面図である。図2は、層(A)に、異なるプレチルト角を有する複数の異なる配向領域が交互に並ぶ配向パターンを与えた時の本発明の光学異方体を、基板の法線方向から見た平面図及び側面図である。
矢印1の方向は、同一配向領域内での層(B)の配向方向を示す。意図したパターン状に複数の方向に液晶配向能を生じさせた層(A)によって配向した状態で硬化した層(B)は、(A)の配向に基くパターンを示す。
本発明の光配向性重合性組成物及び重合性液晶組成物の重合操作は一般に紫外線等の光照射あるいは加熱によって行われる。
重合を光照射で行う場合は、既に得られている光配向性重合性組成物層の配向状態を乱さないようにするため、一般には、一般式(1)で表される化合物が有する光の吸収帯、例えば、アゾベンゼン骨格やアントラキノン骨格が持つ吸収帯以外の波長で行われることが好ましい。具体的には320nm以下の紫外光を照射することが好ましく、250〜300nmの波長の光を照射することが最も好ましい。但し、320nm以下の紫外光により光配向性重合性組成物及び重合性液晶組成物が分解などを引き起こす場合は、320nm以上の紫外光で重合処理を行ったほうが好ましい場合もある。この光は、既に得られた光配向性基の配向を乱さないために、拡散光で、かつ偏光していない光であることが好ましい。そのために、通常は、一般式(1)で表される化合物が有する光の吸収帯とは異なる光吸収波長帯域を持つ光重合開始剤を使用するのが好ましい。一方、重合のための光を光配向操作と同じ方向から照射する場合は、光配向材料の配向状態を乱す恐れがないので、任意の波長を用いることができる。
式(f)で表される化合物をN−メチルピロリドンに溶かして、固形分1重量%溶液とした。層(A)用組成物とした。
式(a)で表される化合物20質量部、式(b)で表される化合物40質量部、式(c)で表される化合物40質量部からなる液晶組成物を調製し、重合性液晶組成物(B−1)とした。
該重合性液晶組成物(B−1)のC−N転移温度は31℃、N−I転移温度は48℃であった。該重合性液晶組成物(B−1を48℃から降温させたところ、31℃以下で過冷却状態となり、25℃においても液晶相を示した。
なお、重合性液晶組成物(B−1)と(B−2)は、使用する際には、キシレンにより固形分濃度が50重量%になるように希釈し、孔径0.1μmのフィルタ−で濾過した。
ギャップ10μmのITO電極付TN型ガラスセルは対向する2枚のガラス基板からできており、セルの各々の基板の内側にはラビング方向が互いにほぼ直交しているポリイミド配向膜が形成されている。
該セルのガラス基板の外側両面にシランカップリング剤3−ビニルトリエトキシシランのエタノール溶液(濃度2wt%)を塗布し、110℃で10分熱処理した。次いで層(A)用組成物をスピンコ−タ−にて該セル外側の片側基板上に均一に塗布し、80℃で10分間熱風乾燥した。該基板面内において、基板内側に形成した配向膜のラビング方向と直交する方向であり、かつ塗膜表面の法線から45°傾いた方向から出力が1KWの超高圧水銀ランプより波長365nm付近の非偏光を、平行光の状態で積算光量5J/cm2照射し、層(A)に液晶配向能を付与した。
交流電界10V−30Hz印加時と無印加時とのガラスセルを透過するバックライトの光強度比を、ラビング方向に沿ってセル表面の法線からの傾角を変化させて測定し、コントラストの視野角依存性を測定した。コントラスト10以上となる視野角を表1に示した。
また、層(A)及び層(B)との接着力を評価するため、作成した光学異方体にカッタ−で2mm角の碁盤目状に切れ目を入れ、セロテ−プ(セロテープは登録商標である)を貼って垂直方向に引き上げ、光学異方体の残った碁盤目の数の割合を表1に示した。偏光顕微鏡観察により剥離部分に層(A)が残っていることから、剥離は層(A)と層(B)との界面で生じていることが確認できた。また光学異方体の表面及び内面には傷および異物は見られず、レタデーションの面内における均一性も変動係数で約3%と良好だった。
層(A)用組成物に、熱重合開始剤として和光純薬(株)製の2、2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)「V65」を固形分に対して2重量%になるように添加し、実施例1と同様にして、シランカップリング剤で処理したセル外側の片側基板上に均一に塗布し、40℃で30分間熱風乾燥した。次いで該基板面内において、基板内側に形成した配向膜のラビング方向と直交な方向であり、かつ塗膜表面の法線から45°傾いた方向から出力が1KWの超高圧水銀ランプより波長365nm付近の非偏光を平行光の状態で、積算光量5J/cm2照射し、層(A)に液晶配向能を付与した。
実施例1と同様に液晶を注入し、液晶セル2を作成した。実施例1と同様に試験を行い、その結果を表1に示した。
実施例1において、層(A)に塗膜表面の法線から45°傾いた方向から出力が1KWの超高圧水銀ランプより波長365nm付近の非偏光を、平行光の状態で積算光量5J/cm2照射し、層(A)に液晶配向能を付与した後、次いで層(A)上に、周期20μmの矩形状スリットを有するフォトマスクを乗せ、上記の層(A)の面内配向方向に対し直角であり塗膜表面の法線から45°傾いた方向から出力が1KWの超高圧水銀ランプを用いて波長365nm付近の非偏光を、平行光の状態で積算光量5J/cm2照射し、層(A)に面内配向方向が90°異なる矩形状の配向領域が交互に並ぶ配向パターンを与えた他は、実施例1と同様にして、光学異方体を作成した。
また、層(A)及び層(B)との接着力を評価するため、作成した光学異方体にカッタ−で2mm角の碁盤目状に切れ目を入れ、セロテ−プ(セロテープは登録商標である)を貼って垂直方向に引き上げ、光学異方体の残った碁盤目の数の割合を調べたところ87%であった。偏光顕微鏡観察により剥離部分に層(A)が残っていることから、剥離は層(A)及び層(B)の界面で生じていることが確認できた。
実施例1と同様にシランカップリング剤で処理したギャップ10μmのITO電極付TN型ガラスセルの外側に、大日本インキ化学工業(株)の側鎖にアクリル基を有するフェノールノボラック型エポキシアクリレート「NKエステル EA−6310 new」のエチルセルソルブアセテート溶液(濃度30wt%)をスピンコ−タ−にてセル外側の片側基板上に均一に塗布し60℃にて30分乾燥した。これをラビング処理することにより面内水平配向能を付与した。その際、配向方向は基板内側のポリイミド膜の配向方向に対し直角となるようにした。ラビング処理後、配向膜上に10μm前後のごみが多数付着していたので、光学異方体の光学的性質の悪化を防ぐため表面を流水により洗浄し、純水でリンスし70℃で30分乾燥した。
同様にして、該セルのもう一方側にも光学異方体を形成した。実施例1と同様に液晶を注入し視野角測定と碁盤目試験を実施した。結果を表1に示した。また偏光顕微鏡による光学異方体の観察を行ったところ、配向方向に沿ってラビングによる擦り傷が多数見られ、光学的均一性の低下が見られた。
実施例1と同様にシランカップリング剤で処理したギャップ10μmのITO電極付TN型ガラスセルの外側に、層(A)用組成物と、熱重合開始剤として和光純薬(株)製の2、2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル「V65」との質量比98対2の組成物を、セル外側の片側基板上に均一に塗布し、40℃で30分間熱風乾燥した。その後、該基板面内において、基板内側に形成した配向膜のラビング方向と直交な方向であり、かつ塗膜表面の法線から45°傾いた方向から出力が1KWの超高圧水銀ランプより波長365nm付近の非偏光を平行光の状態で、積算光量5J/cm2照射し、層(A)に液晶配向能を付与した。次いでこのセルを窒素中で60℃、120分熱処理し、配向を固定化した。
実施例1と同様にシランカップリング剤で処理したギャップ10μmのITO電極付TN型ガラスセルの外側に、側鎖にアクリル基を有するフェノールノボラック型エポキシアクリレート「NKエステル EA−6310 new」とチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の光重合開始剤「イルガキュア907」とを質量比98対2となるように混合した組成物のトルエン溶液(濃度5wt%)を、スピンコ−タ−にてセル外側の片側基板上に均一に塗布し60℃にて30分乾燥した。続いて窒素雰囲気下、該塗布面に出力が1KWの超高圧水銀ランプより積算光量2J/cm2の紫外線を照射し硬化した後、これをラビング処理することにより面内水平配向能を付与した。その際、配向方向は基板内側のポリイミド膜の配向方向に対し直角となるようにした。表面を流水により洗浄し、純水でリンスし70℃で30分乾燥した。
実施例1と同様に液晶を注入し視野角測定と碁盤目試験を実施した。結果を表1に示した。また偏光顕微鏡による光学異方体の観察も行った。
2 基板
3 パターン状に2以上の異なった方向の方向に液晶配向能を生じさせた層(A)
4 層(B)
Claims (8)
- 一般式(1)で表される化合物を含有し、光照射により液晶配向能を生じさせた層(A)と、重合性基を有する液晶化合物を前記層(A)により配向させた状態で重合して得られる重合体層(B)とが、共有結合で結合され積層されていることを特徴とする光学異方体。
(式中、R1およびR2は、各々独立して、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基、及びマレイミド基からなる群から選ばれる重合性基を表す。
X1は、−(A1−B1)m−で表される連結基を表し、X2は−(B2−A2)n−で表される連結基を表す。ここで、A1及びA2は各々独立して単結合、又は二価の炭化水素基を表し、B1及びB2は各々独立して単結合、−O−、−CO−O−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−NHCO−O−、又は−OCONH−を表す。m及びnは各々独立して0〜4の整数を表す。m又はnが2以上のとき、複数あるA1、B1、A2及びB2は、同じであっても異なっていてもよい。但し、二つのB1又は二つのB2の間に挟まれたA1又はA2は、単結合ではないものとする。
Yは、アゾベンゼン基、アントラキノン基、ベンゾフェノン基、シンナモイル基、カルコン基又はクマリン基を有する基を表す。) - 前記層(A)が、パターン状に2以上の異なった方向の方向に液晶配向能を生じさせた層である、請求項1又は2に記載の光学異方体。
- 一般式(1)で表される化合物を含有する層と、重合性基を有する液晶化合物を含有する層の積層膜を基板上に形成し、前記重合性基を有する液晶化合物を配向させた状態で、両層を重合させた、請求項1〜3のいずれかに記載の光学異方体。
- 前記重合性基を有する液晶化合物が、重合性基を有する棒状液晶化合物又は重合性基を有するディスコティック液晶化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の光学異方体。
- 前記基板が、ガラス基板又はプラスチック基板である、請求項1〜5のいずれかに記載の光学異方体。
- 請求項1に記載の光学異方体の製造方法であって、基板上に、一般式(1)で表される化合物を含有する層を形成し、該層に、偏光照射または斜め方向からの非偏光照射をすることにより前記層(A)を形成した後、前記層(A)上に重合性液晶化合物を含有する層を積層し、光照射若しくは加熱により、一般式(1)で表される化合物及び重合性液晶化合物を重合させることを特徴とする光学異方体の製造方法。
- 前記層(A)が、フォトマスクを通じて偏光照射または斜め方向からの非偏光照射をすることによりパターン状に2以上の異なった方向に液晶配向能を生じさせた層である、請求項7に記載の光学異方体の製造方法。
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JP2004220006A JP4591753B2 (ja) | 2003-07-31 | 2004-07-28 | 光学異方体、及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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