JP4661502B2 - 光配向膜用組成物および光配向膜の製造方法 - Google Patents

光配向膜用組成物および光配向膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は液晶配向膜の製造方法に関し、さらに詳しくは、光を照射することにより、ラビングを行うことなく液晶分子を配向させることができる、液晶配向膜(以下、光配向膜と略す)の製造方法に関する。
液晶表示装置においては、液晶の分子配列の状態を電場等の作用によって変化させて、これに伴う光学特性の変化を表示に利用している。多くの場合、液晶は二枚の基板の間隙に注入して用いられるが、この液晶分子を特定の方向に配列させるために、基板の内側に配向処理が施される。
従来多くの場合、配向処理はガラス等の基板にポリイミド等の高分子の膜を設け、これを一方向に布等で摩擦する、ラビングという方法が用いられる。これにより、液晶分子はその分子軸がラビングした方向と平行となるように配向する。しかしながら、ラビング法では機械的に擦ることによる高分子膜表面の微細な傷が、液晶配向欠陥の原因となったり、ラビング時の押し付け圧の不均一性などにより、配向ムラが生じたりすることで、液晶素子の精細度が低下するという問題がある。
このような問題を解決するために、近年ラビングを行わない液晶配向膜作製技術が注目されている。とりわけ、基板上に設けた塗膜に何らかの異方性を有する光を照射することで液晶の配向を得る光配向法は、量産性に優れ、大型の基板にも対応できることから実用化が期待されている。
このような光配向膜となり得るものとしてはアゾベンゼン誘導体のように光異性化反応をする化合物、シンナメート、クマリン、カルコン等の光二量化反応を生じる部位を有する化合物やポリイミドなど異方的な光分解を生じる化合物が知られており、最近では、液晶配向性能(オーダーパラメーター)及び耐光性を満足するような、二色性化合物及びメソゲン基を有するラジカル重合性単量体を使用する光配向膜(例えば特許文献1参照)、重合性基を有する特定のアゾ化合物を使用する光配向膜(例えば特許文献2、3参照)等が知られている。
しかしこれらの光配向膜は、いずれも光配向膜が液晶を配向させる力(配向規制力、アンカリング力ともいう)がラビング配向膜と比べると劣っており、特に大きな方位角アンカリングエネルギーが要求されるIPS(イン・プレーン・スイッチング)方式の液晶表示素子に適用するのは困難であった。
特開2003−270638号公報 特開2002−250924号公報 特開2004−302272号公報
本発明が解決しようとする課題は、少ない光量で大きなアンカリング力が得られる光配向膜を得るための光配向膜用組成物、およびこれを用いたこの光配向膜の製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、トラン骨格を有する重合性化合物と、特定の構造を有するアゾベンゼン骨格を有する化合物を含む組成物を基板上に塗布した後、該塗膜に異方性を有する光を照射し、その後に加熱を行うことで、上記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明は、一般式(1)で表されるアゾ化合物、及び、一般式(2)で表される重合性化合物を含有する光配向膜用組成物を提供する。
Figure 0004661502
Figure 0004661502
(一般式(1)中、AおよびAは各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ハロゲン化メチル基、ハロゲン化メトキシ基、シアノ基、ヒドロキシメチル基、水酸基、−OR(但し、Rは、炭素原子数2〜6のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、または炭素原子数1〜6の低級アルコキシ基で置換された炭素原子数1〜6のアルキル基を表す)を表す。ただし、カルボキシ基はアルカリ金属と塩を形成していても良い。AおよびAは各々独立して、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、メチルオキシカルボニル基を表す。但し、カルボキシ基、スルホ基はアルカリ金属と塩を形成していても良い。
一般式(2)中、X及びXは、それぞれ独立的に、水素原子、フッ素原子、塩素原子又はメチル基を表し、l及びmは、0〜4の整数を表す。但しl及びmの少なくとも1つは1以上の整数である。Zは、1個又は複数のフッ素原子、塩素原子あるいはメチル基で置換されていても良い芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基を表す。q及びtは、それぞれ独立的に1〜20の整数を表し、RおよびRはそれぞれ独立的に、炭素原子数1〜18の直鎖状又は分岐状の2価の脂肪族炭化水素基を表し、Y及びYは、それぞれ独立的に、単結合、−O−、−S−、−O−CO−又は−CO−O−からなる群から選ばれる連結基を表し、Q及びQは、それぞれ独立的に、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ClCH=CHCOO−、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ClCH=CHCONH−、ビニル基、CH=CCl−、CHCl=CH−、エポキシ基、エチニル基、メルカプト基、CH=CHO−又はマレイミド基からなる群から選ばれる反応性官能基を表す。)
また、本発明は、前記記載の光配向膜用組成物を基板上に塗布した後、該塗膜に異方性を有する光を照射する光配向膜の製造方法において、異方性を有する光を照射した後、100〜200℃で加熱する光配向膜の製造方法を提供する。
本発明の光配向膜用組成物および製造方法によれば、液晶に対するアンカリング力の大きな光配向膜が得られ、量産性に優れ、応用範囲が広く、かつ実用性の高い光配向膜を得ることができる。
本発明において、一般式(1)で表されるアゾ化合物は偏光に対して二色性を有し、異方性を有する光を照射することで、光の振動方向もしくは入射方向に対して一定の方向に、かつ比較的小さな照射量で配列する。
前記一般式(1)において、A又はAは中でも、カルボキシ基、ハロゲン化メチル基、中でもトリフルオロメチル基であると、異方性を有する光の少ない照射量で一定の方向に配列し、かつ後述する重合性化合物を配列させる能力が大きく、特に好ましい。
前記一般式(1)において、A又はAは中でもスルホ基であると、異方性を有する光の少ない照射量で一定の方向に配列し、かつ後述する重合性化合物を配列させる能力が大きく、特に好ましい。この場合スルホ基の置換位置は、ビフェニル骨格に対して2、2’位であるとこれらの能力がさらに大きく、より好ましい。
一般式(2)中、X及びXは、中でもフッ素原子であることが好ましい。
一般式(2)中、l及びmは、lが0であり、mが0〜2の整数であって、mが1である化合物がさらに好ましい。
一般式(2)中、1個又は複数のフッ素原子、塩素原子あるいはメチル基で置換されていても良い芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基であるZの、芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフタレン基等が挙げられる。脂環式炭化水素基としては6員環であることが好ましく、シクロヘキシレン基等が挙げられる。Zとしては特にフェニレン基が好ましい。
一般式(2)中、q及びtは中でも、1〜10の整数である化合物が好ましく、1〜5の整数である化合物が特に好ましく、1〜3の整数である化合物がさらに好ましく、1である化合物が最も好ましい。
一般式(2)中、RおよびRはそれぞれ炭素原子数1〜18である直鎖状又は分岐状のアルキレン基又はアルケニレン基である化合物が好ましく、アルキレン基である化合物がさらに好ましい。
一般式(2)中、Y及びYはそれぞれ単結合又は−O−である化合物がさらに好ましく、単結合である化合物が特に好ましい。
一般式(2)中、Q及びQはマレイミド基であると、重合反応に重合開始剤が不要であり、かつ酸素による重合阻害が起こりにくいため、重合反応を大気中で行うことができ、特に好ましい。
一般式(2)で表される重合性化合物は、一般式(1)のアゾ化合物の異方性を有する光の照射による光再配列に誘導されて配列すると考えられる。配列した一般式(2)で表される重合性化合物は、液晶分子に対して大きなアンカリング力を有すると考えられ、このため良好な液晶配向が得られると考えられる。
本発明においては、一般式(2)で表される重合性化合物は反応性官能基を有するので、加熱により該配列が固定され、より光安定性の高い光配向膜が得られる。
本発明で使用する一般式(1)で表される化合物、及び一般式(2)で表される重合性化合物は共に可視光および近紫外光に対して透明であることから、透明性の高い光配向膜が得られる。
トラン骨格を有する一般式(2)で表される重合性化合物を添加することで、大きなアンカリング力が得られる理由については定かではないが、おそらく、光照射時、トラン骨格を有する一般式(2)で表される重合性化合物は、一般式(1)で表されるアゾ化合物の再配列に誘導されて配列し、配列した一般式(2)で表される重合性化合物のトラン骨格による効果、あるいは、配列した一般式(2)で表される重合性化合物のトラン骨格と一般式(1)で表されるアゾ化合物との相乗効果により、液晶分子に対する大きなアンカリング力が得られるものと推定している。
この効果は、ビフェニル骨格、シクロヘキシルフェニル骨格のような、一般にメソゲン基と称される骨格では得られず、トラン骨格にのみ特徴的に見られる効果である。
また、トラン骨格を有するが重合性基を有さない化合物を添加した場合、効果は得られない。これは、トラン骨格を有する化合物が光配向膜中で固定化されないので、液晶に接した時に溶解してしまうものと考えられる。
前記一般式(2)で表される化合物の含有量は10〜70質量%の範囲が好ましく20〜60%の範囲がより好ましく、40〜60%の範囲が特に好ましい。
前記一般式(2)で表される化合物の含有量が少なすぎると、十分大きなアンカリング力が得られないことがあり、含有量が多すぎると、相対的に光の照射によって再配列する成分である一般式(1)で表されるアゾ化合物の含有率が低下し、結果として光配向膜に液晶配向性を付与するために、より多くの光量が必要となることがある。
本発明の光配向膜用組成物は、基板上に塗布した後、得られた塗膜に異方性を有する光を照射することで液晶配向性を付与する。その後、一般式(2)で表される重合性化合物を熱重合することで光配向膜中の分子配列を固定し、光安定性の高い光配向膜を得る。
熱重合を行う際の加熱温度は、高すぎると配向膜を構成する各化合物が熱分解することで液晶素子の電気特性などの悪影響を及ぼす懸念があるため、100〜200℃の範囲が好ましく、140〜190℃の範囲が特に好ましい。
この時、熱重合反応を向上させることを目的として、熱重合開始剤を添加することができる。熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。重合開始剤の添加量は、一般式(2)で表される重合性化合物に対して10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがさらに好ましく、0.5〜1.5重量%の範囲であることが特に好ましい。
本発明の光配向膜用組成物を塗布する基板としては、有機材料、無機材料を問わずに用いることができる。基板を構成する材料では、例えばガラス、シリコン、石英の如き無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリスルホンの如き有機材料が挙げられる。これらの基板には、ITO、Cr、Alなどの電極層が設けられていても良い。
本発明の光配向膜用組成物は、通常は溶媒に溶解し、溶液で基板上に塗布する。塗布方法としては、例えばスピンコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティングまたは、フレキソ印刷、インクジェットなどの印刷法などが挙げられる。使用する溶媒は、本発明の光配向膜用組成物を溶解できるものならば特に限定はないが、上記の方法で塗布するためには比較的室温での蒸気圧が低く、高沸点の溶媒が扱いやすい。例えば、N−メチルピロリドン、ブトキシエタノール、γ−ブチロラクトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、フェノキシエタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、水などがあげられる。これらの溶媒は本発明の組成物における各化合物の溶解度や基板への濡れ性を考慮し、適宜混合して用いても良い。
膜厚は特に限定はないが、通常は塗布乾燥後の膜厚が10〜100nmの範囲となるように塗布する。
本発明の光配向膜用組成物は、本発明による効果を損なわない範囲で各種添加剤を使用しても良い。添加剤としては例えば、ガラスなどの基板に対する密着性を向上させるためのシランカップリング剤、一様な塗膜を得るためのレベリング剤が挙げられる。
基板に塗布された光配向膜用組成物の溶液は、加熱により溶媒を揮発させた後、異方性を有する光を照射して、液晶配向性を有する光配向膜を得る。このときの加熱温度は、光配向膜用組成物の重合性基が重合しない程度の温度であることが好ましい。
また、異方性を有する光としては、偏光又は膜面に対して斜め方向から入射する非偏光を使用することができる、偏光は、直線偏光あるいは楕円偏光を使用することができる。一方、膜面に対して斜め方向から非偏光を照射する場合は、ほぼ平行光であることが好ましく、350nmから400nmの近紫外線が特に好ましい。光源としては例えば、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrFやArFなどによる紫外線レーザーなどが挙げられる。このような光源から得た紫外光や可視光は干渉フィルタや色フィルタなどを用いて、照射する波長範囲を制限しても良い。また、これらの光源からの光に、偏光フィルタや偏光プリズムを用いることで直線偏光が得られる。
本発明の光配向膜の製造方法においては、一般式(2)で表される重合性化合物の熱重合のため、異方性を有する光を照射した後に、100〜200℃で加熱する。加熱は空気中、NやAr雰囲気中、もしくは真空中で行われる。
以下、本発明を実施例、比較例によって説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」および「%」は質量基準とする。
Figure 0004661502

(a)
Figure 0004661502

(b)
(実施例1)
式(a)で示される化合物1部と式(b)で示される化合物1部を、80部の2−ブトキシエタノールと20部のエチレングリコールの混合溶媒に加熱溶解させた。得られた溶液は0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、光配向膜用組成物の溶液を得た。このようにして得た光配向膜用組成物の溶液はスピンコーターでガラス基板上に塗布した後、80℃のホットプレート上で2分間加熱を行い、溶剤を蒸発させることで塗膜を得た。
超高圧水銀ランプを光源に用い、バンドパスフィルタを介して得た365nm付近の紫外光を、コリメートミラーにより平行光とし、偏光フィルタを通して照射強度20mW/cmの直線偏光を得た。この偏光紫外線を上記の塗膜面に対して垂直に、1J/cmのエネルギーとなるように照射した。紫外線を照射した塗膜は180℃のホットプレート上で90分間の加熱を行った。
以上の方法で作成した光配向膜付きガラス基板の周囲に、直径10μmのシリカビーズ(商品名「ハイプレシカ」:宇部日東化成株式会社製)を含んだエポキシ系熱硬化型接着剤(商品名「XN5A」:三井化学株式会社製)を液晶注入口だけ残して塗布した。80℃で30分間予備硬化した後、接着剤が塗布されていないガラス基板と圧着させ、150℃90分で接着剤を硬化させた。このとき液晶配向方向は反平行になるように重ね合わせることで液晶セルを得た。続いて化学式(c)で表される液晶組成物A(大日本インキ化学工業株式会社製)を真空下で液晶注入口より注入充填した。液晶注入口はエポキシ系光硬化型接着剤で封止することで、反平行型(アンチパラレル型)液晶素子を得た。
Figure 0004661502

(c)
方位角アンカリングは、液晶特性評価装置OMS−D12RD(中央精機(株)製)を用いた。液晶組成物Aにはカイラル剤(螺旋ピッチ40μm)を添加し、液晶セルに注入し、カイラル剤を含まない液晶組成物Aとのねじれ角の差より方位角アンカリングエネルギーを求めた。この時測定されたねじれ角の差は0.1°以下で、計算の結果、方位角アンカリングエネルギーは1×10−3J/mで以上であり、一般的なラビング配向膜以上のアンカリングエネルギーを有することが分かった。
次に光配向膜の光安定性の試験を行った。試験方法は、偏光を照射し、加熱を行った後の光配向膜に、先に照射した偏光とは異なる方向に偏光面を有する偏光(波長365nm)を照射し、その後、前記と同様の方法で液晶素子を作製した。光耐久性は、加熱後の偏光照射を行ったものと行っていないものとの間の液晶配向状態の違いの有無を、偏光板を用いた観察により評価した。その結果、本方法で得た光配向膜は加熱後、5J/cmの偏光紫外線を照射しても、その配向方向が変化せず、優れた光耐久性を有することが分かった。
(実施例2)
注入する液晶として化学式(d)で表される液晶組成物B(大日本インキ化学工業株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様の方法で液晶素子を作製し、方位角アンカリングエネルギーの測定および光耐久性の評価を行った。その結果、方位角アンカリングエネルギーは1×10−3J/m以上であり、かつ5 J/cmの偏光紫外線を照射しても配向膜による液晶の配向方向は変化せず、優れた光耐久性を有することが分かった。
Figure 0004661502
(d)
(比較例1)
式(e)で表されるアゾ化合物「スダンIV」(東京化成(株)製)1部と式(b)で示される化合物1部を、98部のN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、実施例1と同様の方法で液晶素子を作製した。その結果、液晶の配向は得られたものの、方位角アンカリングエネルギーは小さく、5×10−6J/cmであった。一方、光安定性の試験を実施例1と同様の方法で評価したところ5J/cmの偏光紫外線を照射しても、その配向方向は変化せず、優れた光耐久性を有することが分かった。
Figure 0004661502

(e)
(比較例2)
式(a)で表されるアゾ化合物1部と式(f)で表されるトラン化合物1部を80部の2−ブトキシエタノールと20部のエチレングリコールの混合溶媒に加熱溶解し、実施例1と同様の方法で液晶素子を作製した。得られた液晶素子の方位角アンカリングエネルギーを測定したところ1.5×10−5J/cmで、ラビング配向膜と比べてかなり小さな値であった。一方、光安定性の試験を実施例1と同様の方法で評価したところ、5J/cmの偏光紫外線を照射することで液晶の配向状態が変化し、光に対する耐久性が劣ることが分かった。
Figure 0004661502
(f)
(比較例3)
式(g)で表される重合性アゾ化合物1部と式(b)で表されるトラン化合物1部を50部のN−メチルピロリドンと50部の2−ブトキシエタノールの混合溶媒に加熱溶解し、実施例1と同様の方法で液晶セルを作成した。

Figure 0004661502
(g)
このようにして作製した液晶セルには0.2%のアントラキノン誘導体「M−137」(大日本インキ化学工業株式会社製)を添加した液晶組成物Aを実施例1と同様の方法で注入し、アンチパラレル型液晶素子を作製した。
オーダーパラメーターは偏光可視紫外分光光度計を用い、M−137の波長625nmの直線偏光に対する吸光度を測定し、式(1)によりオーダーパラメーターを算出した。
Figure 0004661502
(式中、A//は光配向膜の配向方向と吸光度の測定のために入射する偏光の振動方向とが平行であるときの吸光度を表し、Aは光配向膜の配向方向と吸光度測定のために入射する偏光の振動方向とが垂直であるときの吸光度を表す。このとき、オーダーパラメーターSの絶対値が大きいほど液晶の配向性が高いことを示す。)
この結果、本比較例で作製した液晶素子のオーダーパラメーターは0.72であり、液晶分子が良好な配向を示していることがわかった。
次に、実施例1と同様の方法で方位角アンカリングエネルギーの測定を行った。その結果、方位角アンカリングエネルギーは1.3×10−4J/mであり、一般のラビング配向膜よりも小さな値であった。
(比較例4)
式(a)で表されるアゾ化合物1部と式(h)で表されるビフェニル骨格を有する重合性化合物1部を80部の2−ブトキシエタノールと20部のエチレングリコールの混合溶媒に加熱溶解し、実施例1同様の方法で液晶素子を作製した。
次に、実施例1と同様の方法で方位角アンカリングエネルギーの測定を行った。その結果、方位角アンカリングエネルギーは6.0×10−5J/mの小さな値しか得られなかった。
Figure 0004661502
(h)
(比較例5)
(a)で表されるアゾ化合物2部を80部の2−ブトキシエタノールと20部のエチレングリコールの混合溶媒に加熱溶解し、実施例1同様の方法で液晶素子を作製した。
次に、実施例1と同様の方法で方位角アンカリングエネルギーの測定を行った。その結果、方位角アンカリングエネルギーは1.1×10−4J/mの小さな値しか得られなかった。
本発明により得られた光配向膜は、液晶を配向させる用途に好適に用いられる。例えば液晶表示素子は、本発明で得られた光配向膜を有する2枚の基板を、該光配向膜を有する面を対向させ、スペーサーを介してこれらを接着し、得られた液晶セルの間隙に液晶を注入することで得られる。また、本発明で得られた光配向膜上に、重合性液晶組成物を塗布し、配向させた状態で硬化させることで、光学異方体を得ることができる。


Claims (3)

  1. 一般式(1)で表されるアゾ化合物、及び、一般式(2)で表される重合性化合物を含有することを特徴とする光配向膜用組成物。
    Figure 0004661502
    Figure 0004661502

    (一般式(1)中、AおよびAは各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ハロゲン化メチル基、ハロゲン化メトキシ基、シアノ基、ヒドロキシメチル基、水酸基、−OR(但し、Rは、炭素原子数2〜6のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、または炭素原子数1〜6の低級アルコキシ基で置換された炭素原子数1〜6のアルキル基を表す)を表す。ただし、カルボキシ基はアルカリ金属と塩を形成していても良い。
    およびAは各々独立して、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、メチルオキシカルボニル基を表す。但し、カルボキシ基、スルホ基はアルカリ金属と塩を形成していても良い。
    一般式(2)中、X及びXは、それぞれ独立的に、水素原子、フッ素原子、塩素原子又はメチル基を表し、l及びmは、0〜4の整数を表す。但しl及びmの少なくとも1つは1以上の整数である。Zは、1個又は複数のフッ素原子、塩素原子あるいはメチル基で置換されていても良い芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基を表す。q及びtは、それぞれ独立的に1〜20の整数を表し、RおよびRはそれぞれ独立的に、炭素原子数1〜18の直鎖状又は分岐状の2価の脂肪族炭化水素基を表し、Y及びYは、それぞれ独立的に、単結合、−O−、−S−、−O−CO−又は−CO−O−からなる群から選ばれる連結基を表し、Q及びQは、それぞれ独立的に、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ClCH=CHCOO−、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ClCH=CHCONH−、ビニル基、CH=CCl−、CHCl=CH−、エポキシ基、エチニル基、メルカプト基、CH=CHO−又はマレイミド基からなる群から選ばれる反応性官能基を表す。)
  2. 前記一般式(2)で表される重合性化合物の含有量が10〜70質量%である請求項1に記載の光配向膜用組成物。
  3. 請求項1に記載の光配向膜用組成物を基板上に塗布した後、該塗膜に異方性を有する光を照射する光配向膜の製造方法において、異方性を有する光を照射した後、100〜200℃で加熱することを特徴とする光配向膜の製造方法。
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