JP4661502B2 - 光配向膜用組成物および光配向膜の製造方法 - Google Patents
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Description
従来多くの場合、配向処理はガラス等の基板にポリイミド等の高分子の膜を設け、これを一方向に布等で摩擦する、ラビングという方法が用いられる。これにより、液晶分子はその分子軸がラビングした方向と平行となるように配向する。しかしながら、ラビング法では機械的に擦ることによる高分子膜表面の微細な傷が、液晶配向欠陥の原因となったり、ラビング時の押し付け圧の不均一性などにより、配向ムラが生じたりすることで、液晶素子の精細度が低下するという問題がある。
このような光配向膜となり得るものとしてはアゾベンゼン誘導体のように光異性化反応をする化合物、シンナメート、クマリン、カルコン等の光二量化反応を生じる部位を有する化合物やポリイミドなど異方的な光分解を生じる化合物が知られており、最近では、液晶配向性能(オーダーパラメーター)及び耐光性を満足するような、二色性化合物及びメソゲン基を有するラジカル重合性単量体を使用する光配向膜(例えば特許文献1参照)、重合性基を有する特定のアゾ化合物を使用する光配向膜(例えば特許文献2、3参照)等が知られている。
一般式(2)中、Xa及びXbは、それぞれ独立的に、水素原子、フッ素原子、塩素原子又はメチル基を表し、l及びmは、0〜4の整数を表す。但しl及びmの少なくとも1つは1以上の整数である。Zは、1個又は複数のフッ素原子、塩素原子あるいはメチル基で置換されていても良い芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基を表す。q及びtは、それぞれ独立的に1〜20の整数を表し、R2およびR3はそれぞれ独立的に、炭素原子数1〜18の直鎖状又は分岐状の2価の脂肪族炭化水素基を表し、Y1及びY2は、それぞれ独立的に、単結合、−O−、−S−、−O−CO−又は−CO−O−からなる群から選ばれる連結基を表し、Q1及びQ2は、それぞれ独立的に、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ClCH=CHCOO−、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ClCH=CHCONH−、ビニル基、CH2=CCl−、CHCl=CH−、エポキシ基、エチニル基、メルカプト基、CH2=CHO−又はマレイミド基からなる群から選ばれる反応性官能基を表す。)
本発明においては、一般式(2)で表される重合性化合物は反応性官能基を有するので、加熱により該配列が固定され、より光安定性の高い光配向膜が得られる。
本発明で使用する一般式(1)で表される化合物、及び一般式(2)で表される重合性化合物は共に可視光および近紫外光に対して透明であることから、透明性の高い光配向膜が得られる。
この効果は、ビフェニル骨格、シクロヘキシルフェニル骨格のような、一般にメソゲン基と称される骨格では得られず、トラン骨格にのみ特徴的に見られる効果である。
また、トラン骨格を有するが重合性基を有さない化合物を添加した場合、効果は得られない。これは、トラン骨格を有する化合物が光配向膜中で固定化されないので、液晶に接した時に溶解してしまうものと考えられる。
前記一般式(2)で表される化合物の含有量が少なすぎると、十分大きなアンカリング力が得られないことがあり、含有量が多すぎると、相対的に光の照射によって再配列する成分である一般式(1)で表されるアゾ化合物の含有率が低下し、結果として光配向膜に液晶配向性を付与するために、より多くの光量が必要となることがある。
熱重合を行う際の加熱温度は、高すぎると配向膜を構成する各化合物が熱分解することで液晶素子の電気特性などの悪影響を及ぼす懸念があるため、100〜200℃の範囲が好ましく、140〜190℃の範囲が特に好ましい。
この時、熱重合反応を向上させることを目的として、熱重合開始剤を添加することができる。熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。重合開始剤の添加量は、一般式(2)で表される重合性化合物に対して10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがさらに好ましく、0.5〜1.5重量%の範囲であることが特に好ましい。
膜厚は特に限定はないが、通常は塗布乾燥後の膜厚が10〜100nmの範囲となるように塗布する。
また、異方性を有する光としては、偏光又は膜面に対して斜め方向から入射する非偏光を使用することができる、偏光は、直線偏光あるいは楕円偏光を使用することができる。一方、膜面に対して斜め方向から非偏光を照射する場合は、ほぼ平行光であることが好ましく、350nmから400nmの近紫外線が特に好ましい。光源としては例えば、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrFやArFなどによる紫外線レーザーなどが挙げられる。このような光源から得た紫外光や可視光は干渉フィルタや色フィルタなどを用いて、照射する波長範囲を制限しても良い。また、これらの光源からの光に、偏光フィルタや偏光プリズムを用いることで直線偏光が得られる。
式(a)で示される化合物1部と式(b)で示される化合物1部を、80部の2−ブトキシエタノールと20部のエチレングリコールの混合溶媒に加熱溶解させた。得られた溶液は0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、光配向膜用組成物の溶液を得た。このようにして得た光配向膜用組成物の溶液はスピンコーターでガラス基板上に塗布した後、80℃のホットプレート上で2分間加熱を行い、溶剤を蒸発させることで塗膜を得た。
注入する液晶として化学式(d)で表される液晶組成物B(大日本インキ化学工業株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様の方法で液晶素子を作製し、方位角アンカリングエネルギーの測定および光耐久性の評価を行った。その結果、方位角アンカリングエネルギーは1×10−3J/m2以上であり、かつ5 J/cm2の偏光紫外線を照射しても配向膜による液晶の配向方向は変化せず、優れた光耐久性を有することが分かった。
式(e)で表されるアゾ化合物「スダンIV」(東京化成(株)製)1部と式(b)で示される化合物1部を、98部のN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、実施例1と同様の方法で液晶素子を作製した。その結果、液晶の配向は得られたものの、方位角アンカリングエネルギーは小さく、5×10−6J/cm2であった。一方、光安定性の試験を実施例1と同様の方法で評価したところ5J/cm2の偏光紫外線を照射しても、その配向方向は変化せず、優れた光耐久性を有することが分かった。
式(a)で表されるアゾ化合物1部と式(f)で表されるトラン化合物1部を80部の2−ブトキシエタノールと20部のエチレングリコールの混合溶媒に加熱溶解し、実施例1と同様の方法で液晶素子を作製した。得られた液晶素子の方位角アンカリングエネルギーを測定したところ1.5×10−5J/cm2で、ラビング配向膜と比べてかなり小さな値であった。一方、光安定性の試験を実施例1と同様の方法で評価したところ、5J/cm2の偏光紫外線を照射することで液晶の配向状態が変化し、光に対する耐久性が劣ることが分かった。
式(g)で表される重合性アゾ化合物1部と式(b)で表されるトラン化合物1部を50部のN−メチルピロリドンと50部の2−ブトキシエタノールの混合溶媒に加熱溶解し、実施例1と同様の方法で液晶セルを作成した。
オーダーパラメーターは偏光可視紫外分光光度計を用い、M−137の波長625nmの直線偏光に対する吸光度を測定し、式(1)によりオーダーパラメーターを算出した。
この結果、本比較例で作製した液晶素子のオーダーパラメーターは0.72であり、液晶分子が良好な配向を示していることがわかった。
次に、実施例1と同様の方法で方位角アンカリングエネルギーの測定を行った。その結果、方位角アンカリングエネルギーは1.3×10−4J/m2であり、一般のラビング配向膜よりも小さな値であった。
式(a)で表されるアゾ化合物1部と式(h)で表されるビフェニル骨格を有する重合性化合物1部を80部の2−ブトキシエタノールと20部のエチレングリコールの混合溶媒に加熱溶解し、実施例1同様の方法で液晶素子を作製した。
次に、実施例1と同様の方法で方位角アンカリングエネルギーの測定を行った。その結果、方位角アンカリングエネルギーは6.0×10−5J/m2の小さな値しか得られなかった。
(a)で表されるアゾ化合物2部を80部の2−ブトキシエタノールと20部のエチレングリコールの混合溶媒に加熱溶解し、実施例1同様の方法で液晶素子を作製した。
次に、実施例1と同様の方法で方位角アンカリングエネルギーの測定を行った。その結果、方位角アンカリングエネルギーは1.1×10−4J/m2の小さな値しか得られなかった。
Claims (3)
- 一般式(1)で表されるアゾ化合物、及び、一般式(2)で表される重合性化合物を含有することを特徴とする光配向膜用組成物。
(一般式(1)中、A1およびA2は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ハロゲン化メチル基、ハロゲン化メトキシ基、シアノ基、ヒドロキシメチル基、水酸基、−OR1(但し、R1は、炭素原子数2〜6のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、または炭素原子数1〜6の低級アルコキシ基で置換された炭素原子数1〜6のアルキル基を表す)を表す。ただし、カルボキシ基はアルカリ金属と塩を形成していても良い。
A3およびA4は各々独立して、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、メチルオキシカルボニル基を表す。但し、カルボキシ基、スルホ基はアルカリ金属と塩を形成していても良い。
一般式(2)中、Xa及びXbは、それぞれ独立的に、水素原子、フッ素原子、塩素原子又はメチル基を表し、l及びmは、0〜4の整数を表す。但しl及びmの少なくとも1つは1以上の整数である。Zは、1個又は複数のフッ素原子、塩素原子あるいはメチル基で置換されていても良い芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基を表す。q及びtは、それぞれ独立的に1〜20の整数を表し、R2およびR3はそれぞれ独立的に、炭素原子数1〜18の直鎖状又は分岐状の2価の脂肪族炭化水素基を表し、Y1及びY2は、それぞれ独立的に、単結合、−O−、−S−、−O−CO−又は−CO−O−からなる群から選ばれる連結基を表し、Q1及びQ2は、それぞれ独立的に、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ClCH=CHCOO−、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ClCH=CHCONH−、ビニル基、CH2=CCl−、CHCl=CH−、エポキシ基、エチニル基、メルカプト基、CH2=CHO−又はマレイミド基からなる群から選ばれる反応性官能基を表す。) - 前記一般式(2)で表される重合性化合物の含有量が10〜70質量%である請求項1に記載の光配向膜用組成物。
- 請求項1に記載の光配向膜用組成物を基板上に塗布した後、該塗膜に異方性を有する光を照射する光配向膜の製造方法において、異方性を有する光を照射した後、100〜200℃で加熱することを特徴とする光配向膜の製造方法。
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