JP2006204595A - 刺繍枠 - Google Patents

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Abstract


【課題】 上枠と下枠とで加工布を挟持する刺繍枠において、加工布を十分に張った状態に確実に保持できるようにし、且つ刺繍枠の構成を簡単化する。
【解決手段】 刺繍枠は、ほぼ円環状の上枠20と下枠2とで加工布を挟持し、前記上枠20と下枠2とを開閉可能に連結するヒンジ部5と、前記上枠20を下枠2に押圧保持する為のクランプ手段8とを備え、上枠20の内側に嵌合されて上枠20と下枠2とで挟持した加工布を更に下側に押圧する補助枠30であって、上端部の一部にフランジ部31bを有する補助枠30と、上枠20に設けられ、前記補助枠30のフランジ部31bに係合して補助枠30の上方への移動を規制する係合規制部材23とを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、上枠と下枠とで加工布を挟持する刺繍枠に関し、特に加工布に張力を与えた状態で確実に保持できるように、上枠と下枠とで挟持した加工布を補助枠により更に下側に押圧させると共にその構成を簡単化したものに関する。
従来、刺繍縫製に供する加工布を外枠と内枠とで挟持して展張保持する構成の刺繍枠が実用化されている。しかしながら、この外枠と内枠とで構成される刺繍枠は、刺繍枠から加工布を取り外すと、刺繍枠に挟持されていた部分が皺になって残ってしまうという問題がある。また、加工布の着脱毎に、外枠の大きさを調整する為に設けられた締め付けネジを操作する必要があり作業性が悪いという問題もある。
他方、上枠と下枠とで加工布を挟持して保持する構成の刺繍枠も提案されている。この構成の刺繍枠においては、加工布は上下方向より挟持されるので皺にはなり難いが、クランプ機構により、上枠が加工布を下枠に押圧して保持しているだけなので、加工布には張力が十分に付与されていない状態である。更に、外枠と内枠とで構成される刺繍枠に比べると布保持力が弱いので、縫製時の刺繍模様の糸張力により、加工布が徐々に内側に引っ張られてしまい、模様崩れが発生して縫製品質が低下するという問題がある。
そこで、上枠と下枠とで挟持した加工布を更に下側に押圧する補助枠を設けた刺繍枠が実用化されている。特許文献1には、ベース枠(下枠)と、第1押え枠(上枠)と、第2押え枠(補助枠)と、上枠を下枠に押圧する第1クランプ機構と、補助枠を下枠に押圧する第2クランプ機構とを備えたクランプ式被縫製布保持枠が開示されている。下枠には、第1受け部と、この第1受け部の内周側に段上がり状に形成された段上がり部と、この段上がり部の内周部に段下がり状に形成された第2受け部が設けられ、第1クランプ機構により上枠を下枠の第1受け部に押圧させて加工布を下枠に固定させた後、第2クランプ機構により補助枠を下枠の第2受け部に押圧させると、補助枠が上枠の内周側において加工布を段差を付けて下方へ押えることで、加工布を十分に張った状態で保持する。
特開平8−243280号公報
このような刺繍枠においては、上枠を下枠に押圧する為のクランプ機構だけでなく、補助枠を加工布に押圧する為のクランプ機構も刺繍枠に設けておく必要があるため、刺繍枠の構成が複雑になり、部品点数も増加し、刺繍枠の重量も大きくなってしまう。
本発明の目的は、上枠と下枠とで加工布を挟持する刺繍枠において、加工布を十分に張った状態に確実に保持できるようにすること、刺繍枠の構成を簡単化し且つ軽量化すること、等である。
請求項1の刺繍枠は、ほぼ円環状の上枠と下枠とで加工布を挟持する刺繍枠であって、前記上枠と下枠とを開閉可能に連結するヒンジ部と、前記上枠を下枠に押圧保持する為のクランプ手段とを備えた刺繍枠において、前記上枠の内側に嵌合されて前記上枠と下枠とで挟持した加工布を更に下側に押圧する補助枠であって、上端部の一部にフランジ部を有する補助枠と、前記上枠に設けられ、前記補助枠のフランジ部に係合して補助枠の上方への移動を規制する係合規制部材とを備えたものである。
上枠と下枠とで加工布を挟持し、クランプ手段により上枠を下枠に押圧保持させた後、上枠の内側に補助枠を嵌め合わせ、補助枠のフランジ部を上枠の係合規制部材に係合させることで、その補助枠で上枠と下枠とで挟持した加工布を更に下側に押圧することができ、加工布を十分に張った状態に確実に保持できる。
請求項2の刺繍枠は、請求項1の発明において、前記フランジ部は補助枠の相対向する位置に複数設けられ、前記係合規制部材は前記上枠の相対向する位置に複数設けられたものである。
請求項3の刺繍枠は、請求項2の発明において、前記補助枠を上枠に嵌合させた状態で上枠に対して円周方向に所定角度回転させることで、前記フランジ部と前記係合規制部材の係合・係合解除を切換え可能に構成されたものである。
請求項4の刺繍枠は、請求項3の発明において、前記補助枠は、円周方向に回転させる為のつまみ部を有するものである。
請求項5の刺繍枠は、請求項1〜3の何れかの発明において、前記係合規制部材は、前記補助枠を前記上枠に係合させたときに、前記フランジ部を上方から押圧する弾性部材から構成されたものである。
請求項6の刺繍枠は、ほぼ円環状の上枠と下枠とで加工布を挟持する刺繍枠であって、前記上枠と下枠とを開閉可能に連結するヒンジ部と、前記上枠を下枠に押圧保持する為のクランプ手段とを備えた刺繍枠において、前記上枠の内側に嵌合されて前記上枠と下枠とで挟持した加工布を更に下側に押圧する補助枠と、前記補助枠を上枠に嵌合させながら上枠に対して円周方向に所定角度回転させることで、前記上枠と補助枠との係合・係合解除を切換え可能で、且つ前記加工布を押圧する押圧力を調整可能な係合機構とを備えたものである。
上枠と下枠とで加工布を挟持した状態で、クランプ手段により上枠を下枠に押圧保持させて、上枠の内側に補助枠を嵌合させながら上枠に対して円周方向に所定角度回転させることで、係合機構により上枠と補助枠とを係合状態にすることができるので、加工布を十分に張った状態で確実に保持できる。しかも、加工布を押圧する押圧力を調整できるので、補助枠の回転量を調節して、加工布を布厚に応じた押圧力で保持することができる。
請求項7の刺繍枠は、請求項6の発明において、前記係合機構は、補助枠の外周部に形成された螺旋凸条と、前記上枠の内周部に形成され前記螺旋凸条と係合する螺旋溝とを有するものである。
請求項8の刺繍枠は、請求項6又は7の発明において、前記補助枠は、円周方向に回転させる為のつまみ部を有するものである。
請求項9の刺繍枠は、請求項1又は6の発明において、前記上枠の外周部には環状溝が形成され、この環状溝にほぼ環状の金属線材からなる保持部材が装着され、この保持部材の基端部が前記下枠に回転可能に枢支されて前記ヒンジ部が形成されると共に、その先端部に前記クランプ手段によりクランプされる部位が形成されたものである。
請求項1の発明によれば、上端部の一部にフランジ部を有する補助枠と、上枠に設けられ、補助枠のフランジ部に係合して補助枠の上方への移動を規制する係合規制部材とを備えたので、上枠と下枠とで加工布を挟持し、クランプ手段により上枠を下枠に押圧保持させた後、上枠の内側に補助枠を嵌め合わせ、補助枠のフランジ部を上枠の係合規制部材に係合させることで、その補助枠で上枠と下枠とで挟持した加工布を更に下側に押圧することができ、加工布を十分に張った状態で確実に保持できる。しかも、補助枠を加工布に押圧する為のクランプ機構を刺繍枠に設ける必要がないため、刺繍枠の構成が簡単化し、部品点数も減少し、刺繍枠が軽量化し、制作費を低減できる。
請求項2の発明によれば、フランジ部は補助枠の相対向する位置に複数設けられ、係合規制部材は上枠の相対向する位置に複数設けられているので、刺繍枠の相対向する複数の位置で加工布を押圧することができ、加工布を均一に保持できる。
請求項3の発明によれば、補助枠を上枠に嵌合させた状態で上枠に対して円周方向に所定角度回転させることで、フランジ部と係合規制部材の係合・係合解除を切換え可能に構成されたので、フランジ部と係合規制部材における係合と係合解除とを補助枠の回転操作により簡単に切換えることができる。
請求項4の発明によれば、補助枠は、円周方向に回転させる為のつまみ部を有するので、作業者は補助枠のつまみ部を指先でつまんで円周方向に回転させることができるので、容易に回転操作を行うことができる。
請求項5の発明によれば、係合規制部材は、前記補助枠を上方から押圧する弾性部材から構成されたので、係合規制部材を簡単な構成で実現できるうえ、弾性部材によって生じる弾性力により加工布を確実に保持できる。
請求項6の発明によれば、上枠の内側に嵌合されて上枠と下枠とで挟持した加工布を更に下側に押圧する補助枠と、補助枠を上枠に嵌合させながら上枠に対して円周方向に所定角度回転させることで、上枠と補助枠との係合・係合解除を切換え可能で、且つ加工布を押圧する押圧力を調整可能な係合機構とを備えたので、上枠と下枠とで加工布を挟持した状態で、クランプ手段により上枠を下枠に押圧保持させて、上枠の内側に補助枠を嵌合させながら上枠に対して円周方向に所定角度回転させることで、係合機構により上枠と補助枠とを係合状態にすることができるので、加工布を十分に張った状態で確実に保持できる。しかも、加工布を押圧する押圧力を調整できるので、補助枠の回転量を調節して、加工布を布厚に応じた押圧力で保持することができる。
請求項7の発明によれば、係合機構は、補助枠の外周部に形成された螺旋凸条と、上枠の内周部に形成され螺旋凸条と係合する螺旋溝とを有するので、係合機構を簡単な構成で実現できる。
請求項8の発明によれば、補助枠は、円周方向に回転させる為のつまみ部を有するので、請求項4と同様の効果が得られる。
請求項9の発明によれば、上枠の外周部には環状溝が形成され、この環状溝にほぼ環状の金属線材からなる保持部材が装着され、この保持部材の基端部が前記下枠に回転可能に枢支されてヒンジ部が形成されると共に、その先端部にクランプ手段によりクランプされる部位が形成されたので、ヒンジ部とクランプされる部位を別部材で新たに設ける必要がなく、部品点数が減少するため、製作費を低減できる。
本発明の刺繍枠は、ほぼ円環状の上枠と下枠とで加工布を挟持し、上枠と下枠とを開閉可能に連結するヒンジ部と、上枠を下枠に押圧保持する為のクランプ手段とを備えた刺繍枠であって、フランジ部を補助枠の上端部の一部に設けると共に、補助枠のフランジ部に係合して補助枠の上方への移動を規制する係合規制部材を上枠に設けたことを特徴とするものである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
刺繍縫製可能なミシン(図示略)の刺繍機に装着される刺繍枠であって、刺繍縫製に供する加工布を保持する為の刺繍枠1について説明する。
図1に示すように、刺繍枠1は、下枠2と、上枠20と、補助枠30とを備えており、刺繍枠1は、平面視にてほぼ円環状に形成されている。
図2〜図6に示すように、下枠2は、合成樹脂材料でほぼ円環状に構成され、突部3aと、支持台3bと、取付部3dとを有する。下枠2の上面には全周に亙って断面が山形の突部3aが形成されている。下枠2の前端部には、平面視にてほぼ矩形状で板状の取付部3dが外側に突出するように形成され、下枠2の後端部には、平面視にてほぼ矩形状で厚肉の支持台3bが外側に突出するように形成されている。
下枠2には、刺繍機の刺繍枠駆動機構のキャリッジに着脱可能に連結されるキャリッジ連結部4と、上枠20を下枠2に開閉可能に連結するヒンジ部5と、上枠20を下枠2に押圧保持する為のクランプ機構8とが設けられている。
ヒンジ部5は、支持台3bと、1対のL形の連結金具6と、ヒンジピン22aと、ビス7とを有する。支持台3bの左右端部には、1対の台座3cが突設され、これら台座3cに1対の連結金具6が夫々2本のビス7で固定されている。連結金具6は、上板部6aと側板部6bとを有し、側板部6bには、ピン孔(図示略)が形成され、そのピン孔にヒンジピン22aが夫々挿通されている。
クランプ機構8は、カム部材9と、支持体10と、取付板11と、回動軸12とを有する。取付板11の左右端部には、上方に突出する1対の支持片11aが設けられ、取付板11は、取付部3dに下方より差し込まれ、ビス14で取付部3dに固定されている。このとき、1対の支持片11aは取付部3dの上面から突出している。支持体10の左端部には突出部10aが形成され、支持体10には、回動軸13を介してカム部材9が回動可能に連結されている。支持片11aには、回動軸12を介して支持体10が連結され、クランプ機構8は使用位置と退避位置とに亙って切換え可能に構成されている。
カム部材9は、カム体9aと、これと一体の操作部9bとを有し、カム体9aには、カム本体部9cと、フランジ部9d,9eが設けられている。カム本体部9cには、カム面が形成され、操作部9bを図2において反時計回りに回動させるに従って、カム面の下端部の高さ位置が低くなるように構成されている。前側のフランジ部9dは円板状に形成され、後側のフランジ部9eは、上枠20を閉じたときに、後述する被クランプ部22bが進入可能となるよう下側の一部を切欠いた円板状に形成されている。
図2〜図6に示すように、上枠20は、合成樹脂材料でほぼ円環状に構成され、全周に亙る凹部21a(図2参照)と、全周に亙る環状溝21bと、前後1対の取付部21cと、全周に亙る段部21d(図7-3参照)とを有する。上枠20には、クランプ機構8によりクランプされる被クランプ部22bと、補助枠30の上方への移動を規制する1対の係合規制部材23と、保持部材22が設けられている。
上枠20の下面には、下枠2の突部3aに係合する凹部21aが全周に亙って形成され、その凹部21aと突部3aにより加工布41(図7-2参照)が挟持される。
上枠20の外周部には、環状溝21bが全周に亙って形成され、この環状溝21bにほぼ環状の金属線材からなる保持部材22が装着されている。保持部材22の後端部(基端部)には、下枠2に設けられたヒンジ部5のヒンジピン22aが一体形成され、保持部材22の前端部(先端部)には、クランプ機構8によりクランプされる被クランプ部22bがコ字状に屈曲形成されている。
図3、図4に示すように、上枠20が上方へ開いた状態では、クランプ機構8は前方に傾いた退避位置に切換えられており、上枠20を閉じたときは、図5、図6に示すように、クランプ機構8は使用位置に切換えられ、被クランプ部22bの先端部の上面が、カム本体部9cのカム面の下端部に接触する。
上枠20の相対向する前端部と後端部には、平面視にてほぼ矩形状で板状の取付部21cが外側に突出するように形成され、取付部21cには、板バネからなる係合規制部材23が、2本のビス24で夫々固定されている。係合規制部材23は、平面視にてほぼT字状に形成され、その左右端部には正面視にてV字状に曲げられた係合部23aが形成されている。
図2に示すように、補助枠30は、合成樹脂材料でほぼ円環状に構成され、本体筒部31aと、上枠20に設けた係合規制部材23と係合する1対のフランジ部31bと、補助枠30を円周方向に回転させる為の1対のつまみ部31cとを有する。本体筒部31aは、大径部31dと、その下方へ延びる小径部31eとを有し、本体筒部31aを上枠20の内側に嵌合させたとき、大径部31dの下端部が段部21dに接近し、小径部31eが上枠20の段部21dより下側部分と下枠2の内側に遊嵌される。小径部31eの下端部には、加工布41を下側に押圧する為の押圧部31f(図7-3参照)が形成されている。
フランジ部31bは、補助枠30の上端部の相対向する位置に形成されている。
つまみ部31cは、フランジ部31bと一体形成され、指でつまんで回転させやすいように、ほぼ円環状に構成されている。フランジ部31bは、補助枠30の本体筒部31aを上枠20と下枠2の内側に嵌合させた状態で、つまみ部31cを指先でつまんで、上枠20に対して円周方向に所定角度回転させることで、係合規制部材23の係合部23aとの係合と係合解除とを切換え可能に構成されている。
フランジ部31bが係合部23aと係合しているとき、係合規制部材23で生じる弾性力によりフランジ部31bが下方へ押圧されるため、押圧部31fによって加工布41が更に下側に押圧され、加工布41の張力が増す。
次に、以上説明した刺繍枠1の作用、効果について説明する。
上枠20を開いた状態で刺繍枠1をテーブル上に載置する(図7-1参照)。下枠2の上側に刺繍対象の加工布41を位置決めして載置した後上枠20を閉じて、上枠20の凹部21aと下枠2の突部3aに加工布41を挟み込む。次に、クランプ機構8を退避位置から使用位置に切換えて、被クランプ部22bの先端部の上面をカム本体部9cのカム面の下端部に接触させる。ここで、カム部材9の操作部9bを図2において反時計回りに回動させて、被クランプ部22bの先端部を下方に押し下げて、クランプ状態にし、上枠20と下枠2とで加工布41を挟持する(図7-2参照)。
次に、補助枠30の本体筒部31aを上枠20と下枠2の内側に嵌合させて、つまみ部31cを指先でつまんで、上枠20に対して円周方向に所定角度回転させて、補助枠30のフランジ部31bと上枠20に設けた係合規制部材23の係合部23aとを係合させると、上枠20と下枠2とで挟持した加工布41が補助枠30の押圧部31fにより更に下側に押圧される(図7-3参照)。これにより、加工布41を十分に張った状態で確実に保持できる。しかも、補助枠30を加工布41に押圧する為のクランプ機構8に相当する機構を刺繍枠1に設ける必要がないため、刺繍枠1の構成が簡単化し、部品点数も減少し、刺繍枠が軽量化し、制作費を低減できる。また、フランジ部31bは補助枠30の相対向する位置に1対設けられ、係合規制部材23は上枠20の相対向する位置に1対設けられているので、刺繍枠1の相対向する2箇所で加工布41を押圧することができ、加工布41を均一に保持できる。
更に、補助枠30の本体筒部31aを上枠20と下枠2に嵌合させた状態で上枠20に対して円周方向に所定角度回転させることで、フランジ部31bと係合規制部材23の係合部23aとの係合と係合解除とを切換え可能に構成されたので、係合と係合解除とを回転操作で簡単に切換えることができ、補助枠30は、円周方向に回転させる為のつまみ部31cを有するので、作業者は補助枠30のつまみ部31cを指先でつまんで円周方向に回転させることができるので、容易に回転操作を行うことができる。このとき、係合規制部材23は、補助枠30を上方から押圧する板バネから構成されたので、係合規制部材23を簡単な構成で実現できるうえ、板バネで生じる弾性力により加工布41を確実に保持できる。
更に、上枠20の外周部には環状溝21bが形成され、この環状溝21bにほぼ環状の金属線材からなる保持部材22が装着され、この保持部材22の後端部が下枠2に回転可能に枢支されてヒンジ部5が形成されると共に、その前端部にクランプ機構8によりクランプされる被クランプ部22bが形成されたので、ヒンジ部5とクランプされる部位を別部材で新たに設ける必要がなく、部品点数が減少するため、製作費を低減できる。
次に、本発明の実施例2について、図8,図9に基づいて説明する。但し、前記実施例と同一の構成には同一の符号を付し、異なる構成についてのみ説明する。
この実施例2においては、実施例1で補助枠30に設けたフランジ部31bと、上枠20に設けた係合規制部材23の代わりに、上枠20Aと補助枠30Aとの係合と係合解除とを切換え可能であり、且つ加工布41を押圧する押圧力を調整可能な係合機構32を設けている。
上枠20Aの内周部には、段部21dよりも上側部分に螺旋溝21eが形成されている。補助枠30Aの大径部31hの外周部には、上枠20Aの螺旋溝21eと係合する螺旋凸条31iが形成されている。補助枠30Aの本体筒部31gを上枠20Aと下枠2に嵌合させながら上枠20Aに対して円周方向に所定角度回転させることで、上枠20Aと補助枠30Aとの係合と係合解除とが切換えられる。加えて、補助枠30Aの回転量を調節して、押圧部31fによる加工布41を押圧する押圧力を調整可能に構成されている。尚、螺旋凸条31iと螺旋溝21eが係合機構32に相当する。
このように、上枠20Aと下枠2とで加工布41を挟持した状態で、クランプ機構8により上枠20Aを下枠2に押圧保持させて、上枠20Aと下枠2の内側に補助枠30Aの本体筒部31gを嵌合させながら上枠20Aに対して円周方向に所定角度回転させることで、上枠20Aと補助枠30Aとが係合状態となり、実施例1と同様、上枠20Aと下枠2とで挟持した加工布41が補助枠30Aの押圧部31fにより更に下側に押圧され、加工布41を十分に張った状態で確実に保持できる。しかも、補助枠30Aの回転量の調節により、上枠20Aに対する補助枠30Aの上下方向の位置を変更することができるので、加工布41の材質や布厚に応じて、加工布41を押圧する押圧力を適宜調節することができる。
このとき、係合機構32は、補助枠30Aの大径部31hの外周部に形成された螺旋凸条31iと、上枠20Aの内周部の段部21dよりも上側に形成され螺旋凸条31iと係合する螺旋溝21eとを有するので、係合機構32を簡単な構成で実現できる。その他の構成、作用、効果は、前記実施例と同様である。
次に、前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
1)実施例1では、板バネからなる係合規制部材23を適用したが、係合規制部材23は他の弾性部材から構成されてもよいし、上枠20と下枠2の内側に補助枠30の本体筒部31aを嵌合した際に補助枠30のフランジ部31bを係合して補助枠30の上方への移動を規制可能なものであれば、弾性力を生じない金属板など他の部材であってもよい。 2)実施例1における係合規制部材23とフランジ部31bの個数やそれらを設ける位置については適宜変更可能である。
3)実施例2では、係合機構32として、補助枠30Aの外周部に螺旋凸条31i、上枠20Aの内周部に螺旋溝21eが形成されていることとしたが、補助枠30Aに螺旋溝、上枠20Aに螺旋凸条が形成されていてもよく、また、補助枠30Aと上枠20Aに螺旋凸条が夫々形成されていてもよい。
4)その他、当業者であれば、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更された種々の形態を包含するものである。
本発明の実施例1の刺繍枠の斜視図である。 上枠が開いた状態で、補助枠が上枠より分離した状態を示す斜視図である。 上枠が開いた状態を示す平面図である。 上枠が開いた状態を示す左側面図である。 上枠が閉じた状態を示す平面図である。 上枠が閉じた状態を示す左側面図である。 上枠が開いた状態を示す要部拡大断面図である。 上枠と下枠とで加工布を挟持した状態を示す要部拡大断面図である。 上枠と下枠とで加工布を挟持した後、補助枠を上枠に係合させた状態を示す要部拡大断面図である。 実施例2の図1相当図である。 実施例2における補助枠が上枠より分離した状態を示す斜視図である。
符号の説明
1,1A 刺繍枠
2 下枠
5 ヒンジ部
8 クランプ機構
20,20A 上枠
21b 環状溝
21e 螺旋溝
22 保持部材
23 係合規制部材
30,30A 補助枠
31b フランジ部
31c つまみ部
31i 螺旋凸条
32 係合機構
41 加工布

Claims (9)

  1. ほぼ円環状の上枠と下枠とで加工布を挟持する刺繍枠であって、前記上枠と下枠とを開閉可能に連結するヒンジ部と、前記上枠を下枠に押圧保持する為のクランプ手段とを備えた刺繍枠において、
    前記上枠の内側に嵌合されて前記上枠と下枠とで挟持した加工布を更に下側に押圧する補助枠であって、上端部の一部にフランジ部を有する補助枠と、
    前記上枠に設けられ、前記補助枠のフランジ部に係合して補助枠の上方への移動を規制する係合規制部材と、
    を備えたことを特徴とする刺繍枠。
  2. 前記フランジ部は補助枠の相対向する位置に複数設けられ、前記係合規制部材は前記上枠の相対向する位置に複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の刺繍枠。
  3. 前記補助枠を上枠に嵌合させた状態で上枠に対して円周方向に所定角度回転させることで、前記フランジ部と前記係合規制部材の係合・係合解除を切換え可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の刺繍枠。
  4. 前記補助枠は、円周方向に回転させる為のつまみ部を有することを特徴とする請求項3に記載の刺繍枠。
  5. 前記係合規制部材は、前記補助枠を前記上枠に係合させたときに、前記フランジ部を上方から押圧する弾性部材から構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の刺繍枠。
  6. ほぼ円環状の上枠と下枠とで加工布を挟持する刺繍枠であって、前記上枠と下枠とを開閉可能に連結するヒンジ部と、前記上枠を下枠に押圧保持する為のクランプ手段とを備えた刺繍枠において、
    前記上枠の内側に嵌合されて前記上枠と下枠とで挟持した加工布を更に下側に押圧する補助枠と、
    前記補助枠を上枠に嵌合させながら上枠に対して円周方向に所定角度回転させることで、前記上枠と補助枠との係合・係合解除を切換え可能で、且つ前記加工布を押圧する押圧力を調整可能な係合機構と、
    を備えたことを特徴とする刺繍枠。
  7. 前記係合機構は、補助枠の外周部に形成された螺旋凸条と、前記上枠の内周部に形成され前記螺旋凸条と係合する螺旋溝とを有することを特徴とする請求項6に記載の刺繍枠。
  8. 前記補助枠は、円周方向に回転させる為のつまみ部を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の刺繍枠。
  9. 前記上枠の外周部には環状溝が形成され、この環状溝にほぼ環状の金属線材からなる保持部材が装着され、この保持部材の基端部が前記下枠に回転可能に枢支されて前記ヒンジ部が形成されると共に、その先端部に前記クランプ手段によりクランプされる部位が形成されたことを特徴とする請求項1又は6に記載の刺繍枠。
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