JP2004091974A - 被縫製物用枠 - Google Patents
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Abstract
【課題】縫製を終えた被縫製物を受け枠から取り外す際、縫製の品質を損なうことなく、被縫製物の取り外し作業を容易にする。
【解決手段】筒状の被縫製物(筒物64)をその芯地65と共に縫製可能な状態に保持するための被縫製物用枠であって、受け枠52と、芯地保持体54と、ロック部材58とを備えている。受け枠52は、その先端側から筒状の被縫製物を被せつけて縫製可能な状態に保持することが可能である。芯地保持体54は、被縫製物の内側に位置する芯地65を受け枠52の外周面に押え付けることが可能である。芯地保持体54は、その基端部が受け枠52に軸支されて受け枠側から外側へ離れる方向への回動が可能になっている。ロック部材58は、受け枠52の先端側において芯地保持体54の先端部に係合し、この芯地保持体54を、芯地65を押え付けた状態にロックすることが可能となっている。
【選択図】 図5
【解決手段】筒状の被縫製物(筒物64)をその芯地65と共に縫製可能な状態に保持するための被縫製物用枠であって、受け枠52と、芯地保持体54と、ロック部材58とを備えている。受け枠52は、その先端側から筒状の被縫製物を被せつけて縫製可能な状態に保持することが可能である。芯地保持体54は、被縫製物の内側に位置する芯地65を受け枠52の外周面に押え付けることが可能である。芯地保持体54は、その基端部が受け枠52に軸支されて受け枠側から外側へ離れる方向への回動が可能になっている。ロック部材58は、受け枠52の先端側において芯地保持体54の先端部に係合し、この芯地保持体54を、芯地65を押え付けた状態にロックすることが可能となっている。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒状をした被縫製物の周面に刺繍などの縫製を行うために用いる被縫製物枠に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の被縫製物枠においては、例えば特許文献1に開示されている技術が既に知られている。この技術では、縫製用窓を備えた受け枠に、芯地用の押え枠および被縫製物用の押え枠がそれぞれ取り付けられている。これらの両押え枠は、受け枠の先端側に位置する円弧部をそれぞれ有し、個々の円弧部とは反対側に位置する端部が受け枠の基端に形成されたフランジに対して回動自在に支持されている。そして被縫製物である筒物を被縫製物枠にセットするには、まず芯地を受け枠の外周面と芯地用の押え枠とによって挟み込んだ状態で保持し、その後に筒物を被せつけ、被縫製物用の押え枠によって保持している。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−317167号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
縫製用窓の領域内で所定の縫製を終えた筒物を被縫製物枠から取り外すには、被縫製物用の押え枠による筒物の保持を解放し、筒物を受け枠の先端側へ抜き取って外す。このとき、筒物と芯地との縫い合わせ部が芯地用押え枠の円弧部に引っ掛かってしまうため、芯地を適当に破りながら筒物を抜き取る必要がある。したがって、縫製後の筒物の取り外しが困難であり、特に厚手の芯地を使用した場合には、芯地を破り取る際に縫われた糸が強く引っ張られて縫製の品質に悪影響を及ぼすことも懸念される。
本発明は従来の課題を解決しようとするもので、その目的は、縫製を終えた筒状の被縫製物を芯地と共に受け枠から取り外すとき、縫製の品質を損なうことなく、被縫製物の取り外し作業を容易にすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するためのもので、請求項1に記載の発明は、筒状の被縫製物をその芯地と共に縫製可能な状態に保持するための被縫製物用枠であって、受け枠と、芯地保持体と、ロック部材とを備えている。受け枠は、その先端側から筒状の被縫製物を被せつけて縫製可能な状態に保持することが可能になっている。芯地保持体は、被縫製物の内側に位置する芯地を受け枠の外周面に押え付けることが可能である。また、この芯地保持体は、その基端部が受け枠に軸支されて受け枠側から外側へ離れる方向への回動が可能になっている。ロック部材は、受け枠の先端側において芯地保持体の先端部に係合し、この芯地保持体を、芯地を押え付けた状態にロックすることが可能となっている。
これにより、縫製を終えた被縫製物を受け枠から取り外す際、芯地保持体の先端部に係合しているロック部材のロックを解除すれば、芯地保持体が受け枠側から外方へ離れ、被縫製物と芯地との縫い合わせ部分の通過に障害となる物が存在しなくなる。したがって、縫製の品質を損なうことなく、被縫製物を受け枠から容易に取り外すことができる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載された被縫製物用枠であって、ロック部材は被縫製物の外側からでもロックを解除しやすい形状に設定されている。
したがって、被縫製物が受け枠に被せつけられたままの状態であっても、被縫製物の上からロック部材のロックを容易に解除でき、芯地保持体による芯地の保持を解放できる。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載された被縫製物用枠であって、受け枠は被縫製物の縫製範囲に対応した開口面積の縫製用窓を備えている。この受け枠に対し、縫製用窓における周方向の開口面積を縮小させるための補助枠が脱着可能であるとともに、芯地保持体は補助枠と対応する位置へ移動可能となっている。
このように縫製用窓の周方向の開口面積を調整できるようにすることで、一種類の被縫製物用枠で被縫製物に対する様々な縫製範囲の違いに対応できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
まず、実施の形態1を図1〜6にしたがって説明する。
図1は被縫製物用枠の駆動ユニットを表した側面図である。図2は同じく被縫製物用枠の駆動ユニットを表した正面図である。これらの図面に示されているシリンダーベッド10は、ミシンヘッド(図示外)の下方に配置されているとともに、その内部には釜(図示外)がその関連部品とともに組み込まれている。このシリンダーベッド10下面の中央には、レール12が長さ方向(Y方向)に沿って形成されている。また、シリンダーベッド10上面に沿ってY方向へ往復移動するY駆動部(図示外)は、二枚の連結板14,16を備えている(図1)。一方の連結板14はY駆動部と一体的に支持され、他方の連結板16はY駆動部に対してX方向へ相対的に移動できるように支持されている。
【0009】
一方の連結板14には支持板20が結合されている。この支持板20の上面には、他方の連結板16に結合されたスライド板34がX方向へ相対的に移動可能で、かつ互いに脱落しないように組み付けられている。支持板20後端の両側にはネジ24が外れ落ちないようにねじ付けられており、スライド板34後端の両側には連結部材36がそれぞれ固定されている。支持板20下面には、その左右両側においてブラケット26がそれぞれ固定され、これらの前面にプレート28が固定されている。
【0010】
両ブラケット26には、ローラ30を備えたローラ軸32の端部が、上下方向の位置調整機能を有する支持部材(図示外)によりそれぞれ支持されている。このローラ30は、レール12の下面と接触可能な位置に設けられている。一方、プレート28は、シリンダーベッド10が干渉しないように挿通する開放口を備えている(図2)。プレート28の前面には、3個の支持ローラ44が等角度の間隔で、かつ個々に回転自在に支持されている。各支持ローラ44の内側においては、円筒形状の駆動リング40が定位置で軸線まわりに回転できるように支持されている。この駆動リング40の外周にはケーブル46が巻き付けられ、このケーブル46の両端部48はスライド板34の前面にそれぞれ結合されている(図2)。なお、ケーブル46にはワイヤーケーブルやタイミングベルトが使用される。
【0011】
被縫製物用枠の駆動ユニットは、シリンダーベッド10の外側において長さ方向(Y方向)への往復移動が可能に組み付けられる。このとき、支持板20はそのネジ24を利用して連結板14に結合される。また、スライド板34はその連結部材36と、連結板16に外れ落ちないように設けられているネジ18とを利用して連結板16に結合される。そして、ローラ30がレール12下面に接触するように、ローラ軸32の支持部材を調整して駆動ユニットをがたつきのない状態にする。なお、駆動リング40には、図1の仮想線で示すように筒状の被縫製物(筒物)をセットするための被縫製物用枠が装着される。
【0012】
ミシンの枠駆動データに基づいて枠駆動ユニット全体がY方向へ往復駆動されるとともに、スライド板34は他のユニット部品とは相対的にX方向へ駆動される。これにより、駆動リング40が被縫製物用枠とともにY方向に直線移動し、かつY軸回りに回転する。この結果、被縫製物用枠にセットされる筒物の周面に対して刺繍などの縫製を行うことができる。
【0013】
図3は被縫製物用枠を表した側面図、図4は同じく被縫製物用枠を表した正面図である。図5は被縫製物用枠の外観斜視図、図6は被縫製物用枠の分解斜視図である。これらの図面で示すように、被縫製物用枠の構成は、受け枠52、芯地保持体54、ロック部材58に大別される。
【0014】
受け枠52は、図5で示す筒物64(被縫製物)を被せつけることが可能な形状で、その両端側に位置する円筒部を除き、周方向のほぼ上半分の範囲にわたって開放された縫製用窓52aを有する。受け枠52の基端側円筒部にはフランジ52bが設けられているとともに、この基端側円筒部の内周は駆動リング40の小径部42外周に組み付け可能となっている。この組み付けによって駆動リング40に被縫製物用枠が装着される。一方、受け枠52の先端側円筒部は、中心部が開口された先端面52cを有する。
【0015】
図6で明らかなようにフランジ52bには、長孔52b−1と係合部52b−2とのセットが左右対称の位置において複数セット設けられている。長孔52b−1はフランジ52bの径方向に沿って長く形成されており、係合部52b−2はフランジ52bの外周で開放された角穴状に設定されている。また、先端面52cには、ネジ孔52c−1と係合部52c−2とのセットが周方向に関して複数セット設けられている。係合部52c−2は、先端面52cの内周で開放された角穴状に設定されている。
【0016】
芯地保持体54は一対の真っ直ぐな部材で、それぞれの先端部には斜面54aとストレート面54bとが形成されている。両芯地保持体54の基端部は、個々の支持部材56に軸56aにより回動可能に支持されている。この支持部材56は、フランジ52bの係合部52b−2に係合する係合片56bを備えている。そこで支持部材56は、その係合片56bを係合部52b−2に係合させて位置規制(回り止め)した状態で、長孔52b−1に挿通させたネジ56cによりフランジ52bに固定される。これにより、受け枠52に対して両芯地保持体54が軸56a回りの回動可能に支持されている。
【0017】
両芯地保持体54を軸56a回りに回動させることにより、両芯地保持体54は図3の実線で示すように受け枠52の外周面に接触したり、仮想線で示すように受け枠52の外周面から外側へ離れたりする。これによって、両芯地保持体54は図5で示す芯地65を受け枠52の外周面に押し付けて挟み込んだり、それを解放したりできる。なお、両芯地保持体54において芯地65を受け枠52側に押し付ける面にはゴム板などのクッションが貼り付けられており、芯地65を確実に保持できるようになっている。また、支持部材56のネジ56cによる締め付け位置をフランジ52bの長孔52b−1に沿って調整することにより、芯地65の厚みに合わせて受け枠52の外周面と両芯地保持体54との間隔を調整することができる。
【0018】
ロック部材58は芯地保持体54を図3,5の実線で示す状態にロックするためのもので、一対の取付部材58aにフック58bがそれぞれ回動可能に取り付けられている。取付部材58aは、長孔58a−1と係合片58a−2とを備えている。この取付部材58aは、その係合片58a−2を受け枠52における先端面52cの係合部52c−2に係合させて位置規制(回り止め)し、かつ長孔58a−1に挿通させたネジ58cによって先端面52cに固定されている。フック58bを対応する両芯地保持体54のストレート面54bに係合させることにより、両芯地保持体54が芯地65を受け枠52側に押し付けた状態にロックされる。
【0019】
取付部材58aのネジ58cによる締め付け位置を、その長孔58a−1に沿って調整することにより、受け枠52の軸線に対する両ロック部材58の遠近位置が調整される。これにより、両芯地保持体54における先端部のストレート面54bに対するフック58bの係合強さ(係り具合)を調整することができる。ここで、両芯地保持体54のストレート面54bに係合するフック58bの係合部58b−1は、その幅がストレート面54bの幅(芯地保持体54の板厚)よりも大きく形成されており、その両側には膨出部58b−2が形成されている(図4)。したがって、両ロック部材58に筒物64が被さった状態でも、筒物64の上からフック58bを両芯地保持体54に係合させたり外したりする操作が容易である。
【0020】
受け枠52に対しては、その縫製用窓52aを部分的に塞ぐ形状の補助枠60を脱着することができる。この補助枠60を使用するか否か、あるいは受け枠52に対する補助枠60の取り付け位置を任意に変更(図3)することにより、縫製用窓52aにおける軸線方向(Y方向)の開口面積を調整することができる。このように縫製用窓52aのY方向の開口面積を調整することで、筒物64におけるY方向の縫製範囲に対応することができる。
【0021】
つづいて、被縫製物用枠に対して被縫製物(筒物64)と芯地65をセットする手順について説明する。まず、図3〜5で示すように両芯地保持体54の先端部に係合している両ロック部材58のフック58bを外すと、両芯地保持体54はその自重によって軸56a回りに回動し、図3の仮想線で示すように受け枠52の外周面から離れる。ここで、芯地65を受け枠52外周に対し、縫製用窓52aを塞ぐように被せつける。なお、芯地65は、その外側に被せつけられる筒物64を縫製用窓52aにおいて内側から支えることができるように、ある程度の厚みと剛性のある紙や不織布を使用しており、受け枠52の外周に巻き付けるようにして被せる。
【0022】
つぎに、両芯地保持体54の先端部を持ち上げるようにして、これらの芯地保持体54により芯地65を受け枠52の外周面に押さえ付ける。その状態で両ロック部材58のフック58bを両芯地保持体54のストレート面54bに係合させ、両芯地保持体54をロックする。そして、受け枠52の先端側から筒物64を、芯地65と両芯地保持体54を被うように被せつける。なお、両芯地保持体54の斜面54aは筒物64をスムースに被せつけるためのものである。
【0023】
被せつけられた筒物64は、縫製用窓52aと対応する縫製部分がピンと張った状態になるように、その両側下部をクリップ62(図5)によって両芯地保持体54に挟みつける。なお、クリップ62によって挟みつけられる両芯地保持体54の側面は細かい波状に形成してあり、クリップ62が筒物64に引っ張られても簡単にはずれ動かないようになっている。
以上によって、被縫製物用枠に対する筒物64と芯地65のセットが完了する。そして、図1,2で示す枠駆動ユニットの駆動リング40に装着された被縫製物用枠が、ミシンの枠駆動データに基づいて駆動制御されることにより、筒物64の周面に刺繍などの縫製が行われる。
【0024】
縫製終了後の被縫製物を被縫製物用枠から取り外す手順について説明する。まず、クリップ62を両芯地保持体54から外して筒物64の保持を解放する。そして、筒物64の上から、両ロック部材58のフック58bを両芯地保持体54のストレート面54bから外す。これにより、両芯地保持体54が、その自重で軸56a回りに回動して芯地65に対する押さえ付けが解放されるとともに、先端部が受け枠52の外周面から離れてフリー状態になる。
【0025】
そして、筒物64を、その縫製範囲において縫い合わされている芯地65と共に受け枠52の先端側へ抜き取る。このとき、筒物64と芯地65との縫い合わせ部分の通過に障害となる物が存在しないため、筒物64を受け枠52から容易に抜き取って取り外すことができる。なお、先に説明したように受け枠52の軸線に対する両ロック部材58の遠近位置を調整し、フック58bの係合強さを弱く設定することで、筒物64を抜き取るときの力によってフック58bが両芯地保持体54の先端部から自動的に外れるようにすることも可能である。
【0026】
つぎに、本発明の実施の形態2を図7〜10にしたがって説明する。
図7は実施の形態2の被縫製物用枠を表した側面図、図8は同じく被縫製物用枠を表した正面図である。図9は実施の形態2の被縫製物用枠を表した外観斜視図、図10は同じく被縫製物用枠を表した分解斜視図である。実施の形態2の被縫製物用枠は、実施の形態1と同じ構造の受け枠52、芯地保持体54、およびロック部材58が使用され、補助枠70と押え枠80が付加されている。
【0027】
補助枠70は受け枠52の縫製用窓52aにおける周方向の開口面積を収縮させるためのもので、一対の枠部材72と、これらを結合した円弧形状の結合部材73とによって構成されている。両枠部材72は、それぞれの両端部に形成されている取付片72a,72bを有し、この取付片72a,72bを介して受け枠52に取り付けられる。受け枠52の先端側に対応する取付片72aは先端面52cにネジ74で取り付けられ、受け枠52の基端側に対応する取付片72bはフランジ52bにネジ74で取り付けられている。受け枠52に両枠部材72を取り付けることにより、縫製用窓52aの開口面積が受け枠52全周のほぼ半分程度に縮小される。なお結合部材73は両枠部材72に対し、その長さ方向に沿って複数個形成された孔72cの幾つかを利用して結合されており、結合部材73の取付位置を受け枠52の軸線方向へ調整できる。これにより、筒物64の長さに応じて縫製用窓52aの開口面積を受け枠52の軸線方向に関しても調整できる。
【0028】
押え枠80は図9で示す筒物64を受け枠52に対して縫製可能な状態に保持するためのもので、受け枠52の基端側と対応する両端部が個々の支持部材82に対して回動可能に支持されている。両支持部材82は、受け枠52のフランジ52bにネジ83によって取り付けられている。また、押え枠80において、受け枠52の先端側と対応する端部は円弧状に形成されており、ここにロック金具84が固定されている。このロック金具84は受け枠52の先端面52c上部に係合できるようになっている。
【0029】
実施の形態2では受け枠52に補助枠70を取り付けることに伴い、受け枠52に対する両芯地保持体54と両ロック部材58の取り付け位置を変えている。すなわち、両芯地保持体54の支持部材56は、受け枠52のフランジ52bに対し、実施の形態1の場合よりも上寄りの長孔52b−1と係合部52b−2を利用して取り付けられている。また、両ロック部材58の取付部材58aについても、受け枠52の先端面52cに対し、実施の形態1の場合よりも上寄りのネジ孔52c−1と係合部52c−2を利用して取り付けられている。
【0030】
つづいて、実施の形態2の被縫製物用枠に対し、図9で示すように筒物64と芯地65をセットする手順について説明する。まず、両芯地保持体54の先端部に係合している両ロック部材58のフック58bを外すと、両芯地保持体54はその自重によって軸56a回りに回動し、補助枠70(枠部材72)の外側面から離れる。また、押え枠80についても、ロック金具84を受け枠52の先端面52cから外し、上方へ開いた格好となるように回動させておく。
【0031】
そこで、芯地65を受け枠52と補助枠70の外周に対して、縫製用窓52aを塞ぐように被せつける。そして、両芯地保持体54の先端部を持ち上げるようにして、これらの芯地保持体54により芯地65を補助枠70の外側面に押さえ付ける。その状態で両ロック部材58のフック58bを両芯地保持体54のストレート面54bに係合させ、両芯地保持体54をロックする。
【0032】
つぎに、筒物64を受け枠52の先端側から芯地65と両芯地保持体54を被うように被せつける。筒物64の縫製用窓52aと対応する縫製部分がピンと張った状態で、押え枠80を受け枠側に回動させて筒物64の両側部を補助枠70と押え枠80との間に挟み込み、ロック金具84を受け枠52の先端面52cに係合させる。これにより、被縫製物用枠に対する筒物64と芯地65のセットが完了する。
【0033】
次に、縫製終了後の被縫製物を被縫製物用枠から取り外す手順について説明する。まず、ロック金具84を受け枠52の先端面52cから外し、押え枠80を上方へ開いて筒物64の保持を解放する。そして、筒物64が被さったまま、両ロック部材58のフック58bを両芯地保持体54のストレート面54bから外す。これにより、両芯地保持体54が、その自重で軸56a回りに回動して芯地65に対する押さえ付けが解放されるとともに、先端部が補助枠70の外側面から離れてフリー状態になる。そして、筒物64を芯地65と共に受け枠52の先端側へ抜き取る。このとき、筒物64と芯地65との縫い合わせ部分の通過に障害となる物が存在しないため、筒物64を受け枠52から容易に抜き取って取り外すことができる。
【0034】
以上、実施の形態1,2で説明したように縫製を終えた筒物64(被縫製物)を受け枠52から取り外す際、両芯地保持体54の先端部が受け枠52側から離れ、筒物64と芯地65との縫い合わせ部分の通過に障害となる物が存在しなくなる。したがって、芯地65を破く必要がないため、また縫製の品質を損なうような事態を招くこともなく、受け枠52から筒物64を取り外すことができる。また、補助枠70を受け枠52に脱着することで、筒物64における刺繍範囲の違いに応じて縫製用窓52aの周方向の開口面積を調整できる。このため、縫製用窓52aの開口面積が異なる多種類の受け枠52を用意する必要がない。
【0035】
以上は本発明の好ましい実施の形態を図面に関連して説明したが、この実施の形態は本発明の趣旨から逸脱しない範囲で容易に変更または変形できるものである。
例えば、両芯地保持体54、ロック部材58、および補助枠70の受け枠52に対する取り付け可能な位置を増やすことで、縫製用窓52aの周方向の開口面積をを多段階に調整できるようにすることも可能である。また、芯地保持体54については、2個に限るものではなく、受け枠52の下側中央部に1個だけ設けてもよい。さらに、実施の形態2では、筒物64を受け枠52に保持する手段として受け枠52に押え枠80を設けた例を説明したが、実施の形態1と同様に、芯地保持体54に留めるクリップ62を使用して押え枠80を廃止してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】被縫製物用枠の駆動ユニットを表した側面図
【図2】被縫製物用枠の駆動ユニットを表した正面図
【図3】被縫製物用枠を表した側面図
【図4】被縫製物用枠を表した正面図
【図5】被縫製物用枠の外観斜視図
【図6】被縫製物用枠の分解斜視図
【図7】実施の形態2の被縫製物用枠を表した側面図
【図8】実施の形態2の被縫製物用枠を表した正面図
【図9】実施の形態2の被縫製物用枠を表した外観斜視図
【図10】実施の形態2の被縫製物用枠を表した分解斜視図
【符号の説明】
52 受け枠
52a 縫製用窓
54 芯地保持体
58 ロック部材
64 筒物(被縫製物)
65 芯地
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒状をした被縫製物の周面に刺繍などの縫製を行うために用いる被縫製物枠に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の被縫製物枠においては、例えば特許文献1に開示されている技術が既に知られている。この技術では、縫製用窓を備えた受け枠に、芯地用の押え枠および被縫製物用の押え枠がそれぞれ取り付けられている。これらの両押え枠は、受け枠の先端側に位置する円弧部をそれぞれ有し、個々の円弧部とは反対側に位置する端部が受け枠の基端に形成されたフランジに対して回動自在に支持されている。そして被縫製物である筒物を被縫製物枠にセットするには、まず芯地を受け枠の外周面と芯地用の押え枠とによって挟み込んだ状態で保持し、その後に筒物を被せつけ、被縫製物用の押え枠によって保持している。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−317167号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
縫製用窓の領域内で所定の縫製を終えた筒物を被縫製物枠から取り外すには、被縫製物用の押え枠による筒物の保持を解放し、筒物を受け枠の先端側へ抜き取って外す。このとき、筒物と芯地との縫い合わせ部が芯地用押え枠の円弧部に引っ掛かってしまうため、芯地を適当に破りながら筒物を抜き取る必要がある。したがって、縫製後の筒物の取り外しが困難であり、特に厚手の芯地を使用した場合には、芯地を破り取る際に縫われた糸が強く引っ張られて縫製の品質に悪影響を及ぼすことも懸念される。
本発明は従来の課題を解決しようとするもので、その目的は、縫製を終えた筒状の被縫製物を芯地と共に受け枠から取り外すとき、縫製の品質を損なうことなく、被縫製物の取り外し作業を容易にすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するためのもので、請求項1に記載の発明は、筒状の被縫製物をその芯地と共に縫製可能な状態に保持するための被縫製物用枠であって、受け枠と、芯地保持体と、ロック部材とを備えている。受け枠は、その先端側から筒状の被縫製物を被せつけて縫製可能な状態に保持することが可能になっている。芯地保持体は、被縫製物の内側に位置する芯地を受け枠の外周面に押え付けることが可能である。また、この芯地保持体は、その基端部が受け枠に軸支されて受け枠側から外側へ離れる方向への回動が可能になっている。ロック部材は、受け枠の先端側において芯地保持体の先端部に係合し、この芯地保持体を、芯地を押え付けた状態にロックすることが可能となっている。
これにより、縫製を終えた被縫製物を受け枠から取り外す際、芯地保持体の先端部に係合しているロック部材のロックを解除すれば、芯地保持体が受け枠側から外方へ離れ、被縫製物と芯地との縫い合わせ部分の通過に障害となる物が存在しなくなる。したがって、縫製の品質を損なうことなく、被縫製物を受け枠から容易に取り外すことができる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載された被縫製物用枠であって、ロック部材は被縫製物の外側からでもロックを解除しやすい形状に設定されている。
したがって、被縫製物が受け枠に被せつけられたままの状態であっても、被縫製物の上からロック部材のロックを容易に解除でき、芯地保持体による芯地の保持を解放できる。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載された被縫製物用枠であって、受け枠は被縫製物の縫製範囲に対応した開口面積の縫製用窓を備えている。この受け枠に対し、縫製用窓における周方向の開口面積を縮小させるための補助枠が脱着可能であるとともに、芯地保持体は補助枠と対応する位置へ移動可能となっている。
このように縫製用窓の周方向の開口面積を調整できるようにすることで、一種類の被縫製物用枠で被縫製物に対する様々な縫製範囲の違いに対応できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
まず、実施の形態1を図1〜6にしたがって説明する。
図1は被縫製物用枠の駆動ユニットを表した側面図である。図2は同じく被縫製物用枠の駆動ユニットを表した正面図である。これらの図面に示されているシリンダーベッド10は、ミシンヘッド(図示外)の下方に配置されているとともに、その内部には釜(図示外)がその関連部品とともに組み込まれている。このシリンダーベッド10下面の中央には、レール12が長さ方向(Y方向)に沿って形成されている。また、シリンダーベッド10上面に沿ってY方向へ往復移動するY駆動部(図示外)は、二枚の連結板14,16を備えている(図1)。一方の連結板14はY駆動部と一体的に支持され、他方の連結板16はY駆動部に対してX方向へ相対的に移動できるように支持されている。
【0009】
一方の連結板14には支持板20が結合されている。この支持板20の上面には、他方の連結板16に結合されたスライド板34がX方向へ相対的に移動可能で、かつ互いに脱落しないように組み付けられている。支持板20後端の両側にはネジ24が外れ落ちないようにねじ付けられており、スライド板34後端の両側には連結部材36がそれぞれ固定されている。支持板20下面には、その左右両側においてブラケット26がそれぞれ固定され、これらの前面にプレート28が固定されている。
【0010】
両ブラケット26には、ローラ30を備えたローラ軸32の端部が、上下方向の位置調整機能を有する支持部材(図示外)によりそれぞれ支持されている。このローラ30は、レール12の下面と接触可能な位置に設けられている。一方、プレート28は、シリンダーベッド10が干渉しないように挿通する開放口を備えている(図2)。プレート28の前面には、3個の支持ローラ44が等角度の間隔で、かつ個々に回転自在に支持されている。各支持ローラ44の内側においては、円筒形状の駆動リング40が定位置で軸線まわりに回転できるように支持されている。この駆動リング40の外周にはケーブル46が巻き付けられ、このケーブル46の両端部48はスライド板34の前面にそれぞれ結合されている(図2)。なお、ケーブル46にはワイヤーケーブルやタイミングベルトが使用される。
【0011】
被縫製物用枠の駆動ユニットは、シリンダーベッド10の外側において長さ方向(Y方向)への往復移動が可能に組み付けられる。このとき、支持板20はそのネジ24を利用して連結板14に結合される。また、スライド板34はその連結部材36と、連結板16に外れ落ちないように設けられているネジ18とを利用して連結板16に結合される。そして、ローラ30がレール12下面に接触するように、ローラ軸32の支持部材を調整して駆動ユニットをがたつきのない状態にする。なお、駆動リング40には、図1の仮想線で示すように筒状の被縫製物(筒物)をセットするための被縫製物用枠が装着される。
【0012】
ミシンの枠駆動データに基づいて枠駆動ユニット全体がY方向へ往復駆動されるとともに、スライド板34は他のユニット部品とは相対的にX方向へ駆動される。これにより、駆動リング40が被縫製物用枠とともにY方向に直線移動し、かつY軸回りに回転する。この結果、被縫製物用枠にセットされる筒物の周面に対して刺繍などの縫製を行うことができる。
【0013】
図3は被縫製物用枠を表した側面図、図4は同じく被縫製物用枠を表した正面図である。図5は被縫製物用枠の外観斜視図、図6は被縫製物用枠の分解斜視図である。これらの図面で示すように、被縫製物用枠の構成は、受け枠52、芯地保持体54、ロック部材58に大別される。
【0014】
受け枠52は、図5で示す筒物64(被縫製物)を被せつけることが可能な形状で、その両端側に位置する円筒部を除き、周方向のほぼ上半分の範囲にわたって開放された縫製用窓52aを有する。受け枠52の基端側円筒部にはフランジ52bが設けられているとともに、この基端側円筒部の内周は駆動リング40の小径部42外周に組み付け可能となっている。この組み付けによって駆動リング40に被縫製物用枠が装着される。一方、受け枠52の先端側円筒部は、中心部が開口された先端面52cを有する。
【0015】
図6で明らかなようにフランジ52bには、長孔52b−1と係合部52b−2とのセットが左右対称の位置において複数セット設けられている。長孔52b−1はフランジ52bの径方向に沿って長く形成されており、係合部52b−2はフランジ52bの外周で開放された角穴状に設定されている。また、先端面52cには、ネジ孔52c−1と係合部52c−2とのセットが周方向に関して複数セット設けられている。係合部52c−2は、先端面52cの内周で開放された角穴状に設定されている。
【0016】
芯地保持体54は一対の真っ直ぐな部材で、それぞれの先端部には斜面54aとストレート面54bとが形成されている。両芯地保持体54の基端部は、個々の支持部材56に軸56aにより回動可能に支持されている。この支持部材56は、フランジ52bの係合部52b−2に係合する係合片56bを備えている。そこで支持部材56は、その係合片56bを係合部52b−2に係合させて位置規制(回り止め)した状態で、長孔52b−1に挿通させたネジ56cによりフランジ52bに固定される。これにより、受け枠52に対して両芯地保持体54が軸56a回りの回動可能に支持されている。
【0017】
両芯地保持体54を軸56a回りに回動させることにより、両芯地保持体54は図3の実線で示すように受け枠52の外周面に接触したり、仮想線で示すように受け枠52の外周面から外側へ離れたりする。これによって、両芯地保持体54は図5で示す芯地65を受け枠52の外周面に押し付けて挟み込んだり、それを解放したりできる。なお、両芯地保持体54において芯地65を受け枠52側に押し付ける面にはゴム板などのクッションが貼り付けられており、芯地65を確実に保持できるようになっている。また、支持部材56のネジ56cによる締め付け位置をフランジ52bの長孔52b−1に沿って調整することにより、芯地65の厚みに合わせて受け枠52の外周面と両芯地保持体54との間隔を調整することができる。
【0018】
ロック部材58は芯地保持体54を図3,5の実線で示す状態にロックするためのもので、一対の取付部材58aにフック58bがそれぞれ回動可能に取り付けられている。取付部材58aは、長孔58a−1と係合片58a−2とを備えている。この取付部材58aは、その係合片58a−2を受け枠52における先端面52cの係合部52c−2に係合させて位置規制(回り止め)し、かつ長孔58a−1に挿通させたネジ58cによって先端面52cに固定されている。フック58bを対応する両芯地保持体54のストレート面54bに係合させることにより、両芯地保持体54が芯地65を受け枠52側に押し付けた状態にロックされる。
【0019】
取付部材58aのネジ58cによる締め付け位置を、その長孔58a−1に沿って調整することにより、受け枠52の軸線に対する両ロック部材58の遠近位置が調整される。これにより、両芯地保持体54における先端部のストレート面54bに対するフック58bの係合強さ(係り具合)を調整することができる。ここで、両芯地保持体54のストレート面54bに係合するフック58bの係合部58b−1は、その幅がストレート面54bの幅(芯地保持体54の板厚)よりも大きく形成されており、その両側には膨出部58b−2が形成されている(図4)。したがって、両ロック部材58に筒物64が被さった状態でも、筒物64の上からフック58bを両芯地保持体54に係合させたり外したりする操作が容易である。
【0020】
受け枠52に対しては、その縫製用窓52aを部分的に塞ぐ形状の補助枠60を脱着することができる。この補助枠60を使用するか否か、あるいは受け枠52に対する補助枠60の取り付け位置を任意に変更(図3)することにより、縫製用窓52aにおける軸線方向(Y方向)の開口面積を調整することができる。このように縫製用窓52aのY方向の開口面積を調整することで、筒物64におけるY方向の縫製範囲に対応することができる。
【0021】
つづいて、被縫製物用枠に対して被縫製物(筒物64)と芯地65をセットする手順について説明する。まず、図3〜5で示すように両芯地保持体54の先端部に係合している両ロック部材58のフック58bを外すと、両芯地保持体54はその自重によって軸56a回りに回動し、図3の仮想線で示すように受け枠52の外周面から離れる。ここで、芯地65を受け枠52外周に対し、縫製用窓52aを塞ぐように被せつける。なお、芯地65は、その外側に被せつけられる筒物64を縫製用窓52aにおいて内側から支えることができるように、ある程度の厚みと剛性のある紙や不織布を使用しており、受け枠52の外周に巻き付けるようにして被せる。
【0022】
つぎに、両芯地保持体54の先端部を持ち上げるようにして、これらの芯地保持体54により芯地65を受け枠52の外周面に押さえ付ける。その状態で両ロック部材58のフック58bを両芯地保持体54のストレート面54bに係合させ、両芯地保持体54をロックする。そして、受け枠52の先端側から筒物64を、芯地65と両芯地保持体54を被うように被せつける。なお、両芯地保持体54の斜面54aは筒物64をスムースに被せつけるためのものである。
【0023】
被せつけられた筒物64は、縫製用窓52aと対応する縫製部分がピンと張った状態になるように、その両側下部をクリップ62(図5)によって両芯地保持体54に挟みつける。なお、クリップ62によって挟みつけられる両芯地保持体54の側面は細かい波状に形成してあり、クリップ62が筒物64に引っ張られても簡単にはずれ動かないようになっている。
以上によって、被縫製物用枠に対する筒物64と芯地65のセットが完了する。そして、図1,2で示す枠駆動ユニットの駆動リング40に装着された被縫製物用枠が、ミシンの枠駆動データに基づいて駆動制御されることにより、筒物64の周面に刺繍などの縫製が行われる。
【0024】
縫製終了後の被縫製物を被縫製物用枠から取り外す手順について説明する。まず、クリップ62を両芯地保持体54から外して筒物64の保持を解放する。そして、筒物64の上から、両ロック部材58のフック58bを両芯地保持体54のストレート面54bから外す。これにより、両芯地保持体54が、その自重で軸56a回りに回動して芯地65に対する押さえ付けが解放されるとともに、先端部が受け枠52の外周面から離れてフリー状態になる。
【0025】
そして、筒物64を、その縫製範囲において縫い合わされている芯地65と共に受け枠52の先端側へ抜き取る。このとき、筒物64と芯地65との縫い合わせ部分の通過に障害となる物が存在しないため、筒物64を受け枠52から容易に抜き取って取り外すことができる。なお、先に説明したように受け枠52の軸線に対する両ロック部材58の遠近位置を調整し、フック58bの係合強さを弱く設定することで、筒物64を抜き取るときの力によってフック58bが両芯地保持体54の先端部から自動的に外れるようにすることも可能である。
【0026】
つぎに、本発明の実施の形態2を図7〜10にしたがって説明する。
図7は実施の形態2の被縫製物用枠を表した側面図、図8は同じく被縫製物用枠を表した正面図である。図9は実施の形態2の被縫製物用枠を表した外観斜視図、図10は同じく被縫製物用枠を表した分解斜視図である。実施の形態2の被縫製物用枠は、実施の形態1と同じ構造の受け枠52、芯地保持体54、およびロック部材58が使用され、補助枠70と押え枠80が付加されている。
【0027】
補助枠70は受け枠52の縫製用窓52aにおける周方向の開口面積を収縮させるためのもので、一対の枠部材72と、これらを結合した円弧形状の結合部材73とによって構成されている。両枠部材72は、それぞれの両端部に形成されている取付片72a,72bを有し、この取付片72a,72bを介して受け枠52に取り付けられる。受け枠52の先端側に対応する取付片72aは先端面52cにネジ74で取り付けられ、受け枠52の基端側に対応する取付片72bはフランジ52bにネジ74で取り付けられている。受け枠52に両枠部材72を取り付けることにより、縫製用窓52aの開口面積が受け枠52全周のほぼ半分程度に縮小される。なお結合部材73は両枠部材72に対し、その長さ方向に沿って複数個形成された孔72cの幾つかを利用して結合されており、結合部材73の取付位置を受け枠52の軸線方向へ調整できる。これにより、筒物64の長さに応じて縫製用窓52aの開口面積を受け枠52の軸線方向に関しても調整できる。
【0028】
押え枠80は図9で示す筒物64を受け枠52に対して縫製可能な状態に保持するためのもので、受け枠52の基端側と対応する両端部が個々の支持部材82に対して回動可能に支持されている。両支持部材82は、受け枠52のフランジ52bにネジ83によって取り付けられている。また、押え枠80において、受け枠52の先端側と対応する端部は円弧状に形成されており、ここにロック金具84が固定されている。このロック金具84は受け枠52の先端面52c上部に係合できるようになっている。
【0029】
実施の形態2では受け枠52に補助枠70を取り付けることに伴い、受け枠52に対する両芯地保持体54と両ロック部材58の取り付け位置を変えている。すなわち、両芯地保持体54の支持部材56は、受け枠52のフランジ52bに対し、実施の形態1の場合よりも上寄りの長孔52b−1と係合部52b−2を利用して取り付けられている。また、両ロック部材58の取付部材58aについても、受け枠52の先端面52cに対し、実施の形態1の場合よりも上寄りのネジ孔52c−1と係合部52c−2を利用して取り付けられている。
【0030】
つづいて、実施の形態2の被縫製物用枠に対し、図9で示すように筒物64と芯地65をセットする手順について説明する。まず、両芯地保持体54の先端部に係合している両ロック部材58のフック58bを外すと、両芯地保持体54はその自重によって軸56a回りに回動し、補助枠70(枠部材72)の外側面から離れる。また、押え枠80についても、ロック金具84を受け枠52の先端面52cから外し、上方へ開いた格好となるように回動させておく。
【0031】
そこで、芯地65を受け枠52と補助枠70の外周に対して、縫製用窓52aを塞ぐように被せつける。そして、両芯地保持体54の先端部を持ち上げるようにして、これらの芯地保持体54により芯地65を補助枠70の外側面に押さえ付ける。その状態で両ロック部材58のフック58bを両芯地保持体54のストレート面54bに係合させ、両芯地保持体54をロックする。
【0032】
つぎに、筒物64を受け枠52の先端側から芯地65と両芯地保持体54を被うように被せつける。筒物64の縫製用窓52aと対応する縫製部分がピンと張った状態で、押え枠80を受け枠側に回動させて筒物64の両側部を補助枠70と押え枠80との間に挟み込み、ロック金具84を受け枠52の先端面52cに係合させる。これにより、被縫製物用枠に対する筒物64と芯地65のセットが完了する。
【0033】
次に、縫製終了後の被縫製物を被縫製物用枠から取り外す手順について説明する。まず、ロック金具84を受け枠52の先端面52cから外し、押え枠80を上方へ開いて筒物64の保持を解放する。そして、筒物64が被さったまま、両ロック部材58のフック58bを両芯地保持体54のストレート面54bから外す。これにより、両芯地保持体54が、その自重で軸56a回りに回動して芯地65に対する押さえ付けが解放されるとともに、先端部が補助枠70の外側面から離れてフリー状態になる。そして、筒物64を芯地65と共に受け枠52の先端側へ抜き取る。このとき、筒物64と芯地65との縫い合わせ部分の通過に障害となる物が存在しないため、筒物64を受け枠52から容易に抜き取って取り外すことができる。
【0034】
以上、実施の形態1,2で説明したように縫製を終えた筒物64(被縫製物)を受け枠52から取り外す際、両芯地保持体54の先端部が受け枠52側から離れ、筒物64と芯地65との縫い合わせ部分の通過に障害となる物が存在しなくなる。したがって、芯地65を破く必要がないため、また縫製の品質を損なうような事態を招くこともなく、受け枠52から筒物64を取り外すことができる。また、補助枠70を受け枠52に脱着することで、筒物64における刺繍範囲の違いに応じて縫製用窓52aの周方向の開口面積を調整できる。このため、縫製用窓52aの開口面積が異なる多種類の受け枠52を用意する必要がない。
【0035】
以上は本発明の好ましい実施の形態を図面に関連して説明したが、この実施の形態は本発明の趣旨から逸脱しない範囲で容易に変更または変形できるものである。
例えば、両芯地保持体54、ロック部材58、および補助枠70の受け枠52に対する取り付け可能な位置を増やすことで、縫製用窓52aの周方向の開口面積をを多段階に調整できるようにすることも可能である。また、芯地保持体54については、2個に限るものではなく、受け枠52の下側中央部に1個だけ設けてもよい。さらに、実施の形態2では、筒物64を受け枠52に保持する手段として受け枠52に押え枠80を設けた例を説明したが、実施の形態1と同様に、芯地保持体54に留めるクリップ62を使用して押え枠80を廃止してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】被縫製物用枠の駆動ユニットを表した側面図
【図2】被縫製物用枠の駆動ユニットを表した正面図
【図3】被縫製物用枠を表した側面図
【図4】被縫製物用枠を表した正面図
【図5】被縫製物用枠の外観斜視図
【図6】被縫製物用枠の分解斜視図
【図7】実施の形態2の被縫製物用枠を表した側面図
【図8】実施の形態2の被縫製物用枠を表した正面図
【図9】実施の形態2の被縫製物用枠を表した外観斜視図
【図10】実施の形態2の被縫製物用枠を表した分解斜視図
【符号の説明】
52 受け枠
52a 縫製用窓
54 芯地保持体
58 ロック部材
64 筒物(被縫製物)
65 芯地
Claims (3)
- 筒状の被縫製物をその芯地と共に縫製可能な状態に保持するための被縫製物用枠であって、
受け枠と、芯地保持体と、ロック部材とを備え、
受け枠は、その先端側から筒状の被縫製物を被せつけて縫製可能な状態に保持することが可能であり、
芯地保持体は、被縫製物の内側に位置する芯地を受け枠の外周面に押え付けることが可能で、この芯地保持体は、その基端部が受け枠に軸支されて受け枠側から外側へ離れる方向への回動が可能になっており、
ロック部材は、受け枠の先端側において芯地保持体の先端部に係合し、この芯地保持体を、芯地を押え付けた状態にロックすることが可能となっている被縫製物用枠。 - 請求項1に記載された被縫製物用枠であって、
ロック部材は被縫製物の外側からでもロックを解除しやすい形状に設定されている被縫製物用枠。 - 請求項1または2に記載された被縫製物用枠であって、
受け枠は被縫製物の縫製範囲に対応した開口面積の縫製用窓を備えており、この受け枠に対し、縫製用窓における周方向の開口面積を縮小させるための補助枠が脱着可能であるとともに、芯地保持体は補助枠と対応する位置へ移動可能となっている被縫製物用枠。
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Cited By (4)
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JP2007300975A (ja) * | 2006-05-08 | 2007-11-22 | Barudan Co Ltd | 刺繍加工用長尺枠 |
JP2007301053A (ja) * | 2006-05-09 | 2007-11-22 | Barudan Co Ltd | 刺繍加工用平枠 |
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JP5712134B2 (ja) * | 2009-09-30 | 2015-05-07 | 株式会社クラレ | 発泡成形体からなる容器用栓 |
-
2002
- 2002-08-30 JP JP2002255133A patent/JP2004091974A/ja not_active Withdrawn
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