JP2006198785A - 同時二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法 - Google Patents

同時二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリエステルフィルムの製造において、高強度で厚みムラの少ない延伸フィルムを一工程の同時二軸延伸機で安定に高速で連続に製造する。
【解決手段】 実質的に未配向のポリエステルフィルムをガラス転移温度(Tg)以上、Tg+50℃以下の延伸温度で長手方向、幅方向に同時二軸延伸法で1段目の延伸をそれぞれ2.5倍以上に延伸した後、2段目以降の延伸倍率が前段階の延伸倍率よりも小さい倍率で、かつTg以上、Tg+130℃以下の延伸温度で、段階的に変更し、延伸を一工程で高強度延伸フィルムを安定に高速で連続に製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、同時二軸延伸機を用いたポリエステルからなる二軸延伸フィルムの製造方法に関するものであり、特に高強度で厚みムラの少ないフィルムの製造方法に関するものである。
高強度フィルムを同時二軸延伸方式で製造する方法として、例えば未延伸フィルムを縦方向に予め延伸した後に同時二軸延伸機を用いて延伸を行う方法(特許文献1)、あるいは同時二軸延伸機を2台以上並べて製造する方法(特許文献2)が提案されているが、いずれも延伸工程が少なくとも2工程以上必要であった。これらの方法では、製造工程を増やすために製造コストが高く、また厚みムラが増大する等の品質悪化の原因ともなる等であって、本発明が提案するような、高強度で厚みムラの少ない延伸フィルムを安定に高速で連続的に1工程で製造することは困難である。
特開昭60−2334号公報 特開2002−250990号公報
ポリエステルフィルムの製造において、高強度で厚みムラの少ない延伸フィルムを一工程の同時二軸延伸機で安定に高速で連続して製造する。
前記した本発明の課題は、未配向ポリエステルフィルムを多段で延伸するに際して、1段目の延伸を該ポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上、Tg+50℃以下の延伸温度で長手方向、幅方向に同時二軸延伸法でそれぞれ2.5倍以上に延伸し、引き続き2段目以降の延伸を該ポリエステルのTg以上、Tg+130℃以下の延伸温度で前段階の延伸倍率よりも小さい倍率で延伸することを特徴とする同時二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法で達成できる。
本発明により、同時二軸延伸機を用いて高強度で厚みムラの少ないフィルムを高速かつ安定に製造することが可能となり、高品質な製品を安価に供給することが可能となる。
本発明では、実質的に未配向のポリエステルフィルムを該ポリエステルのTg以上、Tg+50℃以下の延伸温度で長手方向、幅方向に同時二軸延伸法で1段目の延伸をそれぞれ2.5倍以上に延伸した後、Tg以上、Tg+130℃以下の延伸温度で、延伸倍率を段階的に変更し、2段目以降の延伸倍率が前段階の延伸倍率よりも小さい倍率で延伸することが肝要である。
本発明の範囲内とするには、同時二軸延伸機を用いてポリエステルフィルムを延伸することが必要である。例えば、インフレーション同時二軸延伸法、ステンター同時二軸延伸法等いずれの延伸方式を採用しても良いが、製膜安定性、高速製膜の点から、ステンター同時二軸延伸法が好ましい。特にリニアモーターで駆動するステンター同時二軸延伸法が好ましい。クリップ駆動方式がリニアモーター方式である装置は、生産性が高く、延伸条件の自由度も高いため、本発明の実施にあたってはきわめて有効である。リニアモーターを用いた装置としては例えば、独国ブルックナー社製のLISIMテンターが挙げられる。
本発明でいう、延伸区間とは延伸倍率の変化率が一定である区間のことをいう。延伸倍率の変化率が一定であるとは、延伸前のフィルム長さと延伸後フィルムの長さの変化率が一定であることをいう。長手方向は延伸速度の変化率が一定であることをいう。長手方向の延伸区間を制御するにはリニア駆動方式での延伸制御を行う延伸機を用いて行うことが有効である。
2段目以降の延伸倍率を前段階の延伸倍率よりも大きい倍率にすると、延伸工程での破れが多発したり、厚みムラが大きなフィルムとなるため好ましくない。
本発明では、特に限定されないが2段目以降の延伸を2段以上で行うことが好ましい。2段目以降の延伸が2段以上であると、延伸工程での製膜破れが発生しにくくなるので好ましい。さらに好ましくは3段以上である。また、本発明では、特に限定されないが2段目以降の延伸を20段以下で行うことが好ましい。延伸段階を多くすることにより高強度フィルムを安定に製膜することが可能になるが、延伸段階を多くするためには設備費用が高価になるため現実的でない。
1段の延伸工程だけで高強度フィルムを安定に製造することは困難であり、延伸工程での破れが多発するため好ましくない。
1段の延伸工程で温度の違う区間を連続に同じ倍率で延伸する方法も考えられるが、高強度フィルムが得られにくく破れが多発するため好ましくない。
本発明は、高速での製膜安定性を高めることを可能にするものであるが、高速とは具体的に分速120m以上である。製造コストの観点から、好ましくは分速150m以上、より好ましくは分速180m以上である。
本発明のポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とするポリエステルである。ここで、芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、4,4′−ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ビフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができる。中でもテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく用いられる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2′−ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができる。中でも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明のポリエステルフィルムに用いられるポリエステルの具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合体、エチレンテレフタレートとエチレンナフタレートとの共重合体、ヘキサメチレンテレフタレートとシクロヘキサンジメチレンテレフタレートとの共重合体、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートとのブレンド、ポリエチレンテレフタレートとポリエーテルイミドのブレンド等を挙げることができる。延伸性の点から好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートである。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲で単層でも2層以上の積層構造であっても良い。
本発明におけるポリエステルフィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲で少なくとも片面に水溶性塗剤、あるいは有機溶剤系の塗剤を塗布することにより易接着層を設けても良い。
本発明に用いられるポリエステルフィルムの厚さは特に限定されるものではないが、特に高強度フィルムを必要とする磁気材料用途では、2.0〜7.0μmが好ましく、より好ましくは4.0〜6.5μmである。
本発明において、発明の効果を阻害しない範囲であれば、ポリエステルフィルムの表面粗さを制御するために、フィルム中に粒子を添加しても良い。例えば、ポリエステルフィルム中に不活性粒子を添加することにより所望の表面が得られる。さらに例示するならば、添加する不活性粒子として、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、タルク、アルミナなどを用いることができる。さらに架橋高分子粒子などを用いることもできる。重合段階でこれらの粒子を添加する場合、均一に分散させることが好ましい。
次に本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について説明する。
本発明のポリエステルフィルムの好ましい製造方法を、以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
ポリエステルをTダイ押し出し法によってキャストドラム上に押し出すことによって未延伸フィルムとし、次いで、ステンター同時二軸延伸法で長手方向、幅方向に同時に2段階以上の延伸倍率で延伸する。
1段目の延伸を行う延伸温度は、延伸に用いるポリエステルのTg以上、Tg+50℃以下である。好ましくは、Tg以上、Tg+40℃以下、より好ましくはTg以上、Tg+35℃以下である。Tg以下の温度で延伸を行うとフィルム破断が発生しやすく、Tg+50℃よりも高くなると高強度フィルムが得られないため好ましくない。2段目以降の延伸を行う延伸温度はTg以上、Tg+130℃以下の延伸温度であることが好ましい。好ましくはTg+20℃以上Tg+125℃以下、より好ましくはTg+30℃以上Tg+120℃以下の温度で延伸する。Tg以下の温度で延伸を行うとフィルム破断が発生しやすく、Tg+130℃よりも高くなると高強度フィルムが得られないため好ましくない。
ここで、ポリエステルのTgとは、フィルムに成形された樹脂のTgをさす。
1段目の延伸倍率は、2.5倍以上で行う。用いるポリマの種類によって適宜選択されるが、フィルム破断、厚みムラの観点から、好ましくは長手方向、幅方向それぞれ2.5〜6倍、より好ましくは2.8〜5倍が適当である。
2段目以降の延伸倍率は、前段階の延伸倍率よりも小さい倍率で行う。好ましくは長手方向、幅方向それぞれ1.01〜3倍、より好ましくは1.02〜2.5倍が適当である。特に長手方向の2段目の延伸倍率は1.1〜2.5倍が好ましく、さらに好ましくは1.2〜2.0倍であり、より好ましくは1.25〜1.6倍である。
さらに、同時二軸延伸後のフィルムを熱処理してもよい。180〜240℃好ましくは190〜220℃で0.5〜20秒、好ましくは1〜15秒熱固定を行う。熱固定温度が180℃よりも低いとフィルムの結晶化が進まないため構造が安定せず、高温保管や熱負荷時に熱収縮により微小平面性悪化を引き起こしやすいため好ましくない。熱処理に引き続き、弛緩処理を長手方向、幅方向それぞれ0.1〜10%の範囲で行なっても良い。
このようにして得られたフィルムは、特に限定されないが、磁気記録材料、電子材料、製版フィルム、昇華型リボン、包装材料に用いられる。高強度フィルムの要求が高い高密度磁気記録媒体には特に適している。
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
(1)製膜安定性評価
フィルム破れが48時間の製膜に0〜1回発生した場合を「A」、フィルム破れが48時間の製膜につき2〜3回発生した場合を「B」、フィルム破れが48時間の製膜につき4回以上発生した場合を「C」。「B」以上が、製膜時の実用可能なレベルである。
製膜速度は100m/min以上で測定する。なお、製膜速度が100m/min以下の製膜速度においては、それぞれの評価基準時間を1.5倍にして評価する。
(2)強度評価(ヤング率)
JIS−K7127の方法に従い、インストロンタイプの引張試験機を用いて23℃、65%RHにてヤング率を測定した。フィルムの縦方向(MD)および幅方向(TD)に切り出した幅10mm、長さ100mmの試料フィルムを引っ張り測定した。5回測定した結果の平均値をそのフィルムのヤング率とした。
MD方向、TD方向ヤング率の和をトータルヤング率とした。
トータルヤング率の値が、11[GPa]以上であるものを「A」、11未満9.5[GPa]以上のものを「B」、9.5[GPa]未満のものを「C」とした。B以上が高強度フィルムとしての使用が可能なレベルである。
(3)厚みムラ評価
フィルムの長手方向、幅方向にそれぞれ1mの試料をマイクロメーターを用いて約20mm毎に50点測定し、それぞれの方向で、平均厚み(XA)、最大厚み(Xmax)最小厚み(Xmin)をもとめ、下式で示される厚みムラ(R)が15%以下であるものを「A」、15%よりも大きいものを「B」とした。厚みムラがBであると、ユーザーでの後工程でトラブルを起こす可能性が高く、A以上を厚みムラ良好なレベルとした。
厚みムラ:R=((Xmax−Xmin)/XA)*100 (%)
(4)ガラス転移温度(Tg)
セイコー電子(株)製示差走査熱量計RDC220型を用いて、ポリエステル樹脂試料5mgを採取し280℃まで昇温し、280℃で5分間保持した後、液体窒素で急冷し、再度室温より昇温速度20℃/分で昇温して測定した。得られたピークが多重ピークであるときは、最も高い値をその樹脂のガラス転移温度とする。
(5)重量法厚み
フィルムの幅(W、単位m)、長さ(L、単位m)、密度(ρ、単位kg/m)、重量(G、単位kg)から重量法厚みを次の式から算出した。
重量法厚み=G/(W×L×ρ)
実施例1〜4
平均粒径0.06μm、体積形状係数f=0.51の球状シリカ粒子を含有するポリエチレンテレフタレートと実質上粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートのペレットを作り、球状シリカ粒子の含有量が0.2重量%となるよう2種のペレットを混合することにより熱可塑性樹脂Aを調製した。また、平均粒径0.3μm、体積形状係数f=0.52のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を含有するポリエチレンテレフタレートと、平均粒径0.8μm、体積形状係数f=0.52のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を含有するポリエチレンテレフタレート、および実質上粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートのペレットを、0.3μmの粒子含有量が0.26重量%、0.8μmの粒子含有量が0.01重量%となるよう混合した熱可塑性樹脂Bを調製した。これらの熱可塑性樹脂をそれぞれ160℃で8時間減圧乾燥した後、別々の押出機に供給し、275℃で溶融押出して高精度濾過した後、矩形の2層用合流ブロックで合流積層し、2層積層とした。その後、285℃に保ったスリットダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラム巻き付け冷却固化して未延伸積層フィルムを得た。このフィルムを同時二軸延伸機にて表1に示す延伸倍率と温度で延伸を行い、引き続き215℃で熱処理した後、幅方向に170℃で1%弛緩処理をし、重量法厚みで6.0μmの二軸延伸フィルムを得た(Tg:80.8℃)。
評価結果を表1に示す。
比較例1〜4
表1に示す通りの延伸温度、延伸倍率で実施例1と同様に製膜した。結果を表1に示す。
Figure 2006198785

Claims (1)

  1. 未配向ポリエステルフィルムを多段で延伸するに際して、1段目の延伸を該ポリエステルのガラス転移温度(tg)以上、tg+50℃以下の延伸温度で長手方向、幅方向に同時二軸延伸法でそれぞれ2.5倍以上に延伸し、引き続き2段目以降の延伸を該ポリエステルのtg以上、tg+130℃以下の延伸温度で前段階の延伸倍率よりも小さい倍率で延伸することを特徴とする同時二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法。
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