JP2007276382A - 二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
同時二軸延伸方式を用いる二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、高強度フィルムを安定かつ高速で製造する方法を提供する。
【解決手段】
未延伸ポリエステルフィルムを、該未延伸ポリエステルフィルムを構成するポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上、融解温度(Tm)−20℃以下の延伸温度で長手方向と幅方向に多段で同時二軸延伸方式で1工程で延伸を行なうに際し、該ポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上、融解温度(Tm)以下の温度で段階的に温度を変化させてフィルム幅方向端部を局所加熱しながら延伸することを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法。
【選択図】なし
同時二軸延伸方式を用いる二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、高強度フィルムを安定かつ高速で製造する方法を提供する。
【解決手段】
未延伸ポリエステルフィルムを、該未延伸ポリエステルフィルムを構成するポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上、融解温度(Tm)−20℃以下の延伸温度で長手方向と幅方向に多段で同時二軸延伸方式で1工程で延伸を行なうに際し、該ポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上、融解温度(Tm)以下の温度で段階的に温度を変化させてフィルム幅方向端部を局所加熱しながら延伸することを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、同時二軸延伸方式を用いたポリエステルからなる二軸延伸フィルムの製造方法に関するものであり、特に高強度な二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法に関するものである。
従来、高強度二軸延伸ポリエステルフィルムを同時二軸延伸方式で製造する方法として、例えば、未延伸フィルムを縦方向に予め延伸した後に同時二軸延伸機を用いて延伸を行なう方法(特許文献1)、あるいは同時二軸延伸機を2台以上並べて未延伸フィルムを同時二軸延伸する方法(特許文献2)が提案されているが、いずれの方法も延伸工程が少なくとも2工程以上は必要であった。これらの方法では、製造工程を増やすことになるために製造コストが高く、また厚みムラが増大する等の品質悪化の原因ともなること等の課題があって、本発明が提案するような、高強度な二軸延伸ポリエステルフィルムを安定に高速で連続的に1工程で製造することは困難である。
また、同時二軸延伸行程を安定させる方法としては、例えば、フィルム幅方向端部(エッジ部)を加熱して製品部分とエッジ部分との温度差を無くして製膜安定性を高める方法(特許文献3)や、延伸の際にフィルムを把持するクリップの温度を規制することにより破れを抑制する方法(特許文献4)が提案されているが、厚みの異なる製品部分とフィルム幅方向端部を同時に延伸して高強度ポリエステルフィルムを製膜すると製膜安定性が悪くなり、延伸工程での破れが頻発に発生し、高強度な二軸延伸ポリエステルフィルムを安定して製造することは困難であった。
特開昭60−2334号公報
特開平14−250990号公報
特表2001−2334号公報
特開平11−320673号公報
本発明は、前記した従来技術の問題点を解決し、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、高強度な二軸延伸ポリエステルフィルムを一工程の同時二軸延伸方式で安定に高速で連続して製造することを目的とするものである。
前記した本発明の課題は、未延伸ポリエステルフィルムを、該未延伸ポリエステルフィルムを構成するポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上、融解温度(Tm)−20℃以下の延伸温度で長手方向と幅方向に多段で同時二軸延伸方式で1工程で延伸を行なうに際し、該ポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上、融解温度(Tm)以下の温度で段階的に温度を変化させてフィルム幅方向端部を局所加熱しながら延伸することを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法によって達成することができる。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法の好ましい態様によれば、前記の局所加熱の1段階と2段階の温度差は5℃以上、50℃以下であり、また、前記の局所加熱の最終段階の温度とその前段階の温度との差は5℃以上、70℃以下である。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法の好ましい態様によれば、前記の局所加熱の温度を、延伸の進行にしたがい段階的に高く変化させること、および/または前記の局所加熱の温度を延伸が終了する手前から下げて変化させることが挙げられる。
本発明によれば、同時二軸延伸方式を用いて高強度二軸延伸ポリエステルフィルムを1工程の延伸で高速かつ安定に製造することが可能となり、高品質な製品を安価に供給することが可能となる。
本発明においては、未延伸ポリエステルフィルムを同時二軸延伸方式を用いて延伸することが必要であり、製膜安定性および高速製膜の点から、ステンター同時二軸延伸法が好ましく、特に、リニアモーター方式で駆動するステンター同時二軸延伸法が好ましく用いられる。クリップ駆動方式がリニアモーター方式である装置は、生産性が高く延伸条件の自由度も高いため、本発明の実施にあたっては極めて有効である。リニアモーター方式を用いた装置としては、例えば、独国ブルックナー社製のLISIMテンターが挙げられる。
本発明では、実質的に未配向の未延伸ポリエステルフィルムを該未延伸ポリエステルフィルムを構成するポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上、融解温度(Tm)−20℃以下の延伸温度で、フィルム幅方向端部をポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上、融解温度(Tm)以下で段階的に温度を変化させて局所加熱させて、長手方向と幅方向に同時二軸延伸法で延伸することが肝要である。
本発明でいうフィルム幅方向端部とは、幅方向端部の厚みが製品部分の2倍以上の部分をいう。また、製品部分とは幅方向中央から連続した部分で厚みムラが15%以内の部分をいう。
また、本発明でいう局所加熱とはフィルム幅方向端部を選択的に加熱することをいう。
選択的に加熱するとは、幅方向全体の加熱とは別に、部分的に加熱を行うことをいう。
局所加熱における加熱方法は特に限定されないが、製膜の安定性の点から、熱風による加熱が望ましい。
選択的に加熱するとは、幅方向全体の加熱とは別に、部分的に加熱を行うことをいう。
局所加熱における加熱方法は特に限定されないが、製膜の安定性の点から、熱風による加熱が望ましい。
本発明は、高速での製膜安定性を高めることを可能にするものであるが、ここで高速とは具体的に分速120m以上、400m以下であり、製造コストの観点から、製膜速度は好ましくは分速150m以上、350m以下であり、より好ましくは分速180m以上、250m以下である。
本発明において、ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とするポリエステルである。ここで、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、4,4′−ビフェニルエーテルジカルボン酸および4,4′−ビフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができる。中でも、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく用いられる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸およびドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は、1種のみ用いてもよく2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコールおよび2,2′−ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができる。中でも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は、1種のみ用いてもよく2種以上併用してもよい。
本発明のポリエステルフィルムに用いられるポリエステルの具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合体、エチレンテレフタレートとエチレンナフタレートとの共重合体、ヘキサメチレンテレフタレートとシクロヘキサンジメチレンテレフタレートとの共重合体、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートとのブレンドおよびポリエチレンテレフタレートとポリエーテルイミドのブレンド等を挙げることができる。延伸性の点から、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンナフタレートが特に好ましく用いられる。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは、単層でも2層以上の多層積層構造であっても良いが、多層積層構造の場合は、磁気記録媒体として使用したときに磁性層を塗布する層(A)と反対側の層(B)の表面突起形成を容易に制御することができる。
本発明で得られる二軸延伸ポリエステルフィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲で少なくとも片面に水溶性塗剤あるいは有機溶剤系の塗剤を塗布することにより易接着層を延伸工程中で、あるいは延伸後に設けても良い。
本発明で得られる二軸延伸ポリエステルフィルムの厚さは特に限定されるものではないが、特に高強度フィルムを必要とする用途では、2.0〜7.0μmが好ましく、より好ましくは4.0〜6.5μmである。
本発明において、発明の効果を阻害しない範囲であれば、二軸延伸ポリエステルフィルムの表面粗さを制御するために、フィルム中に粒子を添加しても良い。例えば、ポリエステルフィルム中に不活性粒子を添加することにより所望のフィルム表面が得られる。さらに例示するならば、添加する不活性粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、タルクおよびアルミナなどを用いることができる。また、架橋高分子粒子などを用いることもできる。重合段階でこれらの粒子をポリエステルに添加する場合、均一に分散させることが好ましい。
次に、本発明の好ましい二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について説明する。
本発明に使用するポリエステルは、次の方法で製造することができる。例えば、酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させた後、この反応生成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ重縮合させることによって製造する方法、酸成分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とでエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させることによって製造する方法等がある。ポリエステル製造の際、必要に応じて、反応触媒としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウムおよびチタン化合物を用いることもできる。
本発明に使用するポリエステルには、必要に応じて、着色防止剤(リン化合物)、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤およびポリシロキサン等の消泡剤等を配合することができる。さらには、易滑性を付与するために、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式あるいは乾式シリカなどの無機粒子や、アクリル酸系ポリマ類およびポリスチレン等を構成成分とする有機粒子等をポリエステルに配合することもできる。また、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等が失活して形成される、いわゆる内部粒子による方法も用いることができる。
ポリエステルをTダイ押し出し法によってキャストドラム上に押し出すことによって未延伸ポリエステルフィルムとし、次いで、ステンター同時二軸延伸法で長手方向と幅方向に同時に延伸を行なう。延伸工程において、フィルム幅方向端部を加熱することが必須である。フィルム幅方向端部を段階的に温度を変化させて加熱する方法として、フィルム幅方向端部の上部あるいは下部にレールに平行にノズルを設けて、所定の温度に加熱した熱風を吹き付ける方法が有効である。
加熱温度は、製膜安定性からポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上、融解温度(Tm)以下で段階的に温度を変化させて加熱する方法が有効である。好ましくはガラス転移温度(Tg)+5℃以上、融解温度(Tm)−20℃以下で、より好ましくはガラス転移温度(Tg)+10℃以上、融解温度(Tm)−40℃以下で段階的に温度を変化させて加熱する。ガラス転移温度(Tg)よりも低い温度で加熱すると、フィルム破れが起こりやすくなる。融解温度(Tm)よりも高い温度で加熱すると、フィルムの過延伸や変形が起こりやすく、延伸ムラやフィルム破れが生じやすくなる。また、本発明では、製膜安定性の観点から、局所加熱する温度を段階的に変化させることが有効である。変化させる段階は、好ましくは3段階以上、20段階以下であり、より好ましくは5段階以上、10段階以下である。多段階で温度変化を行うことが好ましいが、多段階にすると設備費が高くなり実用的で無くなる。
局所加熱温度は、フィルム破れを防止するために、延伸の進行にしたがいすなわち延伸が進むにつれて温度を高くし、延伸が終了する手前から温度を下げてやることも有効である。特に固定されないが、延伸の開始から延伸の85%未満の段階では温度を高くすることが、そして延伸の85%以上から延伸終了の段階では温度を下げていくことが有効である。
局所加熱の1段階の温度と2段階の温度差は、製膜安定性の観点から5℃以上、50℃以下で2段階目を高くすることが好ましい。その温度差は、より好ましくは10℃以上、30℃以下である。温度差が5℃よりも低い温度では加熱が十分ではなく、50℃よりも高いと結晶化が急激に進み、製膜安定性が不安定になりやすい。
局所加熱の最終段階の温度は、製膜安定性の観点からその前段階の温度よりも5℃以上、70℃以下、低いことが好ましい。その温度差は、より好ましくは10℃以上、50℃以下である。温度差が5℃よりも低いと製膜安定性への効果が得られにくく、70℃よりも高い温度では結晶化が進み、製膜安定性が不安定になりやすい。
高強度ポリエステルフィルムを得るには、2段階以上の延伸区間で延伸することが好ましい。1段目の延伸を行なう延伸温度は、延伸に用いられる未延伸ポリエステルフィルムを構成するポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上、融解温度(Tm)−20℃以下の延伸温度である。1段目の延伸温度は、好ましくはガラス転移温度(Tg)以上、融解温度(Tm)−60℃以下の温度であり、より好ましくはガラス転移温度(Tg)+5℃以上、融解温度(Tm)−100℃以下の温度である。ガラス転移温度(Tg)よりも低い温度で1段目の延伸を行うとフィルム破れが発生しやすく、1段目の延伸温度が融解温度(Tm)−20℃よりも高くなると、高強度ポリエステルフィルムが得られにくく、フィルム破れが発生しやすくなる。
また、2段目以降の延伸を行なう延伸温度は、ガラス転移温度(Tg)g以上、融解温度(Tm)−20℃以下の延伸温度である。2段目の延伸温度は、好ましくはガラス転移温度(Tg)+50℃以上、融解温度(Tm)−30℃以下の温度であり、より好ましくはガラス転移温度(Tg)+70℃以上、融解温度(Tm)−40℃以下の温度である。ガラス転移温度(Tg)以下の温度で2段目の延伸を行うとフィルム破れが発生しやすく、2段目の延伸温度がガラス転移温度(Tg)+130℃よりも高くなると高強度フィルムが得られにくくなる。
延伸倍率は特に限定されないが、高強度ポリエステルフィルムを得るには、1段目の延伸で長手方向と幅方向共に2〜6倍の延伸倍率で行なうことが好ましく、さらには3〜6倍の延伸倍率で行なうことが好ましい。2段目以降の延伸倍率は、用いられるポリマ(ポリエステル)の種類によって適宜選択され、特に限定されないが、フィルム破れおよび厚みムラの観点から、好ましくは長手方向と幅方向にそれぞれ1.01〜6倍と1.01〜4倍の延伸倍率で行なうことが好ましく、さらには1.05〜4倍と1.05〜3倍の延伸倍率で行なうことが好ましい。
得られた二軸延伸ポリエステルフィルムは、その後、好ましくは205〜240℃の温度、より好ましくは210〜220℃の温度で好ましくは0.5〜20秒間、より好ましくは1〜15秒間、熱固定を行ってもよい。熱固定温度が205℃よりも低いとフィルムの結晶化が進まないため構造が安定せず、高温保管や熱負荷時に熱収縮により平面性が悪くなりやすい。熱処理に引き続き、弛緩処理を長手方向と幅方向それぞれ0.3〜10%の範囲で行なっても良い。
このようにして得られた二軸延伸ポリエステルフィルムは、例えば、磁気記録材料、電子材料、製版フィルム、昇華型リボンおよび包装材料等に用いられる。本発明で得られる二軸延伸ポリエステルフィルムは、高強度フィルムの要求が高い高密度磁気記録媒体に特に適している。
以下、本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法について、実施例に基づき説明する。
(1)製膜安定性
160m/minの製膜速度において、延伸工程でのフィルム破れを目視観察により評価した。フィルム破れは製品採取条件で、24時間あたり3回以下が好ましく、実用可能なレベルは1回以下である。ここで、フィルム破れとは穴があいたり、フィルムが切れたりして、製膜装置にフィルムを通し直す必要が生じ、製品を連続して取れなくなることをいう。
160m/minの製膜速度において、延伸工程でのフィルム破れを目視観察により評価した。フィルム破れは製品採取条件で、24時間あたり3回以下が好ましく、実用可能なレベルは1回以下である。ここで、フィルム破れとは穴があいたり、フィルムが切れたりして、製膜装置にフィルムを通し直す必要が生じ、製品を連続して取れなくなることをいう。
(2)強度評価(ヤング率)
JIS−K7127の方法に従い、インストロンタイプの引張試験機を用いて、温度23℃、湿度65%RHの条件下でヤング率を測定した。フィルムの縦方向(MD)および幅方向(TD)に切り出した幅10mm、長さ100mmの試料フィルムを引っ張り測定した。5回測定した結果の平均値をそのフィルムのヤング率とし、MD方向ヤング率とTD方向ヤング率の和をトータルヤング率とした。高強度フィルムとして使用可能なトータルヤング率のレベルは、少なくとも9.5GPa以上であり、さらに好ましくは11GPa以上である。
JIS−K7127の方法に従い、インストロンタイプの引張試験機を用いて、温度23℃、湿度65%RHの条件下でヤング率を測定した。フィルムの縦方向(MD)および幅方向(TD)に切り出した幅10mm、長さ100mmの試料フィルムを引っ張り測定した。5回測定した結果の平均値をそのフィルムのヤング率とし、MD方向ヤング率とTD方向ヤング率の和をトータルヤング率とした。高強度フィルムとして使用可能なトータルヤング率のレベルは、少なくとも9.5GPa以上であり、さらに好ましくは11GPa以上である。
(3)ガラス転移温度(Tg)および融解温度(Tm)
セイコー電子(株)製示差走査熱量計RDC220型を用いて、ポリエステル樹脂試料5mgを採取し280℃の温度まで昇温し、280℃の温度で5分間保持した後、液体窒素で急冷し、再度室温から昇温速度20℃/分で昇温して測定した。
セイコー電子(株)製示差走査熱量計RDC220型を用いて、ポリエステル樹脂試料5mgを採取し280℃の温度まで昇温し、280℃の温度で5分間保持した後、液体窒素で急冷し、再度室温から昇温速度20℃/分で昇温して測定した。
(4)重量法厚み
フィルムの幅(W、単位m)、長さ(L、単位m)、密度(ρ、単位kg/m3)および重量(G、単位kg)から重量法厚みを次の式から算出した。
・重量法厚み=G/(W×L×ρ)。
フィルムの幅(W、単位m)、長さ(L、単位m)、密度(ρ、単位kg/m3)および重量(G、単位kg)から重量法厚みを次の式から算出した。
・重量法厚み=G/(W×L×ρ)。
(5)厚みムラ評価
フィルムの長手方向と幅方向にそれぞれ1mの試料をマイクロメーターを用いて約20mm毎に50点測定し、それぞれの方向で、平均厚み(XA)、最大厚み(Xmax)最小厚み(Xmin)を求め、下式で厚みムラ(R)を求めた。厚みムラは、後加工工程での品質悪化の原因となるため、少なくとも15%以下を合格点とすることが好ましい。
・厚みムラ(R)=((Xmax−Xmin)/XA)×100(%)。
フィルムの長手方向と幅方向にそれぞれ1mの試料をマイクロメーターを用いて約20mm毎に50点測定し、それぞれの方向で、平均厚み(XA)、最大厚み(Xmax)最小厚み(Xmin)を求め、下式で厚みムラ(R)を求めた。厚みムラは、後加工工程での品質悪化の原因となるため、少なくとも15%以下を合格点とすることが好ましい。
・厚みムラ(R)=((Xmax−Xmin)/XA)×100(%)。
(6)粒子の平均粒子径
粒子の平均粒子径は、粒径分析装置(HORIBA製LA−700)で測定した。
粒子の平均粒子径は、粒径分析装置(HORIBA製LA−700)で測定した。
(実施例1〜5、比較例1〜5)
平均粒子径0.06μm、体積形状係数f=0.51の球状シリカ粒子を3.0重量%含有するポリエチレンテレフタレートと、実質上粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートのペレットを作り、球状シリカ粒子の含有量が0.2重量%となるよう2種のペレットを混合することにより熱可塑性樹脂Aを調製した。熱可塑性樹脂AのTgは80℃であり、Tmは244℃であった。また、平均粒子径0.3μm、体積形状係数f=0.52のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を1.0重量%含有するポリエチレンテレフタレートと、平均粒子径0.8μm、体積形状係数f=0.52のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を1.0重量%含有するポリエチレンテレフタレート、および実質上粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートのペレットを、0.3μmの粒子含有量が0.26重量%、0.8μmの粒子含有量が0.01重量%となるように混合した熱可塑性樹脂Bを調製した。熱可塑性樹脂BのTgは79℃であり、Tmは242℃であった。
平均粒子径0.06μm、体積形状係数f=0.51の球状シリカ粒子を3.0重量%含有するポリエチレンテレフタレートと、実質上粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートのペレットを作り、球状シリカ粒子の含有量が0.2重量%となるよう2種のペレットを混合することにより熱可塑性樹脂Aを調製した。熱可塑性樹脂AのTgは80℃であり、Tmは244℃であった。また、平均粒子径0.3μm、体積形状係数f=0.52のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を1.0重量%含有するポリエチレンテレフタレートと、平均粒子径0.8μm、体積形状係数f=0.52のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を1.0重量%含有するポリエチレンテレフタレート、および実質上粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートのペレットを、0.3μmの粒子含有量が0.26重量%、0.8μmの粒子含有量が0.01重量%となるように混合した熱可塑性樹脂Bを調製した。熱可塑性樹脂BのTgは79℃であり、Tmは242℃であった。
これらの熱可塑性樹脂AとBをそれぞれ160℃の温度で8時間減圧乾燥した後、別々の押出機に供給し、275℃の温度で溶融押出して高精度濾過した後、矩形の2層用合流ブロックで合流積層し、2層積層した。その後、285℃の温度に保ったスリットダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化し、未延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた未延伸積層ポリエステルフィルムのTgは82℃であり、Tmは247℃であった。
この未延伸積層ポリエステルフィルムを、同時二軸延伸機(ブルックナー社製のLISIMテンター)にて延伸機の出口での速度が160m/分で、表1に示す延伸倍率と温度条件で長手方向と幅方向に2段で延伸を行った。フィルム幅方向端部の局所加熱は、レールの上部にレールと平行に配置したノズルを用いて、その先端に設置したヒーターで、1段目の延伸においては表1に示す1〜3段階の温度に加熱した熱風を吹き付けて行ない、また、2段目の延伸においては表1に示す4〜6段階の温度に加熱した熱風を吹き付けて行ない、二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸延伸ポリエステルフィルムを引き続き215℃の温度で熱処理した後、幅方向に170℃の温度で1%弛緩処理し、重量法厚みで5.5μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。熱可塑性樹脂AとBの積層比(Aの厚み/Bの厚み)は10であった。延伸工程で製膜安定性(フィルム破れ回数)と併せ、得られた二軸延伸ポリエステルフィルムのトータルヤング率と厚みムラを評価した。結果を表1に示す。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムにより、同時二軸延伸方式を用いて高強度二軸延伸ポリエステルフィルムを1工程の延伸で高速かつ安定に製造することが可能となる。
本発明で得られる二軸延伸ポリエステルフィルムは、高強度かつ高品質であり、特に高強度要求が高い高密度磁気記録媒体に適している。
Claims (5)
- 未延伸ポリエステルフィルムを、該未延伸ポリエステルフィルムを構成するポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上、融解温度(Tm)−20℃以下の延伸温度で長手方向と幅方向に多段で同時二軸延伸方式で1工程で延伸を行なうに際し、該ポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上、融解温度(Tm)以下の温度で段階的に温度を変化させてフィルム幅方向端部を局所加熱しながら延伸することを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法。
- 局所加熱の1段階と2段階の温度差が5℃以上、50℃以下であることを特徴とする請求項1記載の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法。
- 局所加熱の最終段階の温度とその前段階の温度との差が5℃以上、70℃以下であることを特徴とする請求項1または2記載の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法。
- 延伸の進行にしたがい局所加熱の温度を段階的に高く変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法。
- 延伸が終了する手前から、局所加熱の温度を下げて変化させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法。
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