JP2006193505A - フルオレン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固体酸(マクロポーラス型イオン交換樹脂など)及びチオール類(β−メルカプトプロピオン酸など)の共存下、下記式(1)のフルオレノン類と、下記式(2)のフェノール類とを反応させて、下記式(3)のフルオレン誘導体を製造する。式中、R1は、アルキル基などの置換基、R2は、アルキル基などの置換基、m1、m2及びnは0〜4の整数を示す。フルオレノン類に対してフェノール類を過剰に用いるのがよい。例えば、固体酸を充填した流通式反応器に、フルオレノン類、フェノール類及びチオール類を流通させることにより、フルオレノン類とフェノール類とを反応させてもよい。
【選択図】なし
Description
J.Appl.Polym.Sci.,27(9),3289,1982
で表されるフルオレノン類と、式(2)
で表されるフェノール類とを反応させて、式(3)
で表されるフルオレン誘導体を製造する。
本発明で使用するフルオレノン類は、特に限定されず、例えば、前記式(1)で表される化合物などが挙げられる。式(1)中、R1は、アルキル基[メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基などのC1-6アルキル基(好ましくはC1-4アルキル基)など]、シクロアルキル基[シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC4-8シクロアルキル基(好ましくはC5-6シクロアルキル基)など]、アリール基(フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基などのC1-4アルキル−フェニル基、ナフチル基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などのC1-4アルコキシ基など)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基などのC1-5アルコキシ−カルボニル基など)を示す。R1は、通常、アルキル基、例えば、C1-4アルキル基、特にメチル基である場合が多い。
フェノール類は、特に限定されず、例えば、前記式(2)で表される化合物などが挙げられる。式(2)中、R2は、アルキル基[メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基などのC1-6アルキル基(好ましくはC1-4アルキル基)など]、シクロアルキル基[シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC4-8シクロアルキル基(好ましくはC5-6シクロアルキル基)など]、アリール基(フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基などのC1-4アルキルフェニル基、ナフチル基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などのC1-4アルコキシ基など)、ヒドロキシル基を示す。アルキル基としては、C1-4アルキル基、特にメチル基が好ましい。シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基が好ましい。アリール基としてはフェニル基が好ましい。式(2)中、nは0〜4の整数(例えば、0〜3の整数、好ましくは0〜2の整数、さらに好ましくは0又は1)を示す。複数個のR2が存在する場合、各R2で示される基は、同一であっても、異なっていてもよい。すなわち、nの値によってR2は異なっていてもよい。
固体酸は、主に、フルオレノン類とフェノール類との脱水縮合反応の酸触媒として作用すると考えられる。固体酸としては、無機固体酸[金属化合物(SiO2、Al2O3、TiO2、Fe2O3、ZrO2、SnO2、V2O5などの酸化物、SiO2−Al2O3、SiO2−TiO2、TiO2−ZrO2、SiO2−ZrO2などの複合酸化物、ZnSなどの硫化物、CaSO4、Fe2(SO4)3、CuSO4、NiSO4、Al2(SO4)3、MnSO4、BaSO4、CoSO4、ZnSO4などの硫酸塩、P、Mo、V、W、Siなどの元素を含有するポリ酸(AlPO4、Tiのリン酸塩などのリン酸塩など)など);(NH4)2SO4などの硫酸塩;粘土鉱物(酸性白土、モンモリロナイトなど);ゼオライト(酸性OH基を有するY型、X型、A型、ZSM5、モルデナイト、VIPI5、AlPO4−5、AlPO4−11など);カオリンなど]、有機固体酸(イオン交換樹脂など)などを例示できる。固体酸は、固体酸の種類に応じて多孔性又は非多孔性であってもよい。これらの固体酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
チオール類は、主に、固体酸の酸触媒としての作用を補助する助触媒として作用すると考えられる。チオール類としては、公知のものを使用できる。チオール類としては、例えば、脂肪族メルカプタン[メタンチオール、エタンチオール、1−プロパンチオール、2−プロパンチオール、1−ブタンチオールなどのC1-4アルカンチオールなど]、芳香脂肪族メルカプタン(フェニルメタンチオールなどのC6-10アリール−C1-4アルカンチオールなど)、芳香族メルカプタン(ベンゼンチオールなどのC6-10アレーンチオールなど)、メルカプタンカルボン酸(又はメルカプトカルボン酸)[メルカプト酢酸、α−メルカプトプロピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸などのC2-4脂肪族メルカプタンカルボン酸、メルカプト安息香酸などのC7-13芳香族メルカプタンカルボン酸などのメルカプタンモノカルボン酸、メルカプトコハク酸(HOOC−CH2CH(SH)−COOH)などのメルカプタンポリカルボン酸など]及びその塩[例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩(β−メルカプトプロピオン酸ナトリウム:HSC2H4COONaなど)など)など]、チオール酸[チオ酢酸、チオシュウ酸(HS(C=O)−(C=O)SH)などのC2-4チオール酸など]およびそれらの塩(チオラート)[例えば、アルカリ金属チオラート(ナトリウムチオラートなど)など]などが挙げられる。チオール類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
フルオレノン類とフェノール類との反応は、例えば、バッチ式で行ってもよく、流通式(連続式)で行ってもよい。バッチ式反応は、不活性ガス(例えば、窒素ガス;アルゴンガス、ヘリウムガスなどの希ガスなどの不活性ガス)雰囲気中、フルオレノン類、フェノール類、固体酸及びチオール類を攪拌下で行うことができる。流通式反応(連続式反応)は、例えば、固体酸を充填した流通式反応器に、フルオレノン類、フェノール類及びチオール類の混合液を流通させることにより、行うことができる。
本発明で得られるフルオレン誘導体は、式(3)で表される。式(3)におけるR1、R2、m1、m2及びnは、前記と同様である。特に限定するものではないが、フルオレン誘導体としては、通常、フェノール類に由来するヒドロキシル基が、少なくともベンゼン環の3位又は4位に結合しているものが好ましく、特に4位に結合しているものが好ましい。
反応終了後の反応液には、反応生成物であるフルオレン誘導体以外に、未反応のフルオレノン類、未反応のフェノール類、チオール類、水、副反応生成物などが含まれる。なお、バッチ式反応において、固体酸は、例えば、慣用の固液分離法(ろ過、デカンテーションなど)により、反応液から容易に分離でき、流通式反応では、固体酸の分離操作なしに反応液を得ることができる。従って、これらの反応液からは、酸触媒が混入していない高純度のフルオレン誘導体を簡便に回収できる。
温度調節器、流量計及び圧力計を備えた流通式反応器のカラム(φ50mm×200mm)にポーラス型イオン交換樹脂(バイエル社製レバチットK2649:ポーラス型強酸性陽イオン交換樹脂)36gを充填した。フルオレノン72g(0.4モル)、o−クレゾール864g(8モル)及びβ−メルカプトプロピオン酸0.8ml(約0.64g)の混合液を、90℃に加温した後、前記カラムに、流量25g/hrで約36時間かけて流通させた(LHSV:0.63hr-1)。
フルオレノンの使用量を36g(0.2モル)とする以外は実施例1と同様に混合液をカラムに流通させた。HPLCで確認した結果、得られた反応液中のフルオレノンの残存量は0.1重量%以下であった。実施例1と同様に反応液から結晶を取り出したところ、目的化合物であるBCFが得られた。フルオレノン基準のBCFの収率は87モル%であった。得られたBCFの純度は99.6重量%であり、黄色度は1.3(無色透明)であった。
o−クレゾールに代えて2,6−ジメチルフェノール244g(2モル)を使用する以外は実施例1と同様に混合液をカラムに流通させた。HPLCで確認した結果、反応液中のフルオレノンの残存量は0.1重量%以下であった。実施例1と同様に反応液から結晶を取り出したところ、目的化合物である9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンが得られた。フルオレノン基準の9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンの収率は88モル%であった。得られた9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンの純度は99.9重量%であり、黄色度は1.0(無色透明)であった。黄色度1.0の9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンは、これ以上の再結晶を行うことなく、ポリマー原料として使用できる。
温度調節器及び攪拌機を備えたバッチ式反応装置の反応器にフルオレノン135g(0.375モル)、o−クレゾール1620g(15モル)及びβ−メルカプトプロピオン酸2ml(約1.6g)を入れ、温度を95℃に調節し、攪拌しながら、ポーラス型イオン交換樹脂(バイエル社製レバチットK2649:ポーラス型強酸性陽イオン交換樹脂)101gを投入し、さらに8時間攪拌した。
実施例1と同様に混合液をカラムに流通させて、反応液の50重量%を留去した後、攪拌下、10℃まで冷却して得られた結晶を、結晶重量(ウエット重量)に対して100重量%のトルエンを使用して1回洗浄後、得られた洗浄物の重量(ウエット重量)に対して50重量%のトルエンに分散させてリパルプ洗浄し、得られた洗浄物の重量(ウエット重量)に対して100重量%のトルエンで洗浄したところ、目的化合物であるBCFが得られた。フルオレノン基準のBCFの収率は90%であった。得られたBCFの純度は99.7重量%であり、黄色度は1.0(無色透明)であった。黄色度が1.0のBCFはこれ以上の再結晶を行うことなく、ポリマー原料として使用できる。
実施例1と同様に混合液をカラムに流通させ、反応液の50重量%を留去した後、攪拌下、28℃まで冷却して得られた結晶を実施例5と同様に洗浄したところ、目的化合物であるBCFが得られた。得られたBCFの純度は99.8重量%であり、黄色度は1.0(無色透明)であった。黄色度が1.0のBCFはこれ以上の再結晶を行うことなく、ポリマー原料として使用できる。
結晶を析出させるための冷却温度を45℃とした以外は実施例6と同様に混合液をカラムに流通させて、反応液の50重量%を留去した後、攪拌下、結晶を析出させ、洗浄したところ、目的化合物であるBCFが得られた。得られたBCFの純度は99.9重量%であり、黄色度は1.0(無色透明)であった。黄色度が1.0のBCFはこれ以上の再結晶を行うことなく、ポリマー原料として使用できる。
Claims (15)
- 固体酸がイオン交換樹脂である請求項1記載の方法。
- 固体酸がマクロポーラス型陽イオン交換樹脂である請求項1記載の方法。
- イオン交換樹脂の平均孔径が50〜1000Åである請求項2記載の方法。
- フェノール類とフルオレノン類との割合(モル比)が、前者/後者=3/1〜50/1である請求項1記載の方法。
- チオール類が、メルカプタンカルボン酸及び脂肪族メルカプタンアルカリ金属塩から選ばれた少なくとも一種である請求項1記載の方法。
- チオール類を、フルオレノン類1重量部に対して、0.0001〜0.5重量部の割合で使用する請求項1記載の方法。
- 固体酸を充填した流通式反応器に、式(1)で表されるフルオレノン類、式(2)で表されるフェノール類及びチオール類を流通させて、式(3)で表されるフルオレン誘導体を連続的に生成させる請求項1記載の方法。
- チオール類を、固体酸1重量部に対して、1時間当たり、0.0001〜0.1重量部の割合で流通させる請求項8記載の方法。
- フルオレノン類を、固体酸1重量部に対して、1時間当たり、0.01〜10重量部の割合で流通させる請求項8記載の方法。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の方法で得られた反応液を濃縮し、得られた濃縮液を冷却することにより、フルオレン誘導体を単離する方法。
- 単離したフルオレン誘導体を、さらに洗浄する洗浄工程を含む請求項11記載の方法。
- 洗浄工程が、少なくともリパルプによる洗浄を含む請求項12記載の方法。
- 洗浄回数が2〜10回である請求項12記載の方法。
- 洗浄工程における洗浄溶媒の総使用量が、フルオレン誘導体100重量部に対して、5〜1000重量部である請求項12記載の方法。
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