JPH08217713A - ビスフェノール類の製造方法 - Google Patents

ビスフェノール類の製造方法

Info

Publication number
JPH08217713A
JPH08217713A JP2820595A JP2820595A JPH08217713A JP H08217713 A JPH08217713 A JP H08217713A JP 2820595 A JP2820595 A JP 2820595A JP 2820595 A JP2820595 A JP 2820595A JP H08217713 A JPH08217713 A JP H08217713A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bis
hydroxyphenyl
solvent
fluorene
phenols
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2820595A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuyuki Takahashi
克幸 高橋
Yasuhiro Suda
康裕 須田
Mitsuaki Yamada
光昭 山田
Mamoru Yagishita
守 柳下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Gas Co Ltd filed Critical Osaka Gas Co Ltd
Priority to JP2820595A priority Critical patent/JPH08217713A/ja
Publication of JPH08217713A publication Critical patent/JPH08217713A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 フルオレノンとフェノール類との縮合反応混
合物に原料として使用したフェノール類より沸点が高く
且つアルコール性OH基を有しない炭化水素系溶剤(ア
ルキルビフェニル、アルキルナフタレン、ジフェニルメ
タン、ジフェニルエタン、ジフェニルエーテル等)を添
加し、蒸留により未反応のフェノール類を除去する。得
られた蒸留残分に水溶性で且つアルコール性OH基を有
しない有機溶媒(アセトニトリル等)を添加して加熱溶
解させた後、冷却して9,9−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)フルオレン類を析出させる。 【効果】 未反応のフェノール類を効率よく回収するこ
とができるので、工業的な製造プロセスとして経済的に
有利である。高収率で且つ純度良く、そして、ポリエス
テル化等の重合過程において重合を阻害するアルコール
が残存しない製品を得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビスフェノール類の製
造方法に関し、詳しくは9,9−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)フルオレン類の製造方法に関する。9,9−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類は、エポ
キシ樹脂、ポリエステル等の製造原料として有用な物質
である。
【0002】
【従来の技術】従来技術として、塩化水素−メルカプト
プロピオン酸を触媒として用いたフルオレノンとフェノ
ール類との縮合反応により、9,9−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)フルオレン類を合成することが知られて
いる[J.Appl.Polym.Sci.,27
(9),3289,1982]。また、上記反応方法を
基に、縮合反応で得られた反応混合物中に残存する未反
応フェノール類の少なくとも一部を残した状態で、反応
混合物に低級脂肪族アルコールを混合して均質溶液とし
たのち、水を添加して結晶を析出させる方法が知られて
いる[特開平4−41450号公報]。
【0003】この合成方法を工業的に経済的に実施する
ためには、低級脂肪族アルコールを回収する必要があ
る。しかしながら、低級脂肪族アルコールに水が混合さ
れてしまうため、低級脂肪族アルコールの回収工程が複
雑になるといった問題点がある。また、本発明者が、低
級脂肪族アルコールとしてメタノールを用い、この方法
を実際に行ったところ、結晶にメタノールが残存し、通
常の乾燥方法、例えば70℃で、12時間、減圧乾燥を
行ったにもかかわらず、メタノールを完全に除去するこ
とはできなかった。結晶を示差走査熱量計により分析し
たところ、162℃にメタノールの脱離によるピークが
認められた。
【0004】メタノールの沸点が約65℃であることか
ら、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレ
ンがメタノールと付加物を形成し、メタノールを除去す
ることが困難になっているものと考えられる。得られた
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンを
HPLCで実際に測定したところ、見かけ上純度99.
0%の値を得ることができたが、実際は数重量%のメタ
ノールが含まれており、この値は真の純度を表していな
かった(後述の比較例1参照)。低級脂肪族アルコール
が残存する9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フ
ルオレン類は、ポリエステル化等の重合過程において低
級脂肪族アルコールにより重合が阻害される場合もあ
り、ポリマーの原料として必ずしも満足の行く品質のも
のとはいえない。
【0005】芳香族ビスフェノール類の精製方法とし
て、着色したビスフェノール類に脂肪族ケトンを混合、
溶解させ、不溶解分を分離したのち、得られたビスフェ
ノール類を低級脂肪族アルコールと芳香族炭化水素との
混合溶媒を用いて再結晶する方法が知られている[特開
平4−41451号公報]。しかしながら、この精製方
法においても、低級脂肪族アルコールを用いるため、前
述の合成方法の場合と同様、9,9−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)フルオレン類の結晶中に低級脂肪族アル
コールが残存し、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)フルオレン類のポリエステル化等の重合過程におい
て重合を阻害するといった問題点がある。また、混合溶
媒を使用するため、溶媒の回収工程が複雑となり、工業
的に経済的に実施することが困難であるといった問題点
がある。
【0006】フルオレノンとフェノールとの反応終了後
に反応混合物をポリアルキレングリコールと混合し、過
剰のフェノールを留去し、蒸留残分をアセトニトリルと
混合し、その際析出するアダクトを濾別し、そして減圧
下に乾燥することにより、9,9−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)フルオレンを製造する方法も知られている
[特開平6−145087号公報]。しかしながら、こ
の精製方法は、高沸点溶剤としてポリアルキレングリコ
ールを使用していることから、前述の合成方法の場合と
同様、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオ
レンの結晶中にOH基を持つポリアルキレングリコール
が残存するため、前述と同様の問題点がある。なお、こ
こで高沸点溶剤として使用しているポリアルキレングリ
コールは本発明において溶剤として使用する炭化水素系
溶剤とは別のものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、工業
的な実施に好適であり、且つ、経済的に有利なビスフェ
ノール類の製造方法、具体的には9,9−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)フルオレン類の製造方法を提供する
ことにある。本発明の目的は、フルオレン及びフェノー
ル類から9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フル
オレンを製造するにあたり、未反応フェノール類の回収
が容易であり、ポリエステル化等の重合過程において重
合を阻害する物質を実質的に含ませないように収率良く
且つ純度良く9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
フルオレン類を回収することができるビスフェノール類
の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな課題を解決するため鋭意研究した結果、β−メルカ
プトプロピオン酸及び塩酸ガス等の触媒の存在下でフル
オレノンとフェノール類とを縮合反応させて得られる
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類
と未反応フェノール類とを含む反応混合物から蒸留によ
りフェノール類を回収する際に、反応混合物に原料とし
て使用したフェノール類より沸点が高く且つアルコール
性OH基を有しない炭化水素系溶剤を添加して蒸留する
ことにより、残存する未反応のフェノール類を効率よく
回収することができ、また、その際得られる蒸留残分に
特定の有機溶媒を添加し加熱溶解した後、冷却すること
により9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオ
レン類を容易に回収することができることを見出して本
発明を完成した。
【0009】本発明は、触媒の存在下でフルオレノンと
フェノールとを縮合反応させ、得られた反応混合物に原
料として使用したフェノール類より沸点が高く且つアル
コール性OH基を有しない炭化水素系溶剤を添加した
後、蒸留により未反応のフェノール類を除去し、得られ
た蒸留残分にアルコール性OH基を有しない有機溶媒を
添加して加熱溶解させた後、冷却して9,9−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の結晶を析出させ
ることを特徴とするビスフェノール類の製造方法にあ
る。
【0010】フルオレノンとフェノール類との縮合反応 本発明においては、まず、触媒の存在下でフルオレノン
とフェノール類とを縮合反応させる。触媒としては、公
知のものを使用することができる。例えば、β−メルカ
プトプロピオン酸等のチオール類と塩酸ガス、金属塩化
物と塩素ガス等を触媒として使用することができる。原
料として使用するフェノール類としては、フェノール、
クレゾール等があり、フェノールを使用した場合、9,
9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンが得ら
れる。原料として使用するフェノール類の純度について
は、特に限定はないが、フェノール類のリサイクルの点
から考えれば純度95重量%以上、好ましくは99重量
%以上のものを使用するがよい。
【0011】通常、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)フルオレン類を収率よく生成させる点より、フル
オレノンに対して過剰のフェノール類(具体的には、フ
ルオレノン1重量部当たり、2重量部から6重量部)を
用いるのがよい。反応終了後の反応混合物には反応生成
物である9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フル
オレン類以外に、未反応のフルオレノン、未反応のフェ
ノール類、触媒、副反応生成物等が含まれている。9,
9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を回
収するためには、反応混合物から未反応のフェノール類
等を除去する必要がある。
【0012】未反応フェノール類の除去、回収 フルオレノンとフェノール類とから9,9−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)フルオレン類を製造する場合、通
常、フルオレノンに対して過剰のフェノールを用いる。
従って、これを工業的に実施する場合、経済的には未反
応のフェノール類を回収することが好ましい。本発明に
おいては、反応終了後に反応混合物から蒸留により未反
応のフェノール類を除去し、回収する。蒸留は、未反応
のフェノール類の回収方法として工業的に安価な方法で
ある。
【0013】反応混合物の蒸留にあたり、反応混合物に
原料として使用したフェノール類、即ち反応混合物に含
有されているフェノール類より沸点が高く且つアルコー
ル性OH基を有しない炭化水素系溶剤(以下「高沸点溶
剤」とも言う)を添加する。反応混合物に高沸点溶剤を
添加することにより、未反応フェノール類の除去にとも
なう反応混合物中での結晶の析出を防止しながら、未反
応フェノール類を実質的に全量回収することができる。
回収した未反応フェノール類はフルオレノンとの縮合反
応の原料として使用することができる。高沸点溶剤とし
ては、使用温度において液状であり、9,9−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を溶解させること
ができる化合物を使用することができる。具体的には、
融点が10℃以下、好ましくは0℃以下の化合物を高沸
点溶剤として使用することができる。
【0014】高沸点溶剤としては、例えば、、炭素数が
1から6のアルキル基を有するモノアルキルビフェニ
ル、3,4’−ジアルキルビフェニル、トリアルキルビ
フェニル、モノアルキルナフタレン、2,7−ジアルキ
ルナフタレン若しくはトリアルキルナフタレン、1,1
−ジフェニルエタン等の芳香族炭化水素、1−クロロナ
フタレン、p−イソプロピルアニリン、m−クロロアニ
リン、シアン化ベンジル、N,N−ジメチル−m−フェ
ニレンジアミン、N−メチルジフェニルアミン、2−デ
カロン、デカン酸エチル等のエステル類、トリデカン等
の脂肪族炭化水素、p−メチルアセトフェノン、o−メ
チルベンゾフェノン、p−イソプロピルベンズアルデヒ
ド等を挙げることができる。
【0015】仮に、高沸点溶剤を添加せずに、蒸留によ
り未反応のフェノール類を除去しようとすると、未反応
フェノール類を半分程度除去した段階で9,9−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類が析出し始
め、蒸留残分を反応釜から取り出せなくなるという問題
が発生する。この場合、蒸留後に蒸留残分に高沸点溶剤
を加えても一旦結晶化した9,9−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)フルオレン類を溶解させることは簡単には
不可能であり又は多大の時間を要するため工業的な実施
においては大きな欠点となる。
【0016】高沸点溶剤の使用量は、原料に使用したフ
ルオレノン1重量部当たり0.1重量部から10重量
部、好ましくは1重量部から5重量部とするのが良い。
高沸点溶剤の使用量を少なくすると、反応混合物から未
反応のフェノール類を蒸留により除去した後に9,9−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類が析出し
やすくなり、また、多くすると後工程において有機溶媒
を添加して再結晶を行って目的化合物を回収する際に目
的化合物の収率が低下する傾向がある。
【0017】高沸点溶剤として、原料として使用したフ
ェノール類より沸点が高い化合物を使用するのは、沸点
が低い化合物では、蒸留により未反応のフェノール類を
除去する際に、蒸留残分中に残存しないため9,9−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の析出を抑
制できないからである。高沸点溶剤としてアルコール性
OH基を有しない化合物を使用するのは、アルコール性
OH基を有する化合物、例えば、フェノキシエタノール
等では、前述の通り、9,9−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)フルオレン類と付加物を形成するため、製品で
ある9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレ
ン類から容易に除去することが困難となるからである。
【0018】9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
フルオレン類の回収 反応混合物に高沸点溶剤を加えて蒸留により未反応のフ
ェノール類を除去すると高沸点溶剤とともに蒸留残分中
に9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン
類が残存する。蒸留残分から9,9−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)フルオレン類を回収する方法として、有
機溶媒を用いた晶析法を採用する。具体的には、蒸留残
分に有機溶媒を加えて加熱撹拌し、均質な溶液とした
後、冷却する。
【0019】有機溶媒としては、アルコール性OH基を
有しない化合物を使用する。例えば、アセトン等のケト
ン類、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素、アセトニトリ
ル等を有機溶媒として使用することができる。アルコー
ル性OH基を有しない有機溶媒であれば、9,9−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類と付加物を形
成するおそれがない。
【0020】有機溶媒の使用量は、有機溶媒の種類にも
よるが、原料フルオレノン1重量部に対して、0.1〜
10重量部、好ましくは0.5〜5重量部とするのがよ
い。加熱温度は、反応混合物が均質な溶液となる温度で
あればよく、例えば、有機溶媒の還流温度でもよい。均
質な溶液とした後、必要により不溶解物があれば分離
し、冷却することにより結晶を析出させる。冷却温度は
結晶の回収ができる温度であれば特に限定はなく、常温
程度でも差し支えない。析出した結晶を濾過等により固
液分離することにより9,9−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)フルオレン類を結晶として回収する。
【0021】高沸点溶剤及び有機溶媒の回収 未反応フェノール類を蒸留により回収する際に添加した
高沸点溶剤は、未反応フェノール類を除去した後の反応
混合物(蒸留残分)から特定の有機溶媒を用いて9,9
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を結晶
化させて、濾過により回収する際に、得られる濾液中
に、結晶化に使用した有機溶媒とともに回収される。高
沸点溶剤及び有機溶媒は、この濾液を蒸留することによ
り、多くの場合、留出分として有機溶媒を、残分として
高沸点溶剤を工業的に有効なリサイクル方法として回収
することができる。この際、減圧の精密蒸留を行うこと
により、高沸点溶剤をより高度に精製回収することがで
きる。
【0022】9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
フルオレン類の精製 このようにして得られた9,9−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)フルオレン類を更に精製する場合の精製方法
としては、溶媒として、アルコール性OH基がなく且つ
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類
を適度に溶解することのできる溶媒、例えばアセトニト
リルを用いる再結晶が有効である。再結晶に使用する溶
媒の使用量は、溶媒の種類等にもよるが、通常、9,9
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類1重量
部に対して、0.5〜10重量部、好ましくは2〜8重
量部とするのがよい。
【0023】再結晶に用いる有機溶媒としては、アルコ
ール性OH基を有しないものを使用する。例えば、アセ
トン等のケトン類、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素、
トルエン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル等のエステル
類、アセトニトリル等及びこれらの混合物を有機溶媒と
して使用することができる。アルコール性OH基を有し
ない有機溶媒であれば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)フルオレン類と付加物を形成するおそれがな
い。
【0024】再結晶の具体的な操作方法・条件について
は特に限定はないが、得られた9,9−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)フルオレン類にアセトニトリル等の溶
媒を加え、加温して溶解させた後、撹拌しながら冷却
し、結晶を析出させ、次いで、得られた固形物を濾過
し、乾燥させるのがよい。濾過等での固液分離では不十
分で結晶の純度が上がらない場合、結晶を前述のような
溶媒で洗浄すれば、さらに純度を上げることができる。
本発明においては、このような精製方法を用いることに
より、高収率で、アルコールの残存しない99%以上の
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類
を得ることができる。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、フルオレノンとフェノ
ール類との縮合反応混合物に高沸点溶剤を添加すること
により、未反応のフェノール類を蒸留により効率よく回
収することができるので、工業的な製造プロセスとして
経済的に有利である。本発明によれば、高収率で且つ純
度良く、そして、ポリエステル化等の重合過程において
重合を阻害するアルコールが残存しないように9,9−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を経済的
に製造することができる。
【0026】
【実施例】実施例1 撹拌器、冷却器、温度計及び塩化水素ガス導入管を備え
た1Lのガラス容器に99.9wt%のフルオレノン1
00gとフェノール400g及びβ−メルカプトプロピ
オン酸3gを仕込み、50℃で加熱撹拌し、フルオレノ
ンを完全に溶解させた。塩化水素ガスを1L/分で吹き
込むことにより反応を開始し、反応温度を50℃から5
5℃に保ち、4時間反応を継続した。反応終了後、窒素
ガスを1L/分で30分間吹き込み、反応器内に残留す
る塩化水素ガスを追い出した。
【0027】次に、得られた反応混合物に、高沸点溶剤
として200gのジイソプロピルビフェニルを投入した
後、減圧下(50mmHg)でフェノールを除去、回収
した。なお、初留分として15.0gを除去し、その
後、フェノール留分を283.9g回収した。フェノー
ル除去終了後、75℃まで冷却した蒸留残分に200g
のアセトニトリルを加えて、加熱撹拌して溶解させた
後、10℃まで冷却を行い固形分を析出させ、濾過によ
りその固形分を取り出した。
【0028】得られた粗9,9−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)フルオレンの純度は96.7重量%であり、
収量は183.9gであった。更に、得られた粗結晶に
500gのアセトニトリルを加えて、再結晶を行い、7
0℃で、12時間、減圧乾燥を行った。得られた精製
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの
純度は99.3重量%であり、収量は156.4gであ
った。
【0029】
【表1】
【0030】実施例2 250gのモノイソプロピルビフェニルを高沸点溶剤と
して使用した以外は実例1と同様の方法で行った。蒸留
により得られた初留分は14.8g、フェノール留分は
285.1gであった。得られた粗9,9−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)フルオレンの純度は96.5重量
%であり、収量は181.1gであった。更に実施例1
と同様に再結晶して減圧乾燥を行った。得られた精製
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの
純度は99.2重量%であり、収量は155.5gであ
った。
【0031】
【表2】
【0032】実施例3 250gのジイソプロピルナフタレンを高沸点溶剤とし
て使用した以外は実施例1と同様の方法で行った。蒸留
により得られた初留分は16.9g、フェノール留分は
270.5gであった。得られた粗9,9−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)フルオレンの純度は97.1重量
%であり、収量は188.2gであった。更に実施例1
と同様に再結晶して減圧乾燥を行った。得られた高純度
の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン
の純度は99.6重量%であり、収量は157.2gで
あった。
【0033】
【表3】
【0034】実施例4 250gの1−メチルナフタレンを高沸点溶剤として使
用した以外は実施例1と同様の方法で行った。蒸留によ
り得られた初留分は28.9g、粗フェノール留分は2
68.9gであった。得られた粗9,9−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)フルオレンの純度は97.3重量%
であり、収量は179.1gであった。更に実施例1と
同様に再結晶して減圧乾燥を行った。得られた精製9,
9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの純度
は99.2重量%であり、収量は158.6gであっ
た。
【0035】
【表4】
【0036】実施例5 250gの1,1−ジフェニルエタンを高沸点溶剤とし
て使用した以外は実施例1と同様の方法で行った。蒸留
により得られた初留分は26.8g、粗フェノール留分
は270.1gであった。得られた粗9,9−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)フルオレンの純度は96.5重
量%であり、収量は185.7gであった。更に実施例
1と同様に再結晶して減圧乾燥を行った。得られた精製
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの
純度は99.3重量%であり、収量は148.2gであ
った。
【0037】
【表5】
【0038】実施例6 反応方法は実施例1と同様の方法を用いて行った。但
し、原料(フェノール)としては、実施例1で回収した
フェノール283.9gに新しいフェノール117.1
gを加えたものを使用した。また、高沸点溶剤として
は、実施例1において回収した「蒸留残分に200gの
アセトニトリルを加えて、固形分を析出させ、濾過によ
りその固形分を取り出した濾液を蒸留した釜残」のうち
200gを使用した。実施例1におけるフェノール蒸留
回収後に添加するアセトニトリルも前述の濾液からの回
収蒸留で得られたアセトニトリル159gに新しいアセ
トニトリル41gを加えたものを使用した。
【0039】蒸留により得られた初留分は18.5g、
フェノール留分は275.1gであった。得られた粗
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの
純度は96.3重量%であり、収量は198.1gであ
った。更に実施例1と同様に再結晶して減圧乾燥を行っ
た。得られた精製9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)フルオレンの純度は99.4重量%であり、収量は
175.5gであった。
【0040】実施例7 実施例1で得られた精製9,9−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)フルオレンに500gのアセトニトリルを加
えて、更に再結晶して減圧乾燥を行った。得られた精製
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの
純度は99.9重量%であり、収量は125.5gであ
った。
【0041】比較例1 実施例1と同様に反応を行なった後、反応器を70mm
Hgに減圧し、130〜140℃で、得られた反応混合
物から過剰の未反応フェノールを200g留去し、蒸留
残分を50℃まで冷却し、メタノール100gを加え
て、50℃で1時間撹拌し均質な溶液とした。次いで、
この溶液に純水400gを30分かけて加え結晶を析出
させ、濾過を行って分離した。得られた粗9,9−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの純度は96.
3重量%であり、収量は180.4gであった。
【0042】得られた固形分を1000gのトルエンを
用いて再結晶させ、濾過を行って分離し、70℃で12
時間、減圧乾燥した。乾燥後に得られた精製9,9−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの純度はHP
LCでは99.0重量%、収量は142.2gであっ
た。得られた精製9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)フルオレンを熱天秤(Tg)及びガスクロマトグラ
フィーを用いて測定するとメタノールの含有が見られ
た。
【0043】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柳下 守 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 触媒の存在下でフルオレノンとフェノー
    ル類とを縮合反応させ、得られた反応混合物に原料とし
    て使用したフェノール類より沸点が高く且つアルコール
    性OH基を有しない炭化水素系溶剤を添加した後、蒸留
    により未反応のフェノール類を除去し、得られた蒸留残
    分にアルコール性OH基を有しない有機溶媒を添加して
    加熱溶解させた後、冷却して9,9−ビス(4−ヒドロ
    キシフェニル)フルオレン類の結晶を析出させることを
    特徴とするビスフェノール類の製造方法。
JP2820595A 1995-02-16 1995-02-16 ビスフェノール類の製造方法 Pending JPH08217713A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2820595A JPH08217713A (ja) 1995-02-16 1995-02-16 ビスフェノール類の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2820595A JPH08217713A (ja) 1995-02-16 1995-02-16 ビスフェノール類の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08217713A true JPH08217713A (ja) 1996-08-27

Family

ID=12242167

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2820595A Pending JPH08217713A (ja) 1995-02-16 1995-02-16 ビスフェノール類の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08217713A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006052174A (ja) * 2004-08-12 2006-02-23 Teijin Chem Ltd 廃芳香族ポリカーボネートから芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法
JP2006193505A (ja) * 2004-12-14 2006-07-27 Osaka Gas Co Ltd フルオレン誘導体の製造方法
JP2010248139A (ja) * 2009-04-17 2010-11-04 Taoka Chem Co Ltd 9,9−ビスクレゾールフルオレンの製造法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006052174A (ja) * 2004-08-12 2006-02-23 Teijin Chem Ltd 廃芳香族ポリカーボネートから芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法
JP4575082B2 (ja) * 2004-08-12 2010-11-04 帝人化成株式会社 廃芳香族ポリカーボネートから芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法
JP2006193505A (ja) * 2004-12-14 2006-07-27 Osaka Gas Co Ltd フルオレン誘導体の製造方法
JP2010248139A (ja) * 2009-04-17 2010-11-04 Taoka Chem Co Ltd 9,9−ビスクレゾールフルオレンの製造法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0616584A (ja) ビスフェノール−aの製法
JP3962836B2 (ja) ビスフェノールaの生産
JPH0578270A (ja) ビスフエノール類の精製方法
JP2001525831A (ja) ジヒドロキシジアリールアルカン類の連続的な製造方法
WO2000035847A1 (en) Process for the manufacture of bisphenol-a
JPH08217713A (ja) ビスフェノール類の製造方法
JP3500488B2 (ja) ビスフェノール類の製造方法
JP4216563B2 (ja) フルオレニリデンジアリルフェノールの精製方法
WO2020085222A1 (ja) フルオレン骨格を持つ化合物の結晶およびその製造方法
KR20030009162A (ko) 비스페놀의 생산 방법
WO1992002493A1 (en) Preparation of relatively pure p, p-bisphenol s
JP3750000B2 (ja) フェノキシエタノールの回収方法及びフルオレン誘導品の製造方法
JP4472923B2 (ja) 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの製造方法
JPH0441450A (ja) ビス(4―ヒドロキシフェニル)フルオレン類の製造方法
JP2001525832A (ja) ジヒドロキシジフェニルアルカンの連続製造方法
JP2006257026A (ja) 高純度の4,4’−ビスフェノールfと汎用純度のビスフェノールfの併産方法
US20050165258A1 (en) Method of producing pure 1,1-bis-(4-hydroxyphenyl)-3,3,5- trimethylcyclohexane
JPH06107623A (ja) 高純度2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン類の製造方法
JP4262977B2 (ja) 1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの製造方法
JPH0446253B2 (ja)
JPS62242644A (ja) アルキルフエノ−ル類の酸化方法
JPS62230741A (ja) 9、9−ビス(4−ヒドロキシフエニル)フルオレンの分離、精製方法
JP2008115140A (ja) 9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の連続製造方法
US5399783A (en) Preparation of 6,6'-dihydroxy-3,3,3',3'-tetramethyl-1,1'-spirobiindane
JP2003171326A (ja) p−イソプロペニルフェノールの環状二量体の製造方法