JP2006178395A - 吸収型多層膜ndフィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】 薄膜の基板が適用された場合でも基板の反りが起こり難く、量産性に優れ、かつ波長に対し平坦な透過率減衰が得られる吸収型多層膜NDフィルターを提供する。
【解決手段】 透過光を減衰させる吸収型多層膜が樹脂フィルム等の薄膜基板に設けられた吸収型多層膜NDフィルターであって、上記吸収型多層膜13、16がSiO、Al若しくはこれ等混合物から成る誘電体層14、17とNi単体若しくはNi系合金から成る金属膜層15、18とを交互に積層させた多層膜により構成され、この吸収型多層膜が基板の両面にこの基板を中心にして互いに対称な膜構造となるようにそれぞれ形成されていると共に、基板の反りの曲率半径が500mm以上に調整されていることを特徴とする。
【選択図】 図6

Description

本発明は、可視域の透過光を減衰させる吸収型多層膜NDフィルターに係り、特に、樹脂フィルム、樹脂板若しくはガラス薄板等の薄い基板が適用された吸収型多層膜NDフィルターの改良に関するものである。
この種のND(Neutral Density Filter)フィルターには、入射光を反射して減衰させる反射型NDフィルターと、入射光を吸収して減衰させる吸収型NDフィルターが知られている。そして、反射光が問題となるレンズ光学系にNDフィルターを組み込む場合には一般的に吸収型NDフィルターが用いられ、この吸収型NDフィルターには、基板自体に吸収物質を混ぜたり(色ガラスNDフィルター)塗布するタイプと、基板自体に吸収はなくその表面に形成された薄膜に吸収があるタイプとが存在する。また、後者の場合は、薄膜表面の反射を防ぐため上記薄膜を多層膜で構成し、透過光を減衰させる機能と共に反射防止の効果を持たせている。
そして、上記薄膜が多層膜で構成された吸収型多層膜NDフィルターとして、特許文献1には誘電体層とチタン酸化膜層とを組合せた多層膜が、また、特許文献2には誘電体膜とニオブ膜層とを組合せた多層膜がそれぞれ開示されている。
更に、特許文献3には、機械的接触によるキズが発生しないようにするため、少なくとも一方の最表面に誘電体の硬質膜層を形成する手法が開示されている。
ところで、小型薄型デジタルカメラに用いられる吸収型多層膜NDフィルターは、組込みスペースが狭いため基板自体を薄くする必要があり、非常に薄いガラス薄板や樹脂板、樹脂フィルムが基板として適用されている。
しかし、基板として非常に薄いガラス薄板や樹脂板、樹脂フィルムを適用した場合、以下に示すような特有の問題が発生する。
すなわち、非常に薄いガラス薄板や樹脂板、樹脂フィルムの片面ごとに構造の異なる多層膜を形成すると、形成されたそれぞれの多層膜の膜応力により一方側に基板が反ってしまうことがある。この場合、それぞれ片側の多層膜ごとに総合的な膜応力がキャンセルされる理想的な成膜条件、すなわち片面だけ成膜した時でも基板が反らないような条件で成膜を行えば、両面に多層膜を形成しても基板は反ることはない。そして、総合的な膜応力がキャンセルされるような上記方法として、各層ごとに膜応力を無くす方法と、引張り応力と圧縮応力の膜を交互に積層することで膜応力を打ち消す方法が存在するが、多層膜の膜応力をゼロにすることは現実的には困難である。
例えば、図1に示すように基板3の一方の面に吸収型多層膜1が形成され、他方の面に反射防止膜2が形成されている一般的な吸収型多層膜NDフィルターの場合、吸収型多層膜1と反射防止膜2の膜応力のバランスが悪いと、基板3が非常に薄いガラス薄板や樹脂板、樹脂フィルムで構成されている場合に基板が反ってしまう。そして、金属膜が薄く、ほとんどがSiOで構成される図1に示す上記吸収型多層膜1の場合、上述した引張り応力と圧縮応力の膜を交互に積層することで膜応力を打ち消す方法は、金属膜が薄いことから用いることはできず、SiO膜の膜応力をゼロに調整する必要がある。しかしながらSiO膜の膜応力をゼロにする成膜条件は現実的に設定困難である。
そして、基板が反ってしまうと、このNDフィルターを接着あるいは溶着する際に取扱いが難しくなる問題があり、かつ、撮像素子の近傍に用いた場合には画像が歪んでしまう弊害も懸念される。
特許第3359114号公報 特開2002−350610号公報 特開平10−133253号公報 特開2000−96167号公報
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、樹脂フィルム、樹脂板若しくはガラス薄板等の薄膜の基板が適用された場合でも基板の反りが起こり難く、かつ、量産性に優れ、しかも、波長に対して平坦な透過率減衰が得られる吸収型多層膜NDフィルターを提供することにある。
そこで、上記課題を解決するため本発明者等が鋭意研究を行った結果、樹脂フィルムや樹脂板、ガラス薄板等薄い基板の両面にこの基板を中心にして互いに対称となる膜構造の吸収型多層膜を形成し両面の膜応力をキャンセルさせることにより基板の反りが容易に減少されること、また、上記吸収型多層膜をSiO、Al若しくはこれ等混合物から成る誘電体層とNi単体若しくはNi系合金から成る金属膜層との多層膜で構成することにより波長に対して平坦な透過率減衰が得られること等を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1に係る発明は、
透過光を減衰させる吸収型多層膜が樹脂フィルム、樹脂板若しくはガラス薄板から成る基板に設けられた吸収型多層膜NDフィルターを前提とし、
上記吸収型多層膜がSiO、Al若しくはこれ等混合物から成る誘電体層とNi単体若しくはNi系合金から成る金属膜層とを交互に積層させた多層膜により構成され、かつ、この吸収型多層膜が上記基板の両面にこの基板を中心にして互いに対称な膜構造となるようにそれぞれ形成されていると共に、基板の反りの曲率半径が500mm以上に調整されていることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、
請求項1記載の発明に係る吸収型多層膜NDフィルターを前提とし、
上記SiO、Al若しくはこれ等混合物から成る基板片側の誘電体層の合計膜厚が100nm以上、かつ、Ni単体若しくはNi系合金から成る基板片側の金属膜層の合計膜厚が30nm以下に設定されていることを特徴とし、
請求項3に係る発明は、
請求項1または2記載の発明に係る吸収型多層膜NDフィルターを前提とし、
上記SiO、Al若しくはこれ等混合物から成る各誘電体層の膜厚が全て同一膜厚に設定され、かつ、Ni単体若しくはNi系合金から成る各金属膜層の膜厚も全て同一膜厚に設定されていることを特徴とする。
次に、請求項4に係る発明は、
請求項1、2または3記載の発明に係る吸収型多層膜NDフィルターを前提とし、
上記Ni系合金が、Ti、Al、V、W、Ta、Siから選択された1種類以上の元素を添加したNi系合金であることを特徴とし、
請求項5に係る発明は、
請求項4記載の発明に係る吸収型多層膜NDフィルターを前提とし、
Ti元素の添加割合が5〜15重量%、Al元素の添加割合が3〜8重量%、V元素の添加割合が3〜9重量%、W元素の添加割合が18〜32重量%、Ta元素の添加割合が5〜12重量%、Si元素の添加割合が2〜6重量%の範囲にそれぞれ設定されていることを特徴とし、
請求項6に係る発明は、
請求項1、2、3、4または5記載の発明に係る吸収型多層膜NDフィルターを前提とし、
上記吸収型多層膜が、真空蒸着法、スパッタリング法若しくはイオンプレーティング法から選択された成膜法により形成されていることを特徴とする。
本発明に係る吸収型多層膜NDフィルターによれば、樹脂フィルム、樹脂板若しくはガラス薄板から成る基板の両面にこの基板を中心にして互いに対称となる膜構造の吸収型多層膜を形成して両面の膜応力を相互にキャンセルさせているため、薄い基板でもその曲率半径が500mm以上に調整された平坦性に優れた吸収型多層膜NDフィルターを実現することができる効果を有している。
また、吸収型多層膜における金属膜層として可視域における分光透過率の波長依存性が小さいNi単体若しくはNi系合金を用いているため、波長に対して平坦な透過率減衰が得られる吸収型多層膜NDフィルターをも実現することができる効果を有している。
更に、基板の両面にこの基板を中心にして互いに対称となる膜構造の吸収型多層膜が形成されているため、吸収型多層膜NDフィルターを製造する際の生産性に優れ、かつ、裏表の区別が無くなるため管理もし易くなる効果を有している。
以下、本発明に係る吸収型多層膜NDフィルターについて図面を用いて詳細に説明する。
尚、使用波長帯域に吸収がない薄い基板を用いた場合、基板両面に同じ膜構成の反射防止機能を有する吸収型多層膜を形成して所望の透過率とするには、各吸収型多層膜によるそれぞれの吸収を考慮して設定する必要がある。すなわち、透過率25%のNDフィルターを製作するためには、それぞれ透過率50%(=√25%)の吸収型多層膜を両面に形成する必要があり、また、透過率12.5%のNDフィルターを製作するためには、それぞれ透過率35%(=√12.5%)の吸収型多層膜を両面に形成する必要がある。
まず、図2に透過率12.5%の従来例に係る吸収型多層膜NDフィルターを示す。
すなわち、この従来例に係る吸収型多層膜NDフィルターは、フィルム(PC:ポリカーボネート)基板5と、この基板5の表面に形成された反射防止機能を有する吸収型多層膜(具体的には「Ni単体から成る金属膜層9/SiOから成る誘電体層8/上記金属膜層9/上記誘電体層8/上記金属膜層9/上記誘電体層8」とで構成される)6と、基板5の裏面に形成された多層反射防止膜(具体的には「Taから成る金属膜層11/SiOから成る誘電体層10/上記金属膜層11/上記誘電体層10」とで構成される)7とでその主要部が構成されている。尚、以下の表1に、上記吸収型多層膜と多層反射防止膜の具体的膜構成、構成材料、各層の膜厚および屈折率をそれぞれ示す。また、従来例に係る吸収型多層膜NDフィルターの吸収型多層膜6における理論分光透過特性を図3に、吸収型多層膜6における理論分光反射特性を図4に、また、上記多層反射防止膜7における理論分光反射特性を図5にそれぞれ示す。
Figure 2006178395
一方、本発明に係る吸収型多層膜NDフィルターは、透過光を減衰させる吸収型多層膜が樹脂フィルム、樹脂板若しくはガラス薄板から成る基板に設けられた吸収型多層膜NDフィルターであって、上記吸収型多層膜がSiO、Al若しくはこれ等混合物から成る誘電体層とNi単体若しくはNi系合金から成る金属膜層とを交互に積層させた多層膜により構成され、かつ、この吸収型多層膜が上記基板の両面にこの基板を中心にして互いに対称な膜構造となるようにそれぞれ形成されていると共に、基板の反りの曲率半径が500mm以上に調整されていることを特徴とする。
そして、上記基板は、樹脂フィルム、樹脂板若しくはガラス薄板で構成され、その材質は特に限定されないが、透明であるものが好ましく、量産性を考慮した場合、後述する乾式のロールコーティングが可能となる可撓性を有する基板であることが好ましい。可撓性のある基板は、従来のガラス基板等に比べて廉価・軽量・変形性に富むといった点においても優れている。特に、基板として、樹脂板若しくは樹脂フィルムが好ましい。
上記基板を構成する樹脂板若しくは樹脂フィルムの具体例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリカーボネート(PC)、ポリオレフィン(PO)およびノルボルネンの樹脂材料から選択された樹脂板若しくは樹脂フィルムの単体、あるいは、上記樹脂材料から選択された樹脂板若しくは樹脂フィルム単体とこの単体の片面または両面を覆うアクリル系有機膜との複合体が挙げられる。特に、ノルボルネン樹脂材料については、代表的なものとして、日本ゼオン社のゼオノア(商品名)やJSR社のアートン(商品名)などが挙げられる。
また、上記金属膜層は上述したようにNi単体若しくはNi系合金で構成されるが、特に、Ti、Al、V、W、Ta、Siから選択された1種類以上の元素がNiに添加されたNi系合金材料で構成されることが好ましい。
この理由の詳細については後述するが、概略すると以下の通りである。すなわち、スパッタリング法を用いてNi膜を成膜する場合、Niターゲットの連続使用に伴いNiターゲットの厚みが減少してくると、Niターゲットの薄くなった部分においてプラズマ空間の漏洩磁界が強くなってくる。そして、プラズマ空間の漏洩磁界が強くなると、放電特性(放電電圧、放電電流等)が変化して成膜速度が変化する。つまり、生産時に、同一のNiターゲットを連続して長時間使用すると、Niターゲットの消耗に伴いNi膜の成膜速度が変化する問題が生じ、特性の揃った吸収型多層膜NDフィルターを安定して生産することが難しくなるからである。この問題を回避するには、上述したようにTi、Al、V、W、Ta、Siから選択された1種類以上の元素が添加されたNi系合金材料を用いて上記金属膜層を構成すればよい。
次に、フィルム(PC:ポリカーボネート)基板12と、この基板12の両面にそれぞれ形成された反射防止機能を有する吸収型多層膜13、16とでその主要部が構成される透過率12.5%の本発明に係る吸収型多層膜NDフィルターの一具体例を図6に示す。尚、以下の表2に、上記吸収型多層膜13、16の具体的膜構成、構成材料、各層の膜厚および屈折率をそれぞれ示す。また、本発明に係る吸収型多層膜NDフィルターの吸収型多層膜13、16における理論分光透過特性を図7に、その理論分光反射特性を図8にそれぞれ示す。
Figure 2006178395
そして、表2に示されているように上記吸収型多層膜13、16は、基板12側からそれぞれ順にNi単体から成る金属膜層15、18とSiOから成る誘電体層14、17とが交互に積層されて構成されている。尚、これ等の層数は任意であるが、図6においては、金属膜層15、18、誘電体層14、17が共に2層の合計4層から成る吸収型多層膜13、16を示している。また、表2において、金属膜層15、18および誘電体層14、17がそれぞれ同一の膜厚に設定されているが、上記吸収型多層膜13、16が基板12を中心にして互いに対称な膜構造となるようにそれぞれ形成されることを条件に各膜厚は任意に調整可能である。
ここで、上記金属膜層15、18を構成するNi薄膜における透過率の波長依存性は、Cr薄膜、Ta薄膜およびNb薄膜と比べて小さいことが確認されている。すなわち、波長0.400〜0.800μmにおけるCr薄膜、Ta薄膜およびNb薄膜の透過率の変動幅は、それぞれ図11のグラフ図に示すように、14.7%、13.5%および11.8%であるが、Ni薄膜における透過率の変動幅は1.5%と低い。
しかし、吸収型NDフィルター表面の反射は迷光となり、デジタルカメラ等の画質に悪影響を及ぼす。このため、吸収型NDフィルター表面にも反射を防ぐ効果を持たせるため上記吸収型多層膜13、16は多層膜で構成されている。
そして、本発明に係る吸収型多層膜NDフィルターにおいては、Ni単体若しくはNi系合金から成る金属膜層の膜厚が良好に制御され、しかも、Ni単体若しくはNi系合金から成るNi系薄膜の可視域における透過率の波長依存性が小さいことから、金属膜層と誘電体層とで構成される吸収型多層膜は、層数を多く重ねることなく、可視域における分光透過率の波長依存性が小さく、波長に対して平坦な透過率減衰を得ることができる。
尚、上記誘電体層(但し、表2に示すもの)14、17はSiOから成る薄膜で、Ni単体から成る金属膜層15、18に対しできるだけ低い屈折率を有する材料(上記SiOに加えてAl若しくはSiOとAlの混合物)で構成されることが好ましい。また、吸収型多層膜の反射防止効果を持たせるためには誘電体層14、17の膜厚を制御することが好ましい。
そして、Ni単体から成る金属膜層15、18とSiOから成る誘電体層14、17の各厚みは、上記吸収型多層膜13、16が所定の透過率と反射率とを可視域(例えば0.400μm〜0.800μm程度)で一定に保つように予め設定されており、上記金属膜層15、18の各厚みは2〜15nmであることが特に好ましい。この吸収型多層膜NDフィルターにおいては、上記吸収型多層膜13、16が、Ni単体から成る金属膜層15、18を含んで形成されているので、例えば4層と少ない層数であっても充分に平坦な透過率分光特性を有している。
次に、本発明に係る上記吸収型多層膜は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法にて形成することができる。
例えば、スパッタリング法は、蒸気圧の低い材料を用いて基板上に膜を形成する場合や、精密な膜厚制御が必要とされる際に有効な薄膜形成手法であり、操作が非常に簡便であることから広範に利用されている。一般には、約10Pa以下のアルゴンガス圧のもとで、基板を陽極とし、膜原料となるターゲットを陰極とし、これらの間にグロー放電を起こさせてアルゴンプラズマを発生させ、かつ、プラズマ中のアルゴン陽イオンを陰極のターゲットに衝突させてターゲット成分の粒子をはじき飛ばし、この粒子を基板上に堆積させて成膜する手法である。
上記スパッタリング法はアルゴンプラズマの発生方法で分類され、高周波(RF)プラズマを用いるものは高周波スパッタリング法、直流プラズマを用いるものは直流スパッタリング法という。また、ターゲットの裏側にマグネットを配置して、アルゴンプラズマをターゲット直上に集中させ、低ガス圧でもアルゴンイオンの衝突効率を上げて成膜する方法をマグネトロンスパッタリング法という。
そして、本発明に係る吸収型多層膜中の金属膜層は、例えばAr雰囲気中においてNi系金属(Ni単体若しくはNi系合金)のターゲットを用いた直流マグネトロンスパッタリング法により形成される。また、誘電体層は、例えばArおよびO雰囲気中でSi若しくはAlターゲットを用いた高周波マグネトロンスパッタリング法により形成される。上記誘電体層を高周波スパッタリング法で行うことで、反応性スパッタリングにおいて生じる異常放電が防止でき、安定な成膜が可能となる。
ところで、純Ni材料は強磁性体であるため、上記金属膜層を直流マグネトロンスパッタリング法で成膜する場合、ターゲットと基板間のプラズマに作用させるためのターゲット裏側に配置したマグネットからの磁力が、Niターゲット材料で遮蔽されて表面に漏洩する磁界が弱くなり、プラズマを集中させて効率よく成膜することが難しくなる。これを回避するには、ターゲット裏側に配置するマグネットの磁力を強く(400ガウス以上)したカソード(強磁場カソード)を用い、Niターゲットを通過する磁界を強めてスパッタリング成膜を行うことが好ましい。
但し、このような方法を採った場合でも、生産時には以下に述べるような別の問題が生ずることがある。すなわち、Niターゲットの連続使用に伴ってターゲットの厚みが減少していくと、上述したようにターゲットの厚みが薄くなった部分ではプラズマ空間の漏洩磁界が強くなっていく。そして、プラズマ空間の漏洩磁界が強くなると、放電特性(放電電圧、放電電流等)が変化して成膜速度が変化する。つまり、生産時に、同一のNiターゲットを連続して長時間使用すると、Niターゲットの消耗に伴いNi膜の成膜速度が変化する問題が生じ、特性の揃った吸収型多層膜NDフィルターを安定して生産することが難しくなる。この問題を回避するには、上述したようにTi、Al、V、W、Ta、Siから選択された1種類以上の元素が添加されたNi系合金材料を用いて金属膜層を構成すればよい。
そして、本発明においては、例えば、Ti元素を5〜15重量%の範囲で含むNi系合金材料を用いることが好ましい。Ti量の下限を5重量%とした理由は、5重量%以上含ませることによって強磁性特性を極端に弱めることができ、磁力の低い通常のマグネットを配置したカソードでも直流マグネトロンスパッタリング成膜を行うことができるからである。また、ターゲットによる磁界の遮蔽能力が低いため、ターゲット消耗に依存するプラズマ空間の漏洩磁界の変化も小さく、一定の成膜速度を維持でき、安定して成膜することができるからである。また、Ti量の上限を15.0重量%とした理由は、15.0重量%を超えてTiが含有されると多量の金属間化合物を形成し、透過率における波長依存性が小さい材料ではなくなってしまう恐れがあるからである。また、Al元素、V元素、W元素、Ta元素、Si元素の添加量も同様な理由により決定され、これ等Al元素、V元素、W元素、Ta元素、Si元素を添加する場合は、Al元素の添加割合が3〜8重量%、V元素の添加割合が3〜9重量%、W元素の添加割合が18〜32重量%、Ta元素の添加割合が5〜12重量%、Si元素の添加割合が2〜6重量%の範囲で添加したNi系合金材料とすることが好ましい。
但し、Niに添加する元素が2種類以上の場合、各元素の添加量上限値より低く調整して多量の金属間化合物を形成しないようにすることが好ましい。例えば、TiとSiの2種類の元素をNiに添加する場合、7.5重量%のTi添加量に対しSi元素の添加量が5重量%を超えると、これ等添加量の数値が上述した組成範囲(Ti元素が5〜15重量%、Si元素が2〜6重量%)であっても、金属間化合物の形成が著しくなることがある。
また、上述したTi、Al、V、W、Ta、Si等の元素以外に、Niの強磁性特性を弱められる添加元素としてCu、Cr等が挙げられる。しかし、Cu元素を添加元素とした場合、上述したTi、Al、V等の元素と比較し、酸化物膜に対するNi−Cu膜の密着性が劣る欠点がある。例えば、NDフィルターとは別分野である電極材料に用いられるターゲット材料に関する特許文献4では、酸化物であるセラミックス基板との密着性に問題があるとしてNi−Cu系合金に代えてNi−Ti系合金のターゲットが提案されている。従って、本発明における添加元素としてCu元素は適さない材料である。また、Cr元素は上記密着性については問題ないが、環境に悪影響を与えるため好ましくない。
尚、上記金属膜層とSiO、Al若しくはこれ等混合物の誘電体層は、フィルム状の基板の上に乾式ロールコーティング法を用いて形成することも可能である。
そして、吸収型多層膜について上述したような構成を採用することにより、0.400μm〜0.800μmの可視域全域において反射率が5%以下、かつ、透過率の変動幅が10%以内である吸収型多層膜NDフィルターを提供することが可能となる。
また、表1と表2に記載された数値から確認されるように、本発明に係る吸収型多層膜NDフィルターは、従来例に係るNDフィルターに比べて基板両面の各合計膜厚(従来例に係るNDフィルターではその吸収型多層膜が270nm、多層反射防止膜が256nmであるのに対し、本発明に係る吸収型多層膜NDフィルターでは基板片側の各吸収型多層膜が154nm)が約半分程度まで薄くなり、更に、膜材料を2種類しか用いないため生産性にも優れている.
また、本発明に係る吸収型多層膜NDフィルターにおいては、成膜条件を単純化して生産性を上げるため、表2に示すようにSiOから成る誘電体層を両面共にすべて同じ膜厚(70nm)に膜設計し、Ni単体から成る金属膜層も両面共にすべて同じ膜厚(7nm)に膜設計を行ってもよい。そして、基板両面に吸収型多層膜を形成するには、薄い基板が膜応力により反らないように枠に固定して片面ごとに成膜してもよいが、両面同時に成膜する方が理想的である。
このような構成とすることによって、基板の反りの曲率半径を500mm以上とすることが達成できる。基板の反りの曲率半径が500mm未満であると、吸収型多層膜NDフィルターを切断、接着、溶着するような加工工程において機器によるハンドリングが困難になり、更には吸収型多層膜NDフィルターを透過したことに起因して画像が歪んでしまうことも考えられ好ましくない。
そして、図6に示された本発明に係る吸収型多層膜NDフィルターを定盤(図1の符号4参照)に置いたとき、基板の反りはほとんど無く、中心部の隙間は0.2mm以下で正確には測定できないほどであった。
一方、図2に示された従来例に係る吸収型多層膜NDフィルターを定盤に置いたとき(但し、吸収型多層膜NDフィルターの吸収型多層膜6が上側、多層反射防止膜7が下側とする)、基板には反りがあり、中心部には約2mmの隙間が観察された。そして、基板サイズがφ60mmのとき、中心部に0.9mmの隙間が発生すると反りの曲率半径は500mmである。
尚、本発明に係る吸収型多層膜NDフィルターの誘電体層および金属膜層の膜厚については、SiO、Al若しくはこれ等混合物から成る基板片側の誘電体層の合計膜厚が100nm以上、Ni単体若しくはNi系合金から成る基板片側の金属膜層の合計膜厚が30nm以下に設定されていることが好ましい。基板片側の誘電体層の合計膜厚を100nm未満にすると吸収型多層膜に反射防止機能を持たせることが難しくなる場合があり、かつ、基板片側の金属膜層の合計膜厚が30nmを超えて厚くなると、誘電体層に比較して柔らかい金属膜層を厚くすれば膜応力が緩和することが予測されるが、分光透過率が極端に低下してしまう場合があるからである。
ここで、本発明に係る吸収型多層膜NDフィルターにおいて、基板両面に基板を中心にして互いに対称な膜構造を有する吸収型多層膜を形成する場合、完全な対称条件を必ずしも満たす必要はなく、膜応力をキャンセルし合うことができる程度の略対称な条件を満たせばよい。例えば、基板の表面側に吸収型多層膜を成膜後、その光学特性を評価した結果、表面の透過率が予定値より高かった場合は裏面側の透過率を低くし、反対に表面の透過率が予定値より低かった場合は裏面側の透過率を高くする等裏面の吸収型多層膜の膜構成を微調整して透過率を補正することができる。
次に,本発明の実施例について具体的に説明する。実施例では、実施例1、3および4に係る吸収型多層膜NDフィルターと比較例に係る吸収型多層膜NDフィルターを比較評価した。
基板にはφ60mmに切断した厚さ100μmのPC(ポリカーボネート)フィルムを用いた。このフィルムをその端縁から約5mmの部位を押さえる金属枠で固定し、片面ごと成膜を行った。成膜にはRFマグネトロンスパッタリング装置(アルバック社製)を用い、誘電体層:SiOの成膜速度は0.2nm/秒、金属膜層:Niの成膜速度は0.1nm/秒で行った。また、この吸収型多層膜NDフィルターは、両面とも同じ膜構成なので、片面ずつ同じ工程の成膜をそれぞれ行った。
上記フィルム両面に形成した吸収型多層膜の膜構造は、図6に示した吸収型多層膜NDフィルターと同一とし、誘電体層:SiOの膜厚は70nm、金属膜層:Niの膜厚は7nmであった。
そして、この実施例1に係る吸収型多層膜NDフィルターを定盤に置いたとき、基板である上記フィルムの反りはほとんど無く、中心部の隙間は0.2mm以下で正確には測定できないほどであった。
実施例1において用いたNiターゲットに代えて、7.5重量%のTiを含むNi系合金ターゲット[住友金属鉱山(株)社製]を用いた以外は実施例1と同様に行い、誘電体層:SiOの膜厚が70nm、金属膜層:Ni系合金の膜厚が7nmである図6に示す吸収型多層膜NDフィルターと同一の実施例2に係る吸収型多層膜NDフィルターを製造した。
そして、この実施例2に係る吸収型多層膜NDフィルターを定盤に置いたとき、この吸収型多層膜NDフィルターにおいても基板である上記フィルムの反りはほとんど無く、中心部の隙間は0.2mm以下で正確には測定できないほどであった。
実施例1において用いたNiターゲットに代えて7.5重量%のTiを含むNi系合金ターゲット[住友金属鉱山(株)社製]を用いた点と、以下の表3に示すようにSiOの誘電体層に代えてAlを適用した以外は実施例1と同様に行い、誘電体層:Alの膜厚が60nm、金属膜層:Ni系合金(Ni−Ti)の膜厚が7.7nmである図6の吸収型多層膜NDフィルターと同一構造の実施例3に係る吸収型多層膜NDフィルターを製造した。
Figure 2006178395
すなわち、基板にはφ60mmに切断した厚さ100μmのPC(ポリカーボネート)フィルムを用い、このフィルムをその端縁から約5mmの部位を押さえる金属枠で固定し、片面ごと成膜を行った。尚、成膜にはRFマグネトロンスパッタリング装置(アルバック社製)を用い、誘電体層:Alの成膜速度は0.2nm/秒、金属膜層:上記Ni系合金ターゲット[住友金属鉱山(株)社製]の成膜速度は0.1nm/秒で行った。また、表3に示すように両面とも同じ膜構成なので片面ずつ同じ工程の成膜をそれぞれ行った。そして、吸収型多層膜を片面に成膜したときの理論分光透過率を図12に、理論分光反射率を図13に示し、また、実際に成膜した実施例3に係る吸収型多層膜NDフィルターの分光透過率を図14に示す。
そして、この実施例3に係る吸収型多層膜NDフィルターを定盤に置いたとき、基板である上記フィルムの反りはほとんど無く、中心部の隙間は0.2mm以下で正確には測定できないほどであった。
実施例1において用いたNiターゲットに代えて7.5重量%のTiを含むNi系合金ターゲット[住友金属鉱山(株)社製]を用いた点と、以下の表4に示すようにSiOの誘電体層に代えてSiOとAlの混合物(モル比1:1)を適用した以外は実施例1と同様に行い、誘電体層:SiOとAlの混合物における膜厚が67nm、金属膜層:Ni系合金(Ni−Ti)の膜厚が7.3nmである図6の吸収型多層膜NDフィルターと同一構造の実施例4に係る吸収型多層膜NDフィルターを製造した。
Figure 2006178395
すなわち、基板にはφ60mmに切断した厚さ100μmのPC(ポリカーボネート)フィルムを用い、このフィルムをその端縁から約5mmの部位を押さえる金属枠で固定し、片面ごと成膜を行った。尚、成膜にはRFマグネトロンスパッタリング装置(アルバック社製)を用い、誘電体層:SiOとAlの混合物の成膜速度は0.2nm/秒、金属膜層:上記Ni系合金ターゲット[住友金属鉱山(株)社製]の成膜速度は0.1nm/秒で行った。また、表4に示すように両面とも同じ膜構成なので片面ずつ同じ工程の成膜をそれぞれ行った。そして、吸収型多層膜を片面に成膜したときの理論分光透過率を図15に、理論分光反射率を図16に示し、また、実際に成膜した実施例4に係る吸収型多層膜NDフィルターの分光透過率を図17に示す。
そして、この実施例4に係る吸収型多層膜NDフィルターを定盤に置いたとき、基板である上記フィルムの反りはほとんど無く、中心部の隙間は0.2mm以下で正確には測定できないほどであった。
[比較例]
先に吸収型多層膜をPCフィルムに形成し、その後、多層反射防止膜を形成して比較例に係る吸収型多層膜NDフィルターを得た。
成膜にはRFマグネトロンスパッタリング装置(アルバック社製)を用い、上記吸収型多層膜における誘電体層:SiOの成膜速度が0.2nm/秒、金属膜層:Niの成膜速度が0.1nm/秒で行った。また、上記多層反射防止膜における誘電体層:SiOの成膜速度が0.2nm/秒、金属膜層:Taの成膜速度も0.2nm/秒で行った。
PCフィルム片面に形成した吸収型多層膜の膜構造は、図2に示した吸収型多層膜NDフィルターと同一とし、誘電体層:SiOの膜厚は80nm、金属膜層:Niの膜厚は10nmであった。また、PCフィルムの他面に形成した多層反射防止膜の膜構造も図2に示した吸収型多層膜NDフィルターと同一とし、上記表1に示す膜厚であった。
そして、比較例に係る吸収型多層膜NDフィルターを定盤に置いたとき(但し、この吸収型多層膜NDフィルターの吸収型多層膜が上側、多層反射防止膜が下側とする)、基板であるPCフィルムには反りがあり、中心部には約2mmの隙間が観察された。そして、基板サイズがφ60mmのとき、中心部に0.9mmの隙間が発生すると反りの曲率半径は500mmであり、結果はそれよりも曲率半径が小さいことを示していた。
「評 価」
次に、実施例1、3および4に係る吸収型多層膜NDフィルターと比較例に係る吸収型多層膜NDフィルターの分光透過特性を評価した。分光透過特性は日立製作所社製自記分光光度計で測定した。
そして、実施例1、3および4に係る吸収型多層膜NDフィルターの分光透過特性を図9、図14および図17に、比較例に係る吸収型多層膜NDフィルターの分光透過特性を図10に示す。
その結果、実施例1、3および4に係る吸収型多層膜NDフィルターと比較例に係る吸収型多層膜NDフィルターとも、0.4〜0.7μmの使用波長帯域においてほぼ同等の透過特性であった。
このように各実施例に係る吸収型多層膜NDフィルターは、従来例(比較例)に係る吸収型多層膜NDフィルターと同じ光学特性を有し、かつ、基板の反りの無いNDフィルターを得ることができた。しかも、両面とも同じ膜構成であることに加えて、両面の各誘電体層の膜厚がすべて同じ膜厚で、かつ、各金属膜層の膜厚がすべて同じ膜厚で構成されているため、生産性にも優れている。
本発明に係る吸収型多層膜NDフィルターは、基板自体に吸収物質を混ぜた吸収型NDフィルターや厚いガラス基板が用いられた吸収型多層膜NDフィルターを組み込むためのスペースの小さい小型薄型デジタルカメラに利用される可能性を有している。
従来例に係る吸収型多層膜NDフィルターの構成断面図。 従来例(比較例)に係る吸収型多層膜NDフィルターの構成断面図。 従来例に係る吸収型多層膜NDフィルターの吸収型多層膜における理論分光透過特性を示すグラフ図。 従来例に係る吸収型多層膜NDフィルターの吸収型多層膜における理論分光反射特性を示すグラフ図。 従来例に係る吸収型多層膜NDフィルターの多層反射防止膜における理論分光反射特性を示すグラフ図。 本発明(実施例)に係る吸収型多層膜NDフィルターの構成断面図。 表2に示す本発明に係る吸収型多層膜NDフィルターの吸収型多層膜における理論分光透過特性を示すグラフ図。 表2に示す本発明に係る吸収型多層膜NDフィルターの吸収型多層膜における理論分光反射特性を示すグラフ図。 実施例1に係る吸収型多層膜NDフィルターの分光透過特性を示すグラフ図。 比較例に係る吸収型多層膜NDフィルターの分光透過特性を示すグラフ図。 Ni薄膜、Cr薄膜、Nb薄膜およびTa薄膜における透過率と波長との関係を示すグラフ図。 表3に示す本発明に係る吸収型多層膜NDフィルターの吸収型多層膜における理論分光透過特性を示すグラフ図。 表3に示す本発明に係る吸収型多層膜NDフィルターの吸収型多層膜における理論分光反射特性を示すグラフ図。 実施例3に係る吸収型多層膜NDフィルターの分光透過特性を示すグラフ図。 表4に示す本発明に係る吸収型多層膜NDフィルターの吸収型多層膜における理論分光透過特性を示すグラフ図。 表4に示す本発明に係る吸収型多層膜NDフィルターの吸収型多層膜における理論分光反射特性を示すグラフ図。 実施例4に係る吸収型多層膜NDフィルターの分光透過特性を示すグラフ図。
符号の説明
1 吸収型多層膜
2 反射防止膜
3 基板
4 定盤
5 フィルム基板
6 吸収型多層膜
7 多層反射防止膜
8 SiOから成る誘電体層
9 Ni単体から成る金属膜層
10 SiOから成る誘電体層
11 Taから成る金属膜層
12 フィルム基板
13 吸収型多層膜
14 SiO、Al若しくはこれ等混合物から成る誘電体層
15 Ni単体若しくはNi系合金から成る金属膜層
16 吸収型多層膜
17 SiO、Al若しくはこれ等混合物から成る誘電体層
18 Ni単体若しくはNi系合金から成る金属膜層

Claims (6)

  1. 透過光を減衰させる吸収型多層膜が樹脂フィルム、樹脂板若しくはガラス薄板から成る基板に設けられた吸収型多層膜NDフィルターにおいて、
    上記吸収型多層膜がSiO、Al若しくはこれ等混合物から成る誘電体層とNi単体若しくはNi系合金から成る金属膜層とを交互に積層させた多層膜により構成され、かつ、この吸収型多層膜が上記基板の両面にこの基板を中心にして互いに対称な膜構造となるようにそれぞれ形成されていると共に、基板の反りの曲率半径が500mm以上に調整されていることを特徴とする吸収型多層膜NDフィルター。
  2. 上記SiO、Al若しくはこれ等混合物から成る基板片側の誘電体層の合計膜厚が100nm以上、かつ、Ni単体若しくはNi系合金から成る基板片側の金属膜層の合計膜厚が30nm以下に設定されていることを特徴とする請求項1記載の吸収型多層膜NDフィルター。
  3. 上記SiO、Al若しくはこれ等混合物から成る各誘電体層の膜厚が全て同一膜厚に設定され、かつ、Ni単体若しくはNi系合金から成る各金属膜層の膜厚も全て同一膜厚に設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の吸収型多層膜NDフィルター。
  4. 上記Ni系合金が、Ti、Al、V、W、Ta、Siから選択された1種類以上の元素を添加したNi系合金であることを特徴とする請求項1、2または3記載の吸収型多層膜NDフィルター。
  5. Ti元素の添加割合が5〜15重量%、Al元素の添加割合が3〜8重量%、V元素の添加割合が3〜9重量%、W元素の添加割合が18〜32重量%、Ta元素の添加割合が5〜12重量%、Si元素の添加割合が2〜6重量%の範囲にそれぞれ設定されていることを特徴とする請求項4記載の吸収型多層膜NDフィルター。
  6. 上記吸収型多層膜が、真空蒸着法、スパッタリング法若しくはイオンプレーティング法から選択された成膜法により形成されていることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の吸収型多層膜NDフィルター。
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