以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係るフィルタ装置20を備えた照明装置IAの一例を示す概略構成図である。照明装置IAは、照明光ILで物体Sを照明する。本実施形態においては、一例として、照明装置IAが、プレート状の物体Sを照明する場合を例にして説明する。物体Sは、その物体Sの表面とXY平面とがほぼ平行となるように配置される。照明装置IAは、所定の照射領域IFを照明光ILで照明する。照明装置IAは、照射領域IFに照明光ILを照射して、その照射領域IFに配置された物体Sの表面の少なくとも一部を照明光ILで照明する。
図1において、照明装置IAは、物体Sを照明するための光を射出する光源1と、光源1から射出された光を反射する楕円鏡2と、楕円鏡2からの光の少なくとも一部を反射するダイクロイックミラー3と、ダイクロイックミラー3からの光の進行を遮断可能なシャッター装置4と、ダイクロイックミラー3からの光が供給されるコリメートレンズ5A及び集光レンズ5Bを含むリレー光学系5と、干渉フィルタ6と、リレー光学系5からの光が供給されるライトガイド7と、ライトガイド7からの光が供給されるコリメートレンズ8と、コリメートレンズ8からの光が供給されるフライアイインテグレータ9と、フライアイインテグレータ9からの光が供給され、物体Sに対して照明光ILを照射するコンデンサーレンズ10と、コンデンサーレンズ10の前側焦点面10Aと物体Sとの間に配置され、物体Sに対する照明光ILの強度を変化させるフィルタ素子21を含むフィルタ装置20とを備えている。
光源1は、超高圧水銀ランプを含む。光源1は、楕円鏡2の第1焦点位置に配置されている。光源1から射出された光の少なくとも一部は、ダイクロイックミラー3で反射して、楕円鏡2の第2焦点位置に集められる。シャッター装置4は、楕円鏡2の第2焦点位置近傍に配置可能である。
ダイクロイックミラー3は、入射した光のうち、特定波長領域の光を反射する。光源1から射出され、ダイクロイックミラー3で反射した光は、リレー光学系5のコリメートレンズ5Aに入射する。干渉フィルタ6は、コリメートレンズ5Aと集光レンズ5Bとの間に配置されている。干渉フィルタ6は、リレー光学系5の瞳面の近傍に配置されている。干渉フィルタ6は、コリメートレンズ5Aから供給される光のうち、所定波長領域の光のみを通過させ、集光レンズ5Bに供給する。
ライトガイド7は、入射端7Aと、射出端7Bと、入射端7Aからの光を射出端7Bに導く導光部7Cとを備えている。入射端7Aは、リレー光学系5により形成される光源像の近傍に配置されている。リレー光学系5から射出される光は、入射端7Aに入射する。導光部7Cは、光ファイバを含み、入射端7Aから入射した光を射出端7Bに供給可能である。射出端7Bから射出された光は、コリメートレンズ8に供給される。コリメートレンズ8は、ライトガイド7の射出端7Bから射出された光(発散光)をほぼ平行な光(平行光)に変換して、フライアイインテグレータ9に供給する。
フライアイインテグレータ9は、レンズエレメント9Eを複数有する。レンズエレメント9Eは、正の屈折力を有する。各レンズエレメント9Eの入射面は、入射側に凸面を向けた球面状に形成され、射出面は射出側に凸面を向けた球面状に形成されている。レンズエレメント9Eは、XY平面内において複数配置されている。レンズエレメント9Eは、XY平面内におけるフライアイインテグレータ9の外形がほぼ正方形となるように、複数配置されている。
フライアイインテグレータ9の各レンズエレメント9Eは、物体Sの表面における照明光ILの照射領域IFを設定する領域設定部として機能する。レンズエレメント9Eは、物体Sの表面(XY平面)における照射領域IFを矩形形状に設定する。照射領域IFは、X軸方向とほぼ平行な端縁(エッジ)と、Y軸方向とほぼ平行な端縁(エッジ)とを有する。レンズエレメント9Eは、照射領域IFと相似な矩形形状の断面を有する。
射出端7Bより射出され、コリメートレンズ8を介してフライアイインテグレータ9に入射した光は、複数のレンズエレメント9Eによって波面分割される。複数のレンズエレメント9Eの射出面近傍(後側焦点面)のそれぞれには光源像が形成され、それら複数の光源像によって二次光源が形成される。すなわち、フライアイインテグレータ9の射出面近傍(後側焦点面)には、実質的な面光源が形成される。
コンデンサーレンズ10は、フライアイインテグレータ9(二次光源)から供給された光を集めて、物体Sの表面に対して照明光ILを照射する。フライアイインテグレータ9の各レンズエレメント9Eから射出された光は、コンデンサーレンズ10を介して、物体Sの表面に重畳的に照射される。
フィルタ装置20は、入射した光の強度を、その入射した光の入射角及び入射位置に応じて変化させるフィルタ素子21と、フィルタ素子21に入射する入射光に対してそのフィルタ素子21を動かして、入射光の入射角及び入射位置の少なくとも一方を変化させるフィルタ駆動部22とを備えている。フィルタ素子21は、コンデンサーレンズ10の前側焦点面10Aと物体Sとの間に配置されている。
フィルタ素子21は、コンデンサーレンズ10と物体Sとの間に配置される。また、フィルタ素子21と物体Sとの間に部材は配置されてなく、フィルタ素子21は、物体Sと対向する位置に配置される。
図2は、本実施形態に係るフィルタ素子21の一例を示す斜視図、図3は、図2の側断面図、図4は、フィルタ素子21を拡大した側断面図である。
図2,図3及び図4において、フィルタ素子21は、入射した光の強度を、その入射した光の入射角に応じて変化させる多層膜23と、多層膜23が積層される基材24とを備えている。多層膜23は、積層された複数の第1薄膜23A及び第2薄膜23Bを含む。
基材24は、コンデンサーレンズ10側(入射側)を向くように配置される表面24Sと、表面24Sと逆向きの裏面24Rとを有する。図4に示すように、第1,第2薄膜23A,23Bは、基材24の表面24Sにおいて交互に積層されている。基材24の表面24Sには、第1薄膜23Aが接する。また、多層膜23の表面23Sは、第1薄膜23Aで形成される。すなわち、多層膜23の表層は、第1薄膜23Aで形成される。
ここで、以下の説明において、多層膜23の表面23Sを適宜、フィルタ素子21の表面21S、と称する。
基材24は、入射した光を透過させる透過部材である。例えばコンデンサーレンズ10から供給され、表面24Sに供給された照明光ILは、基材24を透過して、裏面24Rより射出される。基材24は、照明光ILを透過可能なガラスで形成される。なお、基材24が、照明光ILを透過可能なプラスチックで形成されてもよい。
図3に示すように、基材24は、ほぼ均一な厚みを有する。本実施形態においては、基材24は、表面24Sに入射する光に対して裏面24Rから射出される光が実質的に曲がらないように(偏向しないように)、ほぼ均一な所定の厚みを有する。なお、ここでいう「ほぼ均一」とは、均一になるように基材24を製造した場合において、製造誤差程度のばらつきの範囲内で均一であることを含む。
第1,第2薄膜23A,23Bが積層される基材24の表面24Sは、少なくとも一部が球面状に形成される。基材24の表面24S及び裏面24Rは、頂部が+Z側(コンデンサーレンズ10側)に凸な曲線を、その頂部を中心として回転させたドーム形状である。
多層膜23は、入射した光を、その入射した光の入射角に対応する透過率で透過させる透過膜である。すなわち、多層膜23は、光の入射角に応じて透過率が変化する光学特性を有する。第1薄膜23Aは、酸化チタン(TiO2)で形成されており、第2薄膜23Bは、二酸化珪素(SiO2)で形成されている。多層膜23は、例えば蒸着法により形成可能である。
多層膜23の光学特性は、その多層膜23の構造(膜構成)に応じて変化する。例えば、多層膜23の厚み(総厚み)、第1,第2薄膜23A,23Bの数(積層数)、及び第1薄膜23Aの厚みと第2薄膜23Bの厚みとの比率の少なくとも一つを変化させることによって、多層膜23の光学特性(多層膜23に入射する光の入射角に応じた透過率特性)が変化する。なお、多層膜23の構成は、図4に示す構成に限定されるものではなく、第1薄膜23A及び第2薄膜23Bの厚みをそれぞれ層ごとに異ならせてもよい。また、第1薄膜23A及び第2薄膜23Bのみに限定されず、他の層を介在させた多層膜構成とすることもできる。
図5は、多層膜23の光学特性の一例を模式的に示す図である。図5(A),図5(B)に示す図において、横軸は、多層膜23に入射する光の入射角θ、縦軸は、多層膜23の透過率Tを示す。多層膜23の構造を調整することによって、例えば図5(A)に示すような、多層膜23に入射する光の入射角θが0度に近付くほど透過率Tが小さくなり、入射角θが0度から離れるほど透過率Tが大きくなる光学特性を有する多層膜23を形成することができる。また、多層膜23の構造を調整することによって、例えば図5(B)に示すような、多層膜23に入射する光の入射角θが0度に近付くほど透過率Tが大きくなり、入射角θが0度から離れるほど透過率Tが小さくなる光学特性を有する多層膜23を形成することができる。
図6及び図7は、フィルタ素子21の表面21Sと、コンデンサーレンズ10から射出される照明光ILが照射される表面21Sにおける照射領域IEとの関係を模式的に示す図である。図6(A)は、照射領域IEに表面21Sの第1領域A1が配置された状態を模式的に示す平面図、図6(B)は、図6(A)のA−A線断面矢視図である。また、図7(A)は、照射領域IEに表面21Sの第2領域A2が配置された状態を模式的に示す平面図、図7(B)は、図7(A)のB−B線断面矢視図である。一例として、第1領域A1は、表面21Sの頂部を含む表面21Sの一部の領域であり、第2領域A2は、表面21Sの頂部を含まない表面21Sの一部の領域である。
なお、フィルタ素子21の表面21Sにおける照射領域IEは、物体Sの表面における照射領域IFに対応し、その照射領域IE(照射領域IF)の大きさ及び形状は、例えばフライアイインテグレータ9及びコンデンサーレンズ10等の光学特性に応じて定められる。また、本実施形態においては、照射領域IEの中心とコンデンサーレンズ10の光軸とが交わる。
本実施形態においては、照射領域IEに配置される表面21S内の位置(光の入射位置)に応じて、表面21Sに対するコンデンサーレンズ10から供給される光の入射角θが変化する。また、照射領域IEとフィルタ素子21との位置関係(例えばXY平面内における位置関係)に応じて、表面21Sに対するコンデンサーレンズ10から供給される光の入射角θが変化する。
例えば、図6に示すように、表面21Sの第1領域A1が照射領域IEに配置された場合、照射領域IEの中心に位置する表面21Sに対して、光は入射角θ1で入射する。入射角θ1はほぼ0度である。一方、表面21Sに対する入射角θは照射領域IEの中心から離れるほど大きくなり、例えば照射領域IEの+Y側のエッジに位置する表面21Sに対して、光は入射角θ2で入射し、照射領域IEの−Y側のエッジに位置する表面21Sに対して、光は入射角θ3で入射する。
また、図7に示すように、表面21Sの第2領域A2が照射領域IEに配置された場合、照射領域IEの中心に位置する表面21Sに対して、光は入射角θ4で入射する。また、照射領域IEの+Y側のエッジに位置する表面21Sに対して、光は入射角θ5で入射し、照射領域IEの−Y側のエッジに位置する表面21Sに対して、光は入射角θ6で入射する。
図6及び図7のそれぞれに示す状態において、多層膜23が例えば図5(A)に示したような光学特性を有する場合、その多層膜23を含むフィルタ素子21を通過した照明光ILによって照明される物体Sの表面における照射領域IFの強度(照度)は、中心において低く(暗く)なり、エッジにおいて高く(明るく)なる。一方、多層膜23が例えば図5(B)に示したような光学特性を有する場合、その多層膜23を含むフィルタ素子21を通過した照明光ILによって照明される物体Sの表面における照射領域IFの強度(照度)は、中央において高く(明るく)なり、エッジにおいて低く(暗く)なる。
図6に示したように、入射角θ1,θ2,θ3は、異なる値となる。また、図7に示したように、入射角θ4,θ5,θ6は、異なる値となる。このように、本実施形態においては、照射領域IEに配置される表面21S内の位置(光の入射位置)に応じて、表面21Sに対するコンデンサーレンズ10から供給される光の入射角θが変化する。
また、表面21Sの第1領域A1が照射領域IEに配置された場合における、照射領域IEの+Y側のエッジに位置する表面21Sに対する光の入射角θ2と、表面21Sの第2領域A2が照射領域IEに配置された場合における、照射領域IEの+Y側のエッジに位置する表面21Sに対する光の入射角θ5とは異なる。また、表面21Sの第1領域A1が照射領域IEに配置された場合における、照射領域IEの−Y側のエッジに位置する表面21Sに対する光の入射角θ3と、表面21Sの第2領域A2が照射領域IEに配置された場合における、照射領域IEの−Y側のエッジに位置する表面21Sに対する光の入射角θ6とは異なる。同様に、入射角θ1と入射角θ4とは異なる。このように、本実施形態においては、照射領域IEとフィルタ素子21との位置関係(例えばXY平面内における位置関係)に応じて、表面21Sに対するコンデンサーレンズ10から供給される光の入射角θが変化する。
このように、本実施形態においては、フィルタ素子21に対する光の入射位置に応じて入射角θが変化し、その入射角θに応じて、各入射位置における透過率Tが変化する。すなわち、フィルタ素子21は、表面21Sに入射した光の強度を、その入射した光の入射角θ及び入射位置に応じて変化させることができる。これにより、フィルタ素子21は、そのフィルタ素子21を通過した照明光ILによって照明される物体Sの表面における照射領域IFの照度(照度分布)を変化させることができる。
フィルタ駆動部22は、表面21Sに入射する入射光に対してフィルタ素子21を所定方向に移動することができる。フィルタ駆動部22は、フィルタ素子21に入射する入射光に対してフィルタ素子21を例えばXY方向に移動して、入射光の入射角及び入射位置の少なくとも一方を変化させることができる。フィルタ装置20は、フィルタ素子21の少なくとも一部が照明光ILの光路に配置された状態で、フィルタ駆動部22を用いて、そのフィルタ素子21を移動可能である。フィルタ駆動部22は、フィルタ素子21を移動することによって、例えば図6に示す状態及び図7に示す状態の一方から他方へ変化させることができる。これにより、フィルタ装置20は、照射領域IF内の照明光ILの照度分布(物体Sに照射される照明光ILの照度分布)を変化させることができる。フィルタ装置20は、フィルタ駆動部22を用いて、フィルタ素子21を例えばX軸方向に移動することによって、照射領域IFのY軸方向の照度分布を変化させることができる。また、フィルタ装置20は、フィルタ駆動部22を用いて、フィルタ素子21を例えばY軸方向に移動することによって、照射領域IFのX軸方向の照度分布を変化させることができる。
表面21Sにおける照射領域IE内の照明光ILの照度分布は、例えば設計値、あるいは予め実行された計測処理等により、既知である。また、多層膜23に対する光の入射位置に応じた入射角θ、及びその入射角θ及び入射位置に応じた透過率(多層膜23の光学特性)も、例えば設計値、あるいは予め実行された計測処理等により、既知である。フィルタ装置20は、それら既知の情報に基づいて、物体Sの表面における照射領域IF内の照明光ILの照度分布が所期の照度分布になるように(例えば均一な照度分布になるように)、フィルタ駆動部22を用いて、照射領域IEに対するフィルタ素子21の位置を調整することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、入射した光の強度を、その入射した光の入射角θ及び入射位置に応じて変化させるフィルタ素子21を照明光ILの光路に配置し、フィルタ駆動部22を用いて、そのフィルタ素子21に入射する入射光に対してフィルタ素子21を移動して、入射光の入射角θ及び入射位置の少なくとも一方を変化させることによって、物体Sに照射される照明光ILを所期の照度分布に調整することができる。
例えば、照明装置IAを構成する各種光学部材の製造誤差、装置の組立誤差等により、照明光ILの照度分布が不均一になる可能性がある。本実施形態によれば、フィルタ装置20を用いて、所期の照度分布で物体Sを照明することができる。
また、本実施形態においては、フィルタ素子21の表面21Sは、球面状に形成され、表面21Sに入射する光に対してフィルタ素子21を移動することによって、照射領域IEの所定位置に位置する表面21Sに対する光の入射角θを連続的に変化させることができる。したがって、入射する光(照射領域IE)に対するフィルタ素子21の位置(移動量)を調整することによって、光の入射位置に応じた多層膜23の透過率T(光の強度)を連続的に変化させることができ、透過率T(光の強度)の調整を精度良く実行することができる。
また、本実施形態によれば、フィルタ素子21の位置(移動量)を調整することによって、光の入射位置に応じた多層膜23の透過率T(光の強度)を連続的に変化させることができるので、例えばフィルタ素子21が製造誤差等を含む場合でも、フィルタ素子21の位置(移動量)を調整することによって、透過率T(光の強度)の調整を精度良く実行することができる。
また、本実施形態によれば、フィルタ素子21の表面21Sが球面状なので、例えばフィルタ素子21の移動量が微小でも、照射領域IEの所定位置に位置する表面21Sに対する光の入射角θを大きく変化させることができる。換言すれば、光の入射角θに応じて透過率が変化する多層膜23の光学特性(透過率特性、角度特性)の感度を高めることができる。また、本実施形態においては、フィルタ素子21は、その凸面がコンデンサーレンズ10(光の入射側)に向けて配置されているので、多層膜23の光学特性の感度を高めることができる。
また、本実施形態によれば、基材24がドーム形状なので、フィルタ素子21を簡易に低コストで製造することができる。
また、本実施形態においては、フィルタ素子21は、コンデンサーレンズ10の前側焦点面10Aと物体Sとの間に配置され、物体Sの表面に近い位置に配置されている。フィルタ素子21が物体Sの表面に近い位置に配置されているので、照射領域IF内の各位置に入射する光の強度を各位置毎に良好に調整することができる。したがって、物体Sの表面における照射領域IFの照度分布を良好に調整することができる。
また、本実施形態においては、表面24Sに入射する光に対して裏面24Rから射出される光が実質的に曲がらないように、基材24がほぼ均一な厚みで形成されている。これにより、所期の照射状態で照射領域IFに照明光ILを照射することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図8は、第2実施形態に係るフィルタ装置20Bの一例を示す図である。図8において、フィルタ装置20Bは、入射した光の強度を、その入射した光の入射角θ及び入射位置に応じて変化させるフィルタ素子21と、フィルタ素子21に入射する入射光に対して、そのフィルタ素子21を動かして、入射光の入射角θ及び入射位置の少なくとも一方を変化させるフィルタ駆動部22Bとを備えている。
上述の第1実施形態と同様、本実施形態に係るフィルタ素子21は、ドーム形状であり、多層膜23と、多層膜23が配置される基材24とを備えている。多層膜23は、透過膜であり、基材24は、ほぼ均一な厚みを有する透過部材である。
フィルタ素子21は、弾性変形可能である。本実施形態において、基材24は、照明光ILを透過可能なプラスチックで形成される。なお、基材24が、弾性変形可能なガラスで形成されてもよい。
図8に示すように、フィルタ駆動部22Bは、フィルタ素子21のうち、入射光が入射する表面21Sの曲率を変化させるように、フィルタ素子21を弾性変形させる。
フィルタ装置20Bは、照射領域IF内に配置された物体Sの表面に照射される照明光ILの照度分布が所期の照度分布になるように、フィルタ素子21の少なくとも一部を照明光ILの光路に配置した状態で、フィルタ駆動部22Bを用いて、そのフィルタ素子21を弾性変形させる。フィルタ素子21が弾性変形することによって、照射領域IEの所定位置に位置する表面21Sに対する光の入射角θが変化し、透過率Tが調整される。これにより、フィルタ装置20Bは、物体Sに照射される照明光ILの照度分布(照射領域IFにおける照明光ILの照度分布)を調整することができる。図8に示すように、フィルタ装置20Bは、フィルタ素子21をY軸方向に変形させることによって、照射領域IF内のY軸方向の照度分布を変化させることができる。また、フィルタ装置20Bは、フィルタ素子21をX軸方向に変形させることによって、照射領域IF内のX軸方向の照度分布を変化させることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、光が入射する表面21Sの曲率を変化させるようにフィルタ素子21を弾性変形させて、入射光の入射角θ及び入射位置の少なくとも一方を変化させることによって、物体Sに照射される照明光ILを所期の照度分布に調整することができる。
なお、上述の第1,第2実施形態を組み合わせてもよい。例えば、照射領域IEに対してフィルタ素子21をXY方向に移動させる動作と、そのフィルタ素子21を弾性変形させる動作とを組み合わせることができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図9は、第3実施形態に係るフィルタ装置20Cの一例を示す斜視図、図10(A)は、図9のC−C線断面矢視図、図10(B)は、図9のD−D線断面矢視図である。
図9及び図10において、フィルタ装置20Cは、入射した光の強度を、その入射した光の入射角θ及び入射位置に応じて変化させるフィルタ素子21Cと、フィルタ素子21Cに入射する入射光に対して、そのフィルタ素子21Cを動かして、入射光の入射角θ及び入射位置の少なくとも一方を変化させるフィルタ駆動部22Cとを備えている。
フィルタ素子21Cは、入射した光の強度を、その入射した光の入射角に応じて変化させる多層膜23と、多層膜23が配置される基材24Cとを備えている。多層膜23は、透過膜であり、基材24Cは、ほぼ均一な厚みを有する透過部材である。
本実施形態において、多層膜23が形成される基材24Cの表面24SCは、その表面24SC内の位置に対して曲率が連続的に変化する曲面を含む。本実施形態において、その曲面は、Y軸方向の曲率が、X軸方向の位置に対して連続的に変化する。例えば、図9のC−C線断面における表面24SCの曲率と、D−D線断面における表面24SCの曲率とは、図10(A)及び図10(B)に示すように、X軸方向の位置に対して異なる。
フィルタ駆動部22Cは、フィルタ素子21Cの表面21SCに入射する入射光に対してフィルタ素子21CをX軸方向に移動させる。フィルタ装置20Cは、フィルタ素子21Cの少なくとも一部を照明光ILの光路に配置した状態で、フィルタ駆動部22Cを用いて、そのフィルタ素子21CをX軸方向に移動する。これにより、フィルタ装置20Cは、物体Sの表面における照射領域IF内のY軸方向の照明光ILの照度分布を変化させることができる。
以上説明したように、本実施形態においても、物体Sに照射される照明光ILを所期の照度分布に調整することができる。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図11は、第4実施形態に係るフィルタ装置20Dの一例を示す斜視図である。第4実施形態に係るフィルタ装置20Dは、第3実施形態のフィルタ装置20Cの変形例である。図11において、フィルタ装置20Dは、フィルタ素子21Dと、フィルタ素子21DをX軸方向に移動可能なフィルタ駆動部22Dとを備えている。フィルタ素子21Dの多層膜23Dが形成される基材24Dの表面は、Y軸方向の曲率が、X軸方向の位置に対して段階的に変化する曲面を含む。基材24Dは、第1曲率の表面を有する第1部分25と、第1曲率と異なる第2曲率の表面を有する第2部分26とを有する。フィルタ装置20Dは、フィルタ駆動部22Dを用いて、そのフィルタ素子21DをX軸方向に移動して、照明光ILの光路に第1部分25が配置される状態及び第2部分26が配置される状態の一方から他方へ変化させることによって、照射領域IF内のY軸方向の照明光ILの照度分布を変化させることができる。
なお、ここでは基材24Dが、曲率が異なる2つの部分25,26を有している場合を例にして説明したが、もちろん、曲率が異なる3つ以上の部分を有してもよい。
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図12は、第5実施形態に係るフィルタ装置20Eの一例を模式的に示す平面図である。図12において、フィルタ装置20Eは、フィルタ素子21Eと、フィルタ素子21EをX軸方向に移動可能なフィルタ駆動部22Eとを備えている。フィルタ素子21Eは、入射した光の入射角に対する強度変化率特性が互いに異なる第1多層膜231及び第2多層膜232と、その第1,第2多層膜231,232が形成される基材24Eとを有する。第1多層膜231と第2多層膜232とは、基材24EにおけるX軸方向の異なる位置に設けられている。
本実施形態において、強度変化率特性は、光の入射角に対応する透過率特性を含む。第1多層膜231の透過率特性と、第2多層膜232の透過率特性とが異なるので、例えば第1多層膜231に入射する光の入射角と、第2多層膜232に入射する光の入射角とが同じ場合でも、その第1多層膜231を透過した光の強度と、第2多層膜232を透過した光の強度とは異なる。
第1多層膜231が配置される基材24Eの第1部分27の表面の曲率と、第2多層膜232が配置される基材24Eの第2部分28の表面の曲率とは、ほぼ同じである。なお、第1部分27の曲率と第2部分28の曲率とが異なっていてもよい。
フィルタ装置20Eは、フィルタ駆動部22Eを用いて、フィルタ素子21EをX軸方向に移動して、照明光ILの光路に第1部分27が配置される状態及び第2部分28が配置される状態の一方から他方へ変化させることによって、照射領域IF内のY軸方向の照明光ILの照度分布を変化させることができる。
なお、本実施形態においては、強度変化率特性が異なる2つの多層膜231,232が基材に配置されている場合を例にして説明したが、もちろん、強度変化率特性が異なる3つ以上の多層膜がX軸方向に配置されてもよい。
なお、上述の第3,第4,第5実施形態において、フィルタ素子21C,21D,21Eを照明光ILの光路に配置した状態で、弾性変形させてもよい。
なお、上述の第1〜第5実施形態においては、基材24(24C,24D,24E)全体がほぼ均一な厚みであるが、基材24全体が均一な厚みを有する必要はなく、基材24に対する入射光が入射する表面の所定範囲内(有効径内)でほぼ均一な厚みを有していればよい。換言すれば、基材24は、照射領域IEの範囲内において均一な厚みを有していればよい。
なお、上述の各実施形態においては、基材24(24C,24D,24E)の表面(光の入射側)に多層膜23(231,232)が配置される場合を例にして説明したが、基材24の裏面(光の射出側)に多層膜23が配置されてもよいし、基材24の表面と裏面との両方に多層膜23が配置されてもよい。
なお、上述の各実施形態において、照明装置IAに、物体Sの表面に対応する共役面を形成するリレー光学系を設けることができる。その場合、コンデンサー光学系10は、リレー光学系により形成された共役面及びリレー光学系を介して、物体Sに照明光ILを照射することができる。リレー光学系を設けることによって、そのリレー光学系で形成された共役面に、物体Sの表面における照明光ILの照射領域IFを設定する視野絞りを配置することができる。
なお、上述の各実施形態においては、フィルタ素子21(21C,21D,21E)が、基材24(24C,24D,24E)を1つ有する場合を例にして説明したが、複数の基材24を有してもよい。また、複数の基材24と複数の多層膜23とを含む構成でもよい。例えば、フィルタ素子21が、複数の基材24の間に多層膜23が配置された構造(サンドイッチ構造)でもよい。
また、上述の各実施形態においては、フィルタ素子21(21C,21D,21E)が、入射した光の強度を、その入射した光の入射角θに応じて変化させる多層膜23(231,232)を備える場合を例にして説明したが、例えば、フィルタ素子21が、所謂、ルーバー構造を有し、複数の微小プレートを基材24に配置することによって、入射した光の入射角及び入射位置に応じて、光の強度を変化させることができる。
なお、上述の各実施形態においては、フィルタ素子21(21C,21D,21E)が、表面に入射した光を透過して裏面より射出する透過型である場合を例にして説明したが、表面に入射した光を反射して、その反射光を物体Sに向けて供給する反射型でもよい。例えば、フィルタ素子の基材の光入射面に、入射した光の入射角に対応する反射率で反射させる薄膜(部材)を配置することによって、入射した光の強度を、その入射した光の入射角に応じて変化させることができる。なお、フィルタ素子が反射型である場合、基材の厚み等の条件は適宜選択可能である。
なお、上述の各実施形態において、例えば表面21Sの曲率が異なるフィルタ素子21を複数用意し、照明光ILの光路に対して、それら複数のフィルタ素子21を交換してもよい。そして、照明光ILに配置されたフィルタ素子21をフィルタ駆動部22で動かすことによって、照明光ILの照度分布を所期の照度分布にすることができる。
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図13は、第6実施形態に係る露光装置EXの一例を示す斜視図である。図13において、露光装置EXは、マスクMを支持して移動可能なマスクステージ31と、基板Pを支持して移動可能な基板ステージ32と、マスクステージ31に支持されたマスクMを露光光ELで照明する照明システムISと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を、基板ステージ32に支持された基板Pに投影する投影システムPSと、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置33とを備えている。
照明システムISの少なくとも一部には、上述の第1〜第5実施形態で説明した照明装置の少なくとも一つが適用される。ここでは、一例として、第1実施形態で説明したフィルタ装置20を備えた照明装置が適用される場合を例にして説明する。
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含み、例えばガラス板等の光透過性の板と、その板上にクロム等の遮光材料で形成された遮光パターンとを有する。なお、板上に形成されるパターンは、遮光パターンのみならず、位相パターン及び減光パターンの少なくとも一方でもよい。また、マスクMは、透過型のマスクに限定されず、反射型のマスクでもよい。
基板Pは、デバイスを製造するための感光基板を含み、例えばガラスプレート等の基材と、その基材上に形成された感光膜とを有する。基板Pは、大型のガラスプレートを含み、その基板Pの一辺のサイズは、例えば500mm以上である。本実施形態においては、基板Pの基材として、一辺が約3000mmの矩形のガラスプレートを用いる。
投影システムPSは、投影光学ユニットPLを複数有する。照明システムISは、複数の投影光学ユニットPLのそれぞれに対応する照明モジュールIUを複数有する。本実施形態において、投影システムPSは、投影光学ユニットPLを5つ有し、照明システムISは、照明モジュールIUを5つ有する。また、露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しながら、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する。すなわち、露光装置EXは、所謂、マルチレンズ型スキャン露光装置である。
照明システムISは、複数の照明領域IRのそれぞれに露光光ELを照射可能である。照明領域IRは、複数の照明モジュールIUのそれぞれから射出される露光光ELの照射領域を含む。照明システムISは、各照明モジュールIUより露光光ELを射出して、XY平面内において離れた5つの照明領域IRのそれぞれに露光光ELを照射する。照明システムISは、照明領域IRに露光光ELを照射して、その照明領域IRに配置されたマスクMの少なくとも一部を露光光ELで照明する。照明システムISから射出される露光光ELとして、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)を用いることができる。
マスクステージ31は、マスクMを支持した状態で、照明領域IRに対して移動可能である。マスクステージ31は、マスクMの下面(パターン形成面)とXY平面とがほぼ平行となるように、マスクMを支持する。また、マスクステージ31は、例えばリニアモータ等の駆動システムの作動により、マスクMを支持した状態で、X軸、Y軸、及びθZ方向の3つの方向に移動可能である。
投影システムPSは、複数の投影領域PRのそれぞれに露光光ELを照射可能である。投影領域PRは、複数の投影光学ユニットPLのそれぞれから射出される露光光ELの照射領域を含む。投影システムPSは、各投影光学ユニットPLより露光光ELを射出して、XY平面内において離れた5つの投影領域PRのそれぞれに露光光ELを照射する。投影システムPSは、投影領域PRに露光光ELを照射して、その投影領域PRに配置された基板Pの少なくとも一部にマスクMのパターンの像を投影する。
基板ステージ32は、基板Pを支持した状態で、投影領域PRに対して移動可能である。基板ステージ32は、基板Pの表面(露光面)とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。また、基板ステージ32は、リニアモータ等の駆動システムの作動により、基板Pを保持した状態で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
マスクステージ31、及び基板ステージ32の位置情報は、干渉計システム(不図示)によって計測される。基板Pの露光処理を実行するとき、あるいは所定の計測処理を実行するとき、干渉計システムの計測結果に基づいて、マスクステージ31(マスクM)、及び基板ステージ32(基板P)の位置制御が実行される。
図14は、本実施形態に係る照明システムIS及び投影システムPSの一例を示す概略構成図である。なお、図14においては、5つの照明モジュールIUのうち、1つの照明モジュールIUのみが示され、5つの投影光学ユニットPLのうち、1つの投影光学ユニットPLのみが示されている。5つの照明モジュールIUは、それぞれほぼ同等の構成であり、5つの投影光学ユニットPLは、それぞれほぼ同等の構成である。以下、1つの照明モジュールIU及び1つの投影光学ユニットPLについて主に説明し、他の照明モジュールIU及び他の投影光学ユニットPLについての説明を簡略若しくは省略する。
図14に示すように、照明システムISは、上述の第1実施形態で説明した照明装置とほぼ同等の構成を有する。すなわち、照明システムISは、超高圧水銀ランプからなる光源1と、楕円鏡2と、ダイクロイックミラー3と、シャッター装置4と、コリメートレンズ5A及び集光レンズ5Bを含むリレー光学系5と、干渉フィルタ6と、ライトガイド7Uとを備えている。ライトガイド7Uは、リレー光学系5からの光を分岐して、複数の照明モジュールIUのそれぞれに供給する。ライトガイド7Uは、入射端7AUと、複数の射出端7BUと、入射端7AUからの光を射出端7BUのそれぞれに分岐する導光部7CUとを備えている。ライトガイド7Uは、光源1と同じ数の入射端7AUを有し、照明モジュールIU及び投影光学ユニットPLと同じ数の射出端7BUを有する。導光部7CUは、光ファイバを含み、入射端7AUから入射した光を分岐して、複数の射出端7BUのそれぞれに供給可能である。複数の射出端7BUのそれぞれから射出された光は、複数の照明モジュールIUのそれぞれに供給される。
照明モジュールIUは、射出端7BUからの光が供給されるコリメートレンズ8と、コリメートレンズ8からの光が供給されるフライアイインテグレータ9と、フライアイインテグレータ9からの光が供給され、マスクステージ31に支持されたマスクMに対して光を照射するコンデンサーレンズ10と、コンデンサーレンズ10の前側焦点面10AとマスクMとの間に配置され、光の強度を変化させるフィルタ素子21を含むフィルタ装置20とを備えている。コンデンサーレンズ10から射出され、フィルタ素子21を介した露光光ELは、照明領域IRに照射される。
本実施形態においては、フライアイインテグレータ9とコンデンサーレンズ10とにより、マスクMのパターン形成面における露光光ELの照明領域IRが設定される。Y軸方向に関する照明領域IRのサイズは、X軸方向に関する照明領域IRのサイズより大きい。図13に示すように、マスクMのパターン形成面における照明領域IRは、Y軸方向に長い台形状である。フィルタ装置20は、フィルタ駆動部22を用いてフィルタ素子21を移動して、照明領域IRの照度分布を調整する。その際、フィルタ素子21がX軸方向に移動され、照明領域IRの少なくともY軸方向の照度分布が調整される。
投影光学ユニットPLは、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの一次像を形成する第1結像光学系41と、マスクMのパターンの二次像(正立正像)を基板P上に形成する第2結像光学系42と、一次像が形成される位置(中間像面)の近傍に配置され、投影光学ユニットPLの投影領域PRを規定する視野絞り43とを備えている。図13に示すように基板Pの表面における投影領域PRは、Y軸方向に長い台形状である。
第1結像光学系41は、第1直角プリズム44と、第1反射屈折光学系45とを有する。第1反射屈折光学系45は、第1屈折光学系45Aと、第1凹面反射鏡45Bとを有する。第2結像光学系42は、第2直角プリズム46と、第2反射屈折光学系47とを有する。第2反射屈折光学系47は、第2屈折光学系47Aと、第2凹面反射鏡47Bとを有する。
また、投影光学ユニットPLは、マスクMと第1直角プリズム44との間に配置された平行平面板48と、第1直角プリズム44と視野絞り43との間に配置された平行平面板49と、視野絞り43と第2直角プリズム46との間に配置された平行平面板50と、第2直角プリズム46と基板Pとの間に配置された平行平面板51とを備えている。平行平面板48〜51が回転することによって、基板P上に投影される像がXY平面内において微動(シフト)する。
次に、露光装置EXの動作の一例について説明する。マスクステージ31にマスクMが支持され、基板ステージ32に基板Pが支持された後、制御装置33は、基板Pの露光処理を開始する。制御装置33は、照明システムISより露光光ELを射出して、マスクステージ31に支持されているマスクMを露光光ELで照明する。露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像は、基板ステージ32に支持される基板Pに投影される。このように、照明システムISは、マスクM及び投影システムPSを介して基板Pに露光光ELを照射して、その基板Pを露光する。
上述したように、露光装置EXは、マルチレンズ型スキャン露光装置である。制御装置33は、マスクステージ31及び基板ステージ32を制御して、マスクMと基板Pとを走査方向に同期移動しながらマスクMを露光光ELで照明し、マスクMのパターンを介した露光光ELで基板Pを露光する。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をX軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もX軸方向とする。制御装置33は、投影領域PRに対して基板PをX軸方向に移動するとともに、その基板PのX軸方向への移動と同期して、照明領域IRに対してマスクMをX軸方向に移動しながら、照明領域IRに露光光ELを照射して、マスクMからの露光光ELを投影システムPSを介して投影領域PRに照射する。これにより、基板Pは、マスクM及び投影システムPSを介して投影領域PRに照射された露光光ELで露光され、マスクMのパターンの像が基板Pに投影される。
制御装置33は、フィルタ装置20を用いて、走査方向(X軸方向)と交差する非走査方向(Y軸方向)における照明領域IR内の照度分布を、例えば均一な照度分布になるように調整する。これにより、マスクMのパターンの像を基板Pに所望の状態で投影することができる。また、制御装置33は、例えば投影システムPSの光学特性を考慮して、フィルタ装置20を用いて、Y軸方向における投影領域PR内の照度分布を、例えば均一な照度分布になるように調整することができる。これにより、例えば基板Pに形成されるパターンの線幅を均一にでき、パターン欠陥の発生を抑制することができる。
なお、ここでは、照明システムIS(照明モジュールIU)に、第1実施形態で説明したフィルタ装置20が配置される場合を例にして説明したが、他の実施形態で説明したフィルタ装置を適用することももちろん可能である。例えば、図9及び図10を用いて説明した第3実施形態のフィルタ装置20Cを適用することが可能である。フィルタ装置20Cのフィルタ素子21Cを、その表面のY軸方向の曲率が、X軸方向の位置に対して連続的に変化するように配置し、フィルタ駆動部22Cを用いて、表面21Sに入射する入射光に対してフィルタ素子21CをX軸方向に移動させることによって、Y軸方向に長い照明領域IR(投影領域PR)のY軸方向の照度分布を良好に調整することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、照明領域IR及び投影領域PRを均一な照度分布の露光光ELで照明できるので、露光不良の発生を抑制することができる。したがって、不良デバイスの発生を抑制することができる。
なお、以上の説明では、露光光ELによって照明領域を均一に照明するためにフィルタ装置20を用いることとしたが、フィルタ装置20によって照明の均一性を意図的に変化させることも可能である。
なお、上述の各実施形態においては、フィルタ素子21がコンデンサーレンズ10と物体S(マスクM)との間に配置される場合を例にして説明したが、例えば図15に示すように、コンデンサーレンズ10の前側焦点面10Aと物体Sとの間であって、フライアイインテグレータ9とコンデンサーレンズ10との間に配置されてもよい。
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、ディスプレイデバイス製造用のガラス基板のみならず、半導体デバイス製造用の半導体ウエハ、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影システムを用いて第1パターンの縮小像を基板Pに転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影システムを用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
露光装置EXの種類としては、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置に限られず、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置等にも広く適用できる。
なお、上述の各実施形態においては、マスクMとして、光透過性の板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。可変成形マスクは、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)等を含む。また、可変成形マスクとしては、DMDに限られるものでなく、DMDに代えて、以下に説明する非発光型画像表示素子を用いても良い。ここで、非発光型画像表示素子は、所定方向へ進行する光の振幅(強度)、位相あるいは偏光の状態を空間的に変調する素子であり、透過型空間光変調器としては、透過型液晶表示素子(LCD:Liquid Crystal Display)以外に、エレクトロクロミックディスプレイ(ECD)等が例として挙げられる。また、反射型空間光変調器としては、上述のDMDの他に、反射ミラーアレイ、反射型液晶表示素子、電気泳動ディスプレイ(EPD:Electro Phonetic Display)、電子ペーパー(または電子インク)、光回折型ライトバルブ(Grating Light Valve)等が例として挙げられる。
上述の各実施形態においては、投影光学ユニット(投影光学系)を備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系を用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。このように投影光学系を用いない場合であっても、露光光はレンズ等の光学部材を介して基板に照射される。
以上のように、本願実施形態の露光装置は、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
ディスプレイデバイス等のデバイスは、図16に示すように、デバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスクMを製作するステップ202、基板Pを製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクMのパターンからの露光光ELで基板Pを露光して、パターンを基板Pに転写する転写工程、及びパターンが転写された基板Pを現像し、パターンに対応する形状の転写パターン層を基板Pに形成する現像工程を含む基板処理ステップ204、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージ工程等、転写パターン層を介して基板Pを加工する加工工程を含むデバイス組み立てステップ205、及び検査ステップ206等を経て製造される。
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
1…光源、5…リレー光学系、9…フライアイインテグレータ、10…コンデンサーレンズ、20…フィルタ装置、21…フィルタ素子、21S…表面、22…フィルタ駆動部、23…多層膜、23A…第1薄膜、23B…第2薄膜、24…基材、24S…表面、24R…裏面、31…マスクステージ、32…基板ステージ、231…第1多層膜、232…第2多層膜、EL…露光光、EX…露光装置、IA…照明装置、IF…照射領域、IR…照明領域、IS…照明システム、M…マスク、P…基板、PL…投影光学ユニット、PR…投影領域、PS…投影システム、S…物体