JP7385894B2 - プラスチック基材ndフィルタ及び眼鏡用プラスチック基材ndフィルタ - Google Patents

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Description

本発明は、基材(基板)がプラスチック製であるND(Neutral Density)フィルタ、及び当該NDフィルタを用いた眼鏡用NDフィルタに関する。
眼鏡用のNDフィルタとして、特開2017-151430号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。
このNDフィルタの光吸収膜は、複数の層を有しており、エピスルフィド(屈折率1.76程度)等の樹脂製の基材から1層目(初期層)がSiO層又はAl層とされ、又NiO層(xは0以上1以下)を1つ以上含んでいる。
特開2017-151430号公報
上記のNDフィルタは、チオウレタン製(屈折率1.60程度)の基板上にAl層を含む光吸収膜を成膜して形成されると、玉型加工後の恒温恒湿試験(促進試験)において、加工クラック及び透過率異常の少なくとも一方が発生する可能性がある。
即ち、エピスルフィドが吸湿し難く、又外力に対して伸び難く破断するのに対し、チオウレタンは吸湿し易く、外力に対してある程度追従変形可能となっている。又、Alは、SiO及びZrOに比べ、外力に対して伸び難くなっている。そして、玉型加工時、チオウレタン基材が若干変形し、その際に伸び難いAl層において目視できない微細なクラックが発生する可能性がある。この微細なクラックに対し、恒温恒湿試験において水分が集中し、光吸収膜において目視可能なクラックが発生したり、水分がNiO層に作用して透過率異常が発生したりする可能性がある。
又、上記のNDフィルタは、チオウレタン製の基板上にAl層を含む光吸収膜を成膜して形成されると、恒温恒湿試験において、成膜面に歪みが発生して外観異常が発生する可能性がある。
即ち、恒温恒湿試験においてチオウレタン製基材が吸湿により膨潤し、Al層が基材に追従できずに外観異常が発生する可能性がある。
そこで、本発明の主な目的は、チオウレタン等のプラスチック製の基材を有しており、耐久性に優れているNDフィルタ,眼鏡用NDフィルタを提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、NDフィルタであって、プラスチックからなる基材と、前記基材の少なくとも一面に配置された、複数の層を有する光吸収膜と、を備えており、前記光吸収膜は、NiO(xは0以上1以下)からなるNiO層を1つ以上含んでいると共に、前記基材に最も近い前記NiOに対し、前記基材と逆側において隣接するように配置されており、シリカ化合物層に逆応力層が挟まれているサンドイッチ構造部を含んでおり、前記NiO層は、前記サンドイッチ構造部における前記基材側及び前記基材と逆側に配置されていて、何れも物理膜厚が6ナノメートル以下であることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、上記発明において、前記基材は、チオウレタン樹脂製であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明において、前記逆応力層は、ZrOからなるZrO層、TiOからなるTiO層、NbからなるNb層、及びHfOからなるHfO層の内の少なくとも何れかであることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明において、前記シリカ化合物層は、SiOとAlの混合体からなるSiO+Al層であることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、上記発明において、前記シリカ化合物層は、イオンアシストのない蒸着によって形成される程度の密度を有することを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、上記発明において、前記光吸収膜は、低屈折率層と高屈折率層が交互に配置されたものであることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、上記発明において、前記基材には、表面と裏面が存在しており、前記光吸収膜は、前記裏面に配置されていることを特徴とするものである。
請求項8に記載の発明は、上記発明において、前記表面には、反射防止膜が配置されていることを特徴とするものである。
請求項9に記載の発明は、眼鏡用プラスチック基材NDフィルタであって、上記発明のプラスチック基材NDフィルタを含んでいることを特徴とするものである。
本発明の主な効果は、チオウレタン等のプラスチック製の基材を有しており、耐久性に優れているNDフィルタ,眼鏡用NDフィルタを提供することが可能となることである。
本発明に係る実施例1~5及び本発明に属さない比較例1~2の、可視域及び隣接域における分光透過率分布が示されるグラフである。 本発明に係る実施例5~の可視域における分光透過率分布が示されるグラフである。 実施例1~5,比較例1~2の凹面(ND成膜面)側に係る、可視域及び隣接域における分光反射率分布(片面)が示されるである。 実施例5~7の凹面(ND成膜面)側に係る、可視域及び隣接域における分光反射率分布(片面)が示されるグラフである。 実施例1~7の凸面側に係る、可視域における分光反射率分布(片面,共通)が示されるグラフである。 比較例2における耐候密着性試験後に剥がれ(剥離)を生じた箇所、及び光吸収膜が基材側から3層目まで残存し4層目以降を失った場合のシミュレーションに係る、可視域及び隣接域における分光反射率分布(片面)が示されるグラフである。
以下、本発明に係る実施の形態の例が、適宜図面を用いて説明される。尚、本発明の形態は、以下のものに限定されない。
本発明に係るNDフィルタは、少なくとも波長が可視域(例えば400ナノメートル(nm)以上800nm以下、400nm以上760nm以下、400nm以上700nm以下、410nm以上760nm以下、又は420nm以上760nm以下)内である光(可視光)を均一に吸収するフィルタである。
NDフィルタの基材は、透明(半透明を適宜含む)なプラスチック製である。基材の材質の例としては、ポリウレタン樹脂、チオウレタン樹脂、エピスルフィド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリ4-メチルペンテン-1樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂が挙げられる。
又、基材は、凸レンズであっても良いし、凹レンズであっても良いし、フラットレンズであっても良く、基材の度数及び累進は、どのようなものであっても良い。
本発明のNDフィルタは、基材がプラスチック製のものであれば、どのような用途で用いられても良く、好適にはカメラレンズ系の一部(他のレンズの保護用及びカメラ本体内蔵用を含む)に含ませるためのカメラ用、又同様にプロジェクタ用、双眼鏡用、望遠鏡用であり、更に好適には眼鏡用(眼鏡レンズ自体とする用途、あるいは眼鏡レンズに被さる眼鏡であるオーバーグラスレンズ用)である。
基材の片面あるいは両面には、光学多層膜が形成されている。
光学多層膜は、主に可視光を均一に吸収する機能を具備しており、更に適宜可視光の反射を防止する機能を具備する。可視光の吸収を目的とした光学多層膜あるいはその部分は光吸収膜であり、光吸収膜が1つの層である場合には光吸収層とすることもある。又、可視光の反射防止を目的とした光学多層膜あるいはその部分は、反射防止膜である。反射防止膜は、光吸収膜を含むことがある。基材の両面に光学多層膜が配置される場合、双方の光学多層膜が同一の構成とされても良いし、互いに異なる構成とされても良い。
光学多層膜は、光吸収膜のみから構成されても良いし、光吸収膜の表面側(空気側)に防汚膜や保護膜が付加されたものであっても良いし、光吸収膜の基材側にハードコート膜を始めとする中間層が単数又は複数付加されたものであっても良いし、光吸収膜内あるいは光吸収膜外に導電性向上等の他の目的のための単数又は複数の層や膜が付加されたものであっても良いし、これらの組合せであっても良い。尚、ハードコート膜や導電層、反射防止膜等は、光学多層膜に含まれないものとされたり、それぞれあるいはこれらの組合せで別個の光学多層膜であるものとされたりしても良い。
ハードコート膜は、例えば、オルガノシロキサン系化合物から形成され、あるいは有機ケイ素化合物、又はアクリル化合物から形成される。
ハードコート膜の下層(基材側の層)として、プライマー層が設けられても良い。プライマー層は、例えば、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、有機ケイ素系樹脂の少なくとも何れかから形成される。
反射防止膜は、例えば、低屈折率材料及び高屈折率材料を含む複数種類の誘電体材料から形成される。低屈折率材料としては、酸化ケイ素(特にSiO)やフッ化マグネシウム(特にMgF)の少なくとも一方が例示され、高屈折率材料としては、酸化ジルコニウム(特にZrO)、酸化チタン(特にTiO)、酸化タンタル(特にTa)、酸化ニオブ(特にNb)の少なくとも何れかが例示される。反射防止膜は、好ましくは、低屈折率材料と高屈折率材料が、何れか一方を基材側として交互に積層されることで形成される。
光吸収膜は、ニッケル(Ni)を含む光吸収層を1層あるいは2層以上有するように形成される。
Niは、単体でも良いが、好ましくは不飽和金属酸化膜(NiO;xは0を超えて1以下)である。xの値は、例えばNiが蒸着材料とされ、蒸着用真空装置内に酸素ガスを所定流量で供給した状態で蒸着されることで調整可能であり、酸素ガスを流さなければx=0(単体)となる。
光吸収膜は、他の層を有する多層膜として形成されても良い。この場合の他の層として、例えば、ZrO層、Al層、SiO層を始めとするシリカ化合物層、あるいはこれらの組合せが例示される。ここで、シリカ化合物は、ケイ素の化合物あるいはその化合物と他の化合物の混合体であるが、好ましくは酸化ケイ素と酸化アルミニウムの混合体であり、より好ましくはSiOとAlの混合体である。
光吸収膜が、光吸収層、即ちNiO層(xは0以上1以下)を覆うシリカ化合物層等を有すると、光吸収層がキズの付着及び水分による変質から保護される。
少なくとも1つの光吸収層における、基材と反対側(空気側)には、シリカ化合物層に逆応力層が挟まれたサンドイッチ構造部が配置される。即ち、サンドイッチ構造部は、基材側から順にシリカ化合物層、逆応力層、シリカ化合物層が配置されたものであり、何れかの光吸収層より空気側に設けられる。
サンドイッチ構造部は、1つのシリカ化合物層の中央に逆応力層を挿入してシリカ化合物層を2つに分割したものと捉えることができる。シリカ化合物層は、その膜強度、並びに光学的安定性及び透明度(高透過率)等の優れた光学性能の具備のため、多層の光吸収膜が形成される際に含まれる1以上の層として適切なものであるところ、成膜後、圧縮応力を保持し、微視的に空気側に凸となるように屈曲する。他方、逆応力層は、優れた光学性能を備えつつ、成膜後に圧縮応力と反対方向となる引張応力を呈し、サンドイッチ構造部における両側のシリカ化合物層の圧縮応力を打ち消す。
逆応力層は、引張応力を保持するものであり、例えば、ZrO製のZrO層、TiO製のTiO層、Nb製のNb層、酸化ハフニウム(特にHfO)製のHfO層が挙げられる。
シリカ化合物層は、水分を完全密閉してしまうほどの超高密度ではないものの、逆応力層より密度が高く、逆応力層より水分を通過させずに水分透過量が小さいものである。
サンドイッチ構造部は、好ましくは光吸収層に隣接して配置される。又、光吸収層が複数存在する場合、サンドイッチ構造部は、好ましくは最も基板側の光吸収層の空気側に配置される。
シリカ化合物層及び逆応力層は、どのように成膜されても良く、例えば蒸着により成膜されても良いし、スパッタリングにより成膜されても良い。
シリカ化合物層は、イオンアシストのない蒸着によって形成される程度の密度を有することが好ましい。蒸着膜の密度は、当業者にとっても直接の測定が極めて困難である。又、蒸着時のイオンアシストの有無で蒸着膜の密度の程度を特定することは、当業者にとって分かり易く有用である。
光吸収膜は、低屈折率層と高屈折率層が交互に配置されることで、光吸収機能に加えて反射防止膜としての機能も併有するようにされても良い。ここで、NiO層は、高屈折率層として扱われて良い。
基材は、眼鏡用等のように、表裏の存在するものが好ましい。眼鏡用NDフィルタ基材の表は環境側であり、裏は顔側である。
光学多層膜は、好ましくは、基材の表側に反射防止膜が配置され、裏側に光吸収膜が配置される。現状、光吸収膜に比べて反射防止膜の耐久性が高く、より厳しい環境に晒される表側に比較的耐久性の高い反射防止膜が配置され、比較的に保護される裏側に光吸収膜が配置されることで、光吸収(ND)と反射防止の機能を確保して良好な特性を実現しながら、全体的な耐久性の向上が図れる。
又、かようなNDフィルタは、眼鏡用として好適に用いられる。即ち、NDフィルタ自体が眼鏡レンズとされても良いし、NDフィルタが他の眼鏡レンズに被せるものとして用意されていても良い。
一般の眼鏡(サングラス)は、可視域で可視光の吸収率が波長毎に大きく変化するものであり、裸眼視と色みやコントラスト等が異なってみえるものであるところ、本発明の眼鏡用NDフィルタでは、可視域における可視光の均一な吸収により、裸眼視と同等な視認性を提供することができる。
次いで、本発明の好適な実施例、及び本発明に属さない比較例につき、数例説明する(実施例1~7,比較例1~2)。尚、本発明の捉え方により、実施例が比較例となったり、比較例が実施例となったりすることがある。
実施例1~7,比較例1~2に係るプラスチック基材NDフィルタとして、直径75ミリメートル(mm)の丸玉である眼鏡用凸レンズが作成された。その度数は何れもS-3.00である。
基材は、次の3種のうちの何れかが選択された。即ち、第1に、比重が1.30g/cm(グラム毎立方センチメートル)であるチオウレタン樹脂製であって、屈折率は1.60、アッベ数は42である(実施例1~5,比較例1~2)。又、第2に、比重が1.37g/cmであるチオウレタン樹脂製であって、屈折率は1.67、アッベ数は32である(実施例6)。更に、比重が1.41g/cmであるエピスルフィド樹脂製であって、屈折率は1.70、アッベ数は36である(実施例7)。
基材の表裏両面の上には、ハードコート膜(HC膜)が形成された。何れのハードコート膜も、同じハードコート液を同様に塗布することにより形成された。
ハードコート液は、次のように作成された。まず、容器中に、メタノール206g(グラム)、メタノール分散チタニアゾル(日揮触媒化成株式会社製、固形分30%)300g、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン30g、テトラエトキシシラン60gが滴下され、その混合液中に0.01N(規定度)の塩酸水溶液が滴下されたうえで撹拌されて加水分解が行われた。次いで、フロー調整剤0.5g及び触媒1.0gが加えられ、室温で3時間撹拌されて、ハードコート液とされた。
ハードコート液は、スピンコート法によりハードコート液を基材の面に均一に行き渡らせ、その後120℃の環境に1.5時間置くことで加熱硬化させて、ハードコート膜となった。
かように形成されたハードコート膜の物理膜厚は、2.5μm(マイクロメートル)となった。
更に、各基材の凸面(表面)側に反射防止膜(AR膜)及び撥水膜が形成された。
即ち、ハードコート膜付きの基材が固定する治具(ドーム)にセットされて、真空装置内に扉から投入される。その後、扉が閉められ、真空装置内が真空排気される。基材の水分を抜くため、真空装置内の温度は60℃に保持される。真空装置内の真空度が1.0E-03(1.0×10-3)Pa(パスカル)となると、次のような成膜が開始される。即ち、まず中間層(ハードコート膜)とこれから形成される光学多層膜の密着性を向上するために、基材表面に酸素イオンを60秒間照射することで、基材表面を活性化させる。
次に、低屈折材料であるSiOと高屈折材料であるZrOが交互に各所定時間だけ蒸着されて、各層がそれぞれ所望の膜厚を有する全5層の反射防止膜が基材の凸面上に成膜された。
SiOとして、キヤノンオプトロン株式会社製「SiO」が用いられ、成膜レート10.0Å/s(オングストローム毎秒)で蒸着された。成膜後のSiO層の屈折率(基準波長λ=500nm)は1.465であった。
ZrOとして、キヤノンオプトロン株式会社製「ZrO」が用いられ、成膜レート6.0Å/sで蒸着された。成膜後のZrO層の屈折率(λ=500nm)は2.037であった。
続いて、真空装置内で反射防止膜付きの基材の凸面側に撥水剤が蒸着され、反射防止膜の上(最表層)に撥水膜が形成された。
実施例1~7,比較例1~2に係る凸面側の光学多層膜の構成は、次の表1に記載の通りである。尚、特に記載されない限り、膜厚は物理膜厚である。
Figure 0007385894000001
又、基材の凹面(裏面)側に光吸収膜及び撥水膜が形成された。
即ち、光吸収膜の成膜は、反射防止膜の形成と同様に成膜開始時の条件を整えて行われる。成膜においては、同様に基材表面に酸素イオンを照射した後、次の材料を次の条件で成膜した。光吸収膜の蒸着においては、所定値以上の層密度を有して水分バリア性が過剰にならないようにするため、最初の酸素イオンの照射を除き、イオンは照射されず、光吸収膜の蒸着はイオンのアシストのない状態(Ion Assist Depositionではない状態)で行われた。
ZrO層は、上述のAR膜の場合と同様に形成された。
シリカ化合物に属するSiOとAlの混合材料(SiO+Al)として、メルクパフォーマンスマテリアルズ株式会社製「Substance L5 HD」が用いられ、成膜レート10.0Å/s(オングストローム毎秒)で蒸着された。成膜後のSiO+Al層の屈折率(基準波長λ=500nm)は1.477であった。一般に、SiO+Al混合材料は、SiOの重量がAlの重量に比べて高く、例えばSiOの重量比に対するAlの重量比は数%程度である。尚、本発明において、SiOとAlの重量比は特に限定されず、シリカ化合物の成分もSiOとAlに限定されない。
Alとして、キヤノンオプトロン株式会社製「Al」が用いられ、成膜レート10.0Å/sで蒸着された。成膜後の屈折率(λ=500nm)は1.629であった。
NiO用のNiとして、株式会社高純度化学研究所製のものが用いられ、何れも成膜レート3.0Å/sで蒸着された。この蒸着時、酸素ガスが流量10sccm(standard cubic centimeter per minute)で供給されて、NiO層が形成された。成膜後のNiO層の屈折率(λ=500nm)は1.928であり、消衰係数は2.134であった。尚、NiO層の屈折率が約2.00程度と比較的に高いので、NiO層は高屈折率層として用いることができる。
又、撥水膜が、光吸収膜の上(空気側)に、反射防止膜の上のものと同様にして形成された。
実施例1~5,比較例1~2は、光吸収膜の構成のみが互いに異なる。実施例6,7の光吸収膜は、実施例5と同じ構成であり、上述の通り基材が異なる。それぞれの光吸収膜の構成は、次の表2~4に記載の通りである。
Figure 0007385894000002
Figure 0007385894000003
Figure 0007385894000004
ここで、SiO膜とAl膜に係るイオンアシストの有無と蒸着膜の密度(これと密接に関連した水蒸気透過性)に関する試験の結果が、次の表5に示される。尚、表5の「No.」列は、水蒸気透過性が大きいものからの順位が記載されている。
この試験は、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを基材とし、基材のみの場合と、基材にSiO膜やAl膜、SiO+Al混合膜がイオンアシストの有無を変化させて蒸着された場合における、水蒸気透過性(1日当たりのグラム毎立方メートル,g/m・day)を調べたものである。
基材のみの場合、水蒸気透過性は、7.29である。
これに対し、SiO膜,Al膜,SiO+Al混合膜(表5の「材料」列に蒸着材料を記載している)がイオンアシストなしで膜厚90.3,94.8,74.4nmで蒸着された場合、水蒸気透過性が6.75,6.28,6.12と、基材のみの場合より僅かに下がる。これは、SiO膜,Al膜,SiO+Al混合膜が水蒸気の透過を妨げるからである。
更に、SiO膜がイオンアシストあり(イオン銃における加速電圧900ボルト(V),加速電流900ミリアンペア(mA),バイアス電流600mA,導入酸素(O)ガス50sccm)で膜厚69.1nmで蒸着された場合、水蒸気透過性が3.77と更に大きく下がる。これは、イオンアシストのある蒸着によって形成されたSiO膜の密度がイオンアシストなしの場合の密度より大きく、かように密度の大きいSiO膜が水蒸気の透過を更に妨げるからである。
同様に、Al膜がイオンアシストあり(加速電圧1000V,加速電流1000mA,バイアス電流600mA,導入酸素ガス50sccm)で膜厚79.0nmで蒸着された場合、水蒸気透過性が0.89と大きく下がる。これは、イオンアシストのある蒸着によって形成されたAl膜の密度がイオンアシストなしの場合の密度より大きく、かように密度の大きいAl膜が水蒸気の透過を更に妨げるからである。
更に同様に、SiO+Al混合膜がSiO膜と同様のイオンアシストのある状態で膜厚75.0nmで蒸着された場合、水蒸気透過性が1.61と小さくなる。これは、イオンアシストのある蒸着によって形成されたSiO+Al混合膜の密度がイオンアシストなしの場合の密度より大きく、かように密度の大きいSiO+Al混合膜が水蒸気の透過を更に妨げるからである。
Figure 0007385894000005
図1は、実施例1~5,比較例1~2の可視域(波長400nm以上700nm以下)及び隣接域における分光透過率分布が示されるグラフである。
分光透過率分布の測定は、分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製U-4100)によって行われた。
実施例1~5,比較例1~2の何れも、可視域における透過率が27.5±4%の帯状領域に収まっており、可視光が吸収率27.5%程度で均一に吸収されていて、グレーの外観でありながら、装用時に認識される色みが裸眼視とさほど変わらない眼鏡用NDフィルタとなっている。均一に吸収する際の吸収率は、主にNiO層の総膜厚(合計膜厚)の大小により、様々に変更することができる。
図2は、実施例5~7の可視域及び隣接域における分光透過率分布が示されるグラフである。
実施例5(屈折率1.60のチオウレタン基材)に係る分光透過率分布は、図1で示されたものと同じである。実施例6(屈折率1.67のチオウレタン基材)及び実施例7(屈折率1.70のエピスルフィド基材)に係る分光透過率分布は、何れも、実施例5と同様に、可視域で27.5%程度の均一な吸収率を呈する。
又、実施例1~7,比較例1~2、そしてシミュレーションの結果から、NiO層の膜厚が6nm以下であれば、サンドイッチ構造部(応力層)による応力差の緩和作用がNiO層との関係においても良く及ぼされることが分かった。NiO層を薄くすることにより可視光の吸収量が十分でなくなる場合には、(6nm以下の) 層が複数設けられて良い(光吸収層の分割)。
図3は、実施例1~5,比較例1~2の凹面(ND成膜面)側に係る、可視域及び隣接域における分光反射率分布(片面)が示されるグラフである。
分光反射率分布は、反射率測定器(オリンパス株式会社製USPM-RU)によって測定された。
実施例1~5,比較例1~2の凹面側において、可視域で反射率が4%以下となっており、又視認性に大きく関与する緑色域内(450nm以上580nm以下程度)に反射率分布の最小値(全体的な分布の極小値)が入っているので、各光吸収膜は、反射防止膜としての機能も備えている。
図4は、実施例5~7の凹面(ND成膜面)側に係る、図3同様のグラフである。
実施例5~7の凹面側においても、可視域で反射率が4%以下となっており、又視認性に大きく関与する緑色域内ないしその隣接領域(440nm以上580nm以下程度)に反射率分布の最小値(全体的な分布の極小値)が入っているので、各光吸収膜は、反射防止膜としての機能も備えている。
図5は、同様に測定された、実施例1~5,比較例1~2の凸面側に係る、可視域における分光反射率分布(片面,共通)が示されるグラフである。
実施例1~5,比較例1~2の凸面側においても、可視域で概ね反射率が4%以下となっており、又可視域の大部分である420nm以上700nm以下の域において反射率2%以下となっているので、凸面側では十分に可視光の反射が防止されている。
又、実施例6,7は、実施例1~5,比較例1~2と同様の凸面側片面反射率分布を有する。
実施例1~7,比較例1~2では、NDフィルタとしての機能(均一な吸収)は、光吸収膜が配置された凹面側のみで十分に果たしているため、凸面側では、反射防止機能を更に追求した反射防止膜が配置される。
次の表6~7には、実施例1~7,比較例1~2について、耐久性に関する各種の試験、即ち恒温恒湿試験、玉型加工後の恒温恒湿試験、凹面の耐候密着性試験を行った際の結果が示される。
恒温恒湿試験では、恒温恒湿試験機(エスペック株式会社製LHU-113)が用いられ、60℃,90%の環境となった試験機内に、それぞれのNDフィルタが投入された。投入開始から1日,3日,7日が経過した後に、NDフィルタがそれぞれ一旦取り出され、むくみや変色、クラック等の外観異常の発生の有無が観察された。
玉型加工後の恒温恒湿試験では、実施例1~7,比較例1~2のそれぞれが、中心部を保持された状態で直径50mmの同心円形に削られて玉型加工が施された後、上述の恒温恒湿試験と同様の手順(7日経過後の観察を除く)がなされた。
凹面(光吸収膜形成面)の耐候密着性試験では、各凹面において計100マスが形成されるようにカッターでマス目が入れられ、マス目全体にセロハンテープが貼り付けられて、勢いよく剥がされた。これが計5回繰り返され、計5回完了後において内部で剥がれを生じなかったマスの数が確認された(初期)。更に、NDフィルタがサンシャインウェザーメータ(スガ試験機株式会社製S80B)に投入され、投入時間が60時間(h)となったら取り出されて、上記のマス目形成、5回のセロハンテープ剥がし及びマス数確認が行われた。同様にして、更に投入のうえで投入時間が計120,180,240時間となった場合にも、上記のマス目形成、5回のセロハンテープ剥がし及びマス数確認が行われた。
Figure 0007385894000006
Figure 0007385894000007
実施例1~5,比較例2では、恒温恒湿試験において、3日経過後まで外観異常は観察されず(変化「無」)、7日経過後で周辺部変色とクラックの発生が認められた(変化「有」)。
実施例6,7では、7日経過後においても外観異常は観察されなかった。比較例1では、1日経過後から光学的な歪みが発生した。
比較例1の光吸収膜は基材から1層目(初期層)にAl層を有するところ、吸湿量が比較的に多いチオウレタン樹脂製の基材の膨潤にAl層が追従できず、光学的な歪みの原因となるものと考えられる。
これに対し、実施例1~7,比較例2では、初期層がZrO層であり、チオウレタン基材の膨潤に追従して光学的な歪みの発生が防止されているものと推察される。
又、実施例1~7,比較例2では、玉型加工後の恒温恒湿試験において、3日経過後まで外観異常は観察されなかった。
これに対し、比較例1では、レンズ中央部において線状の変色が浮き出た。かような変色は、玉型加工の直後では確認されなかった。変色の原因は、玉型加工時におけるレンズ保持部であるレンズ中央部において微細なクラックが発生し、加湿することでクラックに水分が集中して、局所的にNiO層が変質し、透過率に異常が発生しているものと考えられる。
Alは、ZrO及びSiOに比べ、外力に対する変形量が少ない。又、チオウレタン樹脂は、エピスルフィド樹脂より外力に対して変形し易い。よって、比較例1では、玉型加工時の保持によりレンズ表面が僅かに撓み、その量はチオウレタン基材の方が大きく、Al層では追従できずにクラックが発生しているものと考えられる。
他方、実施例1~7,比較例2では、Al層は用いられず、SiO+Al層及びZrO層が用いられており、チオウレタン基材(実施例7ではエピスルフィド基材)であっても、SiO+Al層及びZrO層が玉型加工時のレンズ表面の撓みに追従して、玉型加工後に恒温恒湿環境に晒されてもクラックは発生しないものと推察される。
更に、実施例1~7,比較例1では、耐候密着性試験において、240時間においても剥がれを生じたマスが5マス以内となっており、良好な耐候性が示された。特に、実施例5~7,比較例1では、240時間においても剥がれを生じたマスが無く(剥がれ無し100マス)、優れた耐候性が示された。
これに対し、比較例2では、剥がれを生じたマスが180時間で25マス(同75マス)、240時間で40マス(同60マス)となっており、耐候性に劣っている。
比較例2が耐候性に劣る原因は、全てのNiO層がSiO+Al層で挟まれており、SiO+Al層の圧縮応力が同方向で重畳することで、SiO+Al層のNiO層に対する密着性が低下したことであると考えられる。
図6は、比較例2における耐候密着性試験後に剥がれ(剥離)を生じた箇所、及び光吸収膜が基材側から3層目まで残存し4層目以降を失った場合のシミュレーションに係る、可視域及び隣接域における分光反射率分布(片面)が示されるグラフである。
3層目までのシミュレーションに係る分布と剥離箇所の分布とが類似する図6の状況等から、剥離は、基材側から3層目のNiO層と4層目のSiO+Al層との間において起きたものと推察される。
実施例1は、比較例2における4層目のSiO+Al層(膜厚60nm)を、ZrO層をSiO+Al層で挟むサンドイッチ構造部(膜厚30,10,30nm)に置き換えたものとなっている。これにより、耐候密着性試験において剥がれを生じ得る3層目のNiO層の空気側隣接層における応力が緩和され、実施例1では良好な耐候密着性が得られる。尚、サンドイッチ構造部により、基材側から1,2番目のNiO層が、何れもZrO層ではなくSiO+Al層に隣接し、水分から保護される。
実施例2は、実施例1における基材側から2番目(7層目)のNiO層に空気側で隣接するSiO+Al層(膜厚50nm)を、サンドイッチ構造部(膜厚25,10,25nm)に置き換えたものとなっている。実施例2は、耐候密着性試験の結果において実施例1と同等となっており、基材側から2番目のNiO層にサンドイッチ構造部が追加されても実施例2の耐候密着性は実施例1と変わらず、さほど向上しないと言える。
実施例3は、実施例1におけるサンドイッチ構造部のZrO層の膜厚を増加したものとなっている(10nmから15nm)。当該ZrO層の膜厚は、1つのSiO+Al層(膜厚30nm)の半分(50%)に達しており、サンドイッチ構造部のSiO+Al層の合計膜厚の1/4(25%)に達している。実施例3の耐候密着性試験の結果は、実施例1に比べて向上している。かような向上は、ZrO層の応力緩和作用がより強まっていることによるものと考えられる。
実施例4は、実施例3におけるサンドイッチ構造部の各SiO+Al層の膜厚を減少したものとなっている(30nmから25nm)。かような減少により、サンドイッチ構造部における1つのSiO+Al層の膜厚に対するZrO層の膜厚の割合が60%と実施例3に対して増加し、SiO+Al層の合計膜厚に対する割合が30%に増加している。よって、ZrO層の応力緩和作用が更に強まり、実施例4の耐候密着性試験の結果は、実施例3に比べて向上している。又、かような程度でSiO+Al層の合計膜厚が減少したとしても、ZrO層(高屈折率層)の追加による寄与もあり、光吸収膜における反射防止性能を始めとする光学性能に大きな影響は与えない。
実施例5は、実施例4におけるサンドイッチ構造部のSiO+Al層の膜厚について、基材側で減少し(25nmから20nm)、空気側で当該減少分だけ増加(25nmから30nm)することで、基材側の膜厚を空気側の膜厚より小さくしたものである。剥離が起きる部分である最も基材側(3層目)のNiO層に空気側で隣接するSiO+Al層の膜厚を薄くすることで、NiO層に直接作用する応力が緩和し、240時間の耐候密着性試験において剥がれ無し(100マス残存)という極めて優れた結果がもたらされている。
実施例6は、実施例5と同様の光吸収膜が屈折率1.67のチオウレタン基材に対して形成されたものであり、7日目の恒温恒湿試験においても光学的な歪みが発生しない等、実施例5と同等以上の耐久性を有する。
実施例7は、実施例5と同様の光吸収膜がエピスルフィド基材に対して形成されたものであり、実施例6と同等の極めて優れた耐久性を有するものである。

Claims (9)

  1. プラスチックからなる基材と、
    前記基材の少なくとも一面に配置された、複数の層を有する光吸収膜と、
    を備えており、
    前記光吸収膜は、NiO(xは0以上1以下)からなるNiO層を複数含んでいると共に、
    前記基材に最も近い前記NiOに対し、前記基材と逆側において隣接するように配置されており、シリカ化合物層に逆応力層が挟まれているサンドイッチ構造部を含んでおり、
    前記NiO層は、前記サンドイッチ構造部における前記基材側及び前記基材と逆側に配置されていて、何れも物理膜厚が6ナノメートル以下である
    ことを特徴とするプラスチック基材NDフィルタ。
  2. 前記基材は、チオウレタン樹脂製である
    ことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック基材NDフィルタ。
  3. 前記逆応力層は、ZrOからなるZrO層、TiOからなるTiO層、NbからなるNb層、及びHfOからなるHfO層の内の少なくとも何れかである
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプラスチック基材NDフィルタ。
  4. 前記シリカ化合物層は、SiOとAlの混合体からなるSiO+Al層である
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載のプラスチック基材NDフィルタ。
  5. 前記シリカ化合物層は、イオンアシストのない蒸着によって形成される程度の密度を有する
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載のプラスチック基材NDフィルタ。
  6. 前記光吸収膜は、低屈折率層と高屈折率層が交互に配置されたものである
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載のプラスチック基材NDフィルタ。
  7. 前記基材には、表面と裏面が存在しており、
    前記光吸収膜は、前記裏面に配置されている
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れかに記載のプラスチック基材NDフィルタ。
  8. 前記表面には、反射防止膜が配置されている
    ことを特徴とする請求項7に記載のプラスチック基材NDフィルタ。
  9. 請求項1ないし請求項8の何れかに記載されたプラスチック基材NDフィルタを含んでいる
    ことを特徴とする眼鏡用プラスチック基材NDフィルタ。
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