JP2020079853A - 光学素子、光学系、および、光学機器 - Google Patents

光学素子、光学系、および、光学機器 Download PDF

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Abstract

【課題】透過率の異なる領域に対して高い反射防止性能を有する光学素子を提供する。【解決手段】透過率が変化する領域を含む光学素子であって、第1及び第2の反射防止層(2)と、第1及び第2の反射防止層の間に配置された吸収層(3)とを有し、吸収層において第1の反射防止層に隣接する第1の膜(31)の屈折率をnA、吸収層において第2の反射防止層に隣接する第2の膜(31、32)の屈折率をnB、第1の反射防止層において吸収層に隣接する第3の膜(23、24)の屈折率をn1、第2の反射防止層において吸収層に隣接する第4の膜(41)の屈折率をn2とするとき、所定の条件式を満足する。【選択図】図1

Description

本発明は、光学素子に関する。
撮像装置内の光学素子(光学フィルタ)として、透過率を制限するND(Neutral Density)フィルタが用いられる場合がある。特に、画像の明るさを制御するため、または、焦点外れ像(ボケ像)の輪郭の先鋭度のばらつき(それによる画像の品位の低下)を改善するためには、領域ごとに透過率が異なるグラデーション型のNDフィルタが用いられる。
特許文献1には、領域ごとに膜厚及び光学濃度が異なるグラデーション型のNDフィルタが開示されている。特許文献2には、反射防止構造体を用いて反射率を低減させたNDフィルタが開示されている。
特開2007−178822号公報 特許第5067133号公報
李正中著、株式会社アルバック訳、"光学薄膜と成膜技術"
しかしながら、特許文献1のNDフィルタでは、ゴーストやフレアを低減した高品位な画像を得るには、反射率の低減が不十分である。また、特許文献2には、グラデーション型のNDフィルタに関する構造および反射防止効果が開示されていない。
そこで本発明は、透過率の異なる領域に対して高い反射防止性能を有する光学素子、光学系、および、光学機器を提供することを目的とする。
本発明の一側面としての光学素子は、透過率が変化する領域を含む光学素子であって、第1及び第2の反射防止層と、該第1及び第2の反射防止層の間に配置された吸収層とを有し、前記吸収層において前記第1の反射防止層に隣接する第1の膜の屈折率をn、前記吸収層において前記第2の反射防止層に隣接する第2の膜の屈折率をn、前記第1の反射防止層において前記吸収層に隣接する第3の膜の屈折率をn、前記第2の反射防止層において前記吸収層に隣接する第4の膜の屈折率をnとするとき、所定の条件式を満足する。
本発明の他の側面としての光学系は、複数の光学素子を有し、前記複数の光学素子は前記光学素子を含む。
本発明の他の側面としての光学機器は、撮像素子と前記光学素子とを有する。
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施形態において説明される。
本発明によれば、透過率の異なる領域に対して高い反射防止性能を有する光学素子、光学系、および、光学機器を提供することができる。
本実施形態(実施例1乃至3)における光学素子の説明図である。 本実施形態(実施例1乃至3)における光学素子のある位置における膜構成を示す概略断面図である。 本実施形態(実施例1)における光学素子の分光透過率および分光反射率である。 本実施形態における光学素子の等価アドミタンス軌道図である。 実施例1、4における光学素子を構成する各材料の屈折率を示す図である。 実施例1における光学素子の吸収層の屈折率および消衰係数を示す図である。 実施例2、5における光学素子を構成する各材料の屈折率を示す図である。 実施例2における光学素子の吸収層の屈折率および消衰係数を示す図である。 実施例2における光学素子の分光透過率および分光反射率を示す図である。 実施例3における光学素子を構成する各材料の屈折率を示す図である。 実施例3における光学素子の吸収層の屈折率および消衰係数を示す図である。 実施例3における光学素子の分光透過率および分光反射率を示す図である。 実施例4乃至6における光学素子のある位置における膜構成を示す概略断面図である。 実施例4における光学素子の吸収層の屈折率および消衰係数である。 実施例4における光学素子の分光透過率および分光反射率を示す図である。 実施例5における光学素子の吸収層の屈折率および消衰係数を示す図である。 実施例5における光学素子の分光透過率および分光反射率を示す図である。 実施例6における光学素子を構成する各材料の屈折率を示す図である。 実施例6における光学素子の分光透過率および分光反射率を示す図である。 本実施形態における透過率分布の例である。 実施例7における撮像装置の断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、図1を参照して、本実施形態における光学素子10の概略構成について説明する。図1は光学素子10の説明図であり、図1(a)は光学素子10の断面図、図1(b)は光学素子10の透過率分布をそれぞれ示す。図1(b)において、横軸は位置、縦軸は透過率Tをそれぞれ示す。
図1(a)に示されるように、光学素子10は、透光部材(第1の透光部材)1、光学フィルタ100、および、透光部材(第2の透光部材)5を有する。光学フィルタ100は、透光部材1側(図1(a)中の下側)から順に、反射防止層(第1の反射防止層)2、吸収層3、および、反射防止層(第2の反射防止層)4を有する。すなわち光学素子10は、透光部材1、透光部材1の上に配置された反射防止層2、反射防止層2の上に配置された吸収層3、および、吸収層3の上に配置された反射防止層4を有する。反射防止層4の上には、透光部材5が配置されている。また、反射防止層2と反射防止層4はそれぞれ1層以上からなる薄膜で構成されている。なお、反射防止層2と反射防止層4はそれぞれ、屈折率の調整、反射防止帯域の拡大、入射角度依存性の低減、偏光依存性の低減を図るため、その層数を増やしても構わない。また、吸収層3は、1層以上の膜(吸収膜)で構成されている。反射防止層2、4は入射光の反射率を低減させる機能を有し、吸収層3は入射光を効率的に吸収する機構を有する。
図1(b)に示されるように、光学フィルタ100は、吸収層3の膜厚に応じて透過率が変化する領域を有する。ここで透過率が変化するとは、透過率が位置ごとに異なる、または、径方向に(中心から周辺部に向かって)変化することを意味するが、これらに限定されるものではない。好ましくは、光学フィルタ100は、透過率が連続的に変化する領域を有する。吸収層3の膜厚を連続的に変化させることにより、グラデーション型のNDフィルタを実現することができる。通常、図1(b)のように吸収層の膜厚を変化させてグラデーション型のNDフィルタを得る場合、吸収層3の膜厚変化に応じて反射率が大きく変化するため、全領域で反射率を低減することが困難である。しかし、本実施形態の光学フィルタ100は、全領域において、透光部材5(図1(a)中の上側)から光を入射した場合、透光部材1(図1(a)中の下側)から入射した場合のいずれの場合でも、反射率を低く抑えることができる。
次に、図2を参照して、光学素子10の各層における膜構成について説明する。図2は、光学素子10のある位置における膜構成を示す概略断面図である。なお図2において、説明の便宜上、吸収層3の膜厚を一定として示している。
図2に示されるように、反射防止層2は、透光部材1側から順に、薄膜21、22、23を有する。吸収層3は、薄膜(第1の膜(第1の領域)、第2の膜(第2の領域))31を有する。反射防止層4は、吸収層3側から順に、薄膜41、42、43を有する。本実施形態では、一例として、反射防止層2は3膜構成、吸収層3は1膜構成、反射防止層4は3膜構成であるが、これに限定されるものではない。本実施形態において、反射防止層2、吸収層3、および、反射防止層4のそれぞれを構成する膜の数は1層以上であればよい。例えば、反射防止層2と反射防止層4はそれぞれ2膜構成であってもよい。
次に、図3を参照して、光学素子10の分光透過率および分光反射率について説明する。図3は、光学濃度OD(Optical Density)が0、0.1、0.3、1、2の領域における400nmから700nmでの分光透過率および分光反射率である。分光透過率の各グラフにおいて、横軸は波長(nm)、縦軸は透過率(%)をそれぞれ示す。分光反射率の各グラフにおいて、横軸は波長(nm)、縦軸は反射率(%)をそれぞれ示す。以降の説明において、分光透過率および分光反射率はそれぞれ、光の垂直入射時の特性である。光学濃度ODは、透過率T(0≦T≦1)を用いて、OD=LOG10(1/T)のように定義される。
光学濃度OD=0の領域は、吸収層3の膜厚が0の領域であり、光が透光部材5側から入射した場合の反射率R_S5と、透光部材1側から入射した場合の反射率R_S1は同じ値である。一方、光学濃度OD≠0の吸収層3の膜厚が0でない領域では、光が透光部材5側から入射した場合の反射率R_S5と透光部材1側から入射した場合の反射率R_S1は異なる。これは、吸収層3が存在する場合、各界面におけるフレネル係数が入射方向により異なるためである。
図3に示されるように、本実施形態の光学フィルタ100は、光学濃度、光の入射方向に依らず、可視光領域である420から680nmまで、低い反射率を実現している。以下、その理由についてアドミタンス軌道図を用いて説明する。アドミタンスとは、媒質中の磁場強度と電場強度の比で表される値で、自由空間のアドミタンスYを単位とすると、媒質の屈折率は数値的にはアドミタンスと等値となる。以下、本明細書中では屈折率はアドミタンスと等値として扱う。また、アドミタンス軌道図とは、等価アドミタンスの概念を用いた膜特性を表現する図である。等価アドミタンスは、基板の上に薄膜を加えた系全体をそれと等価な特性を持つ1つの基板に置き換えた場合の等価基板のアドミタンスを指す。なお、等価アドミタンス、アドミタンス軌道図の詳細は、非特許文献1に開示されている。
図4は、縦軸に光学濃度OD=0、0.1、1.0、横軸に可視領域の波長である420nm、550nm、680nmとするときの光学フィルタ100のアドミタンス軌道図である。図4(a)は透光部材5側からの光入射時の等価アドミタンス、図4(b)は透光部材1側からの光入射時の等価アドミタンスをそれぞれ示している。
まず、図4(a)の透光部材5側からの光入射時のアドミタンス軌道図を例として、図の見方を説明する。図4(a)、(b)中の各グラフにおいて、横軸はアドミタンスηの実数部Re(η)、縦軸はアドミタンスの虚数部Im(η)をそれぞれ示す。図中の□印は透光部材1のアドミタンス、○印は透光部材5のアドミタンス、×印は薄膜31のアドミタンスを表している。ここで、透光部材1および透光部材5に吸収はない。透光部材1の屈折率をnS1とすると、透光部材1のアドミタンスηs1=nS1となるが、本明細書中ではアドミタンスにおいては自由空間のアドミタンスYを単位としているため、数値的にはηs1とnS1は等しい。一方、薄膜31は吸収がある吸収膜である。吸収がある場合、複素屈折率はn−ikなり、その際のアドミタンスは、(n−ik)Yとなる。ここで、kは消衰係数である。この場合も、アドミタンスにおいて、自由空間のアドミタンスYを単位とすると、数値的にはアドミタンスと複素屈折率は等しい。
本実施形態の光学フィルタ100は、図2に示されるように、透光部材1側から順に、反射防止層2、吸収層3、反射防止層4、および、透光部材S5で構成されている。また図2に示されるように、反射防止層2は薄膜21、22、23から構成され、吸収層3は薄膜31から構成され、反射防止層4は薄膜41、42、43から構成されている。反射防止層2は、透光部材1と吸収層3との界面での反射を低減する機能を果たす。反射防止層4は、吸収層3と透光部材5との界面での反射を低減する機能を果たす。
図4(a)は、透光部材1から薄膜21、22、23、31、41、42、43までの等価アドミタンス軌道を表す。透光部材1から薄膜43までの等価アドミタンスと透光部材5のアドミタンスによりフレネル係数および反射率を計算することができる。透光部材1から薄膜43までの等価アドミタンスが透光部材5のアドミタンスと等しい場合、反射率は0となる。一方、図4(b)は、透光部材5から薄膜43、42、41、31、23、22、21までの等価アドミタンス軌道を表す。この場合も、透光部材5から薄膜21までの等価アドミタンスが透光部材1のアドミタンスに等しいときに反射率は0となる。
図4(a)、(b)の1列目は、波長λ=420nmの場合、2列目は波長λ=550nmの場合、3列目は波長λ=680nmの場合の等価アドミタンスを示す。等価アドミタンスは、波長λの関数であるため、光学濃度ODが同じであっても、使用波長が異なると変化する。
また、図4(a)、(b)の1段目は、光学濃度OD=0の場合、2段目は光学濃度OD=0.1の場合、3段目は光学濃度OD=1の場合の等価アドミタンスを示す。図4(a)の場合、それぞれの波長において、光学濃度が異なっても、透光部材1から薄膜23までの光学アドミタンスの軌道は同じである。光学濃度ODによって、吸収層3の膜厚が異なるため、吸収層3以降の等価アドミタンス軌道が変化する。これは、図4(b)においても同様である。図4の1段目であるOD=0は、吸収層3の膜厚が0の場合であり、吸収層3による等価アドミタンスの変化はない。図4の2段目はOD=0.1、3段目はOD=1.0であり、吸収層3の膜厚が増加していくため、アドミタンス軌道は図のように変化していく。吸収層3の膜厚が十分に厚い場合は図4の3段目に示すように、透光部材5側から光が入射した場合、透光部材1から薄膜31までの等価アドミタンスは、薄膜31のアドミタンスである×印に近づいており、ほぼ薄膜31のアドミタンスに等しくなるといえる。同様に、透光部材1側から光が入射した場合、透光部材5から吸収層3までの等価アドミタンスはほぼ薄膜31のアドミタンスに等しくなるといえる。
以上のように、グラデーション型のNDフィルタの等価アドミタンスは、使用波長および光学濃度により変化するといえる。しかしながら、反射率を0に近づけるには、波長や光学ODに関わらず、透光部材1から薄膜43までの等価アドミタンスは透光部材5のアドミタンスに、透光部材5から薄膜21までの等価アドミタンスは透光部材1のアドミタンスに近づける必要がある。このため、光学フィルタ100において、波長や光学ODが変化しても等価アドミタンスの変化が少ない膜構成にすればよい。
まず、光学ODが変化しても等価アドミタンスの変化が少ない膜構成にするには、透光部材1から薄膜23までの等価アドミタンス、および透光部材5から薄膜41までの等価アドミタンスを、薄膜31のアドミタンスに近づければよい。これは、吸収層3の膜厚変化による等価アドミタンスの変化をなるべく小さくするためである。
アドミタンス軌道図によると、吸収のない基板および膜材料を用いると、基板(屈折率:Nsub)上のm層多層膜(m層目の屈折率:N)において、m層目のアドミタンスの軌道は、中心がO((N +Ym−1 )/2Ym−1、0)である円軌道を通る。すなわち、基板の屈折率(Nsub、0)を出発点とし、その後は中心Oとなる円の弧をつなぎ合わせたような軌道となる。前述のように、光学アドミタンスは波長の関数であるため、波長により円弧の長さは異なる。波長による円弧の長さ変化を抑えるには、円の径が小さくなるような軌道をとればよい。
図4(a)からわかるように、透光部材5から光が入射した場合、透光部材1から薄膜23までの等価アドミタンスにおける薄膜23での円軌道の中心が薄膜31のアドミタンスに近ければ、円の径を小さくすることができる。すなわち、透光部材1から薄膜22までの等価アドミタンスをY22、薄膜23のアドミタンス(屈折率)をN23、薄膜31のアドミタンス(複素屈折率の実部)N31とすると、((N23 +Y22 )/2Y22、0) が(N31、k31)に近ければよい。この条件を満たすには、吸収層3に隣接する薄膜(第3の膜または第3の領域)23の屈折率をn、薄膜23に隣接する吸収層3を構成する薄膜(第1の膜または第1の領域)31の屈折率をnとするとき、以下の条件式(1)を満足する必要がある。
好ましくは、以下の条件式(1a)を満足する。
より好ましくは、以下の条件式(1b)を満足する。
同様に、図4(b)からわかるように、透光部材1から光が入射した場合、透光部材5から薄膜41までの等価アドミタンスにおける薄膜41での円軌道の中心が薄膜41のアドミタンスに近ければ、円の径を小さくすることができる。このため、吸収層3に隣接する薄膜(第4の膜または第4の領域)41の屈折率をn、薄膜41に隣接する吸収層3を構成する薄膜(第2の膜または第2の領域)31の屈折率をnとするとき、以下の条件式(2)を満足する必要がある。
好ましくは、以下の条件式(2a)を満足する。
より好ましくは、以下の条件式(2b)を満足する。
以上のように、透光部材5から光が入射した場合および透光部材1から光が入射した場合のいずれにおいても、波長や光学ODが変化しても等価アドミタンスの変化が少ない膜構成にするには、条件式(1)および条件式(2)を満足することが必要である。
前述の説明では、吸収層3が1層構成であるため、n=nである(第1の膜(第1の領域)と第2の膜(第2の領域)は共通の膜である)。吸収層3が2層以上の場合、吸収層3において反射防止層2に隣接する膜(第1の膜、第1の領域)の屈折率をn、吸収層3において反射防止層4に隣接する膜(第2の膜、第2の領域)の屈折率をnとするとき、条件式(1)、(2)を満足する必要がある。
本実施形態において、透光部材1の屈折率をN、透光部材5の屈折率をNとするとき、以下の条件式(3)を満足することが好ましい。条件式(3)を満足しない場合、光学素子10の設計が困難になる
より好ましくは、以下の条件式(3a)を満足する。
また本実施形態において、N>1.40かつN>1.40なる条件式を満足することが好ましい。
好ましくは、反射防止層2を構成する膜の数と反射防止層4を構成する膜の数は互いに等しい。これは、透光部材5から光が入射した場合と、透光部材1から光が入射した場合の反射防止効果を同程度にすることで、各反射防止層を構成する膜の数が互いに等しいほうがバランスをとりやすいためである。また好ましくは、反射防止層2を構成する膜の数と反射防止層4を構成する膜の数はそれぞれ2層以上である。各反射防止層を構成する膜の数が少ないと、反射防止効果が低くなるためである。
本実施形態の光学フィルタ100を作製する際に、透光部材1および透光部材5は、可視領域において透明な材料であればよい。このとき、透光部材1および透光部材5のいずれか一方は、ガラスやプラスチックなどの透光部材である。他方は、空気、または、接合レンズを形成する場合に使用する接着剤であってもよい。透光部材がガラスやプラスチックである場合、面の形状は、平面、凸面(凸レンズ)、凹面(凹レンズ)、または、曲面であってもよい。また、透光部材が接着剤である場合、エポキシ系、ポリエンポリチオール系、または、アクリル系の接着剤を用いることが好ましい。特に、UV硬化型であるポリエンポリチオール系の接着剤は、段階反応であることや、加工タクトが短いため、より好ましい。
膜厚分布を有する吸収層3を形成する方法としては、蒸着やスパッタリングがある。蒸着やスパッタリングの際に任意の形状のマスクを用いることで、任意の透過率分布を有する吸収層3を形成することができる。その他、めっき法やスピンコート等のウェットプロセス法を用いてもよい。
吸収層3の材料の消衰係数kは、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
0.05≦k≦0.35 ・・・(4)
条件式(4)を満足しない場合、光学濃度(吸収層3の厚さ)に依らず低い反射率を実現することが難しい。条件式(4)を満足する材料としては、例えば、酸素欠損型のTiO、Nb、Taなどが挙げられる。また、NDフィルタの分光透過率の波長平坦性を得るため、使用波長帯域における消衰係数kの波長分散が正負異なる材料を組み合わせてもよい。
より好ましくは、消衰係数kは、以下の条件式(4a)を満足する。
0.05≦k≦0.30 ・・・(4a)
更に好ましくは、消衰係数kは、以下の条件式(4b)を満足する。
0.10≦k≦0.25 ・・・(4b)
グラデーション型のNDフィルタの透過率分布については、様々な形状を用いることができる。図20は、透過率分布の例である。例えば、図20(a)、(b)に示されるように、同心円方向に透過率分布を形成することができる。または、図20(c)、(d)に示されるように、一方向に透過率が変化するような構成であってもよい。前記以外にも用途に応じて様々な透過率分布形状があるが、本実施形態の構成は任意の透過率分布形状に対して適用することができる。以下、具体的な実施例を示す。ただし、これらは実施例に過ぎず、本発明はこれらの条件に限定されるものではない。
まず、図1乃至図3、図5、および図6を参照して、本発明の実施例1における光学素子について説明する。本実施例の光学素子は、図1および図2を参照して説明した光学素子10と同様に、光学面内において中心(光軸)から周辺部に向かって透過率が徐々に低下するグラデーション型のNDフィルタ(光学フィルタ)を透光部材1と透光部材5で挟んだ構成を有する。表1は、本実施例の光学フィルタの膜構成を示す。
本実施例において、透光部材1として硝材S1を用い、透光部材5として接着剤S5を用いる。硝材S1および接着剤S5は、吸収のない材料(非吸収層)である。また本実施例において、反射防止層2および反射防止層4はそれぞれ、膜材料M1と膜材料H1との交互層で構成される。膜材料M1、H1も吸収のない材料である。また本実施例において、吸収層3は吸収材料A1で構成される。
図5は、本実施例における光学素子を構成する材料(硝材S1、接着剤S5、膜材料M1、膜材料H1)の屈折率を示す図である。図5において、横軸は波長(nm)、縦軸は屈折率nをそれぞれ示す。図6は、吸収層3(吸収材料A1)の屈折率nおよび消衰係数kを示す図である。図6において、横軸は波長(nm)、縦軸は屈折率nおよび消衰係数kをそれぞれ示す。また図6において、実線は屈折率n、破線は消衰係数kをそれぞれ示す。波長400〜700nmの範囲において、0.12≦k≦0.22である。
本実施例の光学素子(光学フィルタ)は、図3に示される分光透過率および分光反射率を有する。図3において、R_S5は透光部材5(接着剤S5)側から光が入射した場合の分光反射率を示し、R_S1は透光部材1(硝材S1)側から光が入射した場合の分光反射率を示す。本実施例の光学素子は、条件式(2)を満足するため、分光反射率R_S5および分光反射率R_S1ともに、低い反射率を実現している。
次に、図7乃至図9を参照して、本発明の実施例2における光学素子について説明する。本実施例の光学素子は、図1および図2を参照して説明した光学素子10と同様に、光学面内において中心(光軸)から周辺部に向かって透過率が徐々に低下するグラデーション型のNDフィルタ(光学フィルタ)を透光部材1と透光部材5で挟んだ構成を有する。表2は、本実施例の光学フィルタの膜構成を示す。
本実施例において、透光部材1として硝材S2を用い、透光部材5として接着剤S5を用いる。硝材S2および接着剤S5は、吸収のない材料(非吸収層)である。また本実施例において、反射防止層2および反射防止層4はそれぞれ、膜材料M2と膜材料H2との交互層で構成される。膜材料M2、H2も吸収のない材料である。また本実施例において、吸収層3は吸収材料A2で構成される。
図7は、本実施例における光学素子を構成する材料(硝材S2、接着剤S5、膜材料M2、膜材料H2)の屈折率を示す図である。図7において、横軸は波長(nm)、縦軸は屈折率nをそれぞれ示す。図8は、吸収層3(吸収材料A2)の屈折率nおよび消衰係数kを示す図である。図8において、横軸は波長(nm)、縦軸は屈折率nおよび消衰係数kをそれぞれ示す。また図8において、実線は屈折率n、破線は消衰係数kをそれぞれ示す。波長400〜700nmの範囲において、0.12≦k≦0.22である。
図9は、本実施例の光学素子(光学フィルタ)の分光透過率および分光反射率を示す図である。図9において、R_S5は透光部材5(接着剤S5)側から光が入射した場合の分光反射率を示し、R_S2は透光部材1(硝材S2)側から光が入射した場合の分光反射率を示す。本実施例の光学素子は、条件式(2)を満足するため、分光反射率R_S5および分光反射率R_S2ともに、低い反射率を実現している。
次に、図10乃至図12を参照して、本発明の実施例3における光学素子について説明する。本実施例の光学素子は、図1および図2を参照して説明した光学素子10と同様に、光学面内において中心(光軸)から周辺部に向かって透過率が徐々に低下するグラデーション型のNDフィルタ(光学フィルタ)を透光部材1と透光部材5で挟んだ構成を有する。表3は、本実施例の光学フィルタの膜構成を示す。
本実施例において、透光部材1として硝材S3を用い、透光部材5として接着剤S6を用いる。硝材S3および接着剤S6は、吸収のない材料(非吸収層)である。また本実施例において、反射防止層2および反射防止層4はそれぞれ、膜材料M1と膜材料H3との交互層で構成される。膜材料M1、H3も吸収のない材料である。また本実施例において、吸収層3は吸収材料A3で構成される。
図10は、本実施例における光学素子を構成する材料(硝材S3、接着剤S6、膜材料M1、膜材料H3)の屈折率を示す図である。図10において、横軸は波長(nm)、縦軸は屈折率nをそれぞれ示す。図11は、吸収層3(吸収材料A3)の屈折率nおよび消衰係数kを示す図である。図11において、横軸は波長(nm)、縦軸は屈折率nおよび消衰係数kをそれぞれ示す。また図11において、実線は屈折率n、破線は消衰係数kをそれぞれ示す。波長400〜700nmの範囲において、0.12≦k≦0.22である。
図12は、本実施例の光学素子(光学フィルタ)の分光透過率および分光反射率を示す図である。図12において、R_S6は透光部材5(接着剤S6)側から光が入射した場合の分光反射率を示し、R_S3は透光部材1(硝材S3)側から光が入射した場合の分光反射率を示す。本実施例の光学素子は、条件式(2)を満足するため、分光反射率R_S6および分光反射率R_S3ともに、低い反射率を実現している。
次に、図1、図5、および図13乃至図15を参照して、本発明の実施例4における光学素子について説明する。本実施例の光学素子は、図1を参照して説明した光学素子10と同様に、光学面内において中心(光軸)から周辺部に向かって透過率が徐々に低下するグラデーション型のNDフィルタ(光学フィルタ)を透光部材1と透光部材5で挟んだ構成を有する。
図13は、本実施例の光学素子のある位置における膜構成を示す概略断面図である。なお図13において、説明の便宜上、吸収層3の膜厚を一定として示している。図13に示されるように、反射防止層2は、透光部材1側から順に、薄膜21、22、23、24を有する。吸収層3は、薄膜(第3の膜または第3の領域)24に隣接する位置から順に、薄膜(第1の膜または第1の領域)31および薄膜(第2の膜または第2の領域)32を有する。反射防止層4は、吸収層3側から順に、薄膜41、42、43、44を有する。表4は、本実施例の光学フィルタの膜構成を示す。
本実施例において、透光部材1として硝材S1を用い、透光部材5として接着剤S5を用いる。硝材S1および接着剤S5は、吸収のない材料(非吸収層)である。また本実施例において、反射防止層2および反射防止層4はそれぞれ、膜材料M1と膜材料H1との交互層で構成される。膜材料M1、H1も吸収のない材料である。また本実施例において、吸収層3は薄膜31(吸収材料A4)と薄膜32(吸収材料A5)とで構成される。本実施例の光学素子の各材料(硝材S1、接着剤S5、膜材料M1、膜材料H1)は、図5に示されるような屈折率を有する。図14は、吸収層3(吸収材料A4、A5)のそれぞれの屈折率nおよび消衰係数kを示す図である。図14において、横軸は波長(nm)、縦軸は屈折率nおよび消衰係数kをそれぞれ示す。また図14において、実線は屈折率n、破線は消衰係数kをそれぞれ示す。波長400〜700nmの範囲において、吸収材料A4の消衰係数kは0.07≦k≦0.38、吸収材料A5の消衰係数kは0.20≦k≦0.28である。
図15は、本実施例の光学素子(光学フィルタ)の分光透過率および分光反射率を示す図である。図15において、R_S5は透光部材5(接着剤S5)側から光が入射した場合の分光反射率を示し、R_S1は透光部材1(硝材S1)側から光が入射した場合の分光反射率を示す。本実施例の光学素子は、条件式(2)を満足するため、分光反射率R_S5および分光反射率R_S1ともに、低い反射率を実現している。
次に、図1、図7、図13、図16、および図17を参照して、本発明の実施例5における光学素子について説明する。本実施例の光学素子は、図1および図13を参照して説明した光学素子と同様に、光学面内において中心(光軸)から周辺部に向かって透過率が徐々に低下するグラデーション型のNDフィルタ(光学フィルタ)を透光部材1と透光部材5で挟んだ構成を有する。表5は、本実施例の光学フィルタの膜構成を示す。
本実施例において、透光部材1として硝材S2を用い、透光部材5として接着剤S5を用いる。硝材S2および接着剤S5は、吸収のない材料(非吸収層)である。また本実施例において、反射防止層2および反射防止層4はそれぞれ、膜材料M2と膜材料H2との交互層で構成される。膜材料M2、H2も吸収のない材料である。また本実施例において、吸収層3は薄膜31(吸収材料A6)と薄膜32(吸収材料A7)とで構成される。本実施例の光学素子の各材料(硝材S2、接着剤S5、膜材料M2、膜材料H2)は、図7に示されるような屈折率を有する。図16は、吸収層3(吸収材料A6、A7)のそれぞれの屈折率nおよび消衰係数kを示す図である。図16において、横軸は波長(nm)、縦軸は屈折率nおよび消衰係数kをそれぞれ示す。また図16において、実線は屈折率n、破線は消衰係数kをそれぞれ示す。波長400〜700nmの範囲において、吸収材料A6の消衰係数kは0.07≦k≦0.38、吸収材料A7の消衰係数kは0.20≦k≦0.28である。
図17は、本実施例の光学素子(光学フィルタ)の分光透過率および分光反射率を示す図である。図17において、R_S5は透光部材5(接着剤S5)側から光が入射した場合の分光反射率を示し、R_S2は透光部材1(硝材S2)側から光が入射した場合の分光反射率を示す。本実施例の光学素子は、条件式(2)を満足するため、分光反射率R_S5および分光反射率R_S2ともに、低い反射率を実現している。
次に、図1、図13、図14、図18、および図19を参照して、本発明の実施例6における光学素子について説明する。本実施例の光学素子は、図1および図13を参照して説明した光学素子と同様に、光学面内において中心(光軸)から周辺部に向かって透過率が徐々に低下するグラデーション型のNDフィルタ(光学フィルタ)を透光部材1と透光部材5で挟んだ構成を有する。表6は、本実施例の光学フィルタの膜構成を示す。
本実施例において、透光部材1として硝材S7を用い、透光部材5として接着剤S6を用いる。硝材S7および接着剤S6は、吸収のない材料(非吸収層)である。また本実施例において、反射防止層2および反射防止層4はそれぞれ、膜材料M1と膜材料H2との交互層で構成される。膜材料M1、H2も吸収のない材料である。また本実施例において、吸収層3は薄膜31(吸収材料A6)と薄膜32(吸収材料A7)とで構成される。図18は、本実施例の光学素子の各材料(硝材S7、接着剤S6、膜材料M1、膜材料H2)の屈折率を示す図である。吸収層3(吸収材料A6、A7)のそれぞれの屈折率nおよび消衰係数kは、図14に示されるとおりである。
図19は、本実施例の光学素子(光学フィルタ)の分光透過率および分光反射率を示す図である。図19において、R_S6は透光部材5(接着剤S5)側から光が入射した場合の分光反射率を示し、R_S7は透光部材1(硝材S7)側から光が入射した場合の分光反射率を示す。本実施例の光学素子は、条件式(2)を満足するため、分光反射率R_S5および分光反射率R_S2ともに、低い反射率を実現している。
次に、図21を参照して、本発明の実施例7における撮像装置(光学機器)について説明する。図21は、本実施例における撮像装置400の断面図である。撮像装置400は、撮像装置本体410と撮像装置本体410に着脱可能なレンズ装置420を備えて構成される。ただし本実施例は、これに限定されるものではなく、撮像装置本体とレンズ装置とが一体的に構成された撮像装置にも適用可能である。レンズ装置420は、複数の光学素子(レンズ群)422および絞りSPを有し、光学系(撮像光学系)を構成する。撮像装置本体410は、CMOSセンサなどの撮像素子412を有する。撮像素子412は、撮像面IPに配置され、光学系を介して形成された被写体像(光学像)を光電変換して画像データを出力する。
被写体像は、光学系を透過して、撮像面IPに結像する。本実施例において、絞りSP、または、絞りSPの前後のレンズ面のうち少なくとも1つの面に、実施例1〜6のいずれかの光学素子(グラデーション型NDフィルタ)が設けられる。ただし、本実施例はこれに限定されるものではなく、光学フィルタを光学系の他のレンズ面に設けてもよい。
図21に示される光学系は、共軸回転対称光学系である。このような光学系では、図20(a)、(b)に示されるような同心円状の透過率分布を有する光学フィルタを用いることが好ましい。また、図1に示されるように、光学フィルタ100の中心部(光軸を含む中心領域)に吸収層3の厚さが0の領域を設ける(すなわち吸収層3を設けない)ことにより、光学フィルタによる透過率の減少を抑制することができるため、好ましい。撮像装置400が位相差検出方式の自動焦点合わせ機構(AF機構)を有する場合、位相差検出に使用される光束の透過率が変化しないように、中心領域に吸収層の厚さが0の領域を設けることが好ましい。
光学面の中心(光軸)から距離r1、r2(r1<r2)における透過率をT(r1)、T(r2)とするとき、T(r1)≧T(r2)を満足するグラデーション型NDフィルタを配置すると、アポダイゼーション効果により品位の高いボケ像を得ることができる。また、絞りSPの前後に各実施例のグラデーション型NDフィルタを配置することにより、軸外光束に対しても有効にアポダイゼーション効果を得ることができ、画面全域に対して品位の高い画像が得られる。反対に、T(r1)≦T(r2)のような特性を有するグラデーション型NDフィルタを用いると、画像の周辺減光を補正することができる。
このような位置に光学フィルタを設けた場合、通常、反射光が迷光となりゴーストやフレアの原因となる。しかし、各実施例のグラデーション型NDフィルタの場合、透過率分布を有しつつ反射率を低減するため、像側および物体側の双方からの光に対してもゴーストやフレアを低減した高品位な像が得られる。なお、図21に示される断面図は一例であり、各実施例の光学フィルタは、1つの撮影光学系のレンズに限定されることなく、様々な光学系に適用することができる。
各実施例によれば、基板面内で透過率の異なる領域に対し、基板側および基板と反対側から入射する光に対して高い反射防止効果を有する、作製が容易なグラデーション型のNDフィルタを提供することができる。このため各実施例によれば、透過率の異なる領域に対して高い反射防止性能を有する光学素子、光学系、および、光学機器を提供することが可能である。また一般に、反射防止構造体の作製は容易でなく、反射防止構造体が壊れてしまう可能があるため反射防止構造体に触れることはできないが、各実施例によれば、光学素子の作製が容易である。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
2 反射防止層(第1の反射防止層)
3 吸収層
4 反射防止層(第2の反射防止層)
10 光学素子

Claims (13)

  1. 透過率が変化する領域を含む光学素子であって、
    第1及び第2の反射防止層と、
    該第1及び第2の反射防止層の間に配置された吸収層とを有し、
    前記吸収層において前記第1の反射防止層に隣接する第1の膜の屈折率をn、前記吸収層において前記第2の反射防止層に隣接する第2の膜の屈折率をn、前記第1の反射防止層において前記吸収層に隣接する第3の膜の屈折率をn、前記第2の反射防止層において前記吸収層に隣接する第4の膜の屈折率をnとするとき、
    |n−n|≦0.45
    |n−n|≦0.45
    なる条件式を満足することを特徴とする光学素子。
  2. 第1及び第2の透光部材を有し、前記第1及び第2の反射防止層は前記第1及び第2の透光部材の間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記第1の透光部材の屈折率をN、前記第2の透光部材の屈折率をNとするとき、
    |N−N|≦0.45
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項2に記載の光学素子。
  4. 前記第1の反射防止層を構成する膜の数は、前記第2の反射防止層を構成する膜の数と等しいことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の光学素子。
  5. 前記第1の反射防止層は前記第3の膜を含む複数の膜を備え、前記第2の反射防止層は前記第4の膜を含む複数の膜を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光学素子。
  6. 前記第1及び第2の膜は共通の膜であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の光学素子。
  7. 前記吸収層は、前記第1及び第2の膜を含む複数の膜を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の光学素子。
  8. 前記吸収層は、同心円状の膜厚分布を有することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の光学素子。
  9. 前記吸収層の膜厚は、中心から周辺部に向かって増加することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の光学素子。
  10. 前記吸収層は、径方向における中心に設けられていないことを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の光学素子。
  11. 前記吸収層の消衰係数をkとするとき、
    0.05≦k≦0.35
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の光学素子。
  12. 複数の光学素子を有し、該複数の光学素子は請求項1乃至11の何れか一項に記載の光学素子を含むことを特徴とする光学系。
  13. 撮像素子と、請求項1乃至11の何れか一項に記載の光学素子とを有することを特徴とする光学機器。
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