JP6776215B2 - 光学素子及びそれを有する光学系 - Google Patents

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Description

本発明は、デジタルカメラ等の光学系に用いられる光学素子に関する。
デジタルカメラ等の光学系に用いられる光学素子の一つとして、光学面内に透過率分布を有するグラデーション型のND(Neutral Density)フィルタが知られている。グラデーション型のNDフィルタ(以下GNDフィルタと称する)を用いることで、画像の明るさを任意に制御することや、焦点外れ像(ボケ像)の輪郭の先鋭度のばらつきを改善することができる。
GNDフィルタに求められる特性として、透過率の波長依存性が小さいことが挙げられる。
特許文献1には、基板の表面と裏面に、それぞれ異なる金属からなる吸収層を形成することで、透過率の波長依存性を低減したGNDフィルタが記載されている。
特開2009−288294号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたGNDフィルタの場合、吸収層として大きな消衰係数を有する金属膜を用いているため、吸収層の膜厚を変化させて透過率分布を形成すると、GNDフィルタの位置に応じて反射率が顕著に変化してしまう。反射率の変化が大きい場合、GNDフィルタ全域において低い反射率を実現することは困難であり、フレアやゴーストの要因となる不要光を発生してしまう問題があった。
本発明の目的は、吸収層の透過率の変化による透過率の波長依存性と反射率の変化を共に低減できる光学素子を提供することである。
本発明の光学素子は、基板と、前記基板上の位置に応じて透過率の異なる吸収層と、を備える光学素子であって、前記吸収層は、波長400nmにおける吸収係数が波長700nmにおける吸収係数よりも小さい第1の材料と、波長400nmにおける吸収係数が波長700nmにおける吸収係数よりも大きい第2の材料と、を含んでおり、前記吸収層の消衰係数は、波長400nmから700nmにおいて0.005以上0.5以下であることを特徴とする。
また本発明の他の光学素子は、基板と、前記基板上の位置に応じて透過率の異なる吸収層と、を備える光学素子であって、前記吸収層は、第1の材料および第2の材料を含んでおり、前記第1の材料は、波長400nmから700nmにおいて消衰係数が0.005以上0.5以下のチタン酸化物であり、前記第2の材料は、波長400nmから700nmにおいて消衰係数が0.005以上0.5以下のニオブ酸化物またはタンタル酸化物であることを特徴とする。
また本発明の他の光学素子は、基板と、前記基板上の位置に応じて透過率の異なる吸収層と、を備える光学素子であって、前記吸収層は、波長400nmにおける吸収係数が波長700nmにおける吸収係数よりも小さい第1の材料と、波長400nmにおける吸収係数が波長700nmにおける吸収係数よりも大きい第2の材料と、を含む単一の層であり、前記吸収層の消衰係数は、波長400nmから700nmにおいて0より大きく0.5以下であることを特徴とする。
また本発明の他の光学素子は、基板と、前記基板上の位置に応じて透過率の異なる吸収層と、を備える光学素子であって、前記吸収層は、第1の材料および第2の材料を含む単一の層であり、前記第1の材料は、波長400nmから700nmにおいて消衰係数が0より大きく0.5以下のチタン酸化物であり、前記第2の材料は、波長400nmから700nmにおいて消衰係数が0より大きく0.5以下のニオブ酸化物またはタンタル酸化物であることを特徴とする。
また本発明の他の光学素子は、基板と、入射光の一部を吸収し波長400nmにおける吸収係数が波長700nmにおける吸収係数よりも小さい第1の材料を含む第1の吸収層と、入射光の一部を吸収し波長400nmにおける吸収係数が波長700nmにおける吸収係数よりも大きい第2の材料を含む第2の吸収層と、を有する光学素子であって、前記第1の吸収層と前記第2の吸収層のうち少なくとも一方の透過率は、前記基板上の位置に応じて異なり、前記第1の吸収層と前記第2の吸収層の消衰係数は、波長400nmから700nmにおいて、共に0.005以上0.5以下であることを特徴とする。
また本発明の他の光学素子は、基板と、入射光の一部を吸収し波長400nmから700nmにおいて消衰係数が0.005以上0.5以下であるチタン酸化物を含む第1の吸収層と、入射光の一部を吸収し波長400nmから700nmにおいて消衰係数が0.005以上0.5以下であるニオブ酸化物またはタンタル酸化物を含む第2の吸収層と、を有する光学素子であって、前記第1の吸収層と前記第2の吸収層のうち少なくとも一方の透過率は、前記基板上の位置に応じて異なることを特徴とする。
本発明によれば、吸収層の透過率の変化による透過率の波長依存性と反射率の変化を共に低減できる光学素子を実現できる。
実施例1のGNDフィルタの概略図である。 実施例1のGNDフィルタの吸収層の膜厚分布を示す図である。 実施例1のGNDフィルタの反射率および透過率の波長依存性を示す図である。 実施例2のGNDフィルタの概略図である。 実施例2のGNDフィルタの吸収層の膜厚分布である。 実施例2のGNDフィルタの反射率および透過率の波長依存性を示す図である。 実施例3のGNDフィルタの概略図である。 実施例3のGNDフィルタの吸収層および位相補償層の膜厚分布である。 実施例3のGNDフィルタの透過波面の位相ずれを示す図である。 実施例3のGNDフィルタの反射率および透過率の波長依存性を示す図である。 実施例4のGNDフィルタの概略図である。 実施例4のGNDフィルタの吸収層および位相補償層の膜厚分布である。 実施例4のGNDフィルタの透過波面の位相ずれを示す図である。 実施例4のGNDフィルタの反射率および透過率の波長依存性を示す図である。 消衰係数の波長依存性の一例を示す図である。 透過率分布の一例を示す図である。 変形例1のGNDフィルタの概略図である。 変形例2のGNDフィルタの概略図である。 光学系の断面図および撮像装置の概略図である。 膜厚と透過率の関係の例を示す図である。 図1のGNDフィルタを簡略化したGNDフィルタの概略図である。 図21のGNDフィルタにおけるアドミタンス軌道図の例である。 図21のGNDフィルタにおけるアドミタンス軌道図の例である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部位については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の光学素子としてのGNDフィルタ10を示す概略図である。本実施形態のGNDフィルタ10は、基板11と、入射光の一部を吸収する吸収層13と、を有する。
本実施形態において、吸収層13は、第1の材料からなる第1の膜131と、第2の材料からなる第2の膜132とを有する。第1の材料および第2の材料は、共に0.5以下の消衰係数を有する。
吸収層13の膜厚は、基板11の面法線と垂直な方向である面内方向に変化している。これによって、吸収層13は基板上の位置に応じて異なる透過率を有している。
また、図1に示すように、表面層14をさらに設けても良い。この場合、吸収層13は、基板11と表面層14との間に設けられる。
また、図1に示すように、吸収層13と基板11の間に、中間層12をさらに設けても良い。なお、基板11の裏面11aには、これらと同一の層を積層したり、反射防止膜を設けたりしても良い(不図示)。
[吸収層について]
一般に、GNDフィルタにおいては、吸収層の透過率の変化によって透過率の波長依存性が変化するため、吸収層の透過率によらず透過率の波長依存性を小さくすることが困難であった。加えて、吸収層の透過率の異なる各領域において反射率が異なるため、吸収層の透過率によらず反射率を低く抑えることは困難であった。しかし、GNDフィルタ10においては、後述する式(1)および式(3)を満たすことで、吸収層の透過率の変化による透過率の波長依存性の変化および反射率の変化を共に低減できる。
まず、式(1)について説明する。吸収層13の透過率の変化による透過率の波長依存性の変化を低減するために、本実施形態のGNDフィルタ10では、第1の材料の吸収係数α(λ)および第2の材料の吸収係数α(λ)は、共に以下の条件式(1)を満たす。
α(400)<α(700), α(400)>α(700) (1)
ここで、上記式(1)における括弧内の数値は、ナノメートル(nm)を単位とした光の波長を表している。すなわち、式(1)は、第1の材料は、波長400nmにおける吸収係数が波長700nmにおける吸収係数よりも小さく、第2の材料は波長400nmにおける吸収係数が波長700nmにおける吸収係数よりも大きいことを表している。なお、吸収係数α(λ)とは、波長に依存した消衰係数をk(λ)としたとき、α(λ)=4πk(λ)/λで与えられる値である。
ここで、式(1)を満たすことで吸収層13の透過率の変化による透過率の波長依存性の変化を低減できる理由について説明する。
透過率の波長依存性と膜厚の関係の例として、図15(b)に示すような吸収係数を有するチタン酸化物からなる単一の薄膜に光が入射した場合を考える。図20に、チタン酸化物からなる単一の薄膜の膜厚が10nm、100nm、300nmであるときの透過率の変化を示す。
図20より、膜厚が厚くなるにつれて、透過率は低下していることがわかる。これは、入射光の強度をIとし、α(λ)なる吸収係数を有する膜の膜厚をtとしたとき、該吸収膜を透過した透過光の強度Iは、次の式(2)で与えられるためである。
I=I・exp(−α(λ)・t) (2)
また、図20より、透過率が低くなるにつれて、透過率は入射光の波長に依存して大きく変化するようになることがわかる。このような透過率の波長依存性の変化は、式(2)からもわかるように、α(λ)の波長依存性に応じて指数関数的に変化する。これは、吸収層13の膜厚が変化することにより、吸収層13の透過率の波長依存性が吸収層13を形成する材料の吸収係数の波長依存性に応じて変化することを意味する。
従って、GNDフィルタ10において吸収層13の透過率の変化による透過率の波長依存性の変化を低減するためには、α(λ)の波長依存性を小さくすれば良い。
第1の材料は、上述した式(1)を満たすため、短波長側の光よりも、長波長側の光を多く吸収する。また、第2の材料は、上述した式(1)を満たすため、長波長側の光よりも、短波長側の光を多く吸収する。このような第1の材料および第2の材料は、波長400nmから700nmまでの少なくとも一部において、一方の吸収係数が波長に対して増加し、他方の吸収係数が波長に対して減少する波長帯域(以下、異符号の波長帯域と称する)を有する。
このような異符号の波長帯域において、第1の材料の吸収係数と第2の材料の吸収係数は、互いに波長依存性を打ち消し合う関係にある。従って、吸収層13の吸収係数の波長依存性を全体として小さくし、平坦な吸収係数を得ることができる。
また、第1の材料と第2の材料が、共に式(1)を満たしていたとしても、波長400nmから700nmにおいて、吸収係数が共に増加、または共に減少する波長帯域(以下、同符号の波長帯域と称する)が存在することも考えられる。
しかしながら、本実施形態における吸収層13の吸収係数は、第1の材料と第2の材料の吸収係数を、吸収層における第1の材料と第2の材料の膜厚比に応じて足し合わせた値を有する。そのため、同符号の波長帯域における吸収層13の吸収係数の波長依存性は、第1の材料と第2の材料のうち、該波長帯域における吸収係数の波長依存性が大きい方よりも大きくなることはない。
そのため、式(1)を満たすことで、吸収層13の吸収係数の波長依存性を小さくすることができ、その結果、吸収層13の透過率の変化による透過率の波長依存性の変化を低減することができる。
次に、式(3)について説明する。吸収層13の消衰係数は、波長400nmから700nmにおいて、以下の条件式を満たす。
0<k≦0.5 (3)
吸収層13は入射光の少なくとも一部を吸収するため、0より大きな消衰係数を有している。また、吸収層13の消衰係数が小さいほど、吸収層13の透過率の変化による反射率の変化を小さくすることができる。式(3)は、上記を鑑みて適切なkの範囲を見出したものである。
ここで、吸収層13の消衰係数が小さいほど吸収層13の透過率の変化による反射率の変化を小さくすることができる理由について、GNDフィルタ10の吸収層を簡略化した構成を有するGNDフィルタ10aを例にして、詳しく説明する。
図21にGNDフィルタ10aの概略図を示す。GNDフィルタ10aは、基板1から順に、中間層2、吸収層3、表面層4が形成されている。中間層2は、膜21、22の2層からなる。吸収層3は、膜厚分布を有し、所定の消衰係数を備える単一の材料からなる膜により形成されている。表面層4は、膜41、42、43の3層からなる。すなわち、GNDフィルタ10aは、GNDフィルタ10と異なり、吸収層が単一の材料により形成されている。従って、GNDフィルタ10aはGNDフィルタ10と厳密には異なるが、以下の説明の要旨に影響はない。
図22、23は、GNDフィルタ10aにおけるアドミタンス軌道図である。
アドミタンスとは、媒質中の磁場強度と電場強度との比で表される値であり、自由空間のアドミタンスYを単位とすると、媒質の屈折率は数値的にはアドミタンスと等値となる。以下の説明では、アドミタンスηはYを単位として扱う。また、アドミタンス軌道図とは、等価アドミタンスの概念を用いた膜特性を表現する図である。等価アドミタンスとは、基板の上に薄膜を加えた系全体をそれと等価な特性を持つ1つの基板に置き換えた場合のアドミタンスを指す。
なお、等価アドミタンス、および、アドミタンス軌道図の詳細については、文献「李正中著,株式会社アルバック訳,“光学薄膜と成膜技術”」に説明されている。
図22(a)、(b)、(c)は、吸収層3の消衰係数が0.218である場合について、GNDフィルタ10aにおけるアドミタンス軌道図を示している。図22(a)、(b)、(c)の各図は、このようなGNDフィルタ10aにおいて透過率が100%、79%、10%である位置に、空気側から光が入射した場合のアドミタンス軌道図である。GNDフィルタ10aにおいて、吸収層3の膜厚が厚い位置ほど透過率は低くなる。すなわち、図22(a)は吸収層3の膜厚は0である位置におけるアドミタンス軌道を示しており、図22(b)から図22(c)にかけて吸収層3の膜厚は増している。
まず、図22(a)のアドミタンス軌道図を例として、図の見方を説明する。図22において、横軸はアドミタンスηの実数部Re(η)、縦軸はアドミタンスの虚数部Im(η)をそれぞれ示し、図中の×印は基板1のアドミタンス、○印は空気のアドミタンスをそれぞれ表している。基板1の屈折率をNsubとすると、基板1のアドミタンスηsub=Nsubとなる。一方、光の吸収がある場合、その際のアドミタンスは、複素屈折率N−ikと等値となる。ここで、Nは屈折率、kは消衰係数である。
図22(a)の軌道は、基板1に膜21、22、3、41、42、43を順に成膜した場合における等価アドミタンスの変化を示している。膜43(最終層)を成膜した場合の軌道の終点が最終的な等価アドミタンスを表しており、この等価アドミタンスと空気のアドミタンス(=1)により、フレネル係数および反射率を算出することができる。等価アドミタンスが空気のアドミタンスと等しい場合、反射率は0となる。
図22(a)は、吸収層3の膜厚が0の場合を示しているが、吸収層3の膜厚が増加して透過率が減少すると、アドミタンス軌道は図22(b)、(c)のように変化する。吸収層3の膜厚が十分に厚い場合、空気側から光が入射したとき、基板1から吸収層3までの等価アドミタンスは、吸収層3の複素屈折率に略等しい。
図22(a)に示す吸収層3の膜厚が0の場合と、図22(c)に示す吸収層3の膜厚が十分に厚い場合とを比較すると、等価アドミタンスは消衰係数k=0.218に相当する分だけ変化している。
このように、吸収層3の消衰係数が0.218のとき、GNDフィルタ10aに空気側から光が入射した場合、基板1から吸収層3までの等価アドミタンスは、図22(a)〜(c)の範囲内で変化する。
次に、吸収層3の消衰係数が0.5の場合について、GNDフィルタ10aにおけるアドミタンス軌道図を図23に示す。図23(a)、(b)、(c)の各図は、このようなGNDフィルタ10aにおいて透過率が100%、79%、10%である位置に、空気側から光が入射した場合のアドミタンス軌道図である。図23(c)に示すように、吸収層3の膜厚が十分に厚い場合、基板1から吸収層3までの等価アドミタンスが吸収層3の複素屈折率に略等しい。
図23(a)に示す吸収層3の膜厚が0の場合と、図23(c)に示す吸収層3の膜厚が十分に厚い場合とを比較すると、等価アドミタンスは消衰係数k=0.5に相当する分だけ変化している。吸収層3の膜厚の変化による基板1から吸収層3までの等価アドミタンスの変化について、図22と図23を比較することで、図22の各図に示す変化の方がより小さいことがわかる。これは、図23に示した場合に比べて図22に示した場合の方が吸収層3の消衰係数が小さいためである。
吸収層3の膜厚の変化による基板1から吸収層3までの等価アドミタンスの変化が小さい場合、膜43(最終層)まで成膜したときの最終的な等価アドミタンスの変化も小さくなる。反対に、吸収層3の消衰係数が0.5よりも大きくなると、等価アドミタンスの変化は図23に示した場合よりも更に大きくなる。吸収層3の膜厚の変化による基板1から吸収層3までの等価アドミタンスの変化が小さいことは、吸収層3の膜厚変化による反射率の変化も小さいことを意味する。ゆえに、吸収層3の消衰係数が小さいほど、吸収層3の膜厚変化による反射率の変化を小さくすることができる。
これは、GNDフィルタ10のように吸収層13が第1の材料および第2の材料を有する場合についても同様であり、吸収層13の消衰係数が小さければ、吸収層13の透過率の変化による反射率の変化を小さくすることができる。従って、式(3)を満たすことで、GNDフィルタ10において吸収層13の透過率の変化による反射率の変化を小さくすることができる。
なお、本実施形態において、吸収層13は第1の材料からなる第1の膜131と、第2の材料からなる第2の膜132により形成されている。このときの吸収層13の消衰係数は、第1の膜131と第2の膜132との界面において変化することになるが、第1の膜131と第2の膜132が、共に上述の式(3)を満たしていれば、吸収層13が式(3)を満たしていることになる。
具体的には、本実施形態における吸収層13の消衰係数は、第1の膜131においては第1の材料の消衰係数に等しく、第2の膜132においては第2の材料の消衰係数に等しい。この場合、第1の材料の消衰係数と第2の材料の消衰係数が、共に式(3)の範囲内であれば良い。
以上のように、GNDフィルタ10は、上述の式(1)、(3)を満たす。これにより、吸収層13の透過率の変化による透過率の波長依存性と反射率の変化を共に低減することができる。
なお、吸収層13の消衰係数が大きいほど、吸収層13の膜厚を薄くすることができる。これにより、蒸着やスパッタリングにより吸収層13を形成する場合において、成膜時間を短縮することができる。さらに、吸収層13の膜厚が薄いほど吸収層13による透過波面の位相ずれを少なくすることができる。そのため、式(3)の範囲は、好ましくは以下の式(3a)の範囲とすると良い。
0.005≦k≦0.5 (3a)
また、より好ましくは、式(3)の範囲を以下の式(3b)の範囲とすると良い。
0.05≦k≦0.4 (3b)
また、本実施形態のGNDフィルタ10において、吸収層13は第1の膜131および第2の膜132から構成されているが、吸収層13を構成する各膜は、次の条件式(4)を満たすことが好ましい。
|ΔNabs|<0.25 (4)
ただし、ΔNabsは吸収層13を構成する膜のうち、隣接する膜同士の波長550nmの光に対する屈折率差である。式(4)を満たすことで、吸収層13を構成する膜同士の界面における屈折率差を小さくし、反射率の変化をより低減することができる。
また、吸収層13を構成する各膜は、次の条件式(5)を満たすことが好ましい。
|Δkabs|<0.2 (5)
ただし、Δkabsは吸収層13を構成する膜のうち、隣接する膜同士の波長550nmの光に対する消衰係数差である。式(5)を満たすことで、吸収層13を構成する膜同士の界面における消衰係数差を小さくし、反射率の変化をより低減することができる。
さらに、吸収層13の膜厚変化による透過率の波長依存性の変化をより低減するためには、第1の材料の吸収係数α(λ)および第2の材料の吸収係数α(λ)の波長依存性に応じて第1の膜131および第2の膜132の膜厚を調整すると良い。そのため、吸収層13の膜厚が最大となる位置における第1の膜131の膜厚をt、第2の膜132の膜厚をtとしたとき、GNDフィルタ10は、以下の条件式を満たす。
−1.5≦(a/a)・(t/t)≦−0.7 (6)
ただしaは、異符号の波長帯域において、最小二乗法によって第1の材料の吸収係数α(λ)を波長λに対して線形近似した際のλの係数である。また、aは、異符号の波長帯域において、最小二乗法によって第2の材料の吸収係数α(λ)を波長λに対して線形近似した際のλの係数である。すなわち、aは異符号の波長帯域におけるα(λ)の近似直線の傾きであり、aは異符号の波長帯域におけるα(λ)の近似直線の傾きである。
第1の膜131および第2の膜132が式(6)を満たすことにより、異符号の波長帯域において互いの吸収係数の波長依存性を打ち消し合う効果を大きくすることができる。そのため、吸収層13の膜厚変化による透過率の波長依存性の変化をより低減することができる。なお、より好ましくは、式(6)は以下の範囲とすると良い。
−1.1≦(a/a)・(t/t)≦−0.9 (6a)
さらに、吸収層13の膜厚に依らず第1の膜131と第2の膜132の膜厚の比を一定とすることで、吸収層13の膜厚変化による透過率の波長依存性の変化をより低減することができる。
上述のような膜厚比で第1の膜131および第2の膜132を形成するに際し、第1の材料および第2の材料は以下の条件式を満足することが好ましい。
−10<a/a<−0.1 (7)
式(7)を満たすことで、第1の膜131および第2の膜132の膜厚比が極端に大きくなることはなく、第1の膜131と第2の膜132を蒸着等で形成する際に、膜厚の調整を容易に行うことができる。
次に、第1の材料と第2の材料として用いることのできる具体的な材料について説明する。図15(a)にチタン酸化物、ニオブ酸化物、タンタル酸化物の各材料の消衰係数の波長依存性を、図15(b)に吸収係数の波長依存性を示す。
図15(b)に示すように、第1の材料としてチタン酸化物を選択し、第2の材料としてニオブ酸化物またはタンタル酸化物を選択することで、式(1)を満たすことがわかる。
この場合、波長400nmから700nmまでの全波長帯域が異符号の波長帯域に相当する。また、図15(a)より、チタン酸化物、ニオブ酸化物、タンタル酸化物の各材料の消衰係数は波長400から700nmにおいて0.5以下であることがわかる。すなわち、これらの材料から吸収層を形成することで、吸収層の消衰係数は式(3)を満たす。ただし、第1の材料および第2の材料としては、上記に限られず、式(1)を満たす材料を適宜選択し、吸収層13の消衰係数が式(3)を満たすようにすればよい。
なお、第1の材料としてチタン酸化物を用いる場合は、第1の膜131は吸収層13において最も基板11に近い側に配置するとよい。チタン酸化物は、高温下、高湿下、または紫外線照射時において酸化状態が変化しやすい。しかし、チタン酸化物からなる第1の膜131を吸収層13において基板11に最も近い側に配置することで、他の膜によってチタン酸化物からなる膜を保護することができ、チタン酸化物の酸化状態の変化を抑制することができる。
さらに、第1の材料がチタン酸化物である場合、酸化状態の変化による透過率・反射率の変化を抑制するために、式(7)に代わり以下の条件を満たすことが好ましい。
−10<a/a≦−1 (7a)
式(7a)を満たすことで、第2の膜132の膜厚と比較して第1の膜131の膜厚を薄くすることができる。これによって、チタン酸化物の酸化状態の変化による反射率・透過率の変化を抑制することができる。
なお、本実施形態では、吸収層13が第1の膜131および第2の膜132からなる2層構造である例を示したが、本発明はこれに限定されない。吸収層13が式(1)、(3)を満たす第1の材料と第2の材料とを含んでいればよく、例えば吸収層13が他の膜を更に有していても良い。また、吸収層13を形成する各膜は、式(4)、(5)を満たしていることが好ましい。さらに、吸収層13を形成する各膜の吸収係数の波長依存性に応じて各膜の膜厚比を設計することで、吸収層13の膜厚変化による透過率の波長依存性の変化をより低減することができる。
[表面層および中間層について]
次に、表面層14および中間層12について説明する。
一般に、GNDフィルタのように吸収層を有する光学素子において、空気側から光が入射した場合と、基板側から光が入射した場合とでは、異なる反射率を示す。これは、吸収層がある場合、光学素子の各界面におけるフレネル係数が光の入射方向によって異なるためである。空気側から光が入射した場合と、基板側から光が入射した場合との両方に対して反射率を低減するため、GNDフィルタ10は、中間層12と、表面層14とを有する。
表面層14は、主として吸収層13と空気との間における反射率を低減する機能を有する。表面層14は単一または複数の薄膜によって構成されている。表面層14を構成する薄膜の数を増やすことによって、屈折率の調整、反射防止帯域の拡大、入射角度依存性の低減、偏光依存性の低減をすることができる。表面層14としては、均一な積層膜に限らず、中空微粒子を含む層を設けたり、表面に微細な凹凸構造を有する構造体を設けたりしても良い。
また、中間層12は主として基板11と吸収層13との間における反射率を低減する機能を有する。中間層12は単一または複数の薄膜によって構成されている。中間層12を構成する薄膜の数を増やすことによって、屈折率の調整、反射防止帯域の拡大、入射角度依存性の低減、偏光依存性の低減をすることができる。
GNDフィルタ10は上述の式(3)を満たすため、吸収層13の透過率の変化による反射率の変化は小さくなっている。そのため、空気側から光が入射した場合、均一な膜厚を有する表面層14を設けるだけの単純な構成でありながら、吸収層13の透過率に依らず反射率を低減することができる。同様に、基板側から光が入射した場合、均一な膜厚を有する中間層12を設けるだけの単純な構成でありながら、吸収層13の透過率に依らず反射率を低減することができる。
また、表面層14は、以下の条件式(8)を満たす屈折率N14を有する膜を備えて構成されていることが好ましい。
1<N14<Nabs,sur (8)
ただし、Nabs,surは、吸収層13を構成する膜のうち、表面層14に最も近い膜の屈折率である。式(8)を満たすことにより、光が基板側から入射した際の、空気から吸収層13までの等価アドミタンスの変化をさらに小さくすることができる。その結果、吸収層13の膜厚変化による反射率の変化をさらに低減することができる。
また、中間層12は、以下の条件式(9)または(9a)を満たす屈折率N12を有する膜を備えて構成されていることが好ましい。
sub<N12<Nabs,int (ただしNsub<Nabs,int) (9)
sub>N12>Nabs,int (ただしNsub>Nabs,int) (9a)
ただし、Nabs,intは、吸収層13を構成する膜のうち、中間層12に最も近い膜の屈折率、Nsubは基板11の屈折率である。すなわち、式(9)または(9a)を満たすことは、中間層12は、屈折率がNabs,intとNsubとの間の値の膜を備えていることを示す。式(9)または(9a)を満たすことにより、光が空気側から入射した際の、基板11から吸収層13までの等価アドミタンスの変化をさらに小さくすることができる。その結果、吸収層13の透過率変化による反射率の変化をさらに低減することができる。
[吸収層の膜厚分布による透過波面の位相差について]
本実施形態のGNDフィルタ10は、膜厚分布を有する吸収層13を有する。そのため、吸収層13を透過した光の透過波面において吸収層13の膜厚に応じた位相ずれが生じることが考えられる。このような透過波面の位相ずれを補償するために、図7に示すGNDフィルタ30や、図11に示すGNDフィルタ40のように、膜厚分布を有する位相補償層32、43をさらに設けても良い。
図8は、位相補償層32を有するGNDフィルタ30における吸収層34および位相補償層32の膜厚分布を図示したものであり、縦軸は膜厚、横軸はGNDフィルタ30の半径で規格化した面内の位置を示す。図8に示すように、吸収層34の膜厚はGNDフィルタ30の中心から周辺に向かって増加するのに対し、位相補償層32の膜厚は中心から周辺に向かって減少するように変化している。すなわち、位相補償層32の膜厚は、吸収層34の膜厚の増加する方向に対して反対の方向に増加している。
透過波面の位相ずれを良好に補正するためには、以下の条件を満たすように位相補償層32の膜厚を変化させることが好ましい。
|ΔOPD/λ|≦0.30 (10)
ここで、λは光の波長であり、ΔOPDは吸収層34の膜厚が最も薄い位置における光路長と該位置よりも吸収層34の膜厚が厚い位置における光路長との差である。すなわち、ΔOPDとは、吸収層34の膜厚が最も薄い位置を基準とした光路長差である。GNDフィルタ30においては、規格化半径0で示す位置(GNDフィルタ30の中心部)における光路長と、その他の位置における光路長の差がΔOPDに相当する。なお、ここで言う光路長とは、基板31に積層された各層の屈折率と物理膜厚の積の和で定義される量である。
式(10)を満たすことにより、図9に示すように、吸収層32の膜厚分布によるΔOPDを補償することができる。
また、吸収層と位相補償層の複素屈折率は相違するため、吸収層の膜厚に依らず位相補償層のアドミタンスと吸収層のアドミタンスを一致させることは困難である。そのため、位相補償層の膜厚変化によっても反射率は変化する。
位相補償層を吸収層よりも基板に近い側に配置した場合、位相補償層と吸収層の膜厚変化による反射率の変化は、空気側から光が入射した場合に比べて基板側から光が入射した場合において大きくなる傾向がある。一方、吸収層を位相補償層よりも基板に近い側に配置した場合、位相補償層と吸収層の膜厚変化による反射率の変化は、基板側から光が入射した場合に比べて空気側から光が入射した場合において大きくなる傾向がある。
このように、吸収層と位相補償層の膜厚変化による反射率の変化の傾向は、位相補償層を配置する位置と光の入射方向によって異なる。一般に、基板側入射時の反射率を低減することは、空気側入射時の反射率を低減することに比べて容易である。従って、空気側から光が入射した時の反射率と基板側から光が入射した時の反射率をバランスよく低減するには、位相補償層を基板と吸収層との間に配置することが好ましい。
加えて、GNDフィルタ30のように、位相補償層32を基板31に隣接する位置に配置する場合には、以下の条件式を満たすことが好ましい。
|Nsub−Ncmp|<0.10 (11)
ただし、Nsubは基板31の波長550nmの光に対する屈折率、Ncmpは位相補償層32の波長550nmの光に対する屈折率である。
式(11)を満たすことにより、基板31と位相補償層32との界面における反射率を低減することができ、結果として、位相補償層の膜厚変化による反射率の変化を低減することができる。なお、より好ましくは、式(11)の範囲を下記範囲とすると良い。
|Nsub−Ncmp|<0.05 (11a)
また、図11に示すように、位相補償層43を吸収層44に隣接する位置に配置する場合には、以下の条件式を満たすことが好ましい。
|Nabs,c−Ncmp|<0.15 (12)
ただし、Nabs,cは吸収層44を構成する膜のうち、位相補償層43と隣接する膜の波長550nmの光に対する屈折率である。式(12)を満たすことにより、位相補償層43と吸収層44との界面における反射率を低減することができ、結果として、位相補償層43の膜厚変化による反射率の変化を低減することができる。なお、より好ましくは、式(12)の範囲を下記範囲とすると良い。
|Nabs,c−Ncmp|<0.10 (12a)
[製造方法について]
次に、本実施形態におけるGNDフィルタ10の製造方法について説明する。
吸収層13を形成する方法の一例としては蒸着がある。例えば、Tiを適切な酸素分圧で蒸着することにより、図15に示すような特性を有するチタン酸化物からなる薄膜を形成することができる。また、Nbを真空中で蒸着することにより、図15に示すような特性を有するニオブ酸化物からなる薄膜を得ることができる。また、Taを真空中で蒸着することにより、図15に示すような特性を有するタンタル酸化物からなる膜を得ることができる。
また、蒸着時に基板11に温度勾配を生じさせたり、ターゲットと基板11との間にマスクを挿入したりすることで膜厚分布を形成することができる。
なお、吸収層13を形成する方法としては蒸着に限らず、第1の材料や第2の材料の特性に応じて選択すれば良い。吸収層13を形成する他の方法としては、例えばスパッタリング、めっき法、スピンコート法等がある。
なお、基板11はガラス、プラスチックなどを用いることができる。また、基板11の形状は平板のみならず、凸、凹レンズなどでもよい。デジタルカメラ等の撮像装置の光学系にGNDフィルタ10を配置する場合、基板11の形状をレンズ形状とすることで、GNDフィルタを配置するスペースを省くことができ、例えば撮像装置の光学系の小型化を図ることができる。
[GNDフィルタの透過率分布について]
本実施形態のGNDフィルタ10は、吸収層13の膜厚分布に応じた透過率分布を有する。GNDフィルタ10の透過率分布としては、様々な形状を用いることができる。例えば、図16(a)、(b)に示すように同心円状に透過率分布を形成してもよいし、図16(c)、(d)に示すように一方向に透過率が変化するような構成であってもよい。これら以外にも用途に応じて様々な透過率分布の形状があるが、本実施形態は任意の透過率分布の形状に対して適用可能である。
以下に、本実施形態の各GNDフィルタに関し、各実施例において説明する。
[実施例1]
実施例1における光学素子としてのGNDフィルタ10は、図1に示した通りであり、基板11から順に中間層12、吸収層13、表面層14を有する。吸収層13は、第1の膜131と、第2の膜132を有する。
GNDフィルタ10を構成する各膜の詳細を表1に示す。表1のnは550nmの波長を有する光に対する屈折率、kは550nmの波長を有する光に対する消衰係数、dは薄膜の物理膜厚である。これらは、これ以降の実施例についても同様である。
GNDフィルタ10において、中間層12は4層の薄膜からなり、表面層14は5層の薄膜からなる。
また、第1の膜131はチタン酸化物からなり、第2の膜132はニオブ酸化物からなる。本実施例におけるチタン酸化物およびニオブ酸化物の消衰係数は、図15(a)に示す通りである。図15(a)に示すチタン酸化物およびニオブ酸化物を用いて吸収層13を形成することで、吸収層13の消衰係数は式(3)を満たすことがわかる。また、図15(b)に示す通り、チタン酸化物とニオブ酸化物を組み合わせることで、式(1)を満たすことがわかる。第1の膜131と第2の膜132とは、吸収層13の膜厚に依らず膜厚比率1:2で形成されている。
図2は、吸収層13を構成する第1の膜131および第2の膜132の膜厚分布を示している。吸収層13の膜厚の最も厚い位置において、第1の膜131の膜厚は333nm、第2の膜132の膜厚は666nmである。
図3はGNDフィルタ10の反射率および透過率の波長依存性を示している。図3(a)は空気側から光が入射した場合の反射率、図3(b)は基板側から光が入射した場合の反射率、図3(c)は透過率を表している。図3(a)、(b)、(c)の各図において、実線は吸収層13の膜厚が0nm、点線は膜厚が50nm、破線は膜厚が100nm、一点鎖線は膜厚が200nm、長破線は膜厚が1000nmである場合を表している。
図3(a)、(b)より、GNDフィルタ10は、空気側入射の場合と基板側入射の場合との両方において反射率は4%以下となっている。特に、比視感度の高い550nm付近においては、吸収層23の透過率に依らず2%以下の反射率を示している。このように、吸収層13の透過率の変化による反射率の変化が小さいことがわかる。さらに、図3(c)より、吸収層13の透過率の変化による透過率の波長依存性の変化は小さく、平坦な透過率を示している。
[実施例2]
実施例2における光学素子としてのGNDフィルタ20の概略図を図4に示す。また、GNDフィルタ20を構成する各膜の詳細を表2に示す。GNDフィルタ20は、実施例1のGNDフィルタ10と同様に、基板21から順に中間層22、吸収層23、表面層24を有する。
実施例2のGNDフィルタ20において、吸収層23は、チタン酸化物からなる第1の膜231とタンタル酸化物からなる第2の膜232とにより構成されている。すなわちGNDフィルタ20は、第2の膜232がタンタル酸化物からなる点でGNDフィルタ10とは異なる。
本実施例におけるタンタル酸化物の消衰係数は、図15(a)に示す通りである。図15(a)に示すタンタル酸化物とチタン酸化物を用いて吸収層23を形成することにより、吸収層23の消衰係数は式(3)を満たすことがわかる。また図15(b)に示すとおり、チタン酸化物とタンタル酸化物とを組み合わせることで、式(1)を満たすことがわかる。GNDフィルタ20において、第1の膜231と第2の膜232とは、吸収層13の膜厚に依らず膜厚比率1:1で形成されている。
また、GNDフィルタ20において、中間層22は4層で、表面層24は3層で構成されている。
図5は、吸収層23を構成する第1の膜231および第2の膜232の膜厚分布を示している。吸収層23の膜厚の最も厚い位置において、第1の膜231の膜厚は500nm、第2の膜232の膜厚は500nmである。
図6はGNDフィルタ10の反射率および透過率の波長依存性を示している。図6(a)は空気側から光が入射した場合の反射率、図6(b)は基板側から光が入射した場合の反射率、図6(c)は透過率を表している。図6(a)、(b)、(c)の各図において、実線は吸収層23の膜厚が0nm、点線は50nm、破線は100nm、一点鎖線は200nm、長破線は1000nmである場合を表している。
図6(a)、(b)より、GNDフィルタ20は、空気側入射の場合と基板側入射の場合との両方において反射率は4%以下となっている。特に、比視感度の高い550nm付近においては、吸収層23の透過率に依らず2%以下の反射率を示している。このように、吸収層23の透過率の変化による反射率の変化が小さいことがわかる。さらに、図6(c)より、吸収層23の透過率の変化による透過率の波長依存性の変化は小さく、平坦な透過率を示している。
[実施例3]
実施例3における光学素子としてのGNDフィルタ30の概略図を図7に示す。また、GNDフィルタ30を構成する各膜の詳細を表3に示す。GNDフィルタ30は、基板31から順に、位相補償層32、中間層33、吸収層34、表面層35を有する。本実施例のGNDフィルタ30は、位相補償層32を有する点で実施例1のGNDフィルタ10と異なる。なお、吸収層34の構成は実施例1のGNDフィルタ10と同様であり、本実施例におけるGNDフィルタ30の吸収層34は、チタン酸化物からなる第1の膜341と、ニオブ酸化物からなる第2の膜342からなる。
図8は本実施例におけるGNDフィルタ30の吸収層34および位相補償層32の膜厚分布を示しており、図9は透過波面の位相ずれ量を表している。位相補償層32の膜厚分布を図8のように設計することにより、図9に示すように吸収層34の膜厚分布による透過波面の位相ずれ量を補償することができる。
図10はGNDフィルタ30の反射率および透過率の波長依存性を示している。図10(a)は空気側から光が入射した場合の反射率、図10(b)は基板側から光が入射した場合の反射率、図10(c)は透過率を表している。図10(a)、(b)、(c)の各図において、実線は吸収層34の膜厚が0nm、点線は50nm、破線は100nm、一点鎖線は200nm、長破線は1000nmである場合を表している。
図10(a)、(b)より、GNDフィルタ30は、空気側入射の場合と基板側入射の場合との両方において反射率は4%以下となっている。特に、比視感度の高い550nm付近においては、吸収層34の透過率に依らず2%以下の反射率を示しており、吸収層34の透過率の変化による反射率の変化が小さいことがわかる。さらに、図10(c)より、吸収層34の透過率の変化による透過率の波長依存性の変化は小さく、平坦な透過率を示している。
[実施例4]
実施例4における光学素子としてのGNDフィルタ40の概略図を図11に示す。また、GNDフィルタ40を構成する各膜の詳細を表4に示す。GNDフィルタ40は、基板41から順に、中間層42、位相補償層43、吸収層44、表面層45を有する。本実施例のGNDフィルタ30は、位相補償層43を中間層42と吸収層44との間に配置している点で実施例3のGNDフィルタ30と異なる。
なお、吸収層44の構成は実施例1のGNDフィルタ10と同様であり、本実施例におけるGNDフィルタ40の吸収層44は、チタン酸化物からなる第1の膜441と、ニオブ酸化物からなる第2の膜442からなる。
図12は本実施例におけるGNDフィルタ40の吸収層44および位相補償層43の膜厚分布を示しており、図13は透過波面の位相ずれ量を表している。位相補償層43の膜厚分布を図12のように設計することにより、図13に示すように吸収層44の膜厚分布による透過波面の位相ずれ量を補償することができる。
図14はGNDフィルタ40の反射率および透過率の波長依存性を示している。図14(a)は空気側から光が入射した場合の反射率、図14(b)は基板側から光が入射した場合の反射率、図14(c)は透過率を表している。図14(a)、(b)、(c)の各図において、実線は吸収層44の膜厚が0nm、点線は50nm、破線は100nm、一点鎖線は200nm、長破線は1000nmである場合を表している。
図14(a)、(b)より、GNDフィルタ30は、空気側入射の場合と基板側入射の場合との両方において反射率は4%以下となっている。特に、比視感度の高い550nm付近においては、吸収層44の透過率に依らず2%以下の反射率を示しており、吸収層44の透過率の変化による反射率の変化が小さいことがわかる。さらに、図14(c)より、吸収層34の透過率の変化による透過率の波長依存性は小さく、平坦な透過率を示している。
[変形例1]
次に、変形例1における光学素子としてのGNDフィルタ50について説明する。上述した実施例では、吸収層が第1の材料からなる第1の膜と、第2の材料からなる第2の膜によって形成されている例を示したが、本発明はこれに限定されない。本変形例では、粒状の第1の材料と第2の材料とを分散させた樹脂等による単一の膜から吸収層を形成する場合について説明する。
図17(a)に、GNDフィルタ50の概略図を示す。GNDフィルタ50は、基板51から順に、中間層52、吸収層53、表面層54を有する。図17(b)に、図17(a)において点線で示した領域における吸収層53の拡大図を示す。本変形例における吸収層53は、上述した実施例と異なり、粒状の第1の材料531と、粒状の第2の材料532とを、樹脂533に分散させた媒質からなる。
この場合、吸収層の消衰係数は、吸収層の吸光量から吸収係数α(λ)を算出し、該吸収係数から、α(λ)=4πk(λ)/λなる関係式を用いて求めることができる。
本変形例のように、単一の膜から吸収層を形成する場合、第1の材料と第2の材料が上述した式(1)を満たし、吸収層の消衰係数が上述した式(3)を満たせば良い。これによって、吸収層の透過率の変化による透過率の波長依存性の変化と、反射率の変化を共に低減することができる。
さらに、吸収層の膜厚変化による透過率の波長依存性の変化をより低減するためには、第1の材料の吸収係数α(λ)および第2の材料の吸収係数α(λ)の波長依存性に応じて吸収層における第1の材料と第2の材料の濃度を調整すると良い。すなわち、式(6)および(6a)のtを吸収層における第1の材料の濃度、tを吸収層における第2の材料の濃度と読み替えることで、吸収層13の膜厚変化による透過率の波長依存性の変化をより低減することができる。
また、表面層をさらに設けた場合においては、式(8)を満たすことで、上述した実施例と同様に、吸収層の膜厚変化による反射率の変化をさらに低減することができる。また、中間層をさらに設けた場合においても、(9)または(9a)を満たすことで、上述した実施例と同様に、吸収層の膜厚変化による反射率の変化をさらに低減することができる。
ここで、本変形例の吸収層は、上述した実施例の吸収層と異なり、吸収層が単一の膜により形成されている。そのため、式(8)におけるNabs,surは、式(9)または(9a)におけるNabs,intと等しい値である。
[変形例2]
次に、変形例2においける光学素子としてのGNDフィルタ60について説明する。上述した実施例および変形例1においては、式(1)を満たす第1の材料と第2の材料を含む吸収層が基板の片側の面に形成されている例を示したが、本発明はこれに限定されない。本変形例では、基板の一方の面に第1の材料を含む第1の吸収層を形成し、基板の他方の面に第2の材料を含む第2の吸収層を形成する場合について説明する。
図18に、本変形例におけるGNDフィルタ60の概略図を示す。GNDフィルタ60は、基板61の一方の面に、基板61から順に、中間層62a、第1の吸収層63a、表面層64aを有する。また、基板62の他方の面に、基板61から順に、中間層62b、第2の吸収層63b、表面層64bを有する。第1の吸収層63aと第2の吸収層63bは、共に膜厚が変化しており、基板上の位置に応じて透過率が変化している。
また、第1の吸収層63aと第2の吸収層63bは、共に式(3)を満たす。これにより、第1の吸収層63aおよび第2の吸収層63bの透過率の変化による透過率の波長依存性の変化と、反射率の変化を共に低減することができる。
本変形例において、第1の吸収層63aと第2の吸収層63bは、共に膜厚が変化しており、基板上の位置に応じて透過率が変化しているが、第1の吸収層63aと第2の吸収層63bのうち少なくとも一方の透過率が基板上の位置に応じて変化していれば良い。これによって、GNDフィルタ60において透過率分布を形成することができる。
第1の吸収層63aは、上述した実施例のように蒸着等で第1の材料からなる薄膜を形成しても良いし、上述した変形例1のように樹脂に第1の材料または第2の材料を分散させて形成しても良い。第2の吸収層63bも、第1の吸収層63aと同様に、蒸着等で第2の材料からなる薄膜を形成しても良いし、樹脂に第2の材料を分散させて形成してもよい。
[光学系]
次に、本発明の実施例としての光学系について述べる。
図19(a)は本実施例における光学系70の断面図である。光学系70は、複数の光学素子としてのレンズを有する。物体からの光は光学系70を透過して、撮像面IPにおいて結像する。
ここで、光学系70の複数のレンズのうち、少なくとも1つは前述した実施例1乃至4のGNDフィルタのいずれかとなっている。
実施例1乃至4のGNDフィルタは、吸収層の透過率の変化による透過率の波長依存性と反射率の変化を低減している。そのため、画像への色づきやゴーストやフレアの発生を抑制でき、高品位な像を得ることができる。
光学系70は共軸回転対称の光学系であり、このような光学系では図16(a)、(b)に示すような同心円状の透過率分布が好ましい。また、図1、4、7、11に示すようにGNDフィルタの中心部に吸収層が形成されていない領域を設けることで、GNDフィルタによる透過光量の減少を抑制することができる。また、その場合、GNDフィルタの中心部を透過する光束は、GNDフィルタによる透過率の変調を受けない。そのため、光学系70を有する撮像装置が位相差方式の自動焦点合わせ機構を有している場合、GNDフィルタの中心部を透過した光束を用いて自動焦点合わせを行うことができる。
光学面の中心からの距離r、r(r<r)における透過率をT(r)、T(r)としたとき、T(r)≧T(r)となる透過率分布を有するGNDフィルタを光学系70に配置すると、アポダイゼーション効果により高品位なボケ像が得られる。
加えて、このようなGNDフィルタを絞りSPの光入射側と光出射側に少なくとも1つずつ配置する場合には、軸外光束に対しても有効にアポダイゼーション効果を得ることができ、画面全域に対して品位の高い画像が得ることができる。
また、GNDフィルタの中心部に吸収層が形成されていない領域を設けることで、アポダイゼーション効果によるボケ像の改善を行いつつ、ボケ像が小さくなりすぎることを抑制できる。
反対に、T(r)≦T(r)となる透過率分布を有するGNDフィルタを光学系70に配置する場合には、画像の周辺減光を補正することができる。
次に、本実施例の光学系70を有する撮像装置について説明する。
図19(b)は、本実施例の撮像装置としてのデジタルカメラ80である。デジタルカメラ80は、レンズ部82に前述した実施例の光学系70を有する。また、光学系70の結像面IPには、CCDやCMOSセンサーなどの撮像素子83が、本体部81に配置される。
デジタルカメラ80が光学系70を有することで、画像への色づきやゴーストやフレアの発生を抑制でき、高品位な画像を得ることができる。
なお、図19(b)では、本体部81とレンズ部82が一体となった例を示しているが、撮像装置本体に対して着脱可能なレンズ装置に本発明を適用してもよい。このようなレンズ装置は、例えば一眼カメラ用の交換レンズとして用いられる。この場合、図19(b)は、光学系70を有するレンズ装置82が撮像装置本体81に装着されている状態と見ることもできる。
なお、本発明の光学系は、デジタルカメラ等の撮像装置や、撮像装置本体に着脱可能なレンズ装置(交換レンズ)以外に適用することもできる。例えば双眼鏡や顕微鏡等に対しても、本発明の光学系を適用しても良い。
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
最後に、実施例1から4における各値を表5にまとめて示す。
10、20、30、40 GNDフィルタ
11、21、31、41 基板
13、23、34、44 吸収層

Claims (26)

  1. 基板と、前記基板上の位置に応じて透過率の異なる吸収層と、を備える光学素子であって、
    前記吸収層は、
    波長400nmにおける吸収係数が波長700nmにおける吸収係数よりも小さい第1の材料と、
    波長400nmにおける吸収係数が波長700nmにおける吸収係数よりも大きい第2の材料と、を含んでおり、
    前記吸収層の消衰係数は、波長400nmから700nmにおいて0.005以上0.5以下であることを特徴とする光学素子。
  2. 基板と、前記基板上の位置に応じて透過率の異なる吸収層と、を備える光学素子であって、
    前記吸収層は、
    第1の材料および第2の材料を含んでおり、
    前記第1の材料は、波長400nmから700nmにおいて消衰係数が0.005以上0.5以下のチタン酸化物であり、
    前記第2の材料は、波長400nmから700nmにおいて消衰係数が0.005以上0.5以下のニオブ酸化物またはタンタル酸化物であることを特徴とする光学素子。
  3. 基板と、前記基板上の位置に応じて透過率の異なる吸収層と、を備える光学素子であって、
    前記吸収層は、
    波長400nmにおける吸収係数が波長700nmにおける吸収係数よりも小さい第1の材料と、
    波長400nmにおける吸収係数が波長700nmにおける吸収係数よりも大きい第2の材料と、を含む単一の層であり、
    前記吸収層の消衰係数は、波長400nmから700nmにおいて0より大きく0.5以下であることを特徴とする光学素子。
  4. 基板と、前記基板上の位置に応じて透過率の異なる吸収層と、を備える光学素子であって、
    前記吸収層は、
    第1の材料および第2の材料を含む単一の層であり、
    前記第1の材料は、波長400nmから700nmにおいて消衰係数が0より大きく0.5以下のチタン酸化物であり、
    前記第2の材料は、波長400nmから700nmにおいて消衰係数が0より大きく0.5以下のニオブ酸化物またはタンタル酸化物であることを特徴とする光学素子。
  5. 前記吸収層は、前記第1の材料を含む第1の膜と、前記第2の材料を含む第2の膜を有し、
    前記第1の膜と前記第2の膜のうち少なくとも一方の厚さは、前記基板上の位置に応じて異なることを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
  6. 前記吸収層を構成する膜のうち、隣接する膜同士の波長550nmにおける屈折率差をΔNabsとしたとき、
    |ΔNabs|<0.25
    なる条件式を満たすことを特徴とする請求項5に記載の光学素子。
  7. 前記吸収層を構成する膜のうち、隣接する膜同士の波長550nmにおける消衰係数差をΔkabsとしたとき、
    |Δkabs|<0.2
    なる条件式を満たすことを特徴とする請求項5または6に記載の光学素子。
  8. 波長400nmから波長700nmのまでの少なくとも一部の波長帯域において、前記第1の材料と前記第2の材料のうち、一方の吸収係数は波長に対して増加し、他方の吸収係数は波長に対して減少し、
    前記一部の波長帯域において最小二乗法により前記第1の材料の吸収係数を波長λに対して線形近似した際のλの係数をa、前記一部の波長帯域において最小二乗法により前記第2の材料の吸収係数を波長λに対して線形近似した際のλの係数をaとし、前記吸収層の厚さが最大となる位置における前記第1の膜の厚さをt、前記第2の膜の厚さをtとしたとき、
    −1.5≦(a/a)・(t/t)≦−0.7
    なる条件式を満たすことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の光学素子。
  9. 前記第1の材料はチタン酸化物であり、
    波長400nmから波長700nmまでの少なくとも一部の波長帯域において、前記第1の材料と前記第2の材料のうち、一方の吸収係数は波長に対して増加し、他方の吸収係数は波長に対して減少し、
    前記一部の波長帯域において最小二乗法により前記第1の材料の吸収係数を波長λに対して線形近似した際のλの係数をa、前記一部の波長帯域において最小二乗法により前記第2の材料の吸収係数を波長λに対して線形近似した際のλの係数をaとしたとき、
    −10<a/a≦−1
    なる条件式を満たすことを特徴とした請求項5乃至8のいずれか一項に記載の光学素子。
  10. 前記第1の材料はチタン酸化物であり、
    前記吸収層において、前記第1の膜は前記第2の膜よりも基板に近い側に配置されていることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか一項に記載の光学素子。
  11. 前記光学素子は表面層をさらに有し、
    前記吸収層は、前記基板と前記表面層との間に配置されており、
    前記吸収層を構成する膜のうち、前記表面層に最も近い膜の波長550nmにおける屈折率をNabs,surとしたとき、
    前記表面層は、波長550nmにおける屈折率が1より大きくNabs,surより小さい膜を備えていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光学素子。
  12. 前記光学素子は、前記基板と前記吸収層との間に、中間層をさらに有し、
    前記吸収層を構成する膜のうち、前記中間層に最も近い膜の波長550nmにおける屈折率をNabs,int、前記基板の波長550nmにおける屈折率をNsubとしたとき、
    前記中間層は、波長550nmにおける屈折率がNabs,intとNsubの間の値の膜を備えていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の光学素子。
  13. 前記吸収層の厚さは前記基板上の位置に応じて異なり、
    前記吸収層の厚さの増加する方向に対して反対の方向に厚さが増加している位相補償層を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の光学素子。
  14. 前記位相補償層は、前記基板に隣接する位置に配置されており、
    前記基板の波長550nmにおける屈折率をNsub、前記位相補償層の波長550nmにおける屈折率をNcmpとしたとき、
    |Nsub−Ncmp|<0.10
    なる条件式を満たすことを特徴とする請求項13に記載の光学素子。
  15. 前記位相補償層は、前記吸収層に隣接する位置に配置されており、
    前記吸収層を構成する膜のうち、前記位相補償層と隣接する膜の波長550nmにおける屈折率をNabs,c、前記位相補償層の波長550nmにおける屈折率をNcmpとしたとき、
    |Nabs,c−Ncmp|<0.15
    なる条件式を満たすことを特徴とする請求項13または14に記載の光学素子。
  16. 前記吸収層の透過率が最も低い位置において前記吸収層から前記基板に向かって光を入射させた際の前記光学素子の反射率は、波長400nmから700nmの各波長に対して4%以下であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載の光学素子。
  17. 前記吸収層の透過率が最も低い位置において前記基板から前記吸収層に向かって光を入射させた際の前記光学素子の反射率は、波長400nmから700nmの各波長に対して4%以下であることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の光学素子。
  18. 前記吸収層の透過率の等しい領域が同心円状に分布することを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載の光学素子。
  19. 前記吸収層は、前記同心円の中心において形成されていないことを特徴とする請求項18に記載の光学素子。
  20. 基板と、
    入射光の一部を吸収し波長400nmにおける吸収係数が波長700nmにおける吸収係数よりも小さい第1の材料を含む第1の吸収層と、
    入射光の一部を吸収し波長400nmにおける吸収係数が波長700nmにおける吸収係数よりも大きい第2の材料を含む第2の吸収層と、
    を有する光学素子であって、
    前記第1の吸収層と前記第2の吸収層のうち少なくとも一方の透過率は、前記基板上の位置に応じて異なり、
    前記第1の吸収層と前記第2の吸収層の消衰係数は、波長400nmから700nmにおいて、共に0.005以上0.5以下であることを特徴とする光学素子。
  21. 基板と、
    入射光の一部を吸収し波長400nmから700nmにおいて消衰係数が0.005以上0.5以下であるチタン酸化物を含む第1の吸収層と、
    入射光の一部を吸収し波長400nmから700nmにおいて消衰係数が0.005以上0.5以下であるニオブ酸化物またはタンタル酸化物を含む第2の吸収層と、
    を有する光学素子であって、
    前記第1の吸収層と前記第2の吸収層のうち少なくとも一方の透過率は、前記基板上の位置に応じて異なることを特徴とする光学素子。
  22. 前記基板はレンズであることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか一項に記載の光学素子。
  23. 複数の光学素子を有し、前記複数の光学素子のうち、少なくとも1つは、請求項1乃至22のいずれか一項に記載された光学素子であることを特徴とする光学系。
  24. 絞りと、前記絞りの光入射側と光出射側に少なくとも1つずつ配置された請求項1乃至22のいずれか一項に記載された光学素子と、を有することを特徴とする光学系。
  25. 撮像素子と、請求項23または24に記載の光学系とを有することを特徴とする撮像装置。
  26. 撮像装置本体に対して着脱可能であり、請求項23または24に記載の光学系を有することを特徴とするレンズ装置。
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