JP2006167279A - ゴルフクラブヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】 肉厚の異なる金属部材をプラズマ溶接、レーザ溶接または電子ビーム溶接により溶接した箇所を有するゴルフクラブヘッドであって、溶接時に金属部材同士の間に隙間が生じないように予め金属製部材を精密に機械加工する必要のないゴルフクラブヘッドを提供する。
【解決手段】 肉厚の異なる金属部材、例えばヘッド本体１４とフェース部材１６とを溶接してゴルフクラブヘッドを作製するに当たり、ヘッド本体とフェース部材とを、これらの間の隙間を別の金属材料２０により埋めつつプラズマ溶接、レーザ溶接または電子ビーム溶接により溶接する。
【選択図】 図４

Description

本発明は、肉厚の異なる金属部材をプラズマ溶接、レーザ溶接または電子ビーム溶接により溶接した箇所を有するゴルフクラブヘッドおよびその製造方法に関する。

従来、金属部材同士を溶接した箇所を有するゴルフクラブヘッドとして、フェース部、クラウン部、ソール部およびホゼル部をＴＩＧ溶接、ＭＩＧ溶接、レーザ溶接または電子ビーム溶接により溶接したゴルフクラブヘッドがある（特許文献１参照）。

特開平５−１５６２０号公報

しかし、ＴＩＧ溶接またはＭＩＧ溶接によって金属部材同士を溶接する場合、溶接棒を用いること、および溶接部にひけが生じることから、ゴルフクラブヘッドの重量制御が難しいという問題があった。

また、レーザ溶接または電子ビーム溶接によって金属部材同士を溶接する場合、溶接棒を用いる必要がなく、また溶接部にひけが生じないため、ゴルフクラブヘッドの重量制御は容易であるが、溶接時に金属部材同士の間に隙間が生じないように予め金属製部材を精密に機械加工する必要があり、そのため金属部材の機械加工に要するコストが高くなるという問題があった。特に、肉厚の異なる金属部材をレーザ溶接または電子ビーム溶接により溶接する場合は、上記機械加工が難しくなり、金属部材の機械加工に要するコストが非常に高くなるものであった。

本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、肉厚の異なる金属部材をプラズマ溶接、レーザ溶接または電子ビーム溶接により溶接した箇所を有するゴルフクラブヘッドであって、溶接時に金属部材同士の間に隙間が生じないように予め金属製部材を精密に機械加工する必要のないゴルフクラブヘッドおよびその製造方法を提供する。

本発明は、上記目的を達成するため、肉厚の異なる金属部材をプラズマ溶接、レーザ溶接または電子ビーム溶接により溶接した箇所を有するゴルフクラブヘッドであって、前記肉厚の異なる金属部材とは別の金属材料により前記肉厚の異なる金属部材間の隙間が埋められていることを特徴とするゴルフクラブヘッドを提供する。

また、本発明は、上記ゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記肉厚の異なる金属部材とは別の金属材料により前記肉厚の異なる金属部材間の隙間を埋めつつ、前記肉厚の異なる金属部材をプラズマ溶接、レーザ溶接または電子ビーム溶接により溶接することを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法を提供する。

本発明において、プラズマ溶接としては、プラズマアークによる高温エネルギーで被溶接材料を溶解して再凝固させ、溶接を行う公知のプラズマ溶接を使用することができる。レーザ溶接としては、ＣＯレーザ、ＣＯ_２レーザ等の気体レーザや、ＹＡＧレーザ等の固体レーザを用いた公知のレーザ溶接を使用することができる。電子ビーム溶接としては、適宜出力の電子ビームを用いた公知の電子ビーム溶接を使用することができる。

本発明において、金属部材間の隙間を別の金属材料により埋めつつプラズマ溶接、レーザ溶接または電子ビーム溶接を行う方法に限定はないが、例えば別の金属材料の線材を用い、この線材を形成する金属により金属部材間の隙間を埋めつつ、プラズマ溶接、レーザ溶接または電子ビーム溶接を行う方法を挙げることができる。この場合、別の金属材料の線材としては、直径が０．５〜３．５ｍｍのもの、特に１．０〜２．５ｍｍのものを用いることが適当である。また、プラズマ溶接を使用する際には、接合部に余盛りができるよう別の金属材料を接合部材間に溶加させることが、溶接部材間の寸法精度が悪くても溶接性、溶接強度を向上させることができる点で好ましい。

本発明では、溶接する金属部材の肉厚の差は、０．１〜１．５ｍｍ、特に０．２〜０．６ｍｍとすることが適当である。

本発明において、肉厚の異なる金属部材は、チタン、チタニウム合金、アルミニウム、ステンレススチール等から選ばれる金属により形成することができる。また、肉厚の異なる金属部材間の隙間を埋める別の金属材料は、チタン、チタニウム合金、アルミニウム、ステンレススチール等から選択することができる。肉厚の異なる金属部材間の隙間を埋める別の金属材料とは、上記肉厚の異なる金属部材とはもともと別体の金属材料と言う意味であり、この別の金属材料は、肉厚の異なる金属部材の一方または両方と同種の金属であってもよく、異種の金属であってもよい。

具体的には、上記別の金属材料として、肉厚の異なる金属部材の一方または両方と金属組成の６０％以上、特に８０％以上が同一な異種金属を好ましく用いることができる。また、上記別の金属材料として、肉厚の異なる金属部材と同種の金属またはその合金であって、融点の差が０〜２００℃、特に０〜１５０℃の金属からなる金属材料を好適に用いることができる。

上記肉厚の異なる金属部材および別の金属材料は、例えば、下記（１）〜（８）の組成の金属から選択することができるが、これらに限定されるものではない。これらの中で特に好ましいのは、（１）と（４）、（２）と（４）、（３）と（４）、（８）と（８）の組み合わせである。
（１）Ｔｉ７３５（Ｔｉ１７）
Ｔｉ−５Ａｌ−２Ｓｎ−２Ｚｒ−４Ｍｏ−４Ｃｒ（１７％がＴｉ以外）
（２）ＳＡＴ２０４１
Ｔｉ−２０Ｖ−４Ａｌ−１Ｓｎ（２５％がＴｉ以外）
（３）ＳＰ７００
Ｔｉ−４．５Ａｌ−３Ｖ−２Ｆｅ−２Ｍｏ（１１．５％がＴｉ以外）
（４）６−４Ｔｉ
Ｔｉ−６Ａｌ−４Ｖ（１０％がＴｉ以外）
（５）１０−２−３
Ｔｉ−１０Ｖ−２Ｆｅ−３Ａｌ（１５％がＴｉ以外）
（６）１５−５−３Ｔｉ
Ｔｉ−１５Ｍｏ−５Ｚｒ−３Ａｌ（２３％がＴｉ以外）
（７）１５−３−３−３
Ｔｉ−１５Ｖ−３Ｃｒ−３Ｓｎ−３Ａｌ（２４％がＴｉ以外）
（８）ＳＵＳ６３０
１７Ｃｒ−４Ｎｉ−４Ｃｕ−Ｎｂ（残部約２５％はＦｅ、Ｎｂは微量添加）
本発明において、溶接する肉厚の異なる金属部材は、鋳造材と鍛造材との組み合わせ、鋳造材とプレスフォーミング材（板材をプレス加工して成形した金属材料）との組み合わせ、または鍛造材とプレスフォーミング材との組み合わせとすることが適当であるが、これらに限定されるものではない。

本発明では、肉厚の異なる金属部材をプラズマ溶接、レーザ溶接または電子ビーム溶接により溶接した箇所を、フェース部、ソール部、クラウン部、トウ部、ヒール部、サイド部、トップブレード部およびホゼル部から選ばれる少なくとも２つの部分にまたがるようにすることができ、例えば後述する実施形態に示すように、肉厚の異なる金属部材を溶接した箇所をフェース部とクラウン部、フェース部とトップブレード部とトウ部、あるいはフェース部とソール部とトウ部にまたがるようにすることができる。

本発明のゴルフクラブヘッドは、例えば、中空部を有するウッド型ゴルフクラブヘッドや、アイアン型ゴルフクラブヘッドに形成することができ、また、繊維強化樹脂と金属とのコンポジットクラブに形成することもできる。

本発明のゴルフクラブヘッドおよびその製造方法によれば、肉厚の異なる金属部材間の隙間を別の金属材料により埋めるので、溶接時に金属部材同士の間に隙間が生じないように予め金属製部材を精密に機械加工する必要がなく、金属部材の機械加工に要するコストを削減することができる。また、金属部材間の隙間を別の金属材料により埋めるものであるが、プラズマ溶接、レーザ溶接または電子ビーム溶接によれば溶接部にひけが生じないため、ゴルフクラブヘッドの重量制御が比較的容易である。

以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。
［第１実施形態］
図１は本発明に係るゴルフクラブヘッドの一実施形態を示す斜視図、図２は同ゴルフクラブヘッドの図１Ｘ−Ｘ断面図、図３は同ゴルフクラブヘッドのフェース部材の斜視図である。本例のゴルフクラブヘッドは、中空部を有するウッド型ゴルフクラブヘッドに形成されている。

本例のゴルフクラブヘッドは、フェース面１０にフェース開口部１２を有するチタニウム合金（具体的には６−４Ｔｉ）製のヘッド本体１４と、フェース開口部１２を閉塞するチタニウム合金（具体的にはＴｉ７３５）製のフェース部材１６とを具備する。

本例のゴルフクラブヘッドは、フェース開口部１２の上縁およびフェース部材１６の上縁がクラウン部にまで延びている。したがって、フェース部材１６をヘッド本体１４のフェース開口部１２周辺部分に固着したときに、フェース部材１６の上縁１８がゴルフクラブヘッドのクラウン部の一部となる。

本例のゴルフクラブヘッドは、フェース部材１６の厚さＰを、ヘッド本体１４のフェース開口部周辺部分の厚さＱより０．３ｍｍ厚くしてある。

また、本例のゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体１４とフェース部材１６とを、これらの間の隙間を別の金属材料（具体的にはヘッド本体１４と同じ６−４Ｔｉの直径１．５ｍｍの線材を使用）により埋めつつプラズマ溶接により溶接してある。したがって、図４に示すように、ヘッド本体１４とフェース部材１６との間の隙間が上記別の金属材料２０により埋められている。
［第２実施形態］
図５は本発明に係るゴルフクラブヘッドの一実施形態を示す分解斜視図である。本例のゴルフクラブヘッドは、アイアン型ゴルフクラブヘッドに形成されている。

本例のゴルフクラブヘッドは、フェース面３０にフェース開口部３２を有するヘッド本体３４（ＳＵＳ６３０による鋳造材）と、フェース開口部３２を閉塞するフェース部材３６（ＳＵＳ６３０による圧延材）とを具備する。

本例のゴルフクラブヘッドは、フェース部材３６をヘッド本体３４のフェース開口部３２周辺部分に固着したときに、フェース部材３６の上縁３８がゴルフクラブヘッドのトップブレード部の一部となり、フェース部材３６の先端縁４０がゴルフクラブヘッドのトウ部の一部となる。

本例のゴルフクラブヘッドは、フェース部材３６の厚さを、ヘッド本体３４のフェース開口部周辺部分の厚さより０．１ｍｍ厚くしてある。

また、本例のゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体３４とフェース部材３６とを、これらの間の隙間を別の金属材料（具体的にはヘッド本体３４、フェース部材３６と同じＳＵＳ６３０の直径１．５ｍｍの線材を使用）により埋めつつプラズマ溶接により溶接してある。
［第３実施形態］
図６は本発明に係るゴルフクラブヘッドの一実施形態を示す斜視図である。本例のゴルフクラブヘッドは、アイアン型ゴルフクラブヘッドに形成されている。

本例のゴルフクラブヘッドは、フェース面５０にフェース開口部（図示せず）を有するヘッド本体５２（ＳＵＳ６３０による鋳造材）と、フェース開口部を閉塞するフェース部材５４（ＳＵＳ６３０による圧延材）とを具備する。なお、図６はヘッド本体５２とフェース部材５４とを固着した状態を示している。

本例のゴルフクラブヘッドは、フェース部材５４をヘッド本体５２のフェース開口部周辺部分に固着したときに、フェース部材５４の下縁５６がゴルフクラブヘッドのソール部の一部となり、フェース部材５４の先端縁５８がゴルフクラブヘッドのトウ部の一部となる。

本例のゴルフクラブヘッドは、フェース部材５４の厚さを、ヘッド本体５２のフェース開口部周辺部分の厚さより０．１ｍｍ厚くしてある。

また、本例のゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体５２とフェース部材５４とを、これらの間の隙間を別の金属材料（具体的にはヘッド本体５２、フェース部材５４と同じＳＵＳ６３０の直径１．５ｍｍの線材を使用）により埋めつつレーザ溶接により溶接してある。
［第４実施形態］
図７は本発明に係るゴルフクラブヘッドの一実施形態を示す分解斜視図である。本例のゴルフクラブヘッドは、中空部を有するウッド型ゴルフクラブヘッドであって、少なくともソール部に金属部を有する、繊維強化樹脂と金属とのコンポジットクラブヘッドに形成されている。

本例のゴルフクラブヘッドは、フェース面６０にフェース開口部６２を有し、クラウン部およびサイド部の大部分にクラウン−サイド開口部６４を有するヘッド本体６６（６−４Ｔｉによる鋳造材）と、フェース開口部６２を閉塞するフェース部材６８（ＳＰ７００による圧延材）と、クラウン−サイド開口部６４を閉塞する炭素繊維強化樹脂（ＣＦＲＰ）製のクラウン−サイド部材７０とを具備する。

本例のゴルフクラブヘッドは、フェース開口部６２の上縁およびフェース部材６８の上縁がクラウン部にまで延びている。したがって、フェース部材６８をヘッド本体６６のフェース開口部６２周辺部分に固着したときに、フェース部材６８の上縁７２がゴルフクラブヘッドのクラウン部の一部となる。

本例のゴルフクラブヘッドは、フェース部材６８の厚さを、ヘッド本体６６のフェース開口部周辺部分の厚さより０．１ｍｍ厚くしてある。

また、本例のゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体６６とフェース部材６８とを、これらの間の隙間を別の金属材料（具体的にはヘッド本体６６と同じ６−４Ｔｉの直径１．５ｍｍの線材を使用）により埋めつつ電子ビーム溶接により溶接してある。また、ヘッド本体６６とクラウン−サイド部材７０とを接着により固着してある。

本発明に係るゴルフクラブヘッドの一実施形態を示す斜視図である。 図１のゴルフクラブヘッドの同図Ｘ−Ｘ断面図である。 図１のゴルフクラブヘッドのフェース部材の斜視図である。 図１のゴルフクラブヘッドの溶接部を示す拡大図である。 本発明に係るゴルフクラブヘッドの一実施形態を示す分解斜視図である。 本発明に係るゴルフクラブヘッドの一実施形態を示す斜視図である。 本発明に係るゴルフクラブヘッドの一実施形態を示す分解斜視図である。

符号の説明

１４ ヘッド本体
１６ フェース部材
２０ 別の金属材料
３４ ヘッド本体
３６ フェース部材
５２ ヘッド本体
５４ フェース部材
６６ ヘッド本体
６８ フェース部材

Claims (7)

1. 肉厚の異なる金属部材をプラズマ溶接、レーザ溶接または電子ビーム溶接により溶接した箇所を有するゴルフクラブヘッドであって、前記肉厚の異なる金属部材とは別の金属材料により前記肉厚の異なる金属部材間の隙間が埋められていることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
2. 溶接する肉厚の異なる金属部材は、鋳造材と鍛造材との組み合わせ、鋳造材とプレスフォーミング材との組み合わせ、または鍛造材とプレスフォーミング材との組み合わせであることを特徴とする請求項１に記載のゴルフクラブヘッド。
3. 前記肉厚の異なる金属部材をプラズマ溶接、レーザ溶接または電子ビーム溶接により溶接した箇所は、フェース部、ソール部、クラウン部、トウ部、ヒール部、サイド部、トップブレード部およびホゼル部から選ばれる少なくとも２つの部分にまたがっていることを特徴とする請求項１または２に記載のゴルフクラブヘッド。
4. 中空部を有するウッド型ゴルフクラブヘッドである請求項１〜３のいずれか１項に記載のゴルフクラブヘッド。
5. アイアン型ゴルフクラブヘッドである請求項１〜３のいずれか１項に記載のゴルフクラブヘッド。
6. 繊維強化樹脂と金属とのコンポジットクラブである請求項１〜５のいずれか１項に記載のゴルフクラブヘッド。
7. 請求項１〜６のいずれか１項に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記肉厚の異なる金属部材とは別の金属材料により前記肉厚の異なる金属部材間の隙間を埋めつつ、前記肉厚の異なる金属部材をプラズマ溶接、レーザ溶接または電子ビーム溶接により溶接することを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。

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