JP2006165008A - R−t−b系焼結磁石の製造方法 - Google Patents

R−t−b系焼結磁石の製造方法 Download PDF

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【課題】 遠心鋳造法により作製された主相形成用合金及びストリップキャスト法により作製された粒界相形成用合金を用いることにより、磁気特性、特に保磁力の高いR−T−B系焼結磁石を得ることができる。
【解決手段】 R214B化合物を含む主相形成用合金粉末と主相形成用合金粉末よりもRを多く含む粒界相形成用合金粉末とを含む混合粉末に磁場を印加しつつ加圧成形して成形体を得る工程と、成形体を焼結する工程と、を備え、主相形成用合金粉末は、回転体6の回転軸Xと円筒状鋳型3の回転軸Zとが非平行に配設された状態で、回転する回転体6に接触することにより飛散された溶湯4を回転する円筒状鋳型3の内面で堆積凝固させることにより得られた合金を粉砕して作製されたものであり、粒界相形成用合金粉末は、ストリップキャスト法により得られた合金を粉砕して作製されたものとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、R−T−B系焼結磁石(Rは希土類元素から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe又はFe及びCoを含む遷移金属元素から選択される1種又は2種以上の元素)の製造方法に関し、特に原料母合金を適切に選択することにより磁気特性を向上することのできるR−T−B系焼結磁石の製造方法に関するものである。
従来、R−T−B系焼結磁石の磁気特性を向上させるため、種々の試みがなされている。例えば、種々の添加元素を加える、焼結体中の酸素量を低下する、複数(典型的には2種類)の原料合金を用いる混合法等、各観点から磁気特性の向上の検討がなされている。その中で、以下説明するように、原料母合金の組織を改善することによる磁気特性の向上が検討されている。
R−T−B系焼結磁石は、原料母合金を粉砕して得られた粉末を成形、焼結するという工程を経て製造される。従来、このような原料母合金は、金型鋳造によるインゴット法や、冷却ロールを用いて合金溶湯を急冷するストリップキャスト法を用いて作製されていた。
インゴット法により作製された合金では、α−Feの生成が避けられず、その結果合金の粉砕効率が著しく低下し、最終的に得られる磁気特性も低いものであった。この問題を解決するため、インゴット法で得られた合金を溶体化処理することでα−Feを消失させることが知られているが、溶体化処理を行うことにより、生産性の低下と製造コストの上昇を招いていた。
これに対し、急冷凝固法の一種であるストリップキャスト法(例えば、特開平5−222488号公報(特許文献1)、特開平5−295490号公報(特許文献2))により作製された合金では、α−Feがほとんど生成されず、かつ短軸方向の結晶粒径が20〜30μmで、長軸方向は最大で300μm程度と微細な結晶組織が得られる。しかし、結晶組織が極めて微細であるため、各粉末粒子が単結晶粒となるまで微粉砕することが困難である。粉末粒子が多結晶であると磁気的異方性が小さくなり、磁界中で粉末配向・圧縮成形を行ったとしても、主相の配向度が高く残留磁化の大きな焼結磁石を作製することができない。
ストリップキャスト法(以下、SC法という)による結晶組織が過剰に微細な結晶組織の問題を解消するための方法が、特開平8−13078号公報(特許文献3)、特開平8−332557号公報(特許文献4)に開示されている。特許文献3、特許文献4に開示された方法は、回転する鋳型の内側に配置した、往復運動し複数個のノズルを備えた箱型のタンディッシュを介して、溶湯を回転鋳型の内側に堆積凝固させる方法(以下、第1CC法という)である。第1CC法は、後から注がれる溶湯が既に凝固したインゴットの表面で溶け合い、結晶はエピタキシャル成長するため、SC法に比べて数倍大きな結晶組織を得ることができる。
ところが、第1CC法によりR量の低い組成の合金を作製しようとすると、SC法と比較して高温域の冷却速度が遅いためデンドライド状のα−Feの生成が避けられないという問題がある。したがって、第1CC法は、R量の低い組成の合金の作製に適用することが難しい。
この問題を解消する方法として、溶湯を回転体に注ぎ、この回転体の回転によって溶湯を飛散させ、その飛散した溶湯を回転する円筒状鋳型の内面で堆積凝固させる方法であって、回転体の回転軸とこの円筒状鋳型の回転軸とを非平行とする鋳造法(以下、第2CC法)が特開2002−301554号公報(特許文献5)に開示されている。
第2CC法により、R量の低い組成の合金であってもα−Feの生成が抑制され、かつ短軸方向で90μm、長軸方向で1000μm以上の結晶組織を有する合金を得ることができると、特許文献5に開示されている。
特開平5−222488号公報 特開平5−295490号公報 特開平8−13078号公報 特開平8−332557号公報 特開2002−301554号公報
特許文献5には、第2CC法により得られた主相形成用合金と、インゴット法又は第1CC法により得られた粒界相形成用合金を用いる混合法で作製されたR−T−B系焼結磁石が開示されている。このR−T−B系焼結磁石の磁気特性は、(a)残留磁束密度Br=13.2kG、保磁力HcJ=16.6kOe、あるいは(b)残留磁束密度Br=13.5kG、保磁力HcJ=13.19kOeであり、さらなる磁気特性の向上が望まれる。なお、(a)は粒界相形成用合金がインゴット法で作製されたものであり、また(b)は粒界相形成用合金が第1CC法で作製されたものである。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、第2CC法により得られる原料母合金を用いて、より高い磁気特性のR−T−B系焼結磁石を提供することを目的とする。
本発明者らは、主相形成用合金を第2CC法により作製し、粒界相形成用合金をSC法により作製した場合に磁気特性の高いR−T−B系焼結磁石が得られることを知見した。本発明者等はこの知見に基づき、R214B化合物(Rは希土類元素から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe又はFe及びCoを含む遷移金属元素から選択される1種又は2種以上の元素)を含む主相形成用合金粉末と主相形成用合金粉末よりもRを多く含む粒界相形成用合金粉末とを含む混合粉末に磁場を印加しつつ加圧成形して成形体を得る工程と、成形体を焼結する工程と、を備え、主相形成用合金粉末は、回転体の回転軸Xと円筒状鋳型の回転軸Zとが非平行に配設された状態で、回転する回転体に接触することにより飛散された溶湯を回転する円筒状鋳型の内面で堆積凝固させることにより得られた合金を粉砕して作製されたものであり、粒界相形成用合金粉末は、SC法により得られた合金を粉砕して作製されたものであることを特徴とするR−T−B系焼結磁石の製造方法を提供する。
本発明におけるR−T−B系焼結磁石は、R:25〜35wt%、B:0.5〜4.0wt%、Al及びCuの1種又は2種:0.02〜0.6wt%、Zr、Nb及びHfの1種又は2種以上:2.0wt%以下(ただし、0を含む)、Co:4.0wt%以下(ただし、0を含まず)、残部実質的にFeからなる組成を有することが望ましく、Zr、Nb及びHfの1種又は2種以上:0.03〜2.0wt%とすることがさらに望ましい。また、R−T−B系焼結磁石の酸素量を2000ppm以下とすることが望ましい。
以上説明したように、本発明によれば、第2CC法により作製された主相形成用合金及びSC法により作製された粒界相形成用合金を用いることにより、磁気特性、特に残留磁束密度(Br)の高いR−T−B系焼結磁石を得ることができる。
本発明によるR−T−B系焼結磁石の製造方法について説明する。
本発明は、R214B化合物を主体とする主相形成用合金と、主相形成用合金よりRを多く含む粒界相形成用合金とを用いる。このように2種類(又は2種類以上)の異なる組成の合金を用いてR−T−B系焼結磁石を製造する方法を混合法と呼んでいる。混合法は、以下説明するように、R−T−B系焼結磁石にとって理想的又はそれに近い組織を得ることができるため、高い磁気特性を得る上で有効である。
R−T−B系焼結磁石は液相焼結反応を用いて、焼結が行われている。ここで、磁石内には主相を構成する強磁性のR214B相のほかに、粒界相としてのR−リッチ相が存在する。これらの相が焼結時に反応して液相が生成し、液相出現に伴って、緻密化反応が進行する。従って、R−リッチ相は、R−T−B系焼結磁石の製造上、必須な構成相である。しかし、磁石特性を向上させるためには、R214B相の存在量を極力高めることが必要であり、これを実現するためには、これら各相の量を厳密に制御すべきである。この要求を満足させるための方法が混合法である。
本発明は、特許文献5に開示された第2CC法により得られた主相形成用合金を用いる。この第2CC法について図1に基づいて説明する。
図1において、溶解チャンバ1中にルツボ2と円筒状鋳型3が配備されている。ルツボ2は、原料金属、合金を加熱溶解して溶湯4とする。
円筒状鋳型3は回転軸Zを中心に回転可能に溶解チャンバ1内に配設されている。円筒状鋳型3の外周面には鋳型駆動機構5が接続されており、この鋳型駆動機構5の回転駆動力に応じて円筒状鋳型3は回転される。円筒状鋳型3の一側面には、貫通孔が形成されており、後述する溶湯4の供給装置が挿入される。この円筒状鋳型3内には、回転体6が配備され、また、ルツボ2中の溶湯4を回転体6に注ぐ供給装置が溶解チャンバ1に設けられている。供給装置は溶湯4を流動させて回転体6に導く湯道7により構成されている。回転体6には、例えば駆動モータにより回転駆動する回転駆動機構8が接続されており、回転軸Xを中心に回転するようになっている。そして、回転体6に注がれた溶湯4は、回転体6の回転によって回転体6に設けてある空孔hを介して周囲に向けて飛散し、円筒状鋳型3の内壁に堆積凝固し、インゴット9が製造される。
回転体6の回転によって飛散された溶湯4は、回転軸Zで回転する円筒状鋳型3の内面で堆積凝固する。ここで、回転体6の回転軸Xと円筒状鋳型3の回転軸Zとで形成される傾斜角度θが0でないように、即ち、回転軸Xと回転軸Zとが非平行となるように設置し、更に回転体6ならびに円筒状鋳型3をともに回転させることにより、円筒状鋳型3の内壁の広い範囲に溶湯を堆積凝固させることが可能となる。
以上のように作製される主相形成用合金には、R、T及びBの他にCu及びAlを含有させることができる。このとき主相形成用合金は、R−Cu−Al−Fe−Co−B系の合金を構成する。主相形成用合金の組成は限定されないが、R:25〜35wt%、B:0.4〜5.0wt%、Al:0.02〜0.25wt%、Cu:0.3wt%以下(ただし、0を含む)、Zr、Nb及びHfの1種又は2種以上:2.0wt%以下(ただし、0を含む)、Co:4.0wt%以下(ただし、0を含む)、残部実質的にFeとすることが望ましい。
また本発明は、粒界相形成用合金としてSC法により得られた合金を用いる。
SC法は、原料金属をArガス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、短軸方向の結晶粒径が20〜30μmで、長軸方向は最大で300μmの均質な組織を有している。また、急冷凝固された合金は、後の粉砕粉末の粒度分布をシャープにすることにより磁気特性を向上させるために、厚さが0.05〜3mm、R−リッチ相が5μm以下に微細分散した金属組織とすることが望ましい。
SC法により作製された合金は、α−Feがほとんど生成されず、微細化した結晶組織が得られる。
以上のように作製される粒界相形成用合金には、R、T及びBの他にCu及びAlを含有させることができる。このとき粒界相形成用合金は、R−Cu−Al−Fe−Co−B系の合金を構成する。粒界相形成用合金の組成は限定されないが、R:29〜50wt%、B:0.5wt%以下(ただし、0を含む)、Al:0.03〜1.0wt%、Cu:0.01〜10wt%、Zr、Nb及びHfの1種又は2種以上:5.0wt%以下(ただし、0を含む)、Co:0.1〜20wt%、残部実質的にFeとすることが望ましい。
主相形成用合金及び粒界相形成用合金を作製した後、これらの各母合金は別々に又は一緒に粉砕される。以下、粉砕工程の一例を説明する。
主相形成用合金及び粒界相形成用合金(以下、原料合金と総称することがある)は、水素吸蔵処理を施して粉砕を容易にすることが望ましい。
水素吸蔵は、原料合金を常温下で水素含有雰囲気に曝すことにより行うことができる。水素吸蔵反応は発熱反応であるため、温度上昇に伴って吸蔵水素量が低下することを防止するために、反応容器を冷却する等の手段を適用してもよい。水素吸蔵された原料合金は、例えば粒界に沿って亀裂が生じる。
水素吸蔵が終了した後に、水素吸蔵が行われた原料合金を加熱保持する脱水素処理が施される。この処理は、磁石として不純物となる水素を減少させることを目的として行われる。加熱保持の温度は、200℃以上、望ましくは350℃以上とする。保持時間は、保持温度との関係、合金の厚さ等によって変わるが、少なくとも30分以上、望ましくは1時間以上とする。脱水素処理は、真空中又はArガスフローにて行う。なお、脱水素処理は必須の処理ではない。
水素吸蔵処理(さらには脱水素処理)された合金は、気流式粉砕機を用いて平均粒径1〜10μm程度まで微粉砕処理される。この微粉砕処理過程での酸素量増加を抑制するため、気流式粉砕機に用いる非酸化性ガス中に含まれる酸素量を100ppm以下、望ましくは50ppm以下とすることが望ましい。
微粉砕処理において主相形成用合金及び粒界相形成用合金を別々に粉砕した場合には、微粉砕された主相形成用合金粉末及び粒界相形成用合金粉末を例えば窒素雰囲気中で混合する。主相形成用合金粉末及び粒界相形成用合金粉末の混合比率は、重量比で80:20〜97:3程度とすればよい。主相形成用合金及び粒界相形成用合金を一緒に粉砕する場合の混合比率も同様である。微粉砕時に、ステアリン酸亜鉛等の添加剤を0.01〜0.3wt%程度加えることにより、後の磁場中成形時に配向性の高い微粉末を得ることができる。
次いで、この混合された微粉末を、磁場印加によってその結晶軸を配向させた状態で加圧成形する。この磁場中成形は、12〜17kOe前後の磁場中で、0.7〜1.5t/cm2前後の圧力で行なえばよい。
磁場中成形後、主相形成用合金粉末及び粒界相形成用合金粉末の混合粉末からなる成形体を真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、粒度と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、950〜1150℃の範囲で1〜10時間程度保持すればよい。
焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。この時効処理は、保磁力を制御する重要な工程である。時効処理を2段に分けて行なう場合には、900℃近傍、600℃近傍での所定時間の保持が有効である。900℃近傍での熱処理を焼結後に行なうと、保磁力が増大するため、混合法においては特に有効である。また、600℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行なう場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
本発明によるR−T−B系焼結磁石は、R214B化合物を主体とする主相と、主相よりRを多く含む粒界相とを少なくとも含む焼結体からなる。この焼結体として望ましい化学組成について以下説明する。
本発明によるR−T−B系焼結磁石は、Rを25〜35wt%含有する。
ここで、RはYを含む概念を有しており、La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Yb,Lu及びYから選択される1種又は2種以上の元素である。Rの量が25wt%未満であると、R−T−B系焼結磁石の主相となるR214B結晶粒の生成が十分ではない。このため、軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rの量が35wt%を超えると主相を構成するR214B結晶粒の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRの量が35wt%を超えるとRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なR−リッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜35wt%とする。望ましいRの量は26〜33wt%、さらに望ましいRの量は27〜32wt%である。
Ndは資源的に豊富で比較的安価であることから、Rとしての主成分をNdとすることが好ましい。またDyの含有は異方性磁界を増加させるため、保磁力を向上させる上で有効である。よって、RとしてNd及びDyを選択し、Nd及びDyの合計を25〜35wt%とすることが望ましい。そして、この範囲において、Dyの量は0.1〜8.0wt%が望ましい。Dyは、残留磁束密度及び保磁力のいずれを重視するかによって上記範囲内においてその量を定めることが望ましい。つまり、高い残留磁束密度を得たい場合にはDy量を0.1〜3.5wt%とし、高い保磁力を得たい場合にはDy量を3.5〜8.0wt%とすることが望ましい。
本発明によるR−T−B系焼結磁石は、ホウ素(B)を0.5〜4.0%含有する。Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。但し、Bが4.0wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、上限を4.0wt%とする。望ましいBの量は0.5〜1.5wt%、さらに望ましいBの量は0.8〜1.2wt%である。
本発明によるR−T−B系焼結磁石は、Al及びCuの1種又は2種を0.02〜0.6wt%の範囲で含有することができる。この範囲でAl及びCuの1種又は2種を含有させることにより、得られるR−T−B系焼結磁石の高保磁力化、高耐食性化、温度特性の改善が可能となる。Alを添加する場合において、望ましいAlの量は0.03〜0.3wt%、さらに望ましいAlの量は0.05〜0.25wt%である。また、Cuを添加する場合において、Cuの量は0.3wt%以下(ただし、0を含まず)、望ましくは0.2wt%以下(ただし、0を含まず)、さらに望ましいCuの量は0.03〜0.15wt%である。
本発明によるR−T−B系焼結磁石は、Zr、Nb及びHfの1種又は2種以上を2.0wt%以下(ただし、0を含む)含有する。R−T−B系焼結磁石の磁気特性向上を図るために酸素含有量を低減する際に、Zr、Nb及びHfは焼結過程での結晶粒の異常成長を抑制する効果を発揮し、焼結体の組織を均一かつ微細にする。したがって、Zr、Nb及びHfは酸素量が低い場合にその効果が顕著になる。Zr、Nb及びHfの1種又は2種以上の望ましい量は0.03〜2.0wt%、さらに望ましい量は0.05〜1.5wt%である。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、Coを4.0wt%以下(ただし、0を含まず)含有する。Coはキュリー温度の向上及び耐食性の向上に効果がある。また、Cuと複合添加することにより、高い保磁力が得られる時効処理温度範囲が拡大するという効果をも有する。しかし、過剰の添加は保磁力の低下を招くとともに、コストを上昇させるため4.0wt%以下とする。望ましいCoの含有量は0.2〜3.0wt%、さらに望ましいCoの含有量は0.2〜2.5wt%である。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、その酸素量を2000ppm以下とすることが望ましい。酸素量が多いと非磁性成分である酸化物相が増大して、磁気特性を低下させる。そこで本発明では、焼結体中に含まれる酸素量を、2000ppm以下、望ましくは1500ppm以下、さらに望ましくは1000ppm以下とする。但し、単純に酸素量を低下させたのでは、粒成長抑制効果を有していた酸化物相が不足し、焼結時に十分な密度上昇を得る過程で異常な粒成長が容易に起こる。そこで、本発明では、焼結過程での主相結晶粒の異常成長を抑制する効果を発揮するZr、Nb及びHfの1種または2種以上を、R−T−B系焼結磁石中に所定量含有させる。
下記の製造工程により、R−T−B系焼結磁石を製造した。
1)原料合金
第2CC法により、主相形成用合金を作製した。この主相形成用合金は、Fe−21.3Nd−6.0Pr−0.05Cu−0.2Al−1.1B−0.2Zr(wt%)の組成を有している。第2CC法は、図1に示した装置を用いて行った。用いた円筒状鋳型3は内径が430mm、長さが480mmである。また、回転体6は内径が190mmで側壁に直径が2mmの空孔hを8個形成してある。さらに、回転体6の回転軸Xと円筒状鋳型3の回転軸Zとの成す傾斜角度θは25°に設定した。円筒状鋳型3の内壁への平均溶湯堆積速度は0.01cm/secとなるようにした。このときの円筒状鋳型3の回転数は96rpm、回転体6の回転速度は340rpmに設定した。
SC法により、粒界相形成用合金を作製した。この粒界相形成用合金は、Fe−39.8Nd−0.05Cu−0.19Al−5.1Co(wt%)の組成を有している。また、SC法は、ロール周速を0.6m/sとした。
2)水素粉砕工程
室温にて主相形成用合金及び粒界相形成用合金に水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気中で600℃×1時間の脱水素を行なう、水素粉砕処理を行なった。
高磁気特性を得るべく、本実験では焼結体酸素量を2000ppm以下に抑えるために、水素粉砕(粉砕処理後の回収)から焼結(焼結炉に投入する)までの各工程の雰囲気を、100ppm未満の酸素濃度に抑えてある。
3)粉砕工程
微粉砕を行なう前に添加剤を混合する。添加剤の種類は特に限定されるものではなく、粉砕性の向上並びに成形時の配向性の向上に寄与するものを適宜添加すればよい。本実施例ではステアリン酸亜鉛を0.1wt%添加し、なお、主相形成用合金と粒界相形成用合金との混合比率は90:10である。
その後、ジェットミルにて粉砕することにより、D50=3.5μmの微粉末を得た。
4)成形工程
得られた微粉末を15.0kOeの磁場中で1.2t/cm2の圧力で成形を行い、成形体を得た。
5)焼結、時効工程
この成形体を真空中において1070〜1110℃で4時間焼結した後、急冷した。次いで得られた焼結体に900℃×1時間と560℃×2.5時間(ともにAr雰囲気中)の2段時効処理を施した。
<比較例1>
主相形成用合金及び粒界相形成用合金ともにSC法で作製した以外は、上記実施例と同様にしてR−T−B系焼結磁石を製造した。
<比較例2>
SC法により、Fe−23.2Nd−5.3Pr−0.05Cu−0.2Al−0.5Co−1.0B−0.2Zr(wt%)の組成を有する合金を作製した以外は、実施例と同様にしてR−T−B系焼結磁石を製造した。なお、この比較例は、単一の合金を用いてR−T−B系焼結磁石を製造する単一法によるものである。
<比較例3>
粒界相形成用合金を前述した第1CC法により作製した以外は、実施例と同様にしてR−T−B系焼結磁石を製造した。
<比較例4>
粒界相形成用合金をインゴット法により作製した以外は、実施例と同様にしてR−T−B系焼結磁石を製造した。
得られた実施例、比較例1〜4のR−T−B系焼結磁石について、BHトレーサを用いて磁気特性を測定した。その結果を表1に示す。なお、表1において、Brは残留磁束密度、HcJは保磁力、「Hk/HcJ」は角形比を示す。角形比(Hk/HcJ)は磁石性能の指標となるものであり、磁気ヒステリシスル−プの第2象限における角張の度合いを表す。なおHkは、磁気ヒステリシスル−プの第2象限において、磁束密度が残留磁束密度の90%になるときの外部磁界強度である。また、実施例、比較例1〜4のR−T−B系焼結磁石について化学組成及び密度を測定した。以上の結果を表1及び表2に示した。
Figure 2006165008
Figure 2006165008
表1に示すように、第2CC法により作製された主相形成用合金とSC法により作製された粒界相形成用合金を用いたR−T−B系焼結磁石は、14.9kGに達する残留磁束密度(Br)、9kOeを超える保磁力(HcJ)、95%以上の角形比(Hk/HcJ)、52MGOe以上の最大エネルギ積(BHmax)を得ることができる。
これに対して、主相形成用合金及び粒界相形成用合金がともにSC法により作製した比較例1によるR−T−B系焼結磁石は、残留磁束密度(Br)が14.6kG以下、角形比(Hk/HcJ)が95%以下、最大エネルギ積(BHmax)が51MGOe以下の特性に留まっている。
また、単一法で作製された比較例2によるR−T−B系焼結磁石は、残留磁束密度(Br)が14.5kG以下、角形比(Hk/HcJ)が90%以下、最大エネルギ積(BHmax)が50MGOe以下である。
さらに、第2CC法により作製された主相形成用合金及び第1CC法により作製された粒界相形成用合金を用いた比較例3によるR−T−B系焼結磁石は、残留磁束密度(Br)が14.5kG、角形比(Hk/HcJ)が90%程度、最大エネルギ積(BHmax)が48MGOe程度の特性である。
さらにまた、第2CC法により作製された主相形成用合金及びインゴット鋳造法により作製された粒界相形成用合金を用いた比較例4によるR−T−B系焼結磁石は、残留磁束密度(Br)が14.5kG、角形比(Hk/HcJ)が91%程度、最大エネルギ積(BHmax)が50MGOe程度である。
以上のように、第2CC法により作製された主相形成用合金とSC法により作製された粒界相形成用合金を用いることにより、高い磁気特性、特に残留磁束密度(Br)を向上できる。
このように実施例によるR−T−B系焼結磁石の磁気特性、特に残留磁束密度(Br)が高い理由は、その焼結密度の差異にあるものと解される。すなわち、表1に示すように、同温度での焼成で得られたR−T−B系焼結磁石において、実施例は比較例2〜4と比べて密度が高い。特に、比較例1と比べるとより低温で高い密度が得られるので、本発明による実施例は焼成温度幅が広く製造しやすいという利点がある。また、同じ密度をより低温の焼結で得ることができるので、その分だけ異常粒成長を抑えることが可能となり、残留磁束密度(Br)向上に寄与する。
本発明の主相形成用合金を得る遠心鋳造法を実施する装置の一例を示す側断面図である。
符号の説明
1…溶解チャンバ、2…ルツボ、3…円筒状鋳型、4…溶湯、5…鋳型駆動機構、6…回転体、7…湯道、8…回転駆動機構、9…インゴット、h…空孔

Claims (4)

  1. 214B化合物(Rは希土類元素から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe又はFe及びCoを含む遷移金属元素から選択される1種又は2種以上の元素)を含む主相形成用合金粉末と前記主相形成用合金粉末よりもRを多く含む粒界相形成用合金粉末とを含む混合粉末に磁場を印加しつつ加圧成形して成形体を得る工程と、
    前記成形体を焼結する工程と、を備え、
    前記主相形成用合金粉末は、回転体の回転軸Xと円筒状鋳型の回転軸Zとが非平行に配設された状態で、回転する前記回転体に接触することにより飛散された溶湯を回転する前記円筒状鋳型の内面で堆積凝固させる方法により得られた合金を粉砕して作製されたものであり、
    前記粒界相形成用合金粉末は、ストリップキャスト法により得られた合金を粉砕して作製されたものであることを特徴とするR−T−B系焼結磁石の製造方法。
  2. 前記R−T−B系焼結磁石は、R:25〜35wt%、B:0.5〜4.0wt%、Al及びCuの1種又は2種:0.02〜0.6wt%、Zr、Nb及びHfの1種又は2種以上:2.0wt%以下(ただし、0を含む)、Co:4.0wt%以下(ただし、0を含まず)、残部実質的にFeからなる組成を有することを特徴とする請求項1に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
  3. 前記R−T−B系焼結磁石は、R:25〜35wt%、B:0.5〜4.0wt%、Al及びCuの1種又は2種:0.02〜0.6wt%、Zr、Nb及びHfの1種又は2種以上:0.03〜2.0wt%、Co:4.0wt%以下(ただし、0を含まず)、残部実質的にFeからなる組成を有することを特徴とする請求項1に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
  4. 前記R−T−B系焼結磁石は、酸素量が2000ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
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