JPH04338603A - 磁石粉末およびその製造方法ならびに樹脂ボンディッド磁石 - Google Patents

磁石粉末およびその製造方法ならびに樹脂ボンディッド磁石

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JPH04338603A
JPH04338603A JP3139640A JP13964091A JPH04338603A JP H04338603 A JPH04338603 A JP H04338603A JP 3139640 A JP3139640 A JP 3139640A JP 13964091 A JP13964091 A JP 13964091A JP H04338603 A JPH04338603 A JP H04338603A
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magnet
coating layer
particles
magnetic
powder
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JP3139640A
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English (en)
Inventor
Akira Fukuno
亮 福野
Tsutomu Ishizaka
力 石坂
Tetsuto Yoneyama
米山 哲人
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Original Assignee
TDK Corp
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/032Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
    • H01F1/04Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials metals or alloys
    • H01F1/047Alloys characterised by their composition
    • H01F1/053Alloys characterised by their composition containing rare earth metals
    • H01F1/055Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5
    • H01F1/059Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and Va elements, e.g. Sm2Fe17N2

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  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
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  • Hard Magnetic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁石粉末およびその製
造方法ならびに樹脂ボンディッド磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】高性能希土類磁石としては、Sm−Co
系磁石やNd−Fe−B系磁石が知られているが、近年
、新規な希土類磁石の開発が盛んに行なわれている。
【0003】例えば、Sm2 Fe17とNとの化合物
であるSm2 Fe17N2.3 付近の組成で、4π
Is =15.4kG、Tc =470℃、HA =1
4Tの基本物性が得られること、Znをバインダとする
金属ボンディッド磁石として10.5MGOeの(BH
)max が得られること、また、Sm2 Fe17金
属間化合物へのNの導入により、キュリー温度が大幅に
向上して熱安定性が改良されたことが報告されている(
PaperNo.S1.3 at the Sixth
 International Symposium 
on Magnetic Anisotropy an
dCoercivity in Rare Earth
−Transition MetalAlloys,P
ittsburgh,PA,October 25,1
990.(Proceedings Book:Car
negie Mellon University,M
ellon Institute,Pittsburg
h,PA 15213,USA) )。
【0004】この報告では、Sm2 Fe17N2.3
の粉末をZn粉末と混合してコールドプレスした場合、
μ0 Hc=0.2Tであるが、さらに磁場プレスして
Znの融点付近の温度で熱処理して金属ボンディッド磁
石とした場合、μ0 Hc =0.6Tが得られている
【0005】上記報告の金属ボンディッド磁石に用いら
れている磁石粒子は、ほぼ単結晶粒子となる程度の粒径
を有し、保磁力発生機構はニュークリエーションタイプ
である。このため、磁気特性が粒子の表面状態の影響を
受け易い。すなわち、粉砕時の機械的衝撃や粒子の酸化
等により磁石粒子表面には微小突起等の欠陥が生じ、磁
化方向と反対側に磁界が印加されたときに前記欠陥が逆
磁区発生の核となって粒内に磁壁が発生するが、ニュー
クリエーションタイプの磁石では結晶粒内に磁壁のピン
ニングサイトがないため容易に磁壁移動が起こるので、
保磁力は低い。上記報告では、金属ボンディッド磁石と
する際に、溶融した高温のバインダに磁石粒子を接触さ
せ、これにより磁石粒子の表面粗さを減少させて磁壁の
発生を抑制し、高い保磁力を得ていると考えられる。
【0006】しかし、金属ボンディッド磁石は、樹脂バ
インダを用いた樹脂ボンディッド磁石に比べ成形性に劣
り、また、比重が大きいため、適用分野が限定されてし
まう。
【0007】また、Sm2 Fe17磁石の(BH)m
axの理論値である約59MGOeから予測されるボン
ディッド磁石の(BH)max が約40MGOeであ
るのに比べ、上記報告に示される金属ボンディッド磁石
の(BH)max は低く、特に保磁力が低い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事
情からなされたものであり、Sm、FeおよびNを含有
する磁石粉末を含有するボンディッド磁石の磁気特性、
特に保磁力を向上させることを目的とし、また、このよ
うなボンディッド磁石の成形性を向上させることを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
【0010】このような目的は、下記(1)〜(8)の
本発明により達成される。
【0011】(1)R(ただし、Rは希土類元素から選
択される1種以上の元素であり、Smを必須元素として
含む。)を5〜15原子%、Nを0.5〜25原子%含
有し、残部がT(ただし、TはFe、またはFeおよび
Coである。)である磁石粒子から構成され、前記磁石
粒子の表面の少なくとも一部に、金属の被覆層が形成さ
れていることを特徴とする磁石粉末。
【0012】(2)前記被覆層の少なくとも一部に、前
記磁石粒子を構成する元素を含む混在部が存在する上記
(1)に記載の磁石粉末。
【0013】(3)上記(1)または(2)に記載の磁
石粉末を製造する方法であって、気相成長法により前記
被覆層を形成することを特徴とする磁石粉末の製造方法
【0014】(4)上記(1)または(2)に記載の磁
石粉末を製造する方法であって、前記被覆層構成元素を
含有する被覆層原料粒子と磁石粒子とに機械的エネルギ
ーを与えることにより前記被覆層を形成することを特徴
とする磁石粉末の製造方法。
【0015】(5)上記(1)または(2)に記載の磁
石粉末を製造する方法であって、金属のバインダ中に磁
石粉末が分散されている金属ボンディッド磁石を粉砕す
ることにより、前記被覆層を表面に有する磁石粒子を得
ることを特徴とする磁石粉末の製造方法。
【0016】(6)前記被覆層を有する磁石粒子に、被
覆層を構成する元素と磁石粒子を構成する元素とを相互
に拡散させるための熱処理を施す上記(3)ないし(5
)のいずれかに記載の磁石粉末の製造方法。
【0017】(7)前記被覆層形成後に、被覆層の一部
を除去する工程を有する上記(3)ないし(6)のいず
れかに記載の磁石粉末の製造方法。
【0018】(8)上記(1)または(2)に記載の磁
石粉末が樹脂バインダ中に分散されていることを特徴と
する樹脂ボンディッド磁石。
【0019】
【作用】本発明の磁石粉末は、金属からなる被覆層が表
面に形成された磁石粒子から構成される。磁石粒子は、
被覆層形成時の加熱および/または被覆層形成後の熱処
理により、突起等の表面欠陥が平滑化されて表面粗さが
減少するため逆磁区発生の核が減少し、高い保磁力が得
られる。特に、磁石粒子の周囲の被覆層に、磁石粒子構
成元素が含まれる混在部が形成されている場合、極めて
高い保磁力が得られる。この混在部は、磁石粒子構成元
素と被覆層構成元素とが相互に拡散することにより形成
されるものであり、磁石粒子とは磁気的性質が異なるも
のである。磁石粒子の表面粗さの原因となっている突起
等の表面欠陥は、上記した相互拡散により混在部の一部
となって磁石粒子とは磁気的に隔絶されるので、磁石粒
子表面の実質的な表面粗さは極めて小さくなり、逆磁区
発生の核が著減して極めて高い保磁力が得られると考え
られる。
【0020】被覆層が形成される磁石粒子は、Sm2 
(Fe,Co)17系の合金粒子に窒素(N)を含有さ
せたものである。この磁石粒子はNを含有するためキュ
リー温度が高く、熱安定性に優れる。また、Nを含有す
ることにより高い飽和磁化が得られ、異方性エネルギー
も向上して高い保磁力が得られる。磁気特性の向上は、
Nが結晶格子の特定位置に侵入型の固溶をすることによ
り、Fe原子同士の距離や、Fe原子と希土類金属原子
との距離が最適化されるためであると考えられる。
【0021】本発明の樹脂ボンディッド磁石は、本発明
の磁石粉末を樹脂バインダ中に分散したものである。本
発明では、磁石粒子に被覆層を形成することにより、金
属ボンディッド磁石と同様に高保磁力が得られ、しかも
、バインダとして樹脂を用いるので、成形性が良好で複
雑な形状のボンディッド磁石が容易に得られる。
【0022】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成を詳細に説明
する。本発明のボンディッド磁石は、樹脂バインダ中に
磁石粉末が分散された樹脂ボンディッド磁石である。本
発明で用いる磁石粉末は、金属からなる被覆層が表面に
形成された磁石粒子から構成される。
【0023】<磁石粒子>前記被覆層が表面に形成され
る磁石粒子は、R、NおよびTを含有する。
【0024】Rは、Sm単独、あるいはSmおよびその
他の希土類元素の1種以上である。Sm以外の希土類元
素としては、例えばY、La、Ce、Pr、Nd、Eu
、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等
が挙げられる。Sm以外の希土類元素が多すぎると結晶
磁気異方性が低下するため、Sm以外の希土類元素はR
の70%以下とすることが好ましい。Rの含有率は、5
〜15原子%、好ましくは7〜14原子%とする。Rの
含有率が前記範囲未満であると保磁力 iHc が低下
し、前記範囲を超えると残留磁束密度Br が低下して
しまう。
【0025】Nの含有率は、0.5〜25原子%、好ま
しくは5〜20原子%とする。本発明では、Nの一部に
換えてCおよび/またはSiを含有する構成としてもよ
い。この場合、Nの含有率は0.5原子%以上であり、
N、CおよびSiの合計含有率は25原子%以下である
。Nの含有率が前記範囲未満となると、キュリー温度の
上昇と飽和磁化の向上が不十分であり、N、CおよびS
iの合計含有率が前記範囲を超えるとBr が低下する
。Nの一部に換えて含有されるCおよび/またはSiは
、飽和磁化、保磁力およびキュリー温度向上効果を示す
。CおよびSiの合計含有率の下限は特にないが、合計
含有率が0.25原子%以上であれば、前記した効果は
十分に発揮される。
【0026】なお、磁石粒子のキュリー温度は、組成に
よって異なるが430〜650℃程度である。
【0027】TはFe、またはFeおよびCoであり、
T中のFeの含有率は20原子%以上、特に30原子%
以上であることが好ましい。T中のFeの含有率が前記
範囲未満となるとBr が低下する。なお、T中のFe
含有率の上限は特にないが、80原子%を超えるとBr
 が低下する傾向にある。
【0028】磁石粒子中には、Mn、Ni、Zn等の上
記以外の元素が含有されていてもよい。これらの元素の
含有率は3重量%以下とすることが好ましい。また、B
、O、P、S等の元素が含有されていてもよいが、これ
らの元素の含有率は2重量%以下とすることが好ましい
【0029】なお、磁石粒子は、主としてTh2 Zn
17型の菱面体晶系の結晶構造を有する。
【0030】<被覆層>被覆層を構成する金属は、磁石
粒子表面に被覆可能であり、かつ磁石粒子表面の欠陥を
修復できるものであれば特に制限はない。ただし、被覆
層と磁石粒子との間に後述する混在部が形成され得る金
属を選択することが好ましい。
【0031】このような金属としては、融点が150〜
500℃程度の金属単体、合金および金属間化合物が好
ましく、例えば、Zn、Sn、Pb、Mg−Ba、Ba
−Pb、Bi、In、Bi−Li、Ni−Ce、Ce−
Ga、Ce−Znなどが挙げられる。これらのうち特に
、ZnまたはSnが好ましい。
【0032】被覆層は、磁石粒子全表面を被覆している
連続膜である必要はない。すなわち、上記した組成を有
する磁石粒子は結晶磁気異方性エネルギーが大きいため
、被覆層は磁石粒子表面の少なくとも一部、好ましくは
表面の70%以上を覆っていれば十分な保磁力向上効果
が実現する。
【0033】被覆層の厚さは、保磁力向上のためには0
.1μm 以上、特に0.5μm 以上であることが好
ましい。また、被覆層の厚さの上限は特にないが、樹脂
ボンディッド磁石としたときの磁石粒子の充填率を高く
し、かつ樹脂ボンディッド磁石製造時に良好な成形性を
得るためには、通常、25μm以下とすることが好まし
い。
【0034】また、磁石粒子と被覆層の合計に対する被
覆層の比率は、0.5〜15体積%であることが好まし
い。被覆層の比率が前記範囲未満であると被覆層の厚さ
を上記範囲とすることが困難であり、前記範囲を超える
と、樹脂ボンディッド磁石に適用した場合に磁石粒子充
填率を高くすることが困難となり、成形性も低下する。
【0035】<混在部>
【0036】被覆層の少なくとも一部には、磁石粒子構
成元素を含有する混在部が形成されていることが好まし
い。混在部は、磁石粒子構成元素と被覆層構成元素とが
相互に拡散することにより形成され、磁石粒子周囲に存
在する。この混在部の存在により、保磁力の劣化は著し
く改善される。
【0037】混在部中には、通常、磁石粒子構成元素の
うち少なくともTおよび/またはR、特にFeおよび/
またはSmが含有される。磁石粒子構成元素と被覆層構
成元素とは金属間化合物として存在することが好ましく
、特に、磁石粒子のTと被覆層構成元素との金属間化合
物が混在部に含まれることが好ましい。例えば、被覆層
がZnから構成される場合、混在部には、Zn7 Fe
3 、Zn9 Fe1 、Sm2 Zn17などの金属
間化合物が含有されることが好ましく、特にZn7 F
e3 やZn9 Fe1 が含有されることが好ましい
【0038】混在部の厚さは、高保磁力を得るためには
0.05μm 以上、特に0.5μm以上であることが
好ましい。また、混在部の厚さの上限は特になく、被覆
層全体が混在部となっていてもよいが、高い飽和磁化を
得るためには10μm 以下であることが好ましい。
【0039】なお、被覆層中において複数の磁石粒子が
互いに接触し二次粒子化して存在する場合、混在部は二
次粒子の周囲に存在することになる。
【0040】混在部の組成および厚さは、X線回折や電
子線プローブマイクロアナライザ(EPMA)などによ
り測定することができる。なお、本明細書において混在
部の厚さとは、磁石粒子構成元素の含有率が10〜90
原子%である領域の厚さとする。
【0041】<磁石粒子製造方法>
【0042】本発明で用いる磁石粒子は、通常、下記の
ようにして製造することが好ましい。
【0043】まず、目的とする組成が得られるように各
原料金属や合金を混合し、次いで混合物を溶解して鋳造
し、母合金インゴットを製造する。母合金インゴットの
結晶粒径は特に限定されず、通常、0.05〜5000
μm 程度とすればよいが、後述する粉砕により単結晶
粒子が得られるような寸法とすることが好ましい。
【0044】次に、必要に応じて母合金インゴットに溶
体化処理を施す。溶体化処理は、インゴットの均質性を
向上させるために施され、処理温度は900〜1230
℃、特に1000〜1200℃、処理時間は0.5〜2
4時間程度とすることが好ましい。なお、溶体化処理は
種々の雰囲気中で行なうことができるが、不活性ガス雰
囲気等の非酸化性雰囲気、還元性雰囲気、真空中等で行
なうことが好ましい。
【0045】次いで、母合金インゴットを粉砕して合金
粒子とする。合金粒子の平均粒子径は特に限定されない
が、十分な耐酸化性を得るためには、合金粒子の平均粒
子径を好ましくは2μm 以上、より好ましくは10μ
m 以上、さらに好ましくは15μm 以上とすること
がよい。また、このような平均粒子径とすることにより
、高密度のボンディッド磁石とすることができる。平均
粒子径の上限は特にないが、通常、1000μm 程度
以下、特に200μm 以下とすることが好ましい。
【0046】粉砕手段は特に限定されず、通常の各種粉
砕機を用いればよいが、母合金インゴットに水素ガスを
吸蔵させて粉砕する手段を用いてもよい。
【0047】次いで、合金粒子に窒化処理を施し、磁石
粒子とする。この窒化処理は窒素雰囲気中で合金粒子に
熱処理を施すものであり、これにより合金粒子には窒素
が吸収される。窒化処理の際の保持温度は400〜70
0℃、特に450〜650℃程度とすることが好ましい
。また、温度保持時間は、0.5〜200時間、特に2
〜100時間程度とすることが好ましい。磁石粒子中の
N量は、ガス分析法により測定することができる。
【0048】なお、母合金インゴットに水素を吸蔵させ
て粉砕し、さらに合金粒子を大気にさらすことなく窒化
処理工程に供すれば、粒子表面の酸化膜の発生を抑える
ことができるので、窒化処理の際に高い反応性が得られ
る。
【0049】本発明において平均粒子径とは、篩別によ
り求められた重量平均粒子径D50を意味する。重量平
均粒子径D50は、径の小さな粒子から重量を加算して
いって、その合計重量が全粒子の合計重量の50%とな
ったときの粒子径である。
【0050】なお、被覆層形成前の磁石粒子の組成は、
被覆層形成後の磁石粒子の組成が前述したような範囲と
なるように適宜選択されればよいが、前述した混在部の
形成を容易にし、かつ磁気特性、特に飽和磁化を向上さ
せるためには、被覆層形成前の磁石粒子の組成をR2 
T17で表わされる化学量論組成から偏倚させることが
好ましい。この場合、化学量論組成に対してリッチな元
素が被覆層中に拡散し易くなるため、混在部を容易に形
成することができ、しかも元素拡散後の磁石粒子の組成
を、化学量論組成とほぼ等しくできる。
【0051】具体的には、下記式(I)または下記式(
II)で表わされる組成を有する磁石粒子を用いること
が好ましい。
【0052】式(I)  R2 T17+aNx
【00
53】ただし、上記式(I)は原子比組成を表わし、a
は0.1〜3、xは2〜3である。
【0054】式(II)  R2+b T17Nx
【0
055】ただし、上記式(II)は原子比組成を表わし
、bは0.1〜0.5、xは2〜3である。
【0056】上記式(I)において、aが前記範囲未満
であると、混在部が形成されにくくなり、また、高い飽
和磁化が得られない。aが前記範囲を超えている場合、
混在部形成後に磁石粒子中のTが化学量論組成に対して
過剰となり、高い角形比が得られない。
【0057】上記式(II)において、bが前記範囲未
満であると、混在部が形成されにくくなり、また、高い
飽和磁化が得られない。bが前記範囲を超えている場合
、混在部形成後に磁石粒子中のRが化学量論組成に対し
て過剰となり、例えばSmFe3 等の化合物が生成し
て高い角形比が得られない。
【0058】上記各式において、Nの含有率を表わすx
が前記範囲内であれば、高いキュリー温度および高飽和
磁化が得られる。なお、前述したようにNの一部をCお
よび/またはSiに換えてもよい。
【0059】上記式(I)で表わされる組成を有する磁
石粒子を用いた場合、被覆層中には主としてTが拡散す
る。また、上記式(II)で表わされる組成を有する磁
石粒子を用いた場合、被覆層中には主としてRが拡散す
る。
【0060】<被覆層および混在部形成方法>
【006
1】本発明において、磁石粒子表面に被覆層を形成する
方法に特に制限はなく、被覆層の材質などに応じて適宜
選択すればよい。
【0062】例えば、被覆層は、熱CVD、プラズマC
VD等のCVD法や、蒸着、スパッタ、イオンプレーテ
ィング等のPVD法など、各種気相成長法により形成す
ることができる。
【0063】これらのうちCVD法は、ステップカバレ
ージが高く、磁石粒子全表面にほぼ均一な厚さの被覆層
を形成することができるので好ましい。特に、熱CVD
を用いる場合、磁石粒子を加熱しながら被覆層を形成す
るので、被覆層形成時の条件を適宜選択することにより
、被覆層構成元素と磁石粒子構成元素とを相互に拡散さ
せて、上記した混在部を容易に形成することができる。 また、例えば、加熱した皿状体の上に磁石粒子を載置し
、前記皿状体を振動させたり回転させたりしながら熱C
VDを行なえば、磁石粒子表面にほぼ均質かつ均一な厚
さの被覆層を形成することができる。
【0064】熱CVDにより被覆層を形成する場合、原
料ガスとしては各種有機金属を用いればよく、例えば亜
鉛アルコキシド等の各種アルコキシドやステアリン酸亜
鉛等の金属セッケンなどを用いることができる。
【0065】被覆層は、機械的エネルギーにより形成す
ることもできる。例えば、被覆層構成元素を含有する被
覆層原料粒子と磁石粒子とを混合し、これらの粒子に機
械的エネルギーを与えて融合させる。このとき、少なく
とも磁石粒子の磁気特性が破壊されないように機械的エ
ネルギーを与える。
【0066】このように機械的エネルギーを与える方法
としては、被覆条件の制御および作業が容易で、しかも
均質かつ均一な厚さの連続膜を形成でき、膜厚の制御が
容易な点で、メカノフュージョンが好ましい。
【0067】本明細書においてメカノフュージョンとは
、複数の異なる素材粒子間に機械的エネルギー、特に機
械的歪力を加えて、メカノケミカル的な反応を起こさせ
る技術のことである。このような機械的な歪力を印加す
る装置としては、例えば、特開昭63−42728号公
報等に記載されているような粉粒体処理装置があり、具
体的には、ホソカワミクロン社製のメカノフュージョン
システムや奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシ
ステムなどが好適である。
【0068】メカノフュージョン被覆装置の一例を図1
に示す。図1においてメカノフュージョン被覆装置7は
、粉体を入れたケーシング8を高速回転させて粉体層6
をその内周面81に形成すると共に、摩擦片91、かき
取り片95をケーシング8と相対回転させ、ケーシング
8の内周面81にて、摩擦片91により粉体層6に圧縮
や摩擦をかけ、同時にかき取り片95により、かき取り
や分散、攪拌を行なうものである。
【0069】メカノフュージョンの際の各種条件は、被
覆層原料粒子の組成や目的とする被覆層の構成に応じて
適宜設定すればよいが、例えば上記の装置にて、混合時
間は20〜40分程度、ケーシング8の回転数は800
〜2000rpm 程度、温度は15〜70℃程度とし
、その他の条件は通常のものとすればよい。また、被覆
層原料粒子の平均粒子径は、0.5〜10μm 程度と
することが好ましい。
【0070】このようなメカノフュージョンにおいて各
種条件を適宜選択することにより、被覆層形成と共に混
在部を形成することが可能である。
【0071】また、液相めっきにより被覆層を形成する
こともできる。液相めっきとしては、各種の電気めっき
や無電解めっきなどを用いればよい。
【0072】なお、上記した各方法により被覆層を形成
した場合、磁石粒子が凝集することがあるが、ボンディ
ッド磁石に適用する場合には必要に応じて解砕すればよ
く、被覆層中に複数の磁石粒子が存在していてもよい。
【0073】以上に挙げた方法のように磁石粒子に直接
被覆層を形成する方法の他、金属のバインダ中に磁石粉
末が分散されている金属ボンディッド磁石を粉砕する方
法を用いても、被覆層を有する磁石粒子を製造すること
ができる。この場合、バインダが被覆層となる。
【0074】粉砕される金属ボンディッド磁石の製造方
法に特に制限はない。例えば、磁石粉末とバインダの粉
末とを混合して成形した後、熱処理すれば、磁石粒子を
バインダにより結合することができ、金属ボンディッド
磁石が得られる。
【0075】この方法を用いる場合、550℃以下、好
ましくは500℃以下で磁石粒子を結合可能なバインダ
を用いる。また、バインダの粉末を構成する粒子の平均
粒子径は特に限定されないが、磁石粉末と均一に混合す
るためには、0.5〜30μm 程度とすることが好ま
しい。混合手段にも特に制限はなく、例えば、ライカイ
機などを用いればよい。
【0076】磁石粉末とバインダの粉末との混合物中に
おけるバインダの粉末の含有率は特に限定されないが、
バインダの粉末の含有率が低過ぎると成形性が悪くなっ
て粉砕したときに均一な被覆層が得られにくくなり、含
有率が高すぎると粉砕したときに被覆層が厚くなりすぎ
るので、通常、2〜25体積%とすることが好ましい。 成形手段は特に限定されないが、通常、コンプレッショ
ン成形を行なう。成形時の圧力に特に制限はないが、通
常、0.2〜16t/cm2 程度である。
【0077】なお、本発明では、金属ボンディッド磁石
を粉砕して用いるため、金属ボンディッド磁石に異方性
を付与する必要はないが、被覆層中に複数の磁石粒子を
含む粉砕粉が得られる場合は、これら複数の磁石粒子の
磁化容易軸方向が配向していることが好ましい。このよ
うに配向させるには、上記した成形を磁場中で行なえば
よい。
【0078】バインダにより磁石粒子を結合するための
熱処理温度は、550℃以下、好ましくは500℃以下
とする。熱処理温度が550℃を超えると磁石粉末が分
解してNが放出されてしまい、磁気特性が極端に低下す
る。熱処理温度は550℃以下であれば特に制限はなく
、必要な粘度が得られるようにバインダの融点に応じて
適宜選択すればよいが、150℃未満で溶融するバイン
ダを用いた場合、実用的に十分な熱安定性が得られない
。また、熱処理の際の温度保持時間は、10分〜5時間
程度することが好ましい。熱処理手段は特に限定されな
いが、加圧しながら加熱する手段が好ましく、例えば、
ホットプレスやプラズマ活性化焼結(PAS)等が好ま
しい。
【0079】なお、バインダにより磁石粒子を結合する
際にホットプレス等の加圧加熱手段を用いる場合、熱処
理温度がバインダの融点以下であっても、すなわちバイ
ンダが溶融状態になっていなくても、金属ボンディッド
磁石を形成することが可能である。
【0080】熱処理後、冷却する。なお、磁場中で冷却
すれば、上記した磁場中成形による異方性化を良好に保
つことができる。
【0081】この方法において混在部は、バインダによ
り磁石粒子を結合する際の熱処理時および冷却時に形成
される。混在部の組成および厚さを制御して高保磁力を
得るためには、熱処理および冷却の際の温度やその時間
的変化を適宜制御すればよい。
【0082】また、金属ボンディッド磁石を製造する際
には、鋳造法により成形を行なってもよい。鋳造法を用
いる場合、溶湯状のバインダ中に磁石粉末が分散された
流動体を鋳造により成形する。前記流動体を作製する方
法に特に制限はない。例えば、バインダを溶融して溶湯
状とし、この中に磁石粉末を投入して攪拌混合する方法
を用いてもよく、あるいは、バインダの粉末と磁石粉末
とを混合した後、加熱してバインダを溶融する方法を用
いてもよい。
【0083】磁石粉末を溶湯状バインダ中に投入する方
法を用いる場合、磁石粉末とバインダとを攪拌混合する
手段に特に制限はなく、例えば、バインダと反応しない
材質(ステンレス等)のインペラにより攪拌する方法な
どを用いることができる。
【0084】流動体中のバインダの含有率は特に限定さ
れないが、バインダの含有率が低過ぎると成形性が悪く
なって粉砕したときに均一な被覆層が得られにくくなり
、含有率が高すぎると粉砕したときに被覆層が厚くなり
すぎるので、通常、バインダの含有率を10〜40体積
%とすることが好ましい。
【0085】また、上記流動体を作製後、必要に応じて
バインダの一部を除去してもよい。磁石粉末をバインダ
中に均一に分散するためには一定量以上のバインダが必
要とされるが、板状などの比較的単純な形状の金属ボン
ディッド磁石を製造する場合、成形時に高い流動性は必
要とされないため、バインダ量は少なくてもよい。本発
明では、金属ボンディッド磁石の形状は単純な塊状や板
状であってよいため、十分な量のバインダを用いて分散
した後、バインダの一部を除去しても成形可能であり、
これにより被覆層の厚さを薄くできる。被覆層の厚さを
薄くできれば、樹脂ボンディッド磁石を形成する際に磁
石粒子の充填率を高くすることができ、しかも成形性は
低下しない。バインダの一部を除去する方法としては、
例えば濾過や遠心分離などが好ましく、また、減圧下で
加熱してバインダを蒸発させる方法を用いてもよい。
【0086】溶湯状バインダと磁石粉末からなる流動体
は、鋳型中において冷却されて凝固するが、バインダの
凝固する温度が磁石粉末のキュリー温度以下である場合
、磁場中で凝固させれば磁石粒子の磁化容易軸を配向さ
せることができ、異方性金属ボンディッド磁石を得るこ
とができるので、上記したように被覆層中に複数の磁石
粒子が含有される場合に磁気特性の向上が可能である。
【0087】本発明では、分散および鋳造する際の流動
体の温度を550℃以下、好ましくは500℃以下とす
る。流動体の温度が550℃を超えると、磁石粉末が分
解してNが放出されてしまい、磁気特性が極端に低下す
る。流動体の温度は550℃以下であれば特に制限はな
く、鋳造に必要とされる粘度が得られるようにバインダ
の融点に応じて適宜選択すればよいが、150℃未満で
溶融するバインダを用いた場合、実用的に十分な熱安定
性が得られない。
【0088】なお、磁石粒子構成元素とバインダ構成元
素との相互拡散による混在部は、磁石粉末を溶湯状バイ
ンダ中に分散させる際や、鋳造、冷却時の条件を適宜選
択することにより形成可能である。
【0089】これらの方法により製造された金属ボンデ
ィッド磁石を粉砕する方法に特に制限はなく、例えば、
ディスクミルやアトライター等により粉砕すればよい。 粉砕により、金属のバインダを被覆層として有する磁石
粒子が得られる。なお、被覆層中に1個の磁石粒子が含
まれるように粉砕することが好ましいが、前述したよう
に複数の磁石粒子が含まれていてもよい。
【0090】上記した各種の被覆層形成方法により好ま
しい混在部が得られない場合、被覆層を有する磁石粒子
に熱処理を施すことにより、混在部を形成したり混在部
の組成や厚さを制御することが可能である。また、金属
ボンディッド磁石を用いる方法では、粉砕前の金属ボン
ディッド磁石にこのような熱処理を施してもよい。
【0091】このような熱処理の際の保持温度および温
度保持時間に特に制限はなく、磁気特性向上に有効な混
在部が形成されるような条件を適宜選択すればよいが、
通常、250〜470℃にて10分〜5時間程度である
【0092】本発明では、被覆層形成後、必要に応じて
被覆層の一部を除去してもよい。例えば被覆層をZnで
構成した場合、混在部にはZn7 Fe3 が含まれる
が、ZnおよびZn7 Fe3 は非磁性である。そし
て、前述したように、被覆層は磁石粒子の表面欠陥を修
復する作用をもてばよいので、磁石粒子の表面欠陥修復
に必要とされる厚さを超える領域の被覆層を除去すれば
、本発明の効果を維持したままでさらに磁気特性を向上
させることが可能となる。特に、上記した被覆層形成方
法のうち、金属ボンディッド磁石を粉砕する方法を用い
る場合、被覆層が厚くなり易いので、この方法は有効で
ある。
【0093】被覆層の一部を除去する方法は特に限定さ
れないが、被覆層を有する磁石粒子をアルカリ性溶液や
酸性溶液により洗浄する方法が好ましい。例えば被覆層
をZnで構成した場合、Znは両性化合物なのでアルカ
リ性溶液および酸性溶液のいずれにも容易に溶解する。 一方、混在部構成成分であるZn7Fe3 は、これら
の溶液に溶解しにくい。このため、混在部以外の被覆層
だけを選択的に除去することができる。被覆層の一部除
去に用いる溶液のpHや温度、あるいは洗浄時間や洗浄
方法等の各種条件は特に限定されず、適当な条件を実験
的に定めればよいが、例えば、0.1〜0.2mol/
l 程度のNa2 CO3 溶液を50〜70℃程度に
加熱し、この溶液中に被覆層を有する磁石粒子を投入し
て10分〜4時間程度攪拌すれば、混在部を残して大部
分の被覆層を除去することができる。
【0094】なお、混在部が形成されていない場合でも
、溶解時間を制御することにより被覆層の一部を必要な
だけ除去することが可能である。
【0095】<樹脂ボンディッド磁石の製造方法>
【0
096】上記のようにして製造された被覆層を有する磁
石粒子は、樹脂バインダ中に分散されて樹脂ボンディッ
ド磁石とされる。
【0097】樹脂ボンディッド磁石の製造は、通常の方
法に従って行なえばよい。すなわち、まず、被覆層を有
する磁石粒子と樹脂バインダとを混合後、成形し、必要
に応じて熱処理を施す。
【0098】成形方法に特に制限はなく、本発明はコン
プレッション成形を用いるコンプレッションボンディッ
ド磁石およびインジェクション成形を用いるインジェク
ションボンディッド磁石のいずれにも適用することがで
きる。
【0099】用いるバインダに特に制限はなく、公知の
樹脂ボンディッド磁石に利用される各種樹脂を用いれば
よい。例えば、コンプレッションボンディッド磁石の場
合は各種硬化剤を用いたエポキシ樹脂等の各種熱硬化性
樹脂を、また、インジェクションボンディッド磁石の場
合はポリアミド樹脂等の各種熱可塑性樹脂を用いればよ
い。なお、混合時のバインダの状態には特に制限はない
【0100】磁石粒子とバインダとの混合方法に特に制
限はなく、水平回転円筒型混合機、正立方体型混合機、
縦形二重円錐型混合機、V型混合機、鋤板混合機、らせ
ん混合機、リボン混合機、衝撃回転混合機等のいずれを
用いてもよい。コンプレッション成形あるいはインジェ
クション成形の条件に特に制限はなく、公知の条件から
適当に選択すればよい。
【0101】なお、樹脂ボンディッド磁石には、上記し
た磁石粒子およびバインダに加え、必要に応じて潤滑剤
、カップリング剤、可塑剤、酸化防止剤等が含有されて
いてもよい。
【0102】<磁気特性>
【0103】上記した方法により製造された樹脂ボンデ
ィッド磁石では、4kOe 以上、特に6kOe 以上
の保磁力 iHc が得られ、また、8kG以上、特に
11kG以上の飽和磁化4πIs が得られる。
【0104】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0105】[実施例1]下記表1に示される組成の磁
石粒子を用いて、樹脂ボンディッド磁石を作製した。
【0106】<磁石粉末の製造>
【0107】まず、高周波誘導加熱により母合金インゴ
ットを作製した。母合金インゴットはTh2 Zn17
型の菱面体晶構造の結晶粒を有し、平均結晶粒径は約5
00μmであった。なお、結晶構造はX線回折法により
確認した。
【0108】次に、母合金インゴットに溶体化処理を施
した。溶体化処理は、Arガス雰囲気中にて1150℃
で16時間行なった。
【0109】溶体化処理後、母合金インゴットを平均粒
子径10μm まで粉砕し、得られた合金粉末に窒化処
理を施して磁石粉末とした。窒化処理は、N2 ガス雰
囲気中にて450℃で10時間熱処理することにより行
なった。各磁石粉末のキュリー温度は450〜490℃
程度であった。
【0110】<被覆層の形成>
【0111】メカノフュージョン法 平均粒子径1.2μm のZn粒子からなる被覆層原料
粉末と上記磁石粉末とを混合し、メカノフュージョン法
により被覆層原料粒子と磁石粒子とを融合させ、磁石粒
子表面に被覆層を形成した。メカノフュージョンは、ホ
ソカワミクロン社製のメカノフュージョンシステムによ
り行ない、その際の条件は、ケーシング回転数1500
rpm 、処理時間40分とした。
【0112】被覆層を形成した磁石粒子を樹脂中に埋め
込んで切断し、断面を研磨してEPMAにより組成を測
定し、被覆層の厚さおよび混在部の厚さを調べた。結果
を表1に示す。
【0113】また、被覆層を形成した磁石粒子に対して
X線回折を行ない、混在部に含有される化合物の種類を
調べた。結果を表1に示す。
【0114】熱CVD法 原料ガスとしてステアリン酸亜鉛を用い、熱CVD法に
より上記磁石粒子表面に被覆層を形成した。CVDに際
しては、加熱した皿状体の上に磁石粉末を載置し、この
皿状体に振動を与えながら磁石粉末を均等に加熱した。 磁石粉末の温度は200℃とした。
【0115】この被覆層についても上記と同様にして組
成を測定し、被覆層の厚さ、混在部の厚さおよび混在部
に含まれる化合物を調べた。結果を表1に示す。
【0116】金属ボンディッド磁石の粉砕平均粒子径1
5μm のバインダの粉末と上記磁石粒子との混合物を
、超硬合金製ライカイ機により作製した。バインダには
Zn(融点419℃)を用い、混合物中のバインダの粉
末の含有率は12.5体積%とした。混合物をコンプレ
ッション成形し、得られた成形体をホットプレスにより
加圧熱処理した。ホットプレスの際のプレス時間は1時
間、保持温度は450℃、加圧圧力は8t/cm2 と
した。
【0117】ホットプレス後、冷却し、金属ボンディッ
ド磁石を得た。この金属ボンディッド磁石をディスクミ
ルにより粉砕し、被覆層を有する磁石粒子を得た。なお
、一部の粉砕粉は、10個程度以下の凝集した磁石粒子
の周囲を被覆層が囲んだ構成となっていた。
【0118】この被覆層についても上記と同様にして組
成を測定し、被覆層の厚さ、混在部の厚さおよび混在部
に含まれる化合物を調べた。結果を表1に示す。
【0119】また、金属ボンディッド磁石粉砕後、70
℃のNa2 CO3 0.5mol/l 溶液に浸漬し
て被覆層の一部を溶解除去した磁石粒子を作製し、これ
についても上記と同様な測定を行なった。結果を表1に
示す。
【0120】なお、上記各方法により被覆層形成後、熱
処理を施した磁石粒子も作製した。この熱処理の際の保
持温度および温度保持時間を表1に示す。
【0121】次に、上記各方法により形成された被覆層
を有する磁石粒子をエポキシ系樹脂バインダと混合し、
コンプレッション成形および熱硬化を行なって樹脂ボン
ディッド磁石を作製した。これらの樹脂ボンディッド磁
石について、保磁力 iHc および飽和磁化4πIs
 の測定を行なった。結果を表1に示す。
【0122】また、比較のために、被覆層を有しない磁
石粒子を用いて樹脂ボンディッド磁石を作製し、これに
ついても同様な測定を行なった。結果を表1に示す。
【0123】
【表1】
【0124】表1に示される結果から、本発明の効果が
明らかである。すなわち、被覆層を有する磁石粒子を用
いた樹脂ボンディッド磁石では高い磁気特性が得られて
おり、特に磁石粒子周囲の混在部の比率が高い場合、極
めて高い保磁力が得られている。
【0125】なお、被覆層構成材料としてSnを用いて
上記各方法により被覆層を有する磁石粒子を作製し、上
記と同様にしてEPMAにより測定したところ、混在部
の存在が確認された。また、X線回折の結果、混在部に
はFeSn2 の存在が確認された。そして、この磁石
粒子を用いて樹脂ボンディッド磁石を作製したところ、
上記実施例と同様に高磁気特性が得られた。
【0126】また、上記各実施例において磁石粒子のF
eの一部をCoで置換した場合、Tc の上昇、4πI
s の向上ならびに iHc の僅かな低下が認められ
た。
【0127】
【発明の効果】本発明では、ニュークリエーションタイ
プの保磁力発生機構を有するSm−Fe−N系磁石粒子
の表面に、金属からなる被覆層を形成する。この被覆層
により、逆磁区発生の核となる磁石粒子の表面欠陥が修
復されるため、高い保磁力が得られる。特に、磁石粒子
周囲の被覆層の少なくとも一部に磁石粒子構成元素を含
む混在部が形成されている場合、磁石粒子の表面欠陥は
極めて良好に修復されるため、著しく高い保磁力が得ら
れる。
【0128】そして、このような被覆層を有する磁石粒
子を樹脂ボンディッド磁石に適用すれば、磁気特性が高
く、しかも形状の自由度が大きいボンディッド磁石が実
現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁石粉末の製造に用いるメカノフュー
ジョンによる被覆装置の1例を示す断面図である。
【符号の説明】
6  粉体層 7  メカノフュージョン被覆装置 8  ケーシング 91  摩擦片 95  かき取り片

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  R(ただし、Rは希土類元素から選択
    される1種以上の元素であり、Smを必須元素として含
    む。)を5〜15原子%、Nを0.5〜25原子%含有
    し、残部がT(ただし、TはFe、またはFeおよびC
    oである。)である磁石粒子から構成され、前記磁石粒
    子の表面の少なくとも一部に、金属の被覆層が形成され
    ていることを特徴とする磁石粉末。
  2. 【請求項2】  前記被覆層の少なくとも一部に、前記
    磁石粒子を構成する元素を含む混在部が存在する請求項
    1に記載の磁石粉末。
  3. 【請求項3】  請求項1または2に記載の磁石粉末を
    製造する方法であって、気相成長法により前記被覆層を
    形成することを特徴とする磁石粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】  請求項1または2に記載の磁石粉末を
    製造する方法であって、前記被覆層構成元素を含有する
    被覆層原料粒子と磁石粒子とに機械的エネルギーを与え
    ることにより前記被覆層を形成することを特徴とする磁
    石粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】  請求項1または2に記載の磁石粉末を
    製造する方法であって、金属のバインダ中に磁石粉末が
    分散されている金属ボンディッド磁石を粉砕することに
    より、前記被覆層を表面に有する磁石粒子を得ることを
    特徴とする磁石粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】  前記被覆層を有する磁石粒子に、被覆
    層を構成する元素と磁石粒子を構成する元素とを相互に
    拡散させるための熱処理を施す請求項3ないし5のいず
    れかに記載の磁石粉末の製造方法。
  7. 【請求項7】  前記被覆層形成後に、被覆層の一部を
    除去する工程を有する請求項3ないし6のいずれかに記
    載の磁石粉末の製造方法。
  8. 【請求項8】  請求項1または2に記載の磁石粉末が
    樹脂バインダ中に分散されていることを特徴とする樹脂
    ボンディッド磁石。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6900559B2 (en) * 2000-03-24 2005-05-31 Seiko Precision Inc. Rotor magnet, motor and stepping motor
JP2019012811A (ja) * 2017-06-30 2019-01-24 トヨタ自動車株式会社 希土類磁石及びその製造方法
JP2021086898A (ja) * 2019-11-27 2021-06-03 株式会社豊田自動織機 磁石用粉末の製造方法及び磁石用粉末

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JP2019012811A (ja) * 2017-06-30 2019-01-24 トヨタ自動車株式会社 希土類磁石及びその製造方法
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