JPH08250312A - 希土類−鉄系永久磁石およびその製造方法 - Google Patents

希土類−鉄系永久磁石およびその製造方法

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JPH08250312A
JPH08250312A JP8053295A JP5329596A JPH08250312A JP H08250312 A JPH08250312 A JP H08250312A JP 8053295 A JP8053295 A JP 8053295A JP 5329596 A JP5329596 A JP 5329596A JP H08250312 A JPH08250312 A JP H08250312A
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rare earth
iron
permanent magnet
atomic
coercive force
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JP8053295A
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Koji Akioka
宏治 秋岡
Tatsuya Shimoda
達也 下田
Osamu Kobayashi
理 小林
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Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高性能で低コストな希土類−鉄系永久磁石を得
ること。 【解決手段】本発明の希土類−鉄系永久磁石は、R(た
だしRはYを含む希土類元素のうちの少なくとも1
種):8〜30原子%およびB:2〜28原子%を含む
鉄系合金よりなるものであり、前記合金を溶解、鋳造し
て得られた鋳造インゴットを500℃以上の温度で熱間
加工することにより結晶粒が微細化されかつ結晶軸が特
定の方向に配向した異方性の永久磁石である。そして、
磁石の保磁力は、2.0kOe以上に達する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、希土類−鉄系永久
磁石およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、希土類−鉄系永久磁石(R−Fe
−B系永久磁石)の製造には、次の3通りの方法が報告
されている。
【0003】 粉末治金法に基づく焼結法(参考文献
1) アモルファス合金を製造するに用いる急冷薄帯製造
装置で、厚さ30μm 程度の急冷薄片を作り、その薄片
を樹脂結合法で磁石にする(参考文献2)。
【0004】 前記の方法で使用した同じ薄片を、
2段階のホットプレス法で機械的配向処理を行う方法
(参考文献2) 参考文献1:M.Sagawa、S.Fujimura、N.Togawa、H.Yama
moto and Y.Matsuura ;J.Appl.Phys .Vol.55(6)、15 M
arch 1984 P2083 参考文献2:R.W.Lee ;Appl. Phys. Lett. Vol.46(8)
、15 April 1985 、P790 前記参考文献に基づいて従来技術を説明する。
【0005】まず、前記の焼結法では、溶解、鋳造に
より合金インゴットを作製し、粉砕されて3μm 程度の
粒径を有する磁石粉にされる。磁石粉は成形助剤となる
バインダーと混練され、磁場中でプレス成形されて、成
形体ができあがる。成形体はアルゴン中で1100℃前
後の温度で1時間焼結され、その後室温まで急冷され
る。焼結後、600℃前後の温度で熱処理すると保磁力
はさらに向上する。
【0006】前記の方法は、まず、急冷薄帯製造装置
の最適な回転数でR−Fe−B合金の急冷薄帯を作る。
得られた薄帯は厚さ30μm のリボン状をなしており、
直径が1000オングストローム以下の多結晶が集合し
ている。薄帯は脆くて割れやすく、結晶粒は等方的に分
布しているので磁気的にも等方性である。この薄帯を適
度な粒度にして、樹脂と混練してプレス成形すれば7to
n/cm2 程度の圧力で、約85体積%の充填が可能とな
る。
【0007】前記の製造方法は、始めにリボン状の急
冷薄帯あるいは薄帯の片を、真空中あるいは不活性雰囲
気中で約700℃で予備加熱したグラファイトあるいは
他の耐熱用のプレス型に入れる。該リボンが所望の温度
に到達したとき、一軸の圧力が加えられる。温度、時間
は特定しないが、充分な塑性が出る条件として、温度T
=725±25℃、圧力Pは、〜1.4ton/cm2 程度が
適している。この段階では、磁石はわずかにプレス方向
に配向しているとはいえ、全体的には等方性である。次
のホットプレスは、大面積を有する型で行われる。最も
一般的には700℃で0.7ton で数秒間プレスする。
すると試料は最初の厚みの1/2になりプレス方向と平
行に磁化容易軸が配向してきて、合金は異方性化する。
これらの工程は、二段階ホットプレス法(two-stage ho
t - pressing procedure)と呼ばれている。
【0008】この方法により緻密で異方性を有するR−
Fe−B磁石が製造できる。なお、最初のメルトスピニ
ング法で作られるリボン薄帯の結晶粒は、それが最大の
保磁力を示す時の粒径よりも小さめにしておき、後にホ
ットプレス中に結晶粒の粗大化が生じて最適の粒径にな
るようにしておく。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来技術で、
R−Fe−B系永久磁石は一応作製できるのであるが、
これらの技術を利用した製造方法は、次のような欠点を
有している。
【0010】前記の焼結法は、合金を粉末にすること
が必須であるが、R−Fe−B系合金は大変酸素に対し
て活性であるので、粉末化すると余計酸化が激しくな
り、焼結体中の酸素濃度はどうしても高くなってしま
う。また、粉末を成形するときに、例えばステアリン酸
亜鉛のような成形助剤を使用しなければならず、これは
焼結工程で前もって取り除かれるのであるが、その数割
は磁石体の中に炭素の形で残ってしまう。この炭素の存
在は、R−Fe−B系永久磁石の磁気性能を著しく低下
させる。
【0011】成形助剤を加えてプレス成形した後の成形
体は、グリーン体と言われる。このグリーン体は大変脆
く、ハンドリングが難しい。従って、焼結炉にきれいに
並べて入れるのには、相当の手間がかかることも大きな
欠点である。
【0012】これらの欠点があるので、一般的に言って
R−Fe−B系の焼結磁石の製造には、高価な設備が必
要になるばかりでなく、生産効率が悪く、磁石の製造費
が高くなってしまう。従って、R−Fe−B系磁石の原
料費の安さを充分に引き出せる製造法とは言い難い。
【0013】前記との製造法は、真空メルトスピニ
ング装置を使う。この装置は現在では、大変生産性が悪
く、しかも高価である。の方法では、原理的に等方性
であるので低エネルギー積であり、ヒステリシスループ
の角形性もよくないので、温度特性に対しても、使用す
る面においても不利である。の方法は、ホットプレス
を2段階に使うというユニークな方法であるが、実際に
量産を考えると、生産効率が低いことは否めないであろ
う。
【0014】本発明によるR−Fe−B系磁石およびそ
の製造方法は、これらの欠点を解決するものであり、そ
の目的とするところは高性能で低コストな希土類−鉄系
永久磁石を得ることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(14)の本発明により達成される。
【0016】(1) R(ただしRはYを含む希土類元
素のうちの少なくとも1種):8〜30原子%および
B:2〜28原子%を含む鉄系合金よりなり、該合金を
溶解、鋳造して得られた鋳造インゴットを500℃以上
の温度で熱間加工することにより結晶粒が微細化されか
つ結晶軸が特定の方向に配向した異方性の永久磁石であ
って、保磁力が2.0kOe以上であることを特徴とす
る希土類−鉄系永久磁石。
【0017】(2) R(ただしRはYを含む希土類元
素のうちの少なくとも1種):8〜30原子%、B:2
〜28原子%およびCo:50原子%以下(ただし0を
除く)を含む鉄系合金よりなり、該合金を溶解、鋳造し
て得られた鋳造インゴットを500℃以上の温度で熱間
加工することにより結晶粒が微細化されかつ結晶軸が特
定の方向に配向した異方性の永久磁石であって、保磁力
が2.0kOe以上であることを特徴とする希土類−鉄
系永久磁石。
【0018】(3) R(ただしRはYを含む希土類元
素のうちの少なくとも1種):8〜30原子%、B:2
〜28原子%およびAl:15原子%以下(ただし0を
除く)を含む鉄系合金よりなり、該合金を溶解、鋳造し
て得られた鋳造インゴットを500℃以上の温度で熱間
加工することにより結晶粒が微細化されかつ結晶軸が特
定の方向に配向した異方性の永久磁石であって、保磁力
が2.0kOe以上であることを特徴とする希土類−鉄
系永久磁石。
【0019】(4) R(ただしRはYを含む希土類元
素のうちの少なくとも1種):8〜30原子%、B:2
〜28原子%、Co:50原子%以下(ただし0を除
く)およびAl:15原子%以下(ただし0を除く)を
含む鉄系合金よりなり、該合金を溶解、鋳造して得られ
た鋳造インゴットを500℃以上の温度で熱間加工する
ことにより結晶粒が微細化されかつ結晶軸を特定の方向
に配向した異方性の永久磁石であって、保磁力が2.0
kOe以上であることを特徴とする希土類−鉄系永久磁
石。
【0020】(5) R(ただしRはYを含む希土類元
素のうちの少なくとも1種):8〜25原子%および
B:2〜8原子%を含む鉄系合金よりなり、該合金を溶
解、鋳造して得られた鋳造インゴットを500℃以上の
温度で熱間加工することにより結晶粒が微細化されかつ
結晶軸が特定の方向に配向した異方性の永久磁石であっ
て、保磁力が2.0kOe以上であることを特徴とする
希土類−鉄系永久磁石。
【0021】(6) 前記合金は、250℃以上の温度
で熱処理することにより磁気的に硬化するものである上
記(5)に記載の希土類−鉄系永久磁石。
【0022】(7) 磁気エネルギー積が4.3MGO
e以上である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載
の希土類−鉄系永久磁石。
【0023】(8) 前記特定の方向は、前記熱間加工
の加圧方向と平行な方向である上記(1)ないし(7)
のいずれかに記載の希土類−鉄系永久磁石。
【0024】(9) 上記(1)ないし(8)のいずれ
かに記載の希土類−鉄系永久磁石の粉末を有機物バイン
ダーにより結合してなることを特徴とする希土類−鉄系
永久磁石。
【0025】(10) 前記粉末は、水素粉砕により製造
されたものである上記(9)に記載の希土類−鉄系永久
磁石。
【0026】(11) 前記粉末は、各粉末内に磁性相R
2 Fe14B粒子を複数個含むものである上記(9)また
は(10)に記載の希土類−鉄系永久磁石。
【0027】(12) R(ただしRはYを含む希土類元
素のうちの少なくとも1種):8〜30原子%および
B:2〜28原子%を含む鉄系合金よりなる合金を溶
解、鋳造して、磁性相であるR2 Fe14B粒子を主相と
しその間にRに富んだ非磁性相が存在するような鋳造イ
ンゴットを製造する工程と、得られた鋳造インゴットを
500℃以上の温度で熱間加工することにより、前記R
2 Fe14B粒子を微細化するとともに、前記非磁性相の
溶融を伴って結晶軸を特定の方向に配向せしめ、磁気的
に硬化する工程とを有し、前記鋳造は、鋳型に注入され
た溶湯を急冷することにより所定の方向性をもって凝固
させ、鋳造インゴットのマクロ組織が面内異方性を有す
る柱状晶となるような条件で行われることを特徴とする
希土類−鉄系永久磁石の製造方法。
【0028】(13) R(ただしRはYを含む希土類元
素のうちの少なくとも1種):8〜30原子%および
B:2〜28原子%を含む鉄系合金よりなる合金を溶
解、鋳造して、磁性相であるR2 Fe14B粒子を主とし
その間にRに富んだ非磁性相が存在するような鋳造イン
ゴットを製造する工程と、得られた鋳造インゴットを5
00℃以上の温度で熱間加工することにより、前記R2
Fe14B粒子を微細化するとともに、前記非磁性相の溶
融を伴って結晶軸を特定の方向に配向せしめ、磁気的に
硬化する工程とを有し、前記各工程を順次行って、磁石
の保磁力を2.0kOe以上とする希土類−鉄系永久磁
石を製造する方法であって、前記鋳造は、鋳型に注入さ
れた溶湯を急冷することにより所定の方向性をもって凝
固させ、鋳造インゴットのマクロ組織が面内異方性を有
する柱状晶となるような条件で行われることを特徴とす
る希土類−鉄系永久磁石の製造方法。
【0029】(14) 前記特定の方向は、前記熱間加工
の加圧方向と平行な方向である上記(12)または(13)
に記載の希土類−鉄系永久磁石の製造方法。
【0030】
【発明の実施の形態】前記のように、現存の希土類−鉄
系永久磁石の製造方法である焼結法、急冷法は、それぞ
れ粉砕による粉末管理の困難さ、生産性の悪さといった
大きな欠点を有している。本発明者らは、これらの欠点
を改良するため、バルクの状態での磁石化の研究に着手
し、まず、前記各請求項に示す所定の組成域で熱間加工
による結晶粒(主相)の微細化と配向化ができ、十分な
保磁力を持つ異方性磁石が得られること、さらに、この
インゴットを水素粉砕等により粉砕して粉末とし、有機
物バインダーと混合、混練し、成形することにより、高
性能の樹脂結合型磁石を得られることを発明した。
【0031】この場合、熱間加工による異方性化は、参
考文献2に示した2段階のプレスではなく、1段階の加
工でよく、粒子の微細化により加工後の保磁力が大幅に
増加するという全く異った現象を呈する。熱間加工の際
の温度は500℃以上であり、500〜1000℃が好
ましく、700〜800℃がより好ましい。この温度域
では、非磁性相が溶融し、結晶軸の配向を助ける。ま
た、熱間加工時の熱により磁石は磁気的に硬化するが、
さらにその後、熱処理、特に250℃以上の温度で熱処
理を施してもよい。
【0032】また、本発明では、樹脂結合型磁石を製造
する場合を除き、鋳造インゴットを粉砕する必要がない
ので、バルク状態のままで磁石とすることができる。す
なわち、表面積の増大による粉末の酸化を考慮する必要
がなく、よって、焼結法のような厳密な雰囲気管理を行
う必要がなく、設備費が大きく低減される。
【0033】さらに、樹脂結合磁石においても、急冷法
で製造される磁石のように、原理的に等方性であるとい
った問題点がなく、異方性の樹脂結合磁石が得られ、R
−Fe−B系磁石の高性能、低コストという特徴を生か
すことができる。
【0034】従来のR−Fe−B系磁石の組成は、参考
文献1に代表されるようなR15Fe778 が最適とされ
ていた。この組成は、主相R2 Fe14B化合物を原子百
分率にした組成R11.7Fe82.45.9 に比して、R・B
に富む側に移行している。このことは、高い保磁力を得
るためには、主相のみではなく、R・Bに富んだ非磁性
相(粒界相)が必要であるという点から説明されてい
る。
【0035】本発明による組成では、Bが少ない側に移
行したところに保磁力のピーク値が存在する。この組成
域では、焼結法の場合、保磁力が激減するので、これま
であまり問題にされていなかった。しかし通常の鋳造法
では、本発明の組成範囲でのみ、高保磁力が得られ、逆
に焼結法の主流組成であるBに富む側では十分な保磁力
は得られない。
【0036】これらの点は以下のように考えられる。ま
ず、焼結法を用いても鋳造法を用いても、保磁力機構そ
のものは、nucleation. model に従っている。これは、
両者の初磁化曲線がSmCo5 のように急峻な立ち上が
りを示すことからわかる。このタイプの磁石の保磁力
は、基本的には単磁区モデルによっている。すなわちこ
の場合、大きな結晶磁気異方性を有するR2 Fe14
(ただしFeを一部をCoに置換することができる)粒
子のサイズが大きすぎると、粒内に磁壁を有するように
なるため、磁壁の移動によって磁化の反転が容易に起き
てしまい、保磁力は小さい。
【0037】一方、粒子サイズが小さくなって、ある寸
法以下になると、粒子内に磁壁を有さなくなり、磁化の
反転は回転のみによって進行するため、保磁力は大きく
なる。つまり、適切な保磁力を得るには、R2 Fe14
相が適切な粒径を有することが必要である。この粒径と
しては、例えば10μm 前後が適当であり、焼結タイプ
の場合は、焼結前の粉末粒度の調整によって粒径を適合
させることができる。
【0038】ところが、鋳造法の場合、R2 Fe14B粒
子の大きさは、溶融から凝固する段階で決定されるた
め、組成と凝固過程に注意を払う必要がある。特に組成
の意味合いは大きく、Bが8原子%を超えると、鋳造上
がりのR2 Fe14B相の大きさが100μm を超えるこ
とがあり、参考文献2のような急冷装置を用いないと鋳
造状態では保磁力を得ることは困難である。これに対し
て、請求項5で示すような低ボロン領域では、鋳型・鋳
込温度等の条件設定により、容易に粒径を微細化するこ
とができる。
【0039】しかし、いずれの場合でも、本発明のよう
に熱間加工を施すことにより、主相であるR2 Fe14
粒子が微細化するので、加工前に比べ保磁力は増大す
る。
【0040】鋳造状態で保磁力を得られる領域は、見方
を変えればR2 Fe14Bに比してFeに富んだ組成とも
言え、凝固段階ではまず初晶としてFeが出現し、続い
て包晶反応によってR2 Fe14B相が現れる。このと
き、冷却スピードは平衡反応に比してはるかに速いた
め、初晶FeのまわりをR2 Fe14B相が取り囲むよう
な形で凝固する。初晶Feは、デンドライトを形成して
いるので、R2 Fe14B相の成長方向はFe相の方向に
依存し、隣接するR2 Fe14B相の結晶の方向は揃って
おり、従って、それらの結晶軸(c軸)も平行となる部
分が多い。この状態で、c軸が揃っている方向、すなわ
ち結晶の成長方向と直行する方向に加圧するような熱間
加工を施すことにより、配向度をさらに高め、異方性磁
石とすることができる。
【0041】前記組成域は低Bな領域であるため、当然
のことながら、焼結タイプの代表組成R15Fe778
磁石に見られるようなBに富んだ相は、量的にほとんど
無視できる。
【0042】熱処理は、初晶Feを拡散させ、平衡状態
に到達させるために行うことができ、保磁力はこのFe
相の拡散に大きく依存している。
【0043】本発明の製造方法において、鋳造は、鋳型
に注入された溶湯を急冷することにより、所定の方向性
をもって、すなわち鋳壁(冷却端)から内部へ向かうよ
うな方向で凝固させ、当該方向へ結晶を成長させること
により、鋳造インゴットのマクロ組織が面内異方性(結
晶の成長方向と直行する方向に磁化容易軸(c軸)が存
在すること)を有する柱状晶となるように行われるのが
好ましい。
【0044】このような鋳造法としては、例えばチル鋳
造のように、急冷組織が得られるような方法、条件であ
ればよい。鋳型としては、急冷に適したものが好まし
く、例えば特開昭56−102533号公報の第6図に
記載されたような空冷、水冷の鋳型や、鋳鉄分野でチル
モールドと呼ばれる鉄製金型のような公知のものを用い
ることができる。また、急冷による結晶粒微細化効果の
大きな、Liquid dynamiccompaction 法(参考文献3,
T.S.Chin他 J.Appl.Phys.59(4),15 February 1986,P129
7 )を採用することもできる。
【0045】なお、請求項1〜8の本発明の希土類−鉄
系永久磁石は、請求項12〜14の本発明の製造方法に
より製造することができるが、製造方法や製造条件がこ
れに限定されないことは言うまでもない。
【0046】以上のようにして製造される本発明の希土
類−鉄系永久磁石は、後述する各実施例で示されるよう
に、保磁力iHcが2.0kOe以上、好ましくは4.
0kOe以上、より好ましくは5.0kOe以上とさ
れ、また、最大エネルギー積BH(max)が、好まし
くは4.3MGOe以上、より好ましくは5.0MGO
e以上、さらに好ましくは8.0MGOe以上とされ
る。
【0047】次に、樹脂結合型磁石について説明する。
本発明による樹脂結合型磁石は、前記希土類−鉄系永久
磁石の粉末を有機物バインダーにより結合してなるもの
である。前記参考文献2の急冷法でも確かに樹脂結合磁
石は作成できる。しかし、急冷法で作成される磁石粉末
は、直径が1000オングストローム以下の多結晶が等
方的に集合したものであるため、磁気的にも等方性であ
り、異方性磁石は作成できず、R−Fe−B系の低コス
ト、高性能という特徴が生かせない。
【0048】本発明の場合、水素粉砕のような機械的な
ひずみの比較的小さい粉砕を行えば、保磁力がかなり維
持できるので、上記特徴を持つ樹脂結合型磁石が得られ
る。この方法の最大のメリットは、参考文献2と異な
り、異方性磁石の作製が可能な点にある。
【0049】従来、通常の粉砕では磁気性能の維持がで
きない原因には、主に次の2つがある。まず、R2 Fe
14B相の単磁区臨界半径がSmCo5 等に比して1桁小
さく、サブミクロンオーダである点に注目する必要があ
る。この粒度まで粉砕することは、通常の機械粉砕では
非常に困難であり、また粉末があまりに活性化してしま
うので酸化が著しく、発火しやすくなり、粒径のわりに
は保磁力がでない。
【0050】次に問題となるのは、機械加工による歪で
ある。例えば、焼結状態で、10kOeの保磁力を有す
る磁石を機械粉砕すると、粒径20〜30μm の粉末で
は1kOe以下の保磁力しか有しなくなる。同様な保磁
力機構(nucleation model)に従うとされるSmCo5
磁石では、この様な保磁力の激減は起こらず、容易に保
磁力を有する粉末を製造できる。このような現象の原因
としては、粉砕時の加工歪等の影響がR−Fe−B系の
場合、かなり大きいことが予想できる。このことは、ウ
ォッチ用ステップモータのロータ磁石のような小物磁石
を焼結ブロックから切り出し加工するときには大きな問
題となる。
【0051】水素粉砕は、以上の2つの理由、すなわち
臨界半径の小さいこと、加工歪の影響が大きいことの原
因を解消するので、通常粉砕に比べ、優れた磁気特性の
樹脂結合型磁石を得ることができる。
【0052】また、より高い保磁力を有する粉末を得る
ためには、1つの粒内にR2 Fe14B粒子を複数有する
粉末を作ればよい。しかし、参考文献2の急冷法では、
このような粉末を作る上で、生産性が低いという欠点が
ある。
【0053】また、焼結後の粉砕によりこのような粉末
を作ることは事実上不可能である。何故なら、焼結中に
も粒子はある程度成長して大きくなるので、焼結前の粒
度はその分を見込んでさらに小さくしておかなければな
らない。しかし、このような粒度では、粉末の酸化によ
り酸素濃度が著しく高くなり、期待するような性能は得
られない。そのため現状では、焼結上がりのR2 Fe14
B相の粒度を10μm程度とするのが限界であるが、そ
の程度の粒度では、粉砕後はほとんど保磁力を有しなく
なる。
【0054】そこで、本発明者らは、熱間加工によるR
2 Fe14B粒子(結晶)の微細化を利用することに着目
し、本発明に至った。鋳造上がりでR2 Fe14B粒子の
粒径を焼結R−Fe−B磁石と同程度にすることは、比
較的容易にできる。そして、このような粒度のR2 Fe
14B粒子を有する鋳造インゴットを熱間加工して、粒子
を微細化しかつ配向させた後に粉砕するのである。この
方法によれば、樹脂結合磁石用粉末の粒度は、例えば2
0〜30μm 程度と大きくすることができるから、酸化
を抑制することができ、その上で、粉末中に多数のR2
Fe14B粒子を含ませることができるので、十分な保磁
力を有する粉末が製造できる。さらにこの粉末は、参考
文献2の急冷法のような等方性ではなく、磁場配向が可
能な粉末であるため、異方性磁石とすることができる。
もちろん、このとき粉砕に水素粉砕を適用すれば、保磁
力はよりよく維持される。
【0055】本願発明の永久磁石としては、R、Fe、
Bを必須の元素とするR−Fe−B系合金で構成される
もの(後記表1中のNo. 1〜5、表3中のNo. 1〜7、
11、18、19参照)、R、Fe、Bと、さらにCo
とを必須の元素とするR−Fe−Co−B系合金で構成
されるもの(後記表1中のNo. 6、表3中のNo. 8〜1
0参照)、R、Fe、Bと、さらにAlとを必須の元素
とするR−Fe−Al−B系合金で構成されるもの(後
記表3中のNo. 13〜16、20参照)、R、Fe、B
と、さらにCo、Alとを必須の元素とするR−Fe−
Co−Al−B系合金で構成されるもの(後記表1中の
No. 8参照)、または、これらにさらに他の元素(例え
ば、V、Mo、Nb、Ta、Ti、Zr、Hr、Si)
が含まれているもの(後記表1中のNo. 7、9〜14、
表3中のNo. 12、17参照)が挙げられる。
【0056】以下、本発明の永久磁石の組成限定理由を
説明する。希土類元素としては、Y、La、Ce、P
r、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、Luが挙げられ、これらのうちの1種
あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。最も高い
磁気性能はPrで得られる。従って実用的にはPr、P
r−Nd合金、Ce−Pr−Nd合金等が用いられる。
また少量の添加元素、例えば重希土類元素のDy、Tb
等や、Al、Mo、Si等は、保磁力の向上に有効であ
る。
【0057】R−Fe−B系磁石の主相はR2 Fe14
である。従って、Rが8原子%未満では、もはや上記化
合物を形成せずα−鉄と同一構造の立方晶組織となるた
め高磁気特性は得られない。一方、Rが30原子%を超
えるとRに富む非磁性相が多くなり磁気特性は著しく低
下する。よって、Rの範囲は8〜30原子%が適当であ
る。しかし、鋳造磁石とするため、Rは8〜25原子%
であるのがより好ましい。
【0058】Bは、R2 Fe14B相を形成するための必
須元素であり、2原子%未満では菱面体のR−Fe系に
なるため高保磁力は望めない。また28原子%を超える
とBに富む非磁性相が多くなり、残留磁束密度は著しく
低下してくる。しかし、鋳造磁石としては、B量の上限
は8原子%が好ましい。それを超えると、鋳造時に冷却
速度を上げる等の対策を講じないと結晶の微細化が不十
分となり、大きな保磁力が得にくくなる。
【0059】Coは、磁石のキューリー点を上昇させる
のに有効な元素であり、基本的には、Feのサイトを置
換しR2 Co14Bを形成するのだが、この化合物は結晶
異方性磁界が小さく、その量が増すにつれて磁石全体と
しての保磁力は小さくなる。そのため、1kOe以上、
特に2kOe以上の保磁力を得るには、50原子%以内
がよい。
【0060】Alは、参考文献4:Zhang Maocai他Proc
eeding softhe 8th InternationalWorkshop on Rare-Ea
rth Magnets、1985、P541に示されるよう保磁力の増大効
果を有している。同文献は焼結磁石に対する効果を示し
たものであるが、その効果は鋳造磁石でも同様に存在す
る。しかし、Alは非磁性元素であるため、その添加量
を増すと残留磁束密度が低下し、15原子%を超えると
ハードフェライト以下の残留磁束密度になってしまうの
で、希土類磁石としての目的を果し得ない。よって、A
lの添加量は15原子%以下がよい。
【0061】なお、前記Co、Alのいずれか一方また
は双方が無添加であってもよい。
【0062】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0063】[実施例1]本発明における製造工程の例
を図1に示す。まず、下記表1に示す組成の合金を誘導
炉で溶解し、鋳型に鋳造(チル鋳造)した。
【0064】次に、表1中に併記されている各種の熱間
加工を施した(図1中左列参照)。本実施例では、熱間
加工として押し出し加工(図2参照)、圧延加工
(図3参照)、スタンプ加工(図4参照)のいずれか
を700〜800℃で施した。押し出し加工について
は、等方的に力が加えられるように、ダイ2側からも力
が加わるよう工夫した。圧延およびスタンプ加工につい
ては、極力ひずみ速度が小さくなるようにロール11お
よびスタンプ21の速度を調整した。いずれの方法で
も、合金の押される方向(加圧方向)に平行になるよう
に結晶の磁化容易軸は配向した。
【0065】熱間加工後、各々600℃×2時間熱処理
を行った。さらに、切断・切削加工を施して、所望形状
の永久磁石を得た。
【0066】各永久磁石についての磁気性能の測定結果
を下記表2に示す。参考データとして熱間加工を行なわ
ない試料の残留磁束密度を表2中に示した。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】表2より、押し出し、圧延、スタンプのす
べての熱間加工法で残留磁束密度が増加し、磁気的に異
方化されたことがわかる。
【0070】なお、熱間加工を温度1000℃で行い、
その後1000℃×24時間のアニール処理を行った以
外は前記と同様の条件で磁石を作製し、同様の測定を行
った結果、表2と同様の結果が得られた。
【0071】[実施例2]まず、下記表3に示す組成の
合金を誘導炉で溶解し、鉄鋳型に鋳造し、柱状晶を形成
せしめた。
【0072】加工率約50%以上の熱間加工(本実施例
ではプレス加工)を500℃以上の温度で行った後、1
000℃×24時間のアニール処理を施した(図1中左
列参照)。このとき、アニール後の結晶粒(主相)の平
均粒径は、約15μm であった。
【0073】また、同様の熱間加工後のインゴットを粉
砕し、その粉末を用いて樹脂結合型磁石を製造した(図
1中右列参照)。
【0074】なお、鋳造タイプの場合、熱間加工を行な
わない同様の例を挙げ、比較例とした。熱間加工を行な
わない場合、所望形状に加工すれば、柱状晶の異方性を
利用した面内異方性磁石となる。
【0075】また、樹脂結合タイプの場合、室温におい
て18−8ステンレス鋼製容器中、10気圧程度の水素
ガス雰囲気下での水素吸蔵と10-5torrでの脱水素とを
繰り返し行いつつ粉砕した後、エポキシ樹脂4重量%と
混合し、混練した。その後、配向磁場10kOeで磁場
中成形を行った。
【0076】得られた各永久磁石についての磁気性能の
測定結果を下記表4および表5に示す。
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【表5】
【0080】ここで、鋳造タイプの場合、熱間加工によ
って最大エネルギー積BH(max)、保磁力iHcと
もに大幅な増加を示している。特に、iHcは、いずれ
も2.0kOe以上(特に4.0kOe以上)を達成し
ている。また、BH(max)は、いずれも4.3MG
Oe(特に5.0MGOe以上)を達成している。これ
は、熱間加工により粒子が配向し、BHカーブの角形性
が大幅に改善されたためである。参考文献2の急冷法で
は、加工によりむしろiHcは減少する傾向にあり、i
Hcの大幅な向上は、本発明の大きな特徴となってい
る。
【0081】[実施例3]ここでは、熱間加工後に粉砕
し、その粉末を樹脂結合した実施例を紹介する。
【0082】実施例2の表3のNo.2とNo.8の試
料を、それぞれ、スタンプミル、ディスクミルにて平均
粒径約30μm (フィッシャーサブシーブサイザーにて
測定)にまで粉砕した。このとき、粒内のPr2 Fe14
B結晶またはPr2 (FeCo)14B結晶の粒径は、2
〜3μm であった。
【0083】このようにして得られた2種類の粉末のう
ち、No.2の粉末は、そのままエポキシ樹脂2重量%
と混練後、磁場中成形し、樹脂硬化させた。一方、N
o.8の粉末は、シランカップリング剤処理を行った
後、磁粉に対し体積比で6:4の割合でポリアミド(ナ
イロン12)を混合し、約250℃で混練した後、射出
成形した。
【0084】それぞれについて磁気性能を測定した結果
を下記表6に示す。
【0085】
【表6】
【0086】iHcは、水素粉砕を行った実施例2と同
じ程度になっていることがわかる。
【0087】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、従
来の焼結法のようにインゴットを粉砕することなく、簡
単な方法で、高性能、特に高い保磁力を有する永久磁石
が得られる。特に、熱間加工により、結晶の微細化と異
方性化が生じ、保磁力および磁気エネルギー積の増大を
図ることができる。
【0088】また、熱間加工は、急冷法のような2段階
でなく、1段階の加工でよいため、製造も容易である。
【0089】このようなことから、従来の焼結法、急冷
法に比し、高性能な永久磁石を製造する上で、製造工程
の大幅な簡素化ができ、製造コストも安価である。
【0090】さらに、熱間加工後の粉砕、特に水素粉砕
により、異方性の樹脂結合磁石も容易に製造することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の希土類−鉄系永久磁石の製造工程の例
を示す図である。
【図2】熱間押出しによる磁石合金の配向処理図であ
る。
【図3】熱間圧延による磁石合金の配向処理図である。
【図4】熱間スタンプ加工による磁石合金の配向処理図
である。
【符号の説明】 1 油圧プレス 2 ダイ(型) 3 磁石合金 4 圧力を示す矢印 5 磁石合金の磁化容易方向を示す矢印 11 ロール 12 磁石合金 13 ロールの回軸方向を示す矢印 14 磁石合金の進行方向を示す矢印 15 磁化容易方向を示す矢印 21 スタンプ 22 磁石合金 23 基板 24 磁化容易方向を示す矢印 25 スタンプの上下動を示す矢印 26 基板の移動方向を示す矢印

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 R(ただしRはYを含む希土類元素のう
    ちの少なくとも1種):8〜30原子%およびB:2〜
    28原子%を含む鉄系合金よりなり、該合金を溶解、鋳
    造して得られた鋳造インゴットを500℃以上の温度で
    熱間加工することにより結晶粒が微細化されかつ結晶軸
    が特定の方向に配向した異方性の永久磁石であって、 保磁力が2.0kOe以上であることを特徴とする希土
    類−鉄系永久磁石。
  2. 【請求項2】 R(ただしRはYを含む希土類元素のう
    ちの少なくとも1種):8〜30原子%、B:2〜28
    原子%およびCo:50原子%以下(ただし0を除く)
    を含む鉄系合金よりなり、該合金を溶解、鋳造して得ら
    れた鋳造インゴットを500℃以上の温度で熱間加工す
    ることにより結晶粒が微細化されかつ結晶軸が特定の方
    向に配向した異方性の永久磁石であって、 保磁力が2.0kOe以上であることを特徴とする希土
    類−鉄系永久磁石。
  3. 【請求項3】 R(ただしRはYを含む希土類元素のう
    ちの少なくとも1種):8〜30原子%、B:2〜28
    原子%およびAl:15原子%以下(ただし0を除く)
    を含む鉄系合金よりなり、該合金を溶解、鋳造して得ら
    れた鋳造インゴットを500℃以上の温度で熱間加工す
    ることにより結晶粒が微細化されかつ結晶軸が特定の方
    向に配向した異方性の永久磁石であって、 保磁力が2.0kOe以上であることを特徴とする希土
    類−鉄系永久磁石。
  4. 【請求項4】 R(ただしRはYを含む希土類元素のう
    ちの少なくとも1種):8〜30原子%、B:2〜28
    原子%、Co:50原子%以下(ただし0を除く)およ
    びAl:15原子%以下(ただし0を除く)を含む鉄系
    合金よりなり、該合金を溶解、鋳造して得られた鋳造イ
    ンゴットを500℃以上の温度で熱間加工することによ
    り結晶粒が微細化されかつ結晶軸を特定の方向に配向し
    た異方性の永久磁石であって、 保磁力が2.0kOe以上であることを特徴とする希土
    類−鉄系永久磁石。
  5. 【請求項5】 R(ただしRはYを含む希土類元素のう
    ちの少なくとも1種):8〜25原子%およびB:2〜
    8原子%を含む鉄系合金よりなり、該合金を溶解、鋳造
    して得られた鋳造インゴットを500℃以上の温度で熱
    間加工することにより結晶粒が微細化されかつ結晶軸が
    特定の方向に配向した異方性の永久磁石であって、 保磁力が2.0kOe以上であることを特徴とする希土
    類−鉄系永久磁石。
  6. 【請求項6】 前記合金は、250℃以上の温度で熱処
    理することにより磁気的に硬化するものである請求項5
    に記載の希土類−鉄系永久磁石。
  7. 【請求項7】 磁気エネルギー積が4.3MGOe以上
    である請求項1ないし6のいずれかに記載の希土類−鉄
    系永久磁石。
  8. 【請求項8】 前記特定の方向は、前記熱間加工の加圧
    方向と平行な方向である請求項1ないし7のいずれかに
    記載の希土類−鉄系永久磁石。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかに記載の希
    土類−鉄系永久磁石の粉末を有機物バインダーにより結
    合してなることを特徴とする希土類−鉄系永久磁石。
  10. 【請求項10】 前記粉末は、水素粉砕により製造され
    たものである請求項9に記載の希土類−鉄系永久磁石。
  11. 【請求項11】 前記粉末は、各粉末内に磁性相R2
    14B粒子を複数個含むものである請求項9または10
    に記載の希土類−鉄系永久磁石。
  12. 【請求項12】 R(ただしRはYを含む希土類元素の
    うちの少なくとも1種):8〜30原子%およびB:2
    〜28原子%を含む鉄系合金よりなる合金を溶解、鋳造
    して、磁性相であるR2 Fe14B粒子を主相としその間
    にRに富んだ非磁性相が存在するような鋳造インゴット
    を製造する工程と、 得られた鋳造インゴットを500℃以上の温度で熱間加
    工することにより、前記R2 Fe14B粒子を微細化する
    とともに、前記非磁性相の溶融を伴って結晶軸を特定の
    方向に配向せしめ、磁気的に硬化する工程とを有し、 前記鋳造は、鋳型に注入された溶湯を急冷することによ
    り所定の方向性をもって凝固させ、鋳造インゴットのマ
    クロ組織が面内異方性を有する柱状晶となるような条件
    で行われることを特徴とする希土類−鉄系永久磁石の製
    造方法。
  13. 【請求項13】 R(ただしRはYを含む希土類元素の
    うちの少なくとも1種):8〜30原子%およびB:2
    〜28原子%を含む鉄系合金よりなる合金を溶解、鋳造
    して、磁性相であるR2 Fe14B粒子を主としその間に
    Rに富んだ非磁性相が存在するような鋳造インゴットを
    製造する工程と、 得られた鋳造インゴットを500℃以上の温度で熱間加
    工することにより、前記R2 Fe14B粒子を微細化する
    とともに、前記非磁性相の溶融を伴って結晶軸を特定の
    方向に配向せしめ、磁気的に硬化する工程とを有し、 前記各工程を順次行って、磁石の保磁力を2.0kOe
    以上とする希土類−鉄系永久磁石を製造する方法であっ
    て、 前記鋳造は、鋳型に注入された溶湯を急冷することによ
    り所定の方向性をもって凝固させ、鋳造インゴットのマ
    クロ組織が面内異方性を有する柱状晶となるような条件
    で行われることを特徴とする希土類−鉄系永久磁石の製
    造方法。
  14. 【請求項14】 前記特定の方向は、前記熱間加工の加
    圧方向と平行な方向である請求項12または13に記載
    の希土類−鉄系永久磁石の製造方法。
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