JP2006152086A - 硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の硬化性組成物は、オキセタニル基を有するポリシルセスキオキサンと、エポキシ当量が300以下のエポキシシリコーンと、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有し且つ一部又は全てが水素添加されたジエン系重合体と、酸無水物と、硬化触媒とを含有する。また、硬化触媒は、三級アミン、三級アミン塩、四級オニウム塩、三級ホスフィン、ホスホニウムイリド及びクラウンエーテル錯体から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
また、特許文献5〜7には、オキセタン化合物及び酸無水物を含有する硬化性組成物が開示されている。
更に、特許文献8には、酸無水物含有樹脂及びオキセタン化合物を含有する硬化性組成物が開示されている。
硬化物の柔軟性を向上させるためには、硬化性組成物に、ゴム成分、シリコーンオイル等を配合することは広く公知であるが、上記のオキセタニル基を有するポリオルガノシロキサンは、ゴム成分等との相溶性が十分でないために、硬化物が白濁し、透明性を低下させるといった問題がある。
1.オキセタニル基を有するポリシルセスキオキサンと、エポキシ当量が300以下のエポキシシリコーンと、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有し且つ一部又は全てが水素添加されたジエン系重合体と、酸無水物と、硬化触媒とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
2.上記ポリシルセスキオキサンは、下記式(1)で示される有機ケイ素化合物(A)と、下記式(2)で示される有機ケイ素化合物(B)と、下記式(3)で示される有機ケイ素化合物(C1)又はこの有機ケイ素化合物(C1)を反応系中に発生させる化合物(C2)とを、酸性触媒の存在下、加水分解共縮合して得られた重合体である上記1に記載の硬化性組成物。
(R3)nHmSiX2 4−n−m (2)
〔但し、R3は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、X2はシロキサン結合生成基であり、nは0〜2の整数であり、mは0又は1であり、n及びmの和は0〜2の整数である。〕
(R4)sHtSiOH (3)
〔但し、R4は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、sは2又は3であり、tは0又は1であり、s及びtの和は3である。〕
3.上記ジエン系重合体は、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有し且つ一部又は全てが水素添加されたポリブタジエンである上記1又は2に記載の硬化性組成物。
4.上記硬化触媒が、三級アミン、三級アミン塩、四級オニウム塩、三級ホスフィン、ホスホニウムイリド及びクラウンエーテル錯体から選ばれる少なくとも1種である上記1乃至3のいずれかに記載の硬化性組成物。
本発明の硬化性組成物は、オキセタニル基を有するポリシルセスキオキサンと、エポキシ当量が300以下のエポキシシリコーンと、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有し且つ一部又は全てが水素添加されたジエン系重合体と、酸無水物と、硬化触媒とを含有する。
1.ポリシルセスキオキサン
本発明に係るポリシルセスキオキサンは、オキセタニル基を有し、[R−Si−O3/2]単位を含む化合物である。1分子中のオキセタニル基の数及び濃度は特に限定されない。
上記ポリシルセスキオキサンは、下記(1)で示される有機ケイ素化合物(A)と、下記式(2)で示される有機ケイ素化合物(B)と、下記式(3)で示される有機ケイ素化合物(C1)又はこの有機ケイ素化合物(C1)を反応系中に発生させる化合物(C2)とを原料成分とし、酸性触媒の存在下、加水分解共縮合して得られた重合体であることが好ましい。
(R3)nHmSiX2 4−n−m (2)
〔但し、R3は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、X2はシロキサン結合生成基であり、nは0〜2の整数であり、mは0又は1であり、n及びmの和は0〜2の整数である。〕
(R4)sHtSiOH (3)
〔但し、R4は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、sは2又は3であり、tは0又は1であり、s及びtの和は3である。〕
1−1.有機ケイ素化合物(A)
この有機ケイ素化合物(A)は、上記のように、オキセタニル基及び加水分解性基を有する有機ケイ素化合物である。
上記式(1)において、R1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等)であるが、エチル基が好ましい。また、R2は炭素数2〜6のアルキレン基(エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等)であるが、プロピレン基が好ましい。また、式(1)におけるR1又はR2の炭素数がいずれも7以上であると、硬化物の強度が十分でない場合がある。
尚、各X1は、互いに同一であってよいし、異なってもよい。
また、X1がハロゲン原子である場合には、加水分解によりハロゲン化水素が発生するため、反応系が強酸性雰囲気となりやすく、オキセタニル基が開環する場合がある。
上記有機ケイ素化合物(A)としては、3−(3−エチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−(3−エチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリプロポキシシラン、3−(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−(3−エチル−3−オキセタンメトキシ)ブチルトリメトキシシラン、3−(3−エチル−3−オキセタンメトキシ)ブチルトリエトキシシラン、3−(3−エチル−3−オキセタンメトキシ)ヘキシルトリメトキシシラン、3−(3−エチル−3−オキセタンメトキシ)トリメトキシシラン、3−(3−エチル−3−オキセタンメトキシ)トリメトキシシラン等が挙げられる。これらのうち、3−(3−エチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリエトキシシランが好ましい。
これらの有機ケイ素化合物(A)は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
この有機ケイ素化合物(B)は、上記のように、シロキサン結合生成基を有し且つオキセタニル基を有さない有機ケイ素化合物である。
上記式(2)において、R3がアルキル基である場合、炭素数は1〜20であり、好ましい炭素数は1〜12、より好ましくは1〜6である。
R3がシクロアルキル基である場合、炭素数は3〜10であり、好ましい炭素数は5〜8、より好ましくは5〜6である。
また、R3がアリール基である場合、炭素数は6〜10であり、好ましい炭素数は6〜8、より好ましくは6〜7である。
上記式(2)におけるR3の炭素数が多すぎると、後述の加水分解縮合が進行しにくく、得られるポリシルセスキオキサンが二層分離を起こしたり白濁したりするため、好ましくない。
尚、上記式(2)において、R3が複数ある場合、各R3は、互いに同一であってよいし、異なってもよい。
尚、上記式(2)において、X2が複数ある場合、各X2は、互いに同一であってよいし、異なってもよい。
また、X2がハロゲン原子である場合には、加水分解によりハロゲン化水素が発生するため、反応系が強酸性雰囲気となりやすく、オキセタニル基が開環する場合がある。
nが0であり且つmが0である場合、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。
nが1であり且つmが0である場合、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
nが1であり且つmが0である好ましい有機ケイ素化合物(B)としては、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
これらの有機ケイ素化合物(B)は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
この有機ケイ素化合物(C1)は、上記のように、シラノール基を1つ有する化合物である。
上記式(3)において、R4がアルキル基である場合、炭素数は1〜20であり、好ましい炭素数は1〜6、より好ましくは1〜4(メチル基、エチル基、n−及びi−プロピル基、n−、i−及びt−ブチル基等)である。
R4がシクロアルキル基である場合、炭素数は3〜10であり、好ましい炭素数は5〜8、より好ましくは5〜6(シクロへキシル基等)である。
また、R4がアリール基である場合、炭素数は6〜10であり、好ましく炭素数は6〜8、より好ましくは6〜7(フェニル基等)である。
尚、上記式(3)において、各R4は、互いに同一であってよいし、異なってもよい。
これらの有機ケイ素化合物(C1)は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
この化合物(C2)は、上記有機ケイ素化合物(C1)を反応系中に発生させるものである。尚、上記式(3)で表される有機ケイ素化合物(C1)が反応系中に発生していることは、ガスクロマトグラフィーや液相クロマトグラフィー等により確認することができる。
上記式(3)におけるsが3であり且つtが0である有機ケイ素化合物(C1)を発生させる化合物としては、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、トリプロピルシラノール、トリブチルシラノール、トリフェニルシラノール、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリメチルシリルアセテート、トリメチルシリルベンゾエート、トリエチルシリルアセテート、トリエチルシリルベンゾエート、ベンジルジメチルメトキシシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、ジフェニルメトキシメチルシラン、ジフェニルエトキシメチルシラン、アセチルトリフェニルシラン、エトキシトリフェニルシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサプロピルジシロキサン、1,3−ジブチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジメチル−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン等が挙げられる。
尚、有機ケイ素化合物(C1)及び(C2)は、加水分解縮合反応で発生するシラノール基をキャッピングする目的で用いられる。また、有機ケイ素化合物(C1)又はこの有機ケイ素化合物(C1)を反応系中に発生させる有機ケイ素化合物(C2)を用いることで、得られるポリシルセスキオキサンの粘度調整を容易なものとすることができ、更にはポリシスセスキオキサンの保存安定性を付与することができる。
これらの有機ケイ素化合物(C2)は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ポリシルセスキオキサンは、(I)上記原料成分、酸性触媒、水、有機溶媒等を用いた上記原料成分の加水分解縮合工程、(II)加水分解縮合工程で使用した水及び有機溶媒の除去工程の2工程を順次進めることにより得ることができる。
有機ケイ素化合物(A)の使用量は、好ましくは0.1〜60質量部、より好ましくは5〜40質量部である。0.1質量部未満では、硬化後にも流動性があるようなゲル状物しか得られない場合がある。一方、60質量部を超えると、硬化物の柔軟性が発現されない場合がある。
有機ケイ素化合物(B)の使用量は、好ましくは1〜80質量部、より好ましくは5〜50質量部である。1質量部未満では、均一で透明なポリシルセスキオキサンが得られない場合がある。一方、50質量部を超えると、硬化物の柔軟性が発現されない場合がある。
有機ケイ素化合物(C1)又は(C2)の使用量は、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは5〜20質量部である。1質量部未満では、得られるポリシルセスキオキサンの保存安定性が十分でない場合がある。一方、30質量部を超えると、均一で透明なポリシルセスキオキサンが得られない場合がある。
尚、加水分解縮合工程(I)における水の使用量は、上記原料成分を完全に加水分解するのに必要な水の量を1当量とすると、好ましくは0.5〜10当量、より好ましくは1.5〜5当量である。
これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、この加水分解縮合工程(I)を行う際には、反応系を均一な溶液とすることが好ましい。
加水分解時における好ましい反応温度は、Si−H基を有する有機ケイ素化合物を原料成分として用いるか否かで大きく異なる。
Si−H基を有する有機ケイ素化合物を使用しない場合の反応温度は、好ましくは10〜120℃、より好ましくは20〜80℃である。また、反応時間は、好ましくは2〜30時間、より好ましくは4〜24時間である。
一方、Si−H基を有する有機ケイ素化合物を用いる場合の反応温度は、好ましくは10〜60℃、より好ましくは20〜40℃である。また、反応時間は、好ましくは2〜30時間、より好ましくは4〜24時間である。
反応生成物は、有機ケイ素化合物(A)に由来するオキセタニル基を有するポリシルセスキオキサンである。オキセタニル基の存在は、例えば、1H−NMRスペクトルにおいて、4.3〜4.4ppm付近の、特徴的な2つのピークによって確認でき、また、IRスペクトルにおいても990cm−1付近の、オキセタン環に由来する吸収ピークによって確認することができる。
尚、本発明に係るポリシルセスキオキサンは、Si−H基を含んでいてもよいが、その場合、Si−H基の存在は、IRスペクトルにおいて、2,100cm−1付近の特徴的な吸収ピークにより確認することができる。
また、本発明に係るポリシルセスキオキサンの構造としては、ハシゴ状、カゴ状及びランダム状の構造が挙げられるが、反応生成物は、これらの構造のうちの1種単独の構造を有するものでよいし、2種又は3種の構造を有する複数成分でもよい。後者のように、複数成分を含む場合は、各々の分子量が異なってもよい。
本発明に係るエポキシシリコーンは、エポキシ基を有し、且つ、エポキシ当量が300以下のケイ素化合物であれば、エポキシ基の数、分子構造、分子量等の性質に特に制限はなく、従来、公知のものを1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に係るエポキシシリコーンのエポキシ当量は、好ましくは100〜270、より好ましくは150〜250である。このエポキシ当量が300を超えると、硬化物の基材に対する接着性が十分でない場合がある。尚、上記エポキシ当量は、エポキシシリコーンの分子量をエポキシ基の数で除した値であり、例えば、エポキシ基を2つ有し、分子量が382のエポキシシリコーンの場合、そのエポキシ当量は191となる。尚、エポキシシリコーンが分子量分布を持つ場合には、重量平均分子量をエポキシ基のモル数で除したものと定義する。
具体的な化合物は、Plueddemannらの論文(「J.A.C.S.」、Vol.81(1959)、p.2632)、Crivelloらの論文(「Am.Chem.Soc.Symp.Ser」(1989)、p.398)、ヨーロッパ特許EP574264等に記載されている。
尚、環状エポキシ基を有する化合物及び線状エポキシ基を有する化合物は、組み合わせて用いてもよい。その場合には、それぞれ、1種以上を用いることができる。
本発明に係るジエン系重合体は、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有し且つ一部又は全てが水素化された重合体(以下、「水添ポリジエン」ともいう。)である。ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有することにより、組成物を硬化させる際に、ポリシルセスキオキサン及びエポキシシリコーンと反応しやすくなる。
従って、上記水添ポリジエンは、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を少なくとも1つ、より好ましくは2つ以上有する。尚、この水添ポリジエンが有するヒドロキシル基又はカルボキシル基は、分子中のどの位置にあってもよく、分子鎖中及び/又は分子末端に有するものとすることができる。
上記水添ポリジエンとしては、ヒドロキシル基を有する水添ポリジエン及びカルボキシル基を有する水添ポリジエンを組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る水添ポリジエンとしては、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有し且つ一部又は全てが水素添加されたポリブタジエンが好ましい。
本発明に係る酸無水物は、分子構造、分子量等の性質に特に制限はなく、従来、公知のものを用いることができる。
具体的には、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、オクテニル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、無水ハイミック酸(別名:5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物)、無水メチルナジック酸(別名:メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物)、ドデシル無水コハク酸、無水クロレンディック酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ジフェン酸無水物等の1官能性酸無水物;無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物(別名:5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物)、ビフェニルテトラカルボン酸無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物等の2官能性酸無水物;β,γ−無水アコニット酸、無水グリコール酸、無水トリメリット酸、ポリアゼライン酸無水物等の遊離酸を有する酸無水物等が挙げられる。これらの酸無水物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、上記酸無水物としては、配合の容易さから室温で液状のものが好ましく、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸及びドデセニル無水コハク酸が特に好ましい。
本発明に係る硬化触媒は、ポリシルセスキオキサンが有するオキセタニル基、及び、エポキシ化合物が有するエポキシ基と、酸無水物との反応を促進することができる化合物であれば、分子構造、分子量等の性質に特に制限はなく、従来、公知の三級アミン、三級アミン塩、四級オニウム塩、三級ホスフィン、ホスホニウムイリド、クラウンエーテル錯体等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記三級アミン塩としては、例えば、DBU−フェノール塩、DBU−オクチル酸塩、DBU−パラトルエンスルホン酸塩、DBU−蟻酸塩、DBU−オルソフタル酸塩、DBU−フェノールノボラック樹脂塩、DBN−フェノールノボラック樹脂塩等が挙げられる。
四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、n−ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイド、セチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルジメチルベンジルアンモニウムブロマイド、セチルピリジウムサルフェート、テトラエチルアンモニウムアセテート、トリメチルベンジルアンモニウムベンゾエート、トリメチルベンジルアンモニウムボレート、5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネニウムクロライド、5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネウムテトラフルオロボレート等が挙げられる。
四級ホスホニウム塩としては、例えば、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウム−0,0−ジメチルホスホロジチオエート、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムアイオダイド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、トリフェニルメトキシメチルホスホニウムクロライド、トリフェニルメチルカルボニルメチルホスホニウムクロライド、トリフェニルエトキシカルボニルメチルホスホニウムクロライド、トリオクチリベンジルホスホニウムクロライド、トリオクチルメチルホスホニウムクロライド、トリオクチルエチルホスホニウムアセテート、テトラオクチルホスホニウムクロライド、トリオクチルエチルホスホニウムジメチルホスフェート等が挙げられる。
ホスホニウムイリドとしては、例えば、(ホルミルメチレン)トリフェニルホスフィン、(アセチルメチレン)トリフェニルホスフィン、(ピバロイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(ベンゾイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(p−メトキシベンゾイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(p−メチルベンゾイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(p−ニトロベンゾイルメチレン)トリフェニルホスフィン、(ナフトイル)トリフェニルホスフィン、(メトキシカルボニル)トリフェニルホスフィン、(ジアセチルメチレン)トリフェニルホスフィン、(アセチルシアノ)トリフェニルホスフィン、(ジシアノメチレン)トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
クラウンエーテル錯体としては、例えば、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、21−クラウン−7、24−クラウン−8等のクラウンエーテル類と、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム等のアルカリ金属塩との錯体等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、上記の必須成分以外に、シロキサン構造を有さないエポキシ化合物、オキセタン化合物、シランカップリング剤、有機溶剤、充填剤(有機フィラー、無機フィラー等)、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、酸化防止剤、着色剤等の添加剤を配合することができる。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールAグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロシクロヘキセンジオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルやフェノール、クレゾール、ブチルフェノール、またこれらにアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、エチレングリコールグリシジルフェニルエーテル、エチレングリコールベンジルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールグリシジルテトラヒドロピラニルエーテル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアセテート等が挙げられる。尚、上記エポキシ化合物としては、分子中の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置換されたものを用いることもできる。これらのエポキシ化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
具体的な化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−アリロキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、4−メトキシ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブタンジオールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ヘキサンジオールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールFビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カーボネートビスオキセタン、アジペートビスオキセタン、テレフタレートビスオキセタン、シクロヘキサンジカルボン酸ビスオキセタン、3−(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−(3−エチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリメトキシシラン、特開平6−16804号公報に開示されたオキセタンシリコーン等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
具体的な化合物としては、グリシジロキシトリメトキシシラン、ビス(グリシジロキシ)ジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
具体的には、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記アルコール類としては、エタノール、メタノール、イソブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール等が挙げられる。
上記ケトン類としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
上記エーテル類としては、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
上記エステル類としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、通常、熱硬化性である。
本発明の熱硬化性組成物は、各成分すべてを含む1液型組成物としてもよいが、その場合、保存性が低下する場合があるため、エポキシシリコーンと、酸無水物とを別々に含む2液型組成物、又は、エポキシシリコーン及び上記エポキシ化合物と、酸無水物とを別々に含む2液型組成物とすることが好ましい。即ち、エポキシシリコーン及びエポキシ化合物を含有するA液、及び、酸無水物を含有するB液の2種の組成物を調製し、その後混合して2液型組成物として用いることが好ましい。尚、A液及びB液は、適宜、上記その他の成分を含有したものとすることができる。2液型の熱硬化性組成物は、長期保存を要する場合に好適である。
また、酸無水物を含有するB液は、エポキシシリコーン及びエポキシ化合物を含有しない組成物であり、ポリシルセスキオキサン、硬化触媒、及び、水添ポリジエンとしてカルボキシル基を有する水添ポリジエンから選ばれる成分を含有したものとすることができる(但し、ポリシルセスキオキサン及び硬化触媒は、それぞれ、A液及び/又はB液に含まれる)。これら以外に、上記のオキセタン化合物、有機溶剤、充填剤(有機フィラー、無機フィラー等)、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、酸化防止剤、着色剤等を含有したものとすることができる。尚、エポキシ基、アミノ基等を有するシランカップリング剤は、それらの官能基が酸無水物と室温で反応可能であり、B液の保存性が低下する場合があるため好ましくない。
ポリシルセスキオキサンの含有量は、組成物全体に対し、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは10〜60質量%、更に好ましくは10〜50質量%である。このポリシルセスキオキサンの含有量が10質量%未満では、硬化物の耐熱性が十分ではなく、80質量%を超えると、硬化物の柔軟性が十分ではない場合がある。
また、エポキシシリコーンの含有量は、組成物全体に対し、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは15〜70質量%、更に好ましくは20〜50質量%である。このエポキシシリコーンの含有量が10%未満では、ポリシルセスキオキサン及び水添ポリジエンの溶解性が良好でないため、硬化物の透明性が十分でない場合がある。一方、80質量%を超えると、硬化物の柔軟性が発現しない場合がある。
酸無水物の含有量は、組成物全体に対し、好ましくは1〜70質量%、より好ましくは
5〜65質量%、更に好ましくは10〜60質量%である。この酸無水物の含有量が1%未満では、硬化物が流動性を有するゲル状となる場合があり、70質量%を超えると、未反応の酸無水物が多量に残存し、耐水性の低い硬化物しか得られない場合がある。
また、硬化触媒の含有量は、組成物全体に対し、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜3.5質量%、更に好ましくは0.1〜3質量%である。この硬化触媒の含有量が0.01質量%未満では、熱の作用により活性化しても、開環重合性基の開環反応を十分に進行させることができないことがあり、硬化物の耐熱性及び強度が不十分となる場合がある。一方、5質量%を超えると、硬化を進行する作用はそれ以上高まらず、硬化物の耐熱性及び強度が低下することがある。
尚、混合機によっては、混合中に発生する摩擦熱により重合が開始してしまうため、各成分を40℃以下、好ましくは25℃以下に保ちながら混合することが好ましい。
シロキサン構造を有さないエポキシ化合物を用いる場合、組成物全体に対し、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜15質量%、更に好ましくは1〜10質量%である。
オキセタン化合物を用いる場合、組成物全体に対し、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜15質量%、更に好ましくは1〜10質量%である。
また、シランカップリング剤を用いる場合、組成物全体に対し、好ましくは0.1〜5量%、より好ましくは0.2〜3質量%、更に好ましくは0.5〜2質量%である。
本発明の硬化性組成物は、A液及びB液を、好ましくは、使用前に混合し、下記の温度で、一定時間加熱することにより硬化させることができる。
硬化温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは75〜180℃である。上記範囲内で、温度を一定としてもよいし、昇温させてもよい。更には、昇温と降温とを組み合わせてもよい。硬化時間は、硬化触媒の種類、構成成分の含有割合等により適宜、選択されるが、通常、10分以上であり、好ましくは1〜24時間である。
好ましい硬化方法の例としては、組成物を100℃で3時間加熱した後に、120℃に昇温し、この温度で3時間加熱する方法であり、この方法によると、110℃で6時間加熱した場合に比べて、より機械的強度に優れた硬化物が得られる。従って、硬化温度を段階的に変化させる硬化方法が好ましい。
また、組成物を固化する本硬化の後に、得られた硬化物を本硬化より低い温度で加熱する(後硬化)方法も、機械的強度に優れた硬化物が得られるため好ましい。
また、耐薬品性に関しては、アセトン、メタノール、エタノール、酢酸エチル、エチルセロソルブ、THF、MEK、MIBK、ジオキサン、トルエン、キシレン等の有機溶剤の接触に対しても、形状変化、透明性の低下、表面絶縁抵抗の変化等が生ずることがない。
更に、基材への接着性に関しては、JIS−K6861に準じて測定される硬化物の基材構成材料への引張剪断接着強さを好ましくは0.5MPa以上、より好ましくは1MPa以上等とすることができる。尚、基材を構成する材料は、金属、ガラス、セラミック、無機材料が分散して含まれるプラスチック等が挙げられる。また、基材の表面は、平滑面であっても、凹凸を有する面であっても高い接着性を有する。
1.ポリシルセスキオキサンの合成
合成例1
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、イソプロピルアルコール100ml、下記式(23)で表される3−(3−エチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリエトキシシラン(以下、「Ox−TRIES」という。)32.05g(0.1mol)、メチルトリエトキシシラン89.15g(0.5mol)及びヘキサメチルジシロキサン16.24g(0.1mmol)を仕込み、原料混合物とした。
その後、原料混合物を25℃で攪拌しながら、1%塩酸40gを徐々に加えて、反応を開始した。反応の進行をGPCにより追跡し、原料のアルコキシシラン化合物がほぼ消失した時点(混合物の添加開始から20時間後)で反応完結とした。次いで、減圧下に溶媒を留去し、収量70gとほぼ定量的に、ポリシルセスキオキサン(以下、「樹脂X」という。)が得られた。この樹脂Xは、無色透明であり、25℃における粘度が5,300mPa・sであった。また、この樹脂XのGPCによる数平均分子量は1,700であった。
また、IRスペクトルによると、1,000〜1,100cm−1付近にSi−O−Si結合のブロードな吸収、860cm−1付近にSi−CH3結合の吸収、Si−O−Si結合の吸収に重なってはいるが990cm−1付近にオキセタニル基の吸収が見られ、試料はオキセタニル基及びSi−CH3基を有するポリオルガノシロキサンであることが分かった。
以上から、樹脂Xは、オキセタニル基を有するポリシルセスキオキサンであることが分かった。
実施例1
合成例1で得られた樹脂X20質量部と、下記式(24)で表され、エポキシ当量が191であるビス[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]−テトラメチルジシロキサン(以下、「エポキシシリコーン(i)」という。)30質量部と、両末端にヒドロキシル基を有する水添ポリブタジエン(商品名「NISSO−PB−GI−1000」、日本曹達社製。以下、「GI−1000」という。)20質量部とを容器に入れ、ディスパーで15分間攪拌した。その後、脱泡を行うことにより、無色透明な液状の組成物を得た。これをA液とした。
その後、上記A液及びB液をディスパーで5分間混合攪拌した。容器ごとベルジャーへ入れ、減圧ポンプで1時間脱気し脱泡し、無色透明で均一な液状の2液型熱硬化性組成物を得た。
試験はJIS−K6861(1977)に準じて実施した。組成物を長さ100mm×幅25mm×厚さ2mmのアルミでできたテストピースを用い、接着面積が3.125cm2になるように貼り合わせ冶具で固定した。その後、この一体物を防爆型乾燥器内に静置し、150℃で8時間加熱することにより硬化物を得た。この硬化物を、温度25℃、湿度60%RHの環境下に24時間静置し、評価用のサンプルとした。
引張剪断接着強さは、引張圧縮試験機「ストログラフV20−C」(東洋精機製作所製)を用い、クロスヘッド速度10mm/分で引張試験を行うことにより得た。
熱硬化性組成物を、長さ25mm×幅25mm×厚さ3mmの窪みを有するフッ素樹脂製型枠へ注入した。その後、上記と同様にして塗膜を硬化させ、硬化物を得た。この硬化物を、温度25℃、湿度60%の環境下で24時間放置し、評価用のサンプルとした。
ショアD硬度の測定は、JIS−K7215に準じ、デュロメータ「HD−104N型」(上島製作所社製)を用いて行った。
熱硬化性組成物を、厚さ20μmの耐熱PETフィルム上にバーコートし、厚さ約20μmの塗膜を得た。その後、上記と同様にして塗膜を硬化させた。
折り曲げ試験の評価は、積層フィルムを、温度25℃、湿度60%RHの環境下、24時間静置した後、巻き上げてロールとし、硬化皮膜におけるひびの有無を観察することにより行った。表中において、「○」は、ロールにした際にひびが入らなかったことを、「×」は、ロールにした際にひびが入ったことを示す。
熱硬化性組成物を、ガラス基板上にバーコートし、厚さ約20μmの塗膜を得た。その後、上記と同様にして塗膜を硬化させた。積層物の硬化皮膜の表面に対して、アセトンを染み込ませた布を100回往復させ、硬化皮膜がガラス基板から剥離するかどうか、硬化皮膜の艶がなくなるかどうかを観察することにより行った。表中において、「○」は、「○」は、硬化皮膜がガラス基板から剥離せず、艶がなくならなかったことを、「×」は、硬化皮膜がガラス基板から剥離したり、剥離しなくとも艶がなくなったことを示す。
熱硬化性組成物を、長さ50mm×幅50mm×厚さ2mmの窪みを有するフッ素樹脂製型枠へ注入した。その後、上記と同様にして塗膜を硬化させ、硬化物を得た。この硬化物を、温度25℃、湿度60%RHの環境下、24時間静置した後、測定試料とし、分光蛍光光度計「V−550型」(日本分光社製)により、波長400nmにおける透過率を測定した。
エポキシシリコーン(i)に代えて、下記式(25)で表され、エポキシ当量が265であるビス[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]−オクタメチルテトラシロキサン(以下、「エポキシシリコーン(ii)」という。)を用いた以外は、実施例1と同様にして2液型熱硬化性組成物を得て、各種評価を行った。その結果を表1に示す。
樹脂X35質量部と、GI−1000の35質量部とを容器に入れ、ディスパーで15分間攪拌した。その後、脱泡を行うことにより、白濁した液状の組成物を得た。これをA液とした。
一方、MH−700の30質量部と、DBU0.1質量部とを容器に入れ、容器内に窒素ガスを導入しながら、40℃で2時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、透明な均一溶液を得た。これをB液とした。
その後、上記A液及びB液をディスパーで5分間混合攪拌した。容器ごとベルジャーへ入れ、減圧ポンプで1時間脱気し脱泡し、白濁した液状の2液型熱硬化性組成物を得た。
上記熱硬化性組成物を用い、実施例1と同様にして硬化物を得て、上記の各種評価を行った。その結果を表1に示す。
GI−1000に代えて、エポキシシリコーン(i)を用いた以外は、比較例1と同様にして、透明で均一な2液型熱硬化性組成物を得て、各種評価を行った。その結果を表1に示す。
樹脂X17.5質量部と、エポキシシリコーン(i)17.5質量部と、両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(商品名「X−21−5841」、信越化学工業社製。以下、「シリコーンオイル」という。)35質量部とを容器に入れ、ディスパーで15分間攪拌した。その後、脱泡を行うことにより、白濁した液状の組成物を得た。これをA液とした。
一方、MH−700を30質量部と、DBU0.1質量部とを容器に入れ、容器内に窒素ガスを導入しながら、40℃で2時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、透明な均一溶液を得た。これをB液とした。
その後、上記A液及びB液をディスパーで5分間混合攪拌した。容器ごとベルジャーへ入れ、減圧ポンプで1時間脱気し脱泡し、白濁した液状の2液型熱硬化性組成物を得て、各種評価を行った。その結果を表1に示す。
エポキシシリコーン(i)に代えて、エポキシシリコーン(ii)を用いた以外は、比較例2と同様にして、透明で均一な2液型熱硬化性組成物を得て、各種評価を行った。その結果を表1に示す。
一方、表1の実施例1及び2によると、ガラス基板への接着性、柔軟性及び耐薬品性について、十分な性能が得られたことが分かる。
Claims (4)
- オキセタニル基を有するポリシルセスキオキサンと、エポキシ当量が300以下のエポキシシリコーンと、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有し且つ一部又は全てが水素添加されたジエン系重合体と、酸無水物と、硬化触媒とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
- 上記ポリシルセスキオキサンは、下記式(1)で示される有機ケイ素化合物(A)と、下記式(2)で示される有機ケイ素化合物(B)と、下記式(3)で示される有機ケイ素化合物(C1)又は該有機ケイ素化合物(C1)を反応系中に発生させる化合物(C2)とを、酸性触媒の存在下、加水分解共縮合して得られた重合体である請求項1に記載の硬化性組成物。
(R3)nHmSiX2 4−n−m (2)
〔但し、R3は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、X2はシロキサン結合生成基であり、nは0〜2の整数であり、mは0又は1であり、n及びmの和は0〜2の整数である。〕
(R4)sHtSiOH (3)
〔但し、R4は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、sは2又は3であり、tは0又は1であり、s及びtの和は3である。〕 - 上記ジエン系重合体は、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有し且つ一部又は全てが水素添加されたポリブタジエンである請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
- 上記硬化触媒が、三級アミン、三級アミン塩、四級オニウム塩、三級ホスフィン、ホスホニウムイリド及びクラウンエーテル錯体から選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至3のいずれかに記載の硬化性組成物。
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