JP4361006B2 - 硬化性組成物 - Google Patents
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Description
硬化物の柔軟性を向上させるためには、硬化性組成物に、ゴム成分を配合することは広く公知であるが、上記のオキセタニル基及びシルセスキオキサン構造を有するポリオルガノシロキサンは、ゴム成分との相溶性が十分でないために、硬化物が白濁し、透明性を低下させるといった問題がある。
1.ポリオルガノシロキサンと、エポキシ化合物と、カチオン重合触媒と、を含有する硬化性組成物であって、上記ポリオルガノシロキサンは、下記式(3)で表される有機ケイ素化合物(a)と、下記式(4)で表される有機ケイ素化合物(b)と、下記式(5)で表される有機ケイ素化合物(c1)又は該有機ケイ素化合物(c1)を反応系中に発生させる化合物(c2)とを、ヒドロキシル基を有し且つ一部又は全てが水素化されたジエン系重合体(d)の存在下、酸性触媒を用いて加水分解共縮合して得られた重合体であり、上記ジエン系重合体(d)が、炭素数4〜22の共役ジエン化合物を含む単量体を、過酸化水素、ヒドロキシル基を有するアゾ化合物又はヒドロキシル基を有する過酸化物を重合開始剤として、ラジカル重合して得られた共役ジエン系重合体を水素化して得られ且つ水素化率が50%以上であり、上記ポリオルガノシロキサンの数平均分子量が、1,500〜15,000であり、上記カチオン重合触媒が、有機金属錯体であることを特徴とする硬化性組成物。
(R6)nHmSiX2 4−n−m (4)
〔但し、R6は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、X2は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれたシロキサン結合生成基であり、nは0〜2の整数であり、mは0又は1であり、n及びmの和は0〜2の整数である。〕
(R7)sHtSiOH (5)
〔但し、R7は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、sは2又は3であり、tは0又は1であり、s及びtの和は3である。〕
2.上記有機ケイ素化合物(a)が、上記式(3)において、R 4 が炭素数1〜6のアルキル基であり、X 1 が炭素数1〜20のアルコキシ基である化合物である上記1に記載の硬化性組成物。
3.上記有機ケイ素化合物(b)が、上記式(4)において、X 2 がヒドロキシル基であり、nが1であり、且つ、mが0又は1の化合物である上記1又は2に記載の硬化性組成物。
4.上記有機ケイ素化合物(c2)が、(R 7 ) 2 HSiOHを発生させることのできる化合物である上記1乃至3のいずれかに記載の硬化性組成物。
5.上記カチオン重合触媒が、アルミニウム化合物である上記1乃至4のいずれかに記載の硬化性組成物。
6.上記エポキシ化合物が、2以上のエポキシ基を有する上記1乃至5のいずれかに記載の硬化性組成物。
7.ポリオルガノシロキサンと、エポキシ化合物と、カチオン重合触媒と、を含有する硬化性組成物であって、上記ポリオルガノシロキサンは、下記式(3)で表される有機ケイ素化合物(a)と、下記式(4)で表される有機ケイ素化合物(b)と、下記式(6)で表される有機ケイ素化合物を反応系中に発生させる化合物(c2)とを、水素化されたジエン系重合体(d)の存在下、酸性触媒を用いて加水分解共縮合して得られた重合体であり、上記ジエン系重合体(d)が、炭素数4〜22の共役ジエン化合物を含む単量体を、過酸化水素、ヒドロキシル基を有するアゾ化合物又はヒドロキシル基を有する過酸化物を重合開始剤として、ラジカル重合して得られた共役ジエン系重合体を水素化して得られ且つ水素化率が50%以上であり、上記ポリオルガノシロキサンの数平均分子量が、1,500〜15,000であり、上記カチオン重合触媒が有機金属錯体であり、該有機金属錯体がアルミニウム化合物であり、上記エポキシ化合物が、2以上のエポキシ基を有する化合物であることを特徴とする硬化性組成物。
(R 6 ) n H m SiX 2 4−n−m (4)
〔但し、R 6 は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、X 2 は、ヒドロキシル基からなるシロキサン結合生成基であり、nは1であり、mは0又は1である。〕
(R 7 ) 2 HSiOH (6)
〔但し、R 7 は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基である。〕
本発明の硬化性組成物は、ポリオルガノシロキサンと、エポキシ化合物と、カチオン重合触媒と、を含有する硬化性組成物であって、上記ポリオルガノシロキサンは、下記式(3)で表される有機ケイ素化合物(a)と、下記式(4)で表される有機ケイ素化合物(b)と、下記式(5)で表される有機ケイ素化合物(c1)又は該有機ケイ素化合物(c1)を反応系中に発生させる化合物(c2)とを、ヒドロキシル基を有し且つ一部又は全てが水素化されたジエン系重合体(d)の存在下、酸性触媒を用いて加水分解共縮合して得られた重合体であり、上記ジエン系重合体(d)が、炭素数4〜22の共役ジエン化合物を含む単量体を、過酸化水素、ヒドロキシル基を有するアゾ化合物又はヒドロキシル基を有する過酸化物を重合開始剤として、ラジカル重合して得られた共役ジエン系重合体を水素化して得られ且つ水素化率が50%以上であり、上記ポリオルガノシロキサンの数平均分子量が、1,500〜15,000であり、上記カチオン重合触媒が有機金属錯体であることを特徴とする。
(R 6 ) n H m SiX 2 4−n−m (4)
〔但し、R 6 は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、X 2 は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれたシロキサン結合生成基であり、nは0〜2の整数であり、mは0又は1であり、n及びmの和は0〜2の整数である。〕
(R 7 ) s H t SiOH (5)
〔但し、R 7 は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、sは2又は3であり、tは0又は1であり、s及びtの和は3である。〕
上記ポリオルガノシロキサンは、下記式(1)で表される単位、下記式(2)で表される単位、及び、共役ジエン系重合体ブロックを含む単位を含む重合体である。
[R3−Si−O3/2] (2)
〔但し、R3は有機基である。〕
1.ポリオルガノシロキサン
上記ポリオルガノシロキサンは、上記式(1)で表される単位(以下、「単位A」ともいう。)、上記式(2)で表される単位(以下、「単位B」ともいう。)、及び、共役ジエン系重合体ブロックを含む単位(以下、「単位C」ともいう。)を含む。
また、上記式(2)で表される単位Bにおいて、R3は、有機基であり、脂肪族炭化水素及びその置換体、脂環族炭化水素及びその置換体、並びに、芳香族炭化水素及びその置換体から選ばれる少なくとも1種を含む基である。
共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、シクロペンタジエン、クロロプレン等が挙げられる。
単独重合体からなるブロックとする場合、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、シクロペンタジエン及びクロロプレンを用いることが好ましい。
前者の場合、共役ジエン化合物は2種のみを用いてもよいし、3種以上を用いてもよい。
また、後者の場合、他の単量体としては、α−オレフィン(ブテン、ペンテン等)、ビニル芳香族化合物(スチレン、α−メチルスチレン等)、シアン化ビニル化合物(アクリロニトリル等)、アクリル酸及びそのエステル、メタクリル酸及びそのエステル、塩化ビニル、酢酸ビニル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、後者の場合、共役ジエン化合物の使用量は、単量体全量に対して、好ましくは50モル%以上である。
また、単位A、単位B及び単位Cの含有量も特に限定されない。尚、上記ポリオルガノシロキサンは、単位A、B及びC以外の他の単位を含有してもよい。
オキセタニル基の存在は、例えば、1H−NMRスペクトルにおいて、4.3〜4.4ppm付近の、2つのピークによって確認でき、また、IRスペクトルにおいても990cm−1付近の、オキセタン環に由来する吸収ピークによって確認することができる。
また、水素化された部位の存在は、例えば、1H−NMRのスペクトルにおいて、0.8〜1.5ppm付近の、ブロードなピークによって確認でき、また、IRスペクトルにおいても3,000cm−1付近や、1,400cm−1付近の吸収ピークによって確認することができる。
尚、本発明に係るポリオルガノシロキサンがSi−H基を含む場合、その存在は、IRスペクトルにおいて、2,100cm−1付近の吸収ピークにより確認することができる。
1−1.有機ケイ素化合物(a)
本発明に係る有機ケイ素化合物(a)は、下記式(3)で表され、オキセタニル基及び加水分解性基を有する有機ケイ素化合物である。
尚、各X1は、互いに同一であってよいし、異なってもよい。
また、X1がハロゲン原子である場合には、加水分解によりハロゲン化水素が発生するため、反応系が強酸性雰囲気となりやすく、オキセタニル基が開環する場合がある。
上記有機ケイ素化合物(a)として好ましい化合物は、3−(3−エチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリエトキシシラン等である。
本発明に係る有機ケイ素化合物(b)は、下記式(4)で表され、オキセタニル基を有さず且つ加水分解性基を有する有機ケイ素化合物である。
(R6)nHmSiX2 4−n−m (4)
〔但し、R6は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、X2は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれたシロキサン結合生成基であり、nは0〜2の整数であり、mは0又は1であり、n及びmの和は0〜2の整数である。〕
R6がシクロアルキル基である場合、炭素数は3〜10であり、好ましい炭素数は5〜8、より好ましくは5〜6である。
また、R6がアリール基である場合、炭素数は6〜10であり、好ましい炭素数は6〜8、より好ましくは6〜7である。
上記式(4)におけるR6の炭素数が多すぎると、後述の加水分解反応が進行しにくく、得られるポリオルガノシロキサンが二層分離を起こしたり白濁したりするため、好ましくない。
尚、上記式(4)において、R6が複数ある場合、各R6は、互いに同一であってよいし、異なってもよい。
尚、上記式(4)において、X2が複数ある場合、各X2は、互いに同一であってよいし、異なってもよい。
また、X2がハロゲン原子である場合には、加水分解によりハロゲン化水素が発生するため、反応系が強酸性雰囲気となりやすく、オキセタニル基が開環する場合がある。
nが0であり且つmが0である場合、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。
nが1であり且つmが0である場合、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
nが1であり且つmが0である好ましい有機ケイ素化合物(b)としては、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
有機ケイ素化合物(b)は、有機ケイ素化合物(a)、及び、後述のヒドロキシル基又はカルボキシル基を有し且つ一部又は全てが水素化されたジエン系重合体(d)の縮合を円滑にする目的で用いられる。また、この有機ケイ素化合物(b)を用いることで、得られるポリオルガノシロキサンがより均一であり、硬化物とした場合の透明性に優れる。
本発明に係る有機ケイ素化合物(c1)は、下記式(5)のように、シラノール基を1つ有する化合物である。
(R7)sHtSiOH (5)
〔但し、R7は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、sは2又は3であり、tは0又は1であり、s及びtの和は3である。〕
R7がシクロアルキル基である場合、炭素数は3〜10であり、好ましく炭素数は5〜8、より好ましくは5〜6(シクロへキシル基等)である。
また、R7がアリール基である場合、炭素数は6〜10であり、好ましい炭素数は6〜8、より好ましくは6〜7(フェニル基等)である。
尚、上記式(5)において、各R7は、互いに同一であってよいし、異なってもよい。
これらの有機ケイ素化合物(c1)は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
この化合物(c2)は、上記有機ケイ素化合物(c1)を反応系中に発生させるものである。尚、上記式(5)で表される有機ケイ素化合物(c1)が反応系中に発生していることは、ガスクロマトグラフィーや液相クロマトグラフィー等により確認することができる。
上記式(5)においてsが3であり且つtが0である有機ケイ素化合物(c1)を発生させる化合物としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリメチルシリルアセテート、トリメチルシリルベンゾエート、トリエチルシリルアセテート、トリエチルシリルベンゾエート、ベンジルジメチルメトキシシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、ジフェニルメトキシメチルシラン、ジフェニルエトキシメチルシラン、アセチルトリフェニルシラン、エトキシトリフェニルシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサプロピルジシロキサン、1,3−ジブチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジメチル−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン等が挙げられる。
有機ケイ素化合物(c1)及び(c2)は、加水分解縮合反応で発生するシラノール基をキャッピングする目的で用いられる。また、この有機ケイ素化合物(c1)及び(c2)を用いることで、得られるポリオルガノシロキサンの粘度コントロールを容易なものとすることができ、更には保存安定性を付与することができる。
本発明に係るヒドロキシル基を有し且つ一部又は全てが水素化されたジエン系重合体(d)(以下、「水添ポリジエン」ともいう。)は、後述の加水分解縮合反応工程において、上記有機ケイ素化合物と縮合反応を行わせる必要があるため、ヒドロキシル基を少なくとも1つ、より好ましくは2つ以上有する。尚、この水添ポリジエンが有するヒドロキシル基は、分子中のどの位置にあってもよく、分子鎖中及び/又は分子末端に有するものとすることができる。
上記水添ポリジエンとしては、ヒドロキシル基を有する水添ポリジエン及びカルボキシル基を有する水添ポリジエンを組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る水添ポリジエンとしては、ヒドロキシル基を有し且つ一部又は全てが水素添加されたポリブタジエンが好ましい。
上記ポリオルガノシロキサンは、上記原料成分と、酸性触媒、水、有機溶媒等を用いて、(i)加水分解縮合工程、(ii)加水分解縮合反応工程で使用した水及び有機溶媒の除去工程の2工程により得ることができる。
有機ケイ素化合物(a)は、好ましくは0.1〜60質量部、より好ましくは5〜40質量部である。0.1質量部未満では、硬化後にも流動性があるようなゲル状物しか得られず、60質量部を超えると、硬化物の柔軟性が発現されない傾向にある。
有機ケイ素化合物(b)は、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは5〜50質量部である。1質量部未満では、有機ケイ素化合物(a)及び水添ポリジエン(d)の縮合が円滑に進行しないため、均一で透明なポリオルガノシロキサンが得られず、50質量部を超えると、硬化物の柔軟性が発現されない傾向にある。
有機ケイ素化合物(c1)又は(c2)は、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは5〜20質量部である。1質量部未満では、保存安定性に劣るポリオルガノシロキサンしか得られず、30質量部を超えると、均一で透明なポリオルガノシロキサンが得られない。
水添ポリジエン(d)は、好ましくは10〜90質量部、より好ましくは20〜80質量部である。10質量部未満では、硬化物の柔軟性が発現されず、90質量部を超えると、硬化後にも流動性があるようなゲルしか得られない。
加水分解縮合工程(i)で使用する水は、有機ケイ素化合物(a)、(b)及び(c1)中のシロキサン結合生成基を完全に加水分解するのに必要な水の量を1当量とすると、0.5〜10当量を使用するのが好ましく、1.5〜5当量を使用するのが特に好ましい。
水添ポリジエン(d)を溶解するための有機溶媒(p1)としては、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。後述の水混和性有機溶媒(p2)と良好に溶解し、更に水を反応系内に入れた際に、反応系を均一とするために、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましく、メチルイソブチルケトンを用いることが特に好ましい。
また、水混和性有機溶媒(p2)としては、前述のケトン類との良好な混和性を有し、水添ポリジエン(d)を析出させる効果の小さい有機溶媒が好ましく、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、アミルアルコール、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらのうち、イソプロピルアルコールが好ましい。
Si−H基を有する有機ケイ素化合物を使用しない場合の反応温度は、好ましくは10〜120℃、より好ましくは20〜80℃である。また、反応時間は、好ましくは2〜30時間、より好ましくは4〜24時間である。
一方、Si−H基を有する有機ケイ素化合物を使用する場合の反応温度は、好ましくは10〜60℃、より好ましくは20〜40℃である。また、反応時間は、好ましくは2〜30時間、より好ましくは4〜24時間である。
まず、水添ポリジエン(d)及びこれを良好に溶解する有機溶媒(p1)を反応容器に仕込み、攪拌等により水添ポリジエン(d)を溶解する。次いで、有機ケイ素化合物と、水添ポリジエン(d)を溶解する有機溶媒と混和可能な水混和性有機溶媒(p2)を反応容器に投入して攪拌し、系中を均一とする。その後、酸性触媒と、必要量の水の混合溶液とを反応系へ導入し、所定温度で所定時間攪拌しながら反応する。酸性触媒及び水の混合溶液を反応系へ導入する際には、一気に投入してもよいが、反応温度が著しく上昇し、製品の透明性が損なわれることがあるため、徐々に添加することが好ましい。その添加速度は、系内の反応温度が20℃以上上昇しないように調節することが好ましく、更には、系内の反応温度が5℃以上上昇しないように調節することが好ましい。
加水分解縮合工程(i)の後、加水分解で消費されなかった水が存在する場合には、その水と加水分解縮合工程(i)で使用した有機溶媒の除去を行うが、この工程は常圧ないし減圧下で、通常の蒸留操作を行えばよい。
本発明に係るポリオルガノシロキサンは、上記のように、オキセタニル基を有し、特定の構造単位を含み、必要に応じてシルセスキオキサン構造を含む。
オキセタニル基の存在は、例えば、1H−NMRスペクトルにおいて、4.3〜4.4ppm付近の、特徴的な2つのピークによって確認でき、また、IRスペクトルにおいても990cm−1付近の、オキセタン環に由来する吸収ピークによって確認することができる。
また、特定の構造単位である、水添ポリジエン(d)からなる部位の存在は、例えば、1H−NMRのスペクトルにおいて、0.8〜1.5ppm付近の、ブロードなピークによって確認でき、また、IRスペクトルにおいても3,000cm−1付近や、1,400cm−1付近の吸収ピークによって確認することができる。
尚、本発明に係るポリオルガノシロキサンは、Si−H基を含んでいてもよいが、その場合、Si−H基の存在は、IRスペクトルにおいて、2,100cm−1付近の特徴的な吸収ピークにより確認することができる。
また、本発明に係るポリオルガノシロキサンがシルセスキオキサン構造を含む場合には、ハシゴ状、カゴ状又はランダム状の構造が挙げられる。これらのシルセスキオキサン構造は、1種単独でもよいし、構造又は分子量の異なる2種以上を含んでもよい。
尚、本発明に係るポリオルガノシロキサンがシルセスキオキサン構造を含む場合は、上記原料成分が有する加水分解性基のうち、好ましくは90%以上が縮合されている。即ち、加水分解性基として、例えば、Si−OR基のような加水分解性基が10%を超えて残存すると、シルセスキオキサン構造が十分に形成されていない場合がある。このようなポリオルガノシロキサンを含む硬化性組成物の貯蔵安定性が低下する場合、更には、得られる硬化物の強度が十分でない場合がある。ここで「シルセスキオキサン構造が十分に形成されている」ことは、例えば、29Si−NMRのスペクトルにおいて−60〜−70ppmにRSiO1.5に基づくブロードなピークにより確認することができる。
本発明の硬化性組成物は、上記製造方法により得られたポリオルガノシロキサンと、エポキシ化合物と、カチオン重合触媒とを必須成分として含有する。
本発明に係るエポキシ化合物は、分子構造、分子量等の性質に特に制限はなく、従来、公知のものを用いることができる。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールAグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロシクロヘキセンジオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエルスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルやフェノール、クレゾール、ブチルフェノール、またこれらにアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、エチレングリコールグリシジルフェニルエーテル、エチレングリコールベンジルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールグリシジルテトラヒドロピラニルエーテル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアセテート、特開平6−166752号公報、米国特許6706840号公報等に開示されたシリコーンエポキシ等が挙げられる。尚、上記エポキシ化合物としては、分子中の水素原子の一部又は全てがフッ素で置換されたものを使用することもできる。これらのエポキシ化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、上記エポキシ化合物としては、エポキシ基の数が2以上と多いものが好ましく、例えば、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等が好ましい。
本発明に係るカチオン重合触媒は、有機金属錯体であり、大きく分けて熱カチオン重合触媒及び光カチオン重合触媒として用いる。
上記オニウム塩類としては、市販品を用いることができ、例えば、旭電化工業社製の「アデカオプトンCP−66」及び「アデカオプトンCP−77」(いずれも商品名)、三新化学工業社製の「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」及び「サンエイドSI−100L」(いずれも商品名)、日本曹達社製の「CIシリーズ」等が挙げられる。上記オニウム塩類は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記光カチオン重合触媒は、光を照射されて活性化され開環重合性基の開環を誘発する化合物であり、有機金属錯体類としては、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体等が挙げられる。上記有機金属錯体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記有機金属錯体としては、市販品を用いることができ、例えば、旭電化工業社製「オプトマーSP−150」、「オプトマーSP−170」(いずれも商品名)、ゼネラルエレクトロニクス社製「UVE−1014」(商品名)、サートマー社製「CD−1012」(商品名)等が挙げられる。
また、有機金属錯体は、オニウム塩類と組み合わせて用いることができる。
上記オニウム塩類としては、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。上記オニウム塩類は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の硬化性組成物は、上記の必須成分以外に、オキセタン環を有しシルセスキオキサン構造を有さない化合物;有機溶剤;有機フィラー、無機フィラー、レベリング剤、消泡剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、酸化防止剤、着色剤等の添加剤;等を配合することができる。
具体的な化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−アリロキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、4−メトキシ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブタンジオールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ヘキサンジオールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールFビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カーボネートビスオキセタン、アジペートビスオキセタン、テレフタレートビスオキセタン、シクロヘキサンジカルボン酸ビスオキセタン、3−(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−(3−エチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリメトキシシラン、特開平6−16804号公報に開示されたオキセタンシリコーン等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
具体的には、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記アルコール類としては、エタノール、メタノール、イソブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール等が挙げられる。
上記ケトン類としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
上記エーテル類としては、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
上記エステル類としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
具体的な化合物としては、グリシジロキシトリメトキシシラン、ビス(グリシジロキシ)ジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に係るポリオルガノシロキサンとして、Si−H基を有するポリオルガノシロキサンを使用した場合には、Si−H基を分解する、水酸化ナトリウム、ピリジンのような塩基性の化合物を配合してはならない。本発明の硬化性組成物はカチオン重合触媒の存在下で硬化するため、塩基性物質を配合すると、Si−H基が分解されるだけでなく、硬化も起こらなくなってしまう。
また、本発明に係るポリオルガノシロキサンとして、Si−H基を有するポリオルガノシロキサンを、硬化物の外観や光透過性が要求される用途に使用する場合、カチオン重合触媒として広く使用されている、第四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩等の各種オニウム塩型カチオン重合触媒は配合してはならない。これらオニウム塩型カチオン重合開始剤を配合することで、熱硬化型あるいは光硬化型の硬化性組成物を調製することはできるし、優れた接着性、機械的強度を有する硬化物を得ることはできる。しかしながら、Si−H基を有するポリオルガノシロキサンと、エポキシ化合物と、オニウム塩型カチオン重合触媒とからなる硬化物は、黒ずんだ異物が発生し、外観、光透過性等が十分でない場合がある。よって、Si−H基を有するポリオルガノシロキサンを使用する場合のカチオン重合触媒は、金属錯体型カチオン重合触媒、特にアルミニウム化合物であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、本発明の組成物を熱硬化性とするか光硬化性とするかで異なる。
2−5−1.熱硬化性組成物
本発明の熱硬化性組成物は、熱カチオン重合触媒として、有機金属錯体が含まれる。熱硬化性組成物は、オニウム塩類を使用するか、アルミニウム化合物等の有機金属錯体類を使用するかで組成が異なる。
(1)オニウム塩類を熱カチオン重合触媒として使用する場合
オニウム塩類を熱カチオン重合触媒として使用する場合、熱硬化性組成物は、上記ポリオルガノシロキサンと、エポキシ化合物と、オニウム塩類とを必須成分として含有する硬化性組成物であり、適宜、上記その他の成分を含有したものとすることができる。
以下に、各成分の含有量について記述するが、その他の成分、特に、有機溶剤を配合する場合は、「組成物全体」という表現は「不揮発分全体」と読み替えるものとする。
エポキシ化合物の含有量は、組成物全体に対し、好ましくは3〜95質量%、より好ましくは20〜90質量%、更に好ましくは30〜85質量%である。このエポキシ化合物の含有量が3質量%未満では、組成物の硬化速度が著しく遅くなり、硬化物が得られない場合がある。
オニウム塩類の含有量は、組成物全体に対し、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜2質量%、更に好ましくは0.1〜1質量%である。このオニウム塩類の含有量が0.001質量%未満では、熱の作用により活性化しても、開環重合性基の開環反応を十分に進行させられない場合があり、硬化物の耐熱性及び強度が不十分となる場合が有る。一方、5質量%を超えると、重合を進行する作用はそれ以上高まらず、硬化物の耐熱性及び強度が低下する場合がある。
尚、混合機によっては、混合中に発生する摩擦熱により熱カチオン重合触媒が活性化されるため、各成分を40℃以下、好ましくは25℃以下に保ちながら混合することが好ましい。
有機金属錯体類を熱カチオン重合触媒として使用する場合、本発明の熱硬化性組成物は、上記ポリオルガノシロキサンを必須成分とするA液、及び、エポキシ化合物と、有機金属錯体類とを必須成分とするB液の2種の組成物を調製し、その後、混合して用いることが好ましい。即ち、A液及びB液の2液型とすることが好ましい。A液及びB液は、適宜、上記その他の成分を含有したものとすることができる。
また、B液は、上記ポリオルガノシロキサンを含有しない組成物であり、エポキシ化合物及び有機金属錯体類を含み、上記のオキセタン環を有しシルセスキオキサン構造を有さない化合物、有機溶剤、有機フィラー、無機フィラー、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、酸化防止剤、着色剤等を含有したものとすることができる。尚、シラノール基を発生させることのできるシランカップリング剤は、棚ライフが損なわれるため配合しないことが好ましい。
ポリオルガノシロキサンの含有量は、組成物全体に対し、好ましくは5〜95質量%、より好ましくは10〜80質量%、更に好ましくは15〜70質量%である。このポリオルガノシロキサンの含有量が5質量%未満であっても、95質量%を超えても、組成物の熱硬化速度が著しく低下する場合がある。
エポキシ化合物の含有量は、組成物全体に対し、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは20〜90質量%、更に好ましくは30〜85質量%である。このエポキシ化合物の含有量が1%未満では、組成物の硬化速度が著しく遅くなり、80質量%を超えると、硬化物の強度が十分でない場合がある。
有機金属錯体類の含有量は、組成物全体に対し、好ましくは0.001〜2質量%、より好ましくは0.002〜1質量%、更に好ましくは0.005〜0.5質量%である。この有機金属錯体類の含有量が0.001質量%未満では、熱の作用により活性化しても、開環重合性基の開環反応を十分に進行させることができない場合があり、硬化物の耐熱性及び強度が不十分となる場合がある。また、2質量%を超えると、触媒の作用が強すぎて急激に重合するため、強度及び外観の優れた硬化物が得られない場合がある。
尚、混合機によっては、混合中に発生する摩擦熱により重合が開始してしまうため、各成分を40℃以下、好ましくは25℃以下に保ちながら混合することが好ましい。
本発明の光硬化性組成物は、上記ポリオルガノシロキサンと、エポキシ化合物と、光カチオン重合触媒とを必須成分として含有し、適宜、上記その他の成分を含有したものとすることができる。
以下に、各成分の含有量について記述するが、その他の成分、特に、有機溶剤を配合する場合は、「組成物全体」という表現は「不揮発分全体」と読み替えるものとする。
エポキシ化合物の含有量は、組成物全体に対し、好ましくは3〜95質量%、より好ましくは20〜90質量%、更に好ましくは30〜85質量%である。このエポキシ化合物の含有量が3質量%未満では、組成物の硬化速度が著しく遅くなり、硬化物が得られない場合がある。
光カチオン重合触媒の含有量は、組成物全体に対し、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.03〜3質量%、更に好ましくは0.5〜1質量%である。この光カチオン重合開始剤の含有量が0.01質量%未満では、光の作用により活性化しても、開環重合性基の開環反応を十分に進行させることができない場合があり、硬化物の耐熱性及び強度が不十分となる場合がある。また、5質量%を超えると、重合を進行する作用はそれ以上高まらず、硬化物の耐熱性及び強度が低下することがある。
本発明の硬化性組成物は、熱硬化性であるか、光硬化性であるかにより、その硬化方法が異なる。
3−1.熱硬化性組成物の硬化方法
本発明の熱硬化性組成物は、A液及びB液を、好ましくは、使用前に混合し、下記の温度で、一定時間加熱することにより硬化させることができる。
硬化温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは75〜180℃である。上記範囲内で、温度を一定としてもよいし、昇温させてもよい。更には、昇温と降温とを組み合わせてもよい。硬化時間は、カチオン重合触媒の種類、他の成分の含有割合等により適宜、選択されるが、通常、10分以上であり、好ましくは1〜24時間である。
好ましい硬化方法の例としては、組成物を100℃で3時間加熱した後に、120℃に昇温し、この温度で3時間加熱する方法であり、この方法によると、110℃で6時間加熱した場合に比べて、より機械的強度に優れた硬化物が得られる。従って、硬化温度を段階的に変化させる硬化方法が好ましい。
また、組成物を固化する本硬化の後に、得られた硬化物を本硬化より低い温度で加熱する(後硬化)方法も、機械的強度に優れた硬化物が得られるため好ましい。
本発明の光硬化性組成物の硬化方法としては、従来、公知の光照射装置等によって光照射を行えばよい。この光照射装置としては、例えば、波長400nm以下に発光分布を有する、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
組成物への光照射強度は、目的、用途等に応じて選択すればよく、光カチオン重合触媒の活性化に有効な光波長領域(光カチオン重合触媒の種類によって異なるが、通常、300〜420nmの波長の光が用いられる。)における光照射強度が0.1〜100mW/cm2であることが好ましい。組成物への光照射強度が0.1mW/cm2未満であると、反応時間が長くなり過ぎる場合がある。一方、100mW/cm2を超えると、光照射装置から輻射される熱及び組成物の重合時の発熱により、得られる硬化物の凝集力の低下や黄変あるいは支持体の劣化が生じるおそれがある。
また、組成物への光照射時間も、目的、用途等に応じて選択すればよく、上記光波長領域における光照射強度及び光照射時間の積として表される積算光量が10〜5,000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。従って、積算光量が上記範囲にあれば、組成物の硬化が円滑に進行し、均一な硬化物を容易に得ることができる。尚、上記積算光量が10mJ/cm2未満では、光カチオン重合触媒の活性化が十分でなく、硬化物の強度が低下する場合がある。一方、5,000mJ/cm2を超えると、照射時間が非常に長時間となってしまい、生産性向上のためには不利なものとなる。また、活性エネルギー線照射後0.1〜数分後には、ほとんどの組成物はカチオン重合により指触乾燥するが、カチオン重合反応を促進するために加熱を併用することも場合によっては好ましい。
1.ポリオルガノシロキサンの合成
合成例1
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、水添ポリジエンとして、両末端ヒドロキシル基水添ポリブタジエン(商品名「NISSO−PB−GI−1000」、日本曹達社製。以下、「GI−1000」という。)60g、メチルイソブチルケトン160ml、イソプロピルアルコール100ml、下記式(6)で表される3−(3−エチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリエトキシシラン(以下、「OX−TRIES」という。)18.37g(57.3mmol)、ヘキシルトリメトキシシラン30.07g(145.7mol)及び1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン8.0g(59.6mmol)を仕込み、原料混合物とした。反応(加水分解縮合)の前に、この時点におけるGPCを測定した。GPCクロマトグラムを図1に示す。
次いで、原料混合物を25℃で攪拌しながら、1%塩酸15gを徐々に加えて、反応を開始した。反応の進行をGPCにより追跡し、原料のアルコキシシラン化合物がほぼ消失した時点(混合物の添加開始から20時間後)で反応完結とした。その後、減圧下に溶媒を留去し、収量100gとほぼ定量的に、ポリオルガノシロキサン(以下、「樹脂X」という。)が得られた。この樹脂Xは、無色透明であり、25℃における粘度が5,400mPa・sであった。また、この樹脂XのGPCによるクロマトグラムは、図2に示すとおりであり、数平均分子量は3,100であった。
また、IRスペクトルによると、2,100cm−1付近のSi−H基の比較的シャープな吸収、1000〜1100cm−1付近のSi−O−Si結合のブロードな吸収、860cm−1付近にSi−CH3結合の吸収、Si−O−Si結合の吸収に重なってはいるが990cm−1付近にオキセタニル基の吸収が見られ、試料はオキセタニル基と、Si−H基、Si−CH3基を有するポリオルガノシロキサンであることが分かった。
以上から、樹脂Xは、オキセタニル基と、シルセスキオキサン構造と、水素化されたジエン系重合体からなる部位とを含む重合体であることが分かった。
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、メチルイソブチルケトン160ml、イソプロピルアルコール100ml、OX−TRIES18.37g(57.3mmol)、ヘキシルトリメトキシシラン30.07g(145.7mol)及びテトラメチルジシロキサン8.0g(59.6mmol)を仕込み、原料混合物とした。反応(加水分解縮合)の前に、この時点におけるGPCを測定した。GPCクロマトグラムを図3に示す。
次いで、原料混合物を25℃で攪拌しながら、1%塩酸15gを徐々に加えて、反応を開始した。反応の進行をGPCにより追跡し、原料のアルコキシシラン化合物がほぼ消失した時点(混合物の添加開始から20時間後)で反応完結とした。その後、減圧下に溶媒を留去し、収量40gとほぼ定量的に、ポリオルガノシロキサン(以下、「樹脂Y」という。)が得られた。この樹脂Yは、無色透明であり、25℃における粘度が1,900mPa・sであった。また、この樹脂YのGPCによるクロマトグラムは、図4に示すとおりであり、数平均分子量は1,100であった。
実施例1
合成例1で得られた樹脂XをそのままA液とした。
一方、攪拌機、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、エポキシ化合物として、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(商品名「デナコールEX−212」、ナガセケムテックス社製。以下、「HDDGE」ともいう。)30質量部と、カチオン重合触媒(I)として、トリスアセチルアセトナトアルミニウム(東京化成工業社製。以下、「Al(AcAc)3」ともいう。)0.01質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら、50℃で2時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、無色透明な均一溶液を得た。これをB液とした。
上記A液70質量部及びB液30.01質量部を容器に入れ、ディスパーで5分間攪拌した。容器ごとベルジャーへ入れ、減圧ポンプで1時間脱気し脱泡したところ、Al(AcAc)3の含有量が100ppmである無色透明な液状の2液型熱硬化性組成物を得た。
(1)ショアD硬度
熱硬化性組成物を、長さ25mm×幅25mm×厚さ3mmの窪みを有するフッ素樹脂製型枠へ注入し、防爆型乾燥器内において120℃で1時間加熱、更に150℃で7時間加熱することにより硬化物を得た。この硬化物を、温度25℃、湿度65%の環境下で24時間放置し、評価用のサンプルとした。
ショアD硬度の測定は、JIS−K7215に準じ、デュロメータ「HD−104N型」(上島製作所社製)を用いて行った。
熱硬化性組成物を、厚さ20μmの耐熱PETフィルム上にバーコートし、厚さ約20μmの塗膜を得た。その後、上記と同様にして塗膜を硬化させた。
折り曲げ試験の評価は、積層フィルムを、温度25℃、湿度60%RHの環境下、24時間静置した後、巻き上げてロールとし、硬化皮膜におけるひびの有無を観察することにより行った。表中において、「○」は、ロールにした際にひびが入らなかったことを、「×」は、ロールにした際にひびが入ったことを示す。
折り曲げ試験用試験片を用い、分光蛍光光度計「V−550型」(日本分光社製)により、波長400nmにおける透過率を測定した。
試験はJIS−K6861(1977)に準じて実施した。長さ100mm×幅25mm×厚さ2mmのガラス製テストピースと、それと同寸法のアルミニウム製テストピースを用い、各テストピースの接着面積が3.125cm2になるように組成物を塗布して貼り合わせ、冶具で固定し、上記の条件で硬化させた。この硬化物を、温度25℃、湿度60%RHの環境下に24時間静置し、評価用のサンプルとした。
引張剪断接着強さは、引張圧縮試験機「ストログラフV20−C」(東洋精機製作所製)を用い、クロスヘッド速度10mm/分で引張試験を行うことにより得た。
合成例2で得られた樹脂YをそのままA液とした。
一方、攪拌機、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、HDDGE30質量部及びAl(AcAc)30.01質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら、50℃で2時間攪拌した。次いで、GI−1000(水添ポリジエン)42質量部を加え、更に1時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、白濁した溶液を得た。これをB液とした。
上記A液28質量部及びB液72.01質量部を容器に入れ、ディスパーで5分間攪拌した。容器ごとベルジャーへ入れ、減圧ポンプで1時間脱気し脱泡したところ、Al(AcAc)3の含有量が100ppmである白濁した液状の2液型熱硬化性組成物を得た。
上記熱硬化性組成物を用い、実施例1と同様にして硬化物を得て、上記の各種評価を行った。その結果を表1に示す。
合成例2で得られた樹脂YをそのままA液とした。
一方、攪拌機、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、HDDGE30質量部及びAl(AcAc)30.01質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら、50℃で2時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、無色透明な均一溶液を得た。これをB液とした。
上記A液70質量部及びB液30.01質量部を容器に入れ、ディスパーで5分間攪拌した。容器ごとベルジャーへ入れ、減圧ポンプで1時間脱気し脱泡したところ、Al(AcAc)3の含有量が100ppmである無色透明な液状の2液型熱硬化性組成物を得た。
上記熱硬化性組成物を用い、実施例1と同様にして硬化物を得て、上記の各種評価を行った。その結果を表1に示す。
一方、実施例1においては、柔軟性、光透過性及び接着性に優れた硬化物であることが分かる。
実施例2
合成例1で得られた樹脂X70質量部、HDDGE30質量部及びカチオン重合触媒(II)として、光カチオン重合開始剤(商品名「photoinitiator2074」(ローディアジャパン社製。以下、「PI−2074」という。)1質量部を、遮光しながらディスパーで15分間攪拌した。その後、脱泡を行うことにより、光硬化性組成物を得た。
(1)ショアD硬度
ショアD硬度測定用の硬化物は、光硬化性組成物を、長さ25mm×幅25mm×厚さ3mmの窪みを有するフッ素樹脂製型枠へ注入した後、60W/cm高圧水銀ランプを用い、高さ30cmから、大気中、5分間光照射を行うことにより得た。
光硬化性組成物を、厚さ20μmのPETフィルム上にバーコートし、厚さ約20μmの塗膜を得た。その後、光源に60W/cm高圧水銀ランプを用い、ランプ高さ30cmから、大気中、1分間光照射を行うことにより、硬化物を得た。
折り曲げ試験の評価は、この硬化物を温度25℃、湿度60%RHの環境下、24時間静置した後、積層フィルムを巻き上げてロールとし、皮膜におけるひびの有無を観察することにより行った。表中において、「○」は、ロールにした際にひびが入らなかったことを、「×」は、ロールにした際にひびが入ったことを示す。
光硬化性組成物を、長さ50mm×幅50mm×厚さ2mmの窪みを有するフッ素樹脂製型枠へ注入した。その後、60W/cm高圧水銀ランプを用い、高さ30cmから、大気中、5分間光照射を行うことにより得た。この硬化物を、温度25℃、湿度60%RHの環境下、24時間静置した後、測定試料とし、分光蛍光光度計「V−550型」(日本分光社製)により、波長400nmにおける透過率を測定した。
試験はJIS−K6861(1977)に準じて実施した。長さ100mm×幅25mm×厚さ2mmのガラス製テストピースと、それと同寸法のアルミニウム製テストピースを用い、各テストピースの接着面積が3.125cm2になるように組成物を塗布して貼り合わせ、冶具で固定し、ガラス製テストピースの方から光照射した。光源には60W/cm高圧水銀ランプを用い、ランプ高さ30cmから、大気中、1分間光照射を行い、硬化させた。この硬化物を、温度25℃、湿度60%RHの環境下に24時間静置し、評価用のサンプルとした。
引張剪断接着強さは、引張圧縮試験機「ストログラフV20−C」(東洋精機製作所製)を用い、クロスヘッド速度10mm/分で引張試験を行うことにより得た。
合成例2で得られた樹脂Y28質量部、GI−1000(水添ポリジエン)42質量部、HDDGE30質量部及びPI−2074の1質量部を、遮光しながらディスパーで15分間攪拌した。その後、脱泡を行うことにより、光硬化性組成物を得た。
上記光硬化性組成物を用い、実施例2と同様にして硬化物を得て、上記の各種評価を行った。その結果を表2に示す。
合成例2で得られた樹脂Y70質量部、HDDGE30質量部及びPI−2074の1質量部を、遮光しながらディスパーで15分間攪拌した。その後、脱泡を行うことにより、光硬化性組成物を得た。
上記光硬化性組成物を用い、実施例2と同様にして硬化物を得て、上記の各種評価を行った。その結果を表2に示す。
一方、実施例2においては、柔軟性、光透過性及び接着性に優れた硬化物であることが分かる。
Claims (7)
- ポリオルガノシロキサンと、エポキシ化合物と、カチオン重合触媒と、を含有する硬化性組成物であって、
上記ポリオルガノシロキサンは、下記式(3)で表される有機ケイ素化合物(a)と、下記式(4)で表される有機ケイ素化合物(b)と、下記式(5)で表される有機ケイ素化合物(c1)又は該有機ケイ素化合物(c1)を反応系中に発生させる化合物(c2)とを、ヒドロキシル基を有し且つ一部又は全てが水素化されたジエン系重合体(d)の存在下、酸性触媒を用いて加水分解共縮合して得られた重合体であり、
上記ジエン系重合体(d)が、炭素数4〜22の共役ジエン化合物を含む単量体を、過酸化水素、ヒドロキシル基を有するアゾ化合物又はヒドロキシル基を有する過酸化物を重合開始剤として、ラジカル重合して得られた共役ジエン系重合体を水素化して得られ且つ水素化率が50%以上であり、
上記ポリオルガノシロキサンの数平均分子量が、1,500〜15,000であり、
上記カチオン重合触媒が、有機金属錯体であることを特徴とする硬化性組成物。
(R6)nHmSiX2 4−n−m (4)
〔但し、R6は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、X2は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれたシロキサン結合生成基であり、nは0〜2の整数であり、mは0又は1であり、n及びmの和は0〜2の整数である。〕
(R7)sHtSiOH (5)
〔但し、R7は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、sは2又は3であり、tは0又は1であり、s及びtの和は3である。〕 - 上記有機ケイ素化合物(a)が、上記式(3)において、R 4 が炭素数1〜6のアルキル基であり、X 1 が炭素数1〜20のアルコキシ基である化合物である請求項1に記載の硬化性組成物。
- 上記有機ケイ素化合物(b)が、上記式(4)において、X 2 がヒドロキシル基であり、nが1であり、且つ、mが0又は1の化合物である請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
- 上記有機ケイ素化合物(c2)が、(R 7 ) 2 HSiOHを発生させることのできる化合物である請求項1乃至3のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 上記有機金属錯体が、アルミニウム化合物である請求項1乃至4のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 上記エポキシ化合物が、2以上のエポキシ基を有する請求項1乃至5のいずれかに記載の硬化性組成物。
- ポリオルガノシロキサンと、エポキシ化合物と、カチオン重合触媒と、を含有する硬化性組成物であって、
上記ポリオルガノシロキサンは、下記式(3)で表される有機ケイ素化合物(a)と、下記式(4)で表される有機ケイ素化合物(b)と、下記式(6)で表される有機ケイ素化合物を反応系中に発生させる化合物(c2)とを、ヒドロキシル基を有し且つ一部又は全てが水素化されたジエン系重合体(d)の存在下、酸性触媒を用いて加水分解共縮合して得られた重合体であり、
上記ジエン系重合体(d)が、炭素数4〜22の共役ジエン化合物を含む単量体を、過酸化水素、ヒドロキシル基を有するアゾ化合物又はヒドロキシル基を有する過酸化物を重合開始剤として、ラジカル重合して得られた共役ジエン系重合体を水素化して得られ且つ水素化率が50%以上であり、
上記ポリオルガノシロキサンの数平均分子量が、1,500〜15,000であり、
上記カチオン重合触媒が有機金属錯体であり、該有機金属錯体がアルミニウム化合物であり、
上記エポキシ化合物が、2以上のエポキシ基を有する化合物であることを特徴とする硬化性組成物。
(R 6 ) n H m SiX 2 4−n−m (4)
〔但し、R 6 は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、X 2 は、ヒドロキシル基からなるシロキサン結合生成基であり、nは1であり、mは0又は1である。〕
(R 7 ) 2 HSiOH (6)
〔但し、R 7 は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基である。〕
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