JP2006151309A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 タイヤトレッド部10に、周方向溝11,12と、一端が赤道面C側に位置する周方向溝11に開口し、他端が上記周方向溝11,12により区画された陸部15内で終端する、その延在長さlとタイヤ接地面内に内包される周方向溝11の接地長さとの比が0.4以上である第1の横溝13と、上記第1の横溝13の延在長さの半分の延在長さを有する第2の横溝14とを、タイヤ周方向に交互に配置し、上記第1の横溝13により車外騒音の主要因である1000Hz周辺の気柱管共鳴音を吸音し、上記第2の横溝14により上記第1の横溝では吸音しきれない2000Hz周辺の2次の気柱管共鳴音を吸音するようにした。
【選択図】 図1
Description
この1000Hz周辺のタイヤノイズは、タイヤトレッド表面に形成される周方向溝が接地する際に、タイヤと路面との間に形成された管状の空洞の共鳴現象により発生することから、一般に気柱管共鳴音といわれており、気柱の長さ、すなわち、接地面内に内包される周方向溝の長さの2倍の波長で共鳴する。
この気柱管共鳴音を抑制するための手法としては、従来、周方向溝の本数や容積を減少させることがよく知られている。もう一つの手法としては、上記手法とは逆に周方向溝幅を広げる方法がある。
また、トレッドパターンを中央に1本の幅広の周方向溝とこの周方向溝に開口しない横溝とから成るパターンとし、上記パターンのシー/ランド比を制限することにより、ウエット特性を確保しつつ気柱管共鳴音の低減する方法などが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
また、逆に、周方向溝幅を広げた場合には、接地面積の大幅な減少並びに接地圧の幅方向分布に大きな段差が生じるため、トレッドパターンのシー/ランド比を制限した場合であっても、ドライ路面における操縦安定性、限界グリップ特性が低下してしまうといった問題点があった。
また、周方向溝と横溝とを備えた従来のトレッドパターンでは、一般に、複数の周方向溝がそれぞれ横溝によって空間的に連続しているパターンとなっているため、上記周方向溝の接地長さに対応する周波数の共鳴音(気柱管共鳴音)が発生する。
このように、現在使用されているようなトレッドパターンの周方向溝に発生する気柱管共鳴音は、パターンデザインを大きく変更することなく、効果的に抑制する方法がないのが現状であった。
f=(2n−1)×c/(4l)
nは振動の次数 (n=1,3,5,‥‥)
で表わされる周波数の音が吸音されることから、上記横溝として、その延在長さを接地面内に内包される周方向溝の長さの40%以上、すなわち、気柱管共鳴音の(1/4)波長近傍とした、上記気柱管共鳴音を吸音する、一端が周方向溝側に開口し、他端側が陸部側で終端する第1の横溝と、上記横溝の延在長さの半分の長さの第2の横溝の2種類の横溝とを設けることにより、1次の気柱管共鳴音と上記第1の横溝では吸音しきれない2次の気柱管共鳴音をともに低減できることを見出し本発明に到ったものである。
すなわち、本願の請求項1に記載の発明は、トレッド表面に設けられたタイヤ周方向に沿って延びる少なくとも1本の周方向溝と、上記周方向溝と交わる方向に配置される横溝とを備えた空気入りタイヤにおいて、タイヤ転動中の接地面内に少なくとも1本が内包される、一端が周方向溝側に開口し、他端がトレッドの陸部内で終端する第1の横溝と、一端が周方向溝側に開口し、他端がトレッドの陸部内で終端する、延在長さが上記第1の横溝の延在長さの半分である第2の横溝とを備えるとともに、上記第1の横溝の延在長さを、タイヤ接地面内に内包される周方向溝の接地長さとの比が0.4以上となるように設定したことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、上記第1の横溝と上記第2の横溝とをタイヤ周方向に交互に配置したものである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、上記周方向溝の一方側に位置する陸部に上記第1の横溝を配置し、他方側に位置する陸部に上記第2の横溝を配置したものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、上記第1の横溝の一端を少なくとも1本の周方向溝に開口させ、残りの周方向溝に、上記第2の横溝の一端を開口させたものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の空気入りタイヤにおいて、上記第1の横溝、または、第2の横溝に、一端が上記第1の横溝側、または、第2の横溝側に開口し、他端がトレッドの陸部内で終端する副溝を設けたものである。
また、上記第1及び第2の横溝の形成によって接地面積が増減することは殆どないので、騒音特性以外の性能に影響を与えることなく、タイヤノイズを低減することができる。
図1は、本発明の最良の形態に係る空気入りタイヤのトレッドパターンの展開図で、図2は上記空気入りタイヤをリムに組み付け、正規の空気圧を充填するとともに正規の荷重を負荷したときのフットプリントである。各図において、11,12は空気入りタイヤのタイヤトレッド部10に、タイヤ赤道面Cに対して対称に形成された2対の周方向溝、13,14は、それぞれ、一端が赤道面C側に位置する周方向溝11側に開口し、他端が上記周方向溝11,12により区画された陸部15内で終端する第1及び第2の横溝、16は第1の横溝13から分岐する副溝、17は上記周方向溝11,12に直交する方向に延長し、トレッドのショルダー側に位置する周方向溝12とトレッド接地縁Eとにそれぞれ開口するショルダー横溝である。
なお、上記第1の横溝13と第2の横溝14とは、正規リムにリム組みされ、正規内圧、正規荷重を負荷した正規状態のタイヤ転動中の接地面内において、互いに独立しており、かつ、周方向溝11,12や図示しないその他の横溝とも完全に独立している。
第2の横溝14も、上記第1の横溝13と同様に、上記周方向溝11から上記周方向溝11に対して所定の角度で分岐する分岐部14aと、この分岐部14aに連通し、上記周方向溝11と平行に延長する折曲部14bとから成り、その延在長さは上記第1の横溝13の半分である。また、本例では、上記第1の横溝13と第2の横溝14とは、タイヤ周方向に交互に配置した。
タイヤの転動時に上記周方向溝が接地する際に、タイヤと路面との間には、タイヤ接地面内に内包される周方向溝11の接地長さLの管状の空洞に空気が入り込み、上記周方向溝の長さの2倍の波長で共鳴し気柱管共鳴音が発生するが、本例では、この周波数の音を、一端が上記周方向溝11に開口する中断溝である上記第1の横溝13により吸音する。すなわち、上記第1の横溝13は、上記管状の空洞が両端開放であるのに対し、一端開口であるので、その延長長さlをl/Lが0.4以上となるように設定しておけば、サイドブランチ型消音器の原理により、上記気柱管共鳴音付近の周波数、すなわち、トレッド踏面の接地長さに応じて変化する800〜1400Hzの周波数の音を吸音する。したがって、路面の状態により気柱管共鳴音の周波数が1000Hzを中心に変化した場合でも、上記気柱管共鳴音を効果的に低減することができる。なお、l/Lが0.4未満の場合には、吸音周波数と気柱管共鳴音の周波数とのずれが大きくなり吸音効果は低減する。
また、2000Hz周辺の2次の気柱管共鳴音も車外騒音の要因としては大きいので、本例では、その延在長さが上記第1の横溝13の半分である第2の横溝14を設けて、上記第1の横溝13では吸音しきれない2次の気柱管共鳴音を低減するようにしている。
これにより、車外騒音の主要因である1000Hz周辺の1次の気柱管共鳴音と2000Hz周辺の2次の気柱管共鳴音とを効果的に低減することができるので、タイヤ騒音を大幅に低減することができる。
また、上記第1及び第2の横溝は、従来のトレッドパターンの基調を大きく変更するものではなく、接地面積が増減することがないので、ドライ路面における操縦安定性、限界グリップ特性に影響を与えないだけでなく、ハイドロプレーニング性能に代表されるウエット性能を低下させることなく、タイヤノイズを効果的に低減することができる。
また、上記第1の横溝13に副溝16を設けるようにすれば、第1の横溝13全体の体積が大きくなるため、吸音効果を更に高めることができるとともに、騒音を悪化させることなく接地面内の総溝体積を増加できるので、上記第1の横溝13との協動下で、ウエット性能を更に向上させることができる。
また、上記例では、周方向溝11,12を4本としたが、周方向溝の本数についても特に制限されるものではない。
また、図4に示すように、周方向溝18の一方側に位置する陸部19Aに上記第1の横溝13を配置し、他方側に位置する陸部19Bに上記第2の横溝14を配置するようにしても、ドライ路面における操縦安定性、限界グリップ特性やウエット性能を低下させることなく、タイヤノイズを効果的に低減することができる。なお、上記第1及び第2の横溝13,14が開口する周方向溝としては、上記のような、中央部に形成された周方向溝18に限定されるものではないことはいうまでもない。
タイヤサイズは195/65R15で、これを6Jのリムにそれぞれ組込んだ。なお、タイヤ内圧は220kPaとした。
タイヤ騒音の評価は、図6に示すように、試験タイヤTを回転ドラム51上で、速度40〜100km/hrまでを10km/hr刻みに走行させるとともに、各速度において、タイヤ横方向2m、高さ0.25mの位置に設置したマイクロフォン52を前後1mの範囲で移動させながら、上記タイヤTの発生する騒音の音圧を測定しその音圧平均値から、気柱管共鳴音レベル(1000Hz)と騒音のオーバーオールレベルを求めた。なお、上記走行試験において、各タイヤに作用させる荷重は、4.6kNとした。
また、ハイドロプレーニング性能については、上記タイヤTをそれぞれ装着した試験車両を、水膜10mmの走行路にて様々な速度で走行させ、ハイドロプレーニングが発生する最低速度により評価した。その結果を表1に示す。
14 第2の横溝、15 陸部、16 副溝、17 ショルダー横溝。
Claims (6)
- トレッド表面に設けられたタイヤ周方向に沿って延びる少なくとも1本の周方向溝と、上記周方向溝と交わる方向に配置される横溝とを備えた空気入りタイヤにおいて、タイヤ転動中の接地面内に少なくとも1本が内包される、一端が周方向溝側に開口し、他端がトレッドの陸部内で終端する第1の横溝と、一端が周方向溝側に開口し、他端がトレッドの陸部内で終端する、長さが上記第1の横溝の延在長さの半分である第2の横溝とを備えるとともに、上記第1の横溝の延在長さを、タイヤ接地面内に内包される周方向溝の接地長さとの比が0.4以上となるように設定したことを特徴とする空気入りタイヤ。
- 上記第2の横溝の一端を、上記第1の横溝側が開口する周方向溝に開口させことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 上記第1の横溝と上記第2の横溝とをタイヤ周方向に交互に配置したことを特徴とする請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 上記周方向溝の一方側に位置する陸部に上記第1の横溝を配置し、他方側に位置する陸部に上記第2の横溝を配置したことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 上記第1の横溝の一端を少なくとも1本の周方向溝に開口させ、残りの周方向溝に、上記第2の横溝の一端を開口させたことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 上記第1の横溝、または、第2の横溝に、一端が上記第1の横溝側、または、第2の横溝側に開口し、他端がトレッドの陸部内で終端する副溝を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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