JP2006139881A - フレキシブル磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

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Kazuyuki Usuki
一幸 臼杵
Kenichi Moriwaki
健一 森脇
Hitoshi Noguchi
仁 野口
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Abstract

【課題】 磁気ヘッドが同一トラックを繰り返し走行しても優れた耐久性を発現するフレキシブル磁気ディスクの製造方法を提供すること。
【解決手段】 (1)非磁性支持体の少なくとも一方の面に、真空成膜法により磁性層および保護層を形成する工程と、(2)前記(1)工程により得られた原反の表面をラッピングテープ処理する工程と、(3)前記(2)工程後、前記原反を所定のディスクサイズに打ち抜く工程とを有することを特徴とするフレキシブル磁気ディスクの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐久性に優れ、例えばデジタル情報の記録に好適に使用され得るフレキシブル磁気ディスクの製造方法に関する。
近年、インターネットの普及により、パーソナル・コンピュータを用いて大容量の動画情報や音声情報の処理を行う等、コンピュータの利用形態が変化してきている。これに伴い、ハードディスク等の磁気記録媒体に要求される記憶容量も増大している。
ハードディスク装置においては、磁気ディスクの回転に伴い、磁気ヘッドが磁気ディスクの表面からわずかに浮上し、非接触で磁気記録を行っている。このため、磁気ヘッドと磁気ディスクとの接触によって磁気ディスクが破損するのを防止している。高密度化に伴って磁気ヘッドの浮上高さは次第に低減されており、鏡面研磨された超平滑なハード基板あるいはそれに極微細なテクスチャ加工を施したハード基板上に磁気記録層等を形成した磁気ディスクを用いることにより、現在では10nm〜15nmの浮上高さが実現されている。この様なヘッドの低浮上量化、ヘッド構造の改良、ディスク記録膜の改良等の技術革新によってハードディスクドライブの面記録密度と記録容量はここ数年で飛躍的に増大してきた。
取り扱うことができるデジタルデータ量が増大することによって、動画データの様な大容量のデータを可換型媒体に記録して、移動させるというニーズが生まれてきた。しかしながら、ハードディスクは基板が硬質であって、しかも上述のようにヘッドとディスクの間隔が極わずかであるため、フレキシブル磁気ディスクや書き換え型光ディスクの様に可換媒体として使用しようとすると、動作中の衝撃や塵埃の巻き込みによって故障を発生する懸念が高く、使用できない。
一方、フレキシブル磁気ディスクは基板がフレキシブルであるため可換性に優れているが、現在市販されているフレキシブル磁気ディスクは、記録膜としての磁性層が磁性体を高分子バインダーとともに高分子フィルム上に塗布した構造であるため、スパッタ法で磁性層を形成しているハードディスクと比較すると、高密度記録特性に劣る。しかも、3.5inchφサイズ当たり数百MB程度の記憶容量を有する高密度フレキシブル磁気ディスクシステムではヘッドの浮上量が媒体の表面粗さ以上に設計されるため、磁性層/磁気ヘッド間のスペーシング量をハードディスクドライブの様に狭めることができない。この結果、市販されているフレキシブル磁気ディスクドライブではハードディスクの1/10以下の記録密度しか達成できていない。
そこで磁性層としてハードディスクと同様の強磁性金属薄膜を用い、磁気ヘッド浮上量もハードディスクドライブに近い接触記録を行う薄膜型フレキシブル磁気ディスクが提案されている。しかし、この様な薄膜型フレキシブル磁気ディスクにおいては、塗布型のフレキシブル磁気ディスクと異なり、平滑化のためのカレンダー処理を用いることができず、支持体の表面粗さがそのまま媒体の表面粗さとして反映され、さらに製造工程で発生する付着物も存在するため、媒体と磁気ヘッドの安定した接触走行を実現することが難しいという問題があった。そこで本出願人はフレキシブル磁気ディスクの製造工程にバーニッシュ処理を導入することでこの問題の解決を図った(特許文献1)。バーニッシュ処理工程の効果は高く、この処理によって媒体表面の欠陥と表面粗さが改善されたことから、電磁変換特性が改善し、ヘッドダメージ、メディアスクラッチも激減した。
しかし、この様にして作製された媒体は同一トラックの繰り返し走行耐久性に劣ることがわかった。この理由の一つとしては、媒体表面に存在する突起先端の保護膜や潤滑剤がバーニッシュ工程で削り取られ、磁気ヘッドと媒体は主にこの突起先端で摺動しているためであると考えられる。
特開平9−54943号公報
上記の通り、大容量の書き換え可能なフレキシブル磁気ディスクは、その要求が高いものの、性能、信頼性、コストを満足するものが存在しない。そこで、本発明は上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、磁気ヘッドが同一トラックを繰り返し走行しても優れた耐久性を発現するフレキシブル磁気ディスクの製造方法を提供することにある。
本発明は以下のとおりである。
1.
(1)非磁性支持体の少なくとも一方の面に、真空成膜法により磁性層および保護層を形成する工程と、
(2)前記(1)工程により得られた原反の表面をラッピングテープ処理する工程と、
(3)前記(2)工程後、前記原反を所定のディスクサイズに打ち抜く工程とを有することを特徴とするフレキシブル磁気ディスクの製造方法。
2.
前記(3)工程後、さらに(4)バーニッシュ処理する工程を有することを特徴とする前記1.に記載のフレキシブル磁気ディスクの製造方法。
3.
前記(2)工程終了後かつ前記(3)工程開始前に、前記原反表面上に潤滑剤を塗布する工程をさらに有することを特徴とする前記1.または2.に記載のフレキシブル磁気ディスクの製造方法。
本発明のフレキシブル磁気ディスクの製造方法においては、前記(2)の原反の表面をラッピングテープ処理する工程を導入することで、前記(3)の打ち抜き工程前に粗大突起や付着物をディスク表面から除去することができる。またラッピングテープ処理条件を適当に設定することで、ディスク表面の突起先端の潤滑剤の減少を抑制することができる。これにより、例えばMRヘッドやGMRヘッドなどの耐摩耗性が低い高感度ヘッドを同一トラックで繰り返し使用しても、その損傷を防止することができる。また、このラッピングテープ処理工程は、原反に対して行うので、個々のフレキシブル磁気ディスクを処理するのに比べ、生産性に優れたものとなる。
さらに前記(3)工程後、(4)バーニッシュ処理する工程を有することにより、潤滑剤の塗布むらや凝集、ラッピングテープ処理工程以降に付着した付着物などを除去することができる。なおこの(4)バーニッシュ処理工程では、突起先端の潤滑剤は一部除去されてしまうが、その影響は前記(2)のラッピングテープ処理する工程を導入していない場合と比較して、大幅に小さいことがわかった。
さらにまた前記(2)工程終了後かつ前記(3)工程開始前に、原反表面上に潤滑剤を塗布する工程をさらに有することにより、突起先端に潤滑剤を吸着させることができ、耐久性がさらに向上し好ましい。
本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本実施の形態に係るフレキシブル磁気ディスクは、中心部にセンターホールが形成された構造であり、金属やプラスチック等で形成されたカートリッジ内に格納されている。なお、カートリッジには、通常、金属性のシャッタで覆われたアクセス窓を備えており、このアクセス窓を介して磁気ヘッドが導入されることにより、ディスクへの信号記録や再生が行われる。
フレキシブル磁気ディスクは可とう性高分子フィルムからなるディスク状支持体の少なくとも一方の面に、磁性層となる強磁性金属薄膜を有するものであるが、さらに、表面性を改善する下塗り層、支持体および下塗り層から発生するガスを遮蔽するガスバリア層、磁性層の磁気特性を改善する下地層、磁性層、磁性層を腐食や摩耗から保護する保護層、潤滑層が、この順に積層されて構成されていることが好ましい。
支持体は、磁気ヘッドと磁気ディスクとが接触した時の衝撃を回避するために、可とう性を備えた樹脂フィルム(可とう性高分子支持体)で構成されている。このような樹脂フィルムとしては、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセテートセルロース、フッ素樹脂等からなる樹脂フィルムが挙げられる。価格や表面性の観点からポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートが特に好ましい。
また、支持体として樹脂フィルムを複数枚ラミネートしたものを用いてもよい。ラミネートフィルムを用いることにより、支持体自身に起因する反りやうねりを軽減することができ、ディスクの耐傷性を改善することがきる。
ラミネート手法としては、熱ローラによるロールラミネート、平板熱プレスによるラミネート、接着面に接着剤を塗布してラミネートするドライラミネート、予めシート状に成形された接着シートを用いるラミネート等が挙げられる。接着剤の種類は、特に限定されず、一般的なホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、UV硬化型接着剤、EB硬化型接着剤、粘着シート、嫌気性接着剤などを使用することがきる。
支持体の大きさ、つまりディスクの大きさはフレキシブル磁気ディスクシステムのドライブサイズに応じて任意のサイズが選択できる。
支持体の厚みは、10μm〜200μm、好ましくは20μm〜100μm、さらに好ましくは30μm〜70μmである。支持体の厚みが薄いと、高速回転時の安定性が低下し、面ぶれが増加する。一方、支持体の厚みが厚いと、回転時の剛性が高くなり、接触時の衝撃を回避することが困難になり、磁気ヘッドの跳躍を招く。
下記式で表される支持体の腰の強さ(しなやかさ)は、b=10mmでの値が0.5kgf/mm2〜2.0kgf/mm2(4.9〜19.6MPa)の範囲にあることが好ましく、0.7kgf/mm2〜1.5kgf/mm2(6.86〜14.7MPa)がより好ましい。
支持体の腰の強さ=Ebd3/12
なお、この式において、Eはヤング率、bはフィルム幅、dはフィルム厚さを各々表す。
支持体の表面は、磁気ヘッドによる記録を行うために、可能な限り平滑であることが好ましい。支持体表面の凹凸は、信号の記録再生特性を著しく低下させる。具体的には、後述する下塗り層を使用する場合では、光学式の表面粗さ計で測定した表面粗さが中心線平均粗さRaで5nm以内、好ましくは2nm以内、触針式粗さ計で測定した突起高さが1μm以内、好ましくは0.1μm以内、原子間力顕微鏡(AFM)で測定した10点平均粗さRzで500nm以内、好ましくは200nm以内である。また、下塗り膜を用いない場合では、光学式の表面粗さ計で測定した表面粗さが中心線平均粗さRaで3nm以内、好ましくは1nm以内、AFMで測定した10点平均粗さRzで60nm以内、好ましくは30nm以内である。
支持体表面には、平面性の改善とガスバリア性を目的として下塗り層を設けることが好ましい。磁性層をスパッタリング等で形成するため、下塗り層は耐熱性に優れることが好ましく、下塗り層の材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコン樹脂、フッ素系樹脂、あるいは放射線硬化樹脂等を使用することができる。熱硬化型シリコン樹脂あるいは放射線硬化樹脂は、平滑化効果が高く、特に好ましい。下塗り層の厚みは、0.1μm〜3.0μmが好ましい。支持体に他の樹脂フィルムをラミネートする場合には、ラミネート加工前に下塗り層を形成してもよく、ラミネート加工後に下塗り層を形成してもよい。
熱硬化性シリコン樹脂としては、有機基が導入されたケイ素化合物を原料としてゾルゲル法で重合したシリコン樹脂が好適に用いられる。このシリコン樹脂は、二酸化ケイ素の結合の一部を有機基で置換した構造からなりシリコンゴムよりも大幅に耐熱性に優れると共に、二酸化ケイ素膜よりも柔軟性に優れるため、可とう性フィルムからなる支持体上に樹脂膜を形成しても、クラックや剥離が生じ難い。また、原料となるモノマーを支持体上に直接塗布して硬化させることができるため、汎用溶剤を使用することができ、凹凸に対する回り込みも良く、平滑化効果が高い。更に、縮重合反応は、酸やキレート剤などの触媒の添加により比較的低温から進行するため、短時間で硬化させることができ、汎用の塗布装置を用いて樹脂膜を形成することができる。また熱硬化性シリコン樹脂はガスバリア性に優れており、磁性層形成時に支持体から発生する磁性層または下地層の結晶性、配向性を阻害するガスを遮蔽するガスバリア性が高く、特に好適である。
放射線硬化樹脂としては、例えば、放射線硬化型化合物を放射線の照射により硬化させたものが挙げられる。放射線硬化型化合物としては、例えば、放射線官能性2重結合を有する化合物であるアクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル、メタクリル酸アミド、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類などが挙げられる。この中でもアクリレート化合物、メタクリレート化合物が好ましい。これらの放射線硬化型化合物の具体例としては、脂肪族ジオールにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたもの、例えば、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレートなどがあげられる。また、シクロヘキサンジオールジアクリレート、シクロヘキサンジオールジメタクリレート、シクロヘキサンジメタノールのジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールのジメタクリレート、水素化ビスフェノールAのジアクリレート、水素化ビスフェノールAのジメタクリレート、水素化ビスフェノールFのジアクリレート、水素化ビスフェノールFのジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジメタクリレート、など脂環族ジオールのアクリレート化合物、メタクリレート化合物。ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、などポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルポリオールにアクリル酸或いは、メタクリル酸を付加したポリエーテルアクリレート、ポリエーテルメタクリレートを挙げることができる。また、公知の二塩基酸、グリコールから得られたポリエステルポリオールにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレートも用いることができる。公知のポリオール、ジオールとポリイソシアネートを反応させたポリウレタンにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたポリウレタンアクリレート、ポリウレタンメタクリレートを用いてもよい。ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールFやこれらのアルキレンオキサイド付加物にアクリル酸、メタクリル酸を付加させたものやイソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジメタアクリレートなども用いることができる。3官能の化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ヒドロシキピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリメタクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ヒドロシキピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリメタクリレートなどを用いることができる。更に4官能以上としては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサアクリレートなどの化合物を用いることができる。官能基数が多過ぎるかあるいは官能基濃度が高過ぎると硬化収縮が大きく、支持体との密着力が低下し好ましくない。分子量は2000以下の比較的低分子のものが好ましい。更に好ましくは分子量1000以下である。分子量が低い方が、粘度が低くレベリングが高いので平滑性が向上する。最も好ましいものは分子量200〜600の2官能のアクリレート化合物、メタクリレート化合物である。このような放射線硬化型化合物として、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、水素化ビスフェノールAのジアクリレート、水素化ビスフェノールAのジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジメタクリレート、5−エチル−2−(2−ヒドロキシ−1,1'−ジメチルエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキサンジアクリレートなどを挙げることができる。
これらの放射線硬化型化合物は任意の割合で混合して使用することができる。
支持体の表面あるいは下塗り層の表面には、磁気ヘッドと磁気ディスクとの真実接触面積を低減し、摺動特性を改善することを目的として、微小突起(テクスチャ)を設けることが好ましい。また、微小突起を設けることにより、支持体のハンドリング性も良好になる。微小突起を形成する方法としては、球状シリカ粒子を塗布する方法、エマルジョンを塗布して有機物の突起を形成する方法などが使用できるが、下塗り層の耐熱性を確保するため、球状シリカ粒子を塗布して微小突起を形成するの方法が好ましい。
微小突起の高さは5nm〜25nmが好ましく、7nm〜18mmがより好ましい。微小突起の高さが高すぎると記録再生ヘッドとディスクのスペーシングロスによって信号の記録再生特性が劣化し、微小突起が低すぎると摺動特性の改善効果が少なくなる。微小突起の密度は0.1〜10個/μm2が好ましく、1〜5個/μm2がより好ましい。微小突起の密度が少なすぎる場合は摺動特性の改善効果が少なくなり、多過ぎると凝集粒子の増加によって高い突起が増加して記録再生特性が劣化する。
また、バインダーを用いて前記微小突起を支持体表面、あるいは平滑化下塗膜表面に固定することもできる。バインダーには、十分な耐熱性を備えた樹脂を使用することが好ましく、耐熱性を備えた樹脂としては、溶剤可溶型ポリイミド樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、熱硬化型シリコン樹脂を使用することが特に好ましい。
支持体と後述の下地層の間には、支持体あるいは下塗り層から発生するガス性分を遮蔽することを目的としたガスバリア層を設けることが好ましい。このガスバリア層は下地層の結晶配向性を高めるために用いられるシード層となる材料も使用することができる。また、このガスバリア層として膜硬度の高い材料を使用するとメディアの耐スクラッチ性が改善される。このようなガスバリア層としてはC、ダイヤモンドライクカーボン、Ni−P、Ni−Al、Ti、Ti−W、Ru−Al、Ta−Si、Auやその合金、Agやその合金などを使用することができる。
支持体と磁性層との間、あるいはガスバリア層と磁性層の間には、下地層を設けることが好ましい。下地層としてはCrまたはCrとTi、Si、W、Ta、Zr、Mo、Nb等から選ばれる金属との合金、Ruなどを挙げることができる。これらの物質は単独で用いてもよく、二層以上を組み合わせて用いてもよい。この様な下地層を用いることによって、磁性層の配向性を改善できるため、記録特性が向上する。下地層の厚みは10nm〜200nmが好ましく、20nm〜60nmが特に好ましい。
磁性層は、ディスク面に対して垂直方向に磁化容易軸を有するいわゆる垂直磁気記録膜でもよいし、現在のハードディスクで主流となっている面内磁気記録膜でもかまわない。この磁化容易軸の方向は下地層の材料や結晶構造および磁性膜の組成と成膜条件によって制御することができる。
磁性層は前述の通り、強磁性金属薄膜が使用できるが、好ましくはコバルトを含有する強磁性金属合金であり、特に好ましくはコバルトを含有する強磁性金属合金と非磁性酸化物の混合物からなる磁性層である。この磁性層では強磁性金属合金と非磁性酸化物はマクロ的には混合されているが、ミクロ的には強磁性金属合金微粒子を非磁性酸化物が被覆するような構造となっており、強磁性金属合金粒子の大きさは1nmから50nm程度である。この様な構造となることで、高い保磁力を達成でき、また磁性粒子サイズの分散性が均一となるため、低ノイズ媒体を達成することができる。
コバルトを含有する強磁性金属合金としてはCoとCr、Ni、Fe、Pt、B、Si、Ta等の元素との合金が使用できるが、記録特性を考慮するCo−Pt、Co−Cr、Co−Pt−Cr、Co−Pt−Cr−Ta、Co−Pt−Cr−B等が特に好ましい。
コバルトを含有する強磁性金属合金と非磁性酸化物の混合物を用いる場合の非磁性酸化物としてはSi、Zr、Ta、B、Ti、Al等の酸化物が使用できるが、記録特性を考慮するとSiOxが最も好ましい。またこの酸化物を窒化物で置き換えることも可能である。
コバルトを含有する強磁性金属合金と非磁性酸化物の混合物を用いる場合の混合比は、強磁性金属合金:非磁性酸化物=95:5〜80:20(モル比)の範囲であることが好ましく、90:10〜85:15の範囲であることが特に好ましい。これよりも強磁性金属合金が多くなると、磁性粒子間の分離が不十分となり、保持力が低下してしまう。逆にこれよりも少なくなると、磁化量が減少するため、信号出力が著しく低下してしまう。
磁性層の厚みとしては好ましくは5nm〜60nm、さらに好ましくは10nm〜25nmの範囲である。これよりも厚みが厚くなるとノイズが著しく増加してしまい、逆に厚みが薄くなると、出力が著しく減少してしまう。
強磁性金属合金、あるいは強磁性金属合金と非磁性酸化物の混合物からなる磁性層を形成する方法としては真空蒸着法、スパッタ法などの真空成膜法が使用できる。中でもスパッタ法は良質な超薄膜が容易に成膜可能であることから、本発明に好適である。スパッタ法としては公知のDCスパッタ法、RFスパッタ法のいずれも使用可能である。スパッタ方式は連続フィルム上に連続して成膜するウェブスパッタ装置が好適であるが、ハードディスクの製造に使用されるような枚様式スパッタ装置や通過型スパッタ装置も使用可能である。
スパッタ時のスパッタガスとしては一般的なアルゴンガスが使用できるが、その他の希ガスを使用しても良い。また強磁性金属合金の粒子分離を促進するため、あるいは非磁性酸化物の酸素含有率を調整するために微量の酸素ガスを導入してもかまわない。
スパッタ法で強磁性金属合金と非磁性酸化物の混合物からなる磁性層を形成するためには強磁性金属合金ターゲットと非磁性酸化物ターゲットの2種を用い、これらの共スパッタ法を使用することも可能であるが、磁性粒子サイズの分散性を改善し、均質な膜を作成するため、コバルトを含有する強磁性金属合金と非磁性酸化物の合金ターゲットを用いることが好ましい。この合金ターゲットはホットプレス法で作製することができる。
保護層は、磁性層に含まれる金属材料の腐蝕を防止し、磁気ヘッドと磁気ディスクとの擬似接触または接触摺動による摩耗を防止して、走行耐久性、耐食性を改善するために設けられる。保護層には、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの酸化物、窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化物、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化物、グラファイト、無定型カーボンなどの炭素等の材料を使用することができる。
保護層としては、磁気ヘッド材質と同等またはそれ以上の硬度を有する硬質膜であり、摺動中に焼き付きを生じ難くその効果が安定して持続するものが、摺動耐久性に優れており好ましい。また、同時にピンホールが少ないものが、耐食性に優れておりより好ましい。このような保護膜としては、CVD法、反応性スパッタ法で作製されるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)と呼ばれる硬質炭素膜が挙げられる。
保護層は、性質の異なる2種類以上の薄膜を積層した構成とすることができる。例えば、表面側に摺動特性を改善するための硬質炭素保護膜を設け、磁性層側に耐食性を改善するための窒化珪素などの窒化物保護膜を設けることで、耐食性と耐久性とを高い次元で両立することが可能となる。
本発明においては保護層表面に潤滑剤を付与する。潤滑剤としては、公知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤が使用できる。潤滑剤は保護層表面に化学吸着可能な吸着潤滑剤が好ましく、この様な潤滑剤は化学吸着のための極性官能基を分子鎖中に有しており、この官能基と保護膜表面の活性サイトが結合するように設計する。官能基としては、水酸基、エステル基、カルボキシル基、スルホン基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、シラノール基等があげられる。
さらに具体的には炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、ステアリルアミン等のアミン類などが挙げられる。
また、フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル鎖もしくはパーフルオロポリエーテル鎖で置換した潤滑剤が挙げられる。パーフルオロポリエーテル鎖としては パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)CF2O)n、またはこれらの共重合体等である。具体的には、分子量末端に水酸基を有するパーフルオロメチレン−パーフルオロエチレン共重合体(アウジモント社製、商品名Fomblin Z−DOL)等が挙げられる。
上記の潤滑剤の内、スルホン酸やパーフルオロポリエーテルカルボン酸(α位の炭素にフッ素が結合しているカルボン酸)などの酸性の強い潤滑剤は磁性層の腐食を招くことがあるため、注意が必要である。この場合、アンモニウム塩あるいはアルキルアミン塩として使用することが好ましい。またアルコキシシランやエポキシ化合物などの反応性の高い潤滑剤も摺動によって重合生成物を生じることがあり、注意が必要である。さらに、化学吸着後、潤滑剤(境界潤滑剤)として機能するためには、炭化水素鎖がある程度長く、保護性を高める必要があり、このためには炭素数10〜20程度のアルキル鎖、アルケニル鎖が必要となる。従って、本発明の好ましい潤滑剤としてはステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類およびこのアルキルアミン塩、ステアリン酸ブチル等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類のアルキルアミン塩、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類およびこのアルキルアミン塩等が挙げられ、これらの一部の水素をフッ素で置換した部分フッ化アルキル(アルケニル)化合物、アルキル基をパーフルオロポリエーテル基で置換した化合物も使用可能である。パーフルオロポリテール化合物の場合、十分な潤滑性を得るために、平均分子量が1500〜5000であることが好ましい。
上記潤滑剤を保護層表面に塗布すると一部の潤滑剤は保護層表面に化学吸着する。燐酸エステルやカルボン酸のように極性の強い官能基の場合、容易に吸着して単分子膜に近い緻密な吸着配向膜が得られ易いが、エステル基や水酸基のように極性の弱い官能基の場合、吸着力が弱く、十分な効果が得られない場合がある。この様な場合には塗布後アニールが有効である。官能基の種類にもよるが、100℃〜150℃程度のアニールを施すことで、吸着量を著しく増加させることができる。
さらに非吸着潤滑剤を存在させることが有効である。非吸着潤滑剤は、フレキシブル磁気ディスク表面に化学吸着していない潤滑剤であるが、この潤滑剤は上記吸着潤滑剤であってもよい。例えば、極性の弱い官能基を有する潤滑剤を一種類用いた場合、その一部がフレキシブル磁気ディスク表面に化学吸着し、その他部が化学吸着していない場合は、この潤滑剤が非吸着潤滑剤の役割も兼ねることになる。また、吸着潤滑剤と非吸着潤滑剤の種類が異なる場合は、非吸着潤滑剤は吸着潤滑剤と混合して塗布してもかまわないが、組み合わせによって吸着潤滑剤の吸着を阻害することがあるため、分離して塗布することが好ましく、バーニッシュ処理後に付与することが特に好ましい。
この様な非吸着潤滑剤としては吸着潤滑剤より官能基の極性が低く、流体潤滑性に優れたものが好ましい。官能基は水酸基あるいはエステル基であり、主鎖はポーフルオロポリエーテル鎖あるいは不飽和炭化水素鎖、分岐炭化水素差の中から選択され、常温で液体であるものが好ましい。パーフルオロポリエーテル化合物で官能基を有していない化合物も使用可能であるが、流動性、揮発性が高いため、好ましくない。本発明で使用できる好ましい非吸着潤滑剤は具体的には末端水酸基変性のパーフルオロポリエーテル(Fomblin Z−DOL等)、末端メチルエステル変性のパーフルオロポリエーテル(Fomblin Z−DEAL等)、ブチルステアレート、オクチルステアレート、アミルステアレート、イソオクチルステアレート、ブチルミリステート、オクチルミリステート、ブトキシエチルステアレート、ブトキシジエチルステアレート、2ーエチルヘキシルステアレート、2ーオクチルドデシルパルミテート、2ーヘキシルドデシルパルミテート、イソヘキサデシルステアレート、オレイルオレエート等が挙げられる。
吸着潤滑剤の膜厚は潤滑剤の単分子膜相当の厚みが適切であり、分子量2000のパーフルオロポリエーテルであれば約1nmである。非吸着潤滑剤は吸着潤滑剤とほぼ同じ膜厚であることが好ましい。吸着潤滑剤が少なすぎると、潤滑剤による保護膜の被覆性が低下し、保護膜の摩耗が進行しやすくなる。また非吸着潤滑剤が少なすぎると、流体潤滑性が低下し、摩擦係数が増加する。逆に吸着潤滑剤および非吸着潤滑剤が過剰である場合には、フレキシブル磁気ディスクとヘッドが吸着しやすくなり、スティックスリップ現象を生じやすくなる。従って吸着潤滑剤の膜厚は0.3〜2.0nm、好ましくは0.5〜1.2nmであり、非吸着潤滑剤の膜厚は0.3〜2.0nm、好ましくは0.5〜1.5nmであり、その合計となる潤滑剤の膜厚は1.0〜4.0nm、好ましくは1.5〜3.0nmである。なお、潤滑剤の膜厚はFT−IRやエリプソメータによって測定でき、吸着潤滑剤の厚みはその潤滑剤を溶解できる溶剤にフレキシブル磁気ディスクを浸漬し、超音波洗浄を行った後に残存する潤滑剤の膜厚として評価できる。
潤滑剤を塗布する方法としては、潤滑剤を有機溶剤に溶解した溶液を、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ディップコート法等で保護層表面に塗布するか、真空蒸着法により保護層表面に付着させればよい。
また、磁気ディスクカードリッジの内面にはライナーを貼り付け、このライナーに非吸着潤滑剤を含浸させ、ディスク回転時にこの潤滑剤を随時ディスク表面に転写、供給しても良い。潤滑剤を含浸させるには潤滑剤を溶剤に溶解した溶液中にカードリッジごと浸漬させるか、あらかじめライナーに潤滑剤をスプレーコート法などで塗布しておけばよい。
ライナーはポリエステル繊維などを原料とした一般的なフロッピーディスク用途の不織布が使用できる。本発明では表面性が非常に平滑なフレキシブル磁気ディスクを使用するため、不織布は起毛処理が施されていないものが好ましい。
また本発明ではこれらの潤滑剤の他に、極圧潤滑剤や防錆剤を添加して使用することができる。これらはフレキシブル磁気ディスク上に潤滑剤と混合して塗布しても良く、磁気ディスクカートリッジ内面のライナーに含浸させても良い。極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル等のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチオ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジベンジル等の硫黄系極圧剤などが挙げられる。防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、プリン、ピリミジン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核にアルキル側鎖等を導入した誘導体、ベンゾチアゾール、2−メルカプトンベンゾチアゾール、テトラザインデン環化合物、チオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有複素環類およびこの誘導体等が挙げられる。
上記の様な構成の強磁性金属薄膜を磁性層とするフレキシブル磁気ディスクはそのままの状態では下塗り表面上に塗布した微小突起の凝集物が存在することがあり、実際に塗布した粒子より高い突起が存在することがある。また製造工程で付着したコンタミネーションによって形成された異常突起も存在する。この様な欠陥はMRヘッドやGMRヘッドなどの耐摩耗性が低い高感度ヘッドを使用する場合に、磁気信号のドロップアウトやエラーにつながるだけではなく、これらの磁気ヘッドを破壊してしまうことがある。特に本発明のようにディスクとヘッドが接触摺動するフレキシブル磁気ディスクシステムの場合、この影響が顕著となる。
上記悪影響を防止するために、従来は、打ち抜き後のフレキシブル磁気ディスクにバーニッシュ処理を導入していた。しかし本発明では、フレキシブル磁気ディスクを打ち抜く前に原反の表面をラッピングテープ処理する工程を行う。このラッピングテープ処理は、ラッピング(研磨)テープを、原反または所定のサイズにスリッティングした原反と接触走行させ、原反の表面をクリーニングまたは研磨処理するものである。ラッピングテープ処理は、磁気記録テープの製造工程でよく用いられている方法を準用することができる。なお、ラッピングテープ処理後は、必要に応じて固定ブレードによって原反表面を研削してもよい。
ラッピングテープは研磨剤を樹脂結合剤とともに溶剤中に分散させ、これを可とう性支持体上に研磨層として塗布、乾燥させた後、必要な幅に裁断して使用する。この際、必要に応じて研磨剤と樹脂結合剤の他に、硬化剤、潤滑剤、分散剤等の添加剤を適宜用いることができる。
ラッピングテープとしては、研磨層表面のRaが0.20μm以下、好ましくは0.2〜0.005μm、更に好ましくは、0.18〜0.02μmの範囲である。また、ラッピングテープの砥粒素材、テープの機械的特性、幅、長さ等のサイズ等の仕様は適宜選定され得る。ラッピングテープの選定に関しては、(色材、66(3)、476−486(1993);総説「研磨フィルムによる精密加工」)を参照することができる。
また、本発明において好ましいラッピングテープは、具体的には、粒度が10000番を越える研磨テープを挙げることができる。このような研磨テープとしては、MA20000(20000番相当、0.6μm相当(粒度およびRa。以下同様))、KX20000(20000番相当、0.6μm相当)、CF16000(16000番相当、0.8μm相当)、12K10000(10000番相当、1.1μm相当)、23K10000(10000番相当、1.1μm相当)、37K10000(10000番相当、1.1μm相当)、7MA20000(20000番相当、0.6μm相当)、10MA20000(20000番相当、0.6μm相当)、30MA20000(20000番相当、0.6μm相当)、12MS20000N(20000番相当、0.6μm相当)、23MS20000N(20000番相当、0.6μm相当)、27KM10000(20000番相当、1.1μm相当)、50KM10000(10000番相当、1.1μm相当)、75KM10000(10000番相当、1.1μm相当)、27KX20000(20000番相当、0.6μm相当)、30KX20000(20000番相当、0.6μm相当)(以上、富士写真フイルム(株)製)等が挙げられる。
ラッピングテープに使用される研磨剤種としてはダイヤモンド、アルミナ、酸化クロム、酸化鉄などがあげられる。
具体的なラッピングテープ処理は、例えば次のようにして行う。保護層まで形成した原反を所望によりスリッティングした後、ラッピングテープと接触走行させ、ラッピングテープを原反と相対的に反対方向に送ることで、原反表面のクリーニングおよび研磨処理を行う。磁性層を支持体の両面に形成した場合は両面から同時に処理しても良い。この際の原反の送り速度は1〜300m/分、好ましくは5〜150m/分であり、ラッピングテープの送り速度は0.01〜1m/分、好ましくは0.1〜0.5m/分である。また原反とラッピングテープの接触圧は5〜200gf/cm(4.9〜196N/m)、好ましくは20〜100gf/cm(19.6〜98N/m)である。
ラッピングテープ処理を行った後、潤滑剤を塗布することが好ましい。潤滑剤の種類および塗布条件に関しては前述の通りである。
引き続き、原反を所定のディスクサイズに打ち抜く。ディスクサイズとしてはハードディスクと同様に0.85inch、1.0inch、1.8inch、2.5inch、3.5inch(3.7inch)、5inchなどがあるが、本発明では、好ましくは0.80〜2.5inch、さらに好ましくは0.85〜1.0inchである。
その後、バーニッシュ処理を施すことが好ましい。バーニッシュ処理はディスク形状に打ち抜いた状態で行われ、前記のラッピングテープ処理と同様にラッピングテープを使用することが好ましい。バーニッシュ処理は潤滑剤層を形成した後に実施することが好ましい。ハードディスク型磁気ディスクのバーニッシュ方法としてはバーニッシュヘッド、グライドヘッドを実際に磁気ディスク上を浮上走行させ、バーニッシュ加工を行うことが一般的であるが、この方法でフレキシブル磁気ディスクを加工しようとすると、バーニッシュヘッドの浮上量が安定しないため、ディスク全面を均一な精度で加工することが難しい。したがって、本発明においてはフレキシブル磁気ディスクのバーニッシュ方法としてはラッピングテープをディスク表面に押し当て、加工する方法を用いることが好ましい。この際、ラッピングテープをディスク表面に押し当てるにはラッピングテープをバックアップロールやバックアップパッドに沿わせ、このバックアップロールやバックアップパッドの規制力を利用してディスクとラッピングテープを接触させれば良い。フレキシブル磁気ディスクはラッピングテープの押し付けによって容易に変形するため、その反対面からも、同様にラッピングテープを押し付けて加工すれば良い。また反対面からエアーでディスクをラッピングテープに押し付けることもできるが、エアー流によって逆にコンタミネーションが付着することがあるため、好ましくない。
テープの押し付け圧としては50〜200gf/cm(49〜196N/m)の範囲が好ましい。ラッピングテープの種類にも依存するが、これ以上圧力を高くするとディスクに加工キズが発生しやすく、逆に圧力を低くするとバーニッシュの効果が低くなる。バーニッシュの適切な加工については詳細に後述する。ラッピングテープの送り速度は10mm/分〜100mm/分の範囲が好ましく、これ以上遅くなると、ラッピングテープに付着した加工くずが原因となる加工キズが発生しやすく、逆に速くなるとラッピングテープの消費量が多くなるため、好ましくない。ディスクの回転速度は500rpm〜3000rpmが好ましく、これ以上遅くなると加工キズが発生しやすく、逆に速くなるとディスクの回転が不安定となり、加工の均一性が得られにくい。
ラッピングテープ幅とディスクの加工幅が同じか、ラッピングテープの方が広い場合には、研磨テープとディスクは相対的に移動せず、加工が可能であるが、ラッピングテープ幅の法がディスク加工幅よりも狭い場合にはディスクに対してラッピングテープ位置を移動させて加工幅を確保する。この際、加工位置の最内周から外周にラッピングテープを引き抜く方法が最も好ましい。引き抜き速度は50〜700mm/secが好ましい。引き抜き速度が遅くなると、加工キズが発生しやすく、逆に速いとバーニッシュの効果が得られなくなる。加工方向を外周から内周に向けることも可能であるが、フレキシブル磁気ディスクの場合、回転が不安定になりやすく、好ましくない。
バーニッシュ処理におけるラッピングテープとしては粒度が10000番以上の高精度加工用研磨テープが使用できる。研磨テープに使用される研磨剤種としてはダイヤモンド、アルミナ、酸化クロム、酸化鉄などがあげられる。ラッピングテープはこれらの研磨剤を樹脂結合剤とともに溶剤中に分散させ、これを可とう性支持体上に塗布、乾燥させた後、必要な幅に裁断して使用する。この際、必要に応じて研磨剤と樹脂結合剤の他に、硬化剤、潤滑剤、分散剤等の添加剤を用いることができる。
また、バーニッシュ処理工程以降に再度潤滑剤を塗布することで、バーニッシュ処理の影響をより小さくする事も可能である。また本発明ではラッピングテープ処理をウェブ状態の原反に対して行うことができるため、バーニッシュ処理を2回に分けて実施する場合と比較して生産性に優れている。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。
(実施例1)
厚み52μm、表面粗さRa=1.4nmのポリエチレンナフタレートフィルム上に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、塩酸、アルミニウムアセチルアセトネート、エタノールからなる下塗り液をグラビアコート法で塗布した後、100℃で乾燥と硬化を行い、厚み1.0μmのシリコン樹脂からなる下塗り層を作成した。この下塗り層上に粒子径18nmのシリカゾルをシクロヘキサノンに分散した溶液をグラビアコート法で塗布して、3個/μm2の密度で表面突起を形成した。この下塗り層は支持体フィルムの両面に形成した。次にウェブスパッタ装置にこの原反を設置し、15℃に水冷したキャン上にフィルムを密着させながら搬送し、下塗り層上に、DCマグネトロンスパッタ法でCからなるガスバリア層を20nmの厚みで形成した後、Ruからなる下地層を30nmの厚みで、(Co70−Pt20−Cr1088−(SiO212からなる磁性層を17nmの厚みで、Cからなる保護層を5nmの厚みで形成した。この下地層、磁性層、保護層はフィルムの両面に成膜した。次にこの原反を30mm幅にスリットし、このスリット原反に対して、30000番アルミナ研磨テープを用いて両面全体を同時にラッピングテープ処理した。この際の原反送り速度は10m/分、研磨テープ送り速度は100mm/分(原反送り方向と逆方向)、接触圧は50gf/cm(49N/m)とした。その後、保護層表面に分子末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤(アウジモント社製Fomblin Z−DOL 分子量2000)をフッ素系潤滑剤(住友スリーエム社製HFE−7100DL)に溶解した溶液をワイヤーバー法で塗布し、厚み2nmの潤滑層を両面に形成した。この原反から1.0inchサイズのディスクを打ち抜き、これを1/2inch幅の30000番アルミナ研磨テープを用いて両面同時にバーニッシュ処理した。ディスクの回転数は1500rpm、研磨テープの押しつけ圧は100gf/cm(98N/m)、加工時間は3秒とした。
(比較例1)
実施例1において、ラッピングテープ処理を省略した以外は実施例1と同様にフレキシブル磁気ディスクを作製した。
(実施例2)
実施例1において、ラッピングテープ処理前に、保護層上に潤滑層を形成する工程を行い、ラッピングテープ処理後には該潤滑層形成工程を行わなかったこと以外は実施例1と同様にフレキシブル磁気ディスクを作製した。
(実施例3)
実施例2において、バーニッシュ処理を省略した以外は実施例2と同様にフレキシブル磁気ディスクを作製した。
(評価)
作製したフレキシブル磁気ディスクを評価用のスピンスタンドに搭載し、フレキシブル磁気ディスクを3600rpmで回転させ、磁気ヘッド(GMRヘッド搭載の負圧ピコスライダー)をディスクの両面からロードし、半径位置10mmの位置で固定した。この際のヘッド加重は3.0gf(2.9mN)とした。この状態で磁気ヘッドにかかる摩擦力、磁気信号の100kFCI再生出力を測定しながら、メディアスクラッチが生じるまでの時間を評価した。なお評価環境は23℃50%RHとし、評価は最大100Hrとした。
その結果、実施例1〜3、比較例1ともに100Hrの範囲でメディアスクラッチは発生しなかった。しかし、比較例1のサンプルでは走行開始後4時間で磁気ヘッドが破壊され、再生出力がシステムノイズまで低下した。摩擦力は100Hr後で0.9gf(8.8mN)であった。一方、本発明の実施例1では100時間の範囲で出力の低下は3dB、実施例2では6dB、実施例3では8dBであった。また、摩擦力は100Hr後で、実施例1では0.5gf(4.9mN)、実施例2では0.7gf(6.9mN)、実施例3では0.7gf(6.9mN)であった。従って本発明によってヘッドディスクインターフェースの摺動状態が改善されたのは明らかである。

Claims (3)

  1. (1)非磁性支持体の少なくとも一方の面に、真空成膜法により磁性層および保護層を形成する工程と、
    (2)前記(1)工程により得られた原反の表面をラッピングテープ処理する工程と、
    (3)前記(2)工程後、前記原反を所定のディスクサイズに打ち抜く工程とを有することを特徴とするフレキシブル磁気ディスクの製造方法。
  2. 前記(3)工程後、さらに(4)バーニッシュ処理する工程を有することを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル磁気ディスクの製造方法。
  3. 前記(2)工程終了後かつ前記(3)工程開始前に、前記原反表面上に潤滑剤を塗布する工程をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載のフレキシブル磁気ディスクの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010170640A (ja) * 2009-01-26 2010-08-05 Showa Denko Kk ワイピングテープおよびワイピング方法
JP2011090740A (ja) * 2009-10-22 2011-05-06 Showa Denko Kk ワイピングテープの製造方法、ワイピングテープ及びワイピング方法

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