JP2005310262A - フレキシブル磁気ディスクシステム - Google Patents

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一幸 臼杵
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Abstract

【課題】 強磁性金属薄膜を磁性層として有するフレキシブル磁気ディスク媒体を用いたフレキシブル磁気ディスクシステムにおいて、磁性層/磁気ヘッド間のスペーシング量を低減し、高性能で高信頼性を有し、かつ安価なフレキシブル磁気ディスクシステムを提供すること。
【解決手段】 可とう性高分子支持体上に強磁性金属薄膜からなる磁性層を形成したフレキシブル磁気ディスク媒体と、スライダに搭載された磁気ヘッドとを用いたフレキシブル磁気ディスクシステムにおいて、磁気ディスク媒体の表面粗さ中心線からの突起高さが15〜30nmであり、かつ前記磁気ディスクシステムで使用される磁気ヘッド−磁気ディスク媒体間の磁気ヘッドの設計浮上量が、前記突起高さよりも小さいことを特徴とするフレキシブル磁気ディスクシステム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、デジタル情報の記録に使用するフレキシブル磁気ディスクシステムに関する。
近年、インターネットの普及により、パーソナル・コンピュータを用いて大容量の動画情報や音声情報の処理を行う等、コンピュータの利用形態が変化してきている。これに伴い、ハードディスク等の磁気記録媒体に要求される記憶容量も増大している。
ハードディスク装置においては、磁気ディスクの回転に伴い、磁気ヘッドが磁気ディスクの表面からわずかに浮上し、非接触で磁気記録を行っている。このため、磁気ヘッドと磁気ディスクとの接触によって磁気ディスクが破損するのを防止している。高密度化に伴って磁気ヘッドの浮上高さは次第に低減されており、鏡面研磨された超平滑なハード基板あるいはそれに極微細なテクスチャ加工を施したハード基板上に磁気記録層等を形成した磁気ディスクを用いることにより、現在では10nm〜15nmの浮上高さが実現されている。この様なヘッドの低浮上量化、ヘッド構造の改良、ディスク記録膜の改良等の技術革新によってハードディスクドライブの面記録密度と記録容量はここ数年で飛躍的に増大してきた。
取り扱うことができるデジタルデータ量が増大することによって、動画データの様な大容量のデータを可換型媒体に記録して、移動させるというニーズが生まれてきた。しかしながら、ハードディスクは基板が硬質であって、しかも上述のようにヘッドとディスクの間隔が極わずかであるため、フレキシブル磁気ディスクや書き換え型光ディスクの様に可換媒体として使用しようとすると、動作中の衝撃や塵埃の巻き込みによって故障を発生する懸念が高く、使用できない。
一方、フレキシブル磁気ディスクは基板がフレキシブルであるため可換性に優れているが、現在市販されているフレキシブル磁気ディスクは記録膜が磁性体を高分子バインダーとともに高分子フィルム上に塗布した構造であるため、スパッタ法で磁性膜を形成しているハードディスクと比較すると、磁性層の高密度記録特性に劣る。しかも、3.5inchφサイズ当たり数百MB程度の記憶容量を有する高密度フレキシブル磁気ディスクシステムではヘッドの浮上量が媒体の表面粗さ以上に設計されるため、磁性層/磁気ヘッド間のスペーシング量をハードディスクドライブの様に狭めることができない。この結果、市販されているフレキシブル磁気ディスクドライブではハードディスクの1/10以下の記録密度しか達成できていない。
DVD−R/RWに代表される追記型および書き換え型光ディスクは磁気ディスクのようにヘッドとディスクが近接していないため、可換性に優れており、広く普及している。 しかしながら光ディスクは、光ピックアップの厚みとコストの問題から、高容量化に有利な磁気ディスクのように両面を記録面としたディスク構造を用いることが困難であるといった問題がある。さらに、磁気ディスクと比較すると面記録密度が低く、データ転送速度も低いため、書き換え型の大容量記録媒体としての使用を考えると、未だ十分な性能とはいえない。また光ピックアップの構造が複雑であるため、ドライブの小型化が難しいという課題もある。
デジタルカメラやデジタルビデオレコーダー用の記録媒体としては現在半導体メモリーを内蔵したスマートメディア等が主流となっているが、このような半導体メモリー媒体は記憶容量に対するコストが他の上記の磁気および光ディスク媒体と比較して非常に高く、高容量化と低価格化を同時に満たすことは難しい。
特許文献1は、高分子フィルム上に強磁性金属薄膜を設けたフレキシブル磁気ディスクであって、その表面に直径30nm〜200nmかつ高さが10nm〜70nmの微小突起を1平方μmあたり1〜100個の密度で有するフレキシブル磁気ディスクを開示し、2000rpm以上の回転数で回転させながら、MRヘッドにて、記録再生を行う方式を開示し、トラック幅2.2μm、線記録密度100kFCIの信号の記録再生を行っている。
しかしながら、近年の高密度化の要求は、高く、更に狭トラック化、高線記録密度化が望まれている。
ところが、大容量の書き換え可能なフレキシブル磁気ディスク媒体は、その要求が高いものの、性能、信頼性、コストを満足するものが存在しない。
特開2001−101648号公報
上記の通り、大容量の書き換え可能なフレキシブル磁気ディスク媒体は、その要求が高いものの、性能、信頼性、コストを満足するものが存在しない。そこで、本発明は上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、強磁性金属薄膜を磁性層として有するフレキシブル磁気ディスク媒体を用いたフレキシブル磁気ディスクシステムにおいて、磁性層/磁気ヘッド間のスペーシング量を低減し、高性能で高信頼性を有し、かつ安価なフレキシブル磁気ディスクシステムを提供することにある。
前記課題は、下記の構成により解決される。
可とう性高分子支持体の少なくとも一方の面に、少なくとも強磁性金属薄膜からなる磁性層を形成したフレキシブル磁気ディスク媒体と、スライダに搭載された磁気ヘッドとを用いたフレキシブル磁気ディスクシステムにおいて、前記フレキシブル磁気ディスク媒体の表面粗さ中心線からの突起高さが15〜30nmであり、かつ前記フレキシブル磁気ディスクシステムで使用される磁気ヘッド−磁気ディスク媒体間の磁気ヘッドの設計浮上量が、前記突起高さよりも小さいことを特徴とするフレキシブル磁気ディスクシステム。
本発明のフレキシブル磁気ディスクシステムにおいては、フレキシブル磁気ディスク媒体の支持体として可とう性高分子支持体を用いるので、磁気ヘッドと磁気ディスク媒体との接触時の衝撃が軽減され、さらに非常に低く制御された表面突起による真実接触面性の低減によって磁気ヘッドとフレキシブル磁気ディスク媒体とが安定に接触摺動するので、安定したヘッド走行、つまり接触記録が可能となり、またMRヘッドやGMRヘッドといった磨耗に弱い高感度磁気ヘッドを用いた記録システムにおいても、ヘッドを破壊することなく、長期間の動作が可能となる。また適切な浮上設計量の磁気ヘッドと組み合わせることによって、磁性層/磁気ヘッド間のスペーシング量を低減し、高い記録特性を達成することができる。
本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本実施の形態に係るフレキシブル磁気ディスク媒体は、中心部にセンターホールが形成された構造であり、金属やプラスチック等で形成されたカートリッジ内に格納されている。なお、カートリッジには、通常、金属性のシャッタで覆われたアクセス窓を備えており、このアクセス窓を介して磁気ヘッドが導入されることにより、磁気ディスク媒体への信号記録や再生が行われる。
フレキシブル磁気ディスク媒体は可とう性高分子フィルムからなるディスク状支持体の両面の各々に、少なくとも、強磁性金属薄膜を有するものであるが、さらに、表面性とガスバリア性を改善する下塗り層、磁性層の磁気特性を改善する下地層、磁性層、磁性層を腐食や摩耗から保護する保護層、及び潤滑剤の付与により走行耐久性および耐食性を改善する潤滑層が、この順に積層されて構成されていることが好ましい。
支持体は、磁気ヘッドと磁気ディスク媒体とが接触した時の衝撃を回避するために、可とう性を備えた樹脂フィルム(可とう性高分子支持体)で構成されている。このような樹脂フィルムとしては、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセテートセルロース、フッ素樹脂等からなる樹脂フィルムが挙げられる。価格や表面性の観点からポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートが特に好ましい。
また、支持体として樹脂フィルムを複数枚ラミネートしたものを用いてもよい。ラミネートフィルムを用いることにより、支持体自身に起因する反りやうねりを軽減することができ、磁性層の耐傷性を著しく改善することがきる。
ラミネート手法としては、熱ローラによるロールラミネート、平板熱プレスによるラミネート、接着面に接着剤を塗布してラミネートするドライラミネート、予めシート状に成形された接着シートを用いるラミネート等が挙げられる。接着剤の種類は、特に限定されず、一般的なホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、UV硬化型接着剤、EB硬化型接着剤、粘着シート、嫌気性接着剤などを使用することがきる。
支持体の大きさ、つまりディスクの大きさは直径20mm〜150mmであって、フレキシブル磁気ディスクシステムのドライブサイズに応じて任意のサイズが選択できる。
支持体の厚みは、10μm〜200μm、好ましくは20μm〜100μm、さらに好ましくは30μm〜70μmである。支持体の厚みが薄いと、高速回転時の安定性が低下し、面ぶれが増加する。一方、支持体の厚みが厚いと、回転時の剛性が高くなり、接触時の衝撃を回避することが困難になり、磁気ヘッドの跳躍を招く。
支持体の表面は、磁気ヘッドによる記録を行うために、可能な限り平滑であることが好ましい。支持体表面の凹凸は、信号の記録再生特性を著しく低下させる。具体的には、後述する下塗り層を使用する場合では、光学式の表面粗さ計で測定した表面粗さが平均中心線粗さRaで5nm以内、好ましくは2nm以内、触針式粗さ計で測定した突起高さが1μm以内、好ましくは0.1μm以内、原子間力顕微鏡(AFM)で測定した10点平均粗さRzで500nm以内、好ましくは200nm以内である。また、下塗り膜を用いない場合では、光学式の表面粗さ計で測定した表面粗さが平均中心線粗さRaで3nm以内、好ましくは1nm以内、AFMで測定した10点平均粗さRzで60nm以内、好ましくは30nm以内である。
支持体表面には、平面性の改善とガスバリア性を目的として下塗り層を設けることが好ましい。磁性層をスパッタリング等で形成するため、下塗り層は耐熱性に優れることが好ましく、下塗り層の材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコン樹脂、フッ素系樹脂、あるいは放射線硬化樹脂等を使用することができる。熱硬化型シリコン樹脂あるいは放射線硬化樹脂は、平滑化効果が高く、特に好ましい。下塗り層の厚みは、0.1μm〜3.0μmが好ましい。支持体に他の樹脂フィルムをラミネートする場合には、ラミネート加工前に下塗り層を形成してもよく、ラミネート加工後に下塗り層を形成してもよい。
放射線硬化樹脂からなる下塗り層としては、例えば、放射線硬化型化合物を含有する塗布液を支持体上に塗布、放射線を照射することにより形成することができる。放射線硬化型化合物としては、例えば、放射線官能性2重結合を有する化合物であるアクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル、メタクリル酸アミド、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類などが挙げられる。この中でもアクリレート化合物、メタクリレート化合物が好ましい。
これらの放射線硬化型化合物の具体例としては、脂肪族ジオールにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたもの、例えば、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレートなどがあげられる。また、シクロヘキサンジオールジアクリレート、シクロヘキサンジオールジメタクリレート、シクロヘキサンジメタノールのジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールのジメタクリレート、水素化ビスフェノールAのジアクリレート、水素化ビスフェノールAのジメタクリレート、水素化ビスフェノールFのジアクリレート、水素化ビスフェノールFのジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジメタクリレート、など脂環族ジオールのアクリレート化合物、メタクリレート化合物。ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、などポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルポリオールにアクリル酸或いは、メタクリル酸を付加したポリエーテルアクリレート、ポリエーテルメタクリレートを挙げることができる。
また、公知の二塩基酸、グリコールから得られたポリエステルポリオールにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレートも用いることができる。公知のポリオール、ジオールとポリイソシアネートを反応させたポリウレタンにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたポリウレタンアクリレート、ポリウレタンメタクリレートを用いてもよい。
ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールFやこれらのアルキレンオキサイド付加物にアクリル酸、メタクリル酸を付加させたものやイソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジメタアクリレートなども用いることができる。
3官能の化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ヒドロシキピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリメタクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ヒドロシキピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリメタクリレートなどを用いることができる。
更に4官能以上としては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサアクリレートなどの化合物を用いることができる。
官能基数が多過ぎるかあるいは官能基濃度が高過ぎると硬化収縮が大きく、支持体との密着力が低下し好ましくない。分子量は2000以下の比較的低分子のものが好ましい。 更に好ましくは分子量1000以下である。分子量が低い方が、粘度が低くレベリングが高いので平滑性が向上する。
最も好ましいものは分子量200〜600の2官能のアクリレート化合物、メタクリレート化合物である。このような放射線硬化型化合物として、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、水素化ビスフェノールAのジアクリレート、水素化ビスフェノールAのジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジメタクリレート、5−エチル−2−(2−ヒドロキシ−1,1'−ジメチルエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキサンジアクリレートなどを挙げることができる。
これらの放射線硬化型化合物は任意の割合で混合して使用することができる。
熱硬化性シリコン樹脂としては、有機基が導入されたケイ素化合物を原料としてゾルゲル法で重合したシリコン樹脂が好適に用いられる。このシリコン樹脂は、二酸化ケイ素の結合の一部を有機基で置換した構造からなりシリコンゴムよりも大幅に耐熱性に優れると共に、二酸化ケイ素膜よりも柔軟性に優れるため、可とう性フィルムからなる支持体上に樹脂膜を形成しても、クラックや剥離が生じ難い。また、原料となるモノマーを支持体上に直接塗布して硬化させることができるため、汎用溶剤を使用することができ、凹凸に対する回り込みも良く、平滑化効果が高い。更に、縮重合反応は、酸やキレート剤などの触媒の添加により比較的低温から進行するため、短時間で硬化させることができ、汎用の塗布装置を用いて樹脂膜を形成することができる。また熱硬化性シリコン樹脂はガスバリア性に優れており、磁性層形成時に支持体から発生する磁性層または下地層の結晶性、配向性を阻害するガスを遮蔽するガスバリア性が高く、特に好適である。
支持体の表面あるいは下塗り層の表面には、磁気ヘッドと磁気ディスクとの真実接触面積を低減し、摺動特性を改善することを目的として、微小突起(テクスチャ)を設けることが好ましい。また、微小突起を設けることにより、支持体のハンドリング性も良好になる。微小突起を形成する方法としては、球状シリカ粒子を塗布する方法、エマルジョンを塗布して有機物の突起を形成する方法などが使用できるが、下塗り層の耐熱性を確保するため、球状シリカ粒子を塗布して微小突起を形成する方法が好ましい。
微小突起の高さ(下記で説明する本発明における高さ基準面からの高さと同義)は5nm〜25nmが好ましく、7nm〜18mmがより好ましい。微小突起の高さが高すぎると記録再生ヘッドと媒体のスペーシングロスによって信号の記録再生特性が劣化し、微小突起が低すぎると摺動特性の改善効果が少なくなる。微小突起の密度は0.1〜10個/μm2が好ましく、1〜5個/μm2がより好ましい。微小突起の密度が少なすぎる場合は摺動特性の改善効果が少なくなり、多過ぎると凝集粒子の増加によって高い突起が増加して記録再生特性が劣化する。
また、バインダーを用いて前記微小突起を支持体表面、あるいは平滑化下塗膜表面に固定することもできる。バインダーには、十分な耐熱性を備えた樹脂を使用することが好ましく、耐熱性を備えた樹脂としては、溶剤可溶型ポリイミド樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、熱硬化型シリコン樹脂を使用することが特に好ましい。
支持体と後述の下地層の間には、支持体あるいは下塗り層から発生するガス性分を遮蔽することを目的としたガスバリア層を設けることが好ましい。このガスバリア層は下地層の結晶配向性を高めるために用いられるシード層となる材料も使用することができる。このようなガスバリア層としてはC、ダイヤモンドライクカーボン、Ni−P、Ni−Al、Ti、Auやその合金、Agやその合金などを使用することができる。
支持体と磁性層との間、あるいはガスバリア層と磁性層の間には、下地層を設けることが好ましい。下地層としてはCrまたはCrとTi、Si、W、Ta、Zr、Mo、Nb等から選ばれる金属との合金、Ruなどを挙げることができる。これらの物質は単独で用いてもよく、二層以上を組み合わせて用いてもよい。この様な下地層を用いることによって、磁性層の配向性を改善できるため、記録特性が向上する。下地層の厚みは10nm〜200nmが好ましく、20nm〜60nmが特に好ましい。
磁性層は、ディスク面に対して垂直方向に磁化容易軸を有するいわゆる垂直磁気記録膜でもよいし、現在のハードディスクで主流となっている面内磁気記録膜でもかまわない。この磁化容易軸の方向は下地層の材料や結晶構造および磁性膜の組成と成膜条件によって制御することができる。
磁性層は前述の通り、強磁性金属薄膜が使用できるが、好ましくはコバルトを含有する強磁性金属合金であり、特に好ましくはコバルトを含有する強磁性金属合金と非磁性酸化物の混合物からなる磁性層である。この磁性層では強磁性金属合金と非磁性酸化物はマクロ的には混合されているが、ミクロ的には強磁性金属合金微粒子を非磁性酸化物が被覆するような構造となっており、強磁性金属合金粒子の大きさは1nm〜50nm程度である。この様な構造となることで、高い保磁力を達成でき、また磁性粒子サイズの分散性が均一となるため、低ノイズ媒体を達成することができる。
コバルトを含有する強磁性金属合金としてはCoとCr、Ni、Fe、Pt、B、Si、Ta等の元素との合金が使用できるが、記録特性を考慮するCo−Pt、Co−Cr、Co−Pt−Cr、Co−Pt−Cr−Ta、Co−Pt−Cr−B等が特に好ましい。
コバルトを含有する強磁性金属合金と非磁性酸化物の混合物を用いる場合の非磁性酸化物としてはSi、Zr、Ta、B、Ti、Al等の酸化物が使用できるが、記録特性を考慮するとSiOxが最も好ましい。またこの酸化物を窒化物で置き換えることも可能である。
コバルトを含有する強磁性金属合金と非磁性酸化物の混合物を用いる場合の混合比は、強磁性金属合金:非磁性酸化物=95:5〜80:20(モル比)の範囲であることが好ましく、90:10〜85:15の範囲であることが特に好ましい。これよりも強磁性金属合金が多くなると、磁性粒子間の分離が不十分となり、保持力が低下してしまう。逆にこれよりも少なくなると、磁化量が減少するため、信号出力が著しく低下してしまう。
磁性層の厚みとしては好ましくは5nm〜60nm、さらに好ましくは10nm〜25nmの範囲である。これよりも厚みが厚くなるとノイズが著しく増加してしまい、逆に厚みが薄くなると、出力が著しく減少してしまう。
強磁性金属合金、あるいは強磁性金属合金と非磁性酸化物の混合物からなる磁性層を形成する方法としては真空蒸着法、スパッタ法などの真空成膜法が使用できる。中でもスパッタ法は良質な超薄膜が容易に成膜可能であることから、本発明に好適である。スパッタ法としては公知のDCスパッタ法、RFスパッタ法のいずれも使用可能である。スパッタ方式は連続フィルム上に連続して成膜するウェブスパッタ装置が好適であるが、ハードディスクの製造に使用されるような枚様式スパッタ装置や通過型スパッタ装置も使用可能である。
スパッタ時のスパッタガスとしては一般的なアルゴンガスが使用できるが、その他の希ガスを使用しても良い。また強磁性金属合金の粒子分離を促進するため、あるいは非磁性酸化物の酸素含有率を調整するために微量の酸素ガスを導入してもかまわない。
スパッタ法で強磁性金属合金と非磁性酸化物の混合物からなる磁性層を形成するためには強磁性金属合金ターゲットと非磁性酸化物ターゲットの2種を用い、これらの共スパッタ法を使用することも可能であるが、磁性粒子サイズの分散性を改善し、均質な膜を作成するため、コバルトを含有する強磁性金属合金と非磁性酸化物の合金ターゲットを用いることが好ましい。この合金ターゲットはホットプレス法で作製することができる。
保護層は、磁性層に含まれる金属材料の腐蝕を防止し、磁気ヘッドと磁気ディスクとの擬似接触または接触摺動による摩耗を防止して、走行耐久性、耐食性を改善するために設けられる。保護層には、シリカ、アルミナ、テタニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの酸化物、窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化物、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化物、グラファイト、無定型カーボンなどの炭素等の材料を使用することができる。
保護層としては、磁気ヘッド材質と同等またはそれ以上の硬度を有する硬質膜であり、摺動中に焼き付きを生じ難くその効果が安定して持続するものが、摺動耐久性に優れており好ましい。また、同時にピンホールが少ないものが、耐食性に優れておりより好ましい。このような保護膜としては、CVD法、反応性スパッタ法で作製されるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)と呼ばれる硬質炭素膜が挙げられる。
保護層は、性質の異なる2種類以上の薄膜を積層した構成とすることができる。例えば、表面側に摺動特性を改善するための硬質炭素保護膜を設け、磁気記録層側に耐食性を改善するための窒化珪素などの窒化物保護膜を設けることで、耐食性と耐久性とを高い次元で両立することが可能となる。
保護層上には、走行耐久性および耐食性を改善するために、潤滑層が設けられる。潤滑層には、公知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤等の潤滑剤が使用される。
炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、ステアリルアミン等のアミン類などが挙げられる。
フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑剤が挙げられる。パーフルオロポリエーテル基としては パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)CF2O)n、またはこれらの共重合体等である。具体的には、分子量末端に水酸基を有するパーフルオロメチレン−パーフルオロエチレン共重合体(アウジモント社製、商品名FOMBLIN Z−DOL)等が挙げられる。
極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル等のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチオ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジベンジル等の硫黄系極圧剤などが挙げられる。
上記の潤滑剤は単独もしくは複数を併用して使用することができ、潤滑剤を有機溶剤に溶解した溶液を、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ディップコート法等で保護層表面に塗布するか、真空蒸着法により保護層表面に付着させればよい。潤滑剤の厚みとしては、0.1〜3nmが好ましく、0.5〜2nmが特に好ましい。
また、耐食性をさらに高めるために、防錆剤を併用することが好ましい。防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、プリン、ピリミジン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核にアルキル側鎖等を導入した誘導体、ベンゾチアゾール、2−メルカプトンベンゾチアゾール、テトラザインデン環化合物、チオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有複素環類およびこの誘導体等が挙げられる。これら防錆剤は、潤滑剤に混合して保護層上に塗布してもよく、潤滑剤を塗布する前に保護層上に塗布し、その上に潤滑剤を塗布してもよい。防錆剤量としては、前記潤滑剤への混合比として0.01〜100質量%が好ましく、0.1〜50質量%が特に好ましい。
上記の様な構成の強磁性金属薄膜を磁性層とするフレキシブル磁気ディスク媒体はそのままの状態では下塗り表面上に塗布した微小突起の凝集物が存在することがあり、実際に塗布した粒子より高い突起が存在することがある。また製造工程で付着したコンタミネーションによって形成された異常突起も存在する。この様な欠陥はMRヘッドやGMRヘッドなどの耐摩耗性が低い高感度ヘッドを使用する場合に、磁気信号のドロップアウトやエラーにつながるだけではなく、これらの磁気ヘッドを破壊してしまうことがある。特に本発明のようにディスクとヘッドが接触摺動するフレキシブル磁気システムの場合、この影響が顕著となる。
本発明における特定の突起高さを実現するためには、研磨テープによるバーニッシュ加工を用いることが好ましい。ハードディスク型磁気ディスクのバーニッシュ方法としてはバーニッシュヘッド、グライドヘッドを実際に磁気ディスク上を浮上走行させ、バーニッシュ加工を行うことが一般的であるが、この方法でフレキシブル磁気ディスクを加工しようとすると、バーニッシュヘッドの浮上量が安定しないため、ディスク全面を均一な精度で加工することが難しかった。
したがって、本発明においてはフレキシブル磁気ディスクのバーニッシュ方法としては研磨テープをディスク表面に押し当て、加工する方法を用いることが好ましい。この際、研磨テープをディスク表面に押し当てるには研磨テープをバックアップロールやバックアップパッドに沿わせ、このバックアップローラーやバックアップパッドの規制力を利用してディスクと研磨テープを接触させれば良い。フレキシブル磁気ディスクは研磨テープの押し付けによって容易に変形するため、その反対面からも、同様に研磨テープを押し付けて加工すれば良い。また反対面からエアーでディスクを研磨テープに押し付けることもできるが、エアー流によって逆にコンタミネーションが付着することがあるため、好ましくない。
テープの押し付け圧としては50〜200gf/cm(49〜196N/m)の範囲が好ましい。研磨テープの種類にも依存するが、これ以上圧力を高くするとディスクに加工キズが発生しやすく、逆に圧力を低くするとバーニッシュの効果が低くなる。バーニッシュの適切な加工については詳細に後述する。
研磨テープの送り速度は10mm/min〜100mm/minの範囲が好ましく、これ以上遅くなると、研磨テープに付着した加工くずが原因となる加工キズが発生しやすく、逆に速くなると研磨テープの消費量が多くなるため、好ましくない。
ディスクの回転速度は500rpm〜3000rpmが好ましく、これ以上遅くなると加工キズが発生しやすく、逆に速くなるとディスクの回転が不安定となり、加工の均一性が得られなくなる。
研磨テープ幅とディスクの加工幅が同じか、研磨テープの方が広い場合には、研磨テープとディスクは相対的に移動せず、加工が可能であるが、研磨テープ幅の法がディスク加工幅よりも狭い場合にはディスクに対して研磨テープ位置を移動させて加工幅を確保する。この際、加工位置の最内周から外周に研磨テープを引き抜く方法が最も好ましい。引き抜き速度は50〜700mm/secが好ましい。引き抜き速度が遅くなると、加工キズが発生しやすく、逆に速いとバーニッシュの効果が得られなくなる。加工方向を外周から内周に向けることも可能であるが、フレキシブル磁気ディスクの場合、回転が不安定になりやすく、好ましくない。
研磨テープとしては粒度が10000番以上の高精度加工用研磨テープが使用できる。 研磨テープに使用される研磨剤種としてはダイヤモンド、アルミナ、酸化クロム、酸化鉄などがあげられる。研磨テープはこれらの研磨剤を樹脂結合剤とともに溶剤中に分散させ、これを可とう性支持体上に塗布、乾燥させた後、必要な幅に裁断して使用する。この際、必要に応じて研磨剤と樹脂結合剤の他に、硬化剤、潤滑剤、分散剤等の添加剤を用いることができる。
本発明では上述のフレキシブル磁気ディスクシステムにおいて、フレキシブル磁気ディスク媒体の表面粗さ中心線(高さ基準面)からの突起高さは15〜30nm、好ましくは18〜25nmである。なお本発明において、前記ディスク媒体の表面に設けられる突起は、そのすべてが15〜30nmである必要はない。例えば、突起高さが15〜30nmの突起が、すべての突起に対し、約1%以上存在するのが好ましい。
表面粗さ中心線(高さ基準面)は、平面と粗さ曲面で囲まれた体積が平面に対し上下で等しくかつ最小になる平面とした。
さらにフレキシブル磁気ディスク媒体の10点平均粗さRzが15〜40nmであって、高さ基準面からの高さが10nmに存在する突起数が0.1〜10個/μm2であることが特に好ましい。この様な表面性の設計を行うにはAFMを用いる。また、突起数は、市販されている測定機器、例えばDIGITAL INSTRUMENT社製のNANOSCOPE IIIによって測定することができる。この様な表面性に設計することでMRヘッドやGMRヘッドを用いた高密度可換型ディスクシステムに使用可能な磁気ディスクとすることができる。
本発明のフレキシブル磁気ディスクシステムは使用される磁気ヘッド−磁気ディスク間の磁気ヘッドの浮上設計量が磁気ディスク媒体の粗さ中心線からの突起高さよりも小さいことを特徴とするが、これはつまり、磁気ヘッドの浮上量がフレキシブル磁気ディスク媒体表面の突起によって規制され、接触摺動を行うことを意味する。
一般的にテスクチャを有するハードディスクや塗布型のフレキシブル磁気ディスク媒体の表面粗さ曲線は図1(A)のようになる。従って接触摺動を前提に考えた場合においても磁性層/磁気ヘッド間のスペーシング量は粗さの要因によってわずかに変動する。これはメディアノイズの増大を招き、さらに接触に関与する面積も大きくなるので、摩擦力が大きくなる。一方、本発明のフレキシブル磁気ディスク媒体は前記のような表面設計を行うことによって、例えば図1(B)の様な表面粗さ曲線を実現する。この様な表面設計においては、磁性層/磁気ヘッド間のスペーシング量は突起部分を除くと一定に保つことができる。突起部面積とそれが占める割合は非常に小さいので、この突起によるノイズ増加は小さい。さらに接触に関与する面積も小さいため、接触摺動時の摩擦力も小さくすることができる。
フレキシブル磁気ディスク媒体表面に形成する突起は粗さによるスペーシング量を規定すると同時に、ヘッドとディスクが接触する際の摩擦力を低減させ、安定な摺動を可能とさせる機能を有する。本発明のフレキシブル磁気ディスクシステムは磁気ヘッドとフレキシブル磁気ディスク媒体が接触摺動するため、適度な表面粗さを付与しないと、ヘッドとディスク間の摩擦力が異常に高くなり、メディア削れ、ヘッド破壊、エラーレートの悪化、スピンドルのトルク上昇による装置停止につながる危険がある。しかし、ヘッドとディスクの摩擦力を低減しようとして高い突起を付与するとスペーシング量が増加してしまい、高密度記録が不可能になる。したがって、突起高さと密度には適切な範囲があり、その設計は、前述のように、AFM測定において表面粗さ中心線からの突起高さが15〜30nmの範囲である。突起の密度は多いほど摩擦力低減効果が高くなる一方、多すぎるとメディアノイズの増大を招く。突起密度の好ましい範囲としては、高さ基準面からの高さが10nmに存在する突起数が0.1〜10個/μm2である。
本発明のフレキシブル磁気ディスク媒体の表面粗さにおいて10点平均粗さRzは表面粗さ中心線からの突起高さにほぼ等しくなる。Rzは小さい方が好ましく、15〜30nmとすることがさらに好ましい。
本発明のフレキシブル磁気ディスクシステムにおいて使用する磁気ヘッドはハードディスクドライブ用と同様な構造の磁気ヘッドを使用する。磁気ヘッドはスライダに搭載され、そのスライダはジンバルを介してサスペンションに固定され、一定の圧力をもってフレキシブル磁気ディスク媒体と接触する。負圧スライダを使用する場合には、フレキシブル磁気ディスク媒体用のヘッドの様に強い押し付け加重は不要であり、加重は0.1gf〜5gf(0.98〜49mN)の範囲で設定する
本実施形態に係わる磁気ヘッドは従来型のインダクティブヘッドに加え、ヘッドはハードディスク用として公知のもの、つまり、MRヘッド、GMRヘッド、TMRヘッドなどの高感度ヘッドが使用できる。中でも感度が高く、かつMR抵抗の低いGMRヘッドが最も好適である。ヘッドの構造・寸法は特に制限されるものではないが、本発明の目標とする高い面記録密度を達成するため、例えばライトトラック幅0.20μm〜1.0μm、ライトギャップ0.1〜0.25μm、リードトラック幅0.10〜0.7μm、リードギャップ0.06μm〜0.16μmの範囲のものが使用できる。
磁気ヘッドが搭載されるスライダは前述の様に正圧タイプの浮上スライダでは無く、負圧スライダが好ましい。ここでいう正圧とは大気圧より高い圧力であり、負圧とは、大気圧より低い圧力である。この負圧スライダのエアベアリング面(媒体対向面)は、正圧と負圧の両方を発生させて浮上量を制御するために、負圧溝と浮上面を有する。この負圧によって、スライダはフレキシブル磁気ディスク媒体に強く引きつけられるため、弱いヘッド押し付け加重で接触摺動もしくは低い浮上量を実現できる。正圧を発生させるためのステップや溝の浮上面はスライダの流入端側に設ける。一方、負圧を発生させるための負圧溝は正圧を発生させるため浮上面の流出端側に設けられ、浮上面から広げられるエアー流を利用して負圧を発生させる。負圧溝は様々な形状のものが提案されているが、本発明では特に限定されず使用できる。
負圧溝はフォトリソグラフィー技術を用いることで作製できる。例えば、スライダの媒体対向面側にマスクを設け、イオンミリング加工でエッチングして、マスクの形状に応じたパターンの浮上面を残すことにより、負圧溝と浮上面を形成する。またハードディスクの場合と異なりフレキシブル磁気ディスク媒体ではディスクがスライダ流入端のエッジ部と接触する頻度が高いため、流入端の周辺は研磨加工によって面取りがなされていることが特に好ましい。またエアベアリング面にスライダとフレキシブル磁気ディスク媒体の摩擦力を低減させるための、パッドが形成されていることが好ましい。このパッドはエアベアリング面の負圧溝と同様な方法で作製できる。
磁気ヘッドはスライダの流出端に搭載することで、フレキシブル磁気ディスク媒体に最も近接させることができる。磁気ヘッドはスライダ中央に設置してもよいが、フレキシブル磁気ディスク媒体の両面で記録再生を行う場合には、フレキシブル磁気ディスク媒体表裏面のヘッド浮上状態を同時に安定させるため、走行方向に対して左右のいずれかにオフセットさせ、表裏面側のヘッド位置を走行方向中心線に対して対称になるようにすることが好ましい。
磁気ヘッドおよびスライダ表面には保護膜を形成することが好ましい。保護膜の種類は一般的なものが使用できるが、中でもDLC(ダイヤモンドライクカーボン)に代表される硬質炭素膜が好ましい。DLC膜はイオンビーム法、プラズマCVD法、スパッタ法、FCA(フィルタード・カソーディック・アーク)法等の公知の方法で作製できる。その厚みは1〜5nmが好ましく、必要に応じてSi等の密着層をスライダ/保護膜間に設けてもよい。
スライダサイズは特に限定されず、ハードディスク用途で使用されるナノスライダ(長さ約2.05mm×幅約1.60mm)、ピコスライダ(長さ約1.25mm×幅約1.00mm)等が使用できる。
磁気ヘッドの浮上設計量は鏡面研磨されたガラスディスクを回転させ、このディスク上で磁気ヘッドを浮上させ、その浮上量を光学的な手法によって計測したものである。本発明において、この浮上設計量はフレキシブル磁気ディスク媒体の表面粗さ中心線からの突起高さ(15〜30nm)よりも低く設計する。この様なフレキシブル磁気ディスク媒体と磁気ヘッドの組み合わせとすることで、摩擦力を低減し、かつスペーシング量を低減することができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに説明する。
実施例1〜8および比較例1
厚み52μm、表面粗さRa=1.4nmのポリエチレンナフタレートフィルム上に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、塩酸、アルミニウムアセチルアセトネート、エタノールからなる下塗り液をグラビアコート法で塗布した後、100℃で乾燥と硬化を行い、厚み1.0μmのシリコン樹脂からなる下塗り層を作成した。この下塗り層上に表1記載の様に粒子径12nm、18nm、あるいは25nmのシリカゾルをシクロヘキサノンに分散した溶液をグラビアコート法で塗布して、表面突起を形成した。なお、突起数は塗布液中のシリカゾル濃度を変更する事で制御した。 この下塗り層は支持体フィルムの両面に形成した。次にウェブスパッタ装置にこの原反を設置し、水冷したキャン上にフィルムを密着させながら搬送し、下塗り層上に、DCマグネトロンスパッタ法でCからなるガスバリア層を20nmの厚みで形成した後、Ruからなる下地層を30nmの厚みで、(Co70−Pt20−Cr1088−(SiO212からなる磁性層を20nmの厚みで、Cからなる保護層を5nmの厚みで形成した。この下地層、磁性層、保護層はフィルムの両面に成膜した。次にこの保護層表面に分子末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤(アウジモント社製FOMBLIN Z−DOL)をフッ素系潤滑剤(住友スリーエム社製HFE−7200)に溶解した溶液をグラビアコート法で塗布し、厚み1nmの潤滑層を形成した。この潤滑層もフィルムの両面に形成した。次にこの原反から2.5inchサイズのディスクを打ち抜き、これを1/2inch幅の30000番アルミナ研磨テープを用いて両面同時にバーニッシュ加工した後、金属製カートリッジに組み込んで、フレキシブル磁気ディスク媒体を作製した。各実施例の媒体における突起は、いずれも15〜30nmの範囲の突起高さを有するものであった。
但し、比較例1においてはバーニッシュ加工を行わずにフレキシブル磁気ディスク媒体を作製したものであり、突起高さは、本発明でいう突起高さ15〜30nmより高くなっている。
(評価)
(1)突起高さ、表面粗さRz、基準面からの高さ10nmの突起数
AFMを用いて30μm×30μmの領域を5箇所測定して各測定個所について表面粗さ中心線(高さ基準面)からの突起を測定し、その突起の高いものから5点目の突起高さを突起高さとした。また表面粗さ中心線からの高さ10nmの突起数を調べ、突起密度とした。同測定個所において10点平均粗さRzを測定した。これらの測定結果の平均値を算出した。
(2)摩擦係数、SNR、PW50
再生トラック幅0.28μm、記録トラック幅0.44μmのGMRヘッドを搭載した負圧スライダーを用いて、線記録密度200kFCIの記録再生を行い、再生信号/ノイズ比(SNR)を測定した。なおこのとき、ノイズの積分範囲は400kFCIまでとし、ディスク回転数は4200rpm、半径位置は25.4mm、ヘッド加重は1gf(9.8mN)とした。この走行条件での設計浮上量は12nmであった。また孤立反転波形の半値幅PW50から記録分解能を評価した。同様な測定系、測定条件においてヘッドにかかる摩擦力をひずみゲージを用いて評価した。
結果を表1に示す。
Figure 2005310262
上表より、本発明の実施例は比較例に比べ、摩擦力が低く、SNRが高く、あるいはPW50が小さく、記録分解能が優れていることが分かる。
実施例9および比較例2〜3
次に設計浮上量の影響を調べるため、記録トラック幅7μmのインダクティブヘッドを搭載した正圧スライダーを用いて、実施例6に記載した媒体を用い、信号記録再生を行った。ディスク回転数は4200rpm、半径位置は25.4mm、ヘッド加重は3gf(29.4mN)とし、このときの設計浮上量は50nmの正圧スライダを減圧チャンバを有するスピンドルに搭載し、線記録密度90kFCIでの信号出力を測定した。またディスク1回転の再生信号をオシロスコープで観察し、出力エンベロープにおける信号の落ち込みの程度をモジュレーションとして評価した。測定はチャンバー内の圧力を徐々に減圧し、設計浮上量が50nm〜25nmとなるように調整した。同時にスライダーに発生する摩擦力を歪みゲージで測定した。
結果を表2に示す。
Figure 2005310262
上表より、本発明の実施例は比較例に比べ、出力、モジュレーション、摩擦力についていずれも優れていることが分かる。
(A)は従来のフレキシブル磁気ディスク媒体の表面粗さ曲線を説明するための図であり、(B)本発明におけるフレキシブル磁気ディスク媒体の表面粗さ曲線を説明するための図である。

Claims (1)

  1. 可とう性高分子支持体の少なくとも一方の面に、少なくとも強磁性金属薄膜からなる磁性層を形成したフレキシブル磁気ディスク媒体と、スライダに搭載された磁気ヘッドとを用いたフレキシブル磁気ディスクシステムにおいて、前記フレキシブル磁気ディスク媒体の表面粗さ中心線からの突起高さが15〜30nmであり、かつ前記フレキシブル磁気ディスクシステムで使用される磁気ヘッド−磁気ディスク媒体間の磁気ヘッドの設計浮上量が、前記突起高さよりも小さいことを特徴とするフレキシブル磁気ディスクシステム。
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