JP2006139882A - 磁気ディスクカートリッジ - Google Patents

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一幸 臼杵
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Abstract

【課題】 磁気ヘッドが同一トラックを繰り返し走行しても潤滑剤の消耗が少なく、耐久性に優れた磁気ディスクカートリッジを提供すること。
【解決手段】 フレキシブル磁気ディスク4と、これを回転可能に収容したケースCと、ケースCの、フレキシブル磁気ディスク4に対面する内面に固定されたライナー5,5とを備えてなる磁気ディスクカートリッジにおいて、フレキシブル磁気ディスク4およびライナー5,5が、それぞれ (1)フレキシブル磁気ディスク4が、その表面に化学吸着した潤滑剤と化学吸着していない非吸着潤滑剤とを含有する;(2)フレキシブル磁気ディスク4の表面に化学吸着した潤滑剤の膜厚が0.3〜2.0nmであり、非吸着潤滑剤の膜厚が0.3〜2.0nmであり、かつ、これらの潤滑剤の合計膜厚が1.0〜4.0nmである;および(3)前記ライナーが潤滑剤を含有する、条件を満たす。
【選択図】 図1

Description

本発明は、耐久性に優れた磁気ディスクカートリッジに関するものである。
近年、インターネットの普及により、パーソナル・コンピュータを用いて大容量の動画情報や音声情報の処理を行う等、コンピュータの利用形態が変化してきている。これに伴い、ハードディスク等の磁気記録媒体に要求される記憶容量も増大している。
ハードディスク装置においては、磁気ディスクの回転に伴い、磁気ヘッドが磁気ディスクの表面からわずかに浮上し、非接触で磁気記録を行っている。このため、磁気ヘッドと磁気ディスクとの接触によって磁気ディスクが破損するのを防止している。高密度化に伴って磁気ヘッドの浮上高さは次第に低減されており、鏡面研磨された超平滑なハード基板あるいはそれに極微細なテクスチャ加工を施したハード基板上に磁気記録層等を形成した磁気ディスクを用いることにより、現在では10nm〜15nmの浮上高さが実現されている。この様なヘッドの低浮上量化、ヘッド構造の改良、ディスク記録膜の改良等の技術革新によってハードディスクドライブの面記録密度と記録容量はここ数年で飛躍的に増大してきた。
取り扱うことができるデジタルデータ量が増大することによって、動画データの様な大容量のデータを可換型媒体に記録して、移動させるというニーズが生まれてきた。しかしながら、ハードディスクは基板が硬質であって、しかも上述のようにヘッドとディスクの間隔が極わずかであるため、フレキシブル磁気ディスクや書き換え型光ディスクの様に可換媒体として使用しようとすると、動作中の衝撃や塵埃の巻き込みによって故障を発生する懸念が高く、使用できない。
一方、フレキシブル磁気ディスクは基板がフレキシブルであるため可換性に優れているが、現在市販されているフレキシブル磁気ディスクは、記録膜としての磁性層が磁性体を高分子バインダーとともに高分子フィルム上に塗布した構造であるため、スパッタ法で磁性層を形成しているハードディスクと比較すると、高密度記録特性に劣る。しかも、3.5inchφサイズ当たり数百MB程度の記憶容量を有する高密度フレキシブル磁気ディスクシステムではヘッドの浮上量が媒体の表面粗さ以上に設計されるため、磁性層/磁気ヘッド間のスペーシング量をハードディスクドライブの様に狭めることができない。 この結果、市販されているフレキシブル磁気ディスクドライブではハードディスクの1/10以下の記録密度しか達成できていない。
そこで磁性層としてハードディスクと同様の強磁性金属薄膜を用い、磁気ヘッド浮上量もハードディスクドライブに近い接触記録を行う薄膜型フレキシブル磁気ディスクが提案されている。しかし、この様な薄膜型フレキシブル磁気ディスクにおいては、塗布型のフレキシブル磁気ディスクと異なり、潤滑剤を媒体表面に薄く塗布して使用するため、同一トラックで磁気ヘッドを長時間に渡って連続走行させると潤滑剤が消耗してしまい、メディアスクラッチが発生するという問題があった。
この様な問題に対して、フレキシブル磁気ディスクを収納する磁気ディスクカートリッジ内部に貼り付けたライナー(通常不織布が使用される)に潤滑剤を含有させ、ライナーから潤滑剤を随時供給する方法が提案されている(特許文献1)。この方法によって潤滑剤の供給が可能となり、耐久性は改善できるものの、保護膜が薄く、磁気ヘッドの浮上量が低く、ディスクの高速回転が必要となる現在のフレキシブル磁気ディスクシステムではその効果が十分ではなかった。
特開昭64−79916号公報
上記の通り、大容量の書き換え可能なフレキシブル磁気ディスクは、その要求が高いものの、性能、信頼性、コストを満足するものが存在しない。そこで、本発明は上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その目的はフレキシブル磁気ディスクを内部に備えた磁気ディスクカートリッジにおいて、磁気ヘッドが同一トラックを繰り返し走行しても潤滑剤の消耗が少なく、耐久性に優れた磁気ディスクカートリッジを提供することにある。
本発明は、以下のとおりである。
1.
フレキシブル磁気ディスクと、
前記フレキシブル磁気ディスクを回転可能に収容したケースと、
前記ケースの、前記フレキシブル磁気ディスクに対面する内面に固定されたライナーとを備えてなる磁気ディスクカートリッジにおいて、
前記フレキシブル磁気ディスクおよびライナーが、それぞれ下記(1)、(2)および(3)に示す条件を満たすことを特徴とする磁気ディスクカートリッジ。
(1)前記フレキシブル磁気ディスクが、その表面に化学吸着した潤滑剤と化学吸着していない非吸着潤滑剤とを含有する。
(2)前記フレキシブル磁気ディスクの表面に化学吸着した潤滑剤の膜厚が0.3〜2.0nmであり、前記非吸着潤滑剤の膜厚が0.3〜2.0nmであり、かつ、これらの潤滑剤の合計膜厚が1.0〜4.0nmである。
(3)前記ライナーが潤滑剤を含有する。
2.
前記ライナーが前記(1)の非吸着潤滑剤と同種の潤滑剤を含有することを特徴とする前記1.に記載の磁気ディスクカートリッジ。
本発明におけるフレキシブル磁気ディスクは、その表面に化学吸着した潤滑剤が存在しているので、フレキシブル磁気ディスク表面と磁気ヘッドとが直接摺動することによる、最上層の例えば保護膜の摩耗が防止される。さらに、化学吸着した潤滑剤は流体潤滑性に乏しいため、この潤滑剤層の上に化学吸着していない潤滑剤層をさらに設け、潤滑性、摩擦力の低減効果を高めている。そしてこの化学吸着していない潤滑剤(非吸着潤滑剤)は磁気ヘッドやライナーとの摺動によって容易に消耗、除去されるため、本発明では、潤滑剤を磁気ディスクカートリッジ内面のライナーから転写し、供給するようにしている。この様な潤滑剤システムを作成することで、本発明が目的とする、優れた耐久性を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の磁気ディスクカートリッジは、フレキシブル磁気ディスクと、前記フレキシブル磁気ディスクを回転可能に収容したケースと、前記ケースの、前記フレキシブル磁気ディスクに対面する内面に固定されたライナーとを備えてなる。
図1は本発明の磁気ディスクカートリッジの一例を説明するための図であり、図1では、磁気ディスクカートリッジの上下シェルハーフを分解して示す斜視図である。この磁気ディスクカートリッジは、一例としていわゆる3.5インチタイプのフレキシブル磁気ディスクを備えたカートリッジであり、例えば金属やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体のような合成樹脂から形成された上シェルハーフ1および下シェルハーフ2を接合して形成された扁平なケースC(ハードケース)と、このケースC内に回転自在に収容されたフレキシブル磁気ディスク4と、このフレキシブル磁気ディスク4の一表面、他表面にそれぞれ対面する状態にしてケースC内に配設された1対のライナー5,5とを備えてなるものである。
上記フレキシブル磁気ディスク4は、可とう性高分子支持体の少なくとも一方の面に磁性層が形成されたものであり(図1の形態では両面に磁性層が形成されている)、外周部と内周部とを除く円環状に記録領域4aが設定され、この記録領域の内、外周側の縁部が非記録領域4bとなっている。またフレキシブル磁気ディスク4の中央部は、センターコア3に固定、保持されている。
このセンターコア3は、磁気ディスクカートリッジが図示しないドライブ装置に装填されると、該ドライブ装置の回転スピンドルと係合する。そこでこの回転スピンドルが駆動されると、その回転力によって該センターコア3が、つまりはフレキシブル磁気ディスク4が矢印D方向に回転駆動される。
上シェルハーフ1および下シェルハーフ2は扁平なほぼ矩形状とされ、それらの外周には側壁を構成する外周リブ1a,2aが設けられ、隅角部には略斜めに内側リブ1b,2bが設けられている。またこれらの上シェルハーフ1および下シェルハーフ2の一部には、それぞれ長方形の磁気ヘッド挿入用窓部10,11が設けられている。
下シェルハーフ2の中央部分には、上記センターコア3が臨む大きさの円形状のスピンドル孔2cが開口されている。他方、上シェルハーフ1の内面の中心部には、センターコア3の外周の環状部分より内側に位置する環状突起12が突設されている。この環状突起12はセンターコア3の上記環状部分の内側に嵌入して、フレキシブル磁気ディスク4の半径方向への移動を規制する。また、図示は省略してあるが、ケースCの窓部10,11を開閉するために、図中左右方向に滑動自在とされたシャッター部材が組み付けられる。
前記上シェルハーフ1および下シェルハーフ2の内面にはそれぞれ、フレキシブル磁気ディスク4の記録領域4aのほぼ全面に対面する部分を有するライナー5,5が超音波溶着、接着等により固着されている。それらのライナー5,5は互いに同一形状(対称形状)で、窓部10,11に重なる部分については切除されており、中心部についても環状突起12またはスピンドル孔2cの外径より大きい円孔が開口されている。
ここで上記ライナー5,5はそれぞれ、図中に破線Qで示す円の外側の領域(フレキシブル磁気ディスク4の外周部に対面する部分)では、シェルハーフ1,2に固定しないようにして、それらの領域がシェルハーフ1,2から浮くように取り付けられているのが好ましい。こうすることにより、ライナー5,5の上記領域とフレキシブル磁気ディスク4との接触効果が高くなり、そのため、メディア4の回転による遠心力でその外周部に移動、集中した塵埃等も確実にライナー5,5に払拭、捕捉されるようになる。
本発明におけるフレキシブル磁気ディスクは、前述のように可とう性高分子支持体の少なくとも一方の面に、例えば強磁性金属薄膜からなる磁性層が形成されたものであるが、さらに、表面性を改善する下塗り層、支持体および下塗り層から発生するガスを遮蔽するガスバリア層、磁性層の磁気特性を改善する下地層、磁性層、磁性層を腐食や摩耗から保護する保護層が、この順に積層されて構成されていることが好ましい。
支持体は、磁気ヘッドと磁気ディスクとが接触した時の衝撃を回避するために、可とう性を備えた樹脂フィルム(可とう性高分子支持体)で構成されている。なお本発明でいう可とう性あるいはフレキシブルとは、その支持体あるいはディスクがしなやかさを有している状態であり、しなやかさは後述の様に支持体の厚みとヤング率で決定される。このような樹脂フィルムとしては、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセテートセルロース、フッ素樹脂等の樹脂フィルムが挙げられる。価格や表面性の観点からポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートが特に好ましい。
また、支持体として樹脂フィルムを複数枚ラミネートしたものを用いてもよい。ラミネートフィルムを用いることにより、支持体自身に起因する反りやうねりを軽減することができ、媒体の耐傷性を改善することがきる。
ラミネート手法としては、熱ローラによるロールラミネート、平板熱プレスによるラミネート、接着面に接着剤を塗布してラミネートするドライラミネート、予めシート状に成形された接着シートを用いるラミネート等が挙げられる。接着剤の種類は、特に限定されず、一般的なホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、UV硬化型接着剤、EB硬化型接着剤、粘着シート、嫌気性接着剤などを使用することがきる。
支持体の大きさ、つまりディスクの大きさは直径20mm〜150mmであって、フレキシブル磁気ディスクシステムのドライブサイズに応じて任意のサイズが選択できる。
支持体の厚みは、10μm〜200μm、好ましくは20μm〜100μm、さらに好ましくは30μm〜70μmである。支持体の厚みが薄いと、高速回転時の安定性が低下し、面ぶれが増加する。一方、支持体の厚みが厚いと、回転時の剛性が高くなり、接触時の衝撃を回避することが困難になり、磁気ヘッドの跳躍を招く。
下記式で表される支持体の腰の強さ(しなやかさ)は、b=10mmでの値が0.5kgf/mm2〜2.0kgf/mm2(4.9〜19.6MPa)の範囲にあることが好ましく、0.7kgf/mm2〜1.5kgf/mm2(6.86〜14.7MPa)がより好ましい。
支持体の腰の強さ=Ebd3/12
なお、この式において、Eはヤング率、bはフィルム幅、dはフィルム厚さを各々表す。
支持体の表面は、磁気ヘッドによる記録を行うために、可能な限り平滑であることが好ましい。支持体表面の凹凸は、信号の記録再生特性を著しく低下させる。具体的には、後述する下塗り層を使用する場合では、光学式の表面粗さ計で測定した表面粗さが平均中心線粗さRaで5nm以内、好ましくは2nm以内、触針式粗さ計で測定した突起高さが1μm以内、好ましくは0.1μm以内、原子間力顕微鏡(AFM)で測定した10点平均粗さRzで500nm以内、好ましくは200nm以内である。また、下塗り層を用いない場合では、光学式の表面粗さ計で測定した表面粗さが平均中心線粗さRaで3nm以内、好ましくは1nm以内、AFMで測定した10点平均粗さRzで60nm以内、好ましくは30nm以内である。
支持体表面には、平面性の改善とガスバリア性を目的として下塗り層を設けることが好ましい。磁性層をスパッタリング等で形成するため、下塗り層は耐熱性に優れることが好ましく、下塗り層の材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコン樹脂、フッ素系樹脂、あるいは放射線硬化樹脂等を使用することができる。熱硬化型シリコン樹脂あるいは放射線硬化樹脂は、平滑化効果が高く、特に好ましい。下塗り層の厚みは、0.1μm〜3.0μmが好ましい。支持体に他の樹脂フィルムをラミネートする場合には、ラミネート加工前に下塗り層を形成してもよく、ラミネート加工後に下塗り層を形成してもよい。
熱硬化性シリコン樹脂としては、有機基が導入されたケイ素化合物を原料としてゾルゲル法で重合したシリコン樹脂が好適に用いられる。このシリコン樹脂は、二酸化ケイ素の結合の一部を有機基で置換した構造からなりシリコンゴムよりも大幅に耐熱性に優れると共に、二酸化ケイ素膜よりも柔軟性に優れるため、可とう性フィルムからなる支持体上に樹脂膜を形成しても、クラックや剥離が生じ難い。また、原料となるモノマーを支持体上に直接塗布して硬化させることができるため、汎用溶剤を使用することができ、凹凸に対する回り込みも良く、平滑化効果が高い。更に、縮重合反応は、酸やキレート剤などの触媒の添加により比較的低温から進行するため、短時間で硬化させることができ、汎用の塗布装置を用いて樹脂膜を形成することができる。また熱硬化性シリコン樹脂はガスバリア性に優れており、磁性層形成時に支持体から発生する磁性層または下地層の結晶性、配向性を阻害するガスを遮蔽するガスバリア性が高く、特に好適である。
放射線硬化樹脂としては、例えば、放射線硬化型化合物を放射線の照射により硬化させたものが挙げられる。放射線硬化型化合物としては、例えば、放射線官能性2重結合を有する化合物であるアクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル、メタクリル酸アミド、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類などが挙げられる。この中でもアクリレート化合物、メタクリレート化合物が好ましい。これらの放射線硬化型化合物の具体例としては、脂肪族ジオールにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたもの、例えば、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレートなどがあげられる。また、シクロヘキサンジオールジアクリレート、シクロヘキサンジオールジメタクリレート、シクロヘキサンジメタノールのジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールのジメタクリレート、水素化ビスフェノールAのジアクリレート、水素化ビスフェノールAのジメタクリレート、水素化ビスフェノールFのジアクリレート、水素化ビスフェノールFのジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジメタクリレート、など脂環族ジオールのアクリレート化合物、メタクリレート化合物。ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、などポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルポリオールにアクリル酸或いは、メタクリル酸を付加したポリエーテルアクリレート、ポリエーテルメタクリレートを挙げることができる。また、公知の二塩基酸、グリコールから得られたポリエステルポリオールにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレートも用いることができる。公知のポリオール、ジオールとポリイソシアネートを反応させたポリウレタンにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたポリウレタンアクリレート、ポリウレタンメタクリレートを用いてもよい。ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールFやこれらのアルキレンオキサイド付加物にアクリル酸、メタクリル酸を付加させたものやイソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジメタアクリレートなども用いることができる。3官能の化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ヒドロシキピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリメタクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ヒドロシキピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリメタクリレートなどを用いることができる。更に4官能以上としては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサアクリレートなどの化合物を用いることができる。官能基数が多過ぎるかあるいは官能基濃度が高過ぎると硬化収縮が大きく、支持体との密着力が低下し好ましくない。分子量は2000以下の比較的低分子のものが好ましい。更に好ましくは分子量1000以下である。分子量が低い方が、粘度が低くレベリングが高いので平滑性が向上する。最も好ましいものは分子量200〜600の2官能のアクリレート化合物、メタクリレート化合物である。このような放射線硬化型化合物として、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、水素化ビスフェノールAのジアクリレート、水素化ビスフェノールAのジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジメタクリレート、5−エチル−2−(2−ヒドロキシ−1,1'−ジメチルエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキサンジアクリレートなどを挙げることができる。
これらの放射線硬化型化合物は任意の割合で混合して使用することができる。
支持体の表面あるいは下塗り層の表面には、磁気ヘッドと磁気ディスクとの真実接触面積を低減し、摺動特性を改善することを目的として、微小突起(テクスチャ)を設けることが好ましい。また、微小突起を設けることにより、支持体のハンドリング性も良好になる。微小突起を形成する方法としては、球状シリカ粒子を塗布する方法、エマルジョンを塗布して有機物の突起を形成する方法などが使用できるが、下塗り層の耐熱性を確保するため、球状シリカ粒子を塗布して微小突起を形成するの方法が好ましい。
微小突起の高さは5nm〜25nmが好ましく、7nm〜18mmがより好ましい。微小突起の高さが高すぎると記録再生ヘッドとディスクのスペーシングロスによって信号の記録再生特性が劣化し、微小突起が低すぎると摺動特性の改善効果が少なくなる。微小突起の密度は0.1〜10個/μm2が好ましく、1〜5個/μm2がより好ましい。微小突起の密度が少なすぎる場合は摺動特性の改善効果が少なくなり、多過ぎると凝集粒子の増加によって高い突起が増加して記録再生特性が劣化する。
また、バインダーを用いて前記微小突起を支持体表面、あるいは下塗り層表面に固定することもできる。バインダーには、十分な耐熱性を備えた樹脂を使用することが好ましく、耐熱性を備えた樹脂としては、溶剤可溶型ポリイミド樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、熱硬化型シリコン樹脂を使用することが特に好ましい。
支持体と後述の下地層の間には、支持体あるいは下塗り層から発生するガス性分を遮蔽することを目的としたガスバリア層を設けることが好ましい。このガスバリア層は下地層の結晶配向性を高めるために用いられるシード層となる材料も使用することができる。また、このガスバリア層として膜硬度の高い材料を使用するとディスクの耐スクラッチ性が改善される。このようなガスバリア層としてはC、ダイヤモンドライクカーボン、Ni−P、Ni−Al、Ti、Ti−W、Ta−Si、Ru−Co、Auやその合金、Agやその合金などを使用することができる。
支持体と磁性層との間、あるいはガスバリア層と磁性層の間には、下地層を設けることが好ましい。下地層としてはCrまたはCrとTi、Si、W、Ta、Zr、Mo、Nb等から選ばれる金属との合金、Ruなどを挙げることができる。これらの物質は単独で用いてもよく、二層以上を組み合わせて用いてもよい。この様な下地層を用いることによって、磁性層の配向性を改善できるため、記録特性が向上する。下地層の厚みは10nm〜200nmが好ましく、20nm〜60nmが特に好ましい。
磁性層は、ディスク面に対して垂直方向に磁化容易軸を有するいわゆる垂直磁気記録膜でもよいし、現在のハードディスクで主流となっている面内磁気記録膜でもかまわない。 この磁化容易軸の方向は下地層の材料や結晶構造および磁性膜の組成と成膜条件によって制御することができる。
磁性層は前述の通り、強磁性金属薄膜が使用できるが、好ましくはコバルトを含有する強磁性金属合金であり、特に好ましくはコバルトを含有する強磁性金属合金と非磁性酸化物の混合物からなる磁性層である。この磁性層では強磁性金属合金と非磁性酸化物はマクロ的には混合されているが、ミクロ的には強磁性金属合金微粒子を非磁性酸化物が被覆するような構造となっており、強磁性金属合金粒子の大きさは1nmから50nm程度である。この様な構造となることで、高い保磁力を達成でき、また磁性粒子サイズの分散性が均一となるため、低ノイズのフレキシブル磁気ディスクを得ることができる。
コバルトを含有する強磁性金属合金としてはCoとCr、Ni、Fe、Pt、B、Si、Ta等の元素との合金が使用できるが、記録特性を考慮するCo−Pt、Co−Cr、Co−Pt−Cr、Co−Pt−Cr−Ta、Co−Pt−Cr−B等が特に好ましい。
コバルトを含有する強磁性金属合金と非磁性酸化物の混合物を用いる場合の非磁性酸化物としてはSi、Zr、Ta、B、Ti、Al等の酸化物が使用できるが、記録特性を考慮するとSiOxが最も好ましい。またこの酸化物を窒化物で置き換えることも可能である。
コバルトを含有する強磁性金属合金と非磁性酸化物の混合物を用いる場合の混合比は、強磁性金属合金:非磁性酸化物=95:5〜80:20(モル比)の範囲であることが好ましく、90:10〜85:15の範囲であることが特に好ましい。これよりも強磁性金属合金が多くなると、磁性粒子間の分離が不十分となり、保持力が低下してしまう。逆にこれよりも少なくなると、磁化量が減少するため、信号出力が著しく低下してしまう。
磁性層の厚みとしては好ましくは5nm〜60nm、さらに好ましくは10nm〜25nmの範囲である。これよりも厚みが厚くなるとノイズが著しく増加してしまい、逆に厚みが薄くなると、出力が著しく減少してしまう。
強磁性金属合金、あるいは強磁性金属合金と非磁性酸化物の混合物からなる磁性層を形成する方法としては真空蒸着法、スパッタ法などの真空成膜法が使用できる。中でもスパッタ法は良質な超薄膜が容易に成膜可能であることから、本発明に好適である。スパッタ法としては公知のDCスパッタ法、RFスパッタ法のいずれも使用可能である。スパッタ方式は連続フィルム上に連続して成膜するウェブスパッタ装置が好適であるが、ハードディスクの製造に使用されるような枚様式スパッタ装置や通過型スパッタ装置も使用可能である。
スパッタ時のスパッタガスとしては一般的なアルゴンガスが使用できるが、その他の希ガスを使用しても良い。また強磁性金属合金の粒子分離を促進するため、あるいは非磁性酸化物の酸素含有率を調整するために微量の酸素ガスを導入してもかまわない。
スパッタ法で強磁性金属合金と非磁性酸化物の混合物からなる磁性層を形成するためには強磁性金属合金ターゲットと非磁性酸化物ターゲットの2種を用い、これらの共スパッタ法を使用することも可能であるが、磁性粒子サイズの分散性を改善し、均質な膜を作成するため、コバルトを含有する強磁性金属合金と非磁性酸化物の合金ターゲットを用いることが好ましい。この合金ターゲットはホットプレス法で作製することができる。
保護層は、磁性層に含まれる金属材料の腐蝕を防止し、磁気ヘッドと磁気ディスクとの擬似接触または接触摺動による摩耗を防止して、走行耐久性、耐食性を改善するために設けられる。保護層には、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの酸化物、窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化物、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化物、グラファイト、無定型カーボンなどの炭素等の材料を使用することができる。
保護層としては、磁気ヘッド材質と同等またはそれ以上の硬度を有する硬質膜であり、摺動中に焼き付きを生じ難くその効果が安定して持続するものが、摺動耐久性に優れており好ましい。また、同時にピンホールが少ないものが、耐食性に優れておりより好ましい。このような保護膜としては、CVD法、反応性スパッタ法で作製されるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)と呼ばれる硬質炭素膜が挙げられる。
保護層は、性質の異なる2種類以上の薄膜を積層した構成とすることができる。例えば、表面側に摺動特性を改善するための硬質炭素保護膜を設け、磁性層側に耐食性を改善するための窒化珪素などの窒化物保護膜を設けることで、耐食性と耐久性とを高い次元で両立することが可能となる。
本発明におけるフレキシブル磁気ディスクは、その表面、例えば保護層表面に化学吸着した潤滑剤(吸着潤滑剤)と、化学吸着していない非吸着潤滑剤とを含有する。本発明において、吸着潤滑剤とは、潤滑剤分子の一部が保護層表面に化学的結合によって固定されていることを意味し、非吸着潤滑剤とは、これとは逆に化学的結合を有さず存在している、あるいは静電力等の弱い相互作用によって保持されていることを意味する。したがって化学吸着している潤滑剤は、その潤滑剤を溶解可能な溶媒中に浸漬して洗浄しても除去されることがなく、非吸着潤滑剤は除去される。上記定義に従う限り、同一構造の潤滑剤が吸着潤滑剤であり、かつ非吸着潤滑剤であることができる。
吸着潤滑剤および/または非吸着潤滑剤として使用し得る潤滑剤としては、公知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤等が使用できる。
吸着潤滑剤は化学吸着のための官能基を分子鎖中に有しており、この官能基と保護層表面の活性サイトが結合する。官能基としては、水酸基、エステル基、カルボキシル基、スルホン基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、シラノール基等があげられる。酸性官能基を有する潤滑剤の場合、それらのアンモニウム塩あるいはアルキルアミン塩として使用することも可能である。詳細は後述する。
さらに具体的には炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、ステアリルアミン等のアミン類などが挙げられる。
また、フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル鎖もしくはパーフルオロポリエーテル鎖で置換した潤滑剤が挙げられる。
パーフルオロポリエーテル鎖としては パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)CF2O)n、またはこれらの共重合体等である。具体的には、分子末端に水酸基を有するパーフルオロメチレン−パーフルオロエチレン共重合体(アウジモント社製、商品名Fomblin Z−DOLやZ−TETROL)等が挙げられる。
上記の潤滑剤の内、スルホン酸やパーフルオロポリエーテルカルボン酸などの酸性の強い潤滑剤は磁性層の腐食を招くことがあるため、注意が必要である。この場合、アンモニウム塩あるいはアルキルアミン塩として使用することが好ましい。またアルコキシシランやエポキシ化合物などの反応性の高い潤滑剤も摺動によって重合生成物を生じることがあり、注意が必要である。さらに、化学吸着後、潤滑剤(境界潤滑剤)として機能するためには、炭化水素鎖がある程度長く、保護性を高めることが好ましく、このためには炭素数Cが10〜20程度のアルキル鎖、アルケニル鎖を含むものが好ましい。このような炭素数がC10未満では、摩擦の改善効果が得られず、逆にC20を超えると塗布溶剤に対する溶解性、塗布後の均一性が劣るため、良好な吸着被膜を作製することが難しくなる。従って、本発明の好ましい潤滑剤としてはステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類およびこのアルキルアミン塩、ステアリン酸ブチル等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類のアルキルアミン塩、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類およびこのアルキルアミン塩等が挙げられ、これらの一部の水素をフッ素で置換した部分フッ化アルキル(アルケニル)化合物、アルキル基をパーフルオロポリエーテル基で置換した化合物も使用可能である。パーフルオロポリエーテル化合物の場合、十分な潤滑性を得るために、平均分子量が1500〜5000であることが好ましい。分子量が5000を超えると吸着皮膜が密な状態になりにくく、またヘッド−ディスク間の磁気的スペーシングの影響も無視できなくなってくる。逆に分子量が1500未満であると摩擦の改善効果が得られない。
上記吸着潤滑剤を保護層表面に塗布すると一部の潤滑剤は保護層表面に化学吸着する。 燐酸エステルやカルボン酸のように極性の強い官能基の場合、容易に吸着して単分子膜に近い緻密な吸着配向膜が得られ易いが、水酸基やエステル基のように極性の弱い官能基の場合、吸着力が弱く、十分な効果が得られない場合がある。この様な場合には吸着潤滑剤を塗布した後、アニールすることが有効である。官能基の種類にもよるが、100℃〜150℃、0.1〜2時間程度のアニールを施すことで、吸着量を著しく増加させることができる。また、潤滑剤塗膜にUV照射を施すことによっても吸着量を著しく増加させることができる。
一方、非吸着潤滑剤は、フレキシブル磁気ディスク表面に化学吸着していない潤滑剤であり、この条件を満たす限り、前述したように前記吸着潤滑剤と同じものであってもよい。例えば、極性の弱い官能基を有する潤滑剤を一種類用いた場合、その一部がフレキシブル磁気ディスク表面に化学吸着していない場合は、この潤滑剤が非吸着潤滑剤の役割も兼ねることになる。
しかしながら非吸着潤滑剤としては、吸着潤滑剤より官能基の極性が低く、流体潤滑性に優れたものが好ましい。官能基が水酸基あるいはエステル基であり、主鎖がポーフルオロポリエーテル鎖、不飽和炭化水素鎖、分岐炭化水素差の中から選択され、常温で液体であるものが好ましい。パーフルオロポリエーテル化合物で官能基を有していない化合物も使用可能であるが、流動性、揮発性が高いため、好ましくない。本発明で使用できる好ましい非吸着潤滑剤は具体的には末端水酸基変性のパーフルオロポリエーテル(アウジモント社製、商品名Fomblin Z−DOL等)、末端メチルエステル変性のパーフルオロポリエーテル(アウジモント社製、商品名Fomblin Z−DEAL等)、ブチルステアレート、オクチルステアレート、アミルステアレート、イソオクチルステアレート、ブチルミリステート、オクチルミリステート、ブトキシエチルステアレート、ブトキシジエチルステアレート、2ーエチルヘキシルステアレート、2ーオクチルドデシルパルミテート、2ーヘキシルドデシルパルミテート、イソヘキサデシルステアレート、オレイルオレエート等が挙げられる。
フレキシブル磁気ディスクの表面に、前述の吸着潤滑剤と非吸着潤滑剤を含有させるには、次のような方法がある。
(1)吸着潤滑剤と非吸着潤滑剤の種類が異なる場合
吸着潤滑剤と非吸着潤滑剤の種類が異なる場合、例えば両者の官能基が異なる場合は、前記吸着潤滑剤と非吸着潤滑剤を混合して塗布すればよい。しかし、吸着潤滑剤をより配向させ、密な吸着皮膜を作製するためには吸着潤滑剤を塗布した後に、この上に非吸着潤滑剤を塗布する方法が好ましい。
(2)一種類の潤滑剤を使用する場合
官能基が水酸基やエステル基等であって、吸着潤滑剤としても非吸着潤滑剤としても使用可能な場合、潤滑剤塗布後のアニール温度、あるいはUV照射条件を適切に選ぶことによって、一種類の潤滑剤を用いて、フレキシブル磁気ディスク表面に吸着潤滑剤と非吸着潤滑剤を含有させることができる。しかし、より好ましくは潤滑剤を塗布した後、アニール処理あるいはUV処理し、さらにこの上にもう一度潤滑剤を塗布し、非吸着潤滑剤を含有させる方法が良い。
吸着潤滑剤の膜厚は潤滑剤の単分子膜相当の厚みが適切であり、分子量2000のパーフルオロポリエーテル化合物であれば約1nmである。非吸着潤滑剤は吸着潤滑剤とほぼ同じ膜厚であることが好ましい。吸着潤滑剤が少なすぎると、潤滑剤による保護膜の被覆性が低下し、保護膜の摩耗が進行しやすくなる。また非吸着潤滑剤が少なすぎると、流体潤滑性が低下し、摩擦係数が増加する。逆に吸着潤滑剤および非吸着潤滑剤が過剰である場合には、フレキシブル磁気ディスクと磁気ヘッドが吸着しやすくなり、スティックスリップ現象を生じやすくなる。従って吸着潤滑剤の膜厚は0.3〜2.0nm、好ましくは0.5〜1.2nmであり、非吸着潤滑剤の膜厚は0.3〜2.0nm、好ましくは0.5〜1.5nmであり、その合計となる潤滑剤の膜厚は1.0〜4.0nm、好ましくは1.5〜3.0nmである。なお、潤滑剤の膜厚はFT−IRやエリプソメータによって測定でき、吸着潤滑剤の厚みはその潤滑剤を溶解できる溶剤にフレキシブル磁気ディスクを浸漬し、超音波洗浄を行って非吸着潤滑剤を除去した後、該ディスク上に残存する潤滑剤の膜厚を測定することにより求められる。本発明でいう膜厚は、下記条件で測定された値である。
サーモエレクトロン社製、Nicolet FT−IR 670を用いてATR法で1200cm-1付近のC−F結合の吸着強度より膜厚を測定した。この際、基準となる膜厚既知のサンプルは、日本分光社製エリプソメーターを用いてあらかじめ膜厚を測定したSi基板上塗布品を用いた。
潤滑剤を塗布する方法としては、潤滑剤をフッ素系溶剤あるいは有機溶剤に溶解した溶液を、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ディップコート法等で保護層表面に塗布するか、真空蒸着法により保護層表面に付着させればよい。
本発明ではフレキシブル磁気ディスクを回転可能に収容したケースの内面に固定されたライナーにも、潤滑剤を付与する。なお、ライナーに付与する潤滑剤は、前記非吸着潤滑剤であるのが好ましく、フレキシブル磁気ディスク表面の非吸着潤滑剤と同種のものであるのがさらに好ましい。ライナーに付与された潤滑剤は、ディスク回転時に随時ディスク表面に転写、供給される。潤滑剤をライナーに付与するには、例えば潤滑剤を溶剤に溶解した溶液中にカードリッジごと浸漬させるか、あらかじめライナーに潤滑剤をスプレーコート法などの手法を用いて塗布しておけばよい。ライナーに対して潤滑剤を付与する量はライナー種類および厚み、潤滑剤の種類に依存するが、1mg/m2〜50mg/m2が好ましい。さらに好ましくは2mg/m2〜20mg/m2である。潤滑剤量が少なすぎると本発明の効果が得られず、逆に多すぎるとディスク−ライナー間の静止摩擦係数が増大し、起動不良を生じてしまう。
ライナーは、各種不織布からなる公知の材料を使用できる。本発明では表面性が非常に平滑なフレキシブル磁気ディスクを使用するため、不織布は起毛処理が施されていないものが好ましい。
好ましいライナーとしては、例えばPET等のポリエステル繊維、あるいはナイロン繊維、レイヨン繊維、これらを組み合わせた複合繊維の不職布等が挙げられ、中でも好ましくはポリエステル繊維単独またはポリエステルとレイヨンの複合繊維の不職布が挙げられる。
また本発明ではこれらの潤滑剤の他に、極圧潤滑剤や防錆剤を添加して使用することができる。これらはフレキシブル磁気ディスク上に潤滑剤と混合して塗布しても良く、磁気ディスクカートリッジ内面のライナーに含浸させても良い。極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル等のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチオ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジベンジル等の硫黄系極圧剤などが挙げられる。防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、プリン、ピリミジン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核にアルキル側鎖等を導入した誘導体、ベンゾチアゾール、2−メルカプトンベンゾチアゾール、テトラザインデン環化合物、チオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有複素環類およびこの誘導体等が挙げられる。
上記の様な構成の強磁性金属薄膜を磁性層とするフレキシブル磁気ディスクはそのままの状態では下塗り層表面上に塗布した微小突起の凝集物が存在することがあり、実際に塗布した粒子より高い突起が存在することがある。また製造工程で付着したコンタミネーションによって形成された異常突起も存在する。この様な欠陥はMRヘッドやGMRヘッドなどの耐摩耗性が低い高感度ヘッドを使用する場合に、磁気信号のドロップアウトやエラーにつながるだけではなく、これらの磁気ヘッドを破壊してしまうことがある。特に本発明のようにディスクとヘッドが接触摺動するフレキシブル磁気ディスクシステムの場合、この影響が顕著となる。
このような場合には研磨テープによるバーニッシュ加工を用いることが好ましい。バーニッシュ加工は潤滑剤を塗布した後に実施することが好ましいが、潤滑剤塗布前に実施してもかまわない。ハードディスク型磁気ディスクのバーニッシュ方法としてはバーニッシュヘッド、グライドヘッドを実際に磁気ディスク上を浮上走行させ、バーニッシュ加工を行うことが一般的であるが、この方法でフレキシブル磁気ディスクを加工しようとすると、バーニッシュヘッドの浮上量が安定しないため、ディスク全面を均一な精度で加工することが難しい。したがって、本発明においてはフレキシブル磁気ディスクのバーニッシュ方法としては研磨テープをディスク表面に押し当て、加工する方法を用いることが好ましい。この際、研磨テープをディスク表面に押し当てるには研磨テープをバックアップロールやバックアップパッドに沿わせ、このバックアップローラーやバックアップパッドの規制力を利用してディスクと研磨テープを接触させれば良い。フレキシブル磁気ディスクは研磨テープの押し付けによって容易に変形するため、その反対面からも、同様に研磨テープを押し付けて加工すれば良い。また反対面からエアーでディスクを研磨テープに押し付けることもできるが、エアー流によって逆にコンタミネーションが付着することがあるため、好ましくない。
テープの押し付け圧としては50〜200gf/cm(49〜196N/m)の範囲が好ましい。研磨テープの種類にも依存するが、これ以上圧力を高くするとディスクに加工キズが発生しやすく、逆に圧力を低くするとバーニッシュの効果が低くなる。バーニッシュの適切な加工については詳細に後述する。研磨テープの送り速度は10mm/min〜100mm/minの範囲が好ましく、これ以上遅くなると、研磨テープに付着した加工くずが原因となる加工キズが発生しやすく、逆に速くなると研磨テープの消費量が多くなるため、好ましくない。ディスクの回転速度は500rpm〜3000rpmが好ましく、これ以上遅くなると加工キズが発生しやすく、逆に速くなるとディスクの回転が不安定となり、加工の均一性が得られにくい。
研磨テープ幅とディスクの加工幅が同じか、研磨テープの方が広い場合には、研磨テープとディスクは相対的に移動せず、加工が可能であるが、研磨テープ幅の法がディスク加工幅よりも狭い場合にはディスクに対して研磨テープ位置を移動させて加工幅を確保する。この際、加工位置の最内周から外周に研磨テープを引き抜く方法が最も好ましい。引き抜き速度は50〜700mm/secが好ましい。引き抜き速度が遅くなると、加工キズが発生しやすく、逆に速いとバーニッシュの効果が得られなくなる。加工方向を外周から内周に向けることも可能であるが、フレキシブル磁気ディスクの場合、回転が不安定になりやすく、好ましくない。
研磨テープとしては粒度が10000番以上の高精度加工用研磨テープが使用できる。 研磨テープに使用される研磨剤種としてはダイヤモンド、アルミナ、酸化クロム、酸化鉄などがあげられる。研磨テープはこれらの研磨剤を樹脂結合剤とともに溶剤中に分散させ、これを可とう性高分子支持体上に塗布、乾燥させた後、必要な幅に裁断して使用する。この際、必要に応じて研磨剤と樹脂結合剤の他に、硬化剤、潤滑剤、分散剤等の添加剤を用いることができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。
(実施例1A)
厚み52μm、表面粗さRa=1.4nmのポリエチレンナフタレートフィルム上に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、塩酸、アルミニウムアセチルアセトネート、エタノールからなる下塗り液をグラビアコート法で塗布した後、100℃で乾燥と硬化を行い、厚み1.0μmのシリコン樹脂からなる下塗り層を作成した。この下塗り層上に粒子径18nmのシリカゾルをシクロヘキサノンに分散した溶液をグラビアコート法で塗布して、3個/μm2の密度で表面突起を形成した。この下塗り層は支持体フィルムの両面に形成した。次にウェブスパッタ装置にこの原反を設置し、15℃に水冷したキャン上にフィルムを密着させながら搬送し、下塗り層上に、DCマグネトロンスパッタ法でCからなるガスバリア層を20nmの厚みで形成した後、Ruからなる下地層を30nmの厚みで、(Co70−Pt20−Cr1088−(SiO212からなる磁性層を17nmの厚みで、Cからなる保護層を5nmの厚みで形成した。この下地層、磁性層、保護層はフィルムの両面に成膜した。引き続き以下の潤滑剤塗布を行ったが、この際は作成した原反からシート状サンプルを切り出して行った。
保護層表面に、分子末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤(アウジモント社製Fombilin Z−DOL 分子量2000)をフッ素系溶剤(住友スリーエム社製HFE−7100DL)に0.4質量%の濃度で溶解した溶液をディップコート法で塗布し、厚み3nmの潤滑剤層を両面に形成した。この原反を150℃に加熱したオーブン中に1時間保持し、アニール処理(潤滑剤の化学吸着処理)を行った。得られた潤滑剤の全膜厚をFT−IRで測定したところ2.1nmであった。このフレキシブル磁気ディスクを、溶剤としてHFE−7100DLを用いて超音波洗浄し、残存する潤滑剤(吸着潤滑剤)の膜厚を調べたところ、1.0nmであった。このシートから3.7inchサイズのディスクを打ち抜き、これを1/2inch幅の30000番アルミナ研磨テープを用いて両面同時にバーニッシュ加工した。
磁気ディスクカートリッジとしてZip750MB用カートリッジを使用した。そのカートリッジ全体を、Z−DOLを0.1質量%の濃度として含むフッ素系溶剤HFE−7100DLに浸漬し、該カートリッジの内面に固定されたライナーに潤滑剤を付与した。なお、ライナーの材質は、PET繊維の不職布である。また、ライナーへの潤滑剤の付与量は、5mg/m2であった。作製したフレキシブル磁気ディスクにセンターコアを貼り付け、ケース内に組み込んで、磁気ディスクカートリッジを作製した。
(比較例1A)
実施例1Aにおいて磁気ディスクカートリッジのライナーに潤滑剤を付与しなかったこと以外は実施例1Aと同様に磁気ディスクカートリッジを作製した。
(比較例1B)
実施例1Aにおいて、保護層表面に、分子末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤(アウジモント社製Fombilin Z−DOL 分子量2000)をフッ素系潤滑剤(住友スリーエム社製HFE−7100DL)に2.3質量%の濃度で溶解した溶液をディップコート法で塗布し、潤滑剤層を両面に形成した。アニール処理は行わなかった。得られた潤滑剤の膜厚をFT−IRで測定したところ2.0nmであった。このフレキシブル磁気ディスクを、溶剤としてHFE−7100DLを用いて超音波洗浄し、残存する潤滑剤(吸着潤滑剤)の膜厚を調べたところ、0.1nmであった。これ以降は実施例1Aと同様に磁気ディスクカートリッジを作製した。
(実施例2A)
実施例1Aにおいて、保護層表面に、分子末端に水酸基(ジオール)を有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤(アウジモント社製Fombilin Z−TETROL 分子量2000)をフッ素系潤滑剤(旭化成社製AK−225)に2.0質量%の濃度で溶解した溶液をディップコート法で塗布し、厚み2nmの潤滑剤層を両面に形成した。この原反を120℃に加熱したオーブン中に1時間保持し、アニール処理(潤滑剤の化学吸着処理)を行った。
そしてさらにこの上に分子末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤(アウジモント社製Fombilin Z−DOL 分子量2000)をフッ素系潤滑剤(住友スリーエム社製HFE−7100DL)に1.2質量%の濃度で溶解した溶液をディップコート法で塗布し、厚みが1.0nmとなるようにディップコーティングして非吸着潤滑剤層を作製した。得られた潤滑剤の全膜厚をFT−IRで測定したところ2.0nmであった。このフレキシブル磁気ディスクを、溶剤としてHFE−7100DL+AK225(2:8)混合溶剤を用いて超音波洗浄し、残存する潤滑剤(吸着潤滑剤)の膜厚を調べたところ、1.0nmであった。このシートから3.7inchサイズのディスクを打ち抜き、これを1/2inch幅の30000番アルミナ研磨テープを用いて両面同時にバーニッシュ加工した。
磁気ディスクカートリッジとしてZip750MB用カートリッジを使用した。そのカートリッジ全体を、Z−DOLを0.1質量%の濃度として含むフッ素系溶剤(HFE−7100DL)に浸漬し、該カートリッジの内面に固定されたライナーに潤滑剤を付与した。なお、ライナーの材質は、PET繊維の不職布である。また、ライナーへの潤滑剤の付与量は、10mg/m2であった。作製したフレキシブル磁気ディスクにセンターコアを貼り付け、ケース内に組み込んで、磁気ディスクカートリッジを作製した。
(比較例2A)
実施例2Aにおいて磁気ディスクカートリッジのライナーに潤滑剤を付与しなかったこと以外は実施例2Aと同様に磁気ディスクカートリッジを作製した。
(実施例2B)
実施例2Aにおいて、保護層表面に、分子末端に水酸基(ジオール)を有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤(アウジモント社製Fombilin Z−TETROL 分子量2000)をフッ素系潤滑剤(旭化成社製AK−225)に1.2質量%の濃度で溶解した溶液をディップコート法で塗布し、潤滑剤層を両面に形成した。アニール処理(潤滑剤の化学吸着処理)は行わなかった。得られた潤滑剤の膜厚をFT−IRで測定したところ2.0nmであった。このフレキシブル磁気ディスクを、溶剤としてHFE−7100DL+AK225(2:8)混合溶剤を用いて超音波洗浄し、残存する潤滑剤(吸着潤滑剤)の膜厚を調べたところ、0.6nmであった。これ以降は実施例2Aと同様に磁気ディスクカートリッジを作製した。
(実施例3A)
保護層表面に、分子末端にメチルエステル基を有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤(アウジモント社製Fombilin Z−DEAL 分子量2000)をフッ素系潤滑剤(住友スリーエム社製HFE−7100DL)に2.3質量%の濃度で溶解した溶液をディップコート法で塗布し、厚み2nmの潤滑剤層を両面に形成した。この原反を120℃に加熱したオーブン中に1時間保持し、アニール処理(潤滑剤の化学吸着処理)を行った。そしてさらにこの上に分子末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤(アウジモント社製Fombilin Z−DOL 分子量2000)をフッ素系潤滑剤(住友スリーエム社製HFE−7100DL)に1.2質量%の濃度で溶解した溶液をディップコート法で塗布し、厚みが1.0nmとなるようにディップコーティングして非吸着潤滑剤の層を作製した。得られた潤滑剤の全膜厚をFT−IRで測定したところ2.1nmであった。このフレキシブル磁気ディスクを、溶剤としてHFE−7100DLを用いて超音波洗浄し、残存する潤滑剤(吸着潤滑剤)の膜厚を調べたところ、1.1nmであった。このシートから3.7inchサイズのディスクを打ち抜き、これを1/2inch幅の30000番アルミナ研磨テープを用いて両面同時にバーニッシュ加工した。
磁気ディスク用カートリッジとしてZip750MB用カートリッジを使用し、そのカートリッジ全体を、Z−DOLを0.1質量%の濃度として含むフッ素系溶剤(HFE−7100DL)に浸漬し、該カートリッジの内面に固定されたライナーに潤滑剤を付与した。なお、ライナーの材質は、PET繊維の不職布である。また、ライナーへの潤滑剤の付与量は、10mg/m2であった。作製したフレキシブル磁気ディスクにセンターコアを貼り付け、ケース内に組み込んで、磁気ディスクカートリッジを作製した。
(比較例3A)
実施例3Aにおいて磁気ディスクカートリッジのライナーに潤滑剤を付与しなかったこと以外は実施例3Aと同様に磁気ディスクカートリッジを作製した。
(実施例3B)
実施例3Aにおいて、保護層表面に、分子末端にメチルエステル基を有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤(アウジモント社製Fombilin Z−DEAL 分子量2000)をフッ素系潤滑剤(住友スリーエム社製HFE−7100DL)に2.3質量%の濃度で溶解した溶液をディップコート法で塗布し、潤滑剤層を両面に形成した。アニール処理(潤滑剤の化学吸着処理)は行わなかった。得られた潤滑剤の全膜厚をFT−IRで測定したところ2.0nmであった。このフレキシブル磁気ディスクを、溶剤としてHFE−7100DLを用いて超音波洗浄し、残存する潤滑剤(吸着潤滑剤)の膜厚を調べたところ、0.7nmであった。これ以降は実施例3Aと同様に磁気ディスクカートリッジを作製した。
(評価)
作製した磁気ディスクカートリッジを評価用のスピンスタンドに搭載し、フレキシブル磁気ディスクを3600rpmで回転させ、磁気ヘッド(Zip250ドライブ用)をディスクの両面からロードし、半径位置30mmの位置で固定した。この際のヘッド加重は4.0gfとした。この状態で磁気ヘッドにかかる摩擦力を測定しながら、メディアスクラッチが生じるまでの時間を評価した。なお評価環境は23℃50%RHとし、評価は最大100時間とした。結果を下記表1に示す。
Figure 2006139882
表1から、フレキシブル磁気ディスクが、その表面に化学吸着した潤滑剤と化学吸着していない非吸着潤滑剤とを含有し、かつ、ライナーも潤滑剤を含有する磁気ディスクカートリッジは、比較例に比べて、耐久性に優れることが分かる。
本発明の磁気ディスクカートリッジの一例を説明するための図である。
符号の説明
1 上シェルハーフ
2 下シェルハーフ
3 センターコア
4 フレキシブル磁気ディスク
5 ライナー
C ケース

Claims (2)

  1. フレキシブル磁気ディスクと、
    前記フレキシブル磁気ディスクを回転可能に収容したケースと、
    前記ケースの、前記フレキシブル磁気ディスクに対面する内面に固定されたライナーとを備えてなる磁気ディスクカートリッジにおいて、
    前記フレキシブル磁気ディスクおよびライナーが、それぞれ下記(1)、(2)および(3)に示す条件を満たすことを特徴とする磁気ディスクカートリッジ。
    (1)前記フレキシブル磁気ディスクが、その表面に化学吸着した潤滑剤と化学吸着していない非吸着潤滑剤とを含有する。
    (2)前記フレキシブル磁気ディスクの表面に化学吸着した潤滑剤の膜厚が0.3〜2.0nmであり、前記非吸着潤滑剤の膜厚が0.3〜2.0nmであり、かつ、これらの潤滑剤の合計膜厚が1.0〜4.0nmである。
    (3)前記ライナーが潤滑剤を含有する。
  2. 前記ライナーが前記(1)の非吸着潤滑剤と同種の潤滑剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスクカートリッジ。
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