JP2004227621A - 磁気記録媒体の製造方法およびその製造装置 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法およびその製造装置 Download PDF

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Kenichi Moriwaki
健一 森脇
Junji Nakada
純司 中田
Kazuyuki Usuki
一幸 臼杵
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Abstract

【課題】磁気特性等を満足し、使用するプラスチックフィルムベースからの放出ガスを遮蔽する効果および下地層の結晶配向性を高める効果を保持した磁気記録媒体の製造方法およびその製造装置を提供する。
【解決手段】ロール状に巻回されたプラスチックフィルムを送り出す工程、該フィルムを搬送させながら該フィルムを加熱する工程、該フィルムを搬送させながら該フィルム上にスパッタリング法による層が設けられる工程、およぴスパッタリング法による層が設けられた前記フィルムが巻き取られるフィルム巻き取り工程からなり、全工程が真空中で行われ、かつ、前記加熱工程において、加熱ロールにより前記フィルムが加熱され、かつ、スパッタリング法による層が設けられる工程において、冷却ロールにより前記フィルムが冷却され、かつ、スパッタリング法によって形成される層が少なくとも磁性層であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル情報の記録に使用する磁気記録媒体の製造方法およびその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネットの普及により、パーソナル・コンピュータを用いて大容量の動画情報や音声情報の処理を行う等、コンピュータの利用形態が変化してきている。これに伴い、ハードディスク等の磁気記録媒体に要求される記憶容量も増大している。
取り扱うことができるデジタルデータ量が増大することによって、動画データの様な大容量のデータを可換型媒体に記録して、移動させるというニーズが生まれてきた。しかしながら、ハードディスクは基板が硬質であって、しかも上述のようにヘッドとディスクの間隔が極わずかであるため、フレキシブルディスクや書き換え型光ディスクの様に可換媒体として使用しようとすると、動作中の衝撃や塵埃の巻き込みによって故障を発生する懸念が高く、使用できない。
一方、フレキシブルディスクは基板がフレキシブルな高分子フィルムであり、接触記録可能な媒体であるため可換性に優れており、安価に生産できるが、現在市販されているフレキシブルディスクは記録膜が磁性体を高分子バインダーや研磨剤とともに高分子フィルム上に塗布した構造であるため、スパッタ法で磁性膜を形成しているハードディスクと比較すると、磁性層の高密度記録特性が悪く、ハードディスクの1/10以下の記録密度しか達成できていない。
そこで記録膜をハードディスクと同様にスパッタ法で形成する強磁性金属薄膜型のフレキシブルディスクが提案されている。
一般に、ハードディスクの製造方法においては、保磁力Hcを高くし媒体ノイズを低減するために、基板のポリッシング加工やテクスチャー加工に加えて、基板加熱条件が重要である。即ち、基板加熱を行うことで磁性膜を構成する結晶粒子を各々磁気的に分離させ、かつその結晶粒を小さくすることができる。
ところが、従来のハードディスクの製造方法をそのまま活用しようとすると、高分子フィルムの熱ダメージが大きく、実施化が困難である。
これに代わる方法として、磁性層をスパッタ製膜する時の支持体温度を高分子フィルムの使用可能温度以下にしてフレキシブルディスクを製造する方法が提案されているが(例えば特許文献1参照。)、高分子フィルムを支持体として用いた場合、高分子フィルムはハードディスクに用いられるガラスあるいはアルミニウム基板に比べて加熱できる温度の制約が大きく、また、その温度は高分子フィルムの種類により異なるという問題があった。
【0003】
それに対し、室温成膜磁性層を用いる検討が行われており、フィルムの熱ダメージ緩和の効果が得られている。例えば、強磁性金属合金と非磁性酸化物からなる強磁性金属薄膜を用いた場合、室温で成膜した場合においても、200℃〜500℃の高温条件下で成膜したCoPtCr系磁性層とほぼ同等の磁気特性を得られることがわかってきた。このような強磁性金属合金と非磁性酸化物からなる強磁性金属薄膜はハードディスクで提案されているいわゆるグラニュラ構造のものが使用できる(例えば特許文献2及び3参照。)。
しかし、室温で磁性層を成膜した時には、スパッタ時にかかる熱の影響でフィルムベースからガスが放出されることにより、図4に示すように、形成される下地層21、磁性層22の結晶成長性が低下し、それに伴い得られる磁気記録媒体の磁気特性の低下が発生している。
上記の通り、超高密度記録フレキシブルディスク等において、磁気特性、走行耐久性、回転姿勢、安価、生産性等を満足する製造方法はいまだ確立していない。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−3662号公報
【特許文献2】
特開平5−73880号公報
【特許文献3】
特開平7−311929号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することであり、磁気特性、走行耐久性、回転姿勢、安価、生産性等を満足する大容量の書き換え可能な可換型磁気記録媒体であり、使用するフィルムベースの可撓性高分子支持体からの放出ガスによる磁性層等の結晶成長性の低下を抑えることができる磁気記録媒体の製造方法およびその製造装置を提供することである。
【0006】
【発明が解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、以下の工程構成を採用することにより、上記目的が達成され、本発明を成すに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
【0007】
以下に、本発明の好ましい態様を挙げる。
(1)ロール状に巻回されたプラスチックフィルムを送り出すフィルム送り出し工程、該フィルムを搬送させながら該フィルムを加熱する加熱工程、該フィルムを搬送させながら該フィルム上にスパッタリング法による層が設けられる工程、およぴスパッタリング法による層が設けられた前記フィルムが巻き取られるフィルム巻き取り工程から、少なくとも構成される磁気記録媒体の製造方法こおいて、全工程が真空中で行われ、かつ、前記加熱工程において、加熱ロールにより前記プラスチックフィルムが加熱され、かつ、スパッタリング法による層が設けられる工程において、冷却ロールにより前記プラスチックフィルムが冷却され、かつ、スパッタリング法によって形成される層が少なくとも磁性層であることを特徴とする、磁気記録媒体の製造方法。
【0008】
(2)前記加熱ロールによりプラスチックフィルムが加熱された後、スパッタリング法による層が設けられる工程の前に、冷却ロールによりフィルムが冷却される工程を有することを特徴とする、前記(1)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(3)ロール状に巻回されたプラスチックフィルムを送り出すフィルム送り出し工程、該フィルムを搬送させながら該フィルムを加熱する加熱工程、加熱された前記フィルムが巻き取られる巻き取り工程、再び該フィルムを送り出すフィルム送り出し工程、該フィルムを搬送させながら該フィルム上にスパッタリング法による層が設けられるスパッタリング工程、およびスパッタリング法による層が設けられた前記フィルムが巻き取られる巻き取り工程を、この順に行う磁気記録媒体の製造方法において、全工程が真空中で行われ、かつ、前記加熱工程において、加熱ロールにより前記プラスチックフィルムが加熱され、かつ、スパッタリング法による層が設けられる工程において、冷却ロールにより前記プラスチックフィルムが冷却され、かつ、スパッタリング法によって形成される層が少なくとも磁性層であることを特徴とする、磁気記録媒体の製造方法。
【0009】
(4)真空室内に、ロール状に巻回されたプラスチックフィルムを送り出すフィルム送り出し部、該フィルムを搬送させながら該フィルム上にスパッタリング法による層が設けられるスパッタリング部、および前記フィルムが巻き取られるフィルム巻き取り部を有する磁気記録媒体用製造装置において、前記フィルム送り出し部とスパッタリング部との間に加熱ロールからなるフィルム加熱部が、前記スパッタリング部に冷却ロールが設けられたことを特徴とする、磁気記録媒体用製造装置。
(5)前記フィルム加熱都と前記スパッタリング部との間に冷却ロールから成るフィルム冷却部を設けたことを特徴とする前記(4)に記載の磁気記録媒体用製造装置。
【0010】
以下に、本発明の好ましい様態を挙げる。
(6)前記加熱ロールの表面の表面粗さを0.8S以下としたことを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法および製造装置。
(7)加熱ロールの加熱は、上記もしくは温媒をロール内に満たすことにより行い、冷却ロールの冷却は20℃以下の水もしくは冷媒をロール内に満たすことにより行うことを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法および製造装置。
(8)ロール加熱温度Thは、前記プラスチックフィルムのガラス転移温度Tgに対して、40℃≦Th≦0.8×Tgであることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法および製造装置。
(9)スパッタリング部に設けられた冷却ロールの形状が200mmΦ〜1000mmΦであることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法および製造装置。
【0011】
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、真空室内において、
(イ)ロール状に巻回されたプラスチックフィルムを送り出すフィルム送り出し工程、
(ロ)該フィルムを搬送させながら加熱ロ−ルにより該フィルムを加熱する加熱工程、
(ハ)該フィルムを搬送させ、かつ、冷却ロールにより該フィルムを冷却しながら該フィルム上にスパッタリング法による層が設けられる工程、および
(ニ)スパッタリング法による層が設けられた前記フィルムが巻き取られるフィルム巻き取り工程
から少なくとも構成され、これらの工程のほかに、本発明の効果を阻害しない範囲で他の工程を含んでいてもよい。
【0012】
また、スパッタリング工程においてスパッタリング法によって形成される層は、磁性層に限られず、磁性層のほかに下地層や保護層等も、この方法によって形成することができる。
【0013】
上記の磁気記録媒体の製造方法としては、例えば、下記(1)、(2)等の製造方法が挙げられるが、(2)の製造方法がより好ましい。
(1)加熱工程(ロ)とスパッタリング工程(ハ)の間に巻き取り工程を設ける方法。
真空室内において、ロール状に巻回されたプラスチックフィルムを送り出すフィルム送り出し工程、該フィルムを搬送させながら加熱ロールにより該フィルムを加熱する加熱工程、加熱された前記フィルムが巻き取られる巻き取り工程、再び該フィルムを送り出すフィルム送り出し工程、該フィルムを搬送させながら該フィルム上にスパッタリング法による層が設けられるスパッタリング工程、およびスパッタリング法による層が設けられた前記フィルムが巻き取られる巻き取り工程を、この順に行う磁気記録媒体の製造方法。
【0014】
(2)加熱工程(ロ〉とスパッタリング工程(ハ)の間に、該フィルムを冷却する冷却工程を設ける方法。
真空室内において、ロール状に巻回されたプラスチックフィルムを送り出すフィルム送り出し工程、該フィルムを搬送させながら加熱ロールにより該フィルムを加熱する加熱工程、該フィルムを搬送させながら冷却ロールにより該フィルムを冷却する冷却工程、該フィルムを搬送させながら該フィルム上にスパッタリング法による層が設けられるスパッタリング工程、およびスパッタリング法による層が設けられた前記フィルムが巻き取られる巻き取り工程を、この順に行う磁気記録媒体の製造方法。
【0015】
つまり、本発明の磁気記録媒体の製造方法では、従来までの課題であったフィルムベースからの放出ガスによる特性低下に対して、前工程としてロールに密着させた状態での加熱工程、冷却工程を導入することで事前にフィルムベースに含まれるガス成分を取り除くことが可能となり、記録膜(磁性層)成膜時の放出ガスによる下地層の結晶成長性の低下が無くなり、それと共に下地層の上に形成される磁性層等の結晶成長性も良好となり、得られる磁気記録媒体の特性低下問題を解決することができる。
この様な磁気記録媒体の製造方法およびその製造装置を用いることで、支持体が高分子フィルムであっても熱ダメージや放出ガスの影響の少ない、高密度記録の磁気テープやフレキシブルディスクを提供することが可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁気記録媒体の製造方法およびその製造装置について、図面等を参照して説明する。
【0017】
図1は、プラスチックフィルムの加熱、冷却工程及び下地層および磁性層の形成方法および装置を説明する図である。
成膜装置(ウェブスパッタ装置)1は、真空室2を有し、巻出しロール3から巻出されたプラスチックフィルム4は、張力調整可能な加熱ロール5A、5Bに密着させながら搬送することにより支持体加熱を行う加熱工程が施こされる。
次いで、冷却ロール6A、6Bに密着させながら搬送することにより支持体冷却を行う冷却工程が施こされる。その後、成膜室7へ送られる。
成膜室7は真空ポンプによって所定の減圧度に減圧された状態でアルゴンがスパッタリング気体供給管8Aないし8Dから所定の流量で供給されている。プラスチックフィルム4は、成膜室7に設けた水冷した成膜ロール9Aに巻つきながら搬送された状態で、下地層スパッタリング装置10AのターゲットTAから下地層形成用の原子が飛び出してプラスチックフィルム上に成膜される。
【0018】
次いで、成膜された下地層上に成膜ロール9Aにおいて、磁性層スパッタリング装置10Bに装着したターゲットTBから、磁性層形成用原子が放出されて下地層上に磁性層が形成される。
次に、磁性層が形成された面を成膜ロール9Bに巻きつけながら搬送した状態で、下地層スパッタリング装置10CのターゲットTCから下地層形成用の原子が飛び出してプラスチックフィルムの先に磁性層が形成された面とは反対側が成膜される。更に、成膜ロール9B上において、磁性層スパッタリング装置10Dに装着したターゲットTDから、磁性層形成用原子が放出されて下地層上に磁性層が形成される。
【0019】
以上の工程によって、プラスチックフィルムの両面に磁性層が形成されて、巻き取りロール10によって巻き取られる。なお、加熱ロール5A、5B設置部の上部および下部には、プラスチックフィルム4の加熱による放出ガスの吸着等を行う補足手段12が配置されていることが好ましい。
また、以上の説明では、プラスチックフィルムの両面に磁性層を形成する方法について説明をしたが、同様の方法で一方の面のみに形成することも可能である。
【0020】
また、上記の磁性層を形成した後に、磁性層上にダイヤモンド状炭素をはじめとした保護層を形成してもよい。該保護層の形成方法は、特に限定されないが、CVD法等が挙げられる。
図2は、本発明に適用可能な高周波プラズマを利用したCVD装置の一例を説明する図である。
磁性層を形成したプラスチックフィルム4は、ロール13から巻き出され、パスローラ14によってバイアス電源15からバイアス電圧が磁性層に給電され成膜ロール16に巻きつけられた状態で走行する。
一方、炭化水素、窒素、希ガス等を含有する原料気体17は、高周波電源18から印加された電圧によって発生したプラズマによって、成膜ロール16上の磁性層上に窒素、希ガスを含有した炭素保護膜が形成され、巻き取りロール19に巻き取られる。また、炭素保護膜の作製の前に磁性膜表面を希ガスや水素ガスによるグロー処理などによって清浄化することでより大きな密着性を確保することができる。また、磁性層表面にシリコン中間層等を形成することによって密着性をさらに高めることができる。
【0021】
本発明の製造方法によって得られた磁気記録媒体20は図3に示す様に、下地層21、磁性層22の結晶成長性が良好なものである。
図3は、本発明の一実施例の磁気記録媒体の層構成を説明する断面模式図である。
図3は、少なくともプラスチックフィルム4上に、下地層21が設けられ、該有下地層21上に磁性層22が形成されたものである。
【0022】
〔磁性層〕
本発明の磁気記録媒体の製造方法で形成する磁性層22としては、特に限定されないが、プラスチックフィルム4上に室温程度の低温で成膜でき、かつハードディスクと同様に高記録密度記録が可能となるという利点から、少なくともコバルト、白金、クロムを含有する強磁性金属合金と非磁性物質から構成された強磁性薄膜磁性層が好ましい。このような磁性層とすることにより、リムーバブル型の磁気記録媒体の高容量化が可能となる。また、このコバルトを含有する強磁性金属合金と非磁性の金属酸化物からなる強磁性薄膜はハードディスクで提案されている、特開平5−73880号公報や特開平7−311929号公報等に記載されているものと同様の方法によって製造したものが使用できる。
上記の磁性層22において、強磁性金属合金23と非磁性物質24は見かけ上は混合して存在しているが、図3に示す強磁性金属合金23は、全体組成に比べて強磁性金属合金の存在量が多い部分であり、非磁性物質24は、全体組成に比べて非磁性物質が多い部分である。また、強磁性金属合金23の存在量が多い部分は、相互に0.01nm〜10nmの間隔を設けて形成されている。
【0023】
本発明の磁性層22は、後述の下地層21の結晶配向を反映して結晶成長が起こり、図3に示すような柱状構造を形成することが望ましい。この様な構造とすることで、非磁性物質に富んだ領域による磁性金属合金に富んだ領域間の分離構造が安定となり、高い保持力を達成できるとともに、強磁性金属合金に富んだ部分では磁化量が増えるため、高出力化が可能となり、しかも強磁性金属合金に富んだ部分の分散性が均一となるため、ノイズも小さくすることが可能なる。
【0024】
コバルト、白金、クロムを含有する強磁性金属合金としてはCo、Cr、PtとNi、Fe、B、Si、Ta、Nb等の元素との合金が使用できるが、記録特性を考慮するCo−Pt−Cr、Co−Pt−Cr−Ta、Co−Pt−Cr−B等が特に好ましい。
【0025】
非磁性物質としてはSi、Zr、Ta、B、Ti、Al、Cr、Ba、Zn、Na、La、In、Pb等の酸化物、炭化物、窒化物が使用できるが、記録特性を考慮するとSiO が最も好ましい。
【0026】
コバルト、白金、クロムを含有する強磁性金属合金と非磁性物質の混合比は、強磁性金属合金:非磁性物質=95:5〜80:20(原子比)の範囲であることが好ましく、90:10〜85:15の範囲であることが特に好ましい。これよりも強磁性金属合金が多くなると、磁性粒子間の分離が不十分となり、保持力が低下してしまう。逆にこれよりも少なくなると、磁化量が減少するため、信号出力が著しく低下してしまう。
【0027】
コバルト、白金、クロムを含有する強磁性金属合金と非磁性物質の混合物からなる磁性層の厚みとしては好ましくは10nm〜60nm、さらに好ましくは20nm〜40nmの範囲である。これよりも厚みが厚くなるとノイズが著しく増加してしまい、逆に厚みが薄くなると、出力が著しく減少してしまう。
【0028】
コバルト、白金、クロムを含有する強磁性金属合金と非磁性物質からなる磁性層を形成する方法としては真空蒸着法、スパッタリング法などの真空成膜法が使用できる。なかでもスパッタリング法は良質な薄膜が容易に成膜可能であることから、本発明に好適である。スパッタリング法としてはDCスパッタリング法、RFスパッタリング法のいずれも使用可能である。スパッタリング法は連続フィルム上に連続して成膜するウェブスパッタリング装置、枚葉式スパッタリング装置を用いることができるがウェブスパッタリング装置を用いることが好ましい。
スパッタリング時の雰囲気に使用する気体はアルゴンが使用できるが、その他の希ガスを使用しても良い。また非磁性物質の酸素含有率や表面粗さを調整するために微量の酸素を導入しても良い。
磁性層をスパッタリングする時のスパッタガス圧は、1×10−4Torr〜1×10−1Torrが好ましく、1×10−3Torr〜5×10−2Torrが特に好ましい。
【0029】
とくに、本発明のようにスパッタリング法でコバルト、白金、クロムを含有する強磁性金属合金と、非磁性物質からなる磁性層を形成するためには強磁性金属合金ターゲットと非磁性物質ターゲットの2種を用い、これらの共スパッタリング法を使用することも可能であるが、形成すべき強磁性金属合金と非磁性物質の組成比に合致した強磁性金属合金と非磁性物質を均質に混合した混合物ターゲットを用いると、強磁性金属合金が均一に分散した磁性層を形成することができる。また、この混合物ターゲットはホットプレス法等で作製することができる。
【0030】
本発明の製造方法で得られる磁気記録媒体の磁性層は、磁性層面に対して垂直方向に磁化容易軸を有するいわゆる垂直磁気記録膜でも、水平方向に磁化容易軸を有する面内磁気記録膜でも良い。この磁化容易軸の方向は後述の下地層の材料や結晶構造および磁性層の組成と成膜条件によって制御することができる。
【0031】
〔下地層〕
本発明の磁気記録媒体の製造方法により形成する下地層としては、前記磁性層の密着性の向上、膜応力の緩和、磁性層の結晶配向制御が可能となるものであれば特に限定されないが、好ましくは、Cr、Li、Be、Mg、Al、Si、P、S、K、Ca、Sc、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Cs、Ba、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Tl、Pb、Biからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含有するものである。
【0032】
これらのなかでも、Cr、Co、Be、Os、Re、Ti、Zn、Ta、Al、Mo、W、V、Fe、Sb、Ir、Ru、Rh、Pt、Pd、SiおよびZrからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有する合金を用いることが好ましいが、格子定数制御および密着性向上の観点からは、Tl、Be、Ru、Si、Zrを用いることが好ましい。
【0033】
下地層の厚みは10nm〜200nmが好ましく、10nm〜100nmが特に好ましい。200nmよりも厚みが厚くなると、生産性が悪くなるとともに、膜応力が大きくなってしまう。また、10nmよりも厚みが薄くなると、下地層の効果による磁気特性の向上が得られない。
【0034】
下地層を成膜する方法としては真空蒸着法、スパッタリング法などの真空成膜法が使用できる。なかでもスパッタリング法は良質な超薄膜が容易に成膜可能であることから、本発明に好適である。スパッタリング法としては、DCスパッタリング法、RFスパッタリング法のいずれも使用可能である。スパッタリング法は、可撓性高分子フィルムを支持体としたフレキシブルディスクの場合、帯状の連続フィルム上に連続して成膜するウェブスパッタリング装置が好適であるが、アルミニウム基板やガラス基板を用いる場合に使用されるような枚様式スパッタリング装置や通過型スパッタリング装置も使用できる。
下地層のスパッタリング時のスパッタリング気体としてはアルゴンガスが使用できるが、その他の希ガスを使用しても良い。また、下地層の格子定数制御、膜応力の緩和の目的で、微量の酸素もしくは窒素ガスを導入しても良い。
下地層をスパッタリングする時のスパッタガス圧は、1×10−4Torr〜1×10−1Torrが好ましく、1×10−3Torr〜5×10−2Torrが特に好ましい。
【0035】
スパッタリング法で所望の成分の下地層を形成するためには、複数個のターゲットを用いた共スパッタリング法を使用することもできるが、格子定数等を精密に制御し、かつ均質な膜を作製するためには、所望の成分の金属等を含有した合金ターゲットを用いることが好ましい。合金ターゲットはホットプレス法で作製することができる。
【0036】
本発明の磁気記録媒体の製造方法で用いられる支持体としては、磁気ヘッドと磁気ディスクとが接触した時の衝撃を回避することが可能である合成樹脂フイルムからなるプラスチックフィルムが挙げられる。このような合成樹脂フィルムとしては、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセテートセルロース、フッ素樹脂等からなる合成樹脂フィルムが挙げられる。本発明ではフィルムを加熱することなく良好な記録特性を達成することができるため、表面性が良好で、また入手も容易なポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートが特に好ましい。
【0037】
また、プラスチックフィルムとして合成樹脂フィルムを複数枚を積層したものを用いても良い。複数枚を積層した積層フィルムを用いることにより、プラスチックフィルム自身に起因する反りやうねりを軽減することができる。その結果、磁気記録媒体の表面が磁気ヘッドと衝突による磁気記録層の耐傷性を著しく改善することがきる。
可撓性フイルムを積層する方法としては、熱ロールによるロール積層、平板熱プレスによる平板積層、接着面に接着剤を塗布してラミネートするドライ積層、予めシート状に成形された接着シートを用いる積層方法等が挙げられる。積層に接着剤を用いる場合には、ホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、UV硬化型接着剤、EB硬化型接着剤、粘着シート、嫌気性接着剤などを使用することがきる。
【0038】
プラスチックフィルムの厚みは、10μm〜200μm、好ましくは20μm〜150μm、さらに好ましくは30μm〜100μmである。プラスチックフィルムの厚みが10μmより薄いと、高速回転時の安定性が低下し、面ぶれが増加する。一方、プラスチックフィルムの厚みが200μmより厚いと、回転時の剛性が高くなり、接触時の衝撃を回避することが困難になり磁気ヘッドの跳躍を招く。
【0039】
また、下記式で表されるプラスチックフィルムの腰の強さは、b=10mmでの値が4.9MPa〜19.6MPa(0.5kgf/mm 〜2.0kgf/mm )の範囲にあることが好ましく、6.9MPa〜14.7MPa(0.7kgf/mm 〜1.5kgf/mm )がより好ましい。
【0040】
プラスチックフィルムの腰の強さ=Ebd/12
【0041】
なお、この式において、Eはヤング率、bはフィルム幅、dはフィルム厚さを各々表す。
【0042】
プラスチックフィルムの表面は、磁気ヘッドによる記録を行うために、可能な限り平滑であることが好ましい。支持体表面の凹凸は、信号の記録再生特性を著しく低下させる。具体的には、後述する下塗り層を使用する場合では、光干渉式の表面粗さ計で測定した表面粗さが中心面平均粗さSRaで5nm以内、好ましくは2nm以内、触針式粗さ計で測定した突起高さが1μm以内、好ましくは0.1μm以内である。また、下塗り膜を用いない場合では、光干渉式の表面粗さ計で測定した表面粗さが中心面平均粗さSRaで3nm以内、好ましくは1nm以内、触針式粗さ計で測定した突起高さが0.1μm以内、好ましくは0.06μm以内である。
【0043】
プラスチックフィルム表面には、平面性の改善と気体遮断性を高めるために下塗り層を設けることが好ましい。磁性層をスパッタリング等で形成するため、下塗り層は耐熱性に優れることが好ましく、下塗り層の材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を使用することができる。熱硬化型ポリイミド樹脂、熱硬化型シリコーン樹脂は、平滑化効果が高く、特に好ましい。下塗り層の厚みは、0.1μm〜3.0μmが好ましい。支持体に他の樹脂フィルムを積層する場合には、積層加工前に下塗り層を形成してもよく、積層加工後に下塗り層を形成してもよい。
【0044】
熱硬化性ポリイミド樹脂としては、ビスアリルナジイミド(丸善石油化学社製BANI)のように、分子内に末端不飽和基を2つ以上有するイミドモノマーを、熱重合して得られるポリイミド樹脂が好適に用いられる。このイミドモノマーは、モノマーの状態で支持体表面に塗布した後に、比較的低温で熱重合させることができるので、原料となるモノマーを支持体上に直接塗布して硬化させることができる。また、このイミドモノマーは一般的な有機溶剤に溶解させて使用することができ、生産性、作業性に優れると共に、分子量が小さく、その溶液粘度が低いために、塗布時に凹凸に対する回り込みが良く、平滑化効果が高い。
【0045】
熱硬化性シリコーン樹脂としては、有機基が導入されたケイ素化合物を原料としてゾルゲル法で重合したシリコーン樹脂が好適に用いられる。このシリコーン樹脂は、二酸化ケイ素の結合の一部を有機基で置換した構造からなりシリコーンゴムよりも大幅に耐熱性に優れると共に、二酸化ケイ素膜よりも柔軟性に優れるため、可撓性フィルムからなる支持体上に樹脂膜を形成しても、クラックや剥離が生じ難い。また、原料となるモノマーをプラスチックフィルム上に直接塗布して硬化させることができるため、汎用溶剤を使用することができ、凹凸に対する回り込みも良く、平滑化効果が高い。更に、縮重合反応は、酸やキレート剤などの触媒の添加により比較的低温から進行するため、短時間で硬化させることができ、汎用の塗布装置を用いて樹脂膜を形成することができる。また熱硬化性シリコーン樹脂は気体遮断性に優れており、磁性層形成時にプラスチックフィルムから発生し、磁性層または下地層の結晶性、配向性を阻害する気体を遮蔽する気体遮蔽性が高く、特に好適である。
【0046】
下塗り層の表面には、磁気ヘッドとフレキシブルディスクとの真実接触面積を低減し、摺動特性を改善することを目的として、微小突起(テクスチャ)を設けることが好ましい。また、微小突起を設けることにより、プラスチックフィルムの取り扱い性も良好になる。微小突起を形成する方法としては、球状シリカ粒子を塗布する方法、エマルジョンを塗布して有機物の突起を形成する方法などが使用できるが、下塗り層の耐熱性を確保するため、球状シリカ粒子を塗布して微小突起を形成するのが好ましい。
【0047】
微小突起の高さは5nm〜60nmが好ましく、l0nm〜30mmがより好ましい。微小突起の高さが高すぎると記録再生ヘッドと媒体のスペーシング損失によって信号の記録再生特性が劣化し、微小突起が低すぎると摺動特性の改善効果が少なくなる。微小突起の密度は0.1〜100個/μm が好ましく、1〜10個/μm がより好ましい。微小突起の密度が少なすぎる場合は摺動特性の改善効果が少なくなり、多過ぎると凝集粒子の増加によって高い突起が増加して記録再生特性が劣化する。
また、バインダーを用いて微小突起を支持体表面に固定することもできる。バインダーには、十分な耐熱性を備えた樹脂を使用することが好ましく、耐熱性を備えた樹脂としては、溶剤可溶型ポリイミド樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、熱硬化型シリコン樹脂を使用することが特に好ましい。
【0048】
図3に示す様に、磁性層22の表面には保護層25が設けられることが好ましい。保護層25は、磁性層22に含まれる金属材料の腐蝕を防止し、磁気ヘッドと磁気ディスクとの擬似接触または接触摺動による摩耗を防止して、走行耐久性、耐食性を改善するために設けられる。保護層25には、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの酸化物、窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化物、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化物、グラファイト、無定型カーボンなどの炭素等の材料を使用することができる。
【0049】
保護層としては、磁気ヘッド材質と同等またはそれ以上の硬度を有する硬質膜であり、摺動中に焼き付きを生じ難くその効果が安定して持続するものが、摺動耐久性に優れており好ましい。また、同時にピンホールが少ないものが、耐食性に優れておりより好ましい。このような保護膜としては、CVD法で作製されるダイヤモンド状炭素(DLC)と呼ばれる硬質炭素膜が挙げられる。
保護層は、性質の異なる2種類以上の薄膜を積層した構成とすることができる。例えば、表面側に摺動特性を改善するための硬質炭素保護膜を設け、磁性層側に耐食性を改善するための窒化ケイ素などの窒化物保護膜を設けることで、耐食性と耐久性とを高い次元で両立することが可能となる。
【0050】
保護層上には、走行耐久性および耐食性を改善するために、必要に応じて、潤滑層が設けられる。潤滑層には、炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤等の潤滑剤が使用される。
炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、ステアリルアミン等のアミン類などが挙げられる。
【0051】
フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑剤が挙げられる。パーフルオロポリエーテル基としては パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CFCFCFO)、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF)CFO)、またはこれらの共重合体等である。具体的には、分子量末端に水酸基を有するパーフルオロメチレン−パーフルオロエチレン共重合体(アウジモント社製、商品名:FOMBLIN Z−DOL)等が挙げられる。
【0052】
極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル等のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチオ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジベンジル等の硫黄系極圧剤などが挙げられる。
【0053】
上記の潤滑剤は単独もしくは複数を併用して使用することができ、潤滑剤を有機溶剤に溶解した溶液を、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ディップコート法等で保護層表面に塗布するか、真空蒸着法により保護層表面に付着させればよい。潤滑剤の塗布量としては、1〜30mg/m が好ましく、2〜20mg/m が特に好ましい。
【0054】
また、耐食性をさらに高めるために、防錆剤を併用することが好ましい。防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、プリン、ピリミジン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核にアルキル側鎖等を導入した誘導体、ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、テトラザインデン環化合物、チオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有複素環類およびこの誘導体等が挙げられる。これら防錆剤は、潤滑剤に混合して保護層上に塗布してもよく、潤滑剤を塗布する前に保護層上に塗布し、その上に潤滑剤を塗布してもよい。防錆剤の塗布量としては、0.1〜10mg/mが好ましく、0.5〜5mg/mが特に好ましい。
【0055】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって更に具体的に本発明を説明するが、勿論本発明の範囲は、これらによって限定されるものではない。
〔実施例1〕
(保護層/CoPtCr−SiO 磁性層/Ru下地層/ベース)
厚み63μm、表面粗さRa=1.4nmのポリエチレンナフタレートフィルム上に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、塩酸、アルミニウムアセチルアセトネート、エタノールからなる下塗り液をグラビアコート法で塗布した後、100℃で乾燥と硬化を行い、厚み1.0μmのシリコーン樹脂からなる下塗り層を作製した。
この下塗り層上に粒子径25nmのシリカゾルと前記下塗り液を混合した塗布液をグラビアコート法で塗布して、下塗り層上に高さ15nmの突起を10個/μm の密度で形成した。
次に図1に示したウェブスパッタ装置にこの支持体4を設置し、80℃に加熱したロール5A、5Bに上記支持体4を密着させながら搬送する(加熱時間:1分)ことにより支持体加熱を行う加熱工程、15℃に冷却したロール6A、6Bに上記支持体4を密着させながら搬送する(冷却時間:1分)ことにより支持体冷却を行う冷却工捏を施した後、水冷した成膜ロール9A、9B上にフィルムを密着きせながら搬送し、下塗層上に、DCマグネトロンスパッタ法で、Ruからなる下地層を25nmの厚みで、CoPtCr合金(Co:Pt:Cr=70:20:10原子比):SiO =88:12(原子比)からなる組成の磁性層を20nmの厚みで形成した。
【0056】
この下地層、磁性層はフィルムの両面に成膜した。次にこの原反をウェブ式のCVD装置に設置し、エチレンガス、窒素ガス、アルゴンガスを反応ガスとして用いたRFプラズマCVD法でC:H:N=62:29:7mol比からなる窒素添加DLC保護膜を10nmの厚みで形成した。なおこのとき磁性層には−500Vのバイアスを印加した。この保護層もフィルムの両面に成膜した。
次にこの保護層表面に分子末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤(モンテフルオス社製FOMBLIN Z−DOL)をフッ素系潤滑剤(住友スリーエム社製HFE−7200)に溶解した溶液をグラビアコート法で塗布し、厚み1nmの潤滑層を形成した。この潤滑層もフィルムの両面に形成した。次にこの原反から3.5inchサイズのディスクを打ち抜き、これをテープバーニッシュした後、樹脂製カートリッジ(富士写真フイルム社製Zip100用)に組み込んで、フレキシブルディスクを作製した。
得られたフレキシブルディスクを以下に示した評価方法によって特性の評価を行い、その結果を表1に示す。
【0057】
〔比較例1〕
ウェブスパッタ装置にフィルム支持体を設置後の加熱したロールに前記支持体を密着させながら搬送することにより支持体加熱を行う加熱工程および冷却したロールに上記支持体を密着させながら搬送するこことにより支持体冷却を行う冷却工捏を実施しなかった以外は、実施例1と同様の操作によりフレキシブルディスクを作製した。
得られたフレキシブルディスクを以下に示した評価方法によって特性の評価を行い、その結果を表1に示す。
【0058】
〔比較例2〕
前記フィルム支持体の加熱工程および冷却工捏を、加熱および冷却ロールの密着によらずに、加熱および冷却手段をフイルム支持体に非接触に配置させた浮上方式で実施した以外は、実施例1と同様の操作によりフレキシブルディスクを作製した。
得られたフレキシブルディスクを以下に示した評価方法によって特性の評価を行い、その結果を表1に示す。
【0059】
(評価方法)
1.磁気特性
保磁力Hcを試料振動型磁力計(VSM)で測定して磁気特性とした。
2.断面TEMによる下地層の結晶成長不良層膜厚
断面TEM写真において、下地層とその下層との界面から、下地層内で柱状構造を示す箇所までの層を結晶成長不良層としてその膜厚を評価した。
3.表面粗さ(SRa)
セイコーインスツルメンツ社製、SPA−500を用いて、AFMコンタクトモードで約500nm角の面積から傾き補正を加えて表面粗さ(SRa)を求めた。
【0060】
【表1】
Figure 2004227621
【0061】
表1の結果からわかるように、本発明の磁気記録媒体であるフレキシブルディスクは、磁気特性が優れ、下地層の結晶成長不良層膜厚が小さく、表面粗さも良好であり、満足すべき結果を得たが、比較例におけるフレキシブルディスクは、磁気特性、下地層の結晶成長不良層膜厚、表面粗さのいずれかにおいて不満足なものであった。
【0062】
【発明の効果】
本発明の磁気記録媒体の製造方法および製造装置は、プラスチックフィルムを真空室に導入し、前工程としてロールに密着させた状態での加熱工程、冷却工程を導入し、冷却ロールに密着させた状態でスパッタリング法により、少なくとも下地層、磁性層を形成することにより、下地層及び磁性層成膜時の支持体からの放出ガスによる磁気記録媒体の特性低下問題を解決することができ、支持体が高分子フィルムであっても熱ダメージや放出ガスの影響の少ない、高密度記録の磁気テープやフレキシブルディスクを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の製造方法および製造装置の概要を説明する図である。
【図2】保護層を形成するために、適用可能な高周波プラズマを利用したCVD装置の一例を説明する図である。
【図3】本発明の製造方法で得られる磁気記録媒体の層構造を示す断面模式図である。
【図4】従来の製造方法で得られる磁気記録媒体の層構造を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1 成膜装置
2 真空室
3 巻出しロール
4 プラスチックフィルム
5A,5B 加熱ロール
6A,6B 冷却ロール
7 成膜室
8A,8B,8C,8D スパッタリング気体供給管
9A,9B 水冷成膜ロール
10A,10B,10C,10D 下地層スパッタリング装置
TA,TB,TC,TD ターゲット
11 巻き取りロール
12 放出ガス補足手段
13 ロール
14 パスローラ
15 バイアス電源
16 成膜ロール
17 原料気体
18 高周波電源
19 巻き取りロール
20 磁気記録媒体
21 下地層
22 磁性層
23 強磁性金属合金
24 非磁性物質
25 保護層

Claims (5)

  1. ロール状に巻回されたプラスチックフィルムを送り出すフィルム送り出し工程、該フィルムを搬送させながら該フィルムを加熱する加熱工程、該フィルムを搬送させながら該フィルム上にスパッタリング法による層が設けられる工程、およぴスパッタリング法による層が設けられた前記フィルムが巻き取られるフィルム巻き取り工程から、少なくとも構成される磁気記録媒体の製造方法こおいて、全工程が真空中で行われ、かつ、前記加熱工程において、加熱ロールにより前記プラスチックフィルムが加熱され、かつ、スパッタリング法による層が設けられる工程において、冷却ロールにより前記プラスチックフィルムが冷却され、かつ、スパッタリング法によって形成される層が少なくとも磁性層であることを特徴とする、磁気記録媒体の製造方法。
  2. 前記加熱ロールによりプラスチックフィルムが加熱された後、スパッタリング法による層が設けられる工程の前に、冷却ロールによりフィルムが冷却される工程を有することを特徴とする、請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. ロール状に巻回されたプラスチックフィルムを送り出すフィルム送り出し工程、該フィルムを搬送させながら該フィルムを加熱する加熱工程、加熱された前記フィルムが巻き取られる巻き取り工程、再び該フィルムを送り出すフィルム送り出し工程、該フィルムを搬送させながら該フィルム上にスパッタリング法による層が設けられるスパッタリング工程、およびスパッタリング法による層が設けられた前記フィルムが巻き取られる巻き取り工程を、この順に行う磁気記録媒体の製造方法において、全工程が真空中で行われ、かつ、前記加熱工程において、加熱ロールにより前記プラスチックフィルムが加熱され、かつ、スパッタリング法による層が設けられる工程において、冷却ロールにより前記プラスチックフィルムが冷却され、かつ、スパッタリング法によって形成される層が少なくとも磁性層であることを特徴とする、磁気記録媒体の製造方法。
  4. 真空室内に、ロール状に巻回されたプラスチックフィルムを送り出すフィルム送り出し部、該フィルムを搬送させながら該フィルム上にスパッタリング法による層が設けられるスパッタリング部、および前記フィルムが巻き取られるフィルム巻き取り部を有する磁気記録媒体用製造装置において、前記フィルム送り出し部とスパッタリング部との間に加熱ロールからなるフィルム加熱部が、前記スパッタリング部に冷却ロールが設けられたことを特徴とする、磁気記録媒体用製造装置。
  5. 前記フィルム加熱都と前記スパッタリング部との間に冷却ロールから成るフィルム冷却部を設けたことを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体用製造装置。
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