JP2005259325A - 磁気記録媒体の製造方法および製造装置 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法および製造装置 Download PDF

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Kenichi Moriwaki
健一 森脇
Junji Nakada
純司 中田
Kazuyuki Usuki
一幸 臼杵
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Abstract

【課題】可撓性高分子支持体上にスパッタフレークが付着せず、支持体搬送時の垂れ下がりやキズの発生しない製造方法および製造装置により、安価な高性能高信頼性高容量磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】可撓性高分子支持体4は、巻きだしロール3から巻き出され、最大高さRzが0.01〜0.4μmの表面性を有する成膜ロール8に沿った状態でスパッタ法により磁性層が形成された後、巻き取りロール10で巻き取られるまでの工程が、全て真空中で鉛直方向に維持した状態で搬送されることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。前記巻きだしロール3、成膜ロール8、及び巻き取りロール10を含む支持体搬送手段と、成膜ロール8に沿った状態で磁性層を形成するように備えられたスパッタ装置9を少なくとも含む真空成膜装置であって、前記支持体搬送手段は支持体を鉛直方向に維持した状態で搬送する構成である磁気記録媒体の製造装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気記録媒体、特にデジタル情報の記録に使用する磁気記録媒体の製造方法および製造装置に関する。
近年、インターネットの普及により、パーソナル・コンピュータを用いて大容量の動画情報や音声情報の処理を行う等、コンピュータの利用形態が変化してきている。これに伴い、ハードディスク等の磁気記録媒体に要求される記憶容量も増大している。
ハードディスク装置においては、磁気ディスクの回転に伴い、磁気ヘッドが磁気ディスクの表面からわずかに浮上し、非接触で磁気記録を行っている。このため、磁気ヘッドと磁気ディスクとの接触によって磁気ディスクが破損するのを防止している。高密度化に伴って磁気ヘッドの浮上高さは次第に低減されており、鏡面研磨された超平滑なガラス支持体上に磁気記録層等を形成した磁気ディスクを用いることにより、現在では10nm〜20nmの浮上高さが実現されている。この様なヘッドの低浮上量化に加え、ヘッド構造の改良、ディスク記録膜の改良等の技術革新によってハードディスクドライブの面記録密度と記録容量はここ数年で飛躍的に増大してきた。
取り扱うことができるデジタルデータ量が増大することによって、動画データの様な大容量のデータを可換型媒体に記録して、移動させるというニーズが生まれてきた。しかしながら、ハードディスクは支持体が硬質であって、しかも上述のようにヘッドとディスクの間隔が極わずかであるため、フレキシブルディスクや書き換え型光ディスクの様に可換媒体として使用しようとすると、動作中の衝撃や塵埃の巻き込みによって故障を発生する懸念が高く、使用できない。
一方、フレキシブルディスクや磁気テープは支持体がフレキシブルな高分子フィルムであり、接触記録可能な媒体であるため可換性に優れており、安価に生産できる。しかし、現在市販されているフレキシブルディスクと磁気テープは記録膜が磁性体を高分子バインダーや研磨剤とともに高分子フィルム上に塗布した塗布型磁気記録媒体と、コバルト系合金を真空中で蒸着によって成膜した蒸着型磁気記録媒体が用いられており、スパッタ法で磁性膜を形成しているハードディスクと比較すると、磁性層の高密度記録特性が悪く、ハードディスクの1/10以下の記録密度しか達成できていない。
そこで記録膜をハードディスクと同様のスパッタ法で形成する強磁性金属薄膜型のフレキシブルディスクも提案されている。支持体がフレキシブルな高分子フィルムのため、ロール状の支持体を搬送させながらスパッタ法による記録膜成膜が可能となる。すなわち、長尺サンプルを安価に生産することが可能となる。このような製造方法および製造装置としては、特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載のようなものが提案されている。しかし、長尺サンプルを一度に作製する際に、チャンバ内にスパッタによるフレークが堆積、剥離し、サンプル上に欠陥として付着する可能性がある。また、高分子支持体を搬送させるために設けられた各種ロール表面にスパッタフレークが堆積し、ロールがサンプルと接触する際に、サンプル上に欠陥として付着する可能性もあった。そのため、長尺サンプル作製にあたり生産性が低下するという問題があった。また、特許文献4、特許文献5、特許文献6に支持体の鉛直搬送に関する提案がなされているが、特許文献4や特許文献6に記載のように、ただロール軸を鉛直にするだけだと、支持体の自重による垂れ下がり、搬送ずれに対する課題があり、実用化が困難であった。また、特許文献5に記載のように外力を加え、支持体の搬送ずれを防止する手法を用いた場合、磁気記録媒体における記録層が直接ロールに接触した状態で外力が加えられるため、欠陥の発生を防止できず、特に1Gbit/inch2以上の高記録密度媒体への適用が困難であった。
DVD−R/RWに代表される追記型および書き換え型光ディスクは磁気ディスクのようにヘッドとディスクが近接していないため、可換性に優れており、広く普及している。しかしながら光ディスクは、光ピックアップの厚みとコストの問題から、高容量化に有利な磁気ディスクのように両面を記録面としたディスク構造を用いることが困難であるといった問題がある。さらに、磁気ディスクと比較すると面記録密度が低く、データ転送速度も低いため、書き換え型の大容量記録媒体としての使用を考えると、未だ十分な性能とはいえない。
上記の通り、大容量の書き換え可能な可換型記録媒体は、その要求が高いものの、性能、信頼性、コストを満足するものが存在しない。
特開平10-3663号公報 特開平10-11734号公報 特開2003-99918号公報 特開昭59-173266号公報 特開平8-244123号公報 特開2002−8227号公報
そこで、本発明は上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、可撓性高分子支持体上に少なくともスパッタ法により磁性層を形成する際に、スパッタフレークが付着せず、支持体搬送時の垂れ下がりやキズの発生しない製造方法および製造装置を用いることによって、高性能で高信頼性を有し、かつ安価な高容量磁気記録媒体を提供することにある。
前記目的を達成するための手段は下記の通りである。
1)可撓性高分子支持体の少なくとも一方の面に、少なくとも磁性層を形成する磁気記録媒体の製造方法において、前記支持体は、巻きだしロールから巻き出され、最大高さRzが0.01〜0.4μmの表面性を有する成膜ロールに沿った状態でスパッタ法により少なくとも磁性層が形成された後、巻き取りロールで巻き取られるまでの工程が、全て真空中で鉛直方向に維持した状態で搬送されることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
2)可撓性高分子支持体の少なくとも一方の面に、少なくとも磁性層を形成する磁気記録媒体の製造装置において、前記製造装置は、前記支持体を巻きだすための巻きだしロール、最大高さRzが0.01〜0.4μmの表面性を有する成膜ロール、及び巻き取りロールを含む支持体搬送手段と、成膜ロールに沿った状態で磁性層を形成するように備えられたスパッタ装置を少なくとも含む真空成膜装置であって、前記支持体搬送手段は支持体を鉛直方向に維持した状態で搬送する構成であることを特徴とする磁気記録媒体の製造装置。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、可撓性高分子支持体(以下、「支持体」ともいう)が真空中で鉛直方向に維持した状態で搬送されているため、チャンバ内に堆積、剥離したスパッタフレークが支持体上に落下、付着しないので、フレーク起因の欠陥が発生せず、非常に欠陥の少ない磁気記録媒体が作製可能である。
また、支持体のみでなく、支持体を搬送させるために備えられた各種ロールもすべて鉛直方向に保持されているため、スパッタフレークがロールに付着し難いという効果がある。
更に、成膜ロールの表面性をRz0.01〜0.4μmとすることで、スパッタの際に磁性層の表面平滑性が確保され、良好な電磁変換特性を得ることができる。さらに、成膜ロールの表面が非常に平滑となるため、支持体とロールとの密着性が向上し、支持体の自重による垂れ下がり、搬送ずれを防止することが可能となり、磁気記録媒体表面のキズ低減にも有効である。
この様な製造方法および製造装置を用いることによって、長尺ロール状の可撓性高分子支持体に対して、スパッタ法により少なくとも磁性層を形成した高密度記録可能な磁気記録媒体を得ることが可能となる。このため、接触記録に耐性のある、平坦な磁気テープやフレキシブルディスクも提供することが可能となる。
本発明によると、高密度磁気記録装置に用いて好適な、低ノイズでかつ、高信頼性を有する磁気記録媒体を安価に大量生産することができる。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、支持体の巻きだしから、磁性層の形成を経て、巻取りまでの全工程が真空中で支持体を鉛直方向に維持した状態で搬送されると共に磁性層の形成がなされることを特徴とする。なお、本願明細書において、「支持体を鉛直方向に維持した状態で搬送すること」を「鉛直搬送」ともいう。
ここで、支持体の鉛直方向とは、支持体の磁性層形成面が鉛直である方向である。本発明において、鉛直とは、鉛直方向に対して±5度以内を許容する意味である。
本発明において、支持体を鉛直搬送するための手段としては、(1)搬送ロールを鉛直に設けること、(2)支持体および/またはロール表面を物理的または化学的に処理し、所望の表面性(粗さ、ぬれ、粘着性等)を得ることにより、支持体とロール間の動摩擦力を調整すること、(3)対ロール(ニップ圧、上記の表面性等を調整)を用いること、(4)上記手段に加え、搬送ロール間の回転速度を制御すること等により、支持体の張力を制御すること等が挙げられる。
磁性層は、スパッタ法により成膜ロールに沿った状態で形成される。成膜ロールの表面は、最大高さRzが0.01〜0.4μm、好ましくは0.01〜0.1μmである。ここで、最大高さRzは、JIS B 0601−2001に準拠して求められる値である。
磁性層は、支持体上に直接設けることもできるが、ガスバリヤ層、下地層等が設けられた上に設けることが好ましい。
本発明は、磁気記録媒体を構成する全ての層を同一の真空装置内で形成することもできるし、一部の層を他の装置で形成することもできる。
本発明の磁気記録媒体の製造装置(本発明の装置ともいう)は、支持体を巻きだすための巻きだしロール、前記表面性を有する成膜ロール、及び巻き取りロールを含む支持体搬送手段と、成膜ロールに沿った状態で磁性層を形成するように備えられたスパッタ装置を少なくとも含む真空成膜装置であって、前記支持体搬送手段は支持体を鉛直搬送する構成である。
本発明の装置は、真空成膜装置であって、少なくとも当該装置内部に支持体搬送手段が設けられると共にスパッタ装置が備えられている。
支持体搬送手段は、上記以外の搬送ロールが設けられていてもよい。支持体搬送手段において、支持体を鉛直搬送する構成としては、上記した手段が適用される。
スパッタ装置は1機でもよいし、複数機が設けられていてもよい。
本発明装置の好ましい態様は、以下が挙げられる。
支持体搬送手段としては、巻きだしロール、成膜ロール、巻き取りロール等の各種搬送ロールが全て鉛直方向に設置されており、支持体が巻きだしロールから巻きだされ、複数のパスロールを経て成膜ロールに沿った状態で搬送され、さらに複数のパスロールを経た後、巻き取りロールで巻き取られる構造を有することが好ましい。このように各種搬送ロールが鉛直方向に設置されていることで、チャンバ内に浮遊するコンタミネーションの各種ロールへの付着が防止できる。すなわち、前記支持体が各種ロールに接触する際にも、コンタミネーション付着の影響が少なくなるため、メディア表面性が向上する。また、前記支持体が鉛直搬送されることにより、支持体上へのコンタミネーションの付着が防止できる。
また、成膜ロールの表面性が非常に平滑になっているため、支持体に対して、ロール表面粗さが悪影響を及ぼすことがない。また、支持体への密着性も向上するため、支持体の鉛直搬送時における垂れ下がり、搬送ずれも防止できるため、媒体上への欠陥発生防止も可能となる。成膜ロールの表面仕上げは、例えば、金属ロールの表面を硬質クロームめっきした後、鏡面研磨仕上げすることで、Rzを本発明範囲とすることができる
本発明を用いて作製された磁気記録媒体は、欠陥の少ない、平滑な強磁性金属薄膜磁性層を備えることができるので、ハードディスクのような高記録密度記録が可能となり、高容量化が可能となる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本実施の形態に係る磁気記録媒体の支持体は、可撓性高分子フィルムを用いることができる。本実施はテープ形状でもフレキシブルディスク形状でも用いることができる。可撓性高分子フィルム支持体を用いた本実施フレキシブルディスクは、中心部にセンターホールが形成された構造であり、プラスチック等で形成されたカートリッジ内に格納されている。なお、カートリッジには、通常、金属性のシャッタで覆われたアクセス窓を備えており、このアクセス窓を介して磁気ヘッドが導入されることにより、フレキシブルディスクへの信号記録や再生が行われる。可撓性高分子フィルム支持体を用いた本実施磁気テープは、長尺形状にスリットされた磁気テープが開放リール、あるいはリールカートリッジに組み込まれた構造であり、プラスチック等で形成されたカートリッジ内に格納されている。尚、リールカートリッジから巻きだされた磁気テープが磁気ヘッド部分を通過する際に、信号記録や再生が行われる。
フレキシブルディスクは可撓性高分子フィルムからなるディスク状支持体の両面の各々に、少なくとも磁性層を有するものであるが、さらに、表面性とガスバリヤ性を改善する下塗り層、密着性・ガスバリヤ性等の機能を有するガスバリヤ層、磁性層の結晶配向性を制御するための下地層、磁性層、磁性層を腐食や磨耗から保護する保護層、及び走行耐久性および耐食性を改善する潤滑層が、この順に積層されて構成されていることが好ましい。さらに、垂直媒体として用いる場合、フレキシブル支持体と磁性層の間に軟磁性層が形成されていることが望ましい。磁気テープは可撓性高分子フィルムからなるテープ状支持体の片面に、少なくとも磁性層を有するものであるが、上記同様さらに、下塗り層、ガスバリヤ層、下地層、磁性層、保護層、潤滑層がこの順に形成されていることが好ましい。他面側は、磁気テープがリールカートリッジから巻きだされ搬送される際に通過するガイドロールに接触する側であり、ガイドロールとの潤滑搬送の目的で、カーボン等のバックコート層が形成されていることが好ましい。
本実施に用いる磁性層は、磁化容易軸が支持体に対して水平方向に配向している面内磁気記録膜でも、支持体に対して垂直方向に配向している垂直磁気記録膜でもかまわない。この磁化容易軸の方向は下地層の材料や結晶構造および磁性膜の組成と成膜条件によって制御することができる。
磁性層はハードディスクで一般的に用いられているCoPtCr系磁性層や室温成膜可能なグラニュラ構造を有する磁性層、人工格子型積層磁性層等を用いることができる。この様な金属薄膜型磁性層を用いることで、高い保持力を達成でき、低ノイズ媒体を達成することができる。
具体的にはCoPtCr、CoPtCrB、CoCr、CoPtCrTa、CoPt、CoPtCr−SiO2、CoPtCr−TiO2、CoPtCr−Cr23、CoPtCrB−SiO2、CoRuCr、CoRuCr−SiO2、Co/Pt多層膜、Co/Pd多層膜、等が挙げられるが、その他の磁性層を用いることもできる。
磁性層の厚みとしては好ましくは5nm〜60nm、さらに好ましくは5nm〜30nmの範囲である。これよりも厚みが厚くなると粒成長により磁性粒子の柱間での相互作用が増大し、ノイズの著しい増加を引き起こすとともに、ヘッド−メディア接触時にかかる応力に対する耐性が低いため、走行耐久性の低下を引き起こしてしまう。逆に厚みが薄くなると、出力が著しく減少してしまう。
磁性層を形成する方法としては良質な超薄膜が容易に成膜可能なスパッタ法が、本発明に好適である。スパッタ法としては公知のDCスパッタ法、RFスパッタ法等が使用可能である。
磁性層を形成する際に、支持体温度を0℃から500℃の範囲で自由に制御することができる。支持体加熱する場合は、支持体をヒータ加熱、もしくは成膜用ロールを加熱するなどして制御できる。高分子フィルムの熱変形の懸念から、成膜用ロールに密着させた状態で成膜することが好ましい。室温、低温条件で磁性層を形成する際には、成膜用ロールを冷却するなどして支持体温度を制御することができる。
スパッタ時のスパッタガスとしては一般的なアルゴンガスが使用できるが、その他の希ガスを使用しても良い。また磁性層の酸素含有率の調整や表面酸化の目的で微量の酸素ガスを導入してもかまわない。
スパッタ法で磁性層を形成する際のAr圧としては、0.1Pa以上10Pa以下が好ましく、0.4Pa以上7Pa以下が特に好ましい。成膜時Ar圧を0.1Pa以上とすることで、磁性粒子の分離も可能でかつ、膜応力が緩和されるため支持体変形や膜のひび割れが生じにくい。また、成膜時Ar圧が10Pa以下とすることで、結晶性、膜強度を確保できる。
スパッタ法で磁性層を形成する際の投入電力としては、0.1W/cm2以上100W/cm2以下が好ましく、1W/cm2以上50W/cm2が特に好ましい。0.1W/cm2より高い投入電力を用いることで、結晶性、膜の密着性を確保するために必要なスパッタ粒子エネルギーが与えられる。一方、100W/cm2以下の投入電力とすることで、支持体に与える衝撃が過大とならず、支持体変形やスパッタ膜にクラックが発生する問題も回避できる。
本製造装置は、前記支持体が鉛直搬送された状態で、複数スパッタ源により磁性層等の各層が形成される構造を有することが望ましい。前記複数スパッタ源が成膜ロールに対向して設置されている構造を有することがさらに望ましい。
このような製造装置としては、図1に示すような真空成膜装置を挙げることができる。図1は、支持体の鉛直方向が紙面に対して鉛直な方向と一致するように描いたものである。真空成膜装置1は、真空室2を有し、巻きだしロール3から巻きだされた支持体4は、パスロール3a、張力調整ロール5A、5Bによって張力を調整されて、成膜室6へ送られる。成膜室6は真空ポンプによって所定の減圧度に減圧された状態でアルゴンがスパッタリング気体供給管7Aないし7Dから所定の流量で供給されている。支持体4は、成膜室6に設けた成膜ロール8Aに巻つきながら搬送された状態で、下地層スパッタ装置9AのターゲットTAから下地層形成用の原子が飛び出して支持体上に成膜される。
次いで、成膜された下地層上に成膜ロール8Aにおいて、磁性層スパッタ装置9Bに装着したターゲットTBから、磁性層形成用原子が放出されて下地層上に磁性層が形成される。次に、磁性層が形成された面を成膜ロール8Bに巻きつけながら移動した状態で、下地層スパッタ装置9CのターゲットTCから下地層形成用の原子が飛び出して支持体の先に磁性層が形成された面とは反対側が成膜される。更に、成膜ロール8B上において、磁性層スパッタ装置9Dに装着したターゲットTDから、磁性層形成用原子が放出されて下地層上に磁性層が形成される。
以上の工程によって、支持体の両面に磁性層が形成されて、パスロール3aを経て巻き取りロール10によって巻き取られる。ここで各種搬送ロールは鉛直方向に設置されていることで、上記効果が奏せられる。
尚、本発明は図1に示すものに限られるものでなく、1つの成膜ロールを有する真空槽で片面成膜した後、支持体を表裏反転し、他面成膜する工程としてもよい。
また、本製造装置に用いる成膜ロールは、前記支持体を密着させて搬送ずれを防止するためにも、前記スパッタ源に対し前記支持体がほぼ対向するためにも、ある程度以上大きい方が好ましく、少なくともロール直径が250mm以上、さらに好ましくは400mm以上であることが望ましい。
また、前記支持体の搬送速度は、1cm/分〜10m/分の範囲が好ましく、10cm/分〜8m/分の範囲がさらに好ましい。1cm/分以下の場合、生産性が悪く、10m/分以上の場合、前記支持体の搬送ずれの影響が無視できなくなる恐れがある。
また、前記支持体上に磁性層等の各層が形成される前に、ヒータもしくは加熱ロールにより、前記支持体を加熱し支持体に含まれるガスを放出する加熱脱ガス工程を通すことがより好ましい。前記ヒータおよび加熱ロールは、巻きだしロールと成膜ロールの間に設けることが好ましいが、加熱ロールは成膜ロールで代用しても構わない。
本製造装置における各種搬送ロールは、前記支持体をシワやキズなく搬送する目的で適宜表面加工を施すことができる。例えば、金属ロールの表面を硬質クロームめっきした後、鏡面研磨仕上げすることで、Rzを0.8μm以下に仕上げることが好ましく、0.4μm以下に仕上げることがさらに好ましい。0.8μm以下の表面仕上げにすることで、平滑な支持体を密着搬送させる場合においても、ロール表面粗さが転写することなく、表面平滑性を有する磁気記録媒体の作製が可能となる。
本実施に用いる下地層は磁性層の結晶配向性を制御する目的で設けることが望ましい。スパッタ法としては公知のDCスパッタ法、RFスパッタ法等が使用可能である。
下地層を形成する際に、支持体温度を0℃から500℃の範囲で自由に制御することができる。支持体を加熱する場合は、支持体をヒータ加熱、もしくは成膜用ロールを加熱するなどして制御できる。しかし、高分子フィルムの熱変形の懸念から、成膜用ロールに密着させた状態で成膜することが好ましい。室温、低温条件で下地層を形成する際には、成膜用ロールを冷却するなどして支持体温度を制御することができる。
スパッタ時のスパッタガスとしては一般的なアルゴンガスが使用できるが、その他の希ガスを使用しても良い。また結晶性の調整や表面酸化の目的で微量の酸素ガスを導入してもかまわない。
下地層の結晶配向性向上・導電性付与等の目的で下地層の真下にシード層や、密着性の改善、ガスバリヤ性の目的で、支持体と下地層の間にガスバリヤ層を設けても構わない。
シード層やガスバリヤ層を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタ法などの真空成膜法が使用でき、中でもスパッタ法は良質な超薄膜が容易に成膜可能である。スパッタ法としては公知のDCスパッタ法、RFスパッタ法等が使用可能である。シード層やガスバリヤ層は、前記下地層、前記磁性層と同様に鉛直搬送された前記支持体に対し形成することができる。
保護層は、磁性層に含まれる金属材料の腐蝕を防止し、磁気ヘッドと磁気ディスクとの擬似接触または接触摺動による摩耗を防止して、走行耐久性、耐食性を改善するために設けられる。保護層には、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化Co、酸化ニッケルなどの酸化物、窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化物、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化物、グラファイト、無定型カーボンなどの炭素等の材料を使用することができる。
保護層としては、磁気ヘッド材質と同等またはそれ以上の硬度を有する硬質膜であり、摺動中に焼き付きを生じ難くその効果が安定して持続するものが、摺動耐久性に優れており好ましい。また、同時にピンホールが少ないものが、耐食性に優れておりより好ましい。このような保護膜としては、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)と呼ばれる硬質炭素膜が挙げられる。
保護層は、性質の異なる2種類以上の薄膜を積層した構成とすることができる。例えば、表面側に摺動特性を改善するための硬質炭素保護膜を設け、磁気記録層側に耐食性を改善するための窒化珪素などの窒化物保護膜を設けることで、耐食性と耐久性とを高い次元で両立することが可能となる。
保護層を形成する装置としては、前記図1に示したような磁性層を形成する装置と同一または他の真空装置を用いても構わない。他の真空装置としては、前記磁性層を形成する装置と同様に、ウェブ鉛直搬送装置を用いることができる。巻きだしロール、成膜ロール、巻き取りロール等の各種搬送ロールが全て鉛直方向に設置されており、前記磁性層が形成された支持体が巻きだしロールから巻きだされ、複数のパスロールを経て成膜ロールに沿った状態で搬送されつつ、保護層形成装置により保護層が形成された後、巻き取りロールで巻き取られる構造を有することが好ましい。このように各種搬送ロールが鉛直方向に設置されていることで、上記と同様の効果を得ることができる。
また、成膜ロールを含む搬送ロールの表面性、成膜ロールの直径、及び支持体搬送速度は、磁性層形成用の真空成膜装置と同様の条件が好ましい。
また、本保護層形成装置は、上記のように支持体が鉛直搬送された状態で、保護層成膜用ガン、例えば、プラズマCVD、イオンビーム、スパッタ、イオンビームスパッタ、ECRスパッタ、FCVA等により保護層が形成される構造を有することが望ましい。保護層成膜用ガンは成膜ロール1本に対し1台でも複数台でも構わない。
また、前記支持体上に保護層が形成される前に、アルゴン処理のような密着性を高める処理を施すことが好ましい。
可撓性高分子支持体は、磁気ヘッドと磁気ディスクあるいは磁気テープとが接触した時の衝撃を回避するために樹脂フィルムで構成されていることが好ましい。このような樹脂フィルムとしては、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセテートセルロース、フッ素樹脂等からなる樹脂フィルムが挙げられる。
また、支持体として樹脂フィルムを複数枚ラミネートしたものを用いてもよい。ラミネートフィルムを用いることにより、支持体自身に起因する反りやうねりを軽減することができ、磁性層の耐傷性を著しく改善することがきる。
ラミネート手法としては、熱ローラによるロールラミネート、平板熱プレスによるラミネート、接着面に接着剤を塗布してラミネートするドライラミネート、予めシート状に成形された接着シートを用いるラミネート等が挙げられる。接着剤の種類は、特に限定されず、一般的なホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、UV硬化型接着剤、EB硬化型接着剤、粘着シート、嫌気性接着剤などを使用することがきる。
支持体の厚みは、フレキシブルディスクの場合、10μm〜200μm、好ましくは20μm〜150μm、さらに好ましくは30μm〜100μmである。支持体14の厚みが10μmより薄いと、高速回転時の安定性が低下し、面ぶれが増加する。一方、支持体14の厚みが200μmより厚いと、回転時の剛性が高くなり、接触時の衝撃を回避することが困難になり、磁気ヘッドの跳躍を招く。また、磁気テープの場合、1μm〜20μm、好ましくは3μm〜12μmである。3μmより薄いと、強度が不足し、切断やエッジ折れが発生しやすくなる。一方、20μmより厚いと、磁気テープ1巻当りに巻き取れる磁気テープ長が少なくなり、体積記録密度が低下してしまう。また剛性が高くなるため、磁気ヘッドへの当り、すなわち追従性が悪化する。
また、下記式で表されるフレキシブルディスク用支持体の腰の強さは、b=10mmでの値が4.9MPa〜19.6MPa(0.5kgf/mm2〜2.0kgf/mm2)の範囲にあることが好ましく、6.9MPa〜14.7MPa(0.7kgf/mm2〜1.5kgf/mm2)がより好ましい。
フレキシブルディスク用支持体の腰の強さ=Ebd3/12
なお、この式において、Eはヤング率、bはフィルム幅、dはフィルム厚さを各々表す。
支持体の表面は、磁気ヘッドによる記録を行うために、可能な限り平滑であることが好ましい。支持体表面の凹凸は、信号の記録再生特性を著しく低下させる。具体的には、後述する下塗り層を使用する場合では、光学式の表面粗さ計で測定した表面粗さが平均中心線粗さRaで5nm以内、好ましくは2nm以内、触針式粗さ計で測定した突起高さが1μm以内、好ましくは0.1μm以内である。また、下塗り膜を用いない場合では、光学式の表面粗さ計で測定した表面粗さが平均中心線粗さRaで3nm以内、好ましくは1nm以内、触針式粗さ計で測定した突起高さが0.1μm以内、好ましくは0.06μm以内である。
支持体表面には、平面性の改善とガスバリア性を目的として下塗り層を設けることが好ましい。本発明において、下塗り層を設ける場合には、巻きだしロールに備えられる支持体は、予め下塗り層が設けられたものを用いることが好ましい。磁性層をスパッタリング等で形成するため、下塗り層は耐熱性に優れることが好ましく、下塗り層の材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコン樹脂、フッ素系樹脂等を使用することができる。熱硬化型ポリイミド樹脂、熱硬化型シリコン樹脂は、平滑化効果が高く、特に好ましい。下塗り層の厚みは、0.1μm〜3.0μmが好ましい。支持体14に他の樹脂フィルムをラミネートする場合には、ラミネート加工前に下塗り層を形成してもよく、ラミネート加工後に下塗り層を形成してもよい。
熱硬化性ポリイミド樹脂としては、例えば、丸善石油化学社製のビスアリルナジイミド「BANI」のように、分子内に末端不飽和基を2つ以上有するイミドモノマーを、熱重合して得られるポリイミド樹脂が好適に用いられる。このイミドモノマーは、モノマーの状態で支持体表面に塗布した後に、比較的低温で熱重合させることができるので、原料となるモノマーを支持体上に直接塗布して硬化させることができる。また、このイミドモノマーは汎用溶剤に溶解させて使用することができ、生産性、作業性に優れると共に、分子量が小さく、その溶液粘度が低いために、塗布時に凹凸に対する回り込みが良く、平滑化効果が高い。
熱硬化性シリコン樹脂としては、有機基が導入されたケイ素化合物を原料としてゾルゲル法で重合したシリコン樹脂が好適に用いられる。このシリコン樹脂は、二酸化ケイ素の結合の一部を有機基で置換した構造からなりシリコンゴムよりも大幅に耐熱性に優れると共に、二酸化ケイ素膜よりも柔軟性に優れるため、可撓性フィルムからなる支持体上に樹脂膜を形成しても、クラックや剥離が生じ難い。また、原料となるモノマーを支持体上に直接塗布して硬化させることができるため、汎用溶剤を使用することができ、凹凸に対する回り込みも良く、平滑化効果が高い。更に、縮重合反応は、酸やキレート剤などの触媒の添加により比較的低温から進行するため、短時間で硬化させることができ、汎用の塗布装置を用いて樹脂膜を形成することができる。また熱硬化性シリコン樹脂はガスバリア性に優れており、磁性層形成時に支持体から発生する磁性層または下地層の結晶性、配向性を阻害するガスを遮蔽するガスバリア性が高く、特に好適である。
下塗り層の表面には、磁気ヘッドと磁気ディスクとの真実接触面積を低減し、摺動特性を改善することを目的として、微小突起(テクスチャ)を設けることが好ましい。また、微小突起を設けることにより、支持体のハンドリング性も良好になる。微小突起を形成する方法としては、球状シリカ粒子を塗布する方法、エマルジョンを塗布して有機物の突起を形成する方法などが使用できるが、下塗り層の耐熱性を確保するため、球状シリカ粒子を塗布して微小突起を形成するのが好ましい。
微小突起の高さは5nm〜60nmが好ましく、l0nm〜30mmがより好ましい。微小突起の高さが高すぎると記録再生ヘッドと媒体のスペーシングロスによって信号の記録再生特性が劣化し、微小突起が低すぎると摺動特性の改善効果が少なくなる。微小突起の密度は0.1〜100個/μm2が好ましく、1〜10個/μm2がより好ましい。微小突起の密度が少なすぎる場合は摺動特性の改善効果が少なくなり、多過ぎると凝集粒子の増加によって高い突起が増加して記録再生特性が劣化する。
また、バインダーを用いて微小突起を支持体表面に固定することもできる。バインダーには、十分な耐熱性を備えた樹脂を使用することが好ましく、耐熱性を備えた樹脂としては、溶剤可溶型ポリイミド樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、熱硬化型シリコン樹脂を使用することが特に好ましい。
保護層上には、走行耐久性および耐食性を改善するために、潤滑層が設けられる。潤滑層には、公知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤等の潤滑剤が使用される。
炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、ステアリルアミン等のアミン類などが挙げられる。
フッ素系潤滑剤としては、前記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑剤が挙げられる。パーフルオロポリエーテル基としては、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)CF2O)n、またはこれらの共重合体等である。具体的には、分子量末端に水酸基を有するパーフルオロメチレン−パーフルオロエチレン共重合体(アウジモント社製、商品名「FOMBLIN Z−DOL」)等が挙げられる。
極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル等のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチオ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジベンジル等の硫黄系極圧剤などが挙げられる。
前記の潤滑剤は単独もしくは複数を併用して使用することができ、潤滑剤を有機溶剤に溶解した溶液を、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ディップコート法等で保護層表面に塗布するか、真空蒸着法により保護層表面に付着させればよい。潤滑剤の塗布量としては、1〜30mg/m2が好ましく、2〜20mg/m2が特に好ましい。
また、耐食性をさらに高めるために、防錆剤を併用することが好ましい。防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、プリン、ピリミジン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核にアルキル側鎖等を導入した誘導体、ベンゾチアゾール、2−メルカプトンベンゾチアゾール、テトラザインデン環化合物、チオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有複素環類およびこの誘導体等が挙げられる。これら防錆剤は、潤滑剤に混合して保護層18上に塗布してもよく、潤滑剤を塗布する前に保護層18上に塗布し、その上に潤滑剤を塗布してもよい。防錆剤の塗布量としては、0.1〜10mg/m2が好ましく、0.5〜5mg/m2が特に好ましい。
磁気テープの場合、可撓性高分子支持体の磁性層を形成した面とは反対側の面にはバックコート層を設けることが好ましい。バックコート層は磁気記録媒体と摺動部材が摺動する際に磁気記録媒体の背面の磨耗を防止する潤滑効果を有している。また、バックコート層に潤滑層を用いる潤滑剤や防錆剤を添加することによって、バックコート層側から磁性層側へ潤滑剤や防錆剤が供給されるので、磁性層の耐食性を長期間保持することが可能となる。また、バックコート層自体のpHを調整することで磁性層の耐食性をさらに高めることもできる。バックコート層はカーボンブラック、炭酸カルシウム、アルミナ等の非磁性粉体とポリ塩化ビニルやポリウレタンなどの樹脂結合剤、さらに潤滑剤や硬化剤を有機溶剤に分散した溶液をグラビア法やワイヤーバー法などで塗布し、乾燥することで作製できる。バックコート層に防錆剤や潤滑剤を付与する方法としては、前記の溶液中に溶解してもよいし、作製したバックコート層に塗布してもよい。
以下に本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
厚み63μm、表面粗さRa=1.4nmのポリエチレンナフタレートフィルム上に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、塩酸、アルミニウムアセチルアセトネート、エタノールからなる下塗り液をグラビアコート法で塗布した後、100℃で乾燥と硬化を行い、厚み1.0μmのシリコン樹脂からなる下塗り層を作成した。この下塗り層上に粒子径25nmのシリカゾルと前記下塗り液を混合した塗布液をグラビアコート法で塗布して、下塗り層上に高さ15nmの突起を10個/μm2の密度で形成した。この下塗り層は支持体フィルムの両面に形成した。次に本発明の装置にこの原反を設置し、水冷したRzが0.05μmの表面性を有する成膜ロール上にフィルムを密着させながら搬送し、下塗り層上に、DCマグネトロンスパッタ法で、Cからなるガスバリヤ層を30nmの厚みで形成し、Ruからなる下地層をAr圧:2Pa条件下、20nmの厚みで形成し、(Co70−Pt20−Cr1088−(SiO212からなる磁性層をAr圧:2Pa条件下、20nmの厚みで形成した。このガスバリヤ層、下地層、磁性層はフィルムの両面に成膜した。次にこの原反をウェブ式の保護層成膜装置に設置し、エチレンガス、窒素ガス、アルゴンガスを反応ガスとして用いたイオンビーム法でC:H:N=62:29:7(モル比)からなる窒素添加DLC保護膜を5nmの厚みで形成した。この保護層もフィルムの両面に成膜した。次にこの保護層表面に分子末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤(アウジモント社製FOMBLIN Z−DOL)をフッ素系潤滑剤(住友スリーエム社製HFE−7200)に溶解した溶液をグラビアコート法で塗布し、厚み1nmの潤滑層を形成した。この潤滑層もフィルムの両面に形成した。次にこの原反から3.7inchサイズのディスクを打ち抜き、これをテープバーニッシュした後、樹脂製カートリッジ(富士写真フイルム社製Zip100用)に組み込んで、フレキシブルディスクを作製した。
(実施例2)
実施例1において支持体を厚み53μm、表面粗さRa=1.0nmのポリイミドフィルムを用い、成膜用ロールを200℃に加熱した状態で、Cr−Ti下地層、CoPtCrB磁性層を形成した以外は実施例1と同様にフレキシブルディスクを作製した。
(実施例3)
実施例1において支持体を厚み9μm、表面粗さRa=1.0nmのポリアラミドフィルムを用い、支持体の片面にガスバリヤ層、下地層、磁性層、保護層を形成し、他面側にカーボンブラックからなるバックコート層を形成し、8mm幅の磁気テープを作製した。
(比較例1)
実施例1において支持体を水平搬送したこと以外は実施例1と同様にフレキシブルディスクを作製した。
(比較例2)
実施例3において支持体を水平搬送したこと以外は実施例3と同様に磁気テープを作製した。
(比較例3)
実施例1において、Rzが1.0μmの表面性を有する成膜ロールを使用したこと以外は実施例1と同様にフレキシブルディスクを作製した。
得られた試料の性能を以下により評価し、結果を表1に示した。
(評価方法)
1)磁気特性
保磁力HcをVSMで測定した。
2)欠陥評価
光学式の表面欠陥検査装置によって評価した。フレキシブルディスクは、1枚あたりでの欠陥数、テープは8mm幅×1mあたりでの欠陥数とした。
Figure 2005259325
前記結果からわかるように本発明を用いて作製したフレキシブルディスクは欠陥数が非常に少なく、サンプルの生産性が高いことがわかる。一方、従来の水平搬送型装置を用いて作製した比較例1〜3は、磁気特性に変化ないが、欠陥数が比較的多く、信頼性の高いメディアとはいえない。
本発明に用いられる真空成膜装置の例を説明する図である。
符号の説明
1:真空成膜装置、2:真空室、3:巻きだしロール、3a:パスロール、4:可撓性高分子支持体、5A、5B:張力調整ロール、6:成膜室、7A,7B,7C,7D:スパッタリング気体供給管、8A,8B:成膜ロール、9A,9C:下地層スパッタ装置、9B,9C:磁性層スパッタ装置、TA,TB,TC,TD:ターゲット、10:巻き取りロール

Claims (2)

  1. 可撓性高分子支持体の少なくとも一方の面に、少なくとも磁性層を形成する磁気記録媒体の製造方法において、前記支持体は、巻きだしロールから巻き出され、最大高さRzが0.01〜0.4μmの表面性を有する成膜ロールに沿った状態でスパッタ法により少なくとも磁性層が形成された後、巻き取りロールで巻き取られるまでの工程が、全て真空中で鉛直方向に維持した状態で搬送されることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 可撓性高分子支持体の少なくとも一方の面に、少なくとも磁性層を形成する磁気記録媒体の製造装置において、前記製造装置は、前記支持体を巻きだすための巻きだしロール、最大高さRzが0.01〜0.4μmの表面性を有する成膜ロール、及び巻き取りロールを含む支持体搬送手段と、成膜ロールに沿った状態で磁性層を形成するように備えられたスパッタ装置を少なくとも含む真空成膜装置であって、前記支持体搬送手段は支持体を鉛直方向に維持した状態で搬送する構成であることを特徴とする磁気記録媒体の製造装置。
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