JP2006228393A - 磁気記録媒体の製造方法、磁気記録媒体の製造設備の制御方法及び磁気記録媒体の製造設備の制御装置 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法、磁気記録媒体の製造設備の制御方法及び磁気記録媒体の製造設備の制御装置 Download PDF

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健一 森脇
Kazuyuki Usuki
一幸 臼杵
Hitoshi Noguchi
仁 野口
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Abstract

【課題】媒体にキズやシワが発生せず、高性能で高信頼性を有し、且つ、安価な高容量磁気記録媒体の製造方法を提供する。
【解決手段】第4張力制御機構124aは、第4テンションピックアップロール118aにて検出された張力が規定の範囲に入るようにロール118aのトルク等を制御する。第5張力制御機構124bは、第5テンションピックアップロール118bにて検出された張力が前記規定の範囲に入るようにロール118bのトルク等を制御する。第3制御部116は、第3通信手段128を介して供給された前工程の巻き取り張力のデータに基づいて、前工程の巻き取り張力をT1a、この工程の巻き出し張力をT2aしたとき、0.5<T2a/T1a≦1の関係を満たすように制御する。
【選択図】図4

Description

本発明は、磁気記録媒体の基材である長尺の可とう性高分子支持体に対して第1処理を行って、ロールに巻き取る第1工程と、前記ロールに巻回された前記可とう性高分子支持体を巻き出して、第2処理を行う第2工程とを有する磁気記録媒体の製造方法、磁気記録媒体の製造設備の制御方法及び磁気記録媒体の製造設備の制御装置に関する。
近年、インターネットの普及により、パーソナル・コンピュータを用いて大容量の動画情報や音声情報の処理を行う等、コンピュータの利用形態が変化してきている。これに伴い、ハードディスク等の磁気記録媒体に要求される記憶容量も増大している。
ハードディスク装置においては、磁気ディスクの回転に伴い、磁気ヘッドが磁気ディスクの表面からわずかに浮上し、非接触で磁気記録を行っている。このため、磁気ヘッドと磁気ディスクとの接触によって磁気ディスクが破損するのを防止している。高密度化に伴って磁気ヘッドの浮上高さは次第に低減されており、鏡面研磨された超平滑なガラス基板上に磁気記録層等を形成した磁気ディスクを用いることにより、現在では10nm〜20nmの浮上高さが実現されている。この様なヘッドの低浮上量化に加え、ヘッド構造の改良、ディスク記録膜の改良等の技術革新によってハードディスクドライブの面記録密度と記録容量はここ数年で飛躍的に増大してきた。
取り扱うことができるデジタルデータ量が増大することによって、動画データの様な大容量のデータを可換型媒体に記録して、移動させるというニーズが生まれてきた。しかしながら、ハードディスクは基板が硬質であって、しかも上述のようにヘッドとディスクの間隔が極わずかであるため、フレキシブルディスクや書き換え型光ディスクの様に可換媒体として使用しようとすると、動作中の衝撃や塵埃の巻き込みによって故障を発生する懸念が高く、使用条件が制限される。
一方、フレキシブルディスクや磁気テープは基板がフレキシブルな高分子フィルムであり、接触記録可能な媒体であるため可換性に優れており、安価に生産できる。しかし、現在市販されているフレキシブルディスクと磁気テープは、磁性体を高分子バインダーや研磨剤とともに高分子フィルム上に塗布して形成した塗布型磁気記録媒体や、あるいはコバルト系合金を真空中で蒸着によって高分子フィルム上に成膜した蒸着型磁気記録媒体が用いられており、スパッタ法で磁性層を形成しているハードディスクと比較すると、磁性層の高密度記録特性が悪く、ハードディスクの1/10以下の記録密度しか達成できていない。
そこで磁性層をハードディスクと同様のスパッタ法で形成する強磁性金属薄膜型のフレキシブルディスクも提案されている。支持体がフレキシブルな高分子フィルムのため、ロール状の支持体を搬送させながらスパッタ法による磁性層成膜が可能となる。すなわち、長尺サンプルを安価に生産することが可能となる。このような製造方法及び製造装置としては、特許文献1〜7に提案されている。
超高密度磁気記録媒体の長尺サンプルを作製するためには、一般的に、可とう性高分子支持体上に磁性層、耐久性付与する硬質保護層を真空成膜により形成する工程、磁気ヘッドとの摺動磨耗特性を向上させるために潤滑層を形成する工程、所望の媒体形状に切断する工程があり、これらの工程でわずかでも媒体にキズやシワが入ることは許されない。しかし、これら工程を全くキズやシワなくウェブハンドリングする充分な手法が確立されていない。
DVD−R/RWに代表される追記型及び書き換え型光ディスクは磁気ディスクのようにヘッドとディスクが近接していないため、可換性に優れており、広く普及している。しかしながら光ディスクは、光ピックアップの厚みとコストの問題から、高容量化に有利な磁気ディスクのように両面を記録面としたディスク構造を用いることが困難であるといった問題がある。さらに、磁気ディスクと比較すると面記録密度が低く、データ転送速度も低いため、書き換え型の大容量記録媒体としの使用を考えると、未だ十分な性能とはいえない。
特開昭59−173266号公報 特開平5−274659号公報 特開平7−235035号公報 特開平10−3663号公報 特開平10−11734号公報 特開2002−367149号公報 特開2003−99918号公報
上記の通り、大容量の書き換え可能な可換型記録媒体は、その要求が高いものの、性能、信頼性、コストを満足するものが存在しない。
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、キズやシワが低減された磁気記録媒体を製造することができ、生産適性に優れる磁気記録媒体の製造方法、磁気記録媒体の製造設備の制御方法及び磁気記録媒体の製造設備の制御装置を提供することにある。
本発明に係る製造方法は、磁気記録媒体の基材である長尺の可とう性高分子支持体に対して第1処理を行って、ロールに巻き取る第1工程と、前記ロールに巻回された前記可とう性高分子支持体を巻き出して、第2処理を行う第2工程とを有する磁気記録媒体の製造方法において、前記第1工程における前記可とう性高分子支持体の前記ロールへの巻き取り張力をT1、前記第2工程における前記可とう性高分子支持体の前記ロールからの巻き出し張力をT2としたとき、
0.5<T2/T1≦1
となるように、前記巻き取り張力及び前記巻き出し張力を制御しながら前記磁気記録媒体を製造することを特徴とする。好ましくは、0.7<T2/T1≦1である。
すなわち、第2工程の巻き出し時に可とう性高分子支持体に掛かる張力が、その前の第1工程で巻き取る際の張力と同じか小さくなるようにし、且つ、第1工程で巻き取る際の張力の0.5倍より大きくなるようにしている。このように各工程における張力を調整することにより、次工程に移る際のロールの巻き締まりや巻き緩み等が防止され、媒体表面にキズやシワ等が発生せず、高密度記録を可能とする磁気記録媒体が得られる。
そして、前記第1処理は、前記可とう性高分子支持体上に少なくとも磁性層を形成する処理を含み、前記第2処理は、少なくとも前記磁性層が形成された前記可とう性高分子支持体の前記磁性層を形成した面の表層に潤滑層を形成する処理を含むようにしてもよい。
また、前記第1処理は、前記可とう性高分子支持体に形成された少なくとも磁性層上に潤滑層を形成する処理を含み、前記第2処理は、前記潤滑層が形成された前記可とう性高分子支持体を所望の形状に切断する処理を含むようにしてもよい。
この場合、本発明により得られる磁気記録媒体は、少なくとも真空成膜法により形成された磁性層を備えているので、ハードディスクのような高記録密度記録が可能となり、高容量化が可能となる。
次に、本発明に係る磁気記録媒体の製造設備の制御方法は、磁気記録媒体の基材である長尺の可とう性高分子支持体に対して第1処理を行って、ロールに巻き取る第1設備と、前記ロールに巻回された前記可とう性高分子支持体を巻き出して、第2処理を行う第2設備とを有する磁気記録媒体の製造設備の制御方法において、前記可とう性高分子支持体の前記ロールへの巻き取り張力を測定する第1ステップと、前記ロールから前記可とう性高分子支持体を巻き出す第2ステップと、前記可とう性高分子支持体の前記ロールからの巻き出し張力を測定する第3ステップと、前記第1ステップにて測定された前記巻き取り張力をT1、前記第3ステップにて測定された前記巻き出し張力をT2としたとき、
0.5<T2/T1≦1
となるように、前記第2ステップを制御する第4ステップとを有することを特徴とする。
また、本発明に係る磁気記録媒体の製造設備の制御装置は、磁気記録媒体の基材である長尺の可とう性高分子支持体に対して第1処理を行って、ロールに巻き取る第1設備と、前記ロールに巻回された前記可とう性高分子支持体を巻き出して、第2処理を行う第2設備とを有する磁気記録媒体の製造設備の制御装置において、前記第1設備に設置され、前記可とう性高分子支持体の前記ロールへの巻き取り張力を測定する第1手段と、前記第2設備に設置され、前記ロールから前記可とう性高分子支持体を巻き出す巻き出し手段と、前記第2設備に設置され、前記可とう性高分子支持体の前記ロールからの巻き出し張力を測定する第2手段と、前記第2設備に設置され、且つ、前記第1手段にて測定された前記巻き取り張力をT1、前記第2手段にて測定された前記巻き出し張力をT2としたとき、
0.5<T2/T1≦1
となるように、前記巻き出し手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
これら制御方法及び制御装置においては、各設備における可とう性高分子支持体の巻き取り張力及び巻き出し張力を制御することにより、次設備に移る際のロールの巻き締まりや巻き緩み等が防止され、媒体表面にキズやシワ等が発生せず、高密度記録を可能とする磁気記録媒体が得られる。
本発明に係る磁気記録媒体の製造方法、磁気記録媒体の製造設備の制御方法及び磁気記録媒体の製造設備の制御装置によれば、各工程における可とう性高分子支持体の巻き出し張力及び巻き取り張力を所定範囲内に調整することにより、磁気記録媒体表面にキズやシワ等の欠陥が発生することを防止することができ、高性能で高信頼性を有し、且つ、安価な高容量磁気記録媒体を提供することが可能となる。従って、接触記録に耐性のある、平坦な磁気テープやフレキシブルディスクを安価に提供することが可能となる。
以下、本発明に係る磁気記録媒体の製造方法、磁気記録媒体の製造設備の制御方法及び磁気記録媒体の製造設備の制御装置の実施の形態例について図1〜図6を参照しながら説明する。
本実施の形態に係る製造方法及び製造設備を用いて製造される磁気記録媒体は、フレキシブルディスクでも磁気テープでもよい。
フレキシブルディスクは、中心部にセンターホールが形成された構造であり、プラスチック等で形成されたカートリッジ内に格納されている。なお、カートリッジには、通常、金属性のシャッタで覆われたアクセス窓を備えており、このアクセス窓を介して磁気ヘッドが導入されることにより、フレキシブルディスクへの信号記録や再生が行われる。
図1は、カートリッジを取り除いたフレキシブルディスクの好適な層構成を示す断面図である。フレキシブルディスク10は、可とう性高分子支持体(以下、単に支持体12と記す)の両面に、表面突起を有する下塗り層14、第1下地層16、第2下地層18、磁性層20、保護層22及び潤滑層24が順次形成されている。垂直媒体として用いる場合、支持体12と磁性層20との間に軟磁性層が形成されていることが望ましい。
フレキシブルディスクの中心部には、通常、フレキシブルディスクドライブに装着するための係合手段(図示せず)が装着されている。
磁気テープの場合は、長尺形状にスリットされた磁気テープが開放リール、あるいはリールカートリッジに組み込まれた構造であり、プラスチック等で形成されたカートリッジ内に格納されている。リールカートリッジから巻きだされた磁気テープが磁気ヘッド部分を通過する際に、信号記録や再生が行われる。
磁気テープは可とう性高分子フィルムからなるテープ状支持体の片面に、少なくとも磁性層を有するものであるが、上記と同様に、下塗り層14、第1下地層16、第2下地層18、磁性層20、保護層22、潤滑層24がこの順に形成されている。他面側は、磁気テープがリールカートリッジから巻きだされ搬送される際に通過するガイドロールに接触する側であり、ガイドロールとの潤滑搬送の目的で、カーボン等のバックコート層が形成されていることが好ましい。
そして、本実施形態に係る製造方法では、以下の第1工程〜第4工程により磁気記録媒体を製造する。
[第1工程]ロール状の支持体12を巻き出して、支持体12の両面に下塗り層14を形成し、巻き取る。
[第2工程]上記第1工程で下塗り層14が形成された支持体12を再び巻き出して、下塗り層14上に第1下地層16、第2下地層18、磁性層20及び保護層22を形成した後、巻き取る。
[第3工程]上記第2工程で第1下地層16、第2下地層18、磁性層20及び保護層22が形成された支持体12を再び巻き出して、保護層22上に潤滑層24を形成した後、巻き取る。
[第4工程]上記第3工程で潤滑層24が形成された支持体12を再び巻き出して、所望の形状(フレキシブルディスクや磁気テープのメディアに対応した形状:以下、メディア形状と記す)に切断し、フレキシブルディスクあるいは磁気テープを得る。打ち抜かれた残りの支持体12を巻き取り、回収する。
以下に詳述するように、本実施の形態では、磁性層20を形成する第2工程からメディア形状に切断する第4工程の間において、第2工程の巻き取り張力をT1aと第3工程の巻き出し張力をT2a、第3工程の巻き取り張力をT1bと第4工程の巻き出し張力をT2bとしたとき、下記の(1)式及び(2)式の関係を満たすようにする。
0.5<T2a/T1a≦1 ……(1)
0.5<T2b/T1b≦1 ……(2)
なお、第1工程と第2工程との関係については、必ずしも(1)式や(2)式のような関係を満たす必要はないが、(1)式や(2)式のような関係を満たすことがより好ましい。すなわち、第1工程の巻き取り張力をT1cと第2工程の巻き出し張力をT2cとしたとき、下記の(3)式の関係を満たすようにする。
0.5<T2c/T1c≦1 ……(3)
以下、上記の第1工程〜第4工程について図面を参照して詳細に説明する。
まず、上記第1工程について説明する。図1は、第1工程に用いられる下塗り層形成装置40の一例を示している。この下塗り層形成装置40は、ロール状の支持体12の巻き出しを行う巻き出しロール42と、支持体12の巻き取りを行う巻き取りロール44と、第1制御部46とを備えている。支持体12の搬送経路上には、巻き出しロール42から巻き出される支持体12の張力を検知することができる第1テンションピックアップロール48aと、第1塗布設備50aと、第1硬化設備52aと、第2塗布設備50bと、第2硬化設備52bと、巻き取りロール44に巻き取られる支持体12の張力を検知することができる第2テンションピックアップロール48bとがこの順に配置されている。
この下塗り層形成装置40を用いて支持体12上に下塗り層14を形成するには、まず、支持体12を巻き出しロール42から巻き出し、第1塗布設備50aにより下塗り層用塗布液を塗布した後、第1硬化設備52aにて乾燥させ、硬化させる。さらに、第2塗布設備50bにおいて、例えばシリカ微粒子を含んだ下塗り層用塗布液を塗布して下塗り層14を塗布した後、第2硬化設備52bにて乾燥・硬化させ、巻き取りロール44にて巻き取る。巻き取った後、支持体12の他方の面にも同様にして下塗り層14を形成する。
そして、第1テンションピックアップロール48aには、第1張力制御機構54aが接続されている。この第1張力制御機構54aは、第1テンションピックアップロール48aにて検出された張力が規定の範囲に入るように第1テンションピックアップロール48aの位置やトルク、巻き出しロール42の回転数等をフィードバック制御する。
第2テンションピックアップロール48bには、第2張力制御機構54bと第1演算回路56が接続され、該第1演算回路56に第1通信手段58が接続されている。
第2張力制御機構54bは、第2テンションピックアップロール48bにて検出された張力が前記規定の範囲に入るように第2テンションピックアップロール48bの位置やトルク、巻き取りロール44の回転数等をフィードバック制御する。
張力の前記規定の範囲は、第1制御部46を介して供給されるようになっている。すなわち、第1制御部46にはユーザが数値を入力することができるテン・キーやキーボード等の第1入力装置60が接続されており、ユーザは、この第1入力装置60を使用してロット番号(例えば1つの巻き出しロール42に巻回された1つの長尺の支持体12ごとにロット番号を付した場合を想定する)や張力の規定の範囲が入力できるようになっている。入力された規定の範囲は、第1張力制御機構54a及び第2張力制御機構54bに供給される。
一方、第1演算回路56は、第2テンションピックアップロール48bにて検出された張力をメモリ(図示せず)に時系列に蓄積し、蓄積された複数の張力データのうち、規定の範囲に入る張力データを読み出して、これらの平均値を演算する。
第1通信手段58は、1つの長尺の支持体12への下塗り層14の形成が終了した段階で、対応するロット番号と第1演算回路56にて演算された平均値を例えばネットワークを介して第2工程の成膜装置70(図3参照)に送信する。
ここで、第1工程における搬送張力の前記規定の範囲は、特に限定されず、支持体12の材料、幅及び厚み等に応じて決定することができる。例えば、支持体12がポリエチレンナフタレート(PEN)からなり、幅:300mm、厚み:50μmの場合は、巻き出し張力及び巻き取り張力は1〜8kgfの範囲が好ましく、2〜6kgfの範囲がより好ましい。張力の調整は、上述したように、第1テンションピックアップロール48a及び第2テンションピックアップロール48bのトルク等を調節することにより容易に行うことができるが、これに限定されず、その他の図示しない搬送ロールにより張力を調整してもよい。
次に、上記第2工程、すなわち、第1下地層16、第2下地層18、磁性層20及び保護層22を形成する工程について説明する。
図3は、第2工程に用いられる成膜装置70の一例を示している。この成膜装置70は、支持体12を搬送しながら第1下地層16、第2下地層18、磁性層20及び保護層22をスパッタ法により形成する装置である。
この成膜装置70は筐体72を備えており、筐体72の内部には、上記第1工程で下塗り層14が形成された支持体12の巻き出しを行う巻き出しロール74と、支持体12の巻き取りを行う巻き取りロール76とを備えている。巻き出しロール74と巻き取りロール76との間の支持体12の搬送経路上には、支持体12の張力を検知できる第3テンションピックアップロール78を収容した張力検知部80と、支持体12上に第1下地層16、第2下地層18、磁性層20及び保護層22を形成する成膜部82と、第2制御部84とを備えている。
成膜部82には、第1成膜用ロール94aと第2成膜用ロール94bがそれぞれ回転自在に設置され、さらに、成膜部82の内壁と第1成膜用ロール94aとの間の空間が複数の仕切板96によって4つの真空室(第1真空室98a〜第4真空室98d)に区画され、成膜部82の内壁と第2成膜用ロール94bとの間の空間が複数の仕切板96によって4つの真空室(第5真空室98e〜第8真空室98h)に区画されされている。
第1真空室98aには、第1成膜用ロール94aに対向した箇所に、支持体12の一方の面に第1下地層16を形成するための第1スパッタ装置100aが設置され、第2真空室98bには、第1成膜用ロール94aに対向した箇所に、支持体12の一方の面に第2下地層18を形成するための第2スパッタ装置100bが設置され、第3真空室98cには、第1成膜用ロール94aに対向した箇所に、支持体12の一方の面に磁性層20を形成するための第3スパッタ装置100cが設置され、第4真空室98dには、第1成膜用ロール94aに対向した箇所に、支持体12の一方の面に保護層22を形成するための第1保護層成膜装置102aが設置されている。
同様に、第5真空室98eには、第2成膜用ロール94bに対向した箇所に、支持体12の他方の面に第1下地層16を形成するための第4スパッタ装置100dが設置され、第6真空室98fには、第2成膜用ロール94bに対向した箇所に、支持体12の他方の面に第2下地層18を形成するための第5スパッタ装置100eが設置され、第7真空室98gには、第2成膜用ロール94bに対向した箇所に、支持体12の他方の面に磁性層20を形成するための第6スパッタ装置100fが設置され、第8真空室98hには、第2成膜用ロール94bに対向した箇所に、支持体12の他方の面に保護層22を形成するための第2保護層成膜装置102bが設置されている。
第1スパッタ装置100a〜第6スパッタ装置100fには、それぞれ放電手段であるスパッタカソードと所望の膜を形成するためのターゲットとが設置されている。
また、第1真空室98a〜第8真空室98hには、それぞれ真空ポンプを備えた気体供給管(図示せず)が設けられており、第1真空室98a〜第8真空室98hの内部に所定の減圧度に減圧された状態でアルゴンガス等が所定の流量で供給できるようになっている。
次に、図3に示す成膜装置70を用いて、支持体12上に第1下地層16、第2下地層18、磁性層20及び保護層22を形成する方法を説明する。
まず、予め下塗り層14が塗布された支持体12を巻き出しロール74にセットし、支持体12を繰り出す。支持体12の搬送速度は、1cm/分〜10m/分の範囲が好ましく、10cm/分〜8m/分の範囲がさらに好ましい。1cm/分未満の場合、生産性が悪く、10m/分を超える場合、支持体12の搬送ずれの影響が無視できなくなるおそれがある。
支持体12を第3テンションピックアップロール78を通過させた後、第1成膜用ロール94aに搬送する。支持体12を第1成膜用ロール94aに密着させた状態で第1成膜用ロール94aを回転させ、第1スパッタ装置100a〜第3スパッタ装置100cにより、支持体12の一方の面の下塗り層14上に第1下地層16、第2下地層18及び磁性層20を順に形成する。第1下地層16、第2下地層18及び磁性層20を形成する際に用いるスパッタ法としては、公知のDCスパッタ法、RFスパッタ法等を用いることができる。
第1下地層16、第2下地層18及び磁性層20を形成した後、第1保護層成膜装置102aにより磁性層20上に保護層22を形成する。保護層22の形成方法としては、公知のプラズマCVD法、イオンビームデポジション法、フィルタードカソーディックバキュームアーク法等を用いることが好ましい。
第1成膜用ロール94a上で支持体12の一方の面に第1下地層16、第2下地層18、磁性層20及び保護層22を形成した後、第2成膜用ロール94bに搬送し、支持体12の他方の面に同様に第1下地層16、第2下地層18、磁性層20及び保護層22を形成し、巻き取りロール76にて巻き取る。
そして、第3テンションピックアップロール78には、第3張力制御機構86と第2演算回路88が接続され、該第2演算回路88に第2通信手段90が接続されている。
第3張力制御機構86は、第3テンションピックアップロール78にて検出された張力が規定の範囲に入るように第3テンションピックアップロール78の位置やトルク、巻き出しロール74の回転数、巻き取りロール76の回転数等をフィードバック制御する。
張力の前記規定の範囲は、第2通信手段90及び第2制御部84を介して供給されるようになっている。すなわち、第2制御部84にはユーザが数値を入力することができるテン・キーやキーボード等の第2入力装置92が接続されており、ユーザは、この第2入力装置92を使用してロット番号等が入力できるようになっている。また、第2制御部84には、第2通信手段90を介して第1通信手段58(図2参照)からのデータ(第1工程でのロット番号と該ロット番号に対応する支持体12の巻き取り張力のデータ(平均値))が供給されるようになっている。第2制御部84は、供給された第1通信手段58からのデータをテーブル化(ロット番号と巻き取り張力のデータとの対応テーブルとして作成)して例えばメモリ(図示せず)に登録する。
そして、ユーザが第2入力装置92を使用してロット番号を入力することにより、第2制御部84は、入力されたロット番号に対応する巻き取り張力のデータを前記対応テーブルから読み出し、この読み出したデータに基づいて上述した(3)式を満足する範囲を演算し、演算した範囲を規定の範囲として第3張力制御機構86に供給する。なお、前記対応テーブルから読み出された前記巻き取り張力のデータは、(3)式の巻き取り張力T1cに対応する。
一方、第2演算回路88は、第3テンションピックアップロール78にて検出された張力をメモリ(図示せず)に時系列に蓄積し、蓄積された複数の張力データのうち、規定の範囲に入る張力データを読み出して、これらの平均値を演算する。
第2通信手段90は、1つの長尺の支持体12への第1下地層16、第2下地層18、磁性層20及び保護層22の形成が終了した段階で、対応するロット番号と第2演算回路88にて演算された平均値を例えばネットワークを介して第3工程の潤滑層形成装置(図4参照)に送信する。
第2工程における搬送張力は、支持体12の材料、幅及び厚み、第1工程により支持体12上に形成された各層の材料等に応じて、上述した(1)式及び(3)式を満たすように調整されるものであるが、例えば、支持体12がポリエチレンナフタレート(PEN)からなり、幅:300mm、厚み:50μmの場合は、巻き出し張力及び巻き取り張力は1〜8kgfの範囲が好ましく、2〜6kgfの範囲がより好ましい。なお、張力の調整は、上述したように、第3テンションピックアップロール78のトルクを調節することにより容易に行うことができるが、これに限定されず、その他の図示しない搬送ロールあるいは第1成膜用ロール94a、第2成膜用ロール94bにより張力を調整してもよい。
次に、上記の第3工程について説明する。図4は、第3工程に用いられる潤滑層形成装置110の一例を示している。この潤滑層形成装置110は、巻き出しロール112と巻き取りロール114と、第3制御部116とを備えており、支持体12の搬送経路上に、張力を検知できる第4テンションピックアップロール118aと、グラビアコート装置122と、第5テンションピックアップロール118bとがこの順に配置されている。
支持体12の保護層22上に潤滑層24を形成するには、まず、支持体12を巻き出しロール112から巻き出し、グラビアコート装置122により、支持体12の一方の面に潤滑層24を形成し、巻き取りロール114により巻き取る。巻き取った後、さらに支持体12の他方の面にも同様にして潤滑層24を形成する。このようにして、支持体に磁性層等が形成された磁気記録材料160が作製される。
そして、第4テンションピックアップロール118aには、第4張力制御機構124aが接続されている。この第4張力制御機構124aは、第4テンションピックアップロール118aにて検出された張力が規定の範囲に入るように第4テンションピックアップロール118aの位置やトルク、巻き出しロール112の回転数等をフィードバック制御する。
第5テンションピックアップロール118bには、第5張力制御機構124bと第3演算回路126が接続され、該第3演算回路126に第3通信手段128が接続されている。
第5張力制御機構124bは、第5テンションピックアップロール118bにて検出された張力が前記規定の範囲に入るように第5テンションピックアップロール118bの位置やトルク、巻き取りロール114の回転数等をフィードバック制御する。
張力の前記規定の範囲は、第3制御部116を介して供給されるようになっている。すなわち、第3制御部116にはユーザが数値を入力することができるテン・キーやキーボード等の第3入力装置130が接続されており、ユーザは、この第3入力装置130を使用してロット番号等が入力できるようになっている。また、第3制御部116には、第3通信手段128を介して第2通信手段90(図3参照)からのデータ(第2工程でのロット番号と該ロット番号に対応する支持体12の巻き取り張力のデータ(平均値))が供給されるようになっている。第3制御部116は、供給された第3通信手段128からのデータをテーブル化(ロット番号と巻き取り張力のデータとの対応テーブルとして作成)して例えばメモリ(図示せず)に登録する。
そして、ユーザが第3入力装置130を使用してロット番号を入力することにより、第3制御部116は、入力されたロット番号に対応する巻き取り張力のデータを前記対応テーブルから読み出し、この読み出したデータに基づいて上述した(1)式を満足する範囲を演算し、演算した範囲を規定の範囲として第4張力制御機構124a及び第5張力制御機構124bに供給する。なお、前記対応テーブルから読み出された前記巻き取り張力のデータは、(1)式の巻き取り張力T1aに対応する。
一方、第3演算回路126は、第5テンションピックアップロール118bにて検出された張力をメモリ(図示せず)に時系列に蓄積し、蓄積された複数の張力データのうち、規定の範囲に入る張力データを読み出して、これらの平均値を演算する。
第3通信手段128は、1つの長尺の支持体12への下塗り層14の形成が終了した段階で、対応するロット番号と第1演算回路56にて演算された平均値を例えばネットワークを介して第2工程の成膜装置70(図3参照)に送信する。
ここで、第3工程における搬送張力は、支持体12の材料、幅及び厚み、第1工程及び第2工程により支持体12上に形成された各層の材料等に応じて、上述した式(1)及び式(2)を満たすように調整されるものであるが、例えば、支持体12がポリエチレンナフタレート(PEN)からなり、幅:300mm、厚み:50μmの場合は、巻き出し張力及び巻き出し張力は1〜8kgfの範囲が好ましく、2〜6kgfの範囲がより好ましい。張力の調整は、上述したように、第4テンションピックアップロール118a及び第5テンションピックアップロール118bのトルクを調節することにより容易に行うことができるが、その他の図示しない搬送ロールにより張力を調整してもよい。
次に、上記の第4工程について説明する。図5は、第4工程に用いられる連続打ち抜き装置140の一例を示している。この連続打ち抜き装置140は、巻き出しロール142と巻き取りロール144と、第4制御部146とを備えており、支持体12(磁気記録材料160)の搬送経路上に、張力を検知できる第6テンションピックアップロール148aと、パンチャー150と、第7テンションピックアップロール148bとがこの順に配置されている。
上記第4工程により第1下地層16、第2下地層18、磁性層20、保護層22及び潤滑層24が形成された支持体12(磁気記録材料160)を打ち抜くには、まず、支持体12を巻き出しロール142から巻き出し、パンチャー150により例えばフレキシブルディスク形状に打ち抜き、回収する。一方、打ち抜かれた支持体12を巻き取りロール144により巻き取る。
そして、第6テンションピックアップロール148aには、第6張力制御機構152aが接続されている。この第6張力制御機構152aは、第6テンションピックアップロール148aにて検出された張力が規定の範囲に入るように第6テンションピックアップロール148aの位置やトルク、巻き出しロール142の回転数等をフィードバック制御する。
同様に、第7テンションピックアップロール148bには、第7張力制御機構152bが接続されている。この第7張力制御機構152bは、第7テンションピックアップロール148bにて検出された張力が前記規定の範囲に入るように第7テンションピックアップロール148bの位置やトルク、巻き取りロール144の回転数等をフィードバック制御する。
張力の前記規定の範囲は、第4制御部146を介して供給されるようになっている。すなわち、第4制御部146にはユーザが数値を入力することができるテン・キーやキーボード等の第4入力装置154が接続されており、ユーザは、この第4入力装置154を使用してロット番号等が入力できるようになっている。また、第4制御部146には第4通信手段156が接続され、該第4通信手段156を介して第3通信手段128(図4参照)からのデータ(第3工程でのロット番号と該ロット番号に対応する支持体12の巻き取り張力のデータ(平均値))が供給されるようになっている。第4制御部146は、供給された第4通信手段156からのデータをテーブル化(ロット番号と巻き取り張力のデータとの対応テーブルとして作成)して例えばメモリ(図示せず)に登録する。
そして、ユーザが第4入力装置154を使用してロット番号を入力することにより、第4制御部146は、入力されたロット番号に対応する巻き取り張力のデータを前記対応テーブルから読み出し、この読み出したデータに基づいて上述した(2)式を満足する範囲を演算し、演算した範囲を規定の範囲として第6張力制御機構152a及び第7張力制御機構152bに供給する。なお、前記対応テーブルから読み出された前記巻き取り張力のデータは、(2)式の巻き取り張力T1bに対応する。
ここで、第4工程における搬送張力は、支持体12の材料、幅及び厚み、第1工程〜第3工程により支持体12上に形成された各層の材料等に応じて、上述した(2)式を満たすように調整されるものであるが、例えば、支持体12がポリエチレンナフタレート(PEN)からなり、幅:300mm、厚み:50μmの場合は、巻き出し張力及び巻き取り張力は1〜8kgfの範囲が好ましく、2〜6kgfの範囲がより好ましい。張力の調整は、上述したように、第6テンションピックアップロール148a及び第7テンションピックアップロール148bのトルクを調節することにより容易に行うことができるが、その他の図示しない搬送ロールにより張力を調整してもよい。
以上で説明したように、本実施の形態に係る製造方法は、全体としてみた場合に、磁気記録媒体の基材である長尺の支持体12に対して第1処理を行って、ロールに巻き取る第1の工程と、前記ロールに巻回された前記支持体を巻き出して、第2処理を行う第2の工程とを有する場合において、前記第1の工程における前記支持体の前記ロールへの巻き取り張力をT1、前記第2工程における前記支持体の前記ロールからの巻き出し張力をT2としたとき、0.5<T2/T1≦1となるように、好ましくは、0.7<T2/T1≦1となるように、前記巻き取り張力及び前記巻き出し張力を制御しながら前記磁気記録媒体を製造するようにしている。
このようにして磁気記録媒体を製造することにより、次工程に移る際のロールの巻き締まりや巻き緩み等が防止され、長尺の支持体12が良好な状態で搬送される。そのため、磁気記録媒体の表面にキズやシワ等が発生せず、高密度記録を可能とする磁気記録媒体が得られる。
なお、上述の例では、下塗り層14を形成する第1工程、第1下地層16、第2下地層18、磁性層20及び保護層22を形成する第2工程、潤滑層24を形成する第3工程、並びに、打ち抜きを行う第4工程の4つの工程により構成されているが、本実施の形態はこれに制限されない。例えば、真空成膜装置中で、第1下地層16、第2下地層18及び磁性層20を1工程で形成して巻き取った後、別の保護層形成装置を用いて保護層22を形成してもよい。この場合は、第1下地層16、第2下地層18及び磁性層20を形成する工程における張力と保護層22を形成する工程における張力、及び、保護層22を形成する工程における張力と潤滑層24を形成する工程における張力との関係を上記の式を満たすようにすればよい。
また、上述した例においては、支持体12の両面に磁性層等を形成する方法を示しているが、片面のみに磁性層等を形成する形態でもよい。
以下、本実施形態に係る磁気記録媒体に用いられる支持体12及び各層について説明する。
支持体12は、磁気ヘッドと磁気ディスクあるいは磁気テープとが接触した時の衝撃を回避するために可とう性を備えた樹脂フィルムで構成されている。このような樹脂フィルムとしては、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセテートセルロース、フッ素樹脂等からなる樹脂フィルムが挙げられる。
支持体として樹脂フィルムを複数枚ラミネートしたものを用いてもよい。ラミネートフィルムを用いることにより、支持体12自身に起因する反りやうねりを軽減することができ、磁気記録層の耐傷性を著しく改善することがきる。
ラミネート手法としては、熱ローラによるロールラミネート、平板熱プレスによるラミネート、接着面に接着剤を塗布してラミネートするドライラミネート、予めシート状に成形された接着シートを用いるラミネート等が挙げられる。接着剤の種類は、特に限定されず、一般的なホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、UV硬化型接着剤、EB硬化型接着剤、粘着シート、嫌気性接着剤等を使用することがきる。
支持体12の厚みは、フレキシブルディスクの場合、10μm〜200μm、好ましくは20μm〜150μm、さらに好ましくは30μm〜100μmである。支持体12の厚みが10μmより薄いと、高速回転時の安定性が低下し、面ぶれが増加する。一方、支持体12の厚みが200μmより厚いと、回転時の剛性が高くなり、接触時の衝撃を回避することが困難になり、磁気ヘッドの跳躍を招く。また、磁気テープの場合、1μm〜20μm、好ましくは3μm〜12μmである。3μmより薄いと、強度が不足し、切断やエッジ折れが発生しやすくなる。一方、20μmより厚いと、磁気テープ1巻当りに巻き取れる磁気テープ長が少なくなり、体積記録密度が低下してしまう。また剛性が高くなるため、磁気ヘッドへの当り、すなわち追従性が悪化する。
下記式で表される支持体12の腰の強さは、フレキシブルディスクの場合、b=10mmでの値が0.5kgf/mm2〜2.0kgf/mm2(4.9〜19.6MPa)の範囲にあることが好ましく、0.7kgf/mm2〜1.5kgf/mm2(6.86〜14.7MPa)がより好ましい。
支持体12の腰の強さ=Ebd3/12
なお、この式において、Eはヤング率、bはフィルム幅、dはフィルム厚さを各々表す。
支持体12の表面は、磁気ヘッドによる記録を行うために、可能な限り平滑であることが好ましい。支持体12の表面の凹凸は、信号の記録再生特性を著しく低下させる。具体的には、後述する下塗り層14を使用する場合では、光学式の表面粗さ計で測定した表面粗さが平均中心線粗さRaで5nm以内、好ましくは2nm以内、触針式粗さ計で測定した突起高さが1μm以内、好ましくは0.1μm以内である。また、下塗り層14を用いない場合では、光学式の表面粗さ計で測定した表面粗さが平均中心線粗さRaで3nm以内、好ましくは1nm以内、触針式粗さ計で測定した突起高さが0.1μm以内、好ましくは0.06μm以内である。
下塗り層14は、支持体12の表面の平面性の改善とガスバリア性を目的として設けられる層である。本実施の形態では磁性層20をスパッタリング等の真空成膜で形成するため、下塗り層14は耐熱性に優れることが好ましく、下塗り層14の材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコン樹脂、フッ素系樹脂等を使用することができる。熱硬化型ポリイミド樹脂、熱硬化型シリコン樹脂は、平滑化効果が高く、特に好ましい。下塗り層14の厚みは、0.1μm〜3.0μmが好ましい。支持体12に他の樹脂フィルムをラミネートする場合には、ラミネート加工前に下塗り層14を形成してもよく、ラミネート加工後に下塗り層14を形成してもよい。
熱硬化型ポリイミド樹脂としては、例えば、丸善石油化学社製のビスアリルナジイミド「BANI」のように、分子内に末端不飽和基を2つ以上有するイミドモノマーを、熱重合して得られるポリイミド樹脂が好適に用いられる。このイミドモノマーは、モノマーの状態で支持体12の表面に塗布した後に、比較的低温で熱重合させることができるので、原料となるモノマーを支持体12上に直接塗布して硬化させることができる。また、このイミドモノマーは汎用溶剤に溶解させて使用することができ、生産性、作業性に優れると共に、分子量が小さく、その溶液粘度が低いために、塗布時に凹凸に対する回り込みが良く、平滑化効果が高い。
熱硬化型シリコン樹脂としては、有機基が導入されたケイ素化合物を原料としてゾルゲル法で重合したシリコン樹脂が好適に用いられる。このシリコン樹脂は、二酸化ケイ素の結合の一部を有機基で置換した構造からなりシリコンゴムよりも大幅に耐熱性に優れると共に、二酸化ケイ素膜よりも柔軟性に優れるため、可とう性高分子からなる支持体上に樹脂膜を形成しても、クラックや剥離が生じ難い。また、原料となるモノマーを支持体12上に直接塗布して硬化させることができるため、汎用溶剤を使用することができ、凹凸に対する回り込みも良く、平滑化効果が高い。更に、縮重合反応は、酸やキレート剤等の触媒の添加により比較的低温から進行するため、短時間で硬化させることができ、汎用の塗布装置を用いて樹脂膜を形成することができる。また熱硬化型シリコン樹脂はガスバリア性に優れており、磁性層20の形成時に支持体12から発生する磁性層20又は第1下地層16や第2下地層18の結晶性、配向性を阻害するガスを遮蔽するガスバリア性が高く、特に好適である。
磁気記録媒体10の表面には、磁気ヘッドと磁気ディスクとの真実接触面積を低減し、摺動特性を改善することを目的として、図1に示すように、微小突起28(テクスチャ)を設けることが好ましい。また、微小突起28を設けることにより、支持体12のハンドリング性も良好になる。微小突起28を形成する方法としては、下塗り層14上に球状シリカ粒子30を塗布する方法、エマルジョンを塗布して有機物の突起を形成する方法等が使用できるが、下塗り層14の耐熱性を確保するため、球状シリカ粒子30を塗布して微小突起28を形成するのが好ましい。
微小突起28の高さhは5nm〜60nmが好ましく、10nm〜30nmがより好ましい。微小突起28の高さhが高すぎると記録再生ヘッドと磁気記録媒体10のスペーシングロスによって信号の記録再生特性が劣化し、微小突起28が低すぎると摺動特性の改善効果が少なくなる。微小突起28の密度は0.1〜100個/μm2が好ましく、1〜10個/μm2がより好ましい。微小突起28の密度が少なすぎる場合は摺動特性の改善効果が少なくなり、多過ぎると凝集粒子の増加によって高い突起が増加して記録再生特性が劣化する。
また、バインダーを用いて微小突起28を支持体12の表面に固定することもできる。バインダーには、十分な耐熱性を備えた樹脂を使用することが好ましく、耐熱性を備えた樹脂としては、溶剤可溶型ポリイミド樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、熱硬化型シリコン樹脂を使用することが特に好ましい。
第1下地層16及び第2下地層18は、密着性・ガスバリア性、磁性層20の結晶配向性を制御するために設けられる層である。第1下地層16及び第2下地層18を構成する材料としては、Si、Ti、Ni、B、NiP及びそれらの酸化物又は窒化物、カーボン、NiAl合金、Ru、RuAl合金、Re、Cr、Cr合金等を挙げることができる。第1下地層16及び第2下地層18の厚みは5〜50nmが好ましく、10〜40nmがより好ましい。なお、第1下地層16及び第2下地層18は必ずしも2層構成に限定されるものではない。
磁性層はハードディスクで一般的に用いられているCoPtCr系磁性層や室温成膜可能なグラニュラ構造を有する磁性層、人工格子型積層磁性層等を用いることができる。この様な金属薄膜型磁性層を用いることで、高い保持力を達成でき、低ノイズ媒体を達成することができる。
具体的にはCoPtCr、CoPtCrB、CoCr、CoPtCrTa、CoPt、CoPtCr−SiO2、CoPtCr−TiO2、CoPtCr−Cr23、CoPtCrB−SiO2、CoRuCr、CoRuCr−SiO2、Co/Pt多層膜、Co/Pd多層膜、等が挙げられるが、その他の磁性層を用いることもできる。
磁性層20の厚みとしては好ましくは5nm〜60nm、さらに好ましくは5nm〜30nmの範囲である。これよりも厚みが厚くなると粒成長により磁性粒子の柱間での相互作用が増大し、ノイズの著しい増加を引き起こすとともに、ヘッド−メディア接触時にかかる応力に対する耐性が低いため、走行耐久性の低下を引き起こしてしまう。逆に厚みが薄くなると、出力が著しく減少してしまう。
磁性層20は、磁化容易軸が支持体に対して水平方向に配向している面内磁気記録膜でも、支持体12に対して垂直方向に配向している垂直磁気記録膜でもかまわない。この磁化容易軸の方向は第1下地層16及び第2下地層18の材料や結晶構造及び磁性層20の組成と成膜条件によって制御することができる。
保護層22は、磁性層20に含まれる金属材料の腐蝕を防止し、磁気ヘッドと磁気ディスクとの擬似接触又は接触摺動による摩耗を防止して、走行耐久性、耐食性を改善するために設けられる層である。
保護層22には、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケル等の酸化物、窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の窒化物、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化物、グラファイト、無定型カーボン等の炭素等の材料を使用することができる。
保護層22としては、磁気ヘッド材質と同等又はそれ以上の硬度を有する硬質膜であり、摺動中に焼き付きを生じ難くその効果が安定して持続するものが、摺動耐久性に優れており好ましい。また、同時にピンホールが少ないものが、耐食性に優れておりより好ましい。このような材料としては、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)と呼ばれる硬質炭素膜が挙げられる。
保護層22は、性質の異なる2種類以上の薄膜を積層した構成とすることができる。例えば、表面側に摺動特性、耐食性を改善するための硬質炭素窒素保護膜を設け、磁気記録層側に膜硬度を改善するための硬質炭素保護膜を設けることで、耐食性と耐久性とを高い次元で両立することが可能となる。
潤滑層24は、走行耐久性及び耐食性を改善するために設けられる層である。潤滑層24には、公知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤等の潤滑剤を使用することができる。
炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、ステアリルアミン等のアミン類等が挙げられる。
フッ素系潤滑剤としては、前記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部又は全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑剤が挙げられる。パーフルオロポリエーテル基としては、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)CF2O)n、又はこれらの共重合体等である。具体的には、分子量末端に水酸基を有するパーフルオロメチレン−パーフルオロエチレン共重合体(アウジモント社製、商品名「FOMBLIN Z−DOL」)等が挙げられる。
上記の潤滑剤は単独もしくは複数を併用して使用することができる。
極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル等のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチオ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジベンジル等の硫黄系極圧剤等が挙げられる。
以上の潤滑剤は単独もしくは複数を併用して使用することができる。
また、耐食性をさらに高めるために、防錆剤を併用することが好ましい。防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、プリン、ピリミジン等の窒素含有複素環類及びこれらの母核にアルキル側鎖等を導入した誘導体、ベンゾチアゾール、2−メルカプトンベンゾチアゾール、テトラザインデン環化合物、チオウラシル化合物等の窒素及び硫黄含有複素環類及びこの誘導体等が挙げられる。これら防錆剤は、潤滑剤に混合して保護層上に塗布してもよく、潤滑剤を塗布する前に保護層上に塗布し、その上に潤滑剤を塗布してもよい。防錆剤の塗布量としては、0.1〜10mg/m2が好ましく、0.5〜5mg/m2が特に好ましい。
磁気テープにおけるバックコート層には、潤滑層24を用いる潤滑剤や防錆剤を添加することができる。潤滑剤や防錆剤を添加することによって、バックコート層側から磁性層20側へ潤滑剤や防錆剤が供給されるので、磁性層20の耐食性を長期間保持することが可能となる。また、バックコート層自体のpHを調整することで磁性層20の耐食性をさらに高めることもできる。バックコート層はカーボンブラック、炭酸カルシウム、アルミナ等の非磁性粉体とポリ塩化ビニルやポリウレタン等の樹脂結合剤、さらに潤滑剤や硬化剤を有機溶剤に分散した溶液をグラビア法やワイヤーバー法等で塗布し、乾燥することで作製できる。バックコート層に防錆剤や潤滑剤を付与する方法としては、前記の溶液中に溶解してもよいし、作製したバックコート層に塗布してもよい。
ここで、実施例1〜4と比較例1〜4について、欠陥評価及び走行耐久性評価を行った実験例について説明する。
まず、実施例1〜4、比較例1〜4の内容は以下のとおりである。
(実施例1)
第1工程において、図2に示す下塗り層形成装置40を用いて、厚み63μm、表面粗さRa=1.4nm、長さ300m、幅300mmのポリエチレンナフタレートフィルム上に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、塩酸、アルミニウムアセチルアセトネート、エタノールからなる下塗り液をグラビアコート法で塗布した後、100℃で乾燥と硬化を行い、厚み1.0μmのシリコン樹脂からなる下塗り層14を作成した。この下塗り層14上に粒子径25nmのシリカゾルと前記下塗り液を混合した塗布液をグラビアコート法で塗布して、下塗り層14上に高さ15nmの突起を10個/μm2の密度で形成した。この下塗り層14は支持体12の両面に形成した。なお、第1工程における巻き出し張力を5.5kgf、巻き取り張力を3.2kgfとした。
次に、第2工程において、図3に示す成膜装置70の巻き出しロール74にこの原反を設置し、水冷したRz:0.05μmの表面性を有する第1成膜用ロール94a上に支持体12を密着させながら搬送し、Arのガス圧が0.1Paの雰囲気中で、DCマグネトロンスパッタ法により下塗り層14上にC(炭素)からなる第1下地層16を20nmの厚みで形成し、Ar圧:4Pa条件下で、第1下地層16上にRuからなる第2下地層18を20nmの厚みで形成した。
次に、Ar圧:3Pa条件下で、第2下地層18上に、(Co70−Pt20−Cr1088−(SiO212からなる磁性層20を20nmの厚みで形成した。この磁性層20上に、エチレンガス、窒素ガス、アルゴンガスをC:H:N=62:29:7mol比となる混合ガスを導入し、ガス圧:0.06Pa条件下で、イオンビームデポジション法により、窒素添加DLC保護膜を5nmの厚みで形成した。
同様にして、成膜用ロール29b上で支持体12の他方の面に第1下地層16、第2下地層18、磁性層20及び保護層22を形成した後、巻き取りロール76にて巻き取った。なお、この第2工程における巻き出し張力を6.0kgf、巻き取り張力を6.0kgfとした。
次に、第3工程において、図4に示す潤滑層形成装置110を用いて、保護層22の表面に分子末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤(モンテフルオス社製FOMBLIN Z−DOL)をフッ素系潤滑剤(住友スリーエム社製HFE−7200)に溶解した溶液をグラビアコート法で塗布し、厚み1nmの潤滑層24を形成した。この潤滑層24も支持体12の両面に形成した。なお、この第3工程における巻き出し張力を5.0kgf、巻き取り張力を5.0kgfとした。
次に、第4工程において、ロール状の支持体12(磁気記録材料160)を図5に示す連続打ち抜き装置140に設置し、3.5inchサイズのディスクを打ち抜いた。なお、第4工程における巻き出し張力を4.0kgf、巻き取り張力を4.0kgfとした。
打ち抜いた磁気記録材料(サンプル)に対し、テープバーニッシュした後、樹脂製カートリッジ(富士写真フイルム社製Zip100用)に組み込んで、図1に示す層構成を有するフレキシブルディスク(磁気記録媒体)を作製した。
(実施例2)
支持体12として厚み9μm、表面粗さRa=1.0nmのポリアミドフィルムを用い、一方の面には、巻き出し張力6.0kgf、巻き取り張力4.0kgfの条件でカーボンブラックからなるバックコート層を形成し巻き取った後、他方の面には実施例1と同様に第1下地層16、第2下地層18、磁性層20、保護層22及び潤滑層24を設け、スリッティングし、8mm幅の磁気テープを作製した。
(実施例3)
実施例1において、真空成膜において両面に磁性層20を形成した後、一旦巻き取って、別の真空装置を用いて、巻き出し張力5.6kgf、巻き取り張力5.0kgfの条件で保護層22を両面に形成した後、一旦巻き取って、さらに実施例1と同様の潤滑層24の塗布、打ち抜きを行ったこと以外は実施例1と同様にフレキシブルディスクを作製した。
(実施例4)
実施例1において、真空成膜において磁性層20、保護層22を成膜した後、同一真空装置内で真空成膜により潤滑層24を形成した後、一旦巻き取って、巻き出し張力4.0kgf、巻き取り張力4.0kgfの条件で搬送しながら打ち抜きを行った以外は実施例1と同様にフレキシブルディスクを作製した。
(比較例1)
実施例1において、磁性層20、保護層22の形成を巻き出し張力2.0kgf、巻き取り張力2.0kgfの条件で、潤滑層24の形成を巻き出し張力5.0kgf、巻き取り張力3.0kgfの条件で、打ち抜き工程を巻き出し張力2.0kgf、巻き取り張力2.0kgfの条件で実施した以外は実施例1と同様にフレキシブルディスクを作製した。
(比較例2)
実施例1において、磁性層20、保護層22の形成を巻き出し張力4.0kgf、巻き取り張力4.0kgfの条件で、潤滑層24の形成を巻き出し張力4.0kgf、巻き取り張力4.0kgfの条件で、打ち抜き工程を巻き出し張力5.0kgf、巻き取り張力5.0kgfの条件で実施した以外は実施例1と同様にフレキシブルディスクを作製した。
(比較例3)
実施例3において、磁性層20を巻き出し張力6.0kgf、巻き取り張力6.0kgfの条件で、保護層22を巻き出し張力3.0kgf、巻き取り張力2.0kgfの条件で、潤滑層24を巻き出し張力2.0kgf、巻き取り張力2.0kgfの条件で、打ち抜き工程を巻き出し張力1.8kgf、巻き取り張力1.8kgfの条件で実施した以外は実施例3と同様にフレキシブルディスクを作製した。
(比較例4)
実施例1において、磁性層20、保護層22を巻き出し張力6.0kgf、巻き取り張力6.0kgfの条件で、潤滑層24を巻き出し張力2.0kgf、巻き取り張力2.0kgfの条件で、打ち抜き工程を巻き出し張力0.8kgf、巻き取り張力0.8kgfの条件で実施した以外は実施例1と同様にフレキシブルディスクを作製した。
そして、欠陥評価は、3.5inchに打ち抜いた媒体表面のキズを、顕微鏡にて観察しキズの有無を判断した。磁気テープは8mm×1mサイズあたりの媒体表面のキズを、顕微鏡にて観察しキズの有無を判断した。
また、走行耐久性評価は、再生トラック幅0.25μm、再生ギャップ0.09μmのGMRヘッドを用いて、線記録密度400kFCIの記録再生を繰り返し行いながら走行させ、出力が初期値−3dBとなった時点で走行を中止し、耐久時間とした。なお、環境は23℃50%RHとし、試験は最大300時間とした。
実験結果を図6に示す。
図6の実験結果からわかるように、本実施の形態に従って作製したフレキシブルディスクや磁気テープは媒体表面にキズがなく、走行耐久性も高いレベルで安定しており、製品の生産性が高いことがわかる。
一方、次工程の巻き出し張力を前工程の巻き取り張力以上とした比較例1〜3は、媒体表面に巻き締まり方向のキズが発生しており、次工程の張力を前工程張力の0.5倍以下とした比較例4では、媒体表面に巻き緩み方向のキズが発生しており、いずれも走行耐久性が低く、信頼性の高い媒体とはいえないことがわかる。
なお、本発明に係る磁気記録媒体の製造方法、磁気記録媒体の製造設備の制御方法及び磁気記録媒体の製造設備の制御装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
本実施形態に係る製造方法により製造されるフレキシブルディスクの層構成の一例を示す断面図である。 本実施の形態に係る下塗り層形成装置の一例を示す模式図である。 本実施の形態に係る成膜装置の一例を示す模式図である。 本実施の形態に係る潤滑層形成装置の一例を示す模式図である。 本実施形態に係る連続打ち抜き装置の一例を示す模式図である。 実施例1〜4、比較例1〜4の欠陥評価及び走行耐久性評価を示す表図である。
符号の説明
10…磁気記録媒体 12…支持体
40…下塗り層形成装置
42、74、112、142…巻き出しロール
44、76、114、144…巻き取りロール
46…第1制御部
54a、54b…第1、第2張力制御機構
56…第1演算回路 58…第1通信手段
70…成膜装置 84…第2制御部
86…第3張力制御機構 88…第2演算回路
90…第2通信手段 110…潤滑層形成装置
116…第3制御部
124a、124b…第4、第5張力制御機構
126…第3演算回路 128…第3通信手段
140…連続打ち抜き装置 146…第4制御部
152a、152b…第6、第7張力制御機構
156…第4通信手段

Claims (5)

  1. 磁気記録媒体の基材である長尺の可とう性高分子支持体に対して第1処理を行って、ロールに巻き取る第1工程と、
    前記ロールに巻回された前記可とう性高分子支持体を巻き出して、第2処理を行う第2工程とを有する磁気記録媒体の製造方法において、
    前記第1工程における前記可とう性高分子支持体の前記ロールへの巻き取り張力をT1、前記第2工程における前記可とう性高分子支持体の前記ロールからの巻き出し張力をT2としたとき、
    0.5<T2/T1≦1
    となるように、前記巻き取り張力及び前記巻き出し張力を制御しながら前記磁気記録媒体を製造することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法において、
    前記第1処理は、前記可とう性高分子支持体上に少なくとも磁性層を形成する処理を含み、
    前記第2処理は、少なくとも前記磁性層が形成された前記可とう性高分子支持体の前記磁性層を形成した面の表層に潤滑層を形成する処理を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  3. 請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法において、
    前記第1処理は、前記可とう性高分子支持体に形成された少なくとも磁性層上に潤滑層を形成する処理を含み、
    前記第2処理は、前記潤滑層が形成された前記可とう性高分子支持体を所望の形状に切断する処理を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  4. 磁気記録媒体の基材である長尺の可とう性高分子支持体に対して第1処理を行って、ロールに巻き取る第1設備と、
    前記ロールに巻回された前記可とう性高分子支持体を巻き出して、第2処理を行う第2設備とを有する磁気記録媒体の製造設備の制御方法において、
    前記可とう性高分子支持体の前記ロールへの巻き取り張力を測定する第1ステップと、
    前記ロールから前記可とう性高分子支持体を巻き出す第2ステップと、
    前記可とう性高分子支持体の前記ロールからの巻き出し張力を測定する第3ステップと、
    前記第1ステップにて測定された前記巻き取り張力をT1、前記第3ステップにて測定された前記巻き出し張力をT2としたとき、
    0.5<T2/T1≦1
    となるように、前記第2ステップを制御する第4ステップとを有することを特徴とする磁気記録媒体の製造設備の制御方法。
  5. 磁気記録媒体の基材である長尺の可とう性高分子支持体に対して第1処理を行って、ロールに巻き取る第1設備と、
    前記ロールに巻回された前記可とう性高分子支持体を巻き出して、第2処理を行う第2設備とを有する磁気記録媒体の製造設備の制御装置において、
    前記第1設備に設置され、前記可とう性高分子支持体の前記ロールへの巻き取り張力を測定する第1手段と、
    前記第2設備に設置され、前記ロールから前記可とう性高分子支持体を巻き出す巻き出し手段と、
    前記第2設備に設置され、前記可とう性高分子支持体の前記ロールからの巻き出し張力を測定する第2手段と、
    前記第2設備に設置され、且つ、前記第1手段にて測定された前記巻き取り張力をT1、前記第2手段にて測定された前記巻き出し張力をT2としたとき、
    0.5<T2/T1≦1
    となるように、前記巻き出し手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする磁気記録媒体の製造設備の制御装置。
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