JP2006137911A - スチレン系共重合樹脂組成物および耐熱押出発泡シートおよび容器 - Google Patents

スチレン系共重合樹脂組成物および耐熱押出発泡シートおよび容器 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐熱性スチレン系樹脂組成物よりなる押出発泡シートおよび容器の提供。
【解決手段】 スチレンとメタアクリル酸との共重合樹脂であり、その共重合組成がスチレン単量体70〜99重量%,メタアクリル酸単量体1 〜30重量%であって、その重量平均分子量が10万〜30万であり、そのメタノール可溶分が2.0〜5.0重量%であることを特徴とするスチレン系共重合樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱成形時の加熱収縮の少ない耐熱性スチレン系共重合樹脂組成物および当該組成物よりなる発泡シートおよび当該シートを熱成形して得られる容器に関する。
従来、耐熱性に優れる発泡シート用の樹脂材料としてフィラー補強したポリプロピレンが知られている。しかし、このフィラー入りのポリプロピレンは保温効果が低く、フィラー入りの為造粒操作を繰り返すとフィラーが壊れ耐熱物性が低下するなどリサイクルによる物性の保持が難しい等の欠点を有している。一方、透明性、加工性に優れ、安価に入手しうる発泡シート用の樹脂としてポリスチレンが知られている。しかし、ポリスチレンは耐熱性に限界があり、電子レンジ等による加熱下では成形品の変形が大きくなり、従って成形品の肉厚を厚くする必要がある。このため、ポリスチレンの特性を失わず、耐熱性を改良したものとして、スチレン−メタアクリル酸共重合体が開発され発泡体として広く用いられている(特許文献1、特許文献2)。又、その製造方法として、例えば連続プロセスによる方法(特許文献3)、懸濁重合による方法(特許文献4)など種々の方法が提案されている。
特開平08−283322号公報 特開平10−045937号公報 特開昭56−161409号公報 特開昭49−085184号公報
しかしながら、従来の樹脂では1次発泡して得られたシートを熱成形するに際し、シートの加熱収縮が大きいために、熱成形容器の外観にしわ等の外観不良を生じたり、熱成形容器の位置がずれて次の打ち抜き工程で抜きずれを生じる等の問題点があった。本発明の目的は、これらの問題点を解決し、良好な熱成形容器を得られる押出発泡シートおよびそれを熱成形して得られる容器を提供することにある。
本発明者らはかかる現状を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、特定のメタノール可溶分を有するスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂組成物を用いることにより、従来の樹脂と同等の機械特性、耐熱性を保持しつつ、熱成形時の加熱収縮による成形不良のない良好な押出発泡シートが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、スチレンとメタアクリル酸との共重合樹脂であり、その共重合組成がスチレン単量体70〜99重量%,メタアクリル酸単量体1 〜30重量%であって、その重量平均分子量が10万〜30万であり、そのメタノール可溶分が2.0〜5.0重量%である共重合樹脂からなることを特徴とするスチレン系共重合樹脂組成物を提供するものである。
また220℃、剪断速度100/秒におけるダイスウェルが1.50〜1.70である共重合樹脂組成物を提供するものである。また共重合樹脂組成物が可塑剤0.05〜1重量%含有することを特徴とする共重合樹脂組成物を提供するものである。また前記可塑剤として、一般式(A)R1 OH、一般式(B)R2 COOH、一般式(C)R3 COOCH2 CH(OH)CH2 (OH)(ただしR1 ,R2 ,R3 は炭素数10〜30のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基から選ばれる)で示される化合物より選ばれる1種以上を用いたスチレン系共重合樹脂組成物を提供するものである。
さらにこれらのスチレン系共重合樹脂組成物よりなる耐熱押出発泡シートを提供するものである。
またスチレン系共重合樹脂組成物100重量部あたりゴム成分としてスチレン−ジエン系熱可塑性エラストマーまたはメチルメタクリレート−ブタジエン−スチレンゴムを1〜10重量部を含有する押出発泡シートを提供するものである。
さらにこれらのシートを熱成形して得られる発泡容器を提供するものである。
本発明のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂組成物を用いることにより、熱成形時の加熱収縮による成形不良のない押出発泡シートを安定的に製造することができ、成形不良品の発生によるロスを防いで、抜きずれのない美麗な容器を得ることができる。
以下、本願発明について具体的に説明する。
本発明においては、スチレン単量体とメタアクリル酸の共重合体は熱重合または有機過酸化物群を重合開始剤として重合することができる。有機過酸化物の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1ビス−(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、ジミリスチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシエステル類、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、p−メンタンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーアミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジクミルパーオキシシクロヘキシル)プロパンなどの多官能開始剤を挙げることができる。
これらの有機過酸化物はスチレン単量体とメタアクリル酸単量体の共重合のいずれかの工程にて重合系(重合原料溶液または重合途中の溶液)に添加される。これらの有機過酸化物は重合原料溶液に加えられても、重合途中の溶液に必要に応じて複数回に分割して添加しても良い。上記有機過酸化物の添加量は重合原料溶液100重量部に対して0.0005〜0.2重量部であり、より好ましい添加量は、0.01〜0.1重量部である。上記有機過酸化物の添加量が0.0005重量部未満の場合は開始剤添加の目的の効果を得られない。又、0.2重量部を越える場合は重合時に大量の反応熱が発生するため重合の制御が困難となる場合がある。もしくは、重合体を得るのに低温でかつ長時間の重合時間が必要となるか、または、大量の溶媒が必要となるため生産性が低下する場合がある。
本発明において、その重合方法には特に制約はなく。通常の塊状重合、溶液重合、懸濁重合等が用いられる。また、本発明においては分子量調整のために、溶媒や連鎖移動剤を使用することも可能である。溶媒としては、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等が使用できる。溶媒の使用量は特に限定されるものではないが、0重量%〜30重量%の範囲の使用が好ましい。連鎖移動剤としてはn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー等が用いられ、0重量%〜1重量%の範囲の使用が好ましい。反応温度は、80〜160℃、より好ましくは90〜150℃の範囲である。反応温度が80℃より低いと生産性が低下し、工業的に不適当である。160℃を越えると低分子量重合体が多量に生成して好ましくない。目標分子量が重合温度のみで調整できない場合は、開始剤量、溶媒量、連鎖移動剤量等で制御すればよい。反応時間は一般に0.5〜20時間、より好ましくは2〜10時間である。反応時間が0.5時間より短いと反応が充分に進行しない。20時間より長い場合は生産性が低く、工業的に不適当である。なお後述するように、メタノール可溶分を調整するために、この重合の後に短時間の高温重合あるいは低温脱気の工程を加えることもできる。
スチレン系単量体およびメタアクリル酸単量体の共重合転化率については、特に限定されるものではないが、工業的な見地から、40%以上であることが望ましい。このようにして得られた重合溶液は、未反応単量体や溶媒を除去することにより、目的とするスチレン−メタアクリル酸系共重合体を分離することができる。懸濁重合の場合はそのまま次の工程に供される。また、スチレン系樹脂に慣用されている添加剤、例えば酸化防止剤、滑剤、着色剤等を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもかまわない。
本発明のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂の平均分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)で10万〜30万、より好ましくは15万〜25万とする。Mwが30万を越える場合は、溶融体の粘度が高くなり、成形、加工性等が極端に低下し、生産性が悪化する。また10万未満の場合は、成形体の強度が低下する。ここでいうMwとは、40℃、テトラヒドロフランを溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される。単分散ポリスチレンの溶出曲線より各溶出時間における分子量を算出し、ポリスチレン換算Mwを算出すればよい。
また、本発明により得られる共重合樹脂中のメタアクリル酸単位は1〜30重量%、より好ましくは5〜10重量%である。共重合樹脂中のメタアクリル酸単位が30重量%を越える場合は、溶融体の粘度が高くなり、成形、加工性等が低下し、生産性が悪化することに加えて、重合時にゲル状の組成物が大量に生成する場合がある。また1重量%未満の場合は共重合樹脂の耐熱性向上効果が不十分である。共重合樹脂中のメタアクリル酸単位の定量は、該共重合体をジメチルホルムアミドに溶解し、水酸化ナトリウム水溶液で滴定することで行われる。
本発明に使用されるスチレン−メタアクリル酸系共重合樹脂に目的を損なわない範囲においてスチレン、メタアクリル酸と共重合可能な第三モノマーを共重合してもかまわない。スチレン、メタアクリル酸と共重合可能なモノマーとしては例えば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル等のメタアクリル酸エステル類、αーメチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン等のスチレン以外の芳香族ビニル類、マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪酸類、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ジ脂肪酸無水物類,N−フェニルマレイミドの不飽和ジ脂肪酸イミド類等が挙げられる。これらのモノマー類は1種類または2種類以上併用してもかまわない。
本発明に使用されるスチレン−メタアクリル酸系共重合樹脂組成物はそのメタノール可溶分が2.0〜5.0重量%である。好ましくは2.5〜4.5重量%である。メタノール可溶分は可塑剤、酸化防止剤、滑剤、具体的には流動パラフィンや白色鉱油等の添加剤や重合により発生するオリゴマー等で調整でき、メタノール可溶分が2.0重量%より少ないと発泡シートの加熱収縮率が大きくなり、5.0重量%を超えると耐熱性が低下する。メタノール可溶分の測定は以下の様にして行うことができる。スチレン−メタアクリル酸系共重合樹脂組成物約1gを精秤し(Aとする)、10mlのメチルエチルケトンに溶解したのち300mlのメタノールに再沈澱し、濾過により沈澱物を集めて恒量となるまで乾燥を行い沈澱分の重量を精秤する(Bとする)。そして次式によりメタノール可溶分を求める。
メタノール可溶分(重量%)={(A−B)/A}×100
メタノール可溶分を2.0〜5.0重量%に制御する方法については種々の方法があるが、上記のように添加剤によるものの他、例えば通常の重合の後に160〜210℃、好ましくは170〜200℃で10分〜1時間程度の短時間の高温重合を行って低分子成分を生成させる方法、あるいはスチレン−メタアクリル酸系共重合樹脂を重合後、残留単量体を脱気するにあたって2段式の脱気器を用い、その1段目の温度を170℃以上210℃未満とすることによって低分子成分を生成させる方法等が挙げられる。1段目脱気器の温度が210℃以上であるとメタノール可溶分が5.0重量%を超えてしまうことがある。一方170℃より低いと高粘度のために運転困難となる。2段目の脱気器は通常の温度である210〜260℃にして残留単量体を低減することが好ましい。
本発明に使用されるスチレン−メタアクリル酸系共重合樹脂組成物は220℃、剪断速度100/秒におけるダイスウェルが1.50〜1.70であることが好ましい。より好ましくは1.50〜1.60である。ダイスウェルが1.50未満であると発泡シートに発泡セルの壁が破けたいわゆる連泡ができやすく、強度が低下することがある。またダイスウェルが1.70を超えるとシートの加熱収縮率が大きくなることがある。ダイスウェルはキャピラリレオメータを用いてL/D=20/1.96(mm)のオリフィスを通して押出したストランドの直径を測定し、ダイス口径との比を求めることによって算出する。ダイスウェルはスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂の分子量、分子量分布や可塑剤量等によって調整することができる。
次に本発明で用いられる可塑剤としては、一般式(A)R1 OH、一般式(B)R2 COOH、一般式(C)R3 COOCH2 CH(OH)CH2 (OH)(ただしR1 ,R2 ,R3 は炭素数10〜30のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基から選ばれる)で示される化合物より選ばれる1種以上の他、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、ステアリン酸ステアリル等のカルボン酸エステル類、グリセリン、鉱油等があり,それらは単独でも2種以上組み合わせてもよい。
一般式(A)R1 OH、一般式(B)R2 COOH、一般式(C)R3 COOCH2 CH(OH)CH2 (OH)(ただしR1 ,R2 ,R3 は炭素数10〜30のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基から選ばれる)で示される化合物より選ばれる1種以上が好ましい。
一般式(A)R1 OH(ただしR1 は炭素数10〜30のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基)の化合物の例としてデシルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール等が挙げられる。R1 の炭素数については10未満であると樹脂の耐熱性が低下する上、樹脂製造工程において揮発散逸して効率が悪い。R1 の炭素数が30を超えると加熱収縮低減効果が見られなくなる。これらの中で特にステアリルアルコールが好ましい。
また一般式(B)R2 COOH(ただしR2 は炭素数10〜30のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基)の化合物としてラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。Rの炭素数が10未満であると樹脂の耐熱性が低下する上、樹脂製造工程において揮発散逸して効率が悪い。R2 の炭素数が30を超えると加熱収縮低減効果が見られなくなる。これらの中で特にステアリン酸が好ましい。
また一般式(C)R3 COOCH2 CH(OH)CH2 (OH)(ただしR3 は炭素数10〜30のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基)は油脂類の部分加水分解物およびその水素添加物が挙げられ,特にステアリン酸モノグリセリドが好ましい。
可塑剤の含有量は0.05〜1重量部である。含有量が0.05重量部未満であると押出発泡シートの加熱収縮改善効果が見られず、また1重量部を超えると発泡シートの耐熱性が低下する。可塑剤を添加する方法としては特に限定はないが、重合前の単量体混合物に添加する方法、重合後の脱気工程の前に添加する方法、脱気後のペレット化前に添加する方法、さらには押出発泡成形の際にペレットにまぶすかあるいはマスターバッチとして添加する方法が挙げられる。
また、本発明の発泡シートの脆性を改良するためにスチレン−ジエン系熱可塑性エラストマーあるいはメチルメタクリレート−ブタジエン−スチレンゴムを添加することが好ましい。
本発明に使用されるスチレン−ジエン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン(S)と、ポリブタジエン(B)あるいはスチレン−ブタジエンランダム共重合体(S/B)あるいはポリイソプレン(I)あるいはスチレン−イソプレンランダム共重合体(S/I)のブロックより構成されるブロック共重合体であり、SBS系、BSBS系、S・S/B・S系、SIS系、S・S/I・S系ブロック共重合体等が挙げられる。スチレン−ジエン系熱可塑性エラストマーはジエン成分比率が50〜99重量%のブロック共重合体であることが好ましい。
ジエン成分比率が50重量%未満のものでは、発泡シートの脆性改良の為に必要な添加部数を増やす必要があり、目的の耐熱性が損なわれてしまい好ましくない。ジエン成分比率が99重量%を超えるとゴムの分散が不良となり、脆性改良効果がなくなる。本発明におけるスチレン−ジエン系熱可塑性エラストマーのスチレン−メタアクリル酸系共重合体組成物に添加される量は1〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは2〜8重量部、更に好ましくは3〜7重量部である。
またメチルメタクリレート−ブタジエン−スチレンゴムとしてはブタジエンゴムにスチレンとメチルメタクリレートをグラフト重合したゴムが好適に用いられる。メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレンゴムがスチレン−メタアクリル酸系共重合体組成物に添加される量は1〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは2〜8重量部、更に好ましくは3〜7重量部である。
これらのゴム成分は上記樹脂とあらかじめ混練しておいてもよいが、通常は押出発泡成形の際に樹脂ペレットとドライブレンドして供される。
本発明のスチレン−メタアクリル酸系共重合体組成物による押出発泡シートの製造方法は、可塑剤を含有するスチレン−メタアクリル酸共重合体を押出発泡する方法、スチレン−メタアクリル酸共重合体と可塑剤を直接混合して押出発泡する方法、可塑剤をスチレン−メタアクリル酸共重合体に混練してなるマスターバッチペレットを製造し、このマスターバッチペレットをスチレン−メタアクリル酸共重合体と混合して押出発泡する方法などがある。押出発泡時の発泡剤や発泡核剤については通常用いられる物質を使用できる。発泡剤としてはブタン、ペンタン、フロン、水等を使用することができ、ブタンが好適である。また発泡核剤としてはタルク等を使用できる。
また、ポリスチレン発泡体と同様、フィルムをラミネートしても良い。使用するフィルムの種類として、一般のポリスチレンに使用されるもので差し支えない。
次に、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。
以下に分析法と発泡シート特性の測定法を記す。
(1)共重合体樹脂中のメタアクリル酸含有量
共重合体樹脂中のメタアクリル酸単位の含有量は以下の方法によって測定した。すなわち試料0.5gを秤量し、25mlのジメチルホルムアミドに溶解し、溶液を0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液でフェノールフタレインを指示薬として一定の速度で連続的に滴下し、溶液の色が淡赤色に変化した時点を終点とする。水酸化ナトリウム水溶液の使用量よりメタアクリル酸のカルボキシル基のモル数量が計算され、得られた数値にメタアクリル酸単量体の分子量を乗することよりメタアクリル酸単位の重量が算出される。
(2)共重合体樹脂の分子量
共重合体樹脂の重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnはゲルパーミエイションクロマトグラフィーにより測定した。測定条件を下記に示す。測定機本体:昭和電工社製Shodex GPC SYSTEM21、分別カラム:昭和電工社製 GPC KF−806L×2本、測定溶媒:テトラハイドロフラン、試料濃度:試料5mgを10mlの測定溶媒に溶解、測定温度:40℃、流速:1.0ml/分、ポリスチレン換算分子量として算出した。
(3)メタノール可溶分
スチレン−メタアクリル酸系共重合樹脂組成物約1gを精秤し(Aとする)、10mlのメチルエチルケトンに溶解した後、300mlのメタノールを入れてスターラーで攪拌したビーカーに徐々に加えて再沈澱し、30分間攪拌を続けた後に30分間静置し、しかる後3G3グラスフィルターで濾過して沈澱物を集めて恒量となるまで乾燥を行い沈澱分の重量を精秤する(Bとする)。そして次式によりメタノール可溶分を求める。
メタノール可溶分(重量%)={(A−B)/A}×100
なおスチレン−メタアクリル酸系共重合樹脂組成物の場合、メタノール再沈殿の際に乳化状態となって濾液が若干白濁する場合があるが、上記操作でグラスフィルターを通過した乳濁液中の成分はメタノール可溶分に含めるものとする。
(4)ダイスウェル
ツインキャピラリレオメータ(アイティーエスジャパン社製)でL/D=20/1.96(mm)のオリフィスを用いて220℃、剪断速度100/秒にて押出してストランドを採取し、その直径をオリフィス径(1.96mm)で除して求めた。
(5)可塑剤含有量の分析
可塑剤であるステアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸モノグリセリド、2−エチルヘキシルアルコールの分析はガスクロマトグラフィー法によって行った。すなわち試料1gを30mlのクロロホルムに溶解し、100mlのメタノールを加えてポリマー成分を析出させた。次に濾別により不溶分と可溶分を分離し、可溶分を蒸発乾固した後再度クロロホルムを加えて10mlにメスアップして分析用試料とした。ガスクロマトグラフィーの条件は以下のとおりである。機種:HP6890(アジレントテクノロジーズ社製)、検出器:FID、カラム:HP−5(0.25mmφ×30m、膜厚0.25μm)、オーブン温度:50℃(5分)−10℃/分で昇温−325℃(17.5分)。それぞれの可塑剤を用いて検量線を作成し、試料中の可塑剤量を算出した。
(6)加熱収縮率
押出発泡シートをMD、TD方向にそれぞれ10cm×1cmの短冊に切り出し、140℃のオーブンに2分間入れた後の長さより求めた。
加熱収縮率(%)=(10−加熱後の長さ(cm))/10×100
(7)熱成形不良の有無
容器の熱成形不良の有無として、容器の外観が良好なものを○、しわ等の外観不良を有するものを×とした。
(8)耐熱性
容器の耐熱性試験として110℃のオーブンに30分間放置した後の変形有無を目視評価し、変形のないものを○、変形の見られるものを×とした。
[実施例1]
「スチレン−メタアクリル酸共重合樹脂の製造」
スチレン80.3重量部、メタアクリル酸5.9重量部、エチルベンゼン13.8重量部の混合液100重量部に対し、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.01重量部を添加して成る重合液を、5.0リットルの完全混合型反応器を有する重合装置に0.83リットル/hrで連続的に仕込む。完全混合型反応器の温度を135℃に調整する。重合反応器より連続して排出される重合体溶液を常圧で190℃に加熱された脱気機に導入し、さらに20〜30mmHgに減圧されたベント口を持ち220℃に加熱された押出機に導入して揮発後ペレタイズする。得られる重合体のポリスチレン換算重量平均分子量は20.4万、数平均分子量は8.4万である。樹脂中のメタアクリル酸量は9.0重量%であった。またメタノール可溶分は2.9重量%であった。本樹脂のダイスウェルを評価したところ1.60であった。
「スチレン−メタアクリル酸共重合樹脂組成物の発泡押出し」
直径300mmのサーキュラーダイを備えた押出発泡機を用いて、上記のスチレン−メタアクリル酸共重合樹脂100重量部に対して、発泡核剤として、ミストロンベーパー(商品名 日本ミストロン社製)を樹脂に対して1重量部、発泡剤として、液化ブタンを樹脂に対して4重量部添加して発泡体を製造した。樹脂溶融ゾーンの温度は200〜230℃、ロータリークーラー温度は130〜170℃、Tダイ温度を160℃に調整する。押出発泡された発泡体を冷却マンドレルで冷却し、円周上の2点でカッターにより切断後、幅1000mm、厚み1.8mm、発泡倍率8.0倍の発泡シートを得た。このシートの加熱収縮率を測定した。評価結果を表1に示す。
「スチレン−メタクリル酸共重合樹脂組成物発泡シートの熱成形」
上記発泡シートを真空成形してトレー形状の容器を得た。この容器の熱成形不良の有無および耐熱性を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
スチレン80.3重量部、メタアクリル酸5.9重量部、エチルベンゼン13.8重量部の混合液100重量部に対して、さらにステアリルアルコール0.5重量部を添加した他は実施例1と同様に行った。樹脂組成物中のステアリルアルコール量は0.6重量%であった。結果を表1に示す。
[実施例3]
混合液の組成をスチレン82.9重量部、メタアクリル酸3.3重量部、エチルベンゼン13.8重量部とし、ステアリルアルコール0.5重量部のかわりに0.2重量部を添加した他は実施例2と同様に行った。樹脂組成物中のステアリルアルコール量は0.2重量%であった。結果を表1に示す。
[実施例4]
ステアリルアルコールのかわりにステアリン酸0.5重量部を使用した以外は実施例2と同様に行った。樹脂組成物中のステアリン酸量は0.6重量%であった。結果を表1に示す。
[実施例5]
ステアリルアルコールのかわりにステアリン酸モノグリセリド0.8重量部とした以外は実施例2と同様に行った。樹脂組成物中のステアリン酸モノグリセリド量は0.9重量%であった。結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例2において、スチレン−ブタジエン共重合体としてタフプレン125(商品名 旭化成ケミカルズ社製)5重量部を混合した以外は実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。
[実施例7]
ステアリルアルコール0.5重量部のかわりに0.8重量部を添加し、さらにメチルメタクリレート−ブタジエン−スチレンゴムとしてメタブレンC−223A(商品名 三菱レイヨン社製)を5重量部添加した以外は実施例2と同様に行った。樹脂組成物中のステアリルアルコール量は1.0重量%であった。結果を表1に示す。
[比較例1]
常温190℃の脱気機を通さなかった他は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
[比較例2]
ステアリルアルコールを2重量部とした以外は実施例2と同様に行った。樹脂組成物中のステアリルアルコール量は2.3重量%であった。結果を表2に示す。
[比較例3]
ステアリルアルコールの代わりに2−エチルヘキシルアルコール0.5重量部を用いた他は実施例2と同様に行った。樹脂中の2−エチルヘキシルアルコール量は0.1重量%以下であった。結果を表2に示す。
Figure 2006137911
Figure 2006137911
本発明は、電子レンジ対応の耐熱発泡容器向けシートとして好適である。

Claims (7)

  1. スチレンとメタアクリル酸との共重合樹脂であり、その共重合組成がスチレン単量体70〜99重量%,メタアクリル酸単量体1 〜30重量%であって、その重量平均分子量が10万〜30万であり、そのメタノール可溶分が2.0〜5.0重量%である共重合樹脂からなることを特徴とするスチレン系共重合樹脂組成物。
  2. 220℃、剪断速度100/秒におけるダイスウェルが1.50〜1.70であることを特徴とする請求項1記載のスチレン系共重合樹脂組成物。
  3. 共重合樹脂組成物が可塑剤0.05〜1重量%含有することを特徴とする請求項1または2記載のスチレン系共重合樹脂組成物。
  4. 可塑剤が、一般式(A)R1 OH、一般式(B)R2 COOH、一般式(C)R3 COOCH2 CH(OH)CH2 (OH)(ただしR1 ,R2 ,R3 は炭素数10〜30のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基から選ばれる)で示される化合物より選ばれる1種以上からなることを特徴とする請求項3に記載のスチレン系共重合樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の共重合樹脂組成物を押出発泡成形してなる耐熱押出発泡シート。
  6. スチレン系共重合樹脂組成物100重量部あたりゴム成分としてスチレン−ジエン系熱可塑性エラストマーまたはメチルメタクリレート−ブタジエン−スチレンゴムを1〜10重量部含有することを特徴とする請求項5記載の耐熱押出発泡シート。
  7. 請求項5又は6の耐熱押出発泡シートを熱成形して得られる容器。
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