JP2006133956A - 車両用制御対象判定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 隣車線から自車線に侵入して制御対象となる他車両を的確に判定できるようにする。
【解決手段】 レーダー装置14により検知された物体が自車の走行軌跡に接近する横方向相対速度を横方向相対速度検出手段M2で検出するとともに、前記物体が自車に接近する進行方向相対速度を進行方向相対速度検出手段M3で検出し、物体を制御対象と判定するための確定度を算出する確定度算出条件を、確定度算出手段M4が横方向相対速度および進行方向相対速度に基づいて変更するので、隣車線の他車両が自車線に割り込もうとして横方向相対速度および進行方向相対速度が変化したときに確定度を変化させることで、制御対象判定手段M5が前記他車両を制御対象の候補として認識し易くし、自車線に割り込もうとする他車両を制御対象として判定する精度を高めることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両の進行方向に存在する物体を検知する物体検知手段と、車両の将来の走行軌跡を推定する走行軌跡推定手段と、物体検知手段による検知結果、走行軌跡推定手段により推定された走行軌跡および予め定められた確定度算出条件に基づいて物体が制御対象となる確定度を算出する確定度算出手段と、確定度の累積値に応じて自車が制御対象とする物体を判定する制御対象判定手段とを備えた車両用制御対象判定装置に関する。
レーダー装置で検知した他車両が自車の正面に移動する横移動速度を、自車と他車両との車間距離に応じて変化する閾値と比較し、横移動速度が閾値を超えた場合に前記他車両が自車の車線に侵入して衝突する危険性があると判定するものが、下記特許文献1により公知である。
また先行車に対する追従走行制御を行う際に、自車および先行車間の車間距離と、自車に対する先行車の横方向位置とに基づいて先行車の信頼度を算出し、この信頼度に応じて追従走行制御の内容を変更するものが、下記特許文献2により公知である。
特開平10−105891号公報 特開2000−38121号公報
ところで上記特許文献1に記載されたものは、物体の横移動速度および物体との距離に基づいて衝突の可能性がある物体を判定しているので、自車から前方に遠ざかる相対速度を有して衝突の可能性がない他車両を、衝突する可能性があると誤判定する可能性があった。
また上記特許文献2に記載されたものは、先行車が追従走行制御の制御対象となるか否かを、自車および先行車間の車間距離と、自車に対する先行車の横方向位置とに基づいて判定するので、自車の前方から横方向に遠ざかって行く車両を制御対象として誤判定する可能性があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、隣車線から自車線に侵入して制御対象となる他車両を的確に判定できるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、車両の進行方向に存在する物体を検知する物体検知手段と、車両の将来の走行軌跡を推定する走行軌跡推定手段と、物体検知手段による検知結果、走行軌跡推定手段により推定された走行軌跡および予め定められた確定度算出条件に基づいて物体が制御対象となる確定度を算出する確定度算出手段と、確定度の累積値に応じて自車が制御対象とする物体を判定する制御対象判定手段とを備えた車両用制御対象判定装置において、物体検知手段により検知された物体が自車の走行軌跡に接近する横方向相対速度を検出する横方向相対速度検出手段と、前記物体が自車に接近する進行方向相対速度を検出する進行方向相対速度検出手段とを備え、前記確定度算出手段は、横方向相対速度および進行方向相対速度に基づいて前記確定度算出条件を変更することを特徴とする車両用制御対象判定装置が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、車両の進行方向に存在する物体を検知する物体検知手段と、車両の将来の走行軌跡を推定する走行軌跡推定手段と、物体検知手段による検知結果、走行軌跡推定手段により推定された走行軌跡および予め定められた確定度算出条件に基づいて物体が制御対象となる確定度を算出する確定度算出手段と、確定度の累積値に応じて自車が制御対象とする物体を判定する制御対象判定手段とを備えた車両用制御対象判定装置において、物体検知手段により検知された物体が自車の走行軌跡に接近する横方向相対速度を検出する横方向相対速度検出手段と、ドライバーの減速意思を検出する減速意思検出手段とを備え、前記確定度算出手段は、横方向相対速度および減速意思に基づいて前記確定度算出条件を変更することを特徴とする車両用制御対象判定装置が提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、前記確定度算出手段は、横方向相対速度検出手段で検出された横方向相対速度が所定値以上である場合に、前記確定度算出条件をより確定度が高くなるように変更することを特徴とする車両用制御対象判定装置が提案される。
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記確定度算出手段は、進行方向相対速度検出手段で検出された進行方向相対速度が所定値以上である場合に、前記確定度算出条件をより確定度が高くなるように変更することを特徴とする車両用制御対象判定装置が提案される。
また請求項5に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記確定度算出手段は、減速意思検出手段で検出された減速意思の大きさが所定値以上である場合に、前記確定度算出条件をより確定度が高くなるように変更することを特徴とする車両用制御対象判定装置が提案される。
また請求項6に記載された発明によれば、請求項1〜請求項5の何れか1項の構成に加えて、前記走行軌跡推定手段は、推定された走行軌跡に対して所定の幅を有する制御対象判定領域を設定するとともに、横方向相対速度、進行方向相対速度および減速意思の少なくとも一つの大きさに応じて前記制御対象判定領域の幅を変更し、前記確定度算出手段は、制御対象判定領域内にある物体の確定度を算出することを特徴とする車両用制御対象判定装置が提案される。
また請求項7に記載された発明によれば、請求項6の構成に加えて、前記走行軌跡推定手段は、横方向相対速度、進行方向相対速度および減速意思の少なくとも一つの増加に応じて前記制御対象判定領域の幅を拡大することを特徴とする車両用制御対象判定装置が提案される。
また請求項8に記載された発明によれば、請求項1〜請求項7の何れ1項の構成に加えて、前記確定度算出手段は、走行軌跡推定手段により推定された走行軌跡と物体との横方向距離を算出するとともに、所定の初期値から前記横方向距離に比例定数を乗算した値を減算することにより確定度を算出することを特徴とする車両用制御対象判定装置が提案される。
また請求項9に記載された発明によれば、請求項8の構成に加えて、前記確定度算出手段は、横方向相対速度、進行方向相対速度および減速意思の少なくとも一つの増加に応じて、前記比例定数を減少させることを特徴とする車両用制御対象判定装置が提案される。
また請求項10に記載された発明によれば、請求項8または請求項9の構成に加えて、前記確定度算出手段は、横方向相対速度、進行方向相対速度および減速意思の少なくとも一つの増加に応じて、前記制御対象判定領域の幅方向の全域で確定度を均等に増加させることを特徴とする車両用制御対象判定装置が提案される。
また請求項11に記載された発明によれば、請求項1〜請求項10の何れか1項の構成に加えて、前記確定度算出手段は、横方向相対速度、進行方向相対速度および減速意思の少なくとも一つに基づいて確定度をマップ検索することを特徴とする車両用制御対象判定装置が提案される。
尚、実施例のレーダー装置14は本発明の物体検知手段に対応する。
請求項1の構成によれば、物体が自車の走行軌跡に接近する横方向相対速度を横方向相対速度検出手段で検出するとともに、前記物体が自車に接近する進行方向相対速度を進行方向相対速度検出手段で検出し、確定度算出手段が横方向相対速度および進行方向相対速度に基づいて確定度算出条件を変更するので、隣車線の他車両が自車線に割り込もうとして横方向相対速度および進行方向相対速度が変化したときに、確定度を変化させて制御対象判定手段が前記他車両を制御対象の候補として認識し易くすることで、自車線に割り込もうとする他車両を制御対象として判定する精度を高めることができる。
請求項2の構成によれば、物体が自車の走行軌跡に接近する方向の横方向相対速度を横方向相対速度検出手段で検出するとともに、ドライバーの減速意思を減速意思検出手段で検出し、確定度算出手段が横方向相対速度および減速意思に基づいて確定度算出条件を変更するので、隣車線の他車両が自車線に割り込もうとして横方向相対速度が変化し、かつドライバーが前記他車両との接近を避けるために自車を減速したときに、確定度を変化させて制御対象判定手段が前記他車両を制御対象の候補として認識し易くすることで、自車線に割り込もうとする他車両を制御対象として判定する精度を高めることができる。
請求項3の構成によれば、横方向相対速度が所定値以上である場合に確定度が高くなるように変更するので、他車両が自車線に割り込もうとする場合に、その他車両を制御対象の候補として確実に認識することができる。
請求項4の構成によれば、進行方向相対速度が所定値以上である場合に確定度が高くなるように変更するので、自車線に割り込もうとする他車両に自車が接近した場合に、その他車両を制御対象の候補として確実に認識することができる。
請求項5の構成によれば、減速意思の大きさが所定値以上である場合に確定度が高くなるように変更するので、自車線に割り込もうとする他車両に接近しないようにドライバーが自車を減速したときに、その他車両を制御対象の候補として確実に認識することができる。
請求項6の構成によれば、走行軌跡推定手段が走行軌跡に対して所定の幅を有する制御対象判定領域を設定する際に、横方向相対速度、進行方向相対速度あるいは減速意思の大きさに応じて前記制御対象判定領域の幅を変更し、確定度算出手段が制御対象判定領域内にある物体の確定度を算出するので、確定度を算出する物体の範囲を適切に設定することができる。
請求項7の構成によれば、横方向相対速度、進行方向相対速度あるいは減速意思の増加に応じて制御対象判定領域の幅を拡大するので、自車線に割り込む可能性のある他車両を確実に制御対象の候補とすることができる。
請求項8の構成によれば、自車の走行軌跡と物体との横方向距離を算出し、その横方向距離に比例定数を乗算した値を走行軌跡上の所定の初期値から減算して確定度を算出するので、自車の走行軌跡から横方向に離れるに伴って確定度を漸減させることができる。
請求項9の構成によれば、横方向相対速度、進行方向相対速度あるいは減速意思が増加すると前記比例定数が減少するので、走行軌跡上での確定度の初期値を変化させずに、走行軌跡から横方向に離れた位置での確定度を前記走行軌跡上での初期値に近づくように増加させることができる。
請求項10の構成によれば、横方向相対速度、進行方向相対速度あるいは減速意思が増加したときに、制御対象判定領域の幅方向の全域で確定度を均等に増加させることができる。
請求項11の構成によれば、横方向相対速度、進行方向相対速度あるいは減速意思に基づいて確定度をマップ検索するので、確定度をその都度算出する場合に比べて演算負荷を軽減することができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
図1〜図5は本発明の第1実施例を示すもので、図1はACCシステムの制御系のブロック図、図2は作用を説明するフローチャート、図3は自車の将来の走行軌跡の推定手法の説明図、図4は横方向相対速度、進行方向相対速度および車線内の横位置に応じた確定度の一例を示すグラフ、図5は横方向相対速度、進行方向相対速度および車線内の横位置に応じた確定度の他の例を示すグラフである。
図1に示すように、先行車が存在するときには予め設定した車間距離を保持して前記先行車に追従走行し、先行車が存在しないときには予め設定した車速で定速走行するACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)システムは、走行軌跡推定手段M1と、横方向相対速度検出手段M2と、進行方向相対速度検出手段M3と、確定度算出手段M4と、制御対象決定手段M5と、制御目標値決定手段M6と、車両制御手段M7とを備える。
走行軌跡推定手段M1には車速センサ11およびヨーレートセンサ12が接続され、横方向相対速度検出手段M2および進行方向相対速度検出手段M3にはレーダー装置14が接続され、車両制御手段M7にはディスプレイ15、減速アクチュエータ16および加速アクチュエータ17が接続される。
走行軌跡推定手段M1は、図3に示すように、車速センサ11で検出した車速とヨーレートセンサ12で検出したヨーレートとに基づいて自車の将来の走行軌跡Tを推定する。即ち、現在の車速およびヨーレートから車両の旋回半径Rが算出できるため、現在の自車の進行方向に前記旋回半径Rの円弧を連ねることで自車の将来の走行軌跡Tを推定することができる。また走行軌跡推定手段M1は、推定した走行軌跡上に所定幅を有する帯状の制御対象判定領域を設定する。
横方向相対速度検出手段M2は、レーダー装置14で検知した先行車の前回位置と今回位置とを比較し、自車の進行方向に直交する方向の自車および先行車の距離の時間変化率から先行車の横方向相対速度を検出する。同様に、進行方向相対速度検出手段M3は、レーダー装置14で検知した先行車の前回位置と今回位置とを比較し、自車および先行車の車間距離の時間変化率から先行車の進行方向相対速度を検出する。
確定度算出手段M4は、横方向相対速度検出手段M2で検出した横方向相対速度と、進行方向相対速度検出手段M3で検出した進行方向相対速度とから、先行車を制御対象として判定するための確定度をマップ検索する。このようにマップ検索を行うことにより、確定度をその都度算出する場合に比べて演算負荷を軽減することができる。
制御対象判定手段M5は、走行軌跡推定手段M1が設定した帯状の制御対象判定領域に含まれる先行車が制御対象となり得るか否かを判定する。その際の判定基準は所定時間間隔で算出された前記確定度を累積値であり、その累積値が閾値を超えた先行車が制御対象の候補とされ、制御対象候補が複数存在する場合には、自車に最も近い先行車を制御対象として判定し、制御対象候補が一つだけ存在する場合には、その先行車を制御対象として判定する。
しかして、制御目標値決定手段M6は、前記制御対象となった先行車に自車を追従走行させるためのパラメータである目標車速、目標加減速度、目標車間距離等を決定する。そして車両制御手段M7は、制御目標値決定手段M6で決定した制御目標値に基づいて減速アクチュエータ16や加速アクチュエータ17を駆動し、スロットルバルブを開閉したりブレーキ装置を作動させたりして追従走行制御や定速走行制御を実行するとともに、ディスプレイ15に現在の車両の制御状態を表示してドライバーに報知する。
次に、上記第1実施例の作用を図2のフローチャートに基づいて更に説明する。
先ずステップS1で走行軌跡推定手段M1がヨーレートおよび車速に基づいて自車の将来の走行軌跡を推定するとともに、その走行軌跡上に制御対象判定領域を設定する。続くステップS2で制御対象判定領域に含まれる全ての検知物体についてステップS1〜S6の処理を繰り返す。即ち、ステップS3で検知物体の横方向相対速度および進行方向相対速度を検出し、ステップS4で横方向相対速度および進行方向相対速度をパラメータとして確定度を所定時間毎にマップ検索し、その確定度を所定時間毎に累積する。
Figure 2006133956
表1は確定度を検索する第1のマップを示すもので、縦列のAは横方向相対速度(自車の走行軌跡への接近方向が負値)を表し、横列のBは進行方向相対速度(自車への接近方向が負値)を表している。表1中のL0〜L3は、図4のグラフにおける確定度のラインを表しており、各ラインL0〜L3の確定度は検知物体が自車の将来の走行軌跡上(即ち、制御対象判定領域の左右方向中央)に位置するときが最大であり、そこから制御対象判定領域の左右両端に向かって漸減している。但し、その漸減の程度に対応するラインL0〜L3の傾きは、基準ラインL0からL1→L2→L3の順番で減少している。各ラインL0〜L3の上記特性は、自車の将来の走行軌跡と検知物体との横方向距離を算出し、各ラインL0〜L3の頂点に対応する確定度の初期値aから、前記横方向距離に各々対応する比例定数を乗算した値を減算して算出することができる。
表1の右下から左上に向かって、つまり横方向相対速度Aの絶対値が大きくなり、かつ進行方向相対速度Bの絶対値が大きくなるに応じて、選択されるラインがL0からL3まで変化してゆき、ラインL0〜L3の順に傾斜が緩やかになることで制御対象判定領域の左右両端の確定度が初期値aに近づくようになっている。つまり横方向相対速度Aあるいは進行方向相対速度Bが増加すると前記比例定数が減少することで、ラインL0では制御対象判定領域の中心と両端との確定度の差が最も大きく、ラインL3では制御対象判定領域の中心と両端との確定度の差が最も小さくなる。従って、検知物体が走行軌跡に接近する速度が大きいほど、かつ自車が検知物体に接近する速度が大きいほど、その検知物体を制御対象と判定する確定度が高くなる。
Figure 2006133956
表2は確定度を検索する第2のマップを示すもので、縦列のAは横方向相対速度(自車の走行軌跡への接近方向が負値)を表し、横列のBは進行方向相対速度(自車への接近方向が負値)を表している。表2中のC0〜C3は、図5のグラフにおける確定度のラインを表しており、各ラインC0〜C3の確定度は検知物体が自車の将来の走行軌跡上(即ち、制御対象判定領域の左右方向中央)に位置するときが最大であり、そこから制御対象判定領域の左右両端に向かって同じ割合で漸減している。但し、その確定度の高さは基準ラインL0からL1→L2→L3の順番で増加している。
表2の右下から左上に向かって、つまり横方向相対速度Aの絶対値が大きくなり、かつ進行方向相対速度Bの絶対値が大きくなるに応じて、選択されるラインがC0からC3まで上に向かって移動することで、制御対象判定領域の左右方向全域で確定度が増加するようになっている。従って、検知物体が走行軌跡に接近する速度が大きいほど、かつ自車が検知物体に接近する速度が大きいほど、その検知物体を制御対象と判定する確定度が高くなる。
尚、表1のマップおよび表2のマップの何れか一方を使用しても良いし、表1のマップおよび表2のマップの両方を同時に使用しても良い。後者の場合には、検知物体が走行軌跡に接近する速度が大きいほど、かつ自車が検知物体に接近する速度が大きいほど、ラインの傾斜角度が緩くなると同時に、ラインの位置が上方に移動することで確定度が高くなる。
続くステップS5で確定度の累積値が所定の閾値を超えると、ステップS6でその検知物体を制御対象の候補として登録する。そして前記ステップS2で制御対象判定領域に含まれる全ての検知物体についての検索が終了したとき、ステップS7で登録された複数の制御対象の候補が存在すれば、ステップS8で自車に最も近い制御対象の候補を制御対象として判定する。もちろん、登録された制御対象の候補が一つであれば、その候補を制御対象として判定する。また前記ステップS7で登録された制御対象の候補が存在しなければ、ステップS9で制御対象が存在しないと判定する。
以上のように、検知物体の横方向相対速度Aおよび進行方向相対速度Bを監視することで、隣車線の自車寄りの位置を走行する他車両や、隣車線を走行する車幅の広い大型車両を制御対象と誤認することなく、自車の前方に割り込んでくる先行車を制御対象として確実に判定し、その制御対象に対する車間距離制御等を的確に行うことができる。
次に、図6に基づいて本発明の第2実施例を説明する。
第2実施例は第1実施例の進行方向相対速度検出手段M3を備えておらず、その代わりに減速意思検出手段M8を備えている。減速意思検出手段M8にはブレーキペダル位置センサ18およびアクセルペダル位置センサ19が接続されており、アクセルペダルの戻し操作、ブレーキペダルの踏み込み操作、あるいはその両方からドライバーの減速意思を検出する。ドライバーの減速意思は確定度算出手段M4に入力され、そこで横方向相対速度と共に確定度をマップ検索するためのパラメータとして使用される。
Figure 2006133956
Figure 2006133956
表3により横方向相対速度Aおよび減速意思Pをパラメータとして検索されるラインL0〜L3は、前記図4におけるラインL0〜L3に対応している。即ち、ドライバーの減速意思Pが大きいほど確定度が高くなるように設定されており、これは隣車線から自車線への割り込み車両との車間距離を確保すべくドライバーがブレーキ操作を行うような場合に、その割り込み車両を新たな制御対象として判定するためである。
表4により横方向相対速度Aおよび減速意思Pをパラメータとして検索されるラインC0〜C3は、前記図5におけるラインC0〜C3に対応している。この場合も、ドライバーの減速意思Pが大きいほど確定度が高くなるように設定されており、これは隣車線から自車線への割り込み車両との車間距離を確保すべくドライバーがブレーキ操作を行うような場合に、その割り込み車両を新たな制御対象として判定するためである。
この第2実施例によっても、検知物体の横方向相対速度Aおよびドライバーの減速意思Pを監視することで、隣車線の自車寄りの位置を走行する他車両や、隣車線を走行する車幅の広い大型車両を制御対象と誤認することなく、自車の前方に割り込んでくる先行車を制御対象として確実に判定し、その制御対象に対する車間距離制御等を的確に行うことができる。
また第2実施例において、表3のマップおよび表4のマップの何れか一方を使用しても良いし、表3のマップおよび表4のマップの両方を同時に使用しても良い。後者の場合、検知物体が走行軌跡に接近する速度が大きいほど、かつドライバーの減速意思が大きいほど、ラインの傾斜角度が緩くなると同時に、ラインの位置が上方に移動することで確定度が高くなる。
次に、図7に基づいて本発明の第3実施例を説明する。
上述した第1、第2実施例では、横方向相対速度A、進行方向相対速度Bあるいは減速意思Pに基づいて確定度を変化させていたが、第3実施例では横方向相対速度A、進行方向相対速度Bあるいは減速意思Pに基づいて制御対象判定領域の幅を変化させている。
Figure 2006133956
Figure 2006133956
表5のマップは、横方向相対速度Aおよび進行方向相対速度Bに基づいてラインW0〜W3を検索するためのものであり、また表6のマップは、横方向相対速度Aおよびドライバーの減速意思Pに基づいてラインW0〜W3を検索するためのものである。何れの場合も、図7から明らかなように、横方向相対速度A、進行方向相対速度Bあるいは減速意思Pが増加するのに伴って制御対象判定領域の幅が増加方向に変化するように設定されている。従って、自車の将来の走行軌跡から左右方向に離れた位置に検知された物体にも確定度が与えられ、制御対象として判定される可能性が増加する。
このように、検知物体の横方向相対速度A、進行方向相対速度Bあるいはドライバーの減速意思Pを監視して制御対象判定領域の幅を変化させることで、自車の前方に割り込んでくる先行車を制御対象として確実に判定し、その制御対象に対する車間距離制御等を的確に行うことができる。
尚、上述した第3実施例の制御対象判定領域の幅の制御を、第1、第2実施例の確定度の大きさの制御と組み合わせて用いれば、検知物体の確定度を更に精度良く算出することができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施例では自車の進行方向に直交する向きを横方向相対速度の算出方向としたが、自車の将来の走行軌跡に直交する向きを横方向相対速度の算出方向としても良い。
また実施例ではACCシステムについて説明したが、本発明はACCシステム以外の任意の用途の車両用制御対象判定装置に対して適用することができる。
第1実施例に係るACCシステムの制御系のブロック図 第1実施例の作用を説明するフローチャート 自車の将来の走行軌跡の推定手法の説明図 横方向相対速度、進行方向相対速度および車線内の横位置に応じた確定度の一例を示すグラフ 横方向相対速度、進行方向相対速度および車線内の横位置に応じた確定度の他の例を示すグラフ 第2実施例に係るACCシステムの制御系のブロック図 第3実施例に係る、横方向相対速度、進行方向相対速度および車線内の横位置に応じた確定度を示すグラフ
符号の説明
11 車速センサ
12 ヨーレートセンサ
14 レーダー装置(物体検知手段)
A 横方向相対速度
B 進行方向相対速度
M1 走行軌跡推定手段
M2 横方向相対速度検出手段
M3 進行方向相対速度検出手段
M4 確定度算出手段
M5 制御対象判定手段
P 減速意思

Claims (11)

  1. 車両の進行方向に存在する物体を検知する物体検知手段(14)と、
    車両の将来の走行軌跡を推定する走行軌跡推定手段(M1)と、
    物体検知手段(14)による検知結果、走行軌跡推定手段(M1)により推定された走行軌跡および予め定められた確定度算出条件に基づいて物体が制御対象となる確定度を算出する確定度算出手段(M4)と、
    確定度の累積値に応じて自車が制御対象とする物体を判定する制御対象判定手段(M5)と、
    を備えた車両用制御対象判定装置において、
    物体検知手段(14)により検知された物体が自車の走行軌跡に接近する横方向相対速度(A)を検出する横方向相対速度検出手段(M2)と、
    前記物体が自車に接近する進行方向相対速度(B)を検出する進行方向相対速度検出手段(M3)とを備え、
    前記確定度算出手段(M4)は、横方向相対速度(A)および進行方向相対速度(B)に基づいて前記確定度算出条件を変更することを特徴とする車両用制御対象判定装置。
  2. 車両の進行方向に存在する物体を検知する物体検知手段(14)と、
    車両の将来の走行軌跡を推定する走行軌跡推定手段(M1)と、
    物体検知手段(14)による検知結果、走行軌跡推定手段(M1)により推定された走行軌跡および予め定められた確定度算出条件に基づいて物体が制御対象となる確定度を算出する確定度算出手段(M4)と、
    確定度の累積値に応じて自車が制御対象とする物体を判定する制御対象判定手段(M5)と、
    を備えた車両用制御対象判定装置において、
    物体検知手段(14)により検知された物体が自車の走行軌跡に接近する横方向相対速度(A)を検出する横方向相対速度検出手段(M2)と、
    ドライバーの減速意思(P)を検出する減速意思検出手段(M8)とを備え、
    前記確定度算出手段(M4)は、横方向相対速度(A)および減速意思(P)に基づいて前記確定度算出条件を変更することを特徴とする車両用制御対象判定装置。
  3. 前記確定度算出手段(M4)は、横方向相対速度検出手段(M2)で検出された横方向相対速度(A)が所定値以上である場合に、前記確定度算出条件をより確定度が高くなるように変更することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の車両用制御対象判定装置。
  4. 前記確定度算出手段(M4)は、進行方向相対速度検出手段(M3)で検出された進行方向相対速度(B)が所定値以上である場合に、前記確定度算出条件をより確定度が高くなるように変更することを特徴とする、請求項1に記載の車両用制御対象判定装置。
  5. 前記確定度算出手段(M4)は、減速意思検出手段(M8)で検出された減速意思(P)の大きさが所定値以上である場合に、前記確定度算出条件をより確定度が高くなるように変更することを特徴とする、請求項2に記載の車両用制御対象判定装置。
  6. 前記走行軌跡推定手段(M1)は、推定された走行軌跡に対して所定の幅を有する制御対象判定領域を設定するとともに、横方向相対速度(A)、進行方向相対速度(B)および減速意思(P)の少なくとも一つの大きさに応じて前記制御対象判定領域の幅を変更し、
    前記確定度算出手段(M4)は、制御対象判定領域内にある物体の確定度を算出することを特徴とする、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の車両用制御対象判定装置。
  7. 前記走行軌跡推定手段(M1)は、横方向相対速度(A)、進行方向相対速度(B)および減速意思(P)の少なくとも一つの増加に応じて前記制御対象判定領域の幅を拡大することを特徴とする、請求項6に記載の車両用制御対象判定装置。
  8. 前記確定度算出手段(M4)は、走行軌跡推定手段(M1)により推定された走行軌跡と物体との横方向距離を算出するとともに、所定の初期値から前記横方向距離に比例定数を乗算した値を減算することにより確定度を算出することを特徴とする、請求項1〜請求項7の何れ1項に記載の車両用制御対象判定装置。
  9. 前記確定度算出手段(M4)は、横方向相対速度(A)、進行方向相対速度(B)および減速意思(P)の少なくとも一つの増加に応じて、前記比例定数を減少させることを特徴とする、請求項8に記載の車両用制御対象判定装置。
  10. 前記確定度算出手段(M4)は、横方向相対速度(A)、進行方向相対速度(B)および減速意思(P)の少なくとも一つの増加に応じて、前記制御対象判定領域の幅方向の全域で確定度を均等に増加させることを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の車両用制御対象判定装置。
  11. 前記確定度算出手段(M4)は、横方向相対速度(A)、進行方向相対速度(B)および減速意思(P)の少なくとも一つに基づいて確定度をマップ検索することを特徴とする、請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の車両用制御対象判定装置。
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