JP3864465B2 - 車両用の動体認識装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載された衝突回避システム等に用いられる動体認識装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、事故防止システムとしてASV(Advanced Safety Vehicle) が提唱されている。この事故防止システムのなかに、レーダと自動ブレーキを用いた衝突回避システムがあり,例えば特開平5−54297号などに開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の衝突回避システムは道路上にある車両もしくは道路構造物などの固定物を衝突対象物体として検知して、対象物体と衝突の危険が有ることを検知した時に警報や自動ブレーキを作動させるものである。
【0004】
しかしながら、交通死亡事故の多くは歩行者、特に道路横断中の歩行者との衝突事故によるものであることが統計的に分かっている。したがって、衝突回避システムにより横断歩行者との衝突を回避できれば、死亡事故の大幅な削減に貢献できる。
【0005】
一方、従来の衝突回避システムでは歩行者も道路上にいるのならば衝突対象として認識され、衝突回避システムが作動して衝突を回避しえる。しかしながら、自動車側からみれば、道路を横断しようとする歩行者は突然に道路上に飛び出してくるものといえ、このため衝突回避システムが歩行者が道路上に飛び出した後にその歩行者を衝突対象として検知しても、その時には既に衝突回避システムの作動が間に合わないことが多いと予測される。
【0006】
したがって、現在は道路上にいない歩行者であっても程無く道路を横断する可能性のある歩行者については、この歩行者がまだ道路上にいない場合でも、事前に衝突対象として認識できることが必要である。しかしながら、歩行者は車両や道路構造物に比べてレーダの反射波が小さいことが大部分であり、このためレーダの感度を上げると、周囲環境の外乱が増大することになって、レーダ反射波中から歩行者を抽出することは容易ではない。さらにガードレール等の構造物はレーダ反射波の態様が歩いている人と類似しており、これを歩行者と区別することも容易ではない。また道路外にいる歩行者全てに対して衝突回避システムが常に作動したのでは、その回数が頻繁すぎるため車両の走行は事実上困難になってしまうので、道路を横断し衝突する危険性の高い歩行者だけに対して衝突回避システムを作動することが必要となる。したがって、道路を横断し衝突の危険が高い歩行者を的確に検知する認識アルゴリズムが必要とされる。
【0007】
したがって本発明は、車両の進行路に侵入して衝突等の危険性のある横移動物体を的確に認識できるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段、作用および効果】
上述の課題を解決するために、本発明にかかる車両用の動体認識装置は、自車両の進行路の側方領域における該進行路に向かう横移動物体を認識するものであって、該側方領域にある物体の横移動速度を取得する物体情報取得手段と、該物体情報取得手段で取得した物体の横移動速度を所定のしきい値と比較し、該横移動速度が該しきい値を超える物体を自車両の進行路に侵入する危険性のある横移動物体であると認識する侵入危険性判断手段とを備え、該しきい値は、自車両からの距離が近距離の物体に対しては中距離の物体に対するに比して値が大きく設定される。
これにより、みかけ上の横移動速度やセンサ誤差等に起因して固定物体が横移動物体であると誤認識されることを防止しつつ、特に必要となる中距離領域の検出精度を向上できる。
【0009】
上記しきい値は、自車両からの距離が遠距離の物体に対しては中距離の物体に対するに比して値が大きく設定され、かつ上記近距離の場合のしきい値よりも大きく設定されたよう構成できる。
これにより、遠距離物体の検出の不安定性に起因する遠方にある横移動物体の検出精度の低下を有効に防止できる。
【0010】
また上記物体の横移動速度は自車両の進行方向に対して直交する方向の移動速度とすることができる。
これにより、進行路への物体侵入の検出が容易かつ正確に行える。
【0011】
また上記物体情報取得手段は自車両の進行方向をスキャンするレーザレーダからのエコーデータを解析して物体の横移動速度を算出するように構成できる。
このレーザレーダは角度方向の分解能が高いので、より正確な横移動速度の計測が行える。
【0012】
また上記各横移動物体の横移動速度に基づいて、現在の位置から横移動を続けると自車両と実際に衝突する危険性がある横移動物体を抽出する対象抽出手段を更に備えることができる。
これにより、より危険な横移動物体を抽出でき、危険判断がより的確になる。
【0013】
また上記対象抽出手段は、自車両の速度および自車両から対象物体までの距離に基づいて上記衝突危険性の判断を行うように構成できる。
これにより、このまま制動をかけなければ衝突するとの判断をより正確に行え、危険判断がより的確になる。
【0014】
また上記対象抽出手段は、衝突の危険性のある対象物体を、左右隣接車線の自車両から遠い方の路端までにあるものに限定することができる。
これにより、衝突危険性の対象物体を道路上のものに限定でき、横断物体をより確実に検出できる。
【0015】
また上記対象抽出手段での抽出結果に基づき、衝突回避動作を自車両側でとらなくても衝突しないと予測される場合には運転者に警報する指示を与えるように構成できる。
これにより、運転者に対し侵入物体に対する認識を確実に行える。
【0016】
また上記対象抽出手段での抽出結果に基づき、衝突回避動作を自車両側でとらないと衝突すると予測される場合には該衝突回避作動の指示を与えるように構成できる。
これにより、車両側で衝突回避が確実に行える。
【0017】
また上記侵入危険性がある横移動物体として所定時間以上継続して認識された横移動物体は以後該しきい値を下回っても侵入危険性のある横移動物体であると認識し続けるロックオン手段を更に備えるよう構成できる。
これにより侵入危険性のある横移動物体を見失うことなく確実に補足し続けることができる。
【0018】
また上記物体情報取得手段は進行路に対する物体の寸法情報を取得する手段を含み、該寸法情報を所定のガードレール判定しきい値と比較することで物体がガードレールであるか否かを認識し、ガードレールと認識された時は当該物体を横移動物体との判断から除外するように構成できる。
これにより、ガードレールを横移動物体と誤判断することを防止でき、横移動物体の検出をより正確に行える。
【0019】
また上記物体情報取得手段は進行路に対する物体の寸法情報を取得する手段を含み、該寸法情報を所定の集団判定しきい値と比較することで物体が歩行者集団であるか否かを認識し、歩行者集団であると認識された時は該歩行者集団に対する上記侵入危険性判定のための所定のしきい値を通常よりも小さくするように構成できる。
これにより、突発的な侵入危険度の高いと考えられる歩行者集団に対して、より慎重に侵入危険性を判定できる。
【0020】
また上記物体情報取得手段は物体の横移動速度に基づき横移動速度バラツキを取得する手段を含み、該横移動速度バラツキを所定のバラツキ評価しきい値と比較することで侵入危険性のより高い歩行者を認識し、当該歩行者であると認識された時は当該歩行者に対する上記侵入危険性判定のための所定のしきい値を通常よりも小さくするように構成できる。
これにより、突発的な侵入危険度の高いと考えられる歩行者に対して、より慎重に侵入危険性を判定できる。
【0021】
また本発明に係る車両用の動体認識装置は、他の形態として、自車両の進行路の側方領域における該進行路に向かう横移動物体を認識するものであって、該側方領域にある物体の横移動速度を取得する物体情報取得手段と、該物体情報取得手段で取得した物体の横移動速度を所定のしきい値と比較し、該横移動速度が該しきい値を超える物体を横移動物体であると認識する横移動物体認識手段とを備え、該横移動物体認識手段は、上記横移動速度が所定時間継続して上記しきい値を超えた場合は、以後該しきい値を下回っても該物体を横移動物体であると認識し続けるように構成する。
これにより侵入危険性のある横移動物体を見失うことなく確実に補足し続けることができる。
【0022】
上記所定時間は自車両の車速が大のときは小の時に比して短く設定されるようにできる。
これにより、自車両の車速が高い時に衝突等の危険があると判断される物体に対しても、当該物体を的確に捕捉でき、緊急時対応と捕捉判定の安定化を両立できる。
【0023】
また本近距離の物体に対しては上記しきい値を超えた場合は、直ちに以降該しきい値を下回っても横移動体であると認識し続けるように構成できる。
このようにすれば緊急時対応が確実になる。
【0024】
また本発明に係る車両用の動体認識装置は、また他の形態として、自車両の進行路の側方領域における該進行路に向かう横移動物体を認識する車両用の動体認識装置であって、該側方領域にある物体の寸法情報と横移動速度を取得する物体情報取得手段と、該物体情報取得手段で取得した物体の横移動速度を所定のしきい値と比較し、該横移動速度が該しきい値を超える物体を横移動物体であると認識する横移動物体認識手段と、該寸法情報を所定の寸法を定める寸法しきい値と比較し、該所定の寸法範囲を満たす物体が認識された場合には、該所定の寸法範囲を満たさない物体が認識された場合に比べて上記所定のしきい値を小さくするようにした。
このようにすれば、歩行者集団のような、より危険度の高い横移動物体を認識でき、突発的な侵入危険度の高いと考えられる物体に対して、より慎重に認識判定できる。
【0025】
この動体認識装置は、上記所定の寸法範囲の物体を構成する個々の物体が認識でき、その個々の物体の個数が多い時は少ない時に比べて上記所定のしきい値を小さくするように構成できる。
これにより、より危険度の高い横移動物体の認識精度を向上できる。
【0026】
また本発明に係る車両用の動体認識装置は、また他の形態として、自車両の進行路の側方領域における該進行路に向かう横移動物体を認識する車両用の動体認識装置であって、該側方領域にある物体の横移動速度を取得する物体情報取得手段と、該物体情報取得手段で取得した物体の横移動速度を所定のしきい値と比較し、該横移動速度が該しきい値を超える物体を横移動物体であると認識する横移動物体認識手段と、該横移動速度の速度バラツキを所定のバラツキしきい値と比較し、該所定のバラツキしきい値を超える物体が認識された場合には、該所定のバラツキしきい値を下回る物体が認識された場合に比べて上記所定のしきい値を小さくするようにした。
このようにすれば、よろついている歩行者のような、より危険度の高い横移動物体を認識でき、突発的な侵入危険度の高いと考えられる物体に対して、より慎重に認識判定できる。
【0027】
この動体認識装置は、上記横移動速度の速度バラツキが特に大の物体は小の物体に比べて上記しきい値を小さくするように構成できる。
これにより、より危険度の高い横移動物体の認識精度を向上できる。
【0028】
また進行路の前後方向における所定の寸法範囲から外れる物体が認識された場合には、当該物体を非横移動物体であると認識するように構成できる。
これにより、ガードレール等の固定物体の誤認の防止が有効に図れる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図2には本発明の一実施例としての動体認識装置の車両への搭載状態が示される。図示するように、車両の前端側にレーザレーダ2が取り付けられ、また車両の屋根側に車両前方を撮影するCCDビデオカメラ3が取り付けられる。これらレーザレーダ2とCCDビデオカメラ3は車両ダッシュパネル側に設けられたECU(電子制御ユニット)1に接続されており、ECU1は自動ブレーキを行うためのアクチュエータ4に接続される。
【0030】
図1はECU1で実行される処理手順の概略を示すフローチャートである。この処理フローはレーザレーダ2で1回のスキャンがされる毎に実行される。まず、各種データを取得する(ステップA)。この各種データとしてはレーザエコーデータ(Li ,θi )、車両状態量(v0 ,ψ,θH )、画像処理結果(R,dL ,dR )がある。
【0031】
レーザレーダ2は図3に示すようにその前方側をレーザビームで扇状にスキャンしてエコーデータを取得するもので、そのエコーデータは、
i :距離
θi :角度
K:反射強度
からなり、一回のスキャンで500点程度(すなわちi=1〜500)のエコーデータを得る。
【0032】
車両状態量は車両の各種センサから得られるパラメータであり、
0 :車速
ψ:ヨーレート
θH :ハンドル舵角
からなる。
【0033】
画像処理結果はビデオカメラ3からの画像信号を画像処理して得られるパラメータであり、
R:道路曲率
L :左側道路幅(車両中心から左側路端までの幅)
R :右側道路幅(車両中心から右側路端までの幅)
からなる。これらのパラメータを得るには、例えば画像から自車走行レーン端の白線を検出しその白線を曲線近似して自車の旋回(道路曲率R)と白線の左右方向の距離を求める。
【0034】
必要データが取得されると、次に物体認識処理を行う(ステップB)。物体認識処理は、レーザレーダ2からのエコーデータを個々の物体毎に纏め、車両、歩行者、ガードレール、標識、リフレクタなどを物体として分離し、物体レベルの情報に加工する処理である。認識された物体の属性としては、
N:物体番号
N :物体までの距離
θN :車両進行方向に対する角度
LONG,N:前後速度
LAT,N :横速度
LONG,N:前後距離バラツキ
LAT,N :横距離バラツキ
um,N :サンプルを取得し始めてからのサンプル数(=経過時間)
物体を連続して認識しているか否かの検知状況
がある。なお各パラメータ中の添字Nは各物体番号毎のパラメータであることを示す。
【0035】
ここで、前後方向の速度VLONG,Nは走行レーンに対して並行な方向(すなわち車両進行方向)の速度、横速度VLONG,Nは走行レーンに対して直交する方向(すなわち車両進行方向と直交方向)の速度であり、横速度VLONG,Nは走行レーンに侵入する方向を正とする。また、前後距離バラツキDLONG,Nは、図17に示されるように、レーザレーダ2で得られたエコーデータを物体としてグループ化する際に、ある物体であると認識された領域内に属するレーザレーダデータの前後方向の距離の上限値と下限値の差(すなわち物体の進行路前後方向の長さ)こであり、横距離バラツキDLAT,N は横方向の幅の右端値と左端値の差(すなわち物体の進行路に直交する方向の長さ)であると定義する。
【0036】
ついで、先行車認識処理(ステップC)、先行車危険判断処理(ステップD)が行われる。先行車認識処理は、画像もしくは車両状態量から推定された最も確からしい走行レーン上の物体を先行車もしくは障害物として他の物体と識別する処理であり、先行車危険判断処理は、先行車もしくは障害物と自車との関係、すなわち先行車に追従、先行車急減速、停止物等の関係に基づいて、危険判断アルゴリズムを適用し、警報または自動ブレーキを行うか否かを判定する処理である。これらの処理は本発明と直接に関係しないので詳細は省略する。
【0037】
次に、横移動物体危険判断処理を行う(ステップE)。ここで、横移動物体とは道路を横断すると考えられる主に歩行者のことであり、ここでいう横移動は車両進行方向に対して直角方向(通常は道路に対して横方向)への移動である。この横移動物体危険判断処理は、物体認識処理(ステップB)で得られた物体の横速度VLAT,N から、物体の走行レーンへの侵入の危険度を求め、走行レーン上になくとも侵入の危険有りと認めた物体に対して危険判断を行い、それにより横断歩行者などのような走行レーンに侵入してくる可能性のある物体を事前に検知して、衝突回避処理の判断が遅れることを防止するものである。この横移動物体危険判断処理は、走行レーンへの侵入の危険性を判定する走行レーン侵入危険度判定処理(ステップE1)、車両と実際に衝突の危険性のある対象物体を抽出する危険判断対象の抽出処理(ステップE2)、危険判断処理(ステップE3)、先行車危険判断処理結果との競合解消処理(ステップE4)等からなる。
【0038】
次いで、先行車危険判断処理(ステップD)と横移動物体危険判断処理(ステップE)などの結果に基づき、必要であれば警報装置や自動ブレーキ装置へのアクチュエータ指令を行う(ステップF)。
【0039】
次に、上述の処理のうち重要なものについてさらに詳細に説明する。
図4は物体認識処理の手順を示すフローチャートである。この処理フローでは物体の属性データを算出する詳細な手順については省略してあり、レーザエコーデータから抽出される物体のうち、どの物体を危険判定の対象物体として残すかを決める処理手順が示されている。すなわち、レーザエコーデータから抽出される全ての物体について処理をすることはECU1の処理能力上の限界があるので、処理対象とする物体の数を制限して衝突等の危険性のより高い物体を残し、衝突可能性の低い物体は削除する必要がある。この手法として、従来は走行レーン上になく車両により近い位置にある物体を削除していたが、この従来法では、歩行者に対する衝突回避を行うには、走行レーンに入ってくる可能性のある横断歩行者のデータを削除してしまうことになり問題がある。
【0040】
そこで、本実施例では、ごく近くにある物体のデータが重要であるとの認識に基づいて、最遠距離にある物体のデータを削除するようにしている。このような最遠距離にある物体は車両の横揺れ等を考えると、もともとレーザレーダ2による測定結果の信頼性も悪く、また車両の進行に伴いいずれ近距離の物体として認識され考慮されるから削除しても問題は少ない。ただし、一度、危険判断対象の物体として認識された物体は例外として取り扱い、削除しないようにしている。
【0041】
図4のフローチャートにおいて、レーザエコーデータを取得したら、レーザエコーデータにラベリングをして(ステップB2)、取得したレーザエコーがどの物体に属するかの判定を行う(ステップB3)。この処理を、入力されたレーザエコーデータの入力数(サンプリング数)全てについて繰り返して行う(ステップB1)。ついで、新たに入力されたエコーデータのうち、既に認識しているどの物体にも属さない物体のエコーデータが存在しているか否かを判定する(ステップB4)。
【0042】
もし、そのような物体のエコーデータが存在している場合には、既に認識している物体の総数がシステムで処理可能な物体処理個数の最大値になっているか否かを判定する(ステップB5)。最大値になっていなければ、まだ割り当てられていない物体番号Nd を探し(ステップB7)、その物体番号Nd の属性データを初期化し、従前のどの物体にも属さない新たに認識された物体のエコーデータを割り当てる(ステップB8)。
【0043】
一方、処理個数が最大値に達していたら(ステップB5)、後述する「警報判定フラグFWN ≠1」かつ「ブレーキ判定フラグFB≠1」であり、かつ最も遠い位置にある物体の物体番号Nd を探す(ステップB6)。この「警報判定フラグFWN ≠1」かつ「ブレーキ判定フラグFB≠1」とは、後述するように、当該物体がまで危険判断の対象とされたことがないことを意味している。物体番号Nd が探されたら、前述のステップB8の処理を行う。その後、今回のレーザエコーデータに基づいて、物体属性データの更新を行う(ステップB9)。
【0044】
次に、横移動物体危険判断処理(ステップE)について説明する。図5は横移動物体危険判断処理における走行レーン侵入危険度判定処理(ステップE1)と危険判断対象の抽出処理(E2)、危険判断処理(E3)の概要を示すフローチャートである。この処理は物体認識処理で認識され物体番号Nが付された物体に対して順繰りに行われる(ステップE51)。危険度判定処理(ステップE1)は、走行レーンへの侵入の危険性がある横移動物体を認識するための処理であり、その結果に基づいて判定フラグFVN 、ロックオン判定フラグFLN をオン/オフする。ここで、判定フラグFVN は“1”のときに対象物体番号Nが走行レーンに侵入する危険性があることを示す。ロックオン判定フラグFKN は“1”のときに、一度侵入危険性があると判定された物体番号Nについてその物体が立ち止まる等した場合でも継続して監視を続ける必要があることを示す。
【0045】
判定フラグFVN が“1”であれば(ステップE52)、次に対象抽出処理(ステップE2)を行い、危険判断対象物体の抽出を行う。この処理では、対象物体がそのまま横移動を続けると車両に衝突する危険性のある対象物体を抽出する処理であり、その危険の度合いに応じて、警報判定フラグFWN 、ブレーキ判定フラグFBN をオン/オフする。
【0046】
そして、危険判断処理(ステップE3)として、「警報判定フラグFWN =1」かつ「ブレーキ判定フラグFBN =0」である場合には(ステップE53)、警報装置を作動指示し(ステップE54)、さらに「警報判定フラグFWN =1」かつ「ブレーキ判定フラグFBN =1」である場合にはブレーキ装置を作動指示する(ステップE56)。
【0047】
図6には走行レーン侵入危険度判定処理(ステップE1)の詳細な手順が示される。まず、物体番号Nの対象物体について、その横速度VLAT,N と判定しきい値SH(LN )とを比較する(ステップE101)。横速度VLAT,N が判定しきい値SH(LN )以上であれば、走行レーン侵入の危険性があるとして、判定フラグFVN をオン(=1)にし(ステップE102)、小さければ侵入危険性はないものとして判定フラグFVN をオフ(=0)にする(ステップE103)。
【0048】
ここで、判定しきい値SH(LN )は、図7に示すように、対象物体との距離LN の関数となっている。すなわち、判定しきい値SH(LN )は、対象物体の距離LN が50m以上の遠距離の時には大きな値となって、侵入危険性があると判定する確率を減らし、また20〜50m程度の中距離の場合には最も低い値となって、侵入危険性があると判定する確率を高め、20m以下の近距離(至近距離)の場合は中距離よりやや高い値となる。
【0049】
このように判定しきい値SH(LN )を設定するのは、遠くでは歩行者データであっても歩行者は車に比べて遅く歩くため重要でないためであり、また近距離ではレーザレーダ2の測定精度が低いため主にガードレール等の固定物体からのエコーをみかけ上の横速度VLAT,N を持っているように誤認識し、その物体(ガードレール等)が横速度で横移動している横方向移動物体であると誤認識する可能性が増大し、判定しきい値SH(LN )を低くしたのではガートレールと横方向移動している歩行者を識別することが困難になるからであり、判定しきい値SH(LN )をある程度高くすることで、ガードレール等を横方向移動物体と誤認識することを防止できる。
【0050】
しかしながら、このように近距離での判定しきい値SH(LN )を高くすると、最初20〜50m範囲では横移動物体として捉えていた歩行者に車両が接近すると、歩行者として認識されないことになる可能性が生じる。そこで、本実施例では、歩行者ロックオン処理を導入しており、例えば走行レーンに侵入する危険があるとして一定時間(例えば0.35sec )継続して判断できる横移動物体を検知した時には、以降、横速度が判定しきい値SH(LN )を下回っても横移動物体として認識し続けるようにしている。この歩行者ロックオン処理は、歩行者が一時的に立ち止まって再び歩きだす可能性に対しても適切に対処できる。
【0051】
この歩行者ロックオン処理では、上記一定時間はロックオン判定しきい値LT(v0 )として実現され、このロックオン判定しきい値LT(v0 )は、図8に示すように、車両の車速v0 に対する反比例関数となっている。すなわち、車速v0 が速いほど歩行者をロックオンする確率を上げているもので、車速v0 が速いほど歩行者の侵入に対する衝突回避の余裕が少なくなる事情に対応している。
【0052】
また、遠い位置にある対象物体でも横速度VLAT,N が大きい場合には、上記判定しきい値SH(LN )による侵入判定でも横移動物体として捉えられ、さらに自車の車速v0 が速ければロックオンされる可能性も高まり、従って、自車の車速v0 が速い故に遠くにあっても衝突の危険性がある横移動物体をロックオンして継続して監視し続け得る可能性が高まる。
【0053】
図6において、判定フラグFVN のオン/オフ処理(ステップE102、E103)が終わったら、この判定しきい値SH(LN )がオンか否かを判定し(ステップE104)、オンである場合にはロックオンカウンタCOUNTN および速度バラツキカウンタCOUNTVN をインクリメントし(ステップE105)、オフである場合にはインクリメントは行わない。ここで、ロックオンカウンタCOUNTN は物体番号Nについて上記ロックオンのために、侵入危険性がある横移動物体として認識されている継続時間をカウントするためのカウンタである。また速度バラツキカウンタCOUNTVN は物体番号Nについて速度バラツキを評価するためのカウンタである。
【0054】
ロックオンカウンタCOUNTN のインクリメント処理は、判定フラグFVN =1であればカウント値を一つインクリメントするものである。また、速度バラツキカウンCOUNTVN のインクリメント処理は、今回のエコーデータに基づいて得られた物体Nの横移動速度VLAT,N と、前回のエコーデータに基づいて得られた物体Nの横移動速度VLAT,N の偏差を求め、この偏差を所定のしきい値を比較し、偏差がこのしきい値を超えていたら、カウント値を1つインクリメントするものである。
【0055】
ロックオンカウンタCOUNTN のカウント値はロックオン判定しきい値LT(v0 )と比較され(ステップE106)、ロックオン判定しきい値LT(v0 )以上であれば、ロックオン判定フラグFLN がオン(=1)される(ステップE107)。一方、ロックオン判定フラグFVN がオフ(=0)で、かつロックオン判定しきい値LT(v0 )により小さければ、ロックオンカウンタCOUNTN を「0」にリセットする(ステップE108)。
【0056】
さらに、ロックオン判定フラグFLN がオンされている場合には(ステップE109)、判定フラグFVN をオンにする(ステップE110)。これにより一度ロックオンがかかった対象物体については、それ以降のエコーデータのサンプリングに基づくフロー処理サイクルにおいて、たとえステップE101で停止物体と判定された時(例えば歩行者が立ち止まった時)でも、継続して侵入危険性がある物体と認識される。
【0057】
なお、この例では、物体が所定時間にわたり判定フラグ=1である場合(すなわちロックオンカウンタCOUNTN がしきい値LT(v0 )を超えた場合)にロックオン判定フラグFLN をオン(=1)としたが、横移動物体が近距離にある場合には対処の緊急性が高く所定時間を待っていたのでは間に合わない事態が多いので、直ちにロックオン判定フラグFLN =1とするよう構成すると、より望ましい。
【0058】
この後、「DLONG,N≧a」かつ「DLAT,N ≦b」の判定を行う(ステップE111)。この判定は、対象物体がガードレールか、あるいは人の集団またはよろついて歩いている人か、あるいはその他のものかを判定するためのもので、物体の前後距離バラツキDLONG,Nがガードレール判定しきい値a以上であり、かつ横距離バラツキDLAT,N が集団判定しきい値b以下であるかを判定する。
【0059】
道路沿いに間隔を置いて配置されているガードレールは、走行している車両から見ると、物体認識処理においてこま切れの物体のように見え、特に近距離においては、レーザレーダ2の測定精度等との関係で、みかけ上、歩行者認識の認識目標下限値0.6m/sec を含む横速度を有している物体のように捉えられる可能性が高く、歩行者の認識に対して大きな環境外乱となり、通常の方法ではガードレールと人との区別が難しい。したがってガードレールに沿って走行する場合、ガードレールと歩行者を横速度以外の何らかの手段で識別する必要がある。そこで、ここではガードレールが物体認識された時には、前後方向に長く、横方向に短い物体として認識されるという物理的特性に基づいて、物体認識の結果得られた対象物体の属性のうち、識別に役立つ情報として、認識物体の前後距離バラツキに着目する。
【0060】
すなわち、図13は横断中の歩行者の前後距離バラツキを示し、図14はその分布を示している。図13中、横軸は時間、縦軸は前後距離バラツキであり、図14中、横軸は前後距離バラツキ、縦軸はサンプル数である。これによると、歩行者の前後距離バラツキは約1m程度であることが分かる。次にガードレールに関する同様の前後距離バラツキを図15に、その分布を図16に示す。図15中、横軸は時間、縦軸は前後距離バラツキであり、図16中、横軸は前後距離バラツキ、縦軸はサンプル数である。なお図16中の分布データにおいて、2m以下のデータは比較のための歩行者のデータである。これによると、先の歩行者に比べオーダが1桁大きいことが分かる。分布を見ても明らかなように、2m付近にしきい値を設ければ、歩行者とガードレールは識別可能である。このガードレール判定を導入することで歩行者を、ガードレールを含む環境外乱から浮かび上がらせることが可能である。
【0061】
従って、前後距離バラツキDLONG,Nが所定のしきい値(ここではガードレール判定しきい値a)以上であり、横距離バラツキDLAT,N が所定のしきい値(ここでは集団判定しきい値b)以下の物体はガードレールであると判定することができる。
【0062】
なお、このガードレールか否かの判定は、ガードレールと歩行者との誤認識が特に起こりやすい近距離領域での認識精度を向上させるために、近距離領域における対象物体にのみ行うように構成することが望ましい。
【0063】
ガードレールと判定された場合には、その物体の判定フラグFVN 、ロックオン判定フラグFLN をオフにし、ロックオンカウンタCOUNTN を「0」にリセットする(ステップE112)。
【0064】
一方、ステップE111でガードレールでないと判定された時には、さらにその対象物体が人の集団またはよろついて歩いている人かを判定する。これは人の集団である場合には、その中から走行レーンに飛び出す人がある虞があり、従ってかかる集団に対しては侵入危険性判定の判定しきい値SH(LN )を下げて、危険と判定される確率を上げたほうがより安全であると考えられる。同様に、よろよろ歩いている人は、しっかりした歩調の人よりも道路に入り込む可能性が高く、この場合にも侵入危険性判定の判定しきい値SH(LN )を下げて、危険と判定される確率を上げたほうがより安全であると考えられる。
【0065】
そこで、まず集団か否かを判定するために、「DLONG,N<a」かつ「DLAT,N >b」の判定、すなわち「物体の前後距離バラツキDLONG,Nがガードレール判定しきい値aより小さく、かつ横距離バラツキDLAT,N が集団判定しきい値bより小さい」という判定条件を用い、この条件を満たしていれば集団と判定する(ステップE113)。集団と判定された場合には、判定しきい値を通常の物体の場合の半分にした1/2SH(LN )としてその集団の横速度VLAT,N と比較し(ステップE114)、1/2SH(LN )以下であれば、侵入の危険性があるとして判定フラグFVN をオンにする(ステップE115)。
【0066】
なお、この集団と認識された物体内において、さらにそれを構成する人の数も認識することができる時は、その集団の人数が多い時は少ないときに比べてさらに上記集団に対するしきい値を小さくするようにしてもよく、これにより一層危険度の高い集団(人数の多い集団)に対して安全性を確保できる。
【0067】
同様に、よろついて歩いている人か否かを判定するために、「COUNTVN /Num,N>c」の判定、すなわち「物体の速度バラツキカウンタCOUNTVN の値をサンブル数Num,Nで除した値(速度バラツキの平均値)が速度バラツキ判定しきい値cよりも大きい」という判定条件を用い、この条件を満たしていれば、よろついて歩いている人と判定する(ステップE116)。その場合には、判定しきい値を通常の物体の場合の半分にした1/2SH(LN )として、その人の横速度VLAT,N と比較し(ステップE117)、1/2SH(LN )以下であれば、侵入の危険性があるとして判定フラグFVN をオンにする(ステップE118)。
【0068】
なお、上記速度バラツキが速度バラツキ判定しきい値cを超えたもののうちでも、さらに速度バラツキがとりわけ大きいものについては、上記しきい値を更に小さくするようにしてもよい。これにより一層危険度の高い歩行者(足取りがかなり危ない歩行者)に対して安全性を確保できる。
【0069】
次に、危険判断対象の抽出処理(ステップE2)について説明する。図9と図10にはこの対象抽出処理の詳細な手順が示される。この対象抽出処理では、危険度判定処理(ステップE1)で侵入危険があると判定された物体番号Nについて、さらに車両との衝突の危険があるかを判定して、その度合いに基づいて警報、自動ブレーキ等の指示設定を行う。
【0070】
まず、ステップE2で侵入危険性がある(FV=1)とされた横移動物体に対する抽出領域幅WN の設定を行う(ステップE201)。この抽出領域幅WN は基本的には横移動物体の横移動速度VLAT,N に応じて決まるものとすることが望ましく、この抽出領域幅WN 内に当該横移動物体が存在している時には、車両と実際に衝突する危険性があると判断される。例えば、図18に示すように、物体番号1と2の物体がある場合、物体1の横速度VLAT,1 が物体2の横速度VLAT,2 よりも十分に小さければ(あるいは距離が離れていれば)、車両から見た物体1の抽出領域幅W1 は物体2の抽出領域幅W2 によりも十分に小さくなる。
【0071】
抽出領域幅WN の設定の方法としては例えば次の4つの方法が提案される。
▲1▼ WN =(LN /v0 )×VLAT,N +(車両幅/2)
すなわち、車両がそのままブレーキをかけなければ横速度VLAT,N の物体に(LN /v)秒後に衝突すると考えて抽出領域幅WN を算出する。
【0072】
▲2▼ 対象物体が道路の左側にあれば道路左端までの距離dL 、右側にあれば道路右端までの距離dR として、路上にある物体のみに作動を限定する。すなわち、
物体が進行路中心から右にあれば、WN =dR
物体が進行路中心から左にあれば、WN =dL
とする。
【0073】
▲3▼ 図11に示すように、物体の横速度VLAT,N が小さいきとは一定値、大きくなったら左側道路幅dL または右側道路幅dR に制限し、その中間速度では速度v0 に比例して抽出領域幅WN を増加させる。
【0074】
▲4▼ 抽出領域幅WN の上限は左右隣接車線の自車から遠い方の端までとし、道路上にある物体のみに作動を限定する。
【0075】
次に、マスキング処理をする(ステップE202)。これは、上記で求めた抽出領域幅WN に基づいて、道路がカーブしている場合を含めて、自車両が対象物体と衝突する危険性があるか否かを判定する処理である。図12に示すように、道路が道路曲率R(旋回R)でカーブしており、対象物体Nは(距離LN ,角度θN )の位置にあるものとして車両側に検知されているものとする。物体Nが旋回Rの道路の上方側にあると仮定した時、見えるべき角度αは
α=LN /2R
となる。この旋回Rの道路上の自車両中心に対して±WN の領域内に物体Nが存在するか否かを、次の条件式
α−(WN /LN )<θN <α+(WN /LN
(但し、θN は車両進行方向に対する物体Nの角度)
により判定する。この条件式を満たす時には、物体Nは同領域内にあり、車両との衝突の危険性があり、よって危険対象フラグFIN をオン(=1)にする(ステップE203)。条件式を満たさない時には、物体Nは同領域内になく衝突の危険がないので、危険対象フラグFIN をオフ(=0)にする(ステップE204)。
【0076】
この危険対象フラグFIN が「FIN =0」であれば(ステップE205)、この対象抽出処理を終了する。一方、「FIN =1」であれば、対象物体Nと自車との衝突の危険性があるので、衝突を回避するために、単に警報を発するのか、あるいは更に緊急性のあるものとして自動ブレーキを作動させるのかの判定を行う。
【0077】
この処理のために、まず、警報距離Lw とブレーキ距離LB を算出する。ここで、警報距離Lw は物体Nまでの距離LN がこの距離Lw 以内に達したら警報装置を作動させる距離であり、ブレーキ距離LB は距離LN がこの距離LB 以内に達したら自動ブレーキを作動させる距離である。これらの距離は次式
w =〔v0 2 /(2×9.8×μ)〕+t0 0 +d
B =〔v0 2 /(2×9.8×μ)〕+t1 0 +d
(但し、t0 、t1 は余裕時間、dは余裕距離、μは路面摩擦係数)
で求める。
【0078】
物体Nまでの距離LN が上記警報距離Lw 以内であれば(ステップE207)、警報判定フラグFWN をオン(=1)にする(ステップE208)。さらに、距離LN が上記ブレーキ距離LB 以内であれば(ステップE209)、ブレーキ判定フラグFBN をオン(=1)にする(ステップE210)。距離LN が警報距離Lw とブレーキ距離LB の何れよりも大きければ、フラグのオン設定はしない。
【0079】
この後、
▲1▼物体までの距離LN が警報距離Lw より大きくなった
▲2▼ブレーキが踏まれてブレーキスイッチがオンになった
▲3▼車速v0 が「0」近傍になった
のいずれかを満たしているかを判定する(ステップE211)。いずれか一つを満たしていれば、衝突の危険は去ったと判定できるので、警報判定フラグFWN をオフ(=0)にする(ステップE212)。さらに、車速v0 が「0」近傍である場合には(ステップE213)、ブレーキをかける必要は最早ないから、ブレーキ判定フラグFBN をオフ(=0)にする(ステップE214)。
【0080】
本発明の実施にあたっては上述したものの他にも種々の変形形態をとることが可能である。例えば、上述の実施例では衝突回避動作としては警報と自動ブレーキを用いたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば自動ステアリング、エンジンの自動スロットルオフ、自動シフトダウン等によるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての車両用の動体認識装置の全体的な動作手順を示すフローチャートである。
【図2】実施例装置の車両への搭載態様を説明する図である。
【図3】実施例装置においてレーザレーダ2のスキャンにより得たエコーデータを説明する図である。
【図4】実施例装置における物体認識処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【図5】実施例装置における横移動物体危険判断処理の概要を示す図である。
【図6】実施例装置における横移動物体危険判断処理中の危険度判定処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【図7】侵入危険度の判定しきい値SH(LN )を説明する図である。
【図8】対象物体をロックオンするためのロックオン判定しきい値LT(v0 )を説明する図である。
【図9】実施例装置における横移動物体危険判断処理中の対象抽出処理の詳細な手順(1/2)を示すフローチャートである。
【図10】実施例装置における横移動物体危険判断処理中の対象抽出処理の詳細な手順(2/2)を示すフローチャートである。
【図11】対象抽出処理における抽出領域幅WN の設定法の一つを説明する図である。
【図12】対象抽出処理におけるマスキング処理を説明するための図である。
【図13】横断中の歩行者の前後距離バラツキを示す図である。
【図14】図13の前後距離バラツキの分布を示す図である。
【図15】ガードレールの前後距離バラツキを示す図である。
【図16】図15の前後距離バラツキの分布を示す図である。
【図17】前後距離バラツキおよび横距離バラツキの概念を示すための図である。
【図18】抽出領域幅の概念を説明するための図である。
【符号の説明】
1 ECU
2 レーザレーダ
3 ビデオカメラ
4 アクチュエータ

Claims (21)

  1. 自車両の進行路の側方領域における該進行路に向かう横移動物体を認識する車両用の動体認識装置であって、
    該側方領域にある物体の横移動速度を取得する物体情報取得手段と、
    該物体情報取得手段で取得した物体の横移動速度を所定のしきい値と比較し、該横移動速度が該しきい値を超える物体を自車両の進行路に侵入する危険性のある横移動物体であると認識する侵入危険性判断手段とを備え、
    該しきい値は、自車両からの距離が近距離の物体に対しては中距離の物体に対するに比して値が大きく設定された車両用の動体認識装置。
  2. 上記しきい値は、自車両からの距離が遠距離の物体に対しては中距離の物体に対するに比して値が大きく設定され、かつ上記近距離の場合のしきい値よりも大きく設定された請求項1記載の車両用の動体認識装置。
  3. 上記物体の横移動速度は自車両の進行方向に対して直交する方向の移動速度である請求項1または2記載の車両用の動体認識装置。
  4. 上記物体情報取得手段は自車両の進行方向をスキャンするレーザレーダからのエコーデータを解析して物体の横移動速度を算出するものである請求項1〜3のいずれかに記載の車両用の動体認識装置。
  5. 上記各横移動物体の横移動速度に基づいて、現在の位置から横移動を続けると自車両と実際に衝突する危険性がある横移動物体を抽出する対象抽出手段を更に備えた請求項1〜のいずれかに記載の車両用の動体認識装置。
  6. 該対象抽出手段は、自車両の速度および自車両から対象物体までの距離に基づいて上記衝突危険性の判断を行うようにした請求項5記載の車両用の動体認識装置。
  7. 上記対象抽出手段は、衝突の危険性のある対象物体を、左右隣接車線の自車両から遠い方の路端までにあるものに限定するようにした請求項5または6記載の車両用の動体認識装置。
  8. 上記対象抽出手段での抽出結果に基づき、衝突回避動作を自車両側でとらなくても衝突しないと予測される場合には運転者に警報する指示を与えるように構成した請求項5〜7のいずれかに記載の車両用の動体認識装置。
  9. 上記対象抽出手段での抽出結果に基づき、衝突回避動作を自車両側でとらないと衝突すると予測される場合には該衝突回避作動の指示を与えるように構成した請求項5〜8のいずれかに記載の車両用の動体認識装置。
  10. 上記侵入危険性がある横移動物体として所定時間以上継続して認識された横移動物体は以後該しきい値を下回っても侵入危険性のある横移動物体であると認識し続けるロックオン手段を更に備えた請求項1〜9のいずれかに記載の車両用の動体認識装置。
  11. 上記物体情報取得手段は進行路に対する物体の寸法情報を取得する手段を含み、該寸法情報を所定のガードレール判定しきい値と比較することで物体がガードレールであるか否かを認識し、ガードレールと認識された時は当該物体を横移動物体との判断から除外するようにした請求項1〜10のいずれかに記載の車両用の動体認識装置。
  12. 上記物体情報取得手段は進行路に対する物体の寸法情報を取得する手段を含み、該寸法情報を所定の集団判定しきい値と比較することで物体が歩行者集団であるか否かを認識し、歩行者集団であると認識された時は該歩行者集団に対する上記侵入危険性判定のための所定のしきい値を通常よりも小さくするようにした請求項1〜11のいずれかに記載の車両用の動体認識装置。
  13. 上記物体情報取得手段は物体の横移動速度に基づき横移動速度バラツキを取得する手段を含み、該横移動速度バラツキを所定のバラツキ評価しきい値と比較することで侵入危険性のより高い歩行者を認識し、当該歩行者であると認識された時は当該歩行者に対する上記侵入危険性判定のための所定のしきい値を通常よりも小さくするようにした請求項1〜12のいずれかに記載の車両用の動体認識装置。
  14. 自車両の進行路の側方領域における該進行路に向かう横移動物体を認識する車両用の動体認識装置であって、
    該側方領域にある物体の横移動速度を取得する物体情報取得手段と、
    該物体情報取得手段で取得した物体の横移動速度を所定のしきい値と比較し、該横移動速度が該しきい値を超える物体を横移動物体であると認識する横移動物体認識手段とを備え、
    該横移動物体認識手段は、上記横移動速度が所定時間継続して上記しきい値を超えた場合は、以後該しきい値を下回っても該物体を横移動物体であると認識し続けるように構成した車両用の動体認識装置。
  15. 上記所定時間は自車両の車速が大のときは小の時に比して短く設定されるようにした請求項14に記載の車両用の動体認識装置。
  16. 近距離の物体に対しては上記しきい値を超えた場合は、直ちに以降該しきい値を下回っても横移動物体であると認識し続けるようにした請求項14または15記載の車両用の動体認識装置。
  17. 自車両の進行路の側方領域における該進行路に向かう横移動物体を認識する車両用の動体認識装置であって、
    該側方領域にある物体の寸法情報と横移動速度を取得する物体情報取得手段と、
    該物体情報取得手段で取得した物体の横移動速度を所定のしきい値と比較し、該横移動速度が該しきい値を超える物体を横移動物体であると認識する横移動物体認識手段と、
    該寸法情報を所定の寸法を定める寸法しきい値と比較し、該所定の寸法範囲を満たす物体が認識された場合には、該所定の寸法範囲を満たさない物体が認識された場合に比べて上記所定のしきい値を小さくするようにした車両用の動体認識装置。
  18. 上記所定の寸法範囲の物体を構成する個々の物体が認識でき、その個々の物体の個数が多い時は少ない時に比べて上記所定のしきい値を小さくするようにした請求項17記載の車両用の動体認識装置。
  19. 自車両の進行路の側方領域における該進行路に向かう横移動物体を認識する車両用の動体認識装置であって、
    該側方領域にある物体の横移動速度を取得する物体情報取得手段と、
    該物体情報取得手段で取得した物体の横移動速度を所定のしきい値と比較し、該横移動速度が該しきい値を超える物体を横移動物体であると認識する横移動物体認識手段と、
    該横移動速度の速度バラツキを所定のバラツキしきい値と比較し、該所定のバラツキしきい値を超える物体が認識された場合には、該所定のバラツキしきい値を下回る物体が認識された場合に比べて上記所定のしきい値を小さくするようにした車両用の動体認識装置。
  20. 上記横移動速度の速度バラツキが特に大の物体は小の物体に比べて上記しきい値を小さくするようにした請求項19記載の車両用の動体認識装置。
  21. 進行路の前後方向における所定の寸法範囲から外れる物体が認識された場合には、当該物体を非横移動物体であると認識するようにした請求項17〜20のいずれかに記載の車両用の動体認識装置。
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