JP2006132551A - 静止シリンダ型クラッチ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ハブ41aとドラム44aの間に配置されたクラッチ板51aと、静止部材8に設けられ、油圧を受けてクラッチ板51aを締結させるピストン51cとを備える。ピストン51cのクラッチ板51aと対向する側面にスラストベアリング52が配置され、スラストベアリングのピストンに接する側の一方のレース52aはピストンの側面に沿って内径方向に延長され、この延長部52a1 に静止部材8に一端部が支持されたリターンスプリング53の他端部が当接して、レース52a1 をピストン51cの側面に押しつけている。クラッチ板の解放時に、スラストベアリングの他方のレース52bはクラッチ板に対して所定のクリアランスδをもって対面している。
【選択図】 図4
Description
このクラッチ装置は、ケース100に収容されたピストン101と、回転しているクラッチドラム102およびクラッチハブ103の間に配置されたクラッチ板(クラッチディスク及びクラッチプレート)104と、クラッチ板104を押圧する押圧部材105と、ピストン101と押圧部材105との間に配置されたスラストベアリング106とを備えており、ピストン101の推力を差回転のある状態でクラッチ板104に伝達するものである。ケース100とピストン101との間にはリターンスプリング107が介装されている。クラッチ装置を解放している状態では、押圧部材105とクラッチ板104との間には所定のクリアランスδが設けられている。ピストン101がスラストベアリング106を介して押圧部材105を押す部位と、押圧部材105がクラッチ板104を押す部位とは、半径方向に寸法Rだけオフセットしている。
このクラッチ装置は、ケース110に収容されたピストン111と、回転しているクラッチドラム112およびクラッチハブ113の間に配置されたクラッチ板(クラッチディスク及びクラッチプレート)114と、クラッチ板114を押圧する押圧部材115と、ピストン111と押圧部材115との間に配置されたスラストベアリング116とを備えており、ピストン111の推力を差回転のある状態でクラッチ板114に伝達している。クラッチハブ113と押圧部材115との間にはリターンスプリング117が介装され、押圧部材115からスラストベアリング116を介してピストン111に対して戻り方向のばね力を与えている。クラッチ装置を解放している状態では、押圧部材115とクラッチ板114との間には所定のクリアランスδが設けられている。このクラッチ装置の場合も、ピストン111がスラストベアリング116を介して押圧部材115を押す部位と、押圧部材115がクラッチ板114を押す部位とが半径方向に寸法Rだけオフセットしている。
このように本発明では、ピストンの推力をスラストベアリングを介して直接クラッチ板に伝達し、かつピストンとスラストベアリングとの接触点と、スラストベアリングとクラッチ板との接触点が半径方向にオフセットしないので、エネルギーロスが少なく、しかもスラストベアリングがクラッチ板に偏当たりせず、クラッチ板の偏磨耗を防止できる。
さらに、ピストンの推力をスラストベアリングを介してクラッチ板に伝達するための押圧部材を必要としないので、部品数の削減、軸方向寸法の短縮および重量軽減を図ることができる。
なお、リターンスプリングの他端部とレースの延長部とが当接してもよいし、熱膨張差などを考慮して所定の隙間があってもよい。この場合は、リターンスプリングがピストンに当接する。リターンスプリングとレースの延長部とが当接している場合には、リターンスプリングのばね力によりレースはピストンの側面に押しつけられる。
このような構造とすれば、リターンスプリングがレースの延長部の軸方向に突出した端部に位置決めするので、半径方向のスペースを短縮できるという利点がある。しかも、レースの延長部をピストンの円筒部に対してインロー嵌合させることができるので、スラストベアリングをピストンに対して半径方向のガタなく、安定的に支持できる。
なお、ピストンの円筒部はピストンの内径部あるいは外径部のいずれに設けてもよいが、ピストンの内径部に設けた方がリターンスプリングを小型化できるので、望ましい。
また、ピストンの推力をスラストベアリングを介して直接クラッチ板に伝達し、かつピストンとスラストベアリングとの接触点と、スラストベアリングとクラッチ板との接触点が半径方向にオフセットしないので、エネルギーロスが少なく、しかもスラストベアリングがクラッチ板に偏当たりせず、クラッチ板の偏磨耗を防止できる。
さらに、ピストンの推力をクラッチ板に伝達するための押圧部材を必要としないので、部品数の削減、軸方向寸法の短縮および重量軽減を実現できる。
この実施例の無段変速機はFF横置き式の自動車用変速機であり、大略、エンジン出力軸1によりトルクコンバータ2を介して駆動される入力軸3、入力軸3の回転を正逆切り替えて駆動軸10に伝達する前後進切替装置4、駆動プーリ11と従動プーリ21と両プーリ間に巻き掛けられたVベルト15とからなる無段変速装置A、従動軸20の動力を出力軸32に伝達するデファレンシャル装置30などで構成されている。入力軸3と駆動軸10とは同一軸線上に配置され、従動軸20とデファレンシャル装置30の出力軸32とが入力軸3に対して平行でかつ非同軸に配置されている。したがって、この無段変速機は全体として3軸構成とされている。
この実施例で用いられるVベルト15は、一対の無端状張力帯と、これら張力帯に支持された多数のブロックとで構成された公知の金属ベルトである。
スラストベアリング52の一方のレース52aは、ピストン51cの内側面に沿って内径方向に延長されている。ピストン51cの内径部には軸方向に延びる円筒部51c1 が形成されており、上記レース52aの延長部52a1 の内径側端部は軸方向に折り曲げられ、ピストン51cの円筒部51c1 の外周にインロー嵌合している。そのため、レース52aはピストン51cに対して半径方向にガタなく保持される。延長部52a1 の端面は、円筒部51c1 の端面より若干後退しており、ピストン51cを押し戻すリターンスプリング53の端部によって位置決めされている。延長部52a1 の端面と円筒部51c1 の端面との隙間は熱膨張差を考慮して設定される。但し、延長部52a1 の端面が円筒部51c1 の端面と同一あるいは突出していてもよい。この実施例のリターンスプリング53は、公知のリーフスプリングで構成されているが、コイルスプリングで構成することもできるし、環状に配置された複数のコイルスプリングで構成することもできる。
この実施例では、スラストベアリング52のレース52aをピストン51cの内側面に沿って内径方向へ直線的に延長したものであり、延長部52a1 の端部はピストン51cの内側面の内周端で終端となっており、ピストン51cの円筒部51c1 にはインロー嵌合していない。リターンスプリング53の端部はレース52aの延長部52aの側面に当接しており、レース52aをピストン51cの内側面に押しつけている。
この実施例では、リターンスプリング53の端部がピストン51cの円筒部51c1 の外周側に嵌まり込んでいるため、第1実施例(図4参照)に比べてピストン51cの円筒部51cが内径方向へ延長されている。
この実施例のスラストベアリング52はニードルローラ型のスラストベアリングの例を示したが、これに限定されるものではなく、例えばボールベアリング型のスラストベアリングでもよく、ピストン51cの推力をクラッチ板51aに伝えるとともに、ピストン51cとクラッチ板51aとの差回転を吸収できるものであればいかなるベアリングを使用してもよい。
また、スラストベアリング52のレース52aを内径方向に延長し、この延長部52a1 をリターンスプリング53で位置決めしたが、レース52aを外径方向に延長し、この延長部をリターンスプリング53で位置決めしてもよいことは勿論である。
上記実施例では、静止シリンダ型クラッチ装置を無段変速機の前後進切替装置における後進用クラッチも適用した例を示したが、これに限るものではなく、一般の自動変速機のクラッチ装置にも適用できることは勿論である。
4 前後進切替装置
8 オイルポンプカバー(静止部材)
41 サンギヤ
41a 円筒部(ハブ)
44 キャリア
44a 円筒部(ドラム)
51 後進用クラッチ(静止シリンダ型クラッチ装置)
51a クラッチ板
51b 油圧室
51c ピストン
51c1 円筒部
52 スラストベアリング
52a 一方のレース
52a1 延長部
52b 他方のレース
53 リターンスプリング
54 スプリングリテーナ
Claims (2)
- 入出力回転部材を構成するハブおよびドラムと、上記ハブの外周とドラムの内周との間に配置されたクラッチ板と、静止部材に設けられ、油圧を受けて上記クラッチ板を締結させるピストンとを備えた静止シリンダ型クラッチ装置において、
上記ピストンのクラッチ板と対向する側面に、上記ピストンとクラッチ板との相対回転を許容するスラストベアリングが配置され、
上記スラストベアリングのピストンに接する側の一方のレースは、上記ピストンの側面に沿って内径方向または外径方向に延長され、
上記レースの延長部は、静止部材に一端部が支持されたリターンスプリングの他端部によって軸方向位置が位置決めされており、
上記スラストベアリングの他方のレースは、上記クラッチ板の解放時に、上記クラッチ板に対して所定のクリアランスをもって対面していることを特徴とする静止シリンダ型クラッチ装置。 - 上記ピストンの内径部または外径部にクラッチ板側へ突出する円筒部が設けられ、
上記一方のレースの延長部の端部が上記円筒部に沿って軸方向に突設され、
上記一方のレースの延長部の端部は上記リターンスプリングの他端部で位置決めされていることを特徴とする請求項1に記載の静止シリンダ型クラッチ装置。
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