JP2005299698A - ベルト式無段変速機 - Google Patents

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啓文 野澤
Takatsugu Ibaraki
隆次 茨木
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Abstract

【課題】 シール性の低下を生ずることなく二つの油圧室を形成することのできるベルト式無段変速機を提供する。
【解決手段】 可動シーブ43に作用するベルト挟圧力を発生させる外径側油圧室PCOと内径側油圧室PCIとの少なくとも二つの油圧室が、可動シーブ43から軸方向に延在された軸方向延在部とこれに摺動する軸方向延在部を有する隔壁部材190とで独立して構成されると共に、隔壁部材の最内径側の第一軸方向延在部190Bの内周に可動シーブの最内径側の第一軸方向延在部182の外周が摺動可能に嵌挿されたベルト式無段変速機であって、隔壁部材190は、可動シーブの最内径側の第一軸方向延在部182が摺動可能に配置された位置に、径方向に延在するフランジ部190Cを有するように構成されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ベルト式無段変速機に関し、特に、2つの可変プーリの間でベルトにより動力伝達を行うとともに、ベルトの巻き掛け半径を変更することにより、その変速比を制御する構成のベルト式無段変速機に関する。
一般に、車両の走行状態に応じた最適の条件でエンジンを運転することを目的として、エンジンの出力側に有段や無段の変速機が設けられている。このような、無段変速機の一例として、ベルト式無段変速機が挙げられる。このベルト式無段変速機は、平行に配置された2つの回転部材と、各回転部材に別々に取り付けられたプライマリプーリおよびセカンダリプーリとを有している。このプライマリプーリおよびセカンダリプーリは、共に、固定シーブと可動シーブとを組み合わせて構成されており、固定シーブと可動シーブとの間にV字形状の溝が形成されている。
さらに、プライマリプーリの溝およびセカンダリプーリの溝にベルトが巻き掛けられており、可動シーブに軸線方向の挟圧力を発生させる油圧室が別個に設けられている。そして、各油圧室の油圧を別個に制御することにより、プライマリプーリの溝幅が制御されてベルトの巻き掛け半径が変化し、その変速比が変更される一方、セカンダリプーリの溝幅が変化してベルトの張力が制御される。
ところで、上記のようなベルト式無段変速機においては、プーリの回転に伴い油圧室内の作動油に遠心力が作用し、制御油圧に加えての遠心油圧の悪影響が知られている。このような不都合を解消するための遠心圧補償装置を備えたベルト式無段変速機の一例が特許文献1に記載されている。
この特許文献1に記載されているベルト式無段変速機においては、ピストン/シリンダ組立体の半径方向外方で、軸方向に可動のシーブに固定された別のシリンダと、プーリ軸に固定された別のピストンとを含む遠心圧補償装置を備えている。より具体的には、可動シーブから軸方向に延在された2つのシリンダ27、33と2つのピストン26、32を備え、各シリンダ27、33の内周側に各ピストン26、32の外周端部が摺接されて2つの油圧室29、30が形成されている。そして、2つのピストンは、可動シーブの軸方向に対して傾斜されて形成され、内径側のピストン26の内径側にばね25と可動シーブの軸部分が配置されている(特許文献1の図2参照)。
特開2000−145909号公報
ところで、上記特許文献1に記載されたベルト式無段変速機において、2つの油圧室を共に通常の挟圧力を生じさせる油圧室として用いるべく、可動シーブから軸方向に延在された内径側シリンダ27の外周側に内径側ピストン26の内周側を摺接させて、油圧室を形成することが考えられる。しかしながら、単に、内径側シリンダ27の外周側に内径側ピストン26の内周側を摺接させると、ピストンが可動シーブの軸方向に対して傾斜して形成されており、可動シーブの軸部分からのベルト反力を受けてピストンが外径方向に動き、シリンダ外周側とピストン内周側とのシール性が低下する恐れがある。
本発明は、上記の事情を背景としてなされたものであり、シール性の低下を生ずることなく二つの油圧室を形成することのできるベルト式無段変速機を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明の一形態によるベルト式無段変速機は、可動シーブに作用するベルト挟圧力を発生させる外径側と内径側との少なくとも二つの油圧室が、前記可動シーブから軸方向に延在された軸方向延在部とこれに摺動する軸方向延在部を有する隔壁部材とで独立して構成されると共に、前記隔壁部材の最内径側の第一軸方向延在部の内周に前記可動シーブの最内径側の第一軸方向延在部の外周が摺動可能に嵌挿されたベルト式無段変速機であって、前記隔壁部材は、前記可動シーブの最内径側の第一軸方向延在部が摺動可能に配置された位置に、径方向に延在するフランジ部を有するように構成されていることを特徴とする。
ここで、前記内径側の油圧室は、前記可動シーブの最内径側の第一軸方向延在部の端部と前記隔壁部材との間に形成されていてもよい。
また、前記内径側の油圧室は、前記可動シーブの最内径側の第一軸方向延在部の端部と前記隔壁部材との間、および、前記可動シーブの最内径側の第一軸方向延在部とその次の第二の軸方向延在部と前記隔壁部材との間に形成されていてもよい。
さらに、前記可動シーブの第二の軸方向延在部は、可動シーブに一体に形成されていてもよい。
なお、前記外径側の油圧室は、前記可動シーブの最外径側の軸方向延在部とその内径側の軸方向延在部と前記隔壁部材との間に形成され、前記可動シーブの最外径側の軸方向延在部と前記隔壁部材とに、前記可動シーブが移動するとき、所定の変速比付近において連通する位置関係にドレン孔が形成されていることが好ましい。
本発明の一形態によれば、可動シーブに作用するベルト挟圧力を発生させる外径側と内径側との少なくとも二つの油圧室が、前記可動シーブから軸方向に延在された軸方向延在部とこれに摺動する軸方向延在部を有する隔壁部材とで独立して構成されると共に、前記隔壁部材の最内径側の第一軸方向延在部の内周に前記可動シーブの最内径側の第一軸方向延在部の外周が摺動可能に嵌挿されている。従って、可動シーブの最内径側の第一軸方向延在部からのベルト反力を受けて、この力が最内径側の第一軸方向延在部に嵌挿されている隔壁部材が外径方向に動き、その軸方向延在部に摺動する、可動シーブから軸方向に延在された軸方向延在部とのシール性が低下する恐れがあるが、前記隔壁部材は、前記可動シーブの最内径側の第一軸方向延在部が摺動可能に配置された位置に、径方向に延在するフランジ部を有するように構成されているので、最大の力が加わる部位の剛性が十分に確保される結果、隔壁部材の外径方向への動きが阻止されシール性の低下が抑制される。
ここで、前記内径側の油圧室が、前記可動シーブの最内径側の第一軸方向延在部の端部と前記隔壁部材との間に形成されている形態によれば、内径側の油圧室を単純な構造で形成することが可能で、コストを軽減できる。
また、前記内径側の油圧室が、前記可動シーブの最内径側の第一軸方向延在部の端部と前記隔壁部材との間、および、前記可動シーブの最内径側の第一軸方向延在部とその次の第二の軸方向延在部と前記隔壁部材との間に形成されている形態によれば、可動シーブの最内径側の第一軸方向延在部を厚肉に形成する必要がないので、可動シーブの軽量化を図ることができる。
さらに、前記可動シーブの第二の軸方向延在部が、可動シーブに一体に形成されている形態によれば、可動シーブの最内径側の第一軸方向延在部および該第二の軸方向延在部の前記隔壁部材とのそれぞれの摺動面が共に同一部材内で加工が可能であるから、精度良く加工することができシール性がさらに向上する。
なお、前記外径側の油圧室が、前記可動シーブの最外径側の軸方向延在部とその内径側の軸方向延在部と前記隔壁部材との間に形成され、前記可動シーブの最外径側の軸方向延在部と前記隔壁部材とに、前記可動シーブが移動するとき、所定の変速比付近において連通する位置関係にドレン孔が形成されている形態によれば、遠心油圧発生の原因となる作動油の残留を容易に阻止することができる。
ここで、本発明によるベルト式無段変速機の好適な実施の形態を図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明のベルト式無段変速機をFF車(エンジン前置き前輪駆動車)に適用した場合のトランスアクスルのスケルトン図である。図1において、1は車両の駆動力源としてのエンジンであり、その種類は特に限定されないが、以下の説明においては、エンジン1として便宜上、ガソリンエンジンを用いた場合について説明する。エンジン1の出力側には、トランスアクスル3が設けられ、このトランスアクスル3は、エンジン1の後端側に取り付けられたトランスアクスルハウジング4と、エンジン1とは反対側の開口端に取り付けられたトランスアクスルケース5と、トランスアクスルハウジング4とは反対側の開口端に取り付けられたトランスアクスルリヤカバー6とを順に有している。トランスアクスルハウジング4の内部には、トルクコンバータ7が設けられており、トランスアクスルケース5およびトランスアクスルリヤカバー6の内部には、前後進切り換え機構8およびベルト式無段変速機(CVT)9並びに最終減速機10が設けられている。
トランスアクスルハウジング4の内部には、クランクシャフト2と同軸のインプットシャフト11が設けられており、インプットシャフト11におけるエンジン1側の端部にはタービンランナ13が取り付けられている。一方、クランクシャフト2の後端にはドライブプレート14を介してフロントカバー15が連結されており、フロントカバー15にはポンプインペラ16が連結されている。このタービンランナ13とポンプインペラ16とは対向して配置され、タービンランナ13およびポンプインペラ16の内側にはステータ17が設けられている。前記トルクコンバータ7と前後進切り換え機構8との間には、オイルポンプ20が設けられている。
前後進切り換え機構8は、インプットシャフト11とベルト式無段変速機9との間の動力伝達経路に設けられている。前後進切り換え機構8はダブルピニオン形式の遊星歯車機構24を有している。この遊星歯車機構24は、インプットシャフト11に設けられたサンギヤ25と、このサンギヤ25の外周側に、サンギヤ25と同心状に配置されたリングギヤ26と、サンギヤ25に噛み合わされたピニオンギヤ27と、このピニオンギヤ27およびリングギヤ26に噛み合わされたピニオンギヤ28と、ピニオンギヤ27,28を自転可能に保持し、かつ、ピニオンギヤ27,28を、サンギヤ25の周囲で一体的に公転可能な状態で保持したキャリヤ29とを有している。そして、このキャリヤ29と、ベルト式無段変速機9の後述するプライマリシャフト30とが連結されている。また、キャリヤ29とインプットシャフト11との間の動力伝達経路を接続・遮断するフォワードクラッチCLおよびリングギヤ26の回転・固定を制御するリバースブレーキBRがそれぞれ設けられている。
ベルト式無段変速機9は、インプットシャフト11と同心状に配置されたプライマリシャフト(駆動側シャフト)30と、プライマリシャフト30に平行に配置されたセカンダリシャフト(従動側シャフト)31とを有している。プライマリシャフト30は、軸受32,33により、また、セカンダリシャフト31は軸受34,35により、それぞれ、回転自在に保持されている。
プライマリシャフト30側にはプライマリプーリ36が設けられており、セカンダリシャフト31側にはセカンダリプーリ37が設けられている。プライマリプーリ36は、プライマリシャフト30に一体的に形成された固定シーブ38と、プライマリシャフト30の軸線方向に移動可能に構成された可動シーブ39とを有している。そして、固定シーブ38と可動シーブ39との対向面間にV字形状の溝40が形成されている。
また、この可動シーブ39をプライマリシャフト30の軸線方向に動作させることにより、可動シーブ39と固定シーブ38とを接近・離隔させる油圧アクチュエータ41が設けられている。一方、セカンダリプーリ37も、同様に、セカンダリシャフト31に一体的に形成された固定シーブ42と、セカンダリシャフト31の軸線方向に移動可能に構成された可動シーブ43とを有し、固定シーブ42と可動シーブ43との対向面間にV字形状の溝44が形成されている。さらに、この可動シーブ43をセカンダリシャフト31の軸線方向に動作させることにより、可動シーブ43と固定シーブ42とを接近・離隔させる油圧アクチュエータ45が設けられている。
そして、プライマリプーリ36の溝40およびセカンダリプーリ37の溝44に対して、ベルト46が巻き掛けられている。ベルト46は、多数の金属製の駒および複数本のスチールリングを有して構成されている。なお、セカンダリシャフト31には、カウンタドリブンギヤ47が固定されており、軸受48,49により保持されている。さらに、上述の軸受35はトランスアクスルリヤカバー6側に設けられており、この軸受35とセカンダリプーリ37との間には、パーキングギヤ31Aが設けられている。
さらに、ベルト式無段変速機9のカウンタドリブンギヤ47と最終減速機10との間の動力伝達経路には、セカンダリシャフト31に平行なインターミディエイトシャフト50が軸受51,52により支持されて設けられている。インターミディエイトシャフト50には、カウンタドライブギヤ47に噛み合うカウンタドリブンギヤ53と、ファイナルドライブギヤ54とが設けられている。
一方、最終減速機10は、軸受56,57により回転自在に保持された中空のデフケース55を有し、デフケース55の外周にはファイナルドライブギヤ54と噛み合うリングギヤ58が設けられている。そして、デフケース55の内部には2つのピニオンギヤ60が取り付けられたピニオンシャフト59が配置されている。このピニオンギヤ60には2つのサイドギヤ61が噛み合わされ、それぞれ、左右のドライブシャフト62を介して車輪63に連通されている。
ここで、上述したベルト式無段変速機9の第一の実施形態につき、図2を参照しつつ詳細に説明する。図2は、プライマリプーリ36およびセカンダリプーリ37付近の本発明に係る部分の拡大断面図である。
プライマリプーリ36は、プライマリシャフト30の外周において、トランスアクスルリヤカバー6に取り付けられた軸受33と、トランスアクスルケース5側に取り付けられた軸受32との間に配置されている。また、プライマリシャフト30は軸線A1を中心として回転可能であり、プライマリシャフト30の内部には軸線方向に2つの油路107,108が形成されている。この油路107,108は後述する油圧制御装置の油圧回路200に連通されている。さらに、プライマリシャフト30には、その外周面に向け半径方向に伸ばされ、かつ、油路107に連通された油路109,110が設けられている。油路109と油路110とは、軸線方向の異なる位置に設けられている。具体的には、油路109の方が油路110よりも軸受33に近い位置に配置されている。さらに、プライマリシャフト30の外周面に向け半径方向に伸ばされ、かつ、油路108に連通された油路111が設けられている。この油路111は、可動シーブ39と固定シーブ38との間に開口され、ベルト46を潤滑するオイルを供給するためのものである。
一方、プライマリシャフト30の外周における油路109の開口部分と軸受33との間には、軸受33と対面するように段部112が構成されている。可動シーブ39は、プライマリシャフト30の外周面に沿ってスライドする内筒部39Aと、内筒部39Aの固定シーブ38側の端部から外周側に向けて連続された半径方向部39Bと、半径方向部39Bの外周端に連続され、かつ、軸受33側に向けて軸線方向に伸ばされた外筒部39Cとを有している。そして、内筒部39Aには、その内周面から外周面に亘って貫通する油路116が形成されている。この油路116と油路110とはプライマリシャフト30の外周面に形成された環状切欠115を介して連通されている。
また、可動シーブ39と軸受33との間には隔壁117が配置されている。この隔壁117は、隔壁117の内周側を構成する半径方向部117Aと、半径方向部117Aの外周端に連続され、かつ、可動シーブ39の半径方向部39B側に向けて伸ばされた円筒部117Bと、この円筒部117Bにおける可動シーブ39の半径方向部39B側の端部に連続され、かつ、外側に向けて伸ばされた半径方向部117Cとを備えている。そして、隔壁117の半径方向部117Aは、段部112と軸受33との間に配置されている。なお、隔壁117の半径方向部117Cの外周端には樹脂製のシールリング117Dが取り付けられており、シールリング117Dと可動シーブ39の外筒部39Cの内周面とが軸線方向に相対移動可能な状態で接触し、その接触部分にシール面が形成される。上記のようにして、可動シーブ39と隔壁117とにより取り囲まれた空間に第1の油圧室PC1が形成されている。この第1の油圧室PC1と油路116とが連通されている。
また、可動シーブ39の内筒部39Aの内周面には軸線方向の溝123が形成され、プライマリシャフト30の外周面には軸線方向の溝124が形成されている。溝123,124は、円周方向に所定間隔をおいて複数形成されている。そして、各溝123と各溝124とが円周方向で同一の位相となるように、プライマリシャフト30と可動シーブ39とが位置決めされ、溝123および溝124の両方に跨る複数のボール125が配置されている。上記溝123,124およびボール125により、プライマリシャフト30と可動シーブ39とは軸線方向に滑らかに相対移動可能であるが、プライマリシャフト30と可動シーブ39とが円周方向には相対移動が不可能な状態とされている。
さらに、プライマリシャフト30の外周には、環状のシリンダ部材126が取り付けられている。シリンダ部材126は、半径方向部126Aと、半径方向部126Aの外周側に連続され、かつ、固定シーブ38側に向けて軸線方向に伸ばされた円筒部126Bとを有している。円筒部126Bの内径は、可動シーブ39の外筒部39Cの外径よりも大きく設定されている。
上記構成のシリンダ部材126の半径方向部126Aの内周部が、軸受33と隔壁117の半径方向部117Aとの間に配置されている。さらに、プライマリシャフト30の外周にはナット130が締め付け固定されており、このナット130と段部112とにより、軸受33およびシリンダ部材126ならびに隔壁117が、プライマリシャフト30の軸線方向に挟持され、かつ、軸線方向に位置決め固定されている。
また、隔壁117の円筒部117Bと、シリンダ部材126の円筒部126Bとの間であり、かつ、シリンダ部材126の半径方向部126Aと、可動シーブ39の外筒部39Cとの間には、ピストン131が設けられている。このピストン131は略円板形状に構成されており、ピストン131の内周には、ゴム状弾性材製のOリング131Aが取り付けられ、ピストン131の外周には、樹脂製のシールリング131Bが取り付けられている。そして、ピストン131は、隔壁117およびシリンダ部材126に対し軸線方向に移動可能に構成されており、Oリング131Aが隔壁117の円筒部117Bの外周面に接触してシール面が形成され、シールリング131Bがシリンダ部材126の円筒部126Bの内周面に接触してシール面が形成されている。さらに、ピストン131の内周端は、軸受33側に向けて軸線方向に伸ばされた円筒形状のスリーブ131Cが形成されている。
このようにして、シリンダ部材126および隔壁117ならびにピストン131により取り囲まれた環状の空間に、第2の油圧室PC2が形成されている。また、前記隔壁117の半径方向部117Aと円筒部117Bとの境界部分には、隔壁117を厚さ方向に貫通する油路135が形成されており、第1の油圧室PC1と第2の油圧室PC2とが油路135により連通されている。また、隔壁117とピストン131と可動シーブ39の外筒部39Cとにより取り囲まれた空間には空気室136が形成され、空気室136とシリンダ部材126の外部とを連通する通気路137が設けられている。
図2(B)は、前記セカンダリシャフト31付近の具体的な構成を示す断面図である。セカンダリプーリ37は、セカンダリシャフト31の外周における軸受34と軸受35との間に配置されている。また、セカンダリシャフト31は軸線B1を中心として回転可能であり、セカンダリシャフト31の内部には軸線方向に2つの油路178,179が形成されている。この油路178,179は油圧制御装置の油圧回路に連通されている。さらに、セカンダリシャフト31の外周面に向け半径方向に伸ばされ、かつ、油路178に連通された油路180が設けられている。さらに、セカンダリシャフト31の外周面に向け半径方向に伸ばされ、かつ、油路179に連通された油路181が設けられている。さらにまた、セカンダリシャフト31の外周における油路181の開口部分と軸受34との間には、段部31Bが形成されている。
前記セカンダリプーリ37の可動シーブ43は、最内径側の第一軸方向延在部としての厚肉の筒部182と、該筒部182の外周における固定シーブ42側の端部に連続された半径方向部183とを備えている。また、段部31Bと軸受34との間には隔壁部材としての環状のシリンダ部材190が設けられている。このシリンダ部材190は、第1半径方向部190Aと、第1半径方向部190Aの外周端から可動シーブ43の半径方向部183側に向けて伸ばされた最内径側の第一軸方向延在部としての第1円筒部190Bと、第1円筒部190Bにおける端部から径方向に延在されたフランジ部としての第2半径方向部190Cと、この第2半径方向部190Cの外周側に連続され、かつ、可動シーブ43の半径方向部183に向けて突出する方向に伸ばされた軸方向延在部としての第2円筒部190Dとを有している。
また、可動シーブ43の筒部182の内周面には軸線方向の溝182Bが形成され、セカンダリシャフト31の外周面には軸線方向の溝31Cが形成されている。溝182Bおよび溝31Cは、円周方向に所定間隔をおいて複数形成されている。換言すればスプラインが形成されており、セカンダリシャフト31と可動シーブ43とは軸線方向に滑らかに相対移動可能であるが、円周方向には相対移動が不可能な状態とされている。
一方、可動シーブ43の背面には、環状部材195が設けられている。環状部材195は、可動シーブ43の半径方向部183に固定された半径方向部195Aとその外周端からシリンダ部材190側に向けて伸ばされた軸方向延在部としての円筒部195Bとを有している。ここで、円筒部195Bには樹脂製のシールリング195Cが取り付けられており、上述のシリンダ部材190の第2円筒部190Dの内周面と軸線方向に相対移動可能な状態で接触し、その接触部分にシール面が形成される。
そして、可動シーブ43の筒部182の外周面とシリンダ部材190の第1円筒部190Bの内周面とは摺動可能ないしは相対移動可能に嵌合され、筒部182の端面と隔壁部材としてのシリンダ部材190とセカンダリシャフト31の外周面とにより取り囲まれた空間に内径側の油圧室PCIが形成されている。この内径側の油圧室PCIは油路181に連通されている。
一方、可動シーブ43の筒部182の外周面と環状部材195とシリンダ部材190とにより取り囲まれた空間には、外径側の油圧室PCOが形成されている。そして、この外径側の油圧室PCOは、可動シーブ43の筒部182に半径方向に形成された油路182Aに連通されている。なお、油路182Aは、後述するように、油路180と可動シーブ43の所定の位置で連通される。
さらに、環状部材195の円筒部195Bにおける外周面には、所定の幅の環状溝195Dが形成され、同時に、円筒部195Bには、上記シールリング195Cとの間で該環状溝195Dに隣接して半径方向にドレン孔195Eが形成されている。また、シリンダ部材190の第2円筒部190Dには、同じく半径方向にドレン孔190Eが形成されている。かかるドレン孔190E、195Eは、後述するように、可動シーブ43が溝幅大に移動されたとき、換言すると、内径側の油圧室PCIの容量が小さいときに環状溝195Dを介して連通する位置とされている。
なお、セカンダリシャフト31の外周にはナット184が締め付け固定されており、このナット184と段部31Bとにより、軸受34およびシリンダ部材190が、セカンダリシャフト31の軸線方向に挟持され、位置決め固定されている。従って、段部31Bに近接している油路181の開口部分が、常に、内径側の油圧室PCIに連通することが保証されている。
ここで、上述の第一の実施形態におけるベルト式無段変速機9のセカンダリプーリ37および油圧アクチュエータ45について、その制御および動作を簡単に説明すると、外径側油圧室PCOおよび内径側油圧室PCIの油圧が、ドレン孔や油路を介して排出されている場合は、ベルト46に与えられている張力により、可動シーブ43が軸受34側に押圧されている。この状態が図2(B)の軸線B1よりも上側に示されている。なお、この状態では、油路181と内径側油圧室PCIとは連通されているが、油路180の外周側開口部に可動シーブ43が位置しているため、油路180と外径側油圧室PCOとは遮断されている。
上記の状態から、油圧回路から油路179、油路181を介して内径側油圧室PCIに制御油圧が供給されて、内径側油圧室PCIの油圧が上昇すると、内径側油圧室PCIの制御油圧が可動シーブ43の筒部182の端面に直接伝達され、可動シーブ43が固定シーブ42側に向けて軸線方向に押圧される。そして、可動シーブ43の移動により油路180が開放されると、油路180および182Aを介して制御油圧が外径側油圧室PCOにも供給される。このようにして、後に詳述するように、可動シーブ43の移動の際の所定の変速比に対応する位置において、圧油供給孔としての油路180と182Aとの連通および遮断が制御されつつ、セカンダリプーリ37の溝44の幅が狭められる。そして、ベルト46に与えられている張力と、内径側油圧室PCIおよび外径側油圧室PCOの制御油圧に基づく押圧力とに基づいて、溝44の幅が制御される。図2(B)の軸線B1よりも下側に示す状態は、溝44の幅が最も狭められ変速比が大きい状態に相当する。
ここで、この溝44の幅が最も狭められて変速比が大きい図2(B)の軸線B1よりも下側に示す状態から、可動シーブ43が変速比の小さい側に向けて移動する際に、制御油圧が切替え供給される態様および圧油供給孔とドレン孔との位置関係を説明する。上述の変速比が大きい状態では、圧油供給孔としての、可動シーブ43の筒部182に半径方向に形成された油路182Aとセカンダリシャフト31の油路178に連通されて半径方向に形成された油路180とは互いに開口し、外径側油圧室PCOが油圧回路の油路と連通されている。一方、ドレン孔としての、環状部材195の円筒部195Bに形成されている半径方向のドレン孔195E、および隣接する環状溝195Dとシリンダ部材190の第2円筒部190Dに形成されている半径方向のドレン孔190Eとは位置が相対的にずれており、互いに閉口している。かかる状態から、可動シーブ43が変速比の小さい側に向けて移動していくと、上述の油路182Aと油路180との開口状態が閉口状態に移行し、その後、閉口状態にあったドレン孔が開口する。すなわち、環状溝195Dの端部とシリンダ部材190のドレン孔190Eとが連通することにより、環状部材195のドレン孔195Eにも連通し、ドレン孔が開口されるのである。
このときの、圧油供給孔とドレン孔との位置関係をさらに説明すると、本第一の実施の形態においては、変速比γが所定値(例えばγ1)よりやや大きい位置において圧油供給孔が開口状態から閉口状態に移行するのに対し、ドレン孔は変速比が所定値γ1において閉口状態から開口状態に移行するように形成されている。すなわち、圧油供給孔とドレン孔とは、可動シーブ43が移動するとき、所定の変速比γ1付近においてオーバラップして、共に閉じられる位置関係に形成されている。このように、圧油供給孔とドレン孔とを共にオーバラップして閉じられる位置関係に形成することにより、両者が同時に開口することによる外径側油圧室PCOの制御油圧Pdn以下への圧力低下を防止している。この圧油供給孔が閉口することによって、外径側油圧室PCOには制御油圧を有する作動油が供給されず、内径側油圧室PCIに供給される制御油圧によってのみ可動シーブ43による挟圧力が発生される。
ところで、セカンダリシャフト31の回転により遠心力が発生すると、外径側油圧室PCOおよび内径側油圧室PCIに共に遠心油圧が作用し、外径側油圧室PCOおよび内径側油圧室PCIの油圧が、油圧制御装置の制御に基づく油圧よりも上昇し、その結果、可動シーブ43を固定シーブ42側に押圧する押圧力が、伝達すべきトルクに応じた目標値よりも高くなる可能性があるが、本実施の形態では、上述のように、回転数が所定値を越える可能性の高い所定の変速比γ1より小さいときには、遠心力の影響が小さい内径側油圧室PCIのみによって挟圧力を発生させるようにすることにより、簡単な構成で遠心油圧の影響を小さくしている。
また、可動シーブ43の最内径側の第一軸方向延在部としての筒部182からベルト反力を受けた場合であっても、隔壁部材としてのシリンダ部材190は、可動シーブ43の筒部182が摺動可能に配置された位置に径方向に延在するフランジ部である第2半径方向部190Cを有するように構成されているので、可動シーブ43から半径方向に最大の力が加わる部位の剛性が十分に確保されている。その結果、シリンダ部材190の第2円筒部190Dの外径方向への動きが阻止され、可動シーブ43の軸方向延在部としての円筒部195Bとのシール性の低下が抑制される。
次に、ベルト式無段変速機9の第二の実施形態につき、図3を参照しつつ詳細に説明する。図3は、同じく、プライマリプーリ36およびセカンダリプーリ37付近の本発明に係る部分の拡大断面図であり、図3(A)は、無段変速機9のプライマリプーリ36およびプライマリシャフトSPに関連する構成を示している。プライマリシャフトSPは軸線A1を中心として回転可能であり、プライマリシャフトSPの内部には軸線方向に油路SPAが形成されている。この油路SPAは油圧制御装置の油圧回路に連通されている。さらに、プライマリシャフトSPには、その外周面に向け半径方向に伸ばされ、かつ、油路SPAに連通された油路SPBが設けられている。油路SPBはプライマリシャフトSPの端部に近い位置に配置されている。
一方、可動シーブ39は、プライマリシャフトSPの外周面に沿ってスライドする内筒部39Aと、内筒部39Aの固定シーブ38側の端部から外周側に向けて連続された半径方向部39Bと、半径方向部39Bの外周端に連続され、かつ、軸受33側に向けて軸線方向に伸ばされた外筒部39Cとを有している。そして、内筒部39Aには、その内周面から外周面に亘って貫通する油路39Dが形成されている。この油路39Dと油路SPBとはプライマリシャフトSPの外周面に形成された後述するスプライン部を介して連通されている。
また、図3(A)に示されるように、可動シーブ39の内筒部39Aの内周面には複数のスプライン溝(ボール溝)39Sが形成されている。他方、可動シーブ39を摺動自在に支持するプライマリシャフトSPの外周面には、複数のスプライン溝(ボール溝)SPGが形成されている。スプライン溝39S、SPGは、円周方向に所定間隔をおいて形成されており、各溝39S、SPGが円周方向で同一の位相となるように、プライマリシャフトSPと可動シーブ39とが位置決めされ、溝39S、SPGの両方に跨る複数のボールが配置されている。上記スプライン溝39S、SPGおよびボールにより、プライマリシャフトSPと可動シーブ39とは軸方向に滑らかに相対移動可能であるが、プライマリシャフトSPと可動シーブ39とが円周方向には相対移動が不可能な状態とされている。
更に、ベルト式無段変速機9は、環状の隔壁部材であるシリンダ部材270を含む。シリンダ部材270は、図3(A)からわかるように、プライマリシャフトSPの径方向に延びる第一径方向部270Aと、第一径方向部270AからプライマリシャフトSPの軸線と概ね平行に延びる第一筒状部270Bと、第一筒状部270Bから可動シーブ39の背面に沿ってプライマリシャフトSPの径方向に延びる第二径方向部270Cと、該第二径方向部270Cから湾曲部を介して軸線と概ね平行に延びる第二筒状部270Dを有する。
シリンダ部材270の第一径方向部270Aに形成されている中心孔部には、プライマリシャフトSPの先端の小径部が圧入され、シリンダ部材270は、ロックナット280を用いてプライマリシャフトSPの段部との間に固定されている。そして、シリンダ部材270の第一筒状部270Bは、環状のベアリングリテーナ281およびボルトBOによってトランスアクスルリヤカバー6に固定されている軸受33によって回転自在に支持されている。これにより、ベルト式無段変速機9では、プライマリシャフトSPがシリンダ部材270(第一筒状部270B)を介して軸受33により回転自在に支持されることになる。
また、可動シーブ39の外筒部39Cの外縁部にはシリンダ部材270の第二筒状部270Dの内周面と摺接するようにシール部材272が配置されている。一方、可動シーブ39の内筒部39Aにおける軸方向端部の外周側には、シリンダ部材270の第一筒状部270Bの内周側と摺動自在に接触する、後述の第2摺動部39Fが形成されている。かくて、可動シーブ39の内筒部39A、半径方向部39B、外筒部39Cおよびシリンダ部材270によって、上述の油圧アクチュエータ41を構成する第一油圧室41Aが画成されている。一方、シリンダ部材270の第一径方向部270A、第一筒状部270B、可動シーブ39の内筒部39Aにおける軸方向端部およびプライマリシャフトSPによって、上述の油圧アクチュエータ41を構成する第二油圧室41Bが画成されている。この第一油圧室41Aおよび第二油圧室41B内の油圧を制御することにより、可動シーブ39を固定シーブ38に対して移動させてベルトBの巻き掛け半径を変化させることにより、所望の変速比を得ることができる。
また、可動シーブ39に対しては、プライマリシャフトSPの軸方向に離間されて第1の摺動部39Eと前述の第2の摺動部39Fとが設けられている。可動シーブ39の2つの摺動部のうち、第1の摺動部39Eは、スプライン39SよりもプライマリシャフトSPの軸方向における固定シーブ38側で、かつ、可動シーブ39の内周面に設けられており、プライマリシャフトSPの外周面と接触する。一方、第2の摺動部39Fは、上述のように、第1の摺動部39Eと軸方向に離間されて、かつ、可動シーブ39の内筒部39Aにおける軸方向端部の外周面に設けられている。そして、第2の摺動部39Fは、図3(A)に示されるように、プライマリシャフトSPではなく、シリンダ部材270の第一筒状部270Bの内周面に接触する。
図3(B)は、セカンダリシャフトSS付近の具体的な構成を示す断面図である。セカンダリプーリ37は、セカンダリシャフトSSの外周における軸受34と軸受35との間に配置されている。また、セカンダリシャフトSSは軸線B1を中心として回転可能であり、セカンダリシャフトSSの内部には軸線方向に2つの油路SSA、SSBが形成されている。この油路SSA、SSBは油圧制御装置の油圧回路に連通されている。さらに、セカンダリシャフトSSの外周面に向け半径方向に伸ばされ、かつ、油路SSAに連通された油路SSCが設けられている。さらに、セカンダリシャフトSSの外周面に向け半径方向に伸ばされ、かつ、油路SSBに連通された油路SSDが設けられている。さらにまた、セカンダリシャフトSSの外周における油路SSDの開口部分と軸受34との間には、段部SSEが形成されている。
前記セカンダリプーリ37の可動シーブ43は、最内径側の第一軸方向延在部としての筒部282と、該筒部282の外周における固定シーブ42側の端部に連続された半径方向部283とを備えている。また、段部SSEと軸受34との間には隔壁部材としての環状のシリンダ部材290が設けられている。
このシリンダ部材290は、第1半径方向部290Aと、第1半径方向部290Aの外周端から可動シーブ43の半径方向部283側に向けて伸ばされた最内径側の第一軸方向延在部としての第1円筒部290Bと、第1円筒部290Bにおける端部から径方向に延在されたフランジ部としての第2半径方向部290Cと、この第2半径方向部290Cの外周側に連続され、かつ、可動シーブ43の半径方向部283に向けて突出する方向に伸ばされた第二軸方向延在部としての第2円筒部290Dと、可動シーブ43の背面から離間し、かつ、外径方向に傾斜して第2円筒部290Dの端部から延在された傾斜部290Eと、傾斜部290Eの外周側に連続され、かつ、可動シーブ43の半径方向部283に向けて延在された第三軸方向延在部としての第3円筒部290Fとを有している。
また、可動シーブ43の筒部282の内周面には軸線方向の溝282Bが形成され、セカンダリシャフトSSの外周面には軸線方向の溝SSGが形成されている。溝282Bおよび溝SSGは、円周方向に所定間隔をおいて複数形成されている。そして、プライマリシャフトSPの場合と同様に、各溝282Bと各溝SSGとが円周方向で同一の位相となるように、セカンダリシャフトSSと可動シーブ43とが位置決めされ、両溝の両方に跨る複数のボール(不図示)が配置されている。上記溝およびボールにより、セカンダリシャフトSSと可動シーブ43とは軸線方向に滑らかに相対移動可能であるが、円周方向には相対移動が不可能な状態とされている。
一方、可動シーブ43には、その背面に環状部材295が設けられている。環状部材295は、可動シーブ43の半径方向部283に固定された半径方向部295Aと、その内周端からシリンダ部材290側に向けて伸ばされた第二軸方向延在部としての内径側円筒部295Bと、その外周端からシリンダ部材290側に向けて伸ばされた第三軸方向延在部としての外径側円筒部295Cとを有している。ここで、内径側円筒部295Bの外周側には樹脂製のシールリング295Dが取り付けられており、上述のシリンダ部材290の第2円筒部290Dの内周面と軸線方向に相対移動可能な状態で接触し、その接触部分にシール面が形成されている。さらに、外径側円筒部295Cの外周側には同じく樹脂製のシールリング295Eが取り付けられており、上述のシリンダ部材290の第3円筒部290Fの内周面と軸線方向に相対移動可能な状態で接触し、その接触部分にシール面が形成されている。
そして、可動シーブ43の筒部282の外周面とシリンダ部材290の第1円筒部290Bの内周面とは摺動可能ないしは相対移動可能に嵌合され、筒部282の端面と隔壁部材としてのシリンダ部材290とセカンダリシャフトSSの外周面とにより取り囲まれた空間に、内径側の第一油圧室PCI−1が形成されている。この内径側の第一油圧室PCI−1はスプライン部を介して油路SSDに連通されている。一方、上述のように、可動シーブ43に固設された環状部材295の内径側円筒部295Bはシリンダ部材290の第2円筒部290Dの内周面に摺動可能に嵌合されており、かくて、可動シーブ43の筒部282の外周面と環状部材295の内径側円筒部295Bの内周面とシリンダ部材290とにより取り囲まれた空間に、内径側の第二油圧室PCI−2が形成されている。この内径側の第二油圧室PCI−2は、可動シーブ43の筒部282に径方向に形成された油路282Cを介して、同じく上述の油路SSDに連通されている。なお、内径側の第二油圧室PCI−2内には、可動シーブ43を、ベルト挟圧力を発生させる方向に付勢する圧縮ばね292が設けられている。
一方、可動シーブ43に固設された環状部材295の内径側円筒部295Bの外周面と該環状部材295の外径側円筒部295Cの内周面とシリンダ部材290とにより取り囲まれた空間には、外径側の油圧室PCOが形成されている。そして、この外径側の油圧室PCOは、可動シーブ43の筒部282と半径方向部283との境界および環状部材295の内径側円筒部295Bに連続して、ほぼ半径方向に形成された油路282Aに連通されている。なお、油路282Aは、油路SSCと可動シーブ43の内周側に形成された環状溝282Dを介して連通されている。
さらに、環状部材295の外径側円筒部295Cにおける外周面には、所定の幅の環状溝295Fが形成され、同時に、外径側円筒部295Cには、上記シールリング295Eとの間で該環状溝295Fに隣接して半径方向にドレン孔295Gが形成されている。また、シリンダ部材290の第3円筒部290Fには、同じく半径方向にドレン孔290Gが形成されている。かかるドレン孔290G、295Fは、後述するように、可動シーブ43が溝幅大に移動されたとき、換言すると、内径側の油圧室PCIの容量が小さいときに環状溝295Fを介して連通する位置とされている。
なお、セカンダリシャフトSSの外周にはナット184が締め付け固定されており、このナット184と段部SSEとにより、軸受34およびシリンダ部材290が、セカンダリシャフトSSの軸線方向に挟持され、位置決め固定されている。
さらに、本実施の形態では、セカンダリシャフトSSがその軸端部において肉抜きされ、軽量化が図られている。すなわち、図3(B)さらに図4に拡大して示すように、セカンダリシャフトSSの軸端部には拡大内径部SSHが、軸線方向に形成された油路SSAと同心に形成されている。そして、該拡大内径部SSHには鍔付のスリーブ300が装着されている。該鍔付のスリーブ300は、その内径が油路SSAの内径とほぼ等しくされ、端部にはO−リング302が設けられると共に、鍔部に当接する形態でスナップリング304が拡大内径部SSHの内周面に形成された環状溝に装着されて、拡大内径部SSH内に保持されている。但し、鍔付スリーブ300の鍔部が軸受35の内輪の幅内の高剛性部位に位置されて圧入されるときには、スナップリング304は必ずしも必要ではない。そして、306はケーススリーブであり、一端が鍔付スリーブ300内に挿入されると共に、他端がトランスアクスルリヤカバー6に形成された油路に連通する嵌合口に圧入されている。なお、ケーススリーブ306はその外周面にシールリング308が装着され、鍔付スリーブ300との間をシールしている。かくて、トランスアクスルリヤカバー6に形成された油路からケーススリーブ306を介して関して、油路SSAに制御油圧が供給される。O−リング302を設けることにより鍔付スリーブ300の外周側への作動油の漏れが低減され、鍔部に加わる力による鍔付スリーブ300の抜けが防止される。
次に、本発明の第三の実施の形態を、図5を参照して説明する。この第三の実施形態は上述の第二の実施形態と基本的な構成は同じであるから、同一部位には同一符号を付して重複説明を避け、その相違点について説明する。なお、プライマリ側プーリ36は、図3(A)に示したものと同じである。すなわち、その相違点は、第二の実施形態においては、可動シーブ43からシリンダ部材290側に向けて伸ばされた第二軸方向延在部が可動シーブ43の背面に固設された環状部材295の内径側円筒部295Bにより構成されたが、この第三の実施形態においては、該第二軸方向延在部が可動シーブ43の半径方向部283からシリンダ部材290側に向けて伸ばされ、それと一体に形成された第二の筒部284によって構成されていることである。かくて、可動シーブ43に一体に形成された第二の筒部284はシリンダ部材290の第2円筒部290Dの内周面に摺動可能に嵌合されており、この結果、可動シーブ43の第一の筒部282の外周面と第二の筒部284の内周面とシリンダ部材290とにより取り囲まれた空間に、前述の内径側の第二油圧室PCI−2が形成される。この内径側の第二油圧室PCI−2は、第二の実施形態と同様に可動シーブ43の第一の筒部282に径方向に形成された油路282Cを介して、同じく上述の油路SSDに連通されている。
ここで、上述の基本構成が同じである第二および第三の実施形態におけるベルト式無段変速機9のセカンダリプーリ37および油圧アクチュエータ45について、その制御および動作を説明する。外径側油圧室PCOおよび内径側の第一および第二の油圧室PCI−1およびPCI−2の油圧が、ドレン孔や油路を介して排出されている場合は、ベルト46に与えられている張力により、可動シーブ43が軸受34側に押圧されている。この状態が図3(B)および図5の軸線B1よりも上側に示されている。
上記の状態から、油圧回路から油路SSB、油路SSDを介して内径側の第一油圧室PCI−1、および、さらに油路282Cを介して内径側の第二油圧室PCI−2に制御油圧が供給されて、内径側の第一および第二の油圧室PCI−1およびPCI−2の油圧が上昇すると、それらの制御油圧が可動シーブ43の筒部282の端面および背面に直接伝達され、可動シーブ43が固定シーブ42側に向けて軸線方向に押圧される。そして、可動シーブ43の移動により、シリンダ部材290の第3円筒部290Fに形成されたドレン孔290Gと環状部材295の外径側円筒部295Cに形成されたドレン孔295Gとの環状溝295Fを介しての連通が解除されるのとほぼ同時に、油圧回路から油路SSA、油路SSCおよび282Aを介しての制御油圧の供給が開始され、外径側油圧室PCOにも内径側の第一および第二の油圧室PCI−1およびPCI−2と共に制御油圧が供給される。このように、可動シーブ43の所定の変速比に対応する位置における、外径側油圧室PCOの第3円筒部290Fのドレン孔290Gと環状部材295のドレン孔295Gとの連通および遮断に対応させて、制御油圧の供給が制御されつつ、セカンダリプーリ37の溝44の幅が狭められる。そして、ベルト46に与えられている張力と、内径側の第一および第二の油圧室PCI−1およびPCI−2、および外径側油圧室PCOの制御油圧に基づく押圧力とに基づいて、溝44の幅が制御される。図3(B)および図5の軸線B1よりも下側に示す状態は、溝44の幅が最も狭められ変速比が大きい状態に相当する。
ここで、この溝44の幅が最も狭められて変速比が大きい図3(B)および図5の軸線B1よりも下側に示す状態から、可動シーブ43が変速比の小さい側に向けて移動する際に、制御油圧が切替え供給される態様およびドレン孔との位置関係をさらに説明する。上述の変速比が大きい状態では、圧油供給孔としての、可動シーブ43の油路282AとセカンダリシャフトSSの油路SSAに連通されて半径方向に形成された油路SSCとは環状溝282Dを介して互いに開口し、外径側油圧室PCOが油圧回路の油路と連通されている。一方、ドレン孔としての、環状部材295の外径側円筒部295Cに形成されたドレン孔295Gおよび隣接する環状溝295Fとシリンダ部材290の第3円筒部290Fに形成されたドレン孔290Gとは位置が相対的にずれており、互いに閉口している。かかる状態から、可動シーブ43が変速比の小さい側に向けて移動していくと、閉口状態にあった両ドレン孔が連通して開口する。このとき、上述の油路282Aからの制御油圧の供給は不図示の油圧制御装置からの指令により停止される。
このときの、可動シーブ43とドレン孔との位置関係をさらに説明すると、本実施の形態においては、前実施の形態と同様に、変速比γが所定値(例えばγ1)よりやや大きい位置において制御油圧の供給が停止されるのに対し、ドレン孔は変速比が所定値γ1において閉口状態から開口状態に移行するように形成されている。かくて、ドレン開始後に無用に制御油圧の供給が継続されることはない。
この制御油圧の供給を停止することによって、外径側油圧室PCOには制御油圧を有する作動油が供給されず、変速比が所定値γ1より小さい範囲では、内径側の第一および第二の油圧室PCI−1およびPCI−2に供給される制御油圧によってのみ可動シーブ43による挟圧力が発生される。かくて、前実施の形態と同様に遠心力の影響が小さい内径側の油圧室のみによって挟圧力を発生させるようにすることにより、簡単な構成で遠心油圧の影響を小さくしている。
また、可動シーブ43の最内径側の第一軸方向延在部としての筒部282からのベルト反力を受けた場合であっても、隔壁部材としてのシリンダ部材190は、可動シーブ43の筒部282が摺動可能に配置された位置に径方向に延在するフランジ部である第2半径方向部290Cを有するように構成されているので、可動シーブ43から径方向に最大の力が加わる部位の剛性が十分に確保される。その結果、シリンダ部材290の第2円筒部290Dの外径方向への動きが阻止され、可動シーブ43の軸方向延在部としての円筒部295B、またはこの軸方向延在部が可動シーブ43に一体に形成されている場合の、第二の筒部284とのシール性の低下が抑制される。
本発明のベルト式無段変速機を適用したトランスアクスルを示すスケルトン図である。 本発明のベルト式無段変速機の第一の実施形態を示す断面図であり、(A)はプライマリプーリの構成、(B)はセカンダリプーリの構成を示している。 本発明のベルト式無段変速機の第二の実施形態を示す断面図であり、(A)はプライマリプーリの構成、(B)はセカンダリプーリの構成を示している。 本発明の第二の実施形態の一部を拡大して示す断面図である。 本発明のベルト式無段変速機の第三の実施形態を示す断面図であり、セカンダリプーリの構成を示している。
符号の説明
30 プライマリシャフト
31 セカンダリシャフト
36 プライマリプーリ
37 セカンダリプーリ
38 プライマリ側固定シーブ
39 プライマリ側可動シーブ
42 セカンダリ側固定シーブ
43 セカンダリ側可動シーブ
178、179、180、181、SSA、SSB、SSC、SSD 油路
182,282 筒部(最内径側の第一軸方向延在部)
182A、282A 油路(圧油供給孔)
190、290 シリンダ部材
190C、290C フランジ部
190E、290G ドレン孔
195、295 環状部材
195G、295G ドレン孔
195D、295F 環状溝
PCO 外径側油圧室
PCI 内径側油圧室
PCI−1 第一内径側油圧室
PCI−2 第二内径側油圧室

Claims (5)

  1. 可動シーブに作用するベルト挟圧力を発生させる外径側と内径側との少なくとも二つの油圧室が、前記可動シーブから軸方向に延在された軸方向延在部とこれに摺動する軸方向延在部を有する隔壁部材とで独立して構成されると共に、前記隔壁部材の最内径側の第一軸方向延在部の内周に前記可動シーブの最内径側の第一軸方向延在部の外周が摺動可能に嵌挿されたベルト式無段変速機であって、
    前記隔壁部材は、前記可動シーブの最内径側の第一軸方向延在部が摺動可能に配置された位置に、径方向に延在するフランジ部を有するように構成されていることを特徴とするベルト式無段変速機。
  2. 前記内径側の油圧室は、前記可動シーブの最内径側の第一軸方向延在部の端部と前記隔壁部材との間に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機。
  3. 前記内径側の油圧室は、前記可動シーブの最内径側の第一軸方向延在部の端部と前記隔壁部材との間、および、前記可動シーブの最内径側の第一軸方向延在部とその次の第二の軸方向延在部と前記隔壁部材との間に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機。
  4. 前記可動シーブの第二の軸方向延在部は、可動シーブに一体に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のベルト式無段変速機。
  5. 前記外径側の油圧室は、前記可動シーブの最外径側の軸方向延在部とその内径側の軸方向延在部と前記隔壁部材との間に形成され、前記可動シーブの最外径側の軸方向延在部と前記隔壁部材とに、前記可動シーブが移動するとき、所定の変速比付近において連通する位置関係にドレン孔が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のベルト式無段変速機。
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