JP4671706B2 - 遊星歯車装置 - Google Patents
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Description
遊星歯車装置100のサンギヤ101は入力軸102に結合され、サンギヤ101とかみ合うピニオンギヤ103はピニオン軸104を介してキャリア105によって支持されている。キャリア105の前側には円板状のキャリアプレート106が固定され、その内径側を入力軸102に回転自在に支持するとともに、その外径側を前進用ブレーキ107のブレーキハブ106aとして使用し、さらに中間部に後進用クラッチ108のクラッチバブ106bを固着している。後進用クラッチ108のクラッチディスクを締結する油圧ピストン109はクラッチドラム110の中に配置され、クラッチドラム110の内周端部が入力軸102に連結されている。前進用ブレーキ107のブレーキ板107aを締結する油圧ピストン111は変速機ケース112に内壁に形成された凹部113に収容されている。ピニオンギヤ103とかみ合うリングギヤ114の内径部は駆動プーリ115のプーリ軸116の内側にスプライン嵌合している。
しかし、前進時に前進用ブレーキ107が締結されると、ピニオンギヤ103の噛合振動(ギヤ音)がキャリア106aからブレーキ板107aを介してケース112に伝達してしまい、ケース112から騒音が発生するという問題がある。
この遊星歯車装置はダブルピニオン方式とされたものであり、入力軸とキャリアとの間に設けられる直結クラッチと、リングギヤと変速機ケースとの間に設けられる逆転ブレーキとを備えており、サンギヤは入力側である入力軸と結合され、キャリアは出力側である駆動プーリと結合されている。
前進時には、直結クラッチを締結することにより、入力軸とキャリアとが直結され、入力軸の回転がそのまま駆動プーリへ伝達される。後進時には、逆転ブレーキを締結することにより、リングギヤと変速機ケースとが固定されて入力軸の回転が逆転されて駆動プーリへ伝達される。
防振材としては、公知のゴムを使用できる。ゴムの加硫接着によってオイルポンプ本体とドラム状部品とを簡単に接合できる。
ブレーキ板は油圧ピストンによって一側面が押されるので、その反対側側面を支えるために、変速機ケースの溝にスナップリングを装着するのが一般的である。しかし、ブレーキ板に圧力がかかる部分とスナップリングを嵌合させる溝とが半径方向にオフセットしているため、スナップリングに捩れなどの変形が発生しやすい。そのため、スナップリングの内側に厚肉なフランジ部品を配置する必要があり、スペース効率が悪いという問題がある。
これに対し、ブレーキ板の軸方向端部を変速機ケースに固定されたオイルポンプ本体またはドラム状部品のストッパ部で支えるようにすれば、スナップリングや厚肉なフランジ部品が不要になるとともに、油圧ピストンの圧力を軸方向に対向して支えることができるので、ブレーキ板の変形が少なく、耐久性が向上するという利点がある。
本発明におけるオイルポンプ本体とは、オイルポンプの回転部材(ポンプギヤやロータなど)を除く静止部品のことであり、オイルポンプボデーあるいはオイルポンプカバーのいずれであってもよい。
本発明のブレーキは、前進用ブレーキあるいは後進用ブレーキのいずれであってもよい。例えば、シングルピニオン方式の遊星歯車装置の場合、キャリアとケースとの間に前進用ブレーキが設けられ、ダブルピニオン方式の遊星歯車装置の場合、リングギヤとケースとの間に後進用ブレーキが設けられる。
この実施例の無段変速機はFF横置き式の自動車用変速機であり、図1に示すように、エンジン出力軸1によりトルクコンバータ2を介して駆動される入力軸3、入力軸3の回転を正逆切り替えて駆動軸10に伝達する前後進切替機構4、駆動プーリ11と従動プーリ21と両プーリ間に巻き掛けられたVベルト15とからなる無段変速装置A、従動軸20の動力を出力軸32に伝達するデファレンシャル装置30などを備えている。入力軸3と駆動軸10とは同一軸線上に配置され、従動軸20とデファレンシャル装置30の出力軸32とが入力軸3に対して平行でかつ非同軸に配置されている。したがって、この無段変速機は全体として3軸構成とされている。
この実施例で用いられるVベルト15は、無端状張力帯と、この張力帯に支持された多数のブロックとで構成された公知の金属ベルトである。
なお、前後進切替機構4の具体的構造については後述する。
一方、後進時には、直結クラッチ51を締結し逆転ブレーキ50を解放することにより、遊星歯車装置40の入力側(サンギヤ41)と出力側(リングギヤ42)とが直結されるため、トルクコンバータ2から入力された駆動力がそのまま駆動プーリ11へ伝達され、従動プーリ21およびデファレンシャル装置30を介して出力軸32がエンジン回転方向と逆方向に駆動される。
このように、3軸構成でコンパクトな無段変速機を実現できる。
キャリア44は円盤状のキャリアフランジ45と円環状のキャリアリム46とで構成されており、キャリアフランジ45の内径部はサンギヤ41とリングギヤ42との間を内径方向に延び、入力軸3に回転自在に支持されている。キャリアフランジ45にはキャリアリム46に向かって軸方向に突出する複数(例えば6個)の柱状部45aが一体に形成され、これら柱状部45aの間の空間に上記ピニオンギヤ43が配置されている。上記柱状部45aの先端面とキャリアリム46とは焼結にて金属結合され、キャリアフランジ45とキャリアリム46とは一体的に固定されている。なお、溶接、ロー付、ネジ止めなどによって固定してもよい。
この前後進切替機構4’では、ポンプカバー8の外周部に防振材であるゴム60を介してドラム状部材61が接合されている。この例では、ゴム60を介してポンプカバー8とドラム状部材61とが加硫接着されている。ドラム状部材61の後部には、櫛歯状のブレーキ板支持部61aが一体に形成されており、このブレーキ板支持部61aにブレーキ板50aの外周爪部がスプライン嵌合している。ブレーキ板50aの外周爪部はブレーキ板支持部61aの間を突き抜けてケース5のスプライン溝5aに嵌合している。また、ドラム状部材61にはフランジ状のストッパ部61bが形成されており、このストッパ部61bがピストン50bの押圧力に対してブレーキ板50aの反対側側面を支えている。ドラム状部材61の外周面はケース5の内周面に接触しておらず、両者の間には所定の隙間が設けられている。
図5の(a)は、変速機ケース5の内周面にスプライン溝を形成せず、外周爪部50a1 を櫛歯状のブレーキ板支持部8aの外周面とほぼ同一高さとした例であり、図5の(b)は、櫛歯状ブレーキ板支持部に代えて、ポンプカバー8の内周面にスプライン溝8cを形成したものである。いずれの場合も、ポンプカバー8の外周面とケース5の内周面との間に隙間δが設けられている。
この実施例では、組付時にブレーキ板50aの外周爪部50a1 の位置を何らかの手段で揃えておく必要がある。
上記実施例では、シングルピニオン方式の遊星歯車装置について説明したが、ダブルピニオン方式やその他の如何なる方式の遊星歯車装置でも適用できる。すなわち、遊星歯車装置がケースの内部に収容され、かつ遊星歯車装置の1つの回転要素が静止部材に対しブレーキ装置を介して締結・解放可能に構成された構造であれば、適用可能である。したがって、無段変速機に限らず、一般の自動変速機にも適用できる。
ブレーキ板支持部は、ポンプカバーに限らず、ポンプボデーに設けることもできる。
上記実施例では、ポンプカバー8をポンプボデー7にボルトで固定し、さらにポンプボデー7をケース5にボルトで固定したが、ポンプボデー7をポンプカバー8にボルトで固定し、さらにポンプカバー8をケース5にボルトで固定してもよい。但し、実施例のようにブレーキ板支持部8aを設けたポンプカバー8をポンプボデー7を介してケース5に固定すれば、ギヤ騒音を減衰させる質量効果をより効果的に作用させることができる。
4 前後進切替機構
5 ケース
6 オイルポンプ
7 ポンプボデー
8 ポンプカバー
8a ブレーキ板支持部
8b ストッパ部
40 遊星歯車装置
41 サンギヤ
42 リングギヤ
43 ピニオンギヤ
44 キャリア
50 逆転ブレーキ
50a ブレーキ板
50b ピストン
51 直結クラッチ
60 防振ゴム
61 ドラム状部材
Claims (2)
- ケースの内部に収容され、1つの回転要素が静止部材に対してブレーキを介して締結・解放可能に構成された遊星歯車装置において、
上記静止部材は上記ケースに固定されたオイルポンプ本体であり、
上記オイルポンプ本体には、上記ブレーキのブレーキ板の外周側をスプライン支持するブレーキ板支持部が一体に形成され、
上記ブレーキ板支持部の外周と上記ケースの内周との間に隙間が設けられ、
上記ブレーキ板の一側面を押圧して上記ブレーキを締結させる油圧ピストンが上記ケース内に配置され、
上記油圧ピストンの押圧力に対して上記ブレーキ板の反対側側面を支えるストッパ部が上記オイルポンプ本体に一体に形成されていることを特徴とする遊星歯車装置。 - ケースの内部に収容され、1つの回転要素が静止部材に対してブレーキを介して締結・解放可能に構成された遊星歯車装置において、
上記静止部材は上記ブレーキのブレーキ板の外周側をスプライン支持するドラム状部品であり、
上記ドラム状部品は上記ケースに固定されたオイルポンプ本体に対して防振材を介して接合されており、
上記ドラム状部品の外周と上記ケースの内周との間に隙間が設けられ、
上記ブレーキ板の一側面を押圧して上記ブレーキを締結させる油圧ピストンが上記ケース内に配置され、
上記油圧ピストンの押圧力に対して上記ブレーキ板の反対側側面を支えるストッパ部が上記ドラム状部品に一体に形成されていることを特徴とする遊星歯車装置。
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