JP4868818B2 - 静止シリンダ型クラッチ装置 - Google Patents
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Description
このクラッチ装置は、ケース100に収容されたピストン101と、回転しているクラッチドラム102およびクラッチハブ103の間に配置されたクラッチ板(クラッチディスク及びクラッチプレート)104と、クラッチ板104を押圧する押圧部材105と、ピストン101と押圧部材105との間に配置されたスラストベアリング106とを備えており、ピストン101の推力を差回転のある状態でクラッチ板104に伝達するものである。ケース100とピストン101との間にはリターンスプリング107が介装されている。クラッチ装置を解放している状態では、押圧部材105とクラッチ板104との間には所定のクリアランスδが設けられている。ピストン101がスラストベアリング106を介して押圧部材105を押す部位と、押圧部材105がクラッチ板104を押す部位とは、半径方向に寸法Rだけオフセットしている。
このクラッチ装置は、ケース110に収容されたピストン111と、回転しているクラッチドラム112およびクラッチハブ113の間に配置されたクラッチ板(クラッチディスク及びクラッチプレート)114と、クラッチ板114を押圧する押圧部材115と、ピストン111と押圧部材115との間に配置されたスラストベアリング116とを備えており、ピストン111の推力を差回転のある状態でクラッチ板114に伝達している。クラッチハブ113と押圧部材115との間にはリターンスプリング117が介装され、押圧部材115からスラストベアリング116を介してピストン111に対して戻り方向のばね力を与えている。クラッチ装置を解放している状態では、押圧部材115とクラッチ板114との間には所定のクリアランスδが設けられている。このクラッチ装置の場合も、ピストン111がスラストベアリング116を介して押圧部材115を押す部位と、押圧部材115がクラッチ板114を押す部位とが半径方向に寸法Rだけオフセットしている。
本発明では、ピストンの推力はスラストベアリングを介して直接クラッチ板に伝達される。押圧部材のような中間部材が介在しないので、部品数の削減、軸方向寸法の短縮および重量軽減を図ることができる。
また、ピストンとスラストベアリングとの接触点と、スラストベアリングとクラッチ板との接触点とを軸方向に揃えることができるので、ピストンの推力がクラッチ板にロスなく伝達され、しかもスラストベアリングがクラッチ板に偏当たりせず、クラッチ板の偏摩耗を防止できる。
クラッチ装置の解放時において、スラストベアリングとピストンとの間に、レースとドラムとの嵌合代より小さい軸方向隙間が形成されるため、完全なクラッチ解放状態を得ることができるとともに、スラストベアリングがドラムから脱落するのを防止できる。同時に、スラストベアリングがクラッチ板の抜け止めの機能を果たすことができる。
この場合には、レースのガイド部がドラムの内周面にそって円滑に軸方向移動できるので、スラストベアリングの傾きを防止でき、クラッチ板の引っ掛かりを防止できる。そのため、クラッチ板の締結、解放を安定して行うことができる。
クラッチ板側のレースがドラムに対して相対回転すると、クラッチ板との間で摩耗や発熱が生じる可能性がある。そこで、レースの外周部にドラムの内スプラインに嵌合する爪片を形成することで、上記レースを確実に回り止めできる。
また、ピストンの推力をスラストベアリング(転動体)を介して直接クラッチ板に伝達し、ピストンとスラストベアリングとの接触点と、スラストベアリングとクラッチ板との接触点とを軸方向に揃えることができるので、エネルギーロスを少なくでき、しかもスラストベアリングがクラッチ板に偏当たりせず、クラッチ板の偏摩耗を防止できる。
さらに、ピストンの推力をクラッチ板に伝達するための中間部材を必要としないので、部品数の削減、軸方向寸法の短縮および重量軽減を実現できる。
この実施例の無段変速機はFF横置き式の自動車用変速機であり、大略、エンジン出力軸1によりトルクコンバータ2を介して駆動される入力軸3、入力軸3の回転を正逆切り替えて駆動軸10に伝達する前後進切替装置4、駆動プーリ11と従動プーリ21と両プーリ間に巻き掛けられたVベルト15とからなる無段変速装置A、従動軸20の動力を出力軸32に伝達するデファレンシャル装置30などで構成されている。入力軸3と駆動軸10とは同一軸線上に配置され、従動軸20とデファレンシャル装置30の出力軸32とが入力軸3に対して平行でかつ非同軸に配置されている。したがって、この無段変速機は全体として3軸構成とされている。
この実施例で用いられるVベルト15は、一対の無端状張力帯と、これら張力帯に支持された多数のブロックとで構成された公知の金属ベルトである。
なお、前後進切替装置4の詳しい構造については後述する。
キャリア44は円盤状のキャリアフランジ45と円環状のキャリアリム46とで構成されている。キャリアフランジ45の内径部は前後方向に延びており、入力軸3上に回転自在に支持されている。キャリアフランジ45にはキャリアリム46に向かって軸方向に突出する複数の連結部45a(図2参照)が一体に形成され、これら連結部45aの間の周方向空間にピニオンギヤ43が配置されている。連結部45aの先端部とキャリアリム46とは焼結にて金属結合され、キャリアフランジ45とキャリアリム46とは一体的に固定されている。なお、溶接、ロー付、ネジ止めなどによって固定してもよい。
スラストベアリング52は転動体の一例である複数のローラ52aを備えており、ローラ52aは保持器52cを介してレース52bによって回転自在に保持されている。レース52bの外周部には、ピストン方向に向かって折り曲げられ、キャリアリム46の円筒部46aの内スプライン46bの内周面に摺動自在に接する円筒状のガイド部52b1 が一体に形成されている。さらにレース52bの外周部には1個または複数個の爪片52b2 が半径方向に突設されており、爪片52b2 を円筒部46aの内スプライン46bに係合させることにより、レース52bは円筒部46aに対して回り止めされる。レース52bは、クラッチ板51aの圧接部の領域Sより広い面積を有しており、ピストン51bからスラストベアリング52を介して伝達される推力を、クラッチ板51aの圧接部に対して全面に作用させることができる。特に、ローラ52aをクラッチ板51aの圧接部の半径方向領域S内に配置するのがよく、さらに望ましくはローラ52aの中心とクラッチ板51aの圧接部の中心とをほぼ一致させるのがよい。その結果、ピストン51bの推力がスラストベアリング52を介してクラッチ板51aに対して半径方向にオフセットすることなく伝達され、ピストン51bの推力がエネルギーロスなくクラッチ板51aに伝達される。また、スラストベアリング52やクラッチ板51aの偏摩耗も防止できる。
この実施例では、支持板53の内径部をピストン51bの内径部に沿って軸方向へ延長し、延長部53aの端部をピストン51bの端部とほぼ同一位置とし、この端部をリターンスプリング58で押圧するようにしたものである。リターンスプリング58の他端面はポンプカバー8に係止されたスプリングリテーナ59によって支持されている。この場合には、リターンスプリング58によって支持板53をピストン51bの後側面に常時押し付けるので、支持板53の軸方向位置が安定する。
この実施例のリターンスプリング58は、直結クラッチ51専用であるため、逆転ブレーキ50用のリターンスプリングを別に設ける必要がある。
この実施例は、スラストベアリング52を、ローラ52aと、ローラ52aを回転自在に保持する保持器52cと、保持器52cを保持する一対のレース52b,52dとで構成したものである。この場合には、ローラ52aの両面を挟持する一対のレース52b,52dが一体的に組み付けられているので、ピストン51bの側面に配置される支持板53(図3参照)を省略することができる。直結クラッチ51の解放時において、レース52dとピストン51bとの間に、レース52bとドラム46aとの嵌合代Lより小さい軸方向隙間δが形成される。そのため、直結クラッチ51の完全な解放状態が得られ、かつスラストベアリング52(ローラ52a,レース52b,52d)がドラム46aから脱落するのを防止できる。
図3の実施例では、ピストン51bの後側面に他方のレースを兼ねる支持板53を配置したが、この支持板53をピストン51bの外周部に配置されたスプリングリテーナ54と兼用してもよい。すなわち、スプリングリテーナ54の一端部を内径方向に延長し、この延長部を支持板として用いてもよい。
上記実施例では、静止シリンダ型クラッチ装置を無段変速機の前後進切替装置における直結クラッチに適用した例を示したが、自動変速機などに用いられる一般的なクラッチ装置にも適用できることは勿論である。
4 前後進切替装置
8 ポンプカバー(静止部材)
41 サンギヤ
41a 円筒部(ハブ)
44 キャリア
46 キャリアリム
46a 円筒部(ドラム)
46b 内スプライン
51 直結クラッチ(静止シリンダ型クラッチ装置)
51a クラッチ板
51b ピストン
52 スラストベアリング
52a ローラ(転動体)
52b レース
52b1 ガイド部
52b2 爪片
52c 保持器
53 支持板(他方のレース)
Claims (1)
- 入出力回転部材を構成するハブおよびドラムと、上記ハブの外周とドラムの内周との間に配置されたクラッチ板と、静止部材に軸方向に移動可能に配置され、油圧を受けて上記クラッチ板を締結させるピストンと、上記ピストンとクラッチ板との間に配置され、上記ピストンとクラッチ板との相対回転を許容しながら推力を伝えるスラストベアリングとを備えた静止シリンダ型クラッチ装置において、
上記スラストベアリングは少なくとも1つのレースとこのレースによって回転自在に保持された転動体とを有し、
上記レースは上記ドラムの内周部に軸方向移動自在に嵌合されており、
上記レースの外周部には、上記ドラムの内スプラインに軸方向移動自在に嵌合し、上記レースを上記ドラムに対して回り止めする爪片がレースの半径方向外側に向かって突設されており、
上記クラッチ装置の解放時において、上記スラストベアリングと上記ピストンとの間に、上記レースと上記ドラムとの嵌合代より小さい軸方向隙間が形成されることを特徴とする静止シリンダ型クラッチ装置。
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