JP4793983B2 - 前後進切替装置の潤滑構造 - Google Patents

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Description

本発明は遊星歯車機構を有する前後進切替装置、特にキャリアをケースに対して連結する多板ブレーキの潤滑構造に関するものである。
車両用の自動変速機や無段変速機において、遊星歯車機構を有する前後進切替装置が用いられている。このような前後進切替装置において、リングギヤを入力要素または出力要素の一方とし、サンギヤを入力要素または出力要素の他方とし、ピニオンギヤを支持するキャリアとケースとの間に多板ブレーキを設けたものがある。
特許文献1には、遊星歯車機構を有する前後進切替装置を備えた無段変速機が提案されている。図6,図7は特許文献1に記載された前後進切替装置の構造を示す。
前後進切替装置100のサンギヤ101は入力軸102にスプライン結合され、サンギヤ101とかみ合うピニオンギヤ103はピニオン軸104を介してキャリア105によって支持されている。キャリア105の前側には円板状のキャリアプレート106が固定され、その内径側が入力軸102にブッシュ117を介して回転自在に支持されている。キャリアプレート106の外径側には逆転ブレーキ107のブレーキハブ106aが形成され、中間部には直結クラッチ108のクラッチハブ106bが固着されている。直結クラッチ108のクラッチ板を締結する油圧ピストン109はクラッチドラム110の中に配置され、クラッチドラム110の内周端部が入力軸102に連結されている。逆転ブレーキ107のブレーキ板を締結する油圧ピストン111は変速機ケース112の内壁に形成された凹部113に収容されている。ピニオンギヤ103とかみ合うリングギヤ114の内径部は駆動プーリ115のプーリ軸116の内側にスプライン嵌合している。
上記前後進切替装置の場合、ピニオンギヤ103や、ピニオンギヤ103とピニオン軸104との間に設けられるニードルベアリングなどを常時潤滑する必要があるため、入力軸102に設けられた潤滑穴(図示せず)から遠心力を利用して潤滑油を供給している。しかし、ピニオンギヤ103を支持しているキャリア105が静止している状態では遠心力を利用して潤滑油をピニオンギヤ103に供給できないため、ピニオンギヤ103への潤滑油の絶対量が不足してしまう恐れがある。
そこで、キャリア105の内部にピニオンギヤ103へ潤滑油を供給するための潤滑油路を形成し、この油路を介して強制潤滑する方法がある。この場合は、キャリア105が静止している間でもピニオンギヤ103へ常時潤滑油を供給できるという利点がある。
一方、リングギヤ114の軸方向に隣接して配置される逆転ブレーキ107も潤滑する必要がある。逆転ブレーキ107の内径側には直結クラッチ108が設けられ、直結クラッチ108を通過した潤滑油を逆転ブレーキ107の潤滑に利用することもできる。その場合、ブレーキハブ106aに半径方向の複数の貫通穴を形成し、この貫通穴を介して直結クラッチ108を通過した潤滑油をブレーキディスク107aの内径部へ供給することになるが、貫通穴は分散して形成される関係で十分な通過面積を確保できず、十分な油量を確保できない。
ところで、上述のようにピニオンギヤ103を強制潤滑した場合には、ピニオンギヤ103には比較的多量の潤滑油が供給されるので、その潤滑油をリングギヤ107で集め、その開放端から流出させて逆転ブレーキ107の潤滑に利用できれば都合がよい。しかしながら、図7に示すように、リングギヤ117の歯底径Drがブレーキハブ106aのスプライン小径Dhより小さいため、潤滑油をリングギヤ107の開放端から流出させても、矢印で示すようにブレーキハブ106aの側壁に当たり、遠心力で外周方向に流れてしまう。そのため、ブレーキディスク107aの内径部に潤滑油が十分に供給されない。
特許文献2には、キャリアカバーと一体のブレーキハブの一部に切欠部を設け、ピニオンギヤ支持面への強制潤滑油をリングギヤをへてブレーキハブの切欠部からブレーキディスクへ供給する前後進切替装置が開示されている。
しかしながら、この場合は、ブレーキハブをリングギヤの外周部に設ける必要があり、ブレーキハブと一体のキャリアの径方向寸法が増大し、前後進切替装置が大型になるという問題がある。
特開2002−327828号公報 特開2004−211803号公報
そこで、本発明の目的は、上記問題点を解決するために成されたものであり、リングギヤの開放端から流出する潤滑油を多板ブレーキのブレーキディスクの内径部に効果的に供給でき、かつ径方向寸法の増大を抑制できる前後進切替装置の潤滑構造を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、リングギヤを入力要素または出力要素の一方とし、サンギヤを入力要素または出力要素の他方とし、ピニオンギヤを支持するキャリアとケースとの間に多板ブレーキを設けてなる前後進切替装置において、上記リングギヤは、フランジ部と、軸方向一端部がフランジ部の外周に固定または一体形成され、内周にギヤ部を有するドラム部とで構成され、上記キャリアの内部に上記ピニオンギヤへ潤滑油を供給するための潤滑油路が形成され、上記キャリアに設けられた多板ブレーキのブレーキハブが上記リングギヤのドラム部の開放端に対して軸方向に近接して配置され、上記リングギヤの歯底径Drと上記ブレーキハブのスプライン小径Dhと上記多板ブレーキのブレーキディスクのスプライン大径DdとがDh<Dr≦Ddの関係に設定され、上記ピニオンギヤを潤滑した後の潤滑油を上記リングギヤのドラム部内周部に集めると共に、上記リングギヤの開放端から流出させて上記ブレーキディスクの内スプラインと上記ブレーキハブの外スプラインとの隙間に導くように構成されていることを特徴とする前後進切替装置の潤滑構造を提供する。
キャリアに支持されたピニオンギヤは、キャリア内に設けた潤滑経路を介して供給された潤滑油によって強制潤滑されるため、キャリアが静止していても、ピニオンギヤへの潤滑油量が不足することがない。ピニオンギヤを潤滑した後の油は遠心力によってリングギヤの内周部に集まる。リングギヤは一端が閉じられた袋構造であるため、ピニオンギヤを潤滑した油がリングギヤのドラム部の開放端から排出される。そのため、ピニオンギヤ潤滑後の油を無駄なくブレーキディスクへ供給できる。多板ブレーキのブレーキハブはリングギヤの開放端に対して軸方向に近接しており、リングギヤの歯底径がブレーキハブのスプライン小径とブレーキディスクのスプライン大径との間に設定されているので、リングギヤの開放端から流出した油がブレーキハブの側壁に当たらずにブレーキディスクの内径部へと効率よく導かれる。
リングギヤの歯底径がブレーキハブのスプライン小径より小さいと、特許文献1と同様に、リングギヤの開放端から流出した油がブレーキハブの側壁に当たり、リングギヤの歯底径がブレーキディスクのスプライン大径より大きいと、リングギヤの開放端から流出した油が端部のブレーキディスクの側面に当たり、共にブレーキディスクを効率よく潤滑できない。これに対し、リングギヤの歯底径をブレーキハブのスプライン小径とブレーキディスクのスプライン大径との間に設定すれば、リングギヤの開放端から流出した油がブレーキディスクの内スプラインとブレーキハブの外スプラインとの隙間に効果的に導入され、潤滑性が良好となる。
油の供給側であるリングギヤの開放端は周方向に連続して開口しており、油の流入側であるブレーキディスクの内スプラインとブレーキハブの外スプラインとの隙間は周方向にほぼ連続的に開口しているので、十分な油通路面積を確保でき、ブレーキディスクを周方向に満遍なく潤滑できる。
さらに、ブレーキハブはリングギヤと軸方向に並んで配置されるので、キャリアの径方向寸法が増大することがなく、前後進切替装置が大型になるのを抑制できる。
本発明によれば、多板ブレーキのブレーキハブをリングギヤのドラム部の開放端に対して軸方向に近接して配置し、リングギヤの歯底径をブレーキハブのスプライン小径とブレーキディスクのスプライン大径との間としたので、ピニオンギヤ潤滑後の油をリングギヤの開放端から流出させ、その油をブレーキディスクの内径部に効率よく導くことができる。その結果、ブレーキディスクの潤滑性が向上し、ブレーキディスクの焼き付きといった不具合を解消できる。
以下に、本発明の実施の形態を、実施例を参照して説明する。
図1〜図5は本発明にかかる前後進切替装置を適用した無段変速機の一例を示す。
この実施例の無段変速機はFF横置き式の自動車用変速機であり、大略、エンジン出力軸1によりトルクコンバータ2を介して駆動される入力軸3、入力軸3の回転を正逆切り替えて駆動軸10に伝達する前後進切替装置4、駆動プーリ11と従動プーリ21と両プーリ間に巻き掛けられたVベルト15とからなる無段変速装置A、従動軸20の動力を出力軸32に伝達するデファレンシャル装置30などで構成されている。入力軸3と駆動軸10とは同一軸線上に配置され、従動軸20とデファレンシャル装置30の出力軸32とが入力軸3に対して平行でかつ非同軸に配置されている。したがって、この無段変速機は全体として3軸構成とされている。
この実施例で用いられるVベルト15は、一対の無端状張力帯と、これら張力帯に支持された多数のブロックとで構成された公知の金属ベルトである。
無段変速機を構成する各部品は変速機ケース5の中に収容されている。トルクコンバータ2と前後進切替装置4との間には、オイルポンプ6が配置されている。このオイルポンプ6は、図2に示すように、変速機ケース5に固定されたポンプボデー7と、ポンプボデー7に対して固定されたポンプカバー8と、ポンプボデー7とポンプカバー8との間に収容されたポンプギヤ9とで構成されている。ポンプギヤ9はトルクコンバータ2のポンプインペラ2aにより駆動される。なお、トルクコンバータ2のタービンランナ2bは入力軸3に連結され、ステータ2cはワンウエイクラッチ2dを介してポンプカバー8により支持されている。
前後進切替装置4は、図2に示すように、遊星歯車機構40と逆転ブレーキ50と直結クラッチ51とで構成されている。遊星歯車機構40のサンギヤ41は入力回転部材である入力軸3に連結され、リングギヤ42は出力回転部材である駆動軸10に連結されている。遊星歯車機構40はシングルピニオン方式であり、逆転ブレーキ50はピニオンギヤ43を支えるキャリア44と変速機ケース5との間に設けられ、直結クラッチ51はキャリア44とサンギヤ41との間に設けられている。直結クラッチ51を解放して逆転ブレーキ50を締結すると、入力軸3の回転が逆転され、かつ減速されて駆動軸10へ伝えられ、前進走行状態となる。逆に、逆転ブレーキ50を解放して直結クラッチ51を締結すると、遊星歯車機構40のキャリア44とサンギヤ41とが一体に回転するので、入力軸3と駆動軸10とが直結され、後退走行状態となる。
なお、前後進切替装置4の具体的構造については後述する。
無段変速装置Aの駆動プーリ11は、駆動軸(プーリ軸)10上に一体に形成された固定シーブ11aと、駆動軸10上に軸方向移動自在に、かつ一体回転可能に支持された可動シーブ11bと、可動シーブ11bの背後に設けられた油圧サーボ12とを備えている。油圧サーボ12への油圧を制御することにより、変速制御が実施される。従動プーリ21は、従動軸(プーリ軸)20上に一体に形成された固定シーブ21aと、従動軸20上に軸方向移動自在に、かつ一体回転可能に支持された可動シーブ21bと、可動シーブ21bの背後に設けられた油圧サーボ22とを備えている。油圧サーボ22の油圧を制御することにより、トルク伝達に必要なベルト推力が与えられる。
従動軸20の一端部はエンジン側に向かって延び、この一端部に出力ギヤ27が固定されている。出力ギヤ27はデファレンシャル装置30のリングギヤ31に噛み合っており、デファレンシャル装置30から左右に延びる出力軸32に動力が伝達され、車輪が駆動される。
ここで、前後進切替装置4の具体的構造について、図2〜図5を参照しながら詳細に説明する。
リングギヤ42は、円板状のフランジ部42aと、軸方向一端部がフランジ部42aの外周に一体形成され、内周にギヤ部を有するドラム部42bとで構成され、一端が閉じられた袋構造となっている。フランジ部42aの内周端は駆動軸10にスプライン結合されている。ドラム部42bの軸方向他端部が開放端となっている。
キャリア44は円盤状のキャリアフランジ45と円環状のキャリアリム46とで構成されており、キャリアフランジ45の内径部はサンギヤ41とリングギヤ42との間を内径方向に延び、ブッシュ56を介して入力軸3に回転自在に支持されている。キャリアフランジ45の内径部は前後方向に延びており、前方(エンジン側)に延びる部分が軸受取付部45bとなり、後方へ延びる部分が軸支持部45cとなっている。軸受取付部45b、軸支持部45cを含むキャリアフランジ45の内径部は、ピニオン軸47と同等以上の軸方向寸法を有しており、軸方向寸法の長い内径部と入力軸3との間に複数のブッシュ56を配置することにより、キャリアフランジ45の入力軸3に対する傾きが抑制される。キャリアフランジ45にはキャリアリム46に向かって軸方向に突出する複数の柱状部45a(図2参照)が一体に形成され、これら柱状部45aの間の周方向空間にピニオンギヤ43が配置されている。柱状部45aの先端面とキャリアリム46とは焼結にて金属結合され、キャリアフランジ45とキャリアリム46とは一体的に固定されている。なお、溶接、ロー付、ネジ止めなどによって固定してもよい。
キャリアフランジ45とキャリアリム46との間に、ピニオンギヤ43を支持するピニオン軸47が架け渡して支持されている。また、ピニオンギヤ43の内周とピニオン軸47の外周との隙間にはニードルベアリング48が配置され、ピニオンギヤ43はピニオン軸47に対して回転自在である。キャリアフランジ45に挿入されたピニオン軸47の一端部は、キャリアフランジ45の半径方向外方から圧入されたローラピン49によって、キャリアフランジ45に対して所定の位相となるように回り止めされかつ抜け止めされている。すなわち、ピニオン軸47の内部に形成された潤滑穴47aの開口端が、キャリアフランジ45の内部に形成された油供給穴45dの開口端と対応するように位置決めされる。
キャリアリム46には、前側(エンジン側)に向かって軸方向に突出する円筒部46aが一体に形成されており、円筒部46aの内周部に直結クラッチ51のクラッチ板51aの外径部がスプライン係合する内スプライン46bが形成され、円筒部46aの外周部には、逆転ブレーキ50のブレーキディスク50aの内径部がスプライン係合する外スプライン46cが形成されている。このように円筒部46aは逆転ブレーキ50のブレーキハブと直結クラッチ51のクラッチドラムとを兼ねている。
逆転ブレーキ50のピストン50bは、変速機ケース5の内側壁に配置されており、ピストン50bと変速機ケース5との間に供給される油圧によりピストン50bは作動され、ブレーキディスク50aを締結することができる。ピストン50bの圧力によって押されたブレーキディスク50aの端部を支える反力部材として、静止部材であるポンプカバー8から円筒状のストッパ部8aが一体に突設されている。そのため、ブレーキディスク50aの端部を支えるスナップリングを省略できる。
図3に示すように、サンギヤ41の中間部は入力軸3に一体形成されたフランジ部3aの外周にスプライン嵌合しており、サンギヤ41の前側(エンジン側)には、直結クラッチ51のクラッチハブとなる円筒部41aが一体に突設されている。円筒部41aの外周に直結クラッチ51のクラッチ板51aの内径部がスプライン係合している。サンギヤ41の後側には軸方向に延びる軸受取付部41bが形成され、この軸受取付部41bの外周部にピニオンギヤ43とかみ合うギヤ部41cが形成されている。キャリアフランジ45の軸受取付部45bとサンギヤ41の軸受取付部41bとは、半径方向に対向しており、これら軸受取付部45b,41bの間にボールベアリング57が取り付けられている。つまり、ボールベアリング57はピニオンギヤ43の内径側に配置されている。ボールベアリング57の軸長は、サンギヤ41と入力軸3とのスプライン部の軸長より長い。ボールベアリング57の中心はピニオンギヤ43の噛み合い中心の軸方向位置とほぼ同一位置に配置されているため、サンギヤ41とピニオンギヤ43との噛み合い反力によるモーメントがキャリア44(45,46)に作用しにくい。その結果、キャリアフランジ45の内径部の軸長を長く確保できることと相俟って、キャリア44に倒れが発生しにくい。
ポンプカバー8の背面側(前後進切替装置側)には断面コ字形のピストン51bが配置され、このピストン51bによって直結クラッチ51は締結される。クラッチ板51aと対面するピストン51bの側面には、相対回転を許容するスラストベアリング52が取り付けられている。そのため、ピストン51bの軸方向圧力はクラッチ板51aに効果的に伝達され、かつピストン51bがクラッチ板51aと連れ回りするのが防止される。なお、クラッチ板51aの背後にはキャリアリム46の側面が位置しているため、ピストン51bによって押されたクラッチ板51aの端部をキャリアリム46で支えることができ、スナップリングや格別な反力部材を省略できる。
スラストベアリング52を支持するベアリングリテーナ53は、ピストン51bの内側面に沿って外径方向に延長されており、その外周端がスプリングリテーナ54の端部によって位置規制されている。そのため、ベアリングリテーナ53はピストン51bの内側面に沿った位置で安定する。スプリングリテーナ54は直結クラッチ用ピストン51bの側面にそって外径方向に延びており、その外周端と逆転ブレーキ用ピストン50bとの間にリターンスプリング55が配置されている。このスプリング55は、直結クラッチ用ピストン51bと逆転ブレーキ用ピストン50bの両方のリターンスプリングを兼ねるものであり、逆転ブレーキ50のブレーキディスク50aの外周側に適数個設けられている。逆転ブレーキ50と直結クラッチ51は同時に作動されることがないので、1種類のスプリング55で両者のリターンスプリングを兼ねることができる。
本実施例では1種類のスプリング55で、逆転ブレーキ50と直結クラッチ51のリターンスプリングを兼ねたが、それぞれ個別にリターンスプリングを設けてもよいことは勿論である。
ここで、前後進切替装置4の潤滑構造について、図3〜図5を参照しながら説明する。
入力軸3の軸心部には、所定圧の潤滑油が供給される潤滑穴3bが形成されており、この潤滑穴3bは径方向穴3cを介して入力軸3の外周面に開口している。径方向穴3cと対向するキャリアフランジ45の内周面には、キャリアフランジ45の内部に形成された径方向の油供給穴45dの内周端が開口している。径方向穴3cと油供給穴45dとの間の空間は、前後一対のブッシュ56によってほぼ閉じられているので、径方向穴3cから流出した潤滑油のほぼ全量が油供給穴45dへ流入する。油供給穴45dに流入した潤滑油は、半径方向外方へ流れ、ピニオン軸47に形成された潤滑穴47aを通ってニードルベアリング48を潤滑し、さらにピニオンギヤ43とキャリア45,46との隙間を通ってリングギヤ42の内周部に集まり、ピニオンギヤ43を潤滑する。ピニオンギヤ43を潤滑した後の潤滑油は、図3に矢印で示すようにリングギヤ42の開放端から流出する。
なお、リングギヤ42の内周部には、油供給穴45dを介して供給された潤滑油だけでなく、リングギヤ42とキャリアフランジ45との隙間を通って流れた潤滑油や、キャリアフランジ45とサンギヤ41との隙間を通って流れた潤滑油も集められ、これら潤滑油が集合されてリングギヤ42の開放端から流出する。
キャリアリム46に設けられた円筒部(ブレーキハブ)46aの外スプライン46cとリングギヤ42の開放端とが軸方向に近接して配置されており、リングギヤ42の歯底径Drが外スプライン46cのスプライン小径Dhとブレーキディスク50aのスプライン大径Ddとの間に設定されている。なお、歯底径Drとスプライン大径Ddとが等しい場合でもよい。すなわち、
Dh<Dr≦Dd
に設定されている。つまり、リングギヤ42の開放端と、ブレーキディスク50aの内スプラインとブレーキハブ46aの外スプライン46cとの半径方向隙間とが軸方向に対向しており、リングギヤ42の開放端から流出した潤滑油がブレーキディスク50aの内径部へ効率よく供給される。特に、リングギヤ42の開放端は周方向に連続して開口しており、ブレーキディスク50aの内スプラインとブレーキハブ46aの外スプライン46cとの隙間も図5に示すように周方向にほぼ連続的に開口しているので、十分な油通路面積を確保でき、ブレーキディスク50aを周方向に均等に潤滑できる。
図4に示すように、キャリアリム46の円筒部46aの内外周に形成された内スプライン46bと外スプライン46cとが軸方向に一部オーバーラップしているため、キャリアリム46の軸方向寸法を短縮できる。しかも、ブレーキハブ46aがリングギヤ42の外周側まで延びていないので、キャリアリム46の径方向寸法も短縮できる。したがって、前後進切替装置4を径方向および軸方向に小型化できる。
上記構成よりなる無段変速機において、前進時には、逆転ブレーキ50を締結し直結クラッチ51を解放することにより、トルクコンバータ2から入力される駆動力が逆転されかつ減速されて駆動プーリ11へ伝達される。そして、従動プーリ21およびデファレンシャル装置30を介して出力軸32がエンジン回転方向と同一方向に駆動される。
一方、後進時には、直結クラッチ51を締結し逆転ブレーキ50を解放することにより、遊星歯車機構40の入力側(サンギヤ41)と出力側(リングギヤ42)とが直結されるため、トルクコンバータ2から入力された駆動力がそのまま駆動プーリ11へ伝達され、従動プーリ21およびデファレンシャル装置30を介して出力軸32がエンジン回転方向と逆方向に駆動される。
このように、3軸構成でコンパクトな無段変速機を実現できる。
本発明は上記実施例に限定されるものではない。
本発明の前後進切替装置は、無段変速機だけでなく、一般の自動変速機にも適用できることは勿論である。
上記実施例では、サンギヤ入力、リングギヤ出力としたが、リングギヤ入力、サンギヤ出力としてもよい。
直結クラッチ51は、サンギヤ41とキャリア44との間に設ける場合に限らず、サンギヤ41とリングギヤ42との間に設けることも可能である。
上記実施例では、サンギヤ41の一端部に直結クラッチ51のクラッチハブ41aを一体形成したが、このクラッチハブ41aを入力軸3に設けることもできる。
また、キャリア44をキャリアフランジ45とキャリアリム46との2部品で構成し、両者を結合したが、キャリアフランジ45とキャリアリム46とを一体部品で構成することもできる。
リングギヤ42はフランジ部42aとドラム部42bとが一体構造のものを示したが、複数の部品で構成してもよい。例えば、フランジ部42aとドラム部42bとを別部品で構成し、両者をスプライン嵌合させ、スナップリングで抜け止めしてもよい。
本発明にかかる前後進切替装置を適用した無段変速機の一例のスケルトン図である。 本発明にかかる前後進切替装置の詳細断面図である。 図2に示す前後進切替装置の潤滑構造を示す要部断面図である。 図3に示す前後進切替装置の寸法関係を示す図である。 図4のV−V線断面図である。 従来の前後進切替装置の断面図である。 図6に示す前後進切替装置の拡大断面図である。
符号の説明
3 入力軸
4 前後進切替装置
10 駆動軸
40 遊星歯車機構
41 サンギヤ
42 リングギヤ
42a フランジ部
42b ドラム部
43 ピニオンギヤ
44 キャリア
45 キャリアフランジ
45d 油供給穴(潤滑油路)
46 キャリアリム
46a 円筒部(ブレーキハブ)
46c 外スプライン
50 逆転ブレーキ(多板ブレーキ)
50a ブレーキディスク
51 直結クラッチ

Claims (1)

  1. リングギヤを入力要素または出力要素の一方とし、サンギヤを入力要素または出力要素の他方とし、ピニオンギヤを支持するキャリアとケースとの間に多板ブレーキを設けてなる前後進切替装置において、
    上記リングギヤは、フランジ部と、軸方向一端部がフランジ部の外周に固定または一体形成され、内周にギヤ部を有するドラム部とで構成され、
    上記キャリアの内部に上記ピニオンギヤへ潤滑油を供給するための潤滑油路が形成され、
    上記キャリアに設けられた多板ブレーキのブレーキハブが上記リングギヤのドラム部の開放端に対して軸方向に近接して配置され、
    上記リングギヤの歯底径Drと上記ブレーキハブのスプライン小径Dhと上記多板ブレーキのブレーキディスクのスプライン大径Ddとが次の関係に設定され、
    Dh<Dr≦Dd
    上記ピニオンギヤを潤滑した後の潤滑油を上記リングギヤのドラム部内周部に集めると共に、上記リングギヤの開放端から流出させて上記ブレーキディスクの内スプラインと上記ブレーキハブの外スプラインとの隙間に導くように構成されていることを特徴とする前後進切替装置の潤滑構造。
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