JP2014199064A - オイルポンプ - Google Patents

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Masashi Kito
昌士 鬼頭
武史 鳥居
Takeshi Torii
武史 鳥居
佑介 高橋
Yusuke Takahashi
佑介 高橋
和也 川村
Kazuya Kawamura
和也 川村
修 村井
Osamu Murai
修 村井
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Abstract

【課題】チェーン駆動機構により駆動されるオイルポンプにおいて、チェーンノイズをより低減させると共に、チェーン駆動機構周辺での作動油の滞留をより良好に抑制する。【解決手段】オイルポンプ60のフロントポンプカバー65は、トランスミッションケース22の一部であるコンバータハウジング221と対向するように形成されており、オイルポンプ60にエンジンからの動力を伝達するチェーン駆動機構70は、フロントポンプカバー65とコンバータハウジング221との間に配置され、フロントポンプカバー65とコンバータハウジング221とは、チェーン73を取り囲むように延出された壁部65wおよび221wを有する。【選択図】図4

Description

本発明は、オイルポンプに関する。
従来、この種のオイルポンプとして、自動変速機の主軸から離間した位置に設けられ、主軸側に設けられたドライブスプロケットからオイルポンプのドリブンスプロケットへとチェーンを介して動力が伝達されることにより駆動されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このオイルポンプでは、チェーン近傍に配置された前後進切替え装置を収納する収納部カバーに突起状のチェーンガイドを設けることにより、チェーンにたるみが発生するのを抑制してチェーンの振れを低減させ、チェーンとスプロケットとの噛み合い不良の発生を抑制すると共に静粛性の向上を図っている。
特開2006−64002号公報
しかしながら、上記従来のオイルポンプでは、チェーンの振れを低減させることにより静粛性の向上を図ることができるものの、チェーンノイズを充分に低減させることができない。また、オイルポンプの周辺が作動油で満たされる場合には、例えばドリブンスプロケットの一部が作動油に浸漬されることで、ドリブンスプロケットの回転により作動油が撹拌されて作動油内にキャビテーションが発生したり、ドリブンスプロケットの回転が作動油に引き摺られることに起因してトルク損失が発生したりするおそれがある。
そこで、本発明は、チェーン駆動機構により回転駆動されるオイルポンプにおいて、チェーンノイズをより低減させると共に、チェーン駆動機構周辺での作動油の滞留をより良好に抑制することを主目的とする。
本発明によるオイルポンプは、上記主目的を達成するために以下の手段を採っている。
本発明によるオイルポンプは、
車両の原動機に連結される変速機を収容するケース内に配置されるオイルポンプにおいて、
前記原動機からの動力により回転駆動されるドライブスプロケットと、前記オイルポンプのロータに取り付けられるドリブンスプロケットと、前記ドライブスプロケットおよび前記ドリブンスプロケットに巻き掛けられるチェーンとを含むチェーン駆動機構を備え、
前記オイルポンプ内に配置されるギヤ部を覆うポンプカバーは、前記ケースの一部と対向するように形成され、
前記チェーン駆動機構は、前記ポンプカバーと前記ケースの一部との間に配置され、
前記ポンプカバーおよび前記ケースの一部の少なくとも何れか一方は、前記チェーンを取り囲むように他方に向けて延出された壁部を有することを特徴とする。
このオイルポンプは、原動機からの動力により回転駆動されるドライブスプロケットと、オイルポンプのロータに取り付けられるドリブンスプロケットと、ドライブスプロケットおよびドリブンスプロケットに巻き掛けられるチェーンとを含むチェーン駆動機構を備える。また、オイルポンプ内に配置されるギヤ部を覆うポンプカバーは、ケースの一部と対向するように形成されており、チェーン駆動機構は、ポンプカバーと当該ケースの一部との間に配置される。そして、ポンプカバーおよび当該ケースの一部の少なくとも何れか一方は、チェーンを取り囲むように他方に向けて延出された壁部を有する。このように、ポンプカバーとケースの一部との少なくとも何れか一方に、チェーン駆動機構のチェーンを取り囲むように壁部を形成することにより、チェーンノイズが当該壁部の外側に放射されないようにすることができるため、チェーンノイズをより低減させることが可能となる。また、当該壁部により、壁部の内側、すなわち、チェーン駆動機構周辺への作動油の侵入を抑制することができるため、チェーン駆動機構周辺での作動油の滞留をより良好に抑制することが可能となる。
また、前記ドリブンスプロケットは、前記ドライブスプロケットの下方に配置されてもよく、前記壁部は、前記チェーンが下方に進行する側であって、前記ドライブスプロケットよりも前記ドリブンスプロケットの近傍に形成された切欠部を有してもよい。これにより、壁部の外側からの作動油やオイルポンプから漏出した作動油がドライブスプロケットよりも下方に配置されたドリブンスプロケット周辺に流れ込んだとしても、当該作動油をドリブンスプロケットの回転により切欠部から壁部の外側へと排出することができる。この結果、壁部の内側に作動油が滞留してドリブンスプロケットの回転により当該作動油が撹拌されてしまったり、ドリブンスプロケットの回転が当該作動油に引き摺られることに起因したトルク損失の発生を抑制することが可能となる。
更に、前記切欠部は、前記ケース内に貯留される作動油の前記車両の走行中における油面よりも上方に位置してもよい。これにより、車両の走行中に切欠部を介して作動油が壁部の内側に侵入するのを抑制することが可能となる。
また、前記切欠部の前記ドリブンスプロケット側における開始点は、前記ケース内に貯留される作動油の前記車両の停車中における油面よりも下方に位置してもよい。すなわち、車両が比較的長い時間に亘って停車されている際には、オイルポンプから車両の各油圧機器等への作動油の供給が停止された状態が継続するため、ケース内に貯留される作動油の量が増加し、ケース内における作動油の油面高さが走行中に比べて高くなる。この結果、車両が比較的長い時間に亘って停車されている場合には、切欠部から壁部の内側へと作動油が流入することになる。このように、車両が比較的長い時間に亘って停車されている際には、壁部の内側への作動油の流入を許容することで、当該作動油を車両の再発進時にオイルポンプ周辺の潤滑対象への潤滑媒体として利用することが可能となる。
更に、前記壁部の前記切欠部よりも上方の部分は、該切欠部に近いほど前記チェーンから離間するように形成されてもよい。これにより、ドリブンスプロケット周辺に流れ込んでチェーンによって掻き上げられた作動油を壁部内に流下させずに壁部の外側へと良好に排出することが可能となる。
また、前記ドリブンスプロケットは、少なくとも一部が前記ケース内に貯留される作動油の油面よりも下方に位置するように前記ケース内に配置されてもよい。すなわち、本発明のオイルポンプでは、このように、ドリブンスプロケットの少なくとも一部がケース内の作動油の油面よりも下方に位置したとしても、チェーン駆動機構周辺での作動油の滞留をより良好に抑制することが可能となる。
本発明によるオイルポンプ60を含む動力伝達装置20の概略構成図である。 自動変速機25の各変速段とクラッチおよびブレーキの作動状態との関係を示す作動表である。 動力伝達装置20を流体伝動装置23側からみた正面図である。 動力伝達装置20の要部を示す断面図である。 オイルポンプ60を示す正面図である。 他の実施形態に係るフロントポンプカバー65Bを有するオイルポンプ60Bを示す正面図である。
次に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明のよるオイルポンプ60を備えた動力伝達装置20の概略構成図である。同図に示す動力伝達装置20は、前輪駆動式の自動車10に搭載される図示しないエンジンのクランクシャフトに接続されると共にエンジンからの動力を左右の駆動輪(前輪)DWに伝達可能なものである。図示するように、動力伝達装置20は、トランスミッションケース22や、流体伝動装置23、トランスミッションケース22内に収容される自動変速機25、ギヤ機構40、差動機構(デファレンシャルギヤ)50、オイルポンプ60、オイルポンプ60により吸引される作動油(ATF)を濾過するストレーナ80(図3参照)、オイルポンプ60から吐出された作動油を調圧して出力する油圧制御装置90等を備える。
流体伝動装置23は、トルク増幅作用を有するトルクコンバータとして構成されており、トランスミッションケース22の一部を構成するコンバータハウジング221内に収容される(図4参照)。流体伝動装置23は、図1に示すように、エンジンのクランクシャフトに接続される入力側のポンプインペラ23pや、自動変速機25の入力軸(入力部材)26に接続される出力側のタービンランナ23t、ポンプインペラ23pおよびタービンランナ23tの内側に配置されてタービンランナ23tからポンプインペラ23pへの作動油(ATF)の流れを整流するステータ23s、ステータ23sの回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチ23o、ロックアップクラッチ23c等を含むものである。
自動変速機25は、6段変速式の変速機として構成されており、図1に示すように、シングルピニオン式遊星歯車機構30や、ラビニヨ式遊星歯車機構35、入力側から出力側までの動力伝達経路を変更するための3つのクラッチC1,C2およびC3、2つのブレーキB1およびB2並びにワンウェイクラッチF1等を含む。シングルピニオン式遊星歯車機構30は、トランスミッションケース22に固定された外歯歯車であるサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置されると共に入力軸26に接続された内歯歯車であるリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリヤ34とを有する。
ラビニヨ式遊星歯車機構35は、外歯歯車である2つのサンギヤ36a,36bと、自動変速機25の出力軸(出力部材)27に固定された内歯歯車であるリングギヤ37と、サンギヤ36aに噛合する複数のショートピニオンギヤ38aと、サンギヤ36bおよび複数のショートピニオンギヤ38aに噛合すると共にリングギヤ37に噛合する複数のロングピニオンギヤ38bと、互いに連結された複数のショートピニオンギヤ38aおよび複数のロングピニオンギヤ38bを自転かつ公転自在に保持すると共にワンウェイクラッチF1を介してトランスミッションケース22に支持されたキャリヤ39とを有する。また、自動変速機25の出力軸27は、ギヤ機構40および差動機構50を介して駆動輪DWに接続される。
クラッチC1は、ピストン、複数の摩擦板や相手板、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、シングルピニオン式遊星歯車機構30のキャリヤ34とラビニヨ式遊星歯車機構35のサンギヤ36aとを締結すると共に両者の締結を解除することができる多板摩擦式油圧クラッチ(摩擦係合要素)である。クラッチC2は、ピストン、複数の摩擦板や相手板、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、入力軸26とラビニヨ式遊星歯車機構35のキャリヤ39とを締結すると共に両者の締結を解除することができる多板摩擦式油圧クラッチである。クラッチC3は、ピストン、複数の摩擦板や相手板、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、シングルピニオン式遊星歯車機構30のキャリヤ34とラビニヨ式遊星歯車機構35のサンギヤ36bとを締結すると共に両者の締結を解除することができる多板摩擦式油圧クラッチである。
ブレーキB1は、油圧サーボを含むバンドブレーキあるいは多板摩擦式ブレーキとして構成されており、ラビニヨ式遊星歯車機構35のサンギヤ36bをトランスミッションケース22に固定すると共にサンギヤ36bのトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる油圧ブレーキである。ブレーキB2は、油圧サーボを含むバンドブレーキあるいは多板摩擦式ブレーキとして構成されており、ラビニヨ式遊星歯車機構35のキャリヤ39をトランスミッションケース22に固定すると共にキャリヤ39のトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる油圧ブレーキである。また、ワンウェイクラッチF1は、例えばインナーレースやアウターレース、複数のスプラグ等を含み、インナーレースに対してアウターレースが一方向に回転した際にスプラグを介してトルクを伝達すると共に、インナーレースに対してアウターレースが他方向に回転した際に両者を相対回転させるものである。ただし、ワンウェイクラッチF1は、ローラ式といったようなスプラグ式以外の構成を有するものであってもよい。
これらのクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2は、油圧制御装置90による作動油の給排を受けて動作する。図2に、自動変速機25の各変速段とクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2の作動状態との関係を表した作動表を示す。自動変速機25は、クラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2を図2の作動表に示す状態とすることで第1速から第6速の前進段と後進段とを提供する。図2に示すように、自動変速機25の第1速は、クラッチC1が係合した状態でワンウェイクラッチF1が係合することにより形成され、第2速から第4速は、クラッチC1を係合させると共にブレーキB1、クラッチC2およびC3の何れかを係合させることにより形成される。また、自動変速機25の第5速および第6速は、クラッチC2を係合させると共にクラッチC3およびブレーキB1の何れかを係合させることにより形成される。なお、クラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2の少なくとも何れかは、ドグクラッチといった噛み合い係合要素とされてもよい。
ギヤ機構40は、自動変速機25の出力軸27に連結されるカウンタドライブギヤ41と、自動変速機25の入力軸26と平行に延在するカウンタシャフト42に固定されると共にカウンタドライブギヤ41に噛合するカウンタドリブンギヤ43と、カウンタシャフト42に形成(あるいは固定)されたドライブピニオンギヤ(ファイナルドライブギヤ)44と、ドライブピニオンギヤ44に噛合すると共に差動機構50に連結されるデフリングギヤ(ファイナルドリブンギヤ)45とを有する。
続いて、図3および図4を参照しながら、オイルポンプ60、ストレーナ80および油圧制御装置90について説明する。図3は、動力伝達装置20を流体伝動装置23側からみた正面図であり、図4は、動力伝達装置20の要部を示す断面図である。
オイルポンプ60は、トランスミッションケース22内に収容されたギヤポンプであり、ロータ61と、複数の外歯を有すると共にロータ61に固定された外歯ギヤ62と、外歯ギヤ62の外歯に噛合する当該外歯の総数よりも1つ多い複数の内歯を有すると共に当該外歯ギヤ62に対して偏心して配置される内歯ギヤ63と、外歯ギヤ62および内歯ギヤ63を収容するギヤ収容室64aを画成するポンプボディ64、オイルポンプ60内に配置されるギヤ部(ギヤ収容室64aに収容された外歯ギヤ62および内歯ギヤ63)を覆うフロントポンプカバー65およびリヤポンプカバー66から構成されるポンプハウジング67と、ロータ61にエンジンからの動力を伝達するチェーン駆動機構70とを含む。ただし、ポンプハウジング67は、ポンプボディ64とフロントポンプカバー65とが一体の部材として形成されるものであってもよいし、ポンプボディ64とリヤポンプカバー66とが一体の部材として形成されるものであってもよい。オイルポンプ60は、回転軸としてのロータ61が自動変速機25の入力軸26とは異なる軸上に位置するようにトランスミッションケース22の下部、すなわちギヤ機構40のデフリングギヤ45の側方に配置される。これにより、ロータ61を入力軸26と同軸上に配置する場合に比べて、ロータ61、外歯ギヤ62および内歯ギヤ63の外径を小さくすることができるため、オイルポンプ60全体の小型化を図ることが可能となる。
フロントポンプカバー65は、ポンプボディ64の流体伝動装置23側(図4中の右側)の一端を覆うフランジ部651と、フランジ部651から軸方向に延出される円筒状のボス部652とを含む。フランジ部651は、複数のボルトによりトランスミッションケース22に締結されると共に、トランスミッションケース22内で上述のコンバータハウジング221と対向するように延在する。また、フランジ部651は、ボス部652から径方向に離間するように形成された貫通孔651oを有しており、当該貫通孔651oには、ブッシュを介してロータ61が回転自在に嵌合される。フロントポンプカバー65のボス部652は、その中心を貫通する貫通孔652oを有し、当該貫通孔652oには、トランスミッションケース22と一体化されて自動変速機25の入力軸26を回転自在に支持する固定軸部28が圧入される。これにより、フロントポンプカバー65は、オイルポンプ60のロータ61が自動変速機25の入力軸26から離間するように複数のボルトおよび固定軸部28を介してトランスミッションケース22により支持される。
リヤポンプカバー66は、ポンプボディ64の流体伝動装置23と反対側(図4中の左側)の一端を覆うと共に、ポンプボディ64とは反対側の端面がトランスミッションケース22に形成された図示しない当接部に当接するように配置される。そして、リヤポンプカバー66は、ポンプボディ64を介してフロントポンプカバー65に複数のボルトにより締結される。これにより、ポンプボディ64、フロントポンプカバー65およびリヤポンプカバー66が一体化されてトランスミッションケース22に固定される。また、リヤポンプカバー66には、ブッシュを介してロータ61を回転自在に支持するロータ支持孔66oが形成されている。
エンジンからの動力をオイルポンプ60のロータ61に伝達するチェーン駆動機構70は、流体伝動装置23のポンプインペラ23pにハブ29を介して連結されたドライブスプロケット71と、ドライブスプロケット71よりも下方に配置されると共にロータ61に取り付けられるドリブンスプロケット72と、ドライブスプロケット71およびドリブンスプロケット72に巻き掛けられるチェーン73とを有する。
ドライブスプロケット71は、外周にギヤ歯が形成された環状のギヤ部材として構成され、当該ギヤ歯を有するディスク部71aと、ディスク部71aから軸方向に延びると共に中心孔71oを有するボス部71bとを含む。ドライブスプロケット71は、ボス部71bの中心孔71oがフロントポンプカバー65のボス部652に回転自在に嵌合される。また、ボス部71bの流体伝動装置23側(図4中右側)の端部には、ハブ29に形成されたスプラインと係合可能なスプラインが形成されており、当該スプラインによってボス部71bとハブ29とが連結されることにより、ドライブスプロケット71がポンプインペラ23pと一体に回転可能となる。
ドリブンスプロケット72は、外周にギヤ歯が形成された環状のギヤ部材として構成される。ドリブンスプロケット72の中心孔72oには、オイルポンプ60のロータ61が固定される。そして、ドライブスプロケット71およびドリブンスプロケット72のそれぞれの外周に形成されたギヤ歯には、チェーン73が巻き掛けられる。これにより、エンジンからの動力をドライブスプロケット71,チェーン73およびドリブンスプロケット72を介してオイルポンプ60のロータ61へと伝達し、外歯ギヤ62および内歯ギヤ63を回転駆動することが可能となる。
ストレーナ80は、トランスミッションケース22の下部に形成された作動油貯留部22a内で開口すると共にオイルポンプ60に接続され、作動油貯留部22aからオイルポンプ60に吸引される作動油(ATF)を濾過する。ストレーナ80は、図3に示すように、オイルポンプ60のデフリングギヤ45側の側方に位置するようにトランスミッションケース22内に配置される。このように、オイルポンプ60およびストレーナ80をデッドスペースとなりがちなデフリングギヤ45の側方のスペースに配置することにより、動力伝達装置20の小型化を図ることが可能となる。
油圧制御装置90は、オイルポンプ60から吐出された作動油を調圧して流体伝動装置23や自動変速機25を作動させるための油圧を生成すると共に、各種軸受といった潤滑冷却対象に潤滑冷却媒体としての作動油を供給する。油圧制御装置90は、オイルポンプ60を介してストレーナ80の反対側に位置するように、トランスミッションケース22の側部に取り付けられる。油圧制御装置90は、図示しない複数の油路を有するバルブボディや、バルブボディと図示しないスプールやスプリングとにより構成される複数のレギュレータバルブやリレーバルブ、バルブボディに取り付けられて当該バルブボディの油路と共に油圧回路を構成する複数のリニアソレノイドバルブおよびオンオフソレノイドバルブ等(何れも図示省略)を含む。
ここで、オイルポンプ60がチェーン駆動機構70を介して回転駆動される際には、チェーン駆動機構70のドライブスプロケット71およびドリブンスプロケット72とチェーン73との噛合によりチェーンノイズが発生する。また、本実施形態において、オイルポンプ60は、トランスミッションケース22の下部に配置されて作動油貯留部22aの近傍に位置することから、オイルポンプ60のロータ61に取り付けられたドリブンスプロケット72の一部が作動油に浸漬され、ドリブンスプロケット72の回転により作動油が撹拌されて作動油内にキャビテーションが発生したり、ドリブンスプロケット72の回転が作動油に引き摺られることに起因してトルク損失が発生したりおそれがある。
これらを踏まえて、本実施形態のオイルポンプ60では、図4および図5に示すように、フロントポンプカバー65にチェーン駆動機構70のチェーン73を取り囲むようにコンバータハウジング221に向けて延びる壁部65wが形成されると共に、フロントポンプカバー65と対向するコンバータハウジング221にチェーン73を取り囲むようにフロントポンプカバー65に向けて延びる壁部221wが形成される。フロントポンプカバー65の壁部65wは、フランジ部651の表面からコンバータハウジング221の表面付近まで延出される。また、コンバータハウジング221の壁部221wは、フロントポンプカバー65の壁部65wの内周面に沿うようにコンバータハウジング221の表面からからフランジ部651の表面付近まで延出される。
このように、フロントポンプカバー65にチェーン73を取り囲むように壁部65wを形成すると共に、フロントポンプカバー65と対向するコンバータハウジング221にチェーン73を取り囲むように壁部221wを形成することで、ドライブスプロケット71およびドリブンスプロケット72とチェーン73との噛合により発生するチェーンノイズが壁部65wおよび221wの外側に放射されるのを抑制することができる。これにより、動力伝達装置20の外側、すなわち、自動車10の車室内に伝わるチェーンノイズのレベルをより低減させることが可能となる。また、フロントポンプカバー65の壁部65wとコンバータハウジング221の壁部221wとにより、両者の内側、すなわち、チェーン駆動機構70周辺への作動油の侵入を抑制することができるため、チェーン駆動機構70周辺での作動油の滞留をより良好に抑制することが可能となる。更に、上述のように形成される壁部65wは、いわゆるリブ部としても機能し、フロントポンプカバー65に壁部65wを形成することでフロントポンプカバー65の剛性を高めることができる。これにより、フロントポンプカバー65に複数の開口部(軽め穴)65oを形成してフロントポンプカバー65の軽量化を図ることが可能となる。
また、フロントポンプカバー65の壁部65wには、図5に示すように、チェーン63が下方に進行する側(図中破線矢印参照)かつドライブスプロケット71よりもドリブンスプロケット72の近傍でその一部を切り欠くことにより切欠部65sが形成されている。同様に、コンバータハウジング221の壁部221wにも、壁部65wの切欠部65sに対応した位置でその一部を切り欠くことにより切欠部221sが形成されている。これにより、壁部65wおよび221wの外側からの作動油やオイルポンプ60から漏出した作動油がドライブスプロケット71よりも下方に配置されたドリブンスプロケット72の周辺に流れ込んだとしても、図5において実線矢印に示すように、当該作動油をドリブンスプロケット72の回転により切欠部65sおよび221sから壁部65wおよび221wの外側へと良好に排出することができる。
更に、壁部65wの切欠部65sよりも上方の部分(上方から当該切欠部65sに向かって延びる部分)は、切欠部65sに近いほどチェーン73から離間するように形成され、壁部221wの切欠部221sよりも上方の部分(上方から当該切欠部221sに向かって延びる部分)も、切欠部221sに近いほどチェーン73から離間するように形成される。これにより、ドリブンスプロケット72の周辺に流れ込んでチェーン73によって掻き上げられた作動油を壁部65wおよび221w内に流下させずに壁部65wおよび221wの外側へと良好に排出することが可能となる。
そして、本実施形態において、切欠部65sおよび221sのドリブンスプロケット側における開始点(端部)65aおよび221aは、図5に示すように、作動油貯留部22aに貯留される作動油の自動車10の走行中における油面高さよりも上方に位置するように形成される。これにより、自動車10の走行中に切欠部65sおよび221sを介して作動油が壁部65wおよび221wの内側に侵入するのを抑制することができる。また、本実施形態において、切欠部65sおよび221sのドリブンスプロケット側における開始点(端部)65aおよび221aは、自動車10が比較的長い時間に亘って停車されている際の作動油の油面高さと概ね同一レベルに位置するように形成される。これにより、自動車10が比較的長い時間に亘って停車されている際には、切欠部65sおよび221sから壁部65wおよび221wの内側へと作動油が流入するのを許容して当該作動油を自動車10の再発進時に潤滑媒体として利用することが可能となる。
すなわち、自動車10が比較的長い時間に亘って停車されている際には、油圧制御装置90から流体伝動装置23や自動変速機25への作動油の供給が停止された状態が継続するため、トランスミッションケース22の下部の作動油貯留部22aに貯留される作動油の量が増加し、作動油貯留部22aにおける作動油の油面高さが走行中に比べて高くなる。このため、自動車10が比較的長い時間に亘って停車されている場合には、切欠部65sおよび221sから壁部65wおよび221wの内側へと作動油が流入することになる。そして、このように壁部65wおよび221wの内側への作動油の流入を許容することで、自動車10の再発進時に、長時間の停車により潤滑媒体が不足した状態(ドライ状態)となったドライブスプロケット71およびドリブンスプロケット72とチェーン73との噛合部分や、オイルポンプ60のロータ61とフロントポンプカバー65およびリヤポンプカバー66との間に配置されたブッシュに潤滑媒体としての作動油を供給することが可能となる。
なお、自動車10が再発進されて走行が継続されると、トランスミッションケース22内の作動油貯留部22aにおける作動油の油面高さが低くなると共に、上述したように、壁部65wおよび221wの内側に流入した作動油がドリブンスプロケット72の回転により切欠部65sおよび221sを介して壁部65wおよび221wの外側へと排出されることになる。また、自動車10の走行中、壁部65wおよび221wの内側に侵入した作動油の一部は、ドライブスプロケット71およびドリブンスプロケット72とチェーン73との噛合部分や、オイルポンプ60のロータ61とフロントポンプカバー65およびリヤポンプカバー66との間に配置されたブッシュの潤滑に供される。
以上説明したように、オイルポンプ60のフロントポンプカバー65とトランスミッションケース22の一部を構成するコンバータハウジング221とにチェーン駆動機構70のチェーン73を取り囲むように壁部65w,221wを形成することにより、チェーンノイズが当該壁部65w,221wの外側に放射されないようにすることができるため、チェーンノイズをより低減させることが可能となる。また、壁部65w,221wにより、両者の内側、すなわち、チェーン駆動機構70周辺への作動油の侵入を抑制することができる。これにより、チェーン駆動機構70周辺での作動油の滞留をより良好に抑制して、ドリブンスプロケット72の回転により当該作動油が撹拌されてしまったり、ドリブンスプロケット72の回転が当該作動油に引き摺られることに起因したトルク損失の発生を抑制することが可能となる。
なお、フロントポンプカバー65の壁部65wとコンバータハウジング221の壁部221wとの何れか一方は省略されてもよい。また、図6に示す他の実施形態に係るフロントポンプカバー65Bおよびコンバータハウジング221Bのように、壁部65wおよび221wから切欠部65sおよび221sを省略してもよい。更に、上記オイルポンプ60は、チェーン駆動機構70により駆動されると共にトランスミッションケース22の下部に配置されるものであるが、オイルポンプ60は、トランスミッションケース22の上部に配置されてもよい。この場合、チェーン駆動機構70のドライブスプロケット71がドリブンスプロケット72よりも下方に位置することになるため、上記壁部65wおよび221wの切欠部65sおよび221sをドライブスプロケット71の近傍に形成すればよい。また、本発明が適用される動力伝達装置20は、ストレーナ80がオイルポンプ60の側方に配置されると共に、油圧制御装置90がオイルポンプ60を介してストレーナ80の反対側に位置するようにトランスミッションケース22の側部に取り付けられるものに限られない。そして、本発明が適用される動力伝達装置20は、トランスミッションケース22の下部に設けられる作動油貯留部22aの代わりに、作動油を貯留するオイルパンを有するものであってもよい。
ここで、上記実施形態等における主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。すなわち、上記実施形態等では、自動車10のエンジンに連結される自動変速機25を収容するトランスミッションケース22内に配置されるオイルポンプ60が「オイルポンプ」に相当し、エンジンからの動力により回転駆動されるドライブスプロケット71と、オイルポンプ60のロータ61に取り付けられるドリブンスプロケット72と、ドライブスプロケット71およびドリブンスプロケット72に巻き掛けられるチェーン73とを含むチェーン駆動機構70が「チェーン駆動機構」に相当し、オイルポンプ60内に配置されるギヤ部を覆うフロントポンプカバー65が「ポンプカバー」に相当する。ただし、上記実施形態における主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載された発明の主要な要素との対応関係は、実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載された発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。すなわち、実施形態はあくまで課題を解決するための手段の欄に記載された発明の具体的な一例に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載された発明の解釈は、その欄の記載に基づいて行なわれるべきものである。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、様々な変更をなし得ることはいうまでもない。
本発明は、オイルポンプの製造産業等において利用可能である。
10 自動車、20 動力伝達装置、22 トランスミッションケース、22a 作動油貯留部、23 流体伝動装置、23c ロックアップクラッチ、23o ワンウェイクラッチ、23p ポンプインペラ、23s ステータ、23t タービンランナ、25 自動変速機、26 入力軸、27 出力軸、28 固定軸部、29 ハブ、30 シングルピニオン式遊星歯車機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、33 ピニオンギヤ、34 キャリヤ、35 ラビニヨ式遊星歯車機構、36a,36b サンギヤ、37 リングギヤ、38a ショートピニオンギヤ、38b ロングピニオンギヤ、39 キャリヤ、40 ギヤ機構、41 カウンタドライブギヤ、42 カウンタシャフト、43 カウンタドリブンギヤ、44 ドライブピニオンギヤ、45 デフリングギヤ、50 差動機構、60 オイルポンプ、61 ロータ、62 外歯ギヤ、63 内歯ギヤ、64 ポンプボディ、64a ギヤ収容室、65,65B フロントポンプカバー、65o 抜き部、65s 切欠部、65w 壁部、66 リヤポンプカバー、66o ロータ支持孔、67 ポンプハウジング、70 チェーン駆動機構、71 ドライブスプロケット、71a ディスク部、71b ボス部、71o 中心孔、72 ドリブンスプロケット、72o 中心孔、73 チェーン、80 ストレーナ、90 油圧制御装置、221,221B コンバータハウジング、221s 切欠部、221w 壁部、651 フランジ部、651o 貫通孔、652 ボス部、652o 貫通孔、B1,B2 ブレーキ、C1,C2,C3 クラッチ、F1 ワンウェイクラッチ。

Claims (6)

  1. 車両の原動機に連結される変速機を収容するケース内に配置されるオイルポンプにおいて、
    前記原動機からの動力により回転駆動されるドライブスプロケットと、前記オイルポンプのロータに取り付けられるドリブンスプロケットと、前記ドライブスプロケットおよび前記ドリブンスプロケットに巻き掛けられるチェーンとを含むチェーン駆動機構を備え、
    前記オイルポンプ内に配置されるギヤ部を覆うポンプカバーは、前記ケースの一部と対向するように形成され、
    前記チェーン駆動機構は、前記ポンプカバーと前記ケースの一部との間に配置され、
    前記ポンプカバーおよび前記ケースの一部の少なくとも何れか一方は、前記チェーンを取り囲むように他方に向けて延出された壁部を有することを特徴とするオイルポンプ。
  2. 前記ドリブンスプロケットは、前記ドライブスプロケットの下方に配置され、
    前記壁部は、前記チェーンが下方に進行する側であって、前記ドライブスプロケットよりも前記ドリブンスプロケットの近傍に形成された切欠部を有することを特徴とする請求項1に記載のオイルポンプ。
  3. 前記切欠部は、前記ケース内に貯留される作動油の前記車両の走行中における油面よりも上方に位置することを特徴とする請求項2に記載のオイルポンプ。
  4. 前記切欠部の前記ドリブンスプロケット側における開始点は、前記ケース内に貯留される作動油の前記車両の停車中における油面よりも下方に位置することを特徴とする請求項2または3に記載のオイルポンプ。
  5. 前記壁部の前記切欠部よりも上方の部分は、該切欠部に近いほど前記チェーンから離間するように形成されることを特徴とする請求項2から4の何れか一項に記載のオイルポンプ。
  6. 前記ドリブンスプロケットは、少なくとも一部が前記ケース内に貯留される作動油の油面よりも下方に位置するように前記ケース内に配置されることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のオイルポンプ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017062012A (ja) * 2015-09-25 2017-03-30 アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 車両用駆動装置
WO2023058350A1 (ja) * 2021-10-08 2023-04-13 ジヤトコ株式会社 動力伝達装置

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