JP2006131882A - 水性分散体、塗膜および積層体 - Google Patents

水性分散体、塗膜および積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐水性、基材への密着性、耐ブロッキング性が良好で、特にポリオレフィン材料に対するヒートシール性を有する水性分散体を提供する。
【解決手段】 不飽和カルボン酸単位(A1)、エチレン系炭化水素(A2)および(メタ)アクリル酸エステル(A3)とから構成され、(A1)〜(A3)成分の質量比が、(A1)/{(A1)+(A2)+(A3)}=0.01/100〜5/100かつ(A2)/(A3)=55/45〜95/5の関係をみたすポリオレフィン樹脂(A)100質量部と、脂肪酸アミド(B)0.1〜50質量部を含有する水性分散体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、コーティング剤や接着剤等の用途に使用される水性分散体に関するものである。
エチレン成分やプロピレン成分の共重合量が高いポリオレフィン樹脂は、様々な材料に対する良好な接着性およびヒートシール性を有し、ヒートシール剤、ディレードタック剤、繊維処理剤、および接着剤用バインダー、プライマー等の幅広い被覆剤用途に用いられている。こうした樹脂は、環境保護、省資源、作業性や作業環境の観点から水性分散体として使用されており、接着性、ヒートシール性に優れた塗膜を形成しうる水性分散体として、特許文献1、2には、不飽和カルボン酸含有量が5質量%未満のポリオレフィン樹脂を不揮発性水性化助剤の添加なしに分散した水性分散体が開示されている
一方、水性分散体をコーティングして表面に接着層を形成した熱可塑性樹脂やアルミニウム等の基材(フィルムやシート)を、別工程にてさらに別基材とヒートシール処理する際には、コーティングされたフィルム等は多くの場合巻き取られてロールとされるが、この際に、接着層とその上に重なったフィルムとがブロッキングを起こすと作業性が著しく低下し、問題となる。
特開2003−119328号公報 特開2003−103734号公報
本発明者らは、上記のような課題に対して、優れたヒートシール性と耐ブロッキング性を兼備する水性分散体を提供しようとするものである。
本発明者らは、鋭意研究の結果、特定組成のポリオレフィン樹脂と脂肪酸アミドとを特定の割合で含有することにより、耐ブロッキング性とヒートシール性の相反する性能を両立できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、第一に、不飽和カルボン酸単位(A1)、エチレン系炭化水素(A2)および(メタ)アクリル酸エステル(A3)とから構成され、(A1)〜(A3)成分の質量比が、(A1)/{(A1)+(A2)+(A3)}=0.01/100〜5/100かつ(A2)/(A3)=55/45〜95/5の関係をみたすポリオレフィン樹脂(A)100質量部と、脂肪酸アミド(B)0.1〜50質量部を含有する水性分散体であり、第二に、前記水性分散体を用いた塗膜および積層体である。
本発明の水性分散体によれば、耐水性、基材への密着性、耐ブロッキング性が良好で、しかもその相反する性能であるヒートシール性に優れた塗膜または接着層が得られる。また、粘着付与剤を添加することで、さらに良好なヒートシール性が得られる。この被膜は薄塗りであっても良好な接着性を示し、特にポリオレフィン材料同士やポリオレフィン材料と異種材料(紙、アルミ等)とのヒートシール剤として好適である。また、本発明の水性分散体は水性媒体を使用するので、環境保護、省資源、消防法等の面からも好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の水性分散体は、特定組成のポリオレフィン樹脂(A)と脂肪酸アミド(B)と、必要に応じて粘着付与剤(C)を特定の割合で水性媒体中に含有するものである。このような組み合わせによって、耐ブロッキング性とヒートシール性の相反する性能を向上できる。
本発明で用いるポリオレフィン樹脂(A)は、不飽和カルボン酸単位(A1)、エチレン系炭化水素(A2)、および(メタ)アクリル酸エステル(A3)とから構成される共重合体であって、(A1)〜(A3)成分の質量比が(A1)/{(A1)+(A2)+(A3)}=0.01/100〜5/100かつ(A2)/(A3)=55/45〜99/1をみたすものである。
不飽和カルボン酸単位(A1)成分は、(A1)/{(A1)+(A2)+(A3)}=0.01/100〜5/100とする必要があり、この比は0.1/100〜5/100とすることが好ましく、0.5/100〜5/100とすることがさらに好ましく、1/100〜4/100とすることが最も好ましい。(A1)成分の含有量が0.01質量%未満の場合は、ポリオレフィン樹脂(A)を水性化(液状化)することが困難になり、良好な水性分散体を得ることが難しい。一方、(A1)成分の含有量が5質量%を超える場合には、水性化は容易になるが、カルボキシル基量が増すために樹脂の極性が高くなり、ポリプロピレン(以下PP)等の非極性の材料との接着性が低下してしまう。
(A1)成分として用いることのできる不飽和カルボン酸単位は、分子内(モノマー単位内)に少なくとも1個のカルボキシル基または酸無水物基を有する化合物であり、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。また不飽和カルボン酸は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
エチレン系炭化水素(A2)成分としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のアルケンが好ましく挙げられる。この中で、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、エチレン、プロピレンがさらに好ましく、エチレンが特に好ましい。エチレン成分を含有することで樹脂の水性化がし易くなり、低温でのヒートシール性が向上する。
エチレン系炭化水素(A2)と(メタ)アクリル酸エステル(A3)成分は、成分(A2)と(A3)成分との質量比(A2)/(A3)が、55/45〜95/5であることが必要であり、PPとの接着性の点から55/45〜92/8であることが好ましく、60/40〜90/10であることがより好ましく、65/35〜87/13であることがさらに好ましく、70/30〜85/15であることが特に好ましい。{(A2)+(A3)}に対する(A3)成分の比率が5質量%未満では、PPとの接着性やヒートシール性が低下するか、あるいはポリオレフィン樹脂の水性化が困難になり良好な水性分散体を得ることが難しくなる。一方、化合物(A3)の含有量が45質量%を超えると(A2)成分によるポリオレフィン樹脂としての性質が失われ、PPとの接着性やヒートシール性等の性能が低下する。
(メタ)アクリル酸エステル(A3)成分とは、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ステアリル等のアクリル酸またはメタクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、この中でも樹脂を重合し易いという点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが特に好ましい。
ポリオレフィン樹脂(A)の具体例としては、エチレン−アクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体、またはエチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸共重合体が最も好ましい。ここで、アクリル酸エステル単位は、後述する樹脂の水性化の際に、エステル結合のごく一部が加水分解してアクリル酸単位に変化することがあるが、そのような場合には、それらの変化を加味した各構成成分の比率が規定の範囲にあればよい。
なお、無水マレイン酸単位等の不飽和カルボン酸無水物単位は、樹脂の乾燥状態では隣接カルボキシル基が脱水環化した酸無水物構造を形成しているが、特に塩基性化合物を含有する水性媒体中では、その一部または全部が開環してカルボン酸あるいはその塩の構造を取りやすくなる。
また、本発明に用いられるポリオレフィン樹脂(A)には、その他のモノマーが、この樹脂全体の20質量%以下で共重合されていてもよい。例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどの炭素数3〜30のアルキルビニルエーテル類、ジエン類、(メタ)アクリロニトリル、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素、二酸化硫黄等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂(A)としては、分子量の目安となる190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.01〜500g/10分のものが好ましく、0.1〜400g/10分がより好ましく、1〜300g/10分がさらに好ましく、5〜200g/10分がさらに好ましい。ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレートが0.01g/10分未満では、樹脂の水性化が困難となるか、あるいは、ヒートシール性が低下する。一方、ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレートが500g/10分を超えると得られる塗膜は硬くてもろくなる傾向にあり、ヒートシール性が低下しやすい。
脂肪酸アミド(B)としては、コハク酸アミド、オクチル酸アミド、ステアリン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、アラギジン酸アミド、ベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸モノアミド類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド等の不飽和脂肪酸モノアミド類、メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスラウリン酸アミド、メチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスカプリル酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサンメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド等のビスアミド類を例示することができる。なかでも、優れたヒートシール性、耐ブロッキング性を発現することから、カプリル酸アミド、ベヘン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドが好ましく、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドが特に好ましい。
脂肪酸アミド(B)の含有量は、ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して0.1〜50質量部とする必要があり、耐ブロッキング性と接着性との点から、0.1〜30質量部が好ましく、0.1〜20質量部がより好ましく、0.1〜10質量部がさらに好ましく、1〜5質量が特に好ましい。脂肪酸アミド(B)の含有量が0.1質量部未満の場合には、耐ブロッキング性の向上の効果が小さく、50質量部を超える場合には、ヒートシール性が低下する傾向がある。
本発明の水性分散体には、ヒートシール性の向上を目的として、さらに粘着付与剤(C)を添加することができる。粘着付与剤(C)を添加する場合、その量は、ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して70質量部以下とすることが好ましく、ヒートシール性の観点から、10〜65質量部がより好ましく、20〜60質量部がさらに好ましく、20〜50質量部が特に好ましい。70質量部を超える場合には、ヒートシール性が低下する傾向がある。
粘着付与剤(C)としては、各種公知のものを使用でき、たとえばロジン類、ロジン誘導体、テルペン系樹脂等があげられ、これらの1種を単独又は2種以上を混合物して使用できる。ロジン類としてはガムロジン、ウッドロジンもしくはトール油ロジンの原料ロジンまたは前記原料ロジンを不均化もしくは水素添加処理した安定化ロジンや重合ロジン等があげられる。また、ロジン誘導体としてはロジンエステル類、ロジンフェノール類があげられる。ロジンエステル類としては前記ロジン類と多価アルコールとをエステル化反応させて得られたロジンエステル、原料ロジンを部分的にフマル化もしくはマレイン化し、次いでエステル化して得られる部分マレイン化もしくは部分フマル化ロジンの多価アルコールエステル、原料ロジンを部分的にフマル化もしくはマレイン化させた後、不均化し、次いでエステル化して得られる部分マレイン化もしくは部分フマル化不均化ロジンの多価アルコールエステル等をいう。また、ロジンフェノール類とはロジン類にフェノール類を付加させ熱重合したもの、または次いでエステル化したものをいう。なお、前記エステル化に用いられる多価アルコールは、特に制限はされず、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール等の各種公知のものを例示できる。また、テルペン系樹脂としてはα−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂や、α−ピネン、β−ピネン等のテルペン類とスチレン等の芳香族モノマーを共重合させた芳香族変性のテルペン系樹脂およびこれらの水素化物等を例示できる。これら粘着付与剤の中でも、ロジンエステル類又はテルペン系樹脂を用いることにより、基材への密着性が向上するため好ましい。
本発明の水性分散体の媒体は、水性媒体である。作業者や作業環境への安全性の観点から、本来そのすべてが水であることが最も好ましいが、ポリオレフィン樹脂(A)の水性化や、乾燥負荷低減などの目的のために、「水系」としての特徴を逸脱しない範囲であれば、水以外に親水性の有機溶剤が含まれていても差し支えない。このような有機溶剤として、例えばメチルエチルケトン、アセトン、ジエチルケトン等のケトン類、プロパノ−ル、ブタノ−ル、メタノール、エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフランやジオキサン等の環状エーテル類、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコール誘導体などがある。また、これらの有機溶剤が水性分散体全量に占める量は40質量%以下が好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。また、水性媒体には、後述のようにポリオレフィン樹脂(A)を水性化する際に添加する塩基性化合物を含む場合もある。
本発明の水性分散体の製造方法としては、ポリオレフィン樹脂(A)と脂肪酸アミド(B)が水性媒体中に均一に混合されて、それらを分散または溶解可能な方法であれば、特に限定されるものではないが、次の2つの例が挙げられる:(ア)それぞれ予め調製された、ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体と脂肪酸アミド(B)の水性分散体とを混合する方法;(イ)ポリオレフィン樹脂(A)と脂肪酸アミド(B)とを同時に水性分散化する方法。このうち、(ア)の手法がより簡単に多様な脂肪酸アミドと粘着付与剤とポリオレフィン樹脂との組み合わせからなる水性分散体を調製できることから好ましい。
まず、水性分散体の製造方法(ア)を説明する。
ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体を調製する場合、その水性分散体中のポリオレフィン樹脂粒子の数平均粒子径は、水性分散体の安定性、塗布した際の表面平滑性、脂肪酸アミド(B)と混合して得られる塗膜の透明性や性能(接着性、ヒートシール性)の点から、0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下がより好ましく、0.2μm以下がさらに好ましく、0.15μm以下が特に好ましい。重量平均粒子径についても0.5μm以下が好ましく、0.3μm以下がより好ましい。後述する調製方法を採ることで、上記のような粒子径とすることができる。
ポリオレフィン樹脂の水性分散体を得るための方法は特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂と水性媒体とを密閉可能な容器中で加熱、攪拌する方法を採用することができる。このとき、水性化に用いられる樹脂の形状は特に限定されないが、水性化速度を高めるという点から、粒子径1cm以下、好ましくは0.8cm以下の粒状ないしは粉末状のものを用いることが好ましい。
容器としては、液体を投入できる槽を備え、槽内に投入された水性媒体と樹脂との混合物を適度に撹拌できるものであればよい。そのような装置としては、公知の固/液撹拌装置や乳化機を使用することができ、0.1MPa以上の加圧が可能な装置が好ましい。撹拌の方法、撹拌の回転速度は特に限定されない。
この装置の槽内に各原料を投入した後、好ましくは40℃以下の温度で攪拌混合しておく。次いで、槽内の温度を50〜200℃、好ましくは60〜200℃の温度に保ちつつ、5〜120分間攪拌を続けることにより樹脂を十分に水性化させ、その後、攪拌下で40℃以下に冷却することにより、水性分散体を得ることができる。槽内の温度が50℃未満の場合は、樹脂の水性化が困難になる。槽内の温度が200℃を超える場合には、ポリオレフィン樹脂の分子量が低下するおそれがある。
ポリオレフィン樹脂(A)を水性化する際には、塩基性化合物を添加することが好ましい。塩基性化合物によりポリオレフィン樹脂の不飽和カルボン酸単位がアニオン化され、電気的反発によって微粒子間の凝集が防がれ水性分散体に安定性が付与される。塩基性化合物の添加量は、ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基(酸無水物基1モルはカルボキシル基2モルとみなす)に対して0.5〜3.0倍当量であることが好ましく、0.8〜2.5倍当量がより好ましく、1.0〜2.0倍当量が特に好ましい。0.5倍当量未満では、塩基性化合物の添加効果が認められず、3.0倍当量を超えると塗膜形成時の乾燥時間が長くなったり、水分散液が着色する場合がある。
ここで添加される塩基性化合物としては、塗膜の耐水性の面からは塗膜形成時に揮発する化合物が好ましく、アンモニアまたは各種の有機アミン化合物が好ましい。有機アミン化合物の沸点は250℃以下であることが好ましい。250℃を超えると樹脂塗膜から乾燥によって有機アミン化合物を飛散させることが困難になり、塗膜の耐水性が悪化する場合がある。有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。
また、ポリオレフィン樹脂(A)の水性化の際には、水性化速度の向上およびポリオレフィン樹脂の小粒径化の点から、有機溶剤を添加することが好ましい。有機溶剤の添加量はポリオレフィン樹脂の水性分散体100質量部に対して1〜40質量部であることが好ましく、2〜30質量部がより好ましく、3〜20質量部が特に好ましい。なお、有機溶剤は、常圧または減圧下で水性分散体を攪拌しながら加熱することで、その一部を系外へ除去(ストリッピング)することができ、最終的には、ポリオレフィン樹脂の水性分散体100質量部に対して1質量部以下とすることもできる。使用される有機溶剤の具体例としては、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられ、より低温での乾燥を行える点から、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールが特に好ましい。
上記の方法を用いれば、乳化剤等の不揮発性水性化助剤を添加することなしに微細で安定なポリオレフィン樹脂(A)水性分散体を得ることができる。このように、不揮発性水性化助剤を含まない場合には特に、塗膜の耐水性、ヒートシール性が優れるため好ましい。
上述したポリオレフィン樹脂(A)は、市販の水性分散体を使用してもよい。市販のポリオレフィン樹脂水性分散体としては、例えば、ユニチカ株式会社製アローベース『Sシリーズ』を挙げることができる。
脂肪酸アミド(B)の水性分散体は、上述したポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体の調製方法と同様の方法で調製できるほか、市販の水性分散体を使用してもよい。市販の脂肪酸アミド水性分散体としては、例えば、中京油脂株式会社製ハイミクロンL−271(ステアリン酸アミド水性分散体)、中京油脂株式会社製ハイミクロンG−110(エチレンビスステアリン酸アミド水性分散体)を挙げることができる。
次に、得られたポリオレフィン樹脂(A)、脂肪酸アミド(B)の各水性分散体を混合する。混合にあたっては、公知の液/液混合装置を適宜使用すればよい。ポリオレフィン樹脂水性分散体と脂肪酸アミドとの分散混合性が良好であるため、極めて短時間かつ簡単な混合操作でよい。また、混合後に、所望固形分濃度となるように、水性媒体を留去したり、水により希釈したりする方法で固形分濃度を調整することもできる。
本発明の水性分散体の製造方法(イ)としては、例えば、ポリオレフィン樹脂と脂肪酸アミド、塩基性化合物、水性媒体を、容器中で加熱、攪拌する前記方法を採用することができ、上記原料を装置に投入、次いで、加温し(例えば45〜200℃)、粗大粒子が無くなるまで(例えば、5〜120分間)攪拌を続けることによりポリオレフィン樹脂および脂肪酸アミドを十分に分散化させ、その後、攪拌下で40℃以下に冷却することにより、水性被覆剤を得ることができる。また、固形分濃度は製造方法(ア)と同様に、水性媒体を留去や水による希釈などの方法で調整することができる。
粘着付与剤(C)成分を用いる場合には、前記(ア)の製法においては、ポリオレフィン樹脂(A)、脂肪酸アミド(B)の各水性分散体の混合時に粘着付与剤(C)の水性分散体を同時に混合する方法が挙げられる。粘着付与剤の水性分散体としては、ナノレットR−1050(ヤスハラケミカル株式会社製)、スーパーエステルE−720(荒川化学工業株式会社製)、レゼムL−816(中京油脂株式会社製)を例示することができる。また、前記(イ)の製造方法においては、各原料を装置に投入して攪拌・分散化する際に、他の原料とともに粘着付与剤(C)を添加すればよい。粘着付与剤の樹脂としては、YSレジンTO、TRシリーズ(ヤスハラケミカル株式会社製)、SW−50(大竹明新化学株式会社製)を例示することができる。
本発明の水性分散体には、目的に応じて、ワックス水性分散体、ポリウレタン水性分散体、ポリエステル水性分散体、イソシアネート、エポキシ樹脂水性分散体、変性ブタジエン水性分散体、ポリ乳酸水性分散体、ポリビニルアルコール、酸化スズ、シリカ
などの添加剤を適宜配合することができる。
本発明の水性分散体は、各種基材に塗布後、液状媒体を除去することで塗膜を形成することができる。その塗膜は耐ブロッキング性に優れており、しかも様々な材料に対する優れた接着性、ヒートシール性を有していることから、各種コーティング剤、プライマー、接着剤、ヒートシール剤、塗料やインキのバインダーなどに用いることができ、特にヒートシール剤、プライマーとして好適である。
使用できる基材としては、紙、合成紙、熱可塑性樹脂フィルム、プラスチック製品、鋼板、アルミ箔等の金属箔、木材、織布、編布、不織布、石膏ボード、木質ボード等への塗工または含浸に使用できる。中でも、アルミ箔、紙、合成紙、熱可塑性樹脂フィルムに用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリグリコール酸やポリ乳酸等のポリヒドロキシカルボン酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル樹脂に代表される生分解性樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、PP、ポリエチレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはそれらの混合物等の熱可塑性樹脂よりなるフィルムやこれらの積層体が挙げられるが、中でも、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、PPからなるフィルムが好適に使用できる。これらの基材フィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよく、その製法も限定されるものではない。また、基材フィルムの厚さも特に限定されるものではないが、通常は1〜500μmの範囲であればよい。さらに、未延伸フィルムに本発明の水性分散体を塗布し、そのコートフィルムを延伸する、いわゆるインラインコートを行ってもよい。
本発明の水性分散体を基材に塗工する方法は特に限定されるものではないが、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等が採用できる。水性分散体の塗布量については、基材によって適宜、決定すればよい。塗膜の厚みは、基材が熱可塑性樹脂フィルムの場合、ヒートシール性を十分高めるためには少なくとも0.1μmより厚くすることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましく、0.2〜8μmがさらに好ましく、0.3〜7μmが特に好ましい。
本発明の水性分散体の乾燥温度は、特に限定されず、基材の耐熱温度等によって適宜、決定すればよいが、通常、50〜240℃であればよく、60〜210℃がより好ましく、70〜200℃がさらに好ましい。乾燥温度が50℃未満の場合、水性媒体を十分、揮発させることができない、あるいは揮発させるのに時間を要するため良好な接着性能を発現させることが困難になる。一方、乾燥温度が240℃を超えると接着性能が低下してしまう傾向がある。
また、本発明の水性分散体から得られる塗膜はヒートシール性に優れているため、基材に設けられた塗膜には、その塗膜上にさらに他の基材を熱接着することができる。こうして塗膜を介して積層化された積層体が得られる。組み合わせることのできる基材としては、既述した熱可塑性樹脂フィルム、紙、合成紙、木材、織布、編布、不織布、アルミ箔等の金属箔などから適宜選んで使用することができ、同一のものでも異なるものでもよい。中でも、少なくとも一方が、PP等のポリオレフィン樹脂材料であることが好ましく、ポリオレフィン樹脂材料同士の積層、ポリオレフィン樹脂材料と紙や合成紙との積層、ポリオレフィン樹脂材料とアルミ箔との積層に用いることがさらに好ましい。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、各種の特性については以下の方法によって測定または評価した。
(1)ポリオレフィン樹脂の構成
オルトジクロロベンゼン(d)中、120℃にてH−NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行い求めた。
(2)ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート
JIS 6730記載の方法(190℃、2160g荷重)で測定した値である。
(3)ポリオレフィン樹脂の融点
DSC(Perkin Elmer社製DSC−7)を用いて昇温速度10℃/分で測定した。
(4)ポリオレフィン樹脂水性分散体の固形分濃度
ポリオレフィン樹脂水性分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、固形分濃度を求めた。
(5)ポリオレフィン樹脂粒子の平均粒子径日機装社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340)を用い、数平均粒子径、重量平均粒子径を求めた。
なお、以下の(6)〜(9)の評価は、コートした基材を室温で1日放置した後、各種評価試験に供した。
(6)耐ブロッキング性評価
アルミニウム箔(三菱アルミニウム社製、厚み15μm)上に水性分散体を乾燥後の塗布量が約5g/mになるようにメイヤーバーでコートし、90℃で120秒間乾燥した。コート面に上記アルミニウム箔を重ね合わせた状態で、0.1MPaの負荷をかけ、30℃、65%RHの雰囲気下で24時間放置後、その耐ブロッキング性を次の3段階で評価した。
○:アルミニウム箔を軽く持ち上げる程度で剥離する。
△:アルミニウム箔を引っ張ることで剥離する。
×:アルミニウム箔が破れる、または塗膜の界面あるいは凝集剥離が認められる。
(7)テープ剥離評価(密着性評価)
水性分散体を延伸ポリプロピレン(PP)フィルム(厚み50μm)、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ユニチカ社製エンブレットPET12、厚み12μm)、2軸延伸ナイロン6(Ny6)フィルム(ユニチカ社製エンブレム、厚み15μm)の未処理面上に乾燥後の塗布量が約2g/mになるようにメイヤーバーでコートし、100℃で2分間乾燥した後、塗膜面に粘着テープ(ニチバン社製TF−12)を貼り付けた後、勢いよくテープを剥離した。塗膜面の状態を目視で観察して、以下のように評価した。
○:全く剥がれがなかった。
△:一部に剥がれが生じた。
×:全て剥がれた。
(8)ヒートシール強度評価
水性分散体を含むコート液を延伸ポリプロピレン(PP)フィルム(厚み50μm)のコロナ処理面、及びアルミニウム箔(三菱アルミニウム社製、厚み15μm)上に乾燥後の塗布量が約4g/mになるようにメイヤーバーでコートし、90℃で120秒間乾燥した。PPフィルムにコートしたものは、コート面同士を、アルミニウム箔にコートしたものは、コート面とPPフィルムのコロナ面が接するようにして、ヒートプレス機(シール圧3kg/cmで5秒間)にて120℃でプレスした。このサンプルを15mm幅で切り出し、1日後、引張り試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)を用い、引張り速度200mm/分、引張り角度180度で塗膜の剥離強度を測定することでヒートシール強度を評価した。
(9)耐水性評価
前記「(8)ヒートシール強度評価」の手順と同様にしてアルミニウム箔基材上に塗膜を設けた。この塗膜を水で濡らした布で10回擦り、塗膜の状態を目視で評価した。
○:変化なし
△:塗膜がくもる
×:塗膜が完全に溶解
以下の例において使用したポリオレフィン樹脂の組成を表1に示す。
(ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1Lガラス容器を備えた撹拌機を用いて、125.0gのポリオレフィン樹脂〔ボンダインHX−8290(ア)、アトフィナジャパン社製〕、75.0gのイソプロパノール(以下、IPA)、7.0gのトリエチルアミン(以下、TEA)および293gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を130℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を得た。この水性分散体の各種特性を表2に示した。
(ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2の製造)
ポリオレフィン樹脂としてプリマコール5980I(イ)(ダウ・ケミカル社製)を用いた。ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのプリマコール5980I、16.8gのTEA、および223.2gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を130℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白色の水性分散体E−2を得た。この水性分散体の各種特性を表2に示した。
実施例1
ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1とステアリン酸アミド水性分散体(中京油脂製、ハイミクロンL−271、固形分濃度25質量%)(以下L-271)とをポリオレフィン樹脂100質量部に対してステアリン酸アミドが1質量部になるように混合・攪拌し、水性分散体T−1を調製した。
実施例2
表3に示すように、ステアリン酸アミドの添加量が5質量となるようにL−271の量を変更した以外は実施例1と同様の操作で水性分散体T−2を調製した。
実施例3〜4
表3に示すようにL−271の添加量を変更してステアリン酸アミドの添加量が20質量部(実施例3)、40質量部(実施例4)になるようにした以外は、実施例1と同様の操作で水性分散体T−3およびT−4を調製した。
実施例5
ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1とエチレンビスステアリン酸アミド水性分散体(中京油脂製、ハイミクロンG−110、固形分濃度27.5質量%)(以下G−110)とを、ポリオレフィン樹脂100質量部に対してエチレンビスステアリン酸アミドが1質量部になるように混合・攪拌し、水性分散体T−5を調製した。
実施例6
表3に示すように、エチレンビスステアリン酸アミドの添加量が5質量部となるようにG−110の添加量を変更した以外は実施例5と同様の操作で水性分散体T−6を調製した。
実施例7、8
表3に示すように、G−110の添加量をエチレンビスステアリン酸アミドの添加量が20質量部(実施例7)、40質量部(実施例8)となるように変更した以外は実施例5と同様の操作で水性分散体T−7およびT−8を調製した。
実施例1〜8で調製した水性分散体の塗膜性能評価結果を表3に示す。
実施例9
ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1、L-271および芳香族変性テルペン系粘着付与剤(ヤスハラケミカル製、ナノレットR−1050、固形分濃度50質量%)(以下R−1050)をポリオレフィン樹脂100質量部に対してステアリン酸アミドが5質量部、芳香族変性テルペン系粘着付与剤が10質量部となるように混合・攪拌し、水性分散体T−9を調製した。
実施例10、11
表4に示すように、芳香族変性テルペン系粘着付与剤の添加量が30質量、60質量部となるようにR−1050の量を変更した以外は実施例9と同様の操作で水性分散体T−10、11を調製した。
実施例12
ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1とG−110とR−1050とをポリオレフィン樹脂100質量部に対してステアリン酸アミドが5質量部、芳香族変性テルペン系粘着付与剤が10質量部になるように混合・攪拌し、水性分散体T−11を調製した。
実施例13、14
表4に示すように、芳香族変性テルペン系粘着付与剤の添加量が30質量、60質量部となるようにR−1050の量を変更した以外は実施例11と同様の操作で水性分散体T−13、14を調製した。
実施例9〜14で調製した水性分散体の塗膜性能評価結果を表4に示す。
比較例1
脂肪酸アミド(B)を添加せずにポリオレフィン樹脂水性分散体E−1単独で使用した。
比較例2
ステアリン酸アミドの添加量がポリオレフィン樹脂100質量部に対して60質量部となるようにL−271の添加量を変更した以外は実施例1と同様の操作で水性分散体H−2を調製した。
比較例3
エチレンビスステアリン酸アミドの添加量をポリオレフィン樹脂100質量部に対して60質量部となるようにG−110の添加量を変更した以外は実施例5と同様の操作で水性分散体H−3を調製した。
比較例4
ステアリン酸アミド水性分散体をステアリン酸水性分散体(中京油脂製、セロゾール920、固形分濃度18質量%)(以下920)に変更した以外は実施例1と同様の操作で水性分散体H−4を調製した。
比較例5
ステアリン酸アミド水性分散体をステアリン酸亜鉛水性分散体(中京油脂、ハイミクロンF−930、固形分濃度40質量%)(以下930)に変えた以外は実施例1と同様の操作で水性分散体H−5を調製した。
比較例6
ポリオレフィン樹脂水性分散体としてプリマコール5980Iの水性分散体E−2用いた以外は実施例1と同様の操作で水性分散体H−6を調製した。
比較例7
ポリオレフィン樹脂水性分散体としてプリマコール5980Iの水性分散体E−2用いた以外は実施例5と同様の操作で水性分散体H−8を調製した。
比較例1〜7で調製した水性分散体の塗膜性能評価結果を表4に示す。
実施例1〜8では、基材フィルムの種類に関わらず、耐水性、耐ブロッキング性、密着性、ヒートシール強度に優れていた。脂肪酸アミドの添加量が少量でも耐ブロッキング性が向上する傾向が認められ(実施例1、2、5、6)、脂肪酸アミドの添加量が多いとヒートシール強度が低下する傾向が認められた(実施例3,4、7、8)が実用上問題のないレベルであった。また、脂肪酸アミドであれば、その種類を変えても良好な性能が認められた(実施例1、5)。粘着付与剤を添加することにより、ヒートシール強度が向上する傾向が認められた(実施例9〜14)
これに対し、比較例1は脂肪酸アミドを配合していないため耐ブロッキング性に問題があった。また、比較例2、3は、脂肪酸アミドの添加量が本発明の範囲外であるため、耐ブロッキング性は良好であったもののヒートシール強度が著しく低かった。比較例4、5では、脂肪酸アミドとは異なる物質を配合したところ、ヒートシール強度は良好だったものの、耐ブロッキング性が発現しなかった。比較例6、7ではポリオレフィン樹脂として本発明の範囲外である樹脂を用いたため、密着性、ヒートシール強度はほとんど発現しなかった。

Claims (9)

  1. 不飽和カルボン酸単位(A1)、エチレン系炭化水素(A2)および(メタ)アクリル酸エステル(A3)とから構成され、(A1)〜(A3)成分の質量比が、(A1)/{(A1)+(A2)+(A3)}=0.01/100〜5/100かつ(A2)/(A3)=55/45〜95/5の関係をみたすポリオレフィン樹脂(A)100質量部と、脂肪酸アミド(B)0.1〜50質量部を含有する水性分散体。
  2. エチレン系炭化水素(A2)が、炭素数2〜6のアルケンである請求項1記載の水性分散体。
  3. 脂肪酸アミド(B)がステアリン酸アミドまたはエチレンビスステアリン酸アミドである請求項1記載の水性分散体。
  4. ポリオレフィン樹脂(A)100質量部あたり70質量部以下の粘着付与剤(C)を含有する請求項1記載の水性分散体。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の水性分散体を含有する被覆剤。
  6. 請求項5記載の被覆剤から得られる塗膜。
  7. 請求項6記載の塗膜を基材上に設けた積層体。
  8. 請求項6記載の塗膜を介して積層化された積層体。
  9. 積層体を構成する基材のいずれか一方がポリオレフィン樹脂材料である請求項8記載の積層体。
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