JP2008266446A - 水性コート剤および積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 金属蒸着フィルムの蒸着面に熱可塑性樹脂基材をヒートシール法によって積層化する場合に、従来の接着剤に比べて高い接着強度が得られ、防錆性や各種耐性を得ることができる水性コート剤を提供する。
【解決手段】 酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、粘着付与剤(B)、シリカ(C)および水性媒体を含有する水性コート剤であって、(A)100質量部に対して、(B)が5〜50質量部、かつ(C)が5〜50質量部であることを特徴とする水性コート剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は、金属蒸着面の塗工や接着に適した水性コート剤に関する。
亜鉛めっき鋼板や溶融亜鉛めっき鋼板などの金属めっき鋼板は、自動車、家電、構造物などに広く用いられている。これらの鋼板は、六価クロムをめっきして、意匠性や防錆性を高める方法がとられている。しかしながら、欧州を中心に六価クロムの使用を廃止する動きが強まっているため、その代替として、アルミニウムや銀などを熱可塑性樹脂基材に蒸着して、めっき調の表面処理を施す検討が行なわれている。
金属蒸着を施した熱可塑性樹脂基材や鋼板は、屋外環境などで使用すると蒸着金属が酸化されて蒸着金属が抜けるという問題があるため、蒸着面を保護するためのコート剤が検討されている。
また、金属蒸着を施した熱可塑性樹脂基材の金属蒸着面の上に接着層を介して他の熱可塑性樹脂基材を貼り合わせて使用することも行われているが、この場合には、前記した蒸着金属の抜けの問題の他に、金属蒸着面と接着層の接着性が低下するという問題もある。
金属蒸着フィルムと熱可塑性樹脂基材との貼り合わせに使用されている接着剤として、ポリウレタン樹脂接着剤や溶剤系アクリル樹脂接着剤、溶剤系ポリエステル樹脂接着剤等が用いられており、例えば、特許文献1には、ポリオール成分とイソシアネート成分が含有するポリウレタン接着剤が開示されている。
特開2006−057089号公報
特許文献1に記載されているポリウレタン接着剤を用いて、一般に行われるようなヒートシール法で熱可塑性樹脂基材と金属蒸着フィルムを接着しようとしても、十分なヒートシール強度が得られないという問題があり、また、得られた積層体には依然として蒸着金属が抜けやすいという問題があった。
すなわち、金属蒸着フィルムの蒸着面に熱可塑性樹脂基材をヒートシール法によって積層化する場合に、十分な接着強度や防錆性を得ることができる水性コート剤はなかった。
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意検討した結果、酸変性ポリオレフィン樹脂と粘着付与剤とシリカとを特定の割合で含有する水性コート剤は、ヒートシール強度の向上と蒸着金属の抜け抑制に効果があることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、粘着付与剤(B)、シリカ(C)および水性媒体を含有する水性コート剤であって、(A)100質量部に対して、(B)が5〜50質量部、かつ(C)が5〜50質量部であることを特徴とする水性コート剤。
(2)さらにブロッキング防止剤または架橋剤を含有することを特徴とする(1)記載の水性コート剤。
(3)金属蒸着熱可塑性樹脂基材(a)の金属蒸着面に、(1)または(2)記載の水性コート剤から水性媒体を除去してなる樹脂組成物の層を設けてなる積層体。
(4)(3)記載の積層体の層(b)の上面に、この層を接着層としてさらに熱可塑性樹脂基材(c)を積層してなる積層体。
(5)金属蒸着熱可塑性樹脂基材(a)における熱可塑性樹脂基材がポリエチレンテレフタレートまたはポリプロピレンである(3)または(4)に記載の積層体。
(6)金属蒸着熱可塑性樹脂基材(a)における蒸着金属が銀またはアルミニウムである(3)〜(5)いずれかに記載の積層体。
(7)熱可塑性樹脂基材(c)がアクリルニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂基材である(4)〜(6)のいずれかに記載の積層体。
(8)(4)〜(7)のいずれかに記載の積層体を用いためっき調鏡面シート。
本発明の水性コート剤によれば、得られる塗膜は防錆性、耐薬品性、耐アルカリ性に優れるため金属蒸着フィルムの蒸着面を効果的に保護することができ、また塗膜は耐ブロッキング性に優れるため塗布した基材フィルム等を巻き取ることができる。さらに塗膜は透明性が高いため、蒸着面の金属光沢による意匠性を損なうことがない。
本発明の水性コート剤を金属蒸着フィルムの蒸着面に熱可塑性樹脂基材をヒートシール接着する場合の接着層として用いれば、良好な接着性や防錆性を示す。特に、金属蒸着フィルムとしてポリエチレンテレフタレート基材やポリプロピレン基材を用い、これをABS樹脂と積層化する場合には、特に高い接着強度を得ることができる。さらに、蒸着面に貼り合わせる熱可塑性樹脂基材として透明性の高い基材を用いた場合には、金属光沢による意匠性を有する積層体となり、いわゆる、めっき調鏡面シートとして好適に使用できる。接着層が各種の耐性を有しているため、様々な屋内外の環境下で使用することができる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の水性コート剤における酸変性ポリオレフィン樹脂(A)とは、不飽和カルボン酸成分で酸変性されたポリオレフィン樹脂である。酸変性ポリオレフィン樹脂を用いることで、種々の熱可塑性樹脂との密着性、ヒートシール性を向上させることができる。なかでも、ポリオレフィン樹脂基材への密着性、ヒートシール性が特に良好になる。本発明の水性コート剤に酸変性ポリオレフィン樹脂を含まないと、このような特性を得ることができなくなる。
ポリオレフィン樹脂(A)は、酸変性されたものであることが必要である。その理由は、酸変性することで水性媒体中に安定に分散することができるためである。酸変性されていないポリオレフィン樹脂では、水性媒体に樹脂が十分に分散せず、水性コート剤が得られないことがある。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)における不飽和カルボン酸の量は、塗膜と基材との接着性の点から0.1〜25質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%がより好ましく、1〜8質量%がさらに好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。不飽和カルボン酸成分は、不飽和カルボン酸や、その無水物により導入され、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。また、不飽和カルボン酸成分は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)のオレフィン成分としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のアルケンや、ノルボルネンのようなシクロアルケンが例示され、これらの混合物を用いることもできる。中でも、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のアルケンが好ましく、この中で、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、特にエチレンが好ましい。オレフィン成分の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。オレフィン成分の含有量が50質量%未満では、基材密着性等のポリオレフィン樹脂由来の特性が失われてしまう。
ポリオレフィン樹脂中には、ポリプロピレン等のポリオレフィン基材との接着性を向上させる理由から、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有していることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量は、0.5〜40質量%であることが好ましく、1〜35質量%であることがより好ましく、3〜30質量%であることがさらに好ましく、5〜25質量%であることが特に好ましく、10〜25質量%であることが最も好ましい。この成分の比率が1質量%未満では、基材フィルムとの接着性が低下するおそれがあり、また、40質量%を超えてもオレフィン由来の樹脂の性質が失われ、基材との密着性が低下するおそれがある。(メタ)アクリル酸エステル成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。そのような化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。この中で、基材フィルムとの接着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルがより好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがより好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。(なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。)
また、他の成分をポリオレフィン樹脂全体の10質量%以下程度、含有していてもよい。他の成分としては、ジエン類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類ならびにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、一酸化炭素、二酸化硫黄などが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)としては、たとえば、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−無水マレイン酸共重合体、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン、酸変性エチレン−プロピレン樹脂、酸変性エチレン−ブテン樹脂、酸変性プロピレン−ブテン樹脂、酸変性エチレン−プロピレン−ブテン樹脂、あるいはこれらの酸変性樹脂にさらにアクリル酸エステル等でアクリル変性したもの等が挙げられる。さらに、ポリオレフィン樹脂は5〜40質量%の範囲で塩素化されていてもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、分子量の目安となる190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが、通常0.01〜5000g/10分、好ましくは0.1〜1000g/10分、より好ましくは1〜500g/10分、さらに好ましくは2〜300g/10分、特に好ましくは2〜200g/10分のものを用いることができる。ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレートが0.01g/10分未満では、基材との密着性が低下する。一方、ポリオレフィン樹脂のメルトフローレートが5000g/10分を超えると、塗膜は硬くてもろくなり、接着性や熱可塑性樹脂基材との密着性が低下してしまう。
次に、粘着付与剤(B)について説明する。
本発明の水性コート剤には、粘着付与剤(B)を配合する必要があり、配合することで、熱可塑性樹脂基材、特にABS樹脂基材と金属蒸着熱可塑性樹脂基材との密着性、ヒートシール性を向上させることができる。粘着付与剤を配合しないと、このような特性を得ることができなくなる。
粘着付与剤(B)とは、天然樹脂や石油樹脂などの粘着性を有する成分のことであり、具体的には、ロジン類、ロジン誘導体、テルペン系樹脂、ブタジエン樹脂等があげられ、これらの1種を単独又は2種以上を混合物して使用できる。ロジン類としてはガムロジン、ウッドロジンもしくはトール油ロジンの原料ロジンまたは前記原料ロジンを不均化もしくは水素添加処理した安定化ロジンや重合ロジン等があげられる。また、ロジン誘導体としてはロジンエステル類、ロジンフェノール類があげられる。ロジンエステル類としては前記ロジン類と多価アルコールとをエステル化反応させて得られたロジンエステル、原料ロジンを部分的にフマル化もしくはマレイン化し、次いでエステル化して得られる部分マレイン化もしくは部分フマル化ロジンの多価アルコールエステル、原料ロジンを部分的にフマル化もしくはマレイン化させた後、不均化し、次いでエステル化して得られる部分マレイン化もしくは部分フマル化不均化ロジンの多価アルコールエステル等をいう。また、ロジンフェノール類とはロジン類にフェノール類を付加させ熱重合したもの、または次いでエステル化したものをいう。なお、前記エステル化に用いられる多価アルコールは、特に制限はされず、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール等の各種公知のものを例示できる。また、テルペン系樹脂としてはα−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂や、α−ピネン、β−ピネン等のテルペン類とスチレン等の芳香族モノマーを共重合させた芳香族変性のテルペン系樹脂およびこれらの水素化物等を例示できる。ブタジエン樹脂としては、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエンまたはこれらの共重合体などが例示できる。これら粘着付与剤の中でも、基材への良好な接着性、密着性を発現させることから、ロジンエステル類またはテルペン系樹脂を用いることが好ましい。
粘着付与剤(B)の量は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して5〜50質量部とする必要があり、ヒートシール性の観点から、10〜65質量部がより好ましく、20〜60質量部がさらに好ましく、20〜50質量部が特に好ましい。5質量部未満の場合には、熱可塑性樹脂基材との接着性の向上に乏しく、50質量部を超える場合には、熱可塑性樹脂基材との接着性が低下する傾向がある。
次にシリカ(C)について説明する。
本発明の水性コート剤には、シリカ(C)を配合する必要があり、この成分を配合することで金属蒸着面の防錆性を向上させることができる。シリカを配合しないと、このような特性を得ることができなくなる。
本発明に用いるシリカ(C)としては、水または有機溶剤に分散したシリカである、シリカゾルを用いることが好ましい。シリカゾルにおけるシリカの粒子径が10〜1000nmのものを使用することが好ましく、10〜100nmのものがより好ましく、10〜50nmのものがさらに好ましい。シリカゾルとしては、コロイダルシリカ、アルコキシシランオリゴマー等が例示されるが、防錆性を向上させる点からコロイダルシリカを用いることが好ましい。
シリカ(C)の量は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して5〜50質量部とする必要があり、防錆性とヒートシール性の観点から、10〜65質量部がより好ましく、20〜60質量部がさらに好ましく、20〜50質量部が特に好ましい。5質量部未満の場合には、防錆性の向上に乏しく、50質量部を超える場合には、熱可塑性樹脂基材との接着性が低下する傾向がある。
本発明の水性コート剤における水性媒体としては、作業者や作業環境への安全性の観点から、すべてが水であることが最も好ましいが、(A)〜(C)各成分の水性化や、コート剤の乾燥負荷低減などの目的のために、「水系」としての特徴を逸脱しない範囲であれば、水以外に親水性の有機溶剤が含まれていても差し支えない。このような有機溶剤として、例えばメチルエチルケトン、アセトン、ジエチルケトン等のケトン類、プロパノ−ル、ブタノ−ル、メタノール、エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフランやジオキサン等の環状エーテル類、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコール誘導体などがある。これらの有機溶剤が水性コート剤全量に占める量は40質量%以下が好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。また、水性媒体には、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を水性化する際に添加する塩基性化合物を含む場合もある。
本発明の水性コート剤の製造方法を説明する。
本発明の水性コート剤の製造方法としては、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と粘着付与剤(B)とシリカ(C)が水性媒体中に均一に混合されて、それらを分散または溶解可能な方法であれば、特に限定されるものではない。たとえば、予め調製された酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、粘着付与剤(B)およびシリカ(C)の各水性分散体を混合したり、その後必要に応じて水または親水性溶媒などを添加する方法が挙げられる。また、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)に、粘着付与剤(B)やシリカ(C)を混合しておき、次いでこれを水や溶媒と共に撹拌・加熱を行って水性分散体を得る方法が挙げられる。特に前者の方法が好ましい。こうして得られた水性コート剤に対して、所望固形分濃度となるように、水性媒体を留去したり、水や有機溶媒により希釈したりする方法で固形分濃度を調整してもよい。
(A)〜(C)の各成分の水性分散体は、それぞれ公知の方法で適宜水性化して得られるほか、市販品を用いてもよい。市販のポリオレフィン樹脂の水性分散体としては、日本製紙ケミカル社製のスーパークロンシリーズ(E−723、E−503など)、住友精化社製のザイクセンシリーズ(ザイクセンA、ザイクセンL)、三井化学社製のケミパールシリーズ(SA−100、S−75Nなど)、ユニチカ社製のアローベースシリーズ(SB−1200、SE−1200など)等が挙げられる。市販の粘着付与剤(B)の水性分散体として、ヤスハラケミカル社製のナノレットシリーズ(R−1050、G−1250など)、荒川化学工業社製のスーパーエステルシリーズ(E−720、E−730−55など)ハリマ化成社製のハリマックシリーズ(AS−5、T−80など)など等が挙げられる。市販のシリカゾルとしては、スノーテックス〔商品名:日産化学工業(株)製〕、セラゾール(商品名:コルコート社製)、ルドックス(商品名:デュポン社製)およびミトン(商品名:モンサントケミカル社製)等が挙げられる。
本発明の水性コート剤における樹脂含有率は、塗膜条件、目的の厚さ、性能等により適宜選択でき、特に限定されるものではない。しかし、適度な粘性を保ち、かつ良好な塗膜形成能を発現させる点で、1〜60質量%であることが好ましく、3〜55質量%であることがより好ましく、5〜50質量%であることがさらに好ましく、5〜45質量%であることが特に好ましい。
なお、本発明の水性コート剤には、乳化剤等の不揮発性の水性化助剤を使用してもよいが、接着性、密着性の観点から、水性コート剤の5質量%以下とすることが好ましく、使用しないことが最も好ましい。なお、不揮発性の水性化助剤としては、例えば、乳化剤、保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子が挙げられる。
乳化剤としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、あるいは両性乳化剤が挙げられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、界面活性剤類も含まれる。例えば、アニオン性乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられ、ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタン誘導体等が挙げられ、両性乳化剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン−プロピレンワックスなどの数平均分子量が通常は5000以下の酸変性ポリオレフィンワックス類およびその塩、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体およびその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の不飽和カルボン酸含有量が10質量%以上のカルボキシル基含有ポリマーおよびその塩、ポリイタコン酸およびその塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン等、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物が挙げられる。
本発明の水性コート剤には、巻取り時または巻き出し時の貼り付きを防止する為にブロッキング防止剤を添加することが好ましい。ブロッキング防止剤としては、例えば、ステアリン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、アラギジン酸アミド、ベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸モノアミド類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド等の不飽和脂肪酸モノアミド類、N−ラウリルラウリン酸アミド、N−パルミチルパルミチン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリル12ヒドロキシステアリン酸アミド、N−オレイル12ヒドロキシステアリン酸アミド等の置換アミド類等やメチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスラウリン酸アミド、メチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスカプリル酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサンメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルアジピン酸アミド、N−ジステアリルセバシン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド等のビスアマイド類、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド等のメチロールアミド類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ライスワックス、カルナバワックス等のワックス類などが挙げられる。ブロッキング防止剤の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して0.1〜50質量部とすることが好適であり、耐ブロッキング性と接着性との点から、0.1〜30質量部が好ましく、0.1〜20質量部がより好ましく、0.1〜10質量部がさらに好ましく、1〜5質量が特に好ましい。ブロッキング防止剤の含有量が0.1質量部未満の場合には、耐ブロッキング性の向上の効果が小さく、50質量部を超える場合には、ヒートシール性が低下する傾向がある。
本発明の水性コート剤には、耐温水性や塗膜強度の向上のために架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、自己架橋性を有する架橋剤、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、多価の配位座を有する金属錯体等を用いることができ、このうちイソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、アジリジン化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が好ましい。また、これらの架橋剤を組み合わせて使用してもよい。架橋剤の中でも、塗膜強度向上の点から、イソシアネート化合物、エポキシ化合物が好ましく、イソシアネート化合物が特に好ましい。イソシアネート化合物としては、多官能イソシアネート化合物が好ましく、水性(水溶性もしくは水分散性)のものがさらに好ましい。架橋剤の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して0.1〜50質量部とすることが好適であり、膜の強度と接着性との点から、0.1〜40質量部が好ましく、0.1〜30質量部がより好ましく、0.1〜20質量部がさらに好ましく、1〜10質量が特に好ましい。ブロッキング防止剤と架橋剤は併用することもできる。
さらに、本発明の水性コート剤には、必要に応じて、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤等の各種薬剤を添加することも可能である。また、水性コート剤の保存安定性を損なわない範囲で上記以外の有機もしくは無機の化合物を添加することも可能である。
本発明の水性コート剤には、基材に応じてさらに他の重合体の水性分散体を添加することができる。他の重合体の水性分散体としては、特に限定されない。例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等の水性分散体を挙げることができる。これらは、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の水性コート剤を基材に塗工する方法は特に限定されるものではないが、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等が採用できる。水性コート剤の塗布量については、基材によって適宜、決定すればよい。塗膜の厚みは、基材が熱可塑性樹脂フィルムの場合、ヒートシール性を十分高めるためには少なくとも0.1μmより厚くすることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましく、0.2〜8μmがさらに好ましく、0.3〜7μmが特に好ましい。
本発明の水性コート剤は、金属蒸着熱可塑性樹脂基材(a)の金属蒸着面上に別の熱可塑性樹脂基材(c)を貼り合わせる際の接着層(b)として使用すれば、各種耐性と高いヒートシール強度が得られる。このようにして得られる本発明の積層体は、バリアフィルムや、いわゆる「めっき調鏡面シート」として使用することができる。めっき調鏡面シートは、その金属調の意匠性により、様々な用途に好適に使用できる。たとえば、エンブレム、フロントグリル、ドアノブ、スイッチ、ボタン類のような自動車用内外装部品;看板、展示材、パーティションのような建材;コンピュータ、楽器、家電、ゲーム機などの本体やカバーなどが挙げられる。本発明の積層体には、上記のような種々の用途に応じて、適当な金型を用いて成形することで後加工を施すこともできる。
金属蒸着熱可塑性樹脂基材(a)の基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート基材、ポリブチレンテレフタレート基材、ポリエチレンナフタレート基材、ポリアリレート基材、ポリカーボネート基材等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ABS等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等を任意に用いることができるが、成形性と透明性の点からポリエチレンテレフタレート基材またはポリプロピレン基材を使用することが好適である。金属蒸着熱可塑性樹脂基材の厚さは特に限定されるものではないが、通常0.5〜1000μm、好ましくは1〜500μm、より好ましくは1〜100μm、特に好ましくは1〜50μmである。
金属蒸着の金属種類としては特に限定されないが、金、銀、銅、鉄、真鍮、アルミニウム、アルミナ、クロム、ニッケル、錫、ステンレスを例示することができ、2種類以上を重ねて蒸着してもよい。成形性、価格面の点から銀またはアルミニウムを使用することが好ましい。また、アルミニウム蒸着の上にさらに銀を蒸着することによって、アルミニウムの抜けをより効果的に抑制することもできる。金属蒸着の厚さは特に限定されるものではないが、通常0.02〜0.1μm、好ましくは0.02〜0.09μm、より好ましくは0.03〜0.08μm、特に好ましくは0.03〜0.07μmである。蒸着方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
熱可塑性樹脂基材(c)の基材としては、従来より化粧シート用の基材シートの素材として使用されている公知の任意の熱可塑性樹脂を使用することができる。具体的には、例えばポリエチレン基材、ポリプレピレン基材、ポリブテン基材、ポリメチルペンテン基材等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体基材又はその鹸化物、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体基材等のポリオレフィン系共重合体、ポリエチレンテレフタレート基材、ポリブチレンテレフタレート基材、ポリエチレンナフタレート基材、ポリアリレート基材、ポリカーボネート基材等のポリエステル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル基材等のアクリル系樹脂、6−ナイロン基材、6、6−ナイロン基材、6、10−ナイロン基材等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン樹脂基材、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂基材、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂基材等のスチレン系樹脂、セルロースアセテート基材、ニトロセルロース基材等の繊維素誘導体、ポリ塩化ビニル基材、ポリ塩化ビニリデン基材等の塩素系樹脂、ポリフッ化ビニル基材、ポリフッ化ビニリデン基材、ポリテトラフロロエチレン基材、エチレン−テトラフロロエチレン共重合体基材等のフッ素系樹脂等、又はこれらから選ばれる2種又は3種以上の共重合体や混合物、複合体、積層体等を使用することができるが、成形性の点からABS基材またはポリプロピレン基材を使用すること好適である。熱可塑性樹脂基材の厚さは特に限定されるものではないが、通常0.05〜10mm、好ましくは0.5〜7mm、より好ましくは1〜5mm、特に好ましくは1〜3mmである。
本発明の水性コート剤の乾燥温度は、特に限定されず、基材の耐熱温度等によって適宜、決定すればよいが、通常、50〜150℃であればよく、60〜100℃がより好ましく、70〜90℃がさらに好ましい。乾燥温度が50℃未満の場合、水性媒体を十分、揮発させることができない、あるいは揮発させるのに時間を要するため良好な接着性能を発現させることが困難になる。一方、乾燥温度が150℃を超えると接着性能が低下してしまう傾向がある。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、各種の特性については以下の方法によって測定または評価した。
1. 水性分散体の特性
(1)水性分散体の固形分濃度
水性分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、固形分濃度を求めた。
2. 被膜の特性
以下の評価においては、基材として、ABS基材シート(筒中プラスチック工業製、タフエース、厚み2mm)、アルミ蒸着PETフィルム(尾池工業社製、エコモールド、厚み12μm)、アルミ蒸着未延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(東セロ社製、メタラインフィルム、厚み25μm)を用いた。
(1)テープ剥離試験(密着性)
アルミ蒸着PETフィルムのアルミ蒸着面に水性コート剤を乾燥後の膜厚が1μmになるようにマイヤーバーを用いて塗布した後、100℃で2分間、乾燥させた。得られた積層フィルムは室温で1日放置後、評価した。接着剤面にセロハンテープ(ニチバン社製TF−12)を貼り付け、テープを一気に剥がした場合の剥がれの程度を次の基準で目視評価した。
○:全く剥がれなし
△:一部、剥がれた
×:全て剥がれた
(2)耐ブロッキング性評価
アルミ蒸着PETフィルムのアルミ蒸着面に本発明の水性コート剤を乾燥後の膜厚が5μmになるようにメイヤーバーでコートし、70℃で5分間乾燥した。こうして得たコートフィルムを2枚用意し、コート面同士を重ね合わせた状態で、0.1MPaの負荷をかけ、30℃、65%RHの雰囲気下で24時間放置後、その耐ブロッキング性を次の3段階で評価した。
○:軽く持ち上げる程度で剥離する。
△:引っ張ることで剥離する。
×:塗膜の界面あるいは凝集剥離が認められる。
(3)塗膜の透明性
水性コート剤を、アルミ蒸着PETフィルムの金属蒸着面に、乾燥後の膜厚が5μmになるように塗布し、70℃で5分間、乾燥させ、コートフィルムを作製した。このコートフィルムのコート面の状態を目視観察した。
○:コート層は透明であり、コート層を通して蒸着面が鏡面状に見える。
×:コート層は白濁しており、コート層を通して蒸着面が曇って見える。
(4)接着性
水性コート剤を、アルミ蒸着PETフィルム、アルミ蒸着CPPフィルムのそれぞれの金属蒸着面に乾燥後の膜厚が5μmになるように塗布し、70℃で5分間、乾燥させた。得られた積層フィルムのコート層とABS基材とを貼り合わせ、ヒートプレス機(シール圧0.2MPaで5秒間)にて100℃でプレスした。このサンプルを15mm幅で切り出し、1日後、引張試験機(インテスコ株式会社製インテスコ精密万能材料試験機2020型)を用い、引張速度200mm/分、引張角度180度で被膜の剥離強度を測定した。
(5)防錆性(コート)
水性コート剤を、アルミ蒸着PETフィルムの金属蒸着面に、乾燥後の膜厚が5μmになるように塗布し、70℃で5分間、乾燥させ、コート剤積層フィルムを作製した。その積層フィルムを3%NaClに30℃で96時間浸漬し、積層体端部の蒸着金属の状態を目視にて評価した。
○:変化なし
△:一部の蒸着金属が抜け落ちて透明になっている
×:全体に蒸着金属が抜け落ちて透明になっている
(6)防錆性(積層)
水性コート剤を、アルミ蒸着PETフィルムの金属蒸着面に、乾燥後の膜厚が5μmになるように塗布し、70℃で5分間、乾燥させた。得られた積層フィルムのコート層とABS基材とを貼り合わせ、ヒートプレス機(シール圧0.2MPaで5秒間)にて100℃でプレスし、積層体を作製した。その積層体を3%NaClに30℃で96時間浸漬し、積層体端部の蒸着金属の状態を目視にて評価した。
○:変化なし
△:一部の蒸着金属が抜け落ちて透明になっている
×:全体に蒸着金属が抜け落ちて透明になっている
(7)耐薬品性
水性コート剤を、アルミ蒸着PETフィルムの金属蒸着面に、乾燥後の膜厚が5μmになるように塗布し、70℃で5分間、乾燥させ、コート剤積層フィルムを作製した。その積層フィルムを80%エタノールに20℃で96時間浸漬し、コート層が変化しているかを目視にて評価した。
○:変化なく透明のままである。
△:コート層の一部に剥がれが見られるか又は白色になっている
×:コート層のすべてが剥がれるか又は白色になっている
(8)耐アルカリ性
水性コート剤を、アルミ蒸着PETフィルムの金属蒸着面に、乾燥後の膜厚が5μmになるように塗布し、70℃で5分間、乾燥させ、コート剤積層フィルムを作製した。その積層フィルムを5%水酸化ナトリウムに40℃で24時間浸漬し、コート層が変化しているかを目視にて評価した。
○:変化なく透明のままである。
△:コート層の一部に剥がれが見られるか又は白色になっている
×:コート層すべてが剥がれるか又は白色になっている
(9)耐温水性
水性コート剤を、アルミ蒸着PETフィルムの金属蒸着面に乾燥後の膜厚が5μmになるように塗布し、70℃で5分間、乾燥させた。得られた積層フィルムのコート層とABS基材とを貼り合わせ、ヒートプレス機(シール圧0.2MPaで5秒間)にて100℃でプレスした。その後、70℃の温水に300時間浸漬して剥がれの有無を目視にて確認した。
○:剥がれはなかった
×:全て剥がれた
(粘着付与剤水性分散体T−1の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、50.0gのロジン変性特殊合成樹脂〔ハリマックMSR−4,ハリマ化成社製〕、96.7gのイソプロパノール(以下、IPA)、53.3g(樹脂中の無水マレイン酸のカルボキシル基に対して3.0倍当量)のトリエチルアミンをガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を60〜80℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、赤褐色の透明な粘着付与剤溶液T−1を得た。T−1の固形分濃度は25.0質量%、IPA濃度は48.4質量%であった。
(酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1)
ユニチカ社製SB-1200(酸変性共重合ポリエチレンの固形分濃度25質量%、イソプロピルアルコール20質量%、水分60質量%)を使用した。
(酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2)
三井化学社製ケミパールSA−100(変性アイオノマー、固形分濃度35質量%)を使用した。
(酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−3)
日本製紙ケミカル社製スーパークロンE−723(塩素化ポリプロピレン、固形分濃度30質量%)を使用した。
(粘着付与剤水性分散体T−2)
ヤスハラケミカル社製ナノレットR−1050(芳香族変性テルペン炭化水素樹脂乳化物、固形分濃度50質量%)を使用した。
(シリカゾルS−1)
日産化学工業社製スノーテックスO(酸性タイプ中粒子径シリカゾル、シリカ粒径20nm、固形分濃度20質量%、溶媒:水)を使用した。
(ブロッキング防止剤)
中京油脂社製G−110(エチレンビスステアリン酸アミド水系分散体、固形分濃度26.5質量%)を使用した。
(架橋剤)
BASF社製HW−100(イソシアネート化合物、固形分濃度100質量%)を水で希釈して固形分濃度10質量%希釈液としたものを使用した。
実施例1
E−1とT−1とS−1とをポリオレフィン樹脂100質量部に対して粘着付与剤が5質量部、シリカが5質量部となるように室温にてメカニカルスターラーで攪拌(100rpm)・混合し、水性コート剤J−1を調製した。
実施例2〜14
表1、表2に示すように、ポリオレフィン樹脂水性分散体と粘着付与剤とシリカの種類や混合比を変え、さらに、実施例11〜13ではブロッキング防止剤を、実施例14では架橋剤を、それぞれ攪拌時に添加した以外は、実施例1と同様の操作を行って水性コート剤J−2〜J−14を得た。
実施例1〜14の評価結果を表1、表2に示す。
比較例1、6、7
E−1、T−1、S−1を各々単独で使用し、これをそれぞれH−1、H−6、H−7とした。
比較例2、3
E−1とT−1、E−1とS−1を、それぞれポリオレフィン樹脂100質量部に対して粘着付与剤、シリカが20質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様の操作を行って水性コート剤H−2、H−3を得た。
比較例4、5、8〜11
表3、表4に示すように、ポリオレフィン樹脂水性分散体と粘着付与剤水性分散体とシリカゾルの種類および樹脂成分の混合比を変えた以外は、実施例1と同様の操作を行って水性コート剤H−4、H−5、H−8〜H−11を得た。
比較例1〜11の評価結果を表3、表4に示す。
実施例1〜10では、水性コート剤から得られた被膜は、耐薬品性、耐アルカリ性に優れ、アルミ蒸着面の密着性と防錆性に優れており、また被膜が透明であるため、これを設けても蒸着面が良好に視認できた。さらに、アルミ蒸着フィルムとABS基材との接着性、防錆性にも優れていた。実施例6、8、10では耐ブロッキング性がやや劣っていたため、実施例11〜13のようにブロッキング防止剤を添加したところ、密着性や接着性を損なうことなく耐ブロッキング性が改善された。また、実施例14のように架橋剤を添加すると耐熱水性が改良された。
これに対し、比較例1、6、7ではポリオレフィン、粘着付与剤、シリカのそれぞれの成分を単独で使用したため、接着性、耐ブロッキング性、防錆性、密着性のいずれかに問題があった。比較例7はまったく接着しなかったため、接着性の評価ができなかった。また、比較例4、5、8〜11は、粘着付与剤とシリカの含有量が本発明の範囲外であるため、アルミ蒸着フィルムとABS基材との接着性や防錆性に劣っていた。比較例2では、シリカを添加していなかったため、耐ブロッキング性、密着性は良好だったものの、防錆性、接着性に問題があった。比較例3では、粘着付与剤を添加していなかったため、防錆性、密着性は良好だったものの、接着性に問題があった。

Claims (8)

  1. 酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、粘着付与剤(B)、シリカ(C)および水性媒体を含有する水性コート剤であって、(A)100質量部に対して、(B)が5〜50質量部、かつ(C)が5〜50質量部であることを特徴とする水性コート剤。
  2. さらにブロッキング防止剤または架橋剤を含有することを特徴とする請求項1記載の水性コート剤。
  3. 金属蒸着熱可塑性樹脂基材(a)の金属蒸着面に、請求項1または2記載の水性コート剤から水性媒体を除去してなる樹脂組成物の層(b)を設けてなる積層体。
  4. 請求項3記載の積層体の層(b)の上面に、この層を接着層としてさらに熱可塑性樹脂基材(c)を積層してなる積層体。
  5. 金属蒸着熱可塑性樹脂基材(a)における熱可塑性樹脂基材がポリエチレンテレフタレートまたはポリプロピレンである請求項3または4に記載の積層体。
  6. 金属蒸着熱可塑性樹脂基材(a)における蒸着金属が銀またはアルミニウムである請求項3〜5のいずれかに記載の積層体。
  7. 熱可塑性樹脂基材(c)がアクリルニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂基材である請求項4〜6のいずれかに記載の積層体。
  8. 請求項4〜7のいずれかに記載の積層体を用いためっき調鏡面シート。
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